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あかり「ずっと夜だよぉ」

1 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/01/17(火) 01:52:35.528 ID:I8ET3ZEfd.net
太陽系第七惑星天王星

時点軸が98度傾いたその惑星は

太陽に面している逆の地平では

ずっと夜だった

あかりちゃんはご満悦だった

2 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/01/17(火) 01:53:58.373 ID:I8ET3ZEfd.net
毎日穴を掘っていた

夜と言うだけでは飽きたらず

自分の入る穴をひたすら掘って

自分の存在を暗闇からも

地表からも隠そうとしていた

疲れればその穴の中で休み

疲れが取れればまた穴を掘り進めた

3 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/01/17(火) 01:54:38.372 ID:I8ET3ZEfd.net
あかりちゃんのその行為は

夜の間中ずっと続いてた

ちなみに天王星はずっと夜だった

あかりちゃんには都合が良かった

4 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/01/17(火) 01:55:14.700 ID:I8ET3ZEfd.net
穴はどんどん深くなった

夜は常に闇を濃くしていて

そこに変化はなかった

あかりちゃんはたまに空を見上げる

5 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/01/17(火) 01:55:34.805 ID:bspzr45k0.net
明日もスーパー?

6 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/01/17(火) 01:56:13.012 ID:I8ET3ZEfd.net
夜のとばりが降りた天王星は

静寂そのものだった

あかりちゃんの欲していた夜が

ずっとずっと遠くまで続いていた

あかりちゃんはそれを確認すると

満足してまた穴を掘り進めた

7 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/01/17(火) 01:57:18.695 ID:I8ET3ZEfd.net
天王星人が時折あかりちゃんの様子を見に来た

土地の所有権を持つ天王星人にとっては

勝手に土木工事を始めるあかりちゃんは

悪徳土建屋のなにものでもなかったからである

8 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/01/17(火) 01:58:46.882 ID:I8ET3ZEfd.net
あかりちゃんは極力天王星人の存在を無視した

気の弱い天王星人はこちらから接触しない限り

あかりちゃんの作業を無理矢理中断させてくることはなかった

天王星人は不安そうにあかりちゃんの開けた穴を見て

そうしていつの間にか帰るのだった

9 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/01/17(火) 01:59:48.703 ID:I8ET3ZEfd.net
あかりちゃんはせっせと穴を掘っていた

その作業に没頭していると

夜がますますあかりちゃんの上に強く降りていくように感じた

あかりちゃんには至福の時間だった

10 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/01/17(火) 02:01:14.830 ID:I8ET3ZEfd.net
天王星の夜は長い

あかりちゃんがいるのは

天王星夜側の極点だった

最も太陽から離れ最も闇が深く

最も宇宙の深淵に近い場所だった

11 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/01/17(火) 02:02:49.318 ID:I8ET3ZEfd.net
天王星の僻地とでもいうべきここは

太陽系主要部からは完全に隔離されていた

だけど逆に

海王星だけはよく見えた

天王星よりもさらに遠く楕円軌道を描く最果ての惑星

12 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/01/17(火) 02:04:15.126 ID:I8ET3ZEfd.net
メタンにより宝石のように青く反射するその珠玉のような惑星を

あかりちゃんは大好きだった

夜にその惑星を見つけることがあれば

何日もあかりちゃんは作業を放棄して

その鮮やかな惑星に見惚れていた

13 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/01/17(火) 02:05:18.942 ID:92oAPrryd.net
支援

14 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/01/17(火) 02:08:31.440 ID:I8ET3ZEfd.net
そうしてあかりちゃんは穴を掘り進めた

穴を掘り進めることに意味はあるのか

あかりちゃんはもうそれすらもわからなかったけど

とにかく掘り進めた

掘り進めることで何かが変わると思っていた

たとえ何かが変わらなかったとしても

なにも悪いことはもう起こらなくなると思っていた

あかりちゃんが穴を掘るという行為は

そういう願いが仮託されていた

あかりちゃんの勝手な願いが

天王星の穴を掘るという事象に繋がり

天王星に穴が出来るという現象になっていた

15 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/01/17(火) 02:09:21.114 ID:MZskSdZo0.net
BGM:おひるねゆにばーす

16 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/01/17(火) 02:12:02.138 ID:I8ET3ZEfd.net
気弱な天王星人の土地に勝手に穴を開けるという行為

その理不尽さにあかりちゃんは全く気が付いていなかった

自分が隠れるための穴を作るので

あかりちゃんは精一杯だったからだ

天王星人は気弱だったが

しかしなにより懐が深かった

穴を掘る作業に疲れたあかりちゃんの元へたまに酒を持ってきた

天王星人にとって土地の権利関係は緩やかな合意でしかなかったため

穴を掘るあかりちゃんにそこまでの敵意を感じていなかった

何故なら天王星は大きいから

17 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/01/17(火) 02:15:33.706 ID:I8ET3ZEfd.net
あかりちゃんはたまに天王星人と一杯やった

そんなときはいつも夜空を見上げて星を見ながら

お酒を飲んだ

天王星の夜によって星星はその存在を光に奪われることはなかった

常にあかりちゃんに存在を報せ

あかりちゃんが見たいときにそこに居てくれた

天王星人との星見酒はとても心地よい安心感に包まれていた

18 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/01/17(火) 02:20:03.840 ID:I8ET3ZEfd.net
学会では天王星の衛星は27個発見されていると公表されている

しかしあかりちゃんが知ってる天王星の衛星の数は39個だった

天王星人に教えて貰ったものもあるし

あかりちゃんが見つけたものもあった

それらに一つ一つあかりちゃんは名前を付けていた

あかりちゃんは衛星とは旧来の友達だった

19 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/01/17(火) 02:23:58.044 ID:I8ET3ZEfd.net
しかしたまに星星の僅かな輝きさえ

あかりちゃんをどうしようもない不安に陥れ

あかりちゃんを狂ったように穴堀りに駆り立てることがあった

逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい

より深く

より暗闇へ

逃げたい

逃げたい

あかりちゃんは自身の内面を形作る陶芸家のように

穴の深さにその心の闇を映し出させた

もっと深くもっと深くへ

20 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/01/17(火) 02:29:23.904 ID:I8ET3ZEfd.net
あかりちゃんは狂ったように穴を掘り始めた

冬を感じ取った動物が寝床を作り出すように

あかりちゃんは一心不乱に穴を掘った

あかりちゃんがそうやって必死に穴を掘りはじめてから

2年が経とうとしていた

あかりちゃんは寝るのも忘れて

穴を掘り続けた

穴は深く深く

暗く暗くなった

21 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/01/17(火) 02:33:22.510 ID:I8ET3ZEfd.net
あかりちゃんが疲れて穴の中で休んでいるとき

深く濃かった闇がその色を落ち着かせ

朧な色彩が少しずつ

だが確実に空に差し込んでいった

完全だった闇に一筋の水滴が落とされるように

神の意向があまねく伝わるように

世界の夜は夜でなくなろうとしていた

淡く白い光が天に差された

42年の夜が終わり

42年の昼が始まろうとしていた

22 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/01/17(火) 02:35:57.609 ID:kfcmuGhu0.net
支援

23 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/01/17(火) 02:41:08.319 ID:I8ET3ZEfd.net
あかりちゃんは深くなった穴の中で

光の存在に怯えていた

いつか来ると思っていた

だけどそのことを意図的に忘れていた

夜の暗闇に安寧を求めていた

さらに深く穴を掘って自分をそこに沈めた

いつか来る光から逃げるために

だけど光は容赦なくあかりちゃんを照らした

穴は

深く深く掘るほど光への恐怖を増大させ

そしてやがて必ず来る光からは逃れさせてくれなかった

24 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/01/17(火) 02:50:48.209 ID:I8ET3ZEfd.net
あかり「あかりもうダメだよぉ」

あかりちゃんは弱音を吐いた

数十年ぶりの弱音だった

宇宙が誕生して数百億年の中で

最も力のない弱音だった

天は入れ替わろうとしている

あかりちゃんはそう簡単には変われない

古典物理学により説明される惑星運動での事象と

あかりちゃんの心の闇では

まったく性質を異にしていたからだ

25 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/01/17(火) 02:54:47.764 ID:92oAPrryd.net
あかりちゃんが喋ったwww

26 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/01/17(火) 02:57:41.089 ID:I8ET3ZEfd.net
ちなつ「だったら踊れば良いじゃない」

穴から差し伸べられる手がそこにあった

あかり「ちなつちゃん……」

一回の人生では数え切れないほど懐かしい手が

あかりちゃんの目の前に降りてきた

ちなつ「何万年かぶりだね、あかりちゃん。ずっと隠れてたから何処にいるか長いことわからなかったよ」

あかり「あかりはずっと隠れる場所を探してたんだよぉ」

ちなつ「それはもうおしまいだよ。ちーながあかりを見つけたんだからね」

あかり「やだよぉ。あかりはまた隠れるんだぁ。あかりは光が怖いよぉ」

27 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/01/17(火) 03:02:55.409 ID:I8ET3ZEfd.net
ちなつ「馬鹿おっしゃい」

天王星にあるまじき鮮烈な音が響き渡った

あかり「ぐええビンタ痛いよぉ」

ちなつ「いいから娯楽部に帰るわよ」

あかり「だけどあかりは」

ちなつ「それは本当に望んでいること?」

あかり「そうだよぉ」

ちなつ「代償ではなく?」

あかり「……それは物の見方の違いだよぉ」

ちなつ「本当に欲しているものは?」

あかり「叶わないからいらないよぉ」

ちなつ「それは確定事項?」

あかり「それは……酷く主観的な評価だけど……」

ちなつ「主観は常に変わるものでしょ」

あかり「その為に人は……」

ちなつ「人は苦しむのよね、あかりちゃん」

あかり「そうだよぉ」

28 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/01/17(火) 03:04:10.276 ID:o9/59EOI0.net
>>1の闇が一番深そうだな

29 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/01/17(火) 03:07:12.495 ID:TgKTokON0.net
おろしろい

30 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/01/17(火) 03:09:07.066 ID:I8ET3ZEfd.net
ちなつ「だから、逃げたい」

あかり「誰にも否定できないよぉ」

ちなつ「変えられる」

あかり「どうして人があかりを……!」

ちなつ「人を救えるのは人だからよ」

あかり「それも移り変わる価値観に壊されるよぉ」

ちなつ「だから穴なのね」

あかり「確かなものは自分で作るしかないよぉ」

ちなつ「そう……ならダンスは?」

あかり「え?」

ちなつ「そこに主観は入るかしら」

あかり「……入らないよぉ」

ちなつ「踊ればちーなは帰るわ」

あかり「……」

ちなつ「そのあと戻りたいなら戻っておいで、あかりちゃん。娯楽部に」

31 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/01/17(火) 03:13:53.788 ID:I8ET3ZEfd.net
光の舞台で舞踏が始まる

穏やかなワルツ

天王星の空が明けていくのと呼吸を合わせるように

ゆっくりとそのワルツは進む

ちなつちゃんはとても心地よくワルツを踊っている

何万年かぶりに見つけた親友との一時を楽しんでいる

あかりちゃんは久々に踊るワルツに足を困らせている

だけどゆっくりとしたワルツの動きは次第に二人の体の合意がとれて

一つに溶け合っていく

天王星の夜と昼の狭間で

二人はワルツを躍り続けた

32 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/01/17(火) 03:21:02.770 ID:I8ET3ZEfd.net
ちなつ「どう?帰る気になった?」

白い朝焼けがちなつちゃんの顔を照らす

神から約束の美を授かったかのようにちなつちゃんは輝いていた

あかり「あかりは……」

あかりちゃんは答える

そこに確定的な根拠はない

だけど伝えなきゃいけない

あかり「帰らないよぉ」

33 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/01/17(火) 03:21:24.524 ID:I8ET3ZEfd.net
ちなつちゃんが悲しむ

あかり「あかりはあかりのいたい場所にいるよぉ。それは宇宙のどこだって良いんだぁ」

あかりちゃんはちなつちゃんの手を離す

ちなつちゃんが途切れた指先の向こうを見ると

もうあかりちゃんは天王星にはいなかった

34 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/01/17(火) 03:22:36.262 ID:IagkkqWA0.net
絶句系SS
俺は表現すべき言葉を持てない

35 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/01/17(火) 03:23:29.841 ID:9rq9YSVM0.net
意味がありそうで無い

36 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/01/17(火) 03:24:27.325 ID:I8ET3ZEfd.net
途切れたワルツは天王星に残響を残し消えた

あかりちゃんはまた暗闇を探して宇宙をさ迷う

見付けられないものを見付けられないと知りながら見付けようとするように

おわり

37 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/01/17(火) 03:25:11.311 ID:ouNy9wtj0.net
なんか読みたくもないのに読まされる妙な文章

38 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/01/17(火) 03:29:32.731 ID:yRk66JG80.net
50過ぎたおばさんにちゃん付けはきついと思います

39 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/01/17(火) 03:55:58.581 ID:7ktXMK5C0.net
小説みたいで凄い

>>38
ゆるゆりは歳とらない設定だから問題ない

40 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/01/17(火) 03:56:30.711 ID:j2inzIeJ0.net
ゆるゆりは文学

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