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あかり「わぁい!」
- 1 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/04/11(土) 19:39:58.601 ID:2K1Dj9dg0.net
- あかり「わぁい!わぁい!」
- 2 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/04/11(土) 19:40:33.955 ID:vYgPaRMP0.net
- のりこめー^^
- 3 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/04/11(土) 19:40:59.679 ID:jmNBsS9d0.net
- アイカツ!アイカツ!
- 4 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/04/11(土) 19:41:39.595 ID:1D7B74NK0.net
- 私も崖だぁ
- 5 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/04/11(土) 19:43:40.212 ID:5JJ6itWvp.net
- 空気キャラゴリ押しのファッション残念娘
- 6 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/04/11(土) 19:46:29.536 ID:IKx6KYipr.net
- うんこしたらなおるよ!
ハ_ハ
/⌒ヽ ( ゚∀゚)')
{ (/⊃ ノ ___
ヽ (__⌒ワ') (三(@
に二二二)
_) r'
└───`
- 7 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/04/11(土) 19:46:44.739 ID:2K1Dj9dg0.net
- あかりちゃんは濁った街路を歩いていた
誰もあかりちゃんに目を向けないし
あかりちゃんも誰にも目を向けない
吸っていたアメリカンスピリットを道端に吐き出し
唾と一緒に
自分の苛立ちをそこに唾棄した
曇った濁り空は一向に晴れる気配はなかった
- 8 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/04/11(土) 19:49:00.262 ID:2K1Dj9dg0.net
- レジデンシャル・セグレゲーション
という言葉がある
赤座あかりちゃんが貧民たることを理由として
富裕層との生活圏を完全に分断している
この国の本質を正直に体現している
至極明快で単純な論理がそれだった
赤座あかりちゃんは生まれてから此処
掃き溜めの街しか知らないし
自分が富裕層に軽蔑されているという事も
生まれてからそれを疑問に思わない程
自然に納得していた
- 9 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/04/11(土) 19:50:20.301 ID:/fggYNPUd.net
- llil,,,
lllllllllllliii,,,,_
!lllllllllllllllliil,、 ,,,,,,,,,
l!lllllllllllllllll° .,,iiiilllllllllliil,、
l!llllllllllll!,,,,,,,,,,,,,,,lr,,,,lliilllllllllllllllllllil
llllllllllllllllllllllllllllllll!!!!!llllllllllllllllllll!"
,,,,, ,,,,,iiiiillllllllllllllllllllll!゙゙゙゙゙゙゜ .,,illllllllllllllll゙°
.lllllllllllllllllil_,,,,,,,,iiilllllllllllllllll!!!゙゙゙゙゙ ̄` _,,iilllllllllllll!!゙゛
.゙lllllllllllllllllllllllllllllllllllll!゙゙゙ ,,,,,,,,,,,,,,,,,lilllllllllllll!!l゙′
.゙゙llllllllllllllllllll!!゙゙゙゙° ,,,,,,,iillllllllllllllllllll!!!!゙゙゙゙゜
`゙゙llllllllllllllli,,_,ii,,,,,iiillllllllllllllllll!!゙゙ll゙゙ ̄ ._
゙llllllllllllllllllllllllllllllllllllllll!゙° .,,,,,,,,,iiilliiii,,,
゙l!!!!!゙゙゙゙゙゙゙!llllllllll!!゙゙゜ ,,,,iilllllllllllllllllllllil,
 ̄ ̄ .,,,,illllllllllll!!!llllllllllllllllll
,,,,,,,,,,,,,,,,,,iiiiiillll!!llllll,,,、
liiiiiiiiiiiiilllllllllllllllll!!゙゙゙° l!lllllllllliiiii ,,
illllllllllllllllllllllllllllll` llllllllllllllll! llii
゙lllllllllllllllllllllllllllli llllllllllllll lllll,,
゙° llllllllllllllll゙ llllllllllllll ゙lllllli,,
_,,lllllllllllll!l゛ .llllllllllll゛ _lllllllll,,
,,,llllllllllllllll゙′ .,,illlllllllll° llllllllllll,、
,,illlllllllllllll゙′ .llllllllllllllliiiiiii、 ,llllllllllllll
_,,iillllllllllll!゙″ ゙llllllllllllllllllllllllllliiiiiiii,,,,,,,,,,_lllllllllllllll
,,,iillllllll!!!゙′ ゙゙゙!!!!llllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll
,,,illlll!!!゙゙゙゜ ゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙!!!lllllllllllllllllllllll!゙′
iil!!゙゙ ̄ `'゙゙!!゙゙!!!!゙゙゙`
- 10 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/04/11(土) 19:51:40.497 ID:2K1Dj9dg0.net
- だけど赤座あかりちゃんは成長するにつれ
この国の不合理
世界に名だたる国家そのの内部で起こる
競争と勝者と敗者の区別
競争こそが発展への原動力と信じてやまない国家の
敗残者の掃き溜めに対して
並々ならない不満を抱いていた
資本のかたに労働力を提供して崩れていく父と母を見て
赤座あかりちゃんは確固として
その論理を是としていなかった
- 11 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/04/11(土) 19:54:24.103 ID:2K1Dj9dg0.net
- あかり「見てよあかりのこの姿」
あかり「上層を歩く人間のきらびやかな姿とは裏腹に」
あかり「あかりは生まれも育ちもこの掃き溜めのせいで」
あかり「あかりはとてもまともな生活を」
あかり「送れていないよぉ」
あかり「上層の誰かがおとす気まぐれな施しに」
あかり「あかりたちはプライドもなく群がっていく」
あかり「これが世界の在り方かよぉ」
- 12 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/04/11(土) 20:01:45.932 ID:2K1Dj9dg0.net
- 力はすなわり金だった
金は即ち身分だった
身分はすなわち人生だった
赤座あかりちゃんはそれら全てのものに対して
得るなことのできるにがしかの要素も
持ってはいなかった
ここ街区の人間は誰も何も
必要なものなどもってはいなかった
- 13 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/04/11(土) 20:06:12.847 ID:2K1Dj9dg0.net
- かつて永遠に追放された彼らの聖地を
取り戻したドナウの民のように
赤座あかりちゃんは
自身の市民的生活の
復興や返り咲きを心に秘めていた
しかし強者の論理で進むこの世界が嫌いであるのに
その論理に従って自身の生き方を
良い軌道へ持っていこうとすることに
赤座あかりちゃんは唾棄していた
赤座あかりちゃんの右手には市政官候補生への辞令書が握られていた
赤座あかりちゃんは唾棄しながらも
貧困の中で研鑚し
支配する側に回ろうとしていた
そしてそれは今成功を収めたことを結果として受け取っていた
- 14 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/04/11(土) 20:09:14.368 ID:2K1Dj9dg0.net
- あかり「この矛盾」
あかり「あかりは滑稽なのさだよぉ」
あかり「あかりはこんな掃き溜めが作られることに」
あかり「疑問を抱いていたのに」
あかり「あかりはそれを管理する側に」
あかり「回ろうとしているよぉ」
あかり「・・・強いものが勝つ論理」
あかり「あかりのようなロクでもない出自でも」
あかり「知力で周囲を上回れば」
あかり「あかりはそこで力を得られるよぉ」
あかり「でも敗者は・・・?」
- 15 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/04/11(土) 20:10:37.722 ID:2K1Dj9dg0.net
- あかり「敗者はきっとここにおとされるんだよぉ」
あかり「惨めで卑屈で」
あかり「暗くジメジメしたこの街」
あかり「暴力と示威がここでの正義だよぉ」
あかり「だけど」
あかり「だけどあかりは・・・」
結衣「やぁあかり」
あかり「結衣ちゃん・・・」
- 16 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/04/11(土) 20:15:07.570 ID:2K1Dj9dg0.net
- 結衣「ん?様子がおかしいな、どうしたんだ?」
あかり「大丈夫だよぉ」
結衣「そうか?でも少し具合悪そうだし心配だな」
あかり「ありがとうだよぉ」
結衣「熱でもないのか?少しなら薬もってるから」
結衣「分けてあげようか?」
あかり「ありがとう・・・ごめんねぇでも大丈夫だから・・・」
- 17 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/04/11(土) 20:16:09.437 ID:2K1Dj9dg0.net
- 結衣「そうか・・・でもやっぱり心配だからおでこ触って熱だけでも」
あかり「!!!!」
あかり「それ以上近づいちゃダメ!!!だよぉ」
結衣「・・・・・・・・・」
あかり「ベルトの後ろにあるナイフを取ってもあかりは元気だから」
あかり「刺し違える事くらいできるよぉ」
結衣「・・・・・・」
結衣「そうか・・・残念だな・・・」
あかり「結衣ちゃん・・・」
- 18 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/04/11(土) 20:19:45.202 ID:2K1Dj9dg0.net
- 結衣「病気の京子に少しでも」
結衣「いいものを食わせてやれると思ったのに」
結衣「私が死んでしまえば」
結衣「京子がどうなっちゃうかわからないからね」
結衣「今日はごめんね、あかり、また今度」
あかり「今度もあかりは結衣ちゃんに」
結衣「殺されたりしないよぉ」
結衣「・・・・・・・・」
結衣「それは残念だ」
あかり「・・・結衣ちゃん・・・」
結衣「それじゃあね、あかり、でもこれだけは覚えてて」
結衣「誰も悲惨な目になんて遭っちゃいない。 悲劇がお楽しみに変わっただけなんだよ」
結衣「それじゃあ」
あかり「結衣ちゃん・・・」
- 19 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/04/11(土) 20:24:24.765 ID:2K1Dj9dg0.net
- サンマリノは悲観などしてないなかった
彼はむしろ英雄のように丘を下ったからだ
結衣ちゃんは悲しんでなどいない
なぜなら京子ちゃんが守るべき約束の場所だからだ
世界はそのように回る
赤座あかりちゃんは悲しみにくれる
辞令書は手放さない
生きる希望にすがりつく大切さは
その状況にあるものしか解らない
- 20 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/04/11(土) 20:32:07.724 ID:2K1Dj9dg0.net
- あかり「あかりが失ったモノは」
あかり「きっと元からあかりに」
あかり「必要じゃなかったんだよぉ」
あかり「結衣ちゃんも」
あかり「あかりにとって大切だったけど」
あかり「必ずしも必要なものじゃなくて」
あかり「結衣ちゃんにとってのあかりも」
あかり「きっとそうなんだよぉ」
あかり「・・・・・・・・・ふえぇぇん」
- 21 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/04/11(土) 20:37:02.500 ID:2K1Dj9dg0.net
- あかり「あかり・・・あかりは・・・」
そういってあかりちゃんは
貧困街区を駆け抜けた
手に持った辞令書は決して手放さなかった
欲しいものはここにはなかった
ここにいることを望まれる事もなかった
赤座あかりちゃんは駆け抜けた
流星のように尾を引いた
世界は直線の連なりになった
悉く貧民街の意味は還元され
ただ偏に去る場所としての痕跡となった
赤座あかりちゃんは自身を構成する
この街区で育んが細胞も全て
置き去りにする気持ちで
上層への扉を叩いた
- 22 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/04/11(土) 20:42:10.000 ID:2K1Dj9dg0.net
- 京子『あかりはひよこみたいだな』
あかり『え?ひよこさんみたに可愛いってこと?あかり照れるよぉ』
京子『いやそういうわけじゃなくて』
あかり『えぇーっ!違うのぉ!?』
京子『イエース、そうじゃなくてだな』
あかり『んもうぅーあかりのどこがひよこさんみたいなのぉー!』
京子『きっといつでも信じられるからんだよ、あかりは』
あかり『え?それってどういうことなの?』
京子『ほら、ひよこって親のあとについていくだろ?』
あかり『きいたことあるよぉ』
京子『あかりはそういうところがあるんだよ』
あかり『えぇー!!!』
- 23 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/04/11(土) 20:44:15.661 ID:2K1Dj9dg0.net
- あかり『あかりそんな単純じゃないよぉー!』プンスコ
京子『んにゃ、単純とかじゃなくて』
あかり『うん』
京子『まず、あかりがついていくのは私や結衣とかそういうんじゃないんだ』
あかり『そうなの?それじゃああかりは誰についていくんだろう・・・』
京子『不審者?』
あかり『んもうぅー!京子ちゃん!!』
京子『あはは、冗談冗談』
- 24 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/04/11(土) 20:47:24.185 ID:2K1Dj9dg0.net
- 京子『そうじゃなくてだな』
あかり『うん』
京子『あかりは信じてるものについていくんだよ』
あかり『信じてるもの?』
京子『うん私たちが忘れていく幼い時の・・・』
京子『なんていったらいいのか・・・道徳?』
あかり『よくわからないよぉ』
京子『次第に失っていく美しいものとか光ってるものとかそういう』
京子『人の矜持みたいなものにあかりは』
京子『あかりは常に歩いていける、強くて優しい子なんだ』
あかり『うぅよくわからないよぉ』
京子『なはは、言ってる私もよくわかってない』
あかり『えぇ〜京子ちゃ〜ん!』
- 25 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/04/11(土) 20:50:45.258 ID:2K1Dj9dg0.net
- 京子『つまりはそういうことだから』
京子『あかりはきっと』
京子『幸せになれるんだよ』
あかり『うぅ・・・よくわからないけどありがとだよぉ』
扉が開かれる
あかり「きっと全部嘘なんだね」
あかり「きっと全部全部」
あかり「見てよあかりのこの矛盾を、京子ちゃん」
あかりは汚れた服を身にまとう姿のまま
上層へ入る第一歩に決意を込めて踏み出した
- 26 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/04/11(土) 20:56:36.004 ID:qzT4kvpid.net
- 見てるぞ
- 27 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/04/11(土) 20:58:59.821 ID:2K1Dj9dg0.net
- 結衣『なぁ、あかり』
あかり『なぁに、結衣ちゃん』
結衣『あかりにはすごく大切なものってあるか?』
あかり『んんー、お友達みんな大切だよぉ』
結衣『そうか、じゃああかりは』
結衣『お友達みんなを殺そうとする奴が現れたら』
結衣『あかりはどうする?』
あかり『えぇーこわいよぉ!』
結衣『怖くても答えて』
あかり『うぅ・・・』
- 28 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/04/11(土) 21:01:08.853 ID:2K1Dj9dg0.net
- あかり『あかりならきっと・・・』
結衣『うん』
あかり『その怖い人を説得するよぉ』
結衣『そうか、じゃあ説得じゃ抑えきれないのがわかったらあかりは』
結衣『どうするんだ?』
あかり『そうなったらあかりは』
あかり『・・・あかりは』
あかり『あかりを殺してもらってそれで納得する様に』
あかり『してもらうよぉえへへぇ』
結衣『そうか・・・・・・』
結衣『・・・・・・』
あかり『結衣ちゃん・・・?』
- 29 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/04/11(土) 21:02:59.956 ID:2K1Dj9dg0.net
- 結衣『そうだよな、あかりは・・・』
あかり『どうしたの・・・?悩みがあるなあかり・・・』
結衣『いや、いいんだ』
あかり『・・・結衣ちゃん・・・?』
結衣『なぁ、もしその殺人者が』
結衣『わたしでもそうするのか・・・あかり・・・?』
あかり『・・・結衣・・・ちゃん・・・?』
- 30 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/04/11(土) 21:04:38.489 ID:2K1Dj9dg0.net
- 曰く、不可解
必要なものは在るのに
用意はされていない
それはただそこにあるだけだった
誰かが見つけた時
誰かが使おうとしたとき
それははじめて意味を持つ
しかし意味をもつことに意味はない
それは既に在るもので
誰もそれを否定できないから
- 31 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/04/11(土) 21:07:06.046 ID:2K1Dj9dg0.net
- 辿れるものを出来るだけ辿ってみる
赤座あかりちゃんに必要なものは
物事の源泉だった
積み重なる現実が
赤座あかりちゃんの本質を
ぼやけさせていた
本当の赤座あかりちゃんは何処なのか
本当の自我など最初から存在しないのか
赤座あかりちゃんを定義する記憶は
何処にあるのか
考えながら
赤座あかりちゃんは二歩三歩と光の道をあゆむ
光り輝く上層世界への道
- 32 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/04/11(土) 21:09:17.246 ID:2K1Dj9dg0.net
- あかり「誰もあかりのことなど」
あかり「わかってはいなかった」
あかり「あかりはなるべくして」
あかり「この道を歩いているのだ」
あかり「あかりは今日から」
あかり「あかりでなくてすらいいのだ」
あかり「ほんとうに必要なものは」
あかり「私が決めていくのだ」
あかり「私のみが私を規定できる」
あかり「わたしはもう私でいる必要はない」
- 33 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/04/11(土) 21:11:09.754 ID:IpzYm2FB0.net
- いいぞ
- 34 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/04/11(土) 21:11:46.748 ID:2K1Dj9dg0.net
- あかり「不必要なものは切り捨てよう」
あかり「必要な支配は肯定しよう」
あかり「見よ、この矛盾を」
あかり「誰もこれが以前のあかりだとは思わない」
あかり「夜になると胸が苦しくなる」
あかり「わたしがわたしでないことに涙が出る」
あかり「夜風がとても懐かしく感じるのだ」
あかり「あの日キャンプをした衒いのない仲間を思い出すのだ」
あかり「わたしはもうそこにはいない」
- 35 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/04/11(土) 21:15:13.514 ID:2K1Dj9dg0.net
- あかり「わたしはもうそこにはいないのだから」
あかり「これで全てが一つの結末となって」
あかり「私はまたあらたに始まる」
あかりちゃんは遂に踏み入れた
光と絢爛の世界
ネクタイとノリのきいたシャツに身を包んだ
形式的な世界
革靴の鳴る高い音と
規則正しく清潔であり厳格な空気を身にまとう
あかり「あかりはあかりではなくなるのだ」
- 36 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/04/11(土) 21:15:28.965 ID:JkGjGrCR0.net
- 腹黒淫乱ピンク
- 37 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/04/11(土) 21:18:54.913 ID:2K1Dj9dg0.net
- 以前そこにあった大切なもの
あの日身を寄せ合い
掃き溜めの街
薄暗い路地裏で
隠れる様に過ごした
桃色の髪の親友
互いにパンを分け合い
綺麗な水を守り
寒さに体を寄せ合った親友のことを
赤座あかりちゃんは思い出す
- 38 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/04/11(土) 21:22:24.845 ID:2K1Dj9dg0.net
- いつから一緒にいたかはわからない
始めのうちはうまく言ってなかったことは
なんとなく覚えている
このままきっとこの子とは
そりが合わないまま過ごすんだろうと思っていた
だけどそれも
変っていく現実の中の一つの瞬間でしかなくて
お互いの親が遂に倒れた時には
自然とストリートの隅
どこかの路地裏の
さらに小さな穴から通じる
下水道への配管が貫いている
煉瓦の小さく空いた空間の隙間に
二人の寝床を見つけてから
ずっと二人で生活を助け合っていた
- 39 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/04/11(土) 21:24:13.582 ID:2K1Dj9dg0.net
- イデオロギーは常に
底流に流れていた
何がしか思想めいたビラは
この世界の隅に思える路地裏にまで
投棄されていた
ちなつちゃんは熱心にそれを読んでいた
あかりちゃんは興味がなかった
今があればそれでよかった
だけどちなつちゃんはこの生活から抜け出すことに
当時のあかりちゃんよりもなお
積極的だった
ちなつちゃんは貧乏が大嫌いだった
- 40 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/04/11(土) 21:26:46.260 ID:2K1Dj9dg0.net
- 日々の糧は食べ物に消えた
服も装飾も
通常の少女なら興味の出る事について
ちなつちゃんもまたそれを欲した
だけどそれは
自身の身分を自覚したうえでの
叶わない願いだった
それがちなつちゃんの本質だった
だけど赤座あかりちゃんには
決して嘘は言わなかった
ちなつちゃんは欲しいものを欲しいとあかりちゃんに
言った
あかりちゃんは困った笑顔でちなつちゃんの
頭を撫でる事しか
出来なかった
- 41 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/04/11(土) 21:30:34.368 ID:2K1Dj9dg0.net
- 本質を変える事は難しい
たぶんそれは本質であるが故の命題だった
アルメニアがアルメニアであるのは
幾度もの侵略と略奪を経てもなお変わらないのだから
だから赤座あかりちゃんは
頭を撫でる事しかできなかった
持たざる者は他人に出来る事が少ないのも
一つの不幸だから
- 42 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/04/11(土) 21:33:18.119 ID:2K1Dj9dg0.net
- ちなつ『あかりちゃん私は』
あかり『うん』
ちなつ『いつかきっとここを出ていく』
あかり『うん』
ちなつ『・・・驚かないの?』
あかり『あかりはちなつちゃんがどうしたいか知ってるから』
ちなつ『・・・・・・』
あかり『だから・・・』
ちなつ『・・・・・ごめんね、あかりちゃん・・・』
あかり『・・・ううん』
ちなつ『・・・いつも慰めて貰ってばかりだね』
あかり『あかりはちなつちゃんが幸せになってくれればそれで・・・』
ちなつ『あかりちゃん・・・』
- 43 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/04/11(土) 21:38:18.378 ID:2K1Dj9dg0.net
- あかり『だから二人で貯めたお金もっていって』
ちなつ『・・・あかりちゃんは・・・そうやって私のこと・・・』
あかり『ううん、いいから』
ちなつ『あかりちゃんはこれからどうするの?一人でお金また溜めて何て・・・』
あかり『あかりは上層に行ってしたいことなんてないよぉ』
ちなつ『でも・・・』
あかり『あかりは結衣ちゃんと京子ちゃんの事も気になるし』
あかり『それにあかりは一人だって・・・』
あかり『一人だって・・・』
ちなつ『・・・・・・・・・あかりちゃん・・・』
あかり『いいの、ちなつちゃんはあかりのこと』
あかり『信じてあかりもちなつちゃんのことを信じて』
あかり『二人でやってこれた思い出があるだけであかりは満足だよぉ』
- 44 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/04/11(土) 21:45:44.742 ID:2K1Dj9dg0.net
- あかり『またお手紙書いて』
あかり『あかりは』
あかり『あかりはそれで・・・』
あかり「そうやって送り出したちなつちゃんが」
あかり「わたしたちの溜めたお金を持ってたせいで強盗にあったちなつちゃんが」
あかり「わたしの前から消えたのも」
あかり「わたしが心に従ってちなつちゃんを引き止めなかった」
あかり「業なのかもしれない」
あかり「この世は心の従って行動するように」
あかり「作られている」
あかり「走らなければ。今から倒れるまで」
- 45 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/04/11(土) 21:53:51.568 ID:2K1Dj9dg0.net
- 赤座あかりちゃんを駆り立てるものは
最早何かわからない
今にして思えば些細であり
確定的な要因とは言えない
全ての何がしかに対して
赤座あかりちゃんは確定し
そして気に入らない何がしか全て唾棄して回った
- 46 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/04/11(土) 21:56:28.171 ID:IpzYm2FB0.net
- 見てるぞ
- 47 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/04/11(土) 21:57:43.085 ID:2K1Dj9dg0.net
- 奇妙さは何処にでもついて回った
あの日見た風の匂いも
向日葵畑も
蝉の声も
全て遠くにあるの幻だという真実しか
この世界にはなかった
そこにある過去との比較で現実は見えてこないし
意味をなさなかった
あるべきものは過去をみるときにのみ
確定して
そして悲しかった
- 48 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/04/11(土) 21:59:20.506 ID:2K1Dj9dg0.net
- 関わりは全てを拒否し
赤座あかりちゃんはここにはいない
在るべきものを取り戻して
世界の均衡を図るにも
時間は恐ろしく強固な意志で
進むのみで赤座あかりちゃんはまた
地面を向いて歩くしかなかった
- 49 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/04/11(土) 22:01:53.799 ID:2K1Dj9dg0.net
- 正しいものを正しいと規定することを
愚かさの極みとして断定した
今よりもむしろ過去が鮮烈なのも
その迂回した思考からくる端数のような
切れ端のせいだった
今はただ静かに祈ることをする赤座あかりちゃんも
教会なんて言うものは
上層に来るまで知らなかった
ステンドグラスという色とりどりの光の採光も
赤座あかりちゃんが許しがほしくてやまない
全てのものへ通じてるように錯覚させているという事も
赤座あかりちゃんはしっかりと自覚していた
- 50 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/04/11(土) 22:05:39.465 ID:2K1Dj9dg0.net
- 何もない状態のものが世の中に溢れていた
それはラベルが貼られていない何がしかだった
正義とか善とか人とか矜持とか
そういうものを拾い集めて赤座あかりちゃんは
机の奥底にしまっていた
いつか使う事を期待して
だけどそれが永遠にこないことも
赤座あかりちゃんはまた知っていた
神がお休みになられた日曜日にはまた繰り返すための反復記号が
譜面のように記されていた
いったい何度世界の創世をするのか
人々には理解でない
- 51 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/04/11(土) 22:10:04.754 ID:2K1Dj9dg0.net
- 理解できない物を集めて
赤座あかりちゃんは両手に包み
祈りを捧げた
櫻子「いつも祈りを捧げていますね」
あかり「お友達の為です」
櫻子「確かなものはここにしかありません」
- 52 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/04/11(土) 22:10:35.575 ID:2K1Dj9dg0.net
- あかり「ならあなたは何を提供できるのでしょう」
櫻子「あなたと通じ合う事しか捧げられません」
あかり「そんなことどうやって」
櫻子「手をとって踊るだけです」
あかり「踊る?」
櫻子「それでひと時の夢をみられます」
あかり「ほんとうに?」
櫻子「全てを忘れて。なぜならそれは」
ワルツだから。だから私と
おわり
- 53 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/04/11(土) 22:15:31.835 ID:IpzYm2FB0.net
- 乙
- 54 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/04/11(土) 22:16:52.079 ID:qzT4kvpid.net
- どんどん不可思議になっていってないか?
- 55 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/04/11(土) 22:21:52.655 ID:Fw0LUX4od.net
- 乙乙
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