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あかり「海王星人がせめてきたよぉ!」

1 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/01/24(土) 23:57:58.34 ID:vjTGdg8W0.net
あかり「たいへんだぁ!」

2 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/01/24(土) 23:58:44.17 ID:b8kR1lKnp.net
あかりおいしくないよぉ!

3 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/01/25(日) 00:00:36.43 ID:6Ra6fsWw0.net
あかりちゃんは海王星が大好きだった

何故なら青くて綺麗でまるで宝石のようだったからだ

同じような色の天王星のことはあまり好きじゃなかった

青みが薄く

吸い込まるようなその茫洋とした色あいに

あかりちゃんは恐怖していたからだ

しかしそんなあかりちゃんの認識も一転する

海王星人が攻めてきたからだ

4 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/01/25(日) 00:05:13.38 ID:6Ra6fsWw0.net
木星の衛星プラント計画の一環で

赤座あかりちゃんは居住区七森地区ですくすくと育っていた

娯楽部という益にもならない部活に精を出していた

しかしその日常はある攻撃によって一変する

それは宇宙の太陽系外縁方向――つまり人類が未だ

拠点を築けていない未踏の宇宙から放たれたものだった

あかりちゃんたちは被害に継ぐ被害の中で

命がけの観測を行った結果

それは海王星から飛来する攻撃であることがわかった

海王星こわい

5 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/01/25(日) 00:06:56.23 ID:6Ra6fsWw0.net
すぐさま逆襲部隊が結成され

あかりちゃんは七森地区娯楽部のみんなと共に

第三歩兵部隊の一員として召集されることになった

あかりちゃんは人類が未だ到達できていない

海王星へと進軍をすすめた

6 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/01/25(日) 00:10:25.96 ID:6Ra6fsWw0.net
海王星はとても寒かった

ぶっひぇーなどと言ってる間にお団子が凍った

凍るのはお団子ばかりじゃなかった

というよりも分子間のそればかりではなく

海王星に踏み込んだというその事実そのものが凍りかけていた

酷く解かれていくのは思考の渦だった

あらゆる反応系が複雑相互に絡み合い創出する思考の形は

ゆっくりとほどかれていく

公転周期が長い為か

風速2000kmの風が思考をもっていってしまうのか

しかし理由はどうあれ赤座あかりちゃんは

完全に歩兵の隊列を思考から欠落させていた

7 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/01/25(日) 00:13:24.28 ID:6Ra6fsWw0.net
海王星人「やぁあかりちゃん」

あかり「あなたは誰なのぉ」

海王星人「ぼくは海王星人だよ」

あかり「ぶっひぇー敵だよぉ!はやく銃をぶっぱなすよぉ!KILL THEM ALLだよぉ」

海王星人「まってまって」

あかり「まてないよぉ!しにさらせぇ!・・・・・・・・・あれ?・・・あれ?」

海王星人「ふふふ」

あかり「どうして?なんで弾が出ないの?銃さん故障しちゃったの?」

海王星人「ここでは銃は使えないんだよ。こんなものポイだ!」

あかり「あぁ!あかりの銃が泡になっちゃった」

海王星人「ふふふ。ここは海王星だからね」

あかり「そうなんだぁ」

8 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/01/25(日) 00:15:01.09 ID:6Ra6fsWw0.net
あかり「あ!お空にクジラさんが浮かんでる!」

海王星人「乗ってみるかい?」

あかり「え?いいのぉ」

海王星人「勿論だとも。むしろ彼らは誰かを乗せる事を誇りに思うんだ」

あかり「わぁい!あかり、空飛ぶクジラさんだぁい好き!」

海王星人「じゃあ待ってて僕の口笛でクジラさんが降りてくるよ」

あかり「わぁい」

9 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/01/25(日) 00:18:28.40 ID:6Ra6fsWw0.net
口笛は凍りついた

風に流され

振動を伝える大気は凍りつき

マイナス220度の口笛の結晶となった

その物悲しく美しい音色の結晶は

くじらさんの耳を捉え

そして大きく体をうねらせて仰け反った後

こちらに向けて泳いできた

吹き荒れる強風はクジラさんの体を通り抜け

クジラさんが幻想なのか風が幻想なのかの疑問を遥か惑星の彼方へ追いやった

10 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/01/25(日) 00:20:35.23 ID:6Ra6fsWw0.net
海王星人「さぁどうぞ」

あかり「わぁい!あかり海王星くじらだぁいすき!」

あかりちゃんがクジラさんに跨ると

その青い星が海であるというように

クジラさんは優雅に泳ぎ始め

空たかくのぼり

大気を体に乗せて

もっと高く

星が頭上で輝く夜の帳のみえるその高みまで

あかりちゃんを連れて行った

あかりちゃんは夢見心地でその神秘的で現実の光景に見惚れた

11 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/01/25(日) 00:22:51.56 ID:6Ra6fsWw0.net
あかり「わぁ!こんなことってあるんだね」

海王星人「あるともおもちゃの兵隊は夢の中へと行進できることを僕らは知っているだろう?」

あかり「そうだねぇ」

海王星にきた兵隊のみんなは愉快なおもちゃの兵隊だった

海王星は夢であり現実で

あかりちゃんもまたおもちゃで幻想だった

海王星人「もうすぐ春だ!」

その声は歓喜に色めき立っていた

12 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/01/25(日) 00:25:35.84 ID:6Ra6fsWw0.net
クジラさんが突き進む大気の香りがすこしずつ甘くなり

そしてほの明るい春の光が差してきた

赤道傾斜角28度が織り成す四季はここ海王星でも変わるところはなく

くじらさんは喜びに潮を噴き上げて大きな口で笑みを浮かべ

海王星人は小躍りして春を褒め称えた

あかりちゃんも「わぁ」と歓声をあげて海王星の春を喜んだ

気温はマイナス200度よりすこし高いかなというほどだった

13 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/01/25(日) 00:27:45.31 ID:6Ra6fsWw0.net
おもちゃの兵隊は打楽器を打ち鳴らして帰っていく

長い冬の布団の中でみる孤独な季節の慰めが

彼らの役割だからだ

あかりちゃんは手を振って彼らを見送ったあと

もう一度前を向いて

そして強い光に思わず悲鳴をあげた

目を瞑り

体がクジラさんから離れた

あかりちゃんは空中を回転しながら

海王星の空に放り出された

14 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/01/25(日) 00:33:12.43 ID:6Ra6fsWw0.net
あかりちゃんがびぃやあああああああああああという叫びをあげて転がった

その回転が終わったのは惑星を何週回ったかわからないくらいのときだった

あかりちゃんは遠心力と重力の程よい場所でごろごろ転がっていた

高度をいくらか下げてその力が分散されたあと

あかりちゃんが目にしたのは虐殺された海王星の地表の姿だった

15 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/01/25(日) 00:35:32.93 ID:6Ra6fsWw0.net
海王星は海王星人の赤い血で赤い惑星になっていた

山河も海も全て血で満たされていた

あかりちゃんは何故こんなことになったのかわからず

周囲に視線を振って誰かの何かしらの説明を求めた

そこに現れたのは虐殺ハサミネズミだった

16 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/01/25(日) 00:37:59.43 ID:6Ra6fsWw0.net
ネズミ「ぼくがぐちゃぐちゃにしたちゅー」

ネズミはケタケタ笑いながら感情を窺わせない下等生物の目でそう言った

ネズミ「このハサミで内臓をぐちゃぐちゃにしたでちゅー」

あかりちゃんは悲鳴を上げてそして気絶した

あかりちゃんは心優しいのでこんな気持ち悪い生き物の残酷な話を聞いていられるわけがなかった

あかりちゃんは戦闘ストレス反応で後送された

あかりちゃんは既に戦線に立てる状態ではなかった

17 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/01/25(日) 00:40:46.79 ID:6Ra6fsWw0.net
メディックは何処だー!!

KIAの判定がない場合それは早急な救護を必要とした

故にその叫び声は悲痛な必死さをはらんだ

しかもそれはあらゆる場所で起こった

最早手を回せる衛生兵など残ってはいなかった

片腕のなくなった衛生兵は銃を握って壕に伏せていた

あかりはちゃんは自分の体をしっかりと引きずられていることを知覚した

18 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/01/25(日) 00:44:10.46 ID:6Ra6fsWw0.net
結衣「死ぬな!あかり!すぐに薬のあるところまで運んでやるからな!」

結衣ちゃんの後ろ姿をあかりはぼんやりと見つめた

今ここが何処で自分が何をしているのか

結衣ちゃんが何をしているのか

甲高い音が体のすぐそばを擦過するその銃弾の意味も

なにもあかりちゃんはわからなかった

あかりちゃんは酷く痛む胸で息を吐いて

再び目を閉じた

19 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/01/25(日) 00:47:37.40 ID:6Ra6fsWw0.net
海王星人「夢と現実はどちらのほうが真実だと思う?」

あかり「わからないよぉ。あかりにとってはどっちも嘘だと思った方が楽かな」

海王星人「その通り。どっちも幻だよ」

あかり「そうなんだぁ」

海王星人「意味のある事柄を意味があると認識する思考はここにはないからね」

あかり「あかり難しい事は解らないよぉ」

海王星人「嘘っぽくて確からしいそのどちらもただの嘘だったというだけさ」

あかり「そうなんだぁ」

20 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/01/25(日) 00:49:37.14 ID:6Ra6fsWw0.net
死ぬな!あかり!死ぬな!あかり!

そんな声が何処からか聞こえてくる

気がする

空飛ぶクジラさんに乗った気がする

という真実

あかりちゃんは海王星にいった

だけどあかりちゃんは海王星から帰ってこなかった

あかりちゃんは心優しいクジラさんと海王星を回遊して遊んでいるらしい

21 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/01/25(日) 00:50:04.37 ID:6Ra6fsWw0.net
そのどれも全てがあかりちゃんを構成しない

おわり

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