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唯「憂ー。脳みそが少しこぼれちゃったから、掻き集めてくれない?」
- 1 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 19:21:15.884 ID:j/74ImbHM.net
- 4月4日。午前4時。
ぱっくりと割れた隙間からその身を零れ落としながら、
物言わぬ脳みそは朝を待ち続けていた。
- 2 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 19:22:12.151 ID:j/74ImbHM.net
- 4月2日。午後4時。
コンコン。
病室にノックの音が響く。
その数秒後、恐る恐ると言った様子でドアは開かれた。
憂「お姉ちゃん。体調の方はどう?」
ドアの隙間から身を滑り込ませ、憂が姉である唯へと声をかける。
ほんの六畳ほどの個室は、壁もカーテンもシーツも全てが真っ白で、
それらが大きな窓から差し込む西日を反射させていて、眩しいくらいだった。
- 3 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 19:23:20.747 ID:Q6NR4ivW0.net
- ワロタ
- 4 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 19:23:54.482 ID:fGbwTKRp0.net
- 期待してる
- 5 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 19:23:55.967 ID:j/74ImbHM.net
- 憂「……」
ベッドの上で上体を起こし、こちらに背を向け、
電源の入っていないテレビをぼんやりと眺めている唯の反応を、
憂は根気強く待っていた。
憂「……」
焦っちゃダメだ。憂は自分に言い聞かせる。
しかし、こうして、変わってしまった姉を目の当たりにすると、
どうしても思い出してしまう。
あの日の”事故”のことを。
- 6 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 19:24:00.489 ID:Or/6bXB30.net
- 優一って誰?
- 7 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 19:25:31.515 ID:j/74ImbHM.net
- ピンク色のパジャマを着た唯の上体が、ゆっくりとこちらへ向けて回り始める。
まるで、ゼンマイの切れかかった機械仕掛けの人形のような、緩慢な動きだ。
焦点の合っていない瞳が憂を少し通り過ぎたところで、唯は体の向きを固定させる。
唯「憂ー。来てたんなら声かけてよー」
憂「ごめんね、お姉ちゃん。起こしたらいけないと思って」
無理に笑顔を作った憂の言葉に、唯は首を傾げた。
- 8 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 19:27:14.262 ID:j/74ImbHM.net
- 唯「私、寝てないよ? 今だってずっとテレビ見てて」
背後を指さしながら、先程とは打って変わって素早く上体を回転させた唯は、
途中で言葉を止めた。
憂「……」
そして、何も映っていない真っ黒な画面を十数秒ほど眺め、
そのまま視線を戻すこともなく、憂へと疑問を投げる。
唯「あれえ……。憂、テレビ消した?」
- 9 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 19:28:16.743 ID:r99a7Ipx0.net
- 面白い
- 10 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 19:29:05.379 ID:j/74ImbHM.net
- 憂「……カードの度数が、切れちゃったんじゃないかな」
この病院では、通常の病室と違って、個室のテレビはカードなど無くとも見ることができる。
しかし、憂は姉に対して嘘をついていた。
唯「そっかぁ。……憂、悪いんだけど、後でカード買ってきてもらえる?
テレビでも見てないと、退屈で退屈で死んじゃいそうなんだよぉ」
憂「うん。分かったよ、お姉ちゃん」
うんざりとした様子を気取られないように、憂は努めて明るくそう言った。
実は、以前にも似たようなことが何度かあって、困ったことがあったのだ。
- 11 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 19:31:33.101 ID:j/74ImbHM.net
- その時は『最初からテレビなんてついてなかったよ』とか、
『お姉ちゃんと話したいから私が消したんだよ』とか、
憂もこんな風に答えていた。それに対して、唯は突然怒りをあらわにしたのだった。
『憂! 何言ってるの!? 私は今まで見てたんだよ!?』
『勝手なことしないで! ここは私の部屋なのに!』
狂ったように暴れる姉をなだめる方法が思いつかず、
憂は嘘をつくことに決めたのだった。
どうせ、リモコンの使い方も分からないのだろうから。
憂はそう考えていた。
- 12 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 19:34:46.743 ID:j/74ImbHM.net
- 憂「じゃあ、私はそろそろ帰るね」
1時間ほど他愛のない話をした後、憂はそう切り出した。
(もっとも、会話をしている時間よりも、唯が沈黙していた時間の方が圧倒的に長かったが)
唯「あ、そうだ」
相変わらず、焦点の合っていない瞳を上の方へと向けながら、
何かを思いついたように唯が手を打った。
唯「さっきね、律ちゃん達が来た時に、おいしそうなお菓子を置いていったんだけど」
その言葉に、憂の心臓が大きく跳ねた。
反射的に胸に手を当て、苦しげに呻く。
――お姉ちゃん。律さん達は、もう……。
唯「あっれぇ。おっかしいなぁ」
そんな憂の様子には目もくれず、
唯はサイドテーブルの引き出しや戸棚をガサゴソと漁っている。
しばらくして、探すのを諦めた唯は顔を上げ、困ったように笑った。
唯「憂ごめんねぇ。どうしても見つからないや」
- 13 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 19:35:37.058 ID:r99a7Ipx0.net
- りっちゃん達どうなったんだよ
- 14 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 19:36:49.556 ID:j/74ImbHM.net
- 4月2日。午後5時半。
憂は病室を出ると、足早に病院を後にした。
姉や、姉の友人たちのことを思うと、今にも泣き出してしまいそうだったためである。
憂「……」
陰鬱に沈み込んだ気持ちがそうさせるのか、
ここへ来る時よりも重くなった体を引きずるように、憂はノロノロと家路につく。
冬に比べれば日が長くなったとは言っても、
この時間になるともう太陽もその役目を終えようとしていて、
夜の足音がそろりそろりと近づいてきていた。
ひんやりとした春風が、頬を撫でつける。
ふと、憂は立ち止まり、顔を上げた。
電球が切れかかっているのか、等間隔に並んだ街灯のひとつがしきりに明滅を繰り返している。
――ああ、あの時もそうだったな。
憂は思い出した。
――律さんの運転する車が突っ込んで、真ん中より下部分がひしゃげた街灯も、
こんな風にチカチカとみんなを照らしていたっけな。
- 15 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 19:38:06.230 ID:ZFjzo63+0.net
- なんだこれレベルたけぇな
- 16 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 19:38:31.825 ID:r99a7Ipx0.net
- 小説みたいな
- 17 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 19:39:29.877 ID:j/74ImbHM.net
- 10月5日。午後4時。
唯「すっごーい! 律ちゃん、車の免許取ったの!?」
律「おう! いいだろー?」
紬「いいなぁ、律ちゃん」
澪「こ、怖くないのか? 運転とか」
律「なんだー? 澪ちゅわんは怖がりですなー」
澪「わ、私はだな。律、お前のことを心配して」
唯「澪ちゃんは律ちゃんのこと大好きだねぇ」
澪「な、な、な……」
律「平気だよ。オートマ限定だし、あんなのおもちゃみたいなもんだ。
走らないようにドラム叩く方がよっぽど難しいぜ」
- 18 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 19:39:39.807 ID:EH2t/Ujdp.net
- はよ
- 19 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 19:39:42.436 ID:TR5BMMQnr.net
- 読みやすい
- 20 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 19:41:11.117 ID:j/74ImbHM.net
- 梓「律先輩!」
律「ん? どうした梓。目ぇキラキラさせて」
梓「私、ドライブ行きたいです!」
唯「あー! いいね、いいねぇ! 今度の連休にでも、みんなでどこか行こうよぉ!」
紬「私も賛成!」
律「じゃあ親父に車借りないとだなあ」
澪「……」
律「澪は行かないのか?」
澪「……く」
律「んん?」
澪「……私も行く」
- 21 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 19:41:14.323 ID:ZFjzo63+0.net
- 去年の話になったのか
- 22 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 19:41:35.624 ID:iCAIf/mJ0.net
- 面白い
- 23 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 19:43:02.936 ID:j/74ImbHM.net
- 10月10日。午前10時。
律「ひゃっほーい!」
紬「ちょ、ちょっと律ちゃん! 飛ばし過ぎよ!」
澪「ひぃぃ……」
律「ムギ、固いこと言うなって! 高速なんて飛ばしてナンボだろ」
唯「そうだよぉ。あ、律ちゃん! あの黒い車抜かそう!」
律「オーケー! 私のドライビングテクしっかり見とけよ!」
澪「降ろして降ろして降ろして降ろしてぇ……」
紬「もう……」
律「いえーい!」
梓「かっこいい……」
- 24 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 19:43:50.933 ID:dHscPYsL0.net
- この時期にあってるな
- 25 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 19:43:58.898 ID:pR6p/1FKd.net
- 戦犯 律
- 26 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 19:44:45.154 ID:j/74ImbHM.net
- 10月10日。午後12時。
澪「この馬鹿律! なんであんなに危険なことをするんだ!」
律「な、なんだよ。サービスエリア来た途端元気になりやがってよお」
紬「澪ちゃんの言う通りよぉ……。さすがに160キロは出し過ぎじゃない……?」
唯「まだまだだよ! 黒い車に追いつけなかったし!」
梓「そうです! まだ行けますよ!」
澪「二人も煽るようなことを言うな! 交通法規を守らずに事故起こしたら、
誰も同情なんてしてくれないんだぞ!」
律「澪ちゅわんは頭が固いでちゅねぇ」
澪「なんだとっ!」
紬「コンパクトカーであの速度はさすがに自殺行為よ……」
- 27 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 19:46:17.163 ID:j/74ImbHM.net
- 10月10日。午後4時。
澪「はぁ……。ようやく帰れるのか……」
律「……」
紬「律ちゃん大丈夫? 半日も一人で運転したから、さすがに疲れたんじゃないかしら」
律「疲れたけど……、私以外に運転できるやついないしな」
唯「私、代わろうか!?」
梓「私も運転してみたいです!」
澪「馬鹿! やめろ!」
唯「う……、冗談なのに……」
梓「す、すいません」
律「……お前ら少し黙ってろ。気が散る」
- 28 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 19:46:29.650 ID:8lpjGGuL0.net
- 不幸にも黒塗りの高級車に追突してしまう・・・
- 29 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 19:48:03.411 ID:j/74ImbHM.net
- 10月10日。午後5時半。
澪「高速降りたからもう安心だな」
紬「律ちゃん、適当なところで降ろしてくれて平気よ。
私達、電車で帰るから」
律「……いいよ。全員家まで送る」
梓「ここからだと唯先輩の家が一番近いですかね。
ちょうど助手席にいるんだし、ナビしてあげたらいいんじゃないでしょうか」
唯「あ、じゃあそこの信号右ね」
律「……無理。今左車線いるし」
唯「なんでよー。ケチー」
律「……」
紬「律ちゃん。イライラしないで、落ち着いてね……?」
- 30 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 19:50:00.137 ID:AsWXIOPaM.net
- 紫煙
- 31 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 19:50:03.204 ID:j/74ImbHM.net
- 唯「えっとぉ、それでぇ」
律「もうナビはいい。なんとなく道に見覚えあるから」
梓「わっ!?」
澪「な……。おい律! なんでアクセル踏み込んで……」
律「うっせぇ。どうせ人なんて通らねぇだろ」
紬「ちょっと……、ここ住宅街よ!?」
唯「きゃっほー!」
律「さっさとお前ら送って、早く家に帰りたいんだよ。私は」
紬「危……っ! 危ないわよ! 律ちゃん!」
律「……」
- 32 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 19:50:11.196 ID:0vcvTg1x0.net
- これは神スレの伊予柑
- 33 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 19:50:24.599 ID:ZFjzo63+0.net
- なんだこの律の初心者リアリティwww
- 34 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 19:51:46.904 ID:j/74ImbHM.net
- 澪「律! いい加減にしろ!」
律「なんだよ! 触るな! 放せ!」
梓「わわわわわ……」
紬「律ちゃん! 前見て! 澪ちゃんも律ちゃんから手を放して!」
澪「だってこいつが……」
律「こっちは運転中なんだぞ!? いいから放せよ!」
唯「わああああああーーー! まえー!!! 前ーーーー!!!!!!!」
律「あ……っ。うおお……っ!?」
紬「きゃあああああああああああっ!!!!!」
律「……っ!」
- 35 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 19:52:33.886 ID:knrVWAjw0.net
- (あれ?ジャクリーンかよって書き込もうと思ったのに)
- 36 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 19:52:49.708 ID:gmTsD4EYp.net
- やってしまいましたねえ
- 37 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 19:53:27.018 ID:oEH+OX1O0.net
- この澪
- 38 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 19:54:45.347 ID:j/74ImbHM.net
- 4月2日。午後6時半。
どれだけ時間が過ぎただろうか。
ほんのりと明るかった空も、完全に夜の闇へと落ちている。
薄ぼんやりとした頭の中を占めている、嫌な思い出を断ち切るように、憂は首を軽く横に振った。
意を決したように、再びのそのそと歩き始める。
あの時、外から聞こえたただならぬ激しい物音に、憂は弾かれたように家を飛び出した。
そこで見たものは、原型を留めないほどに大破した車と、ひしゃげた街灯。
そして、血塗れで動かないみんなの姿。
- 39 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 19:56:28.740 ID:0lFQHkQqp.net
- なんでこんな描写がリアルなんだよ
- 40 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 19:56:54.501 ID:UNBKA+CVp.net
- やっぱりむぎちゃん以外クソだな
デコカスは許さん
- 41 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 19:58:12.936 ID:j/74ImbHM.net
- 憂が慌てて救急車を呼んでいる間に、
比較的軽症だった紬と梓の二人は、自力で車の後部座席から這い出してきた。
運転席に座っている律も、痛みで動けないだけで、意識はあるようだった。
しかし、真に憂が案じていたのは残りの二人。
フロントガラスを突き破り、車外に投げ出されている唯と澪のことだった。
服があちこち破け、血塗れで、死んだように動かない二人の姿を、
倒れかかった街灯が、頼りない明かりでチカチカと照らしていた。
- 42 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 19:59:32.776 ID:iCAIf/mJ0.net
- 生きてしまった律が可哀想すぎる
- 43 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 19:59:46.540 ID:j/74ImbHM.net
- 10月10日。午後6時半。
憂「大丈夫ですか!? 二人とも……」
紬「私は、平気だけど……。みんなが……」
梓「ゆ、唯先輩……。み、みお……」
憂「触らないで!」
梓「ひっ……!」
憂「お姉ちゃんも、澪さんも、頭を打っているかも知れないから……。
下手に動かさない方が、いいと思う」
梓「憂……、ごめん……」
憂「ううん。私の方こそ怒鳴ってごめん。
もうすぐ救急車が来るから、それまではそっとしておこう」
- 44 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 20:01:04.976 ID:UNBKA+CVp.net
- むぎちゃん生きてたのかよかった
- 45 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 20:01:22.309 ID:AsWXIOPaM.net
- 4円
- 46 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 20:02:18.107 ID:j/74ImbHM.net
- 紬「ねえ、憂ちゃん。梓ちゃん」
憂「なんでしょうか」
梓「? なんですか?」
紬「あれって……、何かしら」
憂「あれ? あれとは……」
梓「……!」
紬「唯ちゃんの、頭から出てるの……」
憂「お姉ちゃんっ!」
梓「ダメだよ! 憂!」
憂「放して……。放してよおっ! お姉ちゃんが……! お姉ちゃんがぁ……っ!」
梓「動かしたらダメなんでしょ!? 救急車が来るのを待たないと……!」
- 47 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 20:03:12.749 ID:otAlyKj1p.net
- こわいよお
- 48 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 20:03:50.154 ID:ZFjzo63+0.net
- このスレが気になって筋トレできねぇ
- 49 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 20:04:57.270 ID:j/74ImbHM.net
- 4月2日。午後8時。
憂は気付くと、電気もつけていない自室の隅で一人、背中を丸めていた。
どうやら、記憶を辿っているうちに、いつのまにか家に帰っていたらしい。
憂「あー……。あー、あー」
意識的に声を出すことによって、憂は現実の世界に無理やり自分を引き戻した。
もやがかかったような頭の中が覚醒するにつれ、
まるで、思い出そうとしても思い出せない夢から覚めたばかりのような、妙な喪失感に襲われる。
憂「……喉、渇いたな」
時間の感覚もはっきりしないまま憂は立ち上がると、
喉の渇きを癒すため、キッチンのある階下へと降りていった。
- 50 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 20:05:23.472 ID:r99a7Ipx0.net
- すげえ
- 51 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 20:07:22.923 ID:etHIDiJed.net
- 日付が……
- 52 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 20:08:26.397 ID:j/74ImbHM.net
- 4月3日。午後1時。
翌日はあいにくの空模様だった。
どんよりと曇っていて、昼間だというのに薄暗く、
ただでさえ沈んでいる心にさらに陰をささせる。
ちょうどあの事故のあった日も、空はこんな様子だったと、憂ははっきりとそう記憶している。
唯が手術を受けている間に、外は観測史上まれに見るほどの豪雨に見舞われた。
- 53 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 20:12:18.649 ID:j/74ImbHM.net
- 『10月10日はね、一年で一番雨が降らない日なんだよ』
真偽のほどは定かではないが、姉はそう言ってはしゃいでいたのに。
憂はそのとき、空が泣いているんだと思った。
当時、手術室の前で姉の無事を祈りながら、それでも万が一のことが脳裏をよぎって、
憂の心は悲しみに包まれていた。
その、今にも叫び出してしまいそうなほどの自分の強い感情が、
空気感染のように伝播していって雨を降らせたのではないか、とそう思っていたのである。
憂は、そんなことを考えながら玄関をくぐると、空を見上げた。
そして、何かを思い直したように再び家の中に取って返し、鞄に折り畳み傘を詰め込んだ。
- 54 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 20:13:23.990 ID:iCAIf/mJ0.net
- 支援
- 55 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 20:14:47.509 ID:j/74ImbHM.net
- 10月11日。午前4時。
憂(手術中のランプが消えた……)
医者「……」
憂「先生! お姉ちゃんは……!」
医者「……手術は、無事成功しました。
未だ予断を許さない状況ですが、平沢唯さんの命に別状はありません」
憂「そうですか……。良かった……」
紬「だ、大丈夫……? 憂ちゃん……」
憂「はは……。大丈夫です。安心したら、ちょっと腰が抜けちゃって」
梓「……良かったね。憂」
医者「ですが」
憂「……?」
- 56 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 20:15:24.050 ID:ddcdeLB5p.net
- おい
- 57 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 20:16:36.572 ID:Sr3KtF/l0.net
- ですが・・・
- 58 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 20:17:53.180 ID:j/74ImbHM.net
- 医者「唯さんの意識が戻るか、今の時点では分かりません」
憂「ええっ……。さっき、手術は成功した、って……」
医者「はい。一命はなんとか取りとめましたが、その先については」
憂「なんとか……、なんとかしてくださいっ! 私に出来ることだったら、なんでもしますから!」
医者「……心中お察しします。こんなことを言うのは、少しはばかられるのですが」
憂「……?」
医者「唯さんは、車外に放り出された際に、
コンクリートの塀に強く頭を打ち付けてしまっています。
その衝撃により、頭蓋骨に大きな穴が開いてしまっていました」
憂「……はい。私も見ました」
医者「そこから零れ落ちてしまったために、唯さんは脳の一部が失われてしまっています。
これで生きてるのが、奇跡なくらいなんですよ」
憂「そんな……」
- 59 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 20:19:02.524 ID:xr/F1gkn0.net
- この陰鬱とした感じ好きだ
- 60 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 20:19:57.648 ID:qCnsfojr0.net
- 【閲覧注意】
- 61 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 20:20:58.559 ID:j/74ImbHM.net
- 4月3日。午後1時半。
憂がいつものように病室に入ると、唯は珍しく窓の外を眺めていた。
憂「お姉ちゃん。調子はどう?」
その背後から声をかける。
ピンク色のパジャマが、少し揺れた。
- 62 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 20:22:37.057 ID:j/74ImbHM.net
- 唯「ねぇ憂。お空が悲しんでる」
姉妹だから、考え方が似るのだろうか。
それとも、同じ苦しみを胸の内に抱えているから、自然と思考が近づいてしまうのだろうか。
憂「そうだね、お姉ちゃん」
複雑な気持ちを心の中に押し留め、憂は感情を込めずにそう答えた。
そのとき、長い病室暮らしで痩せ細り、小さくなってしまった姉の背中が、
さらに頼りないものへと変化したのを憂は見逃さなかった。
唯はしょんぼりと肩を落とし、そして、ため息混じりに口を開く。
唯「お空と一緒で、私も悲しいんだよ。律ちゃん達が来てくれないから」
- 63 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 20:22:55.824 ID:9CZvnrma0.net
- 律と澪は逝った感じですか?
- 64 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 20:23:48.980 ID:wiLXaKTY0.net
- し
- 65 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 20:23:57.965 ID:Sr3KtF/l0.net
- 律は責任感で押しつぶされてそう
- 66 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 20:24:36.122 ID:UNBKA+CVp.net
- >>63
律は自殺だろ
本当卑怯な奴だわデコカスは
- 67 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 20:25:13.043 ID:Sr3KtF/l0.net
- >>63
>>41
- 68 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 20:25:40.328 ID:j/74ImbHM.net
- 憂「律さん達は」
言いかけて、憂は言葉に詰まった。
胸に刺すような痛みを残して湧き上がってきたものが、目から溢れだしそうになる。
唯「久々に会いたいなぁ。もう何日も会ってないんじゃないかな」
相変わらず、窓の外に広がる灰色の空を眺めながら、
唯は感慨深げにそう言った。
唯「一緒にティータイムやって……。あ、そうだ。
さっき律ちゃん達が来た時に置いていったお菓子があるんだけど」
目を真っ赤にした憂を気にする素振りすら見せず、唯はサイドテーブルをガサゴソと漁り出した。
「あれぇ、ヘンだなぁ」としきりに首をひねりながら、それでも唯は探すのをやめなかった。
- 69 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 20:25:53.747 ID:BBCS+zTNp.net
- 俺の澪ちゃんは無事なんだろうな?
- 70 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 20:28:29.317 ID:j/74ImbHM.net
- 11月7日。午後2時。
律「あ……」
憂「律さん。お身体の方はどうですか?」
律「憂ちゃん……。その……、ごめん。
到底許せないことだってのは分かってるけど……。本当に、悪かった……」
憂「……頭を上げてください。律さんも大怪我してるんですから」
律「でも……! 唯のこと……。私がちゃんと、前を見てたら……」
憂「過ぎたことを言ってもしょうがないですし。それに、全員”命だけは”助かったんですから。
今はそのことを喜びましょう」
律「……」
憂「律さんをはじめ、梓ちゃんに紬さん。それに」
律「憂ちゃん……」
憂「お姉ちゃんと、澪さんも」
律「……」
憂「”命だけは”助かりましたから」
- 71 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 20:28:29.631 ID:vw9J0M1I0.net
- 支援
- 72 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 20:29:03.525 ID:vw9J0M1I0.net
- 生きてんのかよ
- 73 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 20:30:37.462 ID:j/74ImbHM.net
- 律「ごめん……。本当に……」
憂「だからいいですって。もう謝らなくても」
律「……」
憂「お姉ちゃんも脳みそが出ちゃって、ずっと意識が無いままだけど生きてますし。
お医者さんが言うには、奇跡的に意識が戻っても、確実に障害は残るらしいですよ」
律「……ぅ」
憂「泣かないでください。お姉ちゃんだってきっと怒ってませんよ。
お姉ちゃん、律さんのこと大好きでしたから」
律「あああああぁぁぁぁ……ッ!」
憂「澪さんも、左腕が無くなって、あの綺麗だった顔もぐちゃぐちゃになっちゃったけど、
全然怒っていませんでしたし。この間会ったときなんて、
律さんに早く会いたいって笑っていましたよ」
律「全部私が悪いんだ……! 私がぁ……ッ!」
憂「……じゃあ、私は帰ります」
律「ああ……っ。ごめんなさい……。ごめんなさい……」
憂「あ、そうだ。明日もお見舞いに来ますから。早く元気になってくださいね、律さん」
- 74 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 20:31:18.269 ID:iCAIf/mJ0.net
- 憂さんコワイ
- 75 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 20:32:05.590 ID:s+qpxFGTp.net
- 最高やで憂ちゃん
- 76 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 20:32:08.675 ID:0vcvTg1x0.net
- ((((;゚Д゚))))
- 77 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 20:33:11.858 ID:/ptbSUScp.net
- ヒエッ…
- 78 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 20:34:11.978 ID:Sr3KtF/l0.net
- 憂さん・・・
- 79 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 20:35:05.074 ID:j/74ImbHM.net
- 4月3日。午後2時半。
唯「ダメだぁ。見つからないや」
ようやく諦めたのか、唯は照れ笑いを浮かべながら顔を上げた。
憂はハッと我に返り、壁にかけられている時計に視線を移す。
病室に来てから、もう1時間ほど経過しているのが分かり、憂は驚いた。
唯「また律ちゃん達とドライブ行きたいなぁ」
焦点の合っていない瞳で天井を見上げ、唯は笑みを浮かべる。
だらしなく緩んだ口の端からよだれが一筋垂れていて、
それに気づいた憂は優しくタオルでふき取った。
- 80 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 20:35:48.151 ID:apNJoNA5p.net
- けいおんと鬱って親和性高いよな
- 81 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 20:37:21.573 ID:ozMRMD+9K.net
- 絶望の世界のパクりみたいだな
- 82 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 20:37:48.216 ID:j/74ImbHM.net
- 唯「運転してる律ちゃん、カッコよかったんだよぉ」
唯は意識を取り戻してからも、ずっと夢の続きを一人で見ている。
憂は当然そのことに気付いてはいたが、あえて訂正はしなかった。
どうせ言ったところで理解できないだろうし、
それに、その方が、姉にとっては幸せだと確信していたからだ。
唯「びゅーんって車飛ばしてねぇ」
ただ、憂は時々気になることがある。
自分のせいで律達が死んだことを知ったら、姉はいったいどんな反応をするだろうか、と。
- 83 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 20:38:18.239 ID:tnlshdIY0.net
- 顔がグシャグシャになって周りからぞんざいに扱われて失意のどん底になった澪ちゃんのマンコを舐めてあげて
「こんな私のマンコ舐めてくれるなんてうれしいよおお」って言わせたい
- 84 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 20:41:57.728 ID:j/74ImbHM.net
- 天井の手前にある何もない空間を見つめながら、
ぶつぶつと独り言を漏らしている姉を視界の端に捉え、
憂は自分の罪について考えていた。
憂の”お見舞い”が連日に及ぶと、律に明らかに見て取れるほどの変化があった。
最初は、人が部屋に来ると怯えた態度を示す程度だったが、
徐々に小さな物音にすら過剰に反応するようになっていった。
そんなある日、奇跡的に意識を取り戻した唯に対して謝罪の気持ちを綴った手紙を残し、
律はカーテンレールにかけたタオルで首を吊った状態で死んだ。
- 85 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 20:43:05.100 ID:r99a7Ipx0.net
- りっちゃあああああん
- 86 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 20:43:30.789 ID:q+bMnDSo0.net
- りっちゃん・・・
- 87 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 20:44:43.400 ID:j/74ImbHM.net
- その日、律の見舞いを予定していた梓と紬は、それ以来病院に寄り付かなくなった。
一報を聞いた澪も、ふさぎ込んでしまったのか、
自身の病室からあまり外に出なくなったらしい。
そして、律が死んでから数日後、律とほとんど同じ状態で死んでいる澪が、病室から発見された。
今でも唯は、律達の幻影を追い続けている。
その度に、憂はいたたまれない気持ちになった。
自身の引き起こしたことが、結果的に唯を孤独にさせてしまったのだと、
自責の念にかられてしまったのである。
- 88 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 20:45:31.716 ID:Sr3KtF/l0.net
- 達ってことは律以外も・・・
- 89 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 20:47:03.306 ID:C0hWwCpSa.net
- ザオラル!ザオラル!!
- 90 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 20:47:26.436 ID:j/74ImbHM.net
- 1月22日。午後3時。
憂「その……、お姉ちゃんが寂しがっていて」
紬「……ごめんなさい。病院へ行くと、律ちゃんのことを思い出しちゃって。
それに、澪ちゃんも……」
憂「そう、ですか」
梓「憂、ごめんね……? 私も、その、ムギ先輩と同じで……」
憂「……いいよ。二人の気持ちも分かるから」
紬「他に手伝えることがあったら言ってね?
毎日唯ちゃんのお見舞いじゃあ、憂ちゃん、自分のこともろくにできないでしょう?」
憂「ありがとうございます。でも、お気持ちだけで十分ですから」
紬「そう……」
梓「憂、困ったことがあったら、なんでも相談してね」
憂「うん。ありがとう。……じゃあ私、お姉ちゃんのお見舞い行ってくるね」
- 91 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 20:47:34.406 ID:tnlshdIY0.net
- そういえば澪ちゃんも事故の原因になったもんね
どっちみち顔がグシャグシャで片腕無くしてるなら、それを理由に自殺してもおかしくないけど
- 92 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 20:48:21.224 ID:Sr3KtF/l0.net
- 片腕ない状態でよく自殺できるもんだ
- 93 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 20:49:17.407 ID:j/74ImbHM.net
- 紬「……梓ちゃん。私、ああ言ったけど、本当は」
梓「分かります。……多分、私も同じこと思ってます」
紬「……私ね、あんな唯ちゃん、もう見たくないのよ」
梓「……はい」
紬「ごめんなさい、梓ちゃん。思い出すのもつらいわよね」
梓「……」
紬「あんなに突然怒り出したり、かと思ったら急に笑ったり……。
同じこと何回も言うし、何もないところ見ながら話したり、人の言うこと聞かなかったり……」
梓「……」
紬「私、唯ちゃんのことが大好きだから……、余計に……」
梓「……分かります」
- 94 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 20:52:12.512 ID:j/74ImbHM.net
- 4月3日。午後3時。
憂「お姉ちゃん、ごめんね」
先程からずっと一人で喋っていた唯に、憂は謝罪の言葉を投げる。
唯のフラフラと彷徨う視線の先は、
憂の左側後方に飾られている造花の位置に落ち着いた。
唯「ごめんって、何が?」
- 95 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 20:53:20.319 ID:tnlshdIY0.net
- 切り捨てごめん
- 96 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 20:55:01.422 ID:j/74ImbHM.net
- 首を傾げた唯の口元から再びよだれが垂れた。
憂がタオルでそれをさっと拭う。
憂「ひとりぼっちにしちゃって、ごめん」
唯は一瞬きょとんとした顔を見せたが、すぐに、大きく目を見開いたまま笑い声を漏らした。
唯「あはは。ひとりぼっちって、憂がいるじゃん。それに。
ああ、そうだった。さっき律ちゃん達が来ててね、お菓子を置いていったんだった」
サイドテーブルの中身を引っ掻き回している姉の姿を、
憂が寂しげな目で見つめていた。
- 97 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 20:55:42.259 ID:ozMRMD+9K.net
- つまんないのによく続けられんな
- 98 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 20:56:25.006 ID:iCAIf/mJ0.net
- 支援
- 99 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 20:57:24.666 ID:0vcvTg1x0.net
- >>97
うわぁ...
- 100 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/14(木) 20:58:30.242 ID:j/74ImbHM.net
- 4月3日。午後3時半。
病院から外に出ると、憂は空を見上げた。
相変わらず曇ってはいたが、どうやら鞄の中の折り畳み傘は必要ないらしい。
しかし、この空模様だ。いつ降り出すとも分からない。
湿った風に髪を揺られながら、憂は家路を急ぐ。
いつもと変わらない景色の中で、憂の頭の中を占めるのは、
姉と、姉の友人達のことだった。
――私の、頭の中。
ふと、憂は思った。
――お姉ちゃんのからっぽの頭の中には、何が詰まっているんだろう。
とても馬鹿げた考えだった。
――そして、私の頭の中には、いったい何が詰まっているんだろう。
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