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ガヴリール「千咲ちゃん、胡桃沢先輩と陽気なおっさんに振り回される」
- 1 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/17(水) 21:00:51.912 ID:MVoTsMgr0.net
-
-公園-
サターニャ「いくわよ、タプリス」ブンッ
タプリス「あの……」ブンッ
サターニャ「なによ」ブンッ
タプリス「なぜ、わたしたちは公園でキャッチボールなんかを……」ブンッ
サターニャ「え? 暇だったからに決まってるでしょ」ブンッ
タプリス「いやいやいや……もっと女子高生らしい遊びがありますよね」ブンッ
サターニャ「例えば?」ブンッ
タプリス「例えば……なんですかね。買い物とか?」ブンッ
サターニャ「お金かかるじゃない」ブンッ
タプリス「まぁそうですけど、それにしてもキャッチボールって……」ブンッ
サターニャ「あんた、ただでさえ体力ないんだから」
サターニャ「たまには運動しないと、ダメで……しょ!」ブゥンッ
タプリス「ああっ! どこ投げてるんですか!?」
サターニャ「なーはっはっはっ! つい、力を出しすぎてしまったわ!」
サターニャ「溢れ出る力をコントロールするのがね、なかなか難しいのよ!」
タプリス「もう、ボール取ってくるの大変なんですから……」
タプリス(あ、通りすがりのおじさまのところにボールが……)
おっさん「……今、笑ったの、もしかして君たちかい!?」
- 2 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/17(水) 21:01:34.864 ID:tmC7fwZV0.net
- ほ
- 3 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/17(水) 21:01:36.217 ID:tmC7fwZV0.net
- ほ
- 4 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/17(水) 21:01:41.356 ID:rAGE+7lw0.net
- ほ
- 5 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/17(水) 21:01:54.316 ID:tmC7fwZV0.net
- ほ
- 6 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/17(水) 21:01:55.013 ID:tmC7fwZV0.net
- ほ
- 7 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/17(水) 21:02:00.087 ID:rAGE+7lw0.net
- ほ
- 8 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/17(水) 21:02:14.275 ID:tmC7fwZV0.net
- ほ
- 9 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/17(水) 21:02:17.615 ID:rAGE+7lw0.net
- ほ
- 10 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/17(水) 21:02:37.811 ID:tmC7fwZV0.net
- ほ
- 11 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/17(水) 21:02:42.224 ID:rAGE+7lw0.net
- ほ
- 12 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/17(水) 21:02:52.706 ID:tmC7fwZV0.net
- ほ
- 13 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/17(水) 21:03:47.453 ID:MVoTsMgr0.net
-
タプリス「あ、えっと……その……」
タプリス(まずいです、自分が笑われたと勘違いしているのかも……)
タプリス「決して、おじさまを笑ったわけではなくて……」
サターニャ「どうしたのよ。ん? なにこの、おっさん」
タプリス「ちょ、胡桃沢先輩、失礼ですって……」
おっさん「おっ、君か! さっきの笑い声は!」
サターニャ「え? そうだけど、それが何よ」
おっさん「もう一回だけ、笑ってみてくれないか!」
サターニャ「な、何でよ……」
おっさん「君の中に、溢れ出す才能と可能性を見たんだ!」
サターニャ「さ、才能ですって?」
おっさん「お願いだっ! 頼む!」
サターニャ「そこまで言われたら仕方ないわね……いくわよ?」
サターニャ「なーはっはっはっ!」
おっさん「!!??」
サターニャ「……どうよ」
おっさん「どうやら俺は、究極の原石を見つけてしまったようだ」
おっさん「こんなに……こんなに嬉しいことはな……な……」
おっさん「ナハッ!!」
サターニャ「!?」
タプリス「!?」
- 14 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/17(水) 21:06:15.548 ID:MVoTsMgr0.net
-
おっさん「ナハッ! ナハッ!」
タプリス「このおじさま……いったい何を……」
サターニャ「なはっ……?」
タプリス「え、胡桃沢先輩?」
サターニャ「なはっ! なはっ!」
おっさん「ナハッ! ナハッ!」
サターニャ「なはっ! なはっ! なはっ! なはっ!」
おっさん「ナハッ! ナハッ! ナハッ! ナハッ!」
サターニャ「なーはっはっはっはっ!!」
おっさん「ナハハハハハハッ!!」
おっさん「よろしく頼むよ、相棒!」
サターニャ「ええ、わかったわ!」
タプリス「いやいやいや……」
――
サターニャ「お、お笑い界のトップを目指す、ですって!?」
おっさん「ああ、君となら絶対にトップを狙える」
おっさん「俺も一時期、トップまであと少しのところまでは手が届いたんだが」
おっさん「いちばん大事な時に、病気で入院してしまって」
おっさん「それからは人気は落ちる一方……」
おっさん「今は、イベントの司会などをしながら、細々と暮らしているんだ」
タプリス「く、苦労されたんですね……」
- 15 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/17(水) 21:08:53.256 ID:MVoTsMgr0.net
-
おっさん「でも、君と俺のナハぢからが合わされば……」
おっさん「夢はきっと叶う!」
おっさん「どうだい、君も周りからチヤホヤされたくないかい!?」
タプリス「ナハぢからって……また、知らなくてもいい単語を知ってしまいました……」
サターニャ「悪くないわね……」
タプリス「えっ、先輩まさか……この話、受けるんですか?」
サターニャ「お笑い界のトップということは、大人気スターになるようなもんじゃない」
サターニャ「そして、私に魅せられた下僕たちを集めて」
サターニャ「ゆくゆくは、この世界を……」
タプリス「そんな簡単なことじゃないと思いますけど……」
おっさん「いいじゃないか! 夢が大きくて、とてもよろしい! ナハッ!」
サターニャ「なはっ! その話、のったわ!」
おっさん「よし、じゃあさっそく具体的な話に移ろうか」
タプリス「えぇ……胡桃沢先輩、本気ですか?」
サターニャ「ええ、もちろん」
タプリス(人を騙すような感じのおじさまには、見えませんけど……)
おっさん「そうだ、まずはマネージャー探しだな」
サターニャ「マネージャー?」
おっさん「ああ、俺たちの身の回りのお世話をしてくれる人のことだ」
おっさん「俺たちはこれから、ネタの準備とか諸々、忙しいからね」
サターニャ「それなら、ちょうど良いのがいるわよ」
- 16 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/17(水) 21:11:00.091 ID:MVoTsMgr0.net
-
タプリス「えっ、誰ですか?」
サターニャ「あんた」
タプリス「えぇ……」
サターニャ「何よ、敗者に選択権があると思ってるの?」
タプリス「勝負したの、いつの話ですか。だいぶ前ですよ……」
サターニャ「それに後輩は、先輩の言うことを聞くものよ」
タプリス「そういうのパワハラって言うんじゃ……」
タプリス(で、でも……、胡桃沢先輩だけですと)
タプリス(何をするか、わかったものではありませんし……)
タプリス(心配ですね……)
タプリス「……わかりました、やります。やりますから」
おっさん「本当かい! ありがとう!」
サターニャ「まぁせいぜい、私の手足となって働きなさい」
タプリス「はぁ……」
――
おっさん「じゃあ、さっそくだけど今週末に地方イベントがあるから」
おっさん「そこでネタを披露してみようか」
タプリス「えっ、今週末だなんて急すぎですよ!」
タプリス「そんなの無理に決まってます……」
サターニャ「なはっ、わかったわ。早いに越したことはないしね」
タプリス「先輩はなんで、そんなに自信満々なんですか……」
おっさん「じゃあ、よろしくナハッ!」
サターニャ「よろしくなはっ! なはっ!」
タプリス「もう疲れてきました……」
- 17 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/17(水) 21:13:29.244 ID:MVoTsMgr0.net
-
-週末 イベント会場-
サターニャ「何よ、これだけしか人いないの?」
タプリス「いや数十人は、いると思うんですけど……」
おっさん「まぁ我々の初陣みたいなものだからね」
おっさん「ここで君の実力も見せてもらうよ」
サターニャ「なはっ、望むところよ。武者震いがしてきたわ」
タプリス「程々に緊張はしているんですね……」
おっさん「じゃあ、打ち合わせ通りに頼むよ」
サターニャ「ええ、わかったわ」
――
司会者「次は、おっさんと女子高生の、でこぼこコンビ……」
司会者「サウザンドナハニキアです!」
タプリス(な、なんてネーミング……)
おっさん「どうもー! よろしくお願いしまナハッ!」
サターニャ「なはっ! なはっ!」
ワハハハハハッ
タプリス(なはなは言ってるだけなのに、意外とウケてる!?)
おっさん「ナハッ! ナハッナハッ?」
サターニャ「なはっ、なはははっなはっ!!」
おっさん「ナッハァッ!!」
ワハハハハハッ
タプリス(何を言ってるのか全然、わかりません……)
- 18 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/17(水) 21:15:59.645 ID:MVoTsMgr0.net
-
-ステージ裏-
おっさん「ふぅ……これではダメだな」
サターニャ「……やっぱり、そうなのね?」
タプリス「えっ、ネタの意味はわかりませんでしたけど」
タプリス「お客さんには、結構ウケてましたよね?」
おっさん「ああ。でも、全国を狙うには……」
サターニャ「私のナハぢからが、不足しているのね?」
タプリス「ナハぢからが……不足?」
おっさん「気づいてたのか……」
サターニャ「ええ、さっきのステージで嫌というほど思い知ったわ」
サターニャ「悔しいけど、これじゃ私が、足を引っ張ってしまう……」
おっさん「……言っただろう、君は原石だって」
サターニャ「え?」
おっさん「原石は磨けば、素晴らしい光を放つようになる」
サターニャ「でも、どうすれば……」
おっさん「……修業だ」
サターニャ「!?」
おっさん「ナハぢからを高めるために、今から修業の旅だ!」
おっさん「そして絶対に、全国トップを目指すぞ!!」
おっさん「いいナハッ!?」
サターニャ「なはっ! わかったなはっ!!」
タプリス「なんか良いこと言ってそうな感じですけど」
タプリス「ナハ、で全て台無しです……」
- 19 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/17(水) 21:18:29.046 ID:MVoTsMgr0.net
-
-沖縄県 とある街-
サターニャ「あ、暑いわね、何でこんな場所に……」
おっさん「ここは全国で一番、ナハぢからを高めることができる場所なんだ」
タプリス「まさか……」
おっさん「その名も……ナハッ!」
サターニャ「!!??」
おっさん「ナハッでナハぢからを、高めるナハッ!!」
サターニャ「なはっ! なはっ!」
タプリス「はぁ、それがやりたかっただけじゃ……」
おっさん「さ、移動しよう。実際の修業場所は、もう少し北だ」
タプリス「えっ、ここに来た理由、それだけですか!?」
-沖縄県 とある滝-
ザァァァッ
おっさん「もっと腕を速く上げて! ナハッ! ナハッ!」
サターニャ「なはっ! なはっ! なはっ!」
タプリス「あの……」
おっさん「なんだい?」
タプリス「笑いをとるのと、この滝行に何の関連が……」
おっさん「大ありだ! 滝行で精神力とナハぢからを鍛えることで」
おっさん「彼女の魅力がどんどん増していくんだ!」
タプリス「は、はぁ……」
サターニャ「ぜぇ……ぜぇ、なはっ! なはなはっ!」
- 20 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/17(水) 21:21:03.435 ID:MVoTsMgr0.net
-
- 一ヶ月後 地方イベントステージ -
おっさん「この一ヶ月間、よく頑張った。正直、今の君のナハぢからは」
おっさん「以前の君のものを、遥かに凌駕している」
サターニャ「体中から、ナハぢからが溢れてくるのを感じるわ」
タプリス「えっと、わたしには全くわからないんですけど……」
おっさん「よし、じゃあ特訓の成果を見せてくれ!」
サターニャ「ええ、わかったわ!」
――
司会者「次は、おっさんと女子高生の、でこぼこコンビ……」
司会者「サウザンドナハニキアです!」
おっさん「どうもー! よろしくお願いしまナハッ!」
サターニャ「ナハっ! ナハっ!」
ドッワハハハハハッ
タプリス(す、すごい、前よりも大ウケしています!)
タプリス(これがナハぢからの影響なのでしょうか)
サターニャ「ナっハナハナハっ、ナハハハっ!!」シュパッ
おっさん「ナハッ!! ナハッ!!」シュパッ
ドッワハハハハハッ
タプリス(おそるべし、ナハぢから……)
- 21 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/17(水) 21:23:33.905 ID:MVoTsMgr0.net
-
-ステージ裏-
おっさん「どうだった?」
サターニャ「自分で自分が信じられないわね……」
サターニャ「まさかここまでとは、思わなかったわ」
おっさん「ああ、これならきっと……」
おっさん「トップにたどり着ける! このまま、突き進もうじゃないか!」
サターニャ「ええ、わかったわ!」
タプリス(ナハナハ言ってるだけ、なんですが……)
――
タプリス(こうして、陽気なおじさまと、胡桃沢先輩のコンビは)
タプリス(各地方のイベントで大功績をあげ、ローカルTVなどにも出演が決定)
タプリス(すると瞬く間に、その人気は関係各所へと広がっていき)
タプリス(ついには、東京の劇場でのお笑いライブに出演と、大躍進しました)
タプリス(わたしも胡桃沢先輩の身の回りのお世話をしながら)
タプリス(その様子を間近で見てきましたが)
タプリス(決して運だけではなく、先輩の努力の賜物でもあったと思います)
タプリス(ただ、その頃からでしょうか)
タプリス(少しずつ、胡桃沢先輩が変わってしまったのは……)
- 22 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/17(水) 21:25:51.190 ID:zSU9HIL40.net
- せんだみつおを知ってる奴がどれだけいるのだろう……
- 23 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/17(水) 21:25:57.773 ID:MVoTsMgr0.net
-
-数ヶ月後 ヴィーネの家-
ラフィエル「最近、サターニャさんが学校に来ていないですね……」
ヴィーネ「タプちゃんに聞いたけど、なんかお笑いをやってるんでしょ?」
ガヴリール「なんだそれ。あいつ何やってんだ……」
ヴィーネ「まぁ、そんな簡単な業界じゃないだろうし」
ヴィーネ「諦めて、すぐに帰ってくるでしょ」
ラフィエル「あ、ヴィーネさん。テレビつけてもいいですか?」
ヴィーネ「ええ、どうぞ」
ポチッ
TV司会者『次は、人気街道爆進中の、この二人!』
TV司会者『サウザンドナハニキアです!』
サターニャ『ナハッ! ナハッ!』
おっさん『ナハハッ!!』
ドワッハハハハッ
ラフィエル「え?」
ヴィーネ「ちょ! あれ、サターニャじゃない!」
ガヴリール「ほんとだ。ど、どうなってんだ」
ラフィエル「この番組、全国放送ですよね……?」
ガヴリール「しかも結構、盛況みたいだな。ネタはよくわからんけど」
ヴィーネ「ま、まさか、こんな人気者になってるだなんて……」
ラフィエル「なんだか、サターニャさんが遠くに行ってしまったみたいです」
ヴィーネ「ま、まぁ、あのサターニャだし」
ヴィーネ「そのうちひょっこり、帰ってくるわよ」
- 24 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/17(水) 21:28:34.874 ID:MVoTsMgr0.net
-
-数日後 学校 教室-
サターニャ「……」
ヴィーネ「あ、サターニャじゃない! 久しぶり!」
サターニャ「ああ、誰かと思えば」
ヴィーネ「前、テレビ見たわよ! すごい人気者じゃない!」
サターニャ「ふんっ、気安く私に話しかけないで」
ヴィーネ「えっ」
サターニャ「一般市民のあんたたちと私はね、住む世界が違うの」
サターニャ「この大スターであるナハニキア様と話したいなら」
サターニャ「マネージャーを通して、アポを取ってきてちょうだい」
ヴィーネ「なっ!?」
サターニャ「それじゃ」スタスタスタ
ヴィーネ「なんなのよ、あの態度……」
ガヴリール「ずいぶんと、調子に乗ってるみたいだな」
ヴィーネ「やっぱりみんなから、おだてられて、チヤホヤされると」
ヴィーネ「あんな風になっちゃうのかしら」
ガヴリール「いや、あいつだからだと思うけどな」
- 25 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/17(水) 21:31:00.742 ID:MVoTsMgr0.net
-
-TV局 楽屋-
サターニャ「で、残りの仕事は?」
タプリス「えっと……クイズ番組が一本です」
サターニャ「ふーん。じゃあ、キャンセルしておいて」
タプリス「えっ!? そ、そんなことできるわけ……」
サターニャ「私が出たくないんだから、キャンセルをする」
サターニャ「自然な話でしょ?」
タプリス「で、でも……やっぱりドタキャンなんて無理ですから」
サターニャ「それを調整するのが、あんたたちの仕事でしょ!」
サターニャ「この大スターであるナハニキア様はね」
サターニャ「自分の仕事に誇りを持ってるの!」
サターニャ「だから、出演する番組だって、自分で選ぶ必要があるわ!」
サターニャ「ね、そうでしょう?」
タプリス「……」
サターニャ「返事は?」
タプリス「……はい」
サターニャ「よろしい、じゃあ私はおっさんと打ち合わせがあるから」
バタンッ
タプリス「はぁ……」
タプリス(たしかに、様々な舞台で活躍する胡桃沢先輩はすごいと思いますけど)
タプリス(ここまで人が変わってしまうとは、思ってもみませんでした)
タプリス(……もう正直、つらいです)
- 26 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/17(水) 21:33:30.690 ID:MVoTsMgr0.net
-
-お笑いグランプリ会場-
おっさん「ナハッ!! ナハハハッ!!」
サターニャ「ナハナハッ!! ナッハナハッ!!」
ドワッハハハハハッ
司会者「優勝は……サウザンドナハニキアです!!」
おっさん「ありがとう! みんなありがナハッ!」
サターニャ「さいっこうの気分ナハッ!!」
――
タプリス(お二人は、コンビ芸の日本一を決めるグランプリでも優勝を果たし)
タプリス(その人気は、留まるところを知りませんでした)
タプリス(そしておじさまは、お笑い以外に飲食店をいくつも経営し始めて)
タプリス(高級車を乗り回しながら贅沢三昧を続け、いつしか……)
タプリス(金の亡者と呼ばれるようになっていました)
タプリス(しかし、人気と比例して、お二人の態度もさらに横柄となっていき)
タプリス(苦情や改善要望などが、ひっきりなしに届くようになります)
タプリス(今まで二人の人気を支えていた周りの人たちも)
タプリス(それに耐えきれなくなり、少しずつ、お二人のそばから離れていきました)
タプリス(そう、そんなお二人の夢物語にも、綻びが生じ始めたのです)
- 27 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/17(水) 21:35:57.615 ID:MVoTsMgr0.net
-
- 一ヶ月後 劇場ステージ -
おっさん「ナハッ!! ナハッ!!」
サターニャ「ナハナハッ!!」
ワハハハッ
観客1「うーん、なんというか……飽きてきた」
観客2「そうだな。ずっと同じことしかやってないし」
-ステージ裏-
おっさん「なんか、前よりも盛り上がらなくなってきたな……」
サターニャ「ナハぢからが落ちているようには感じないけど……」
サターニャ「たしかに歓声が以前よりも、落ちてるわね」
おっさん「仕方がない……そろそろ別のギャグを考えるか」
サターニャ「……そうしましょうか」
――
タプリス(お二人は新しいギャグを考案して、それを売り出すも)
タプリス(結果は、大惨敗に終わってしまいます)
タプリス(次第に持ち番組の本数は減っていき、お客さんからは罵詈雑言を浴びせられ)
タプリス(関係者からは、陰口を叩かれるようになっていきました)
タプリス(それに追い打ちをかけるように、おじさまの手がけていた事業が失敗)
タプリス(多額の負債を抱えたという連絡が、わたしたちの元に入ってきます)
- 28 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/17(水) 21:36:50.710 ID:qCs5foHK0.net
- ふむ
- 29 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/17(水) 21:36:55.743 ID:zSU9HIL40.net
- 支援
- 30 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/17(水) 21:38:42.311 ID:MVoTsMgr0.net
-
- 一ヶ月後 おじさんの家 -
ピンポーン ダンダンダンッ
サターニャ「おっさん! 出なさいよ!」
タプリス「だ、だめです、電話も通じません……」
サターニャ「ま、まさか……逃げたっていうの?」
タプリス「そんな……こんなことって……」
ガクッ
サターニャ「なんなのよ、もう……」
タプリス「胡桃沢先輩……」
サターニャ「こうなったら、私一人でも……」
サターニャ「サウザンドナハニキアを、続けてやるわ!」
――
タプリス(おじさまが蒸発してしまっても)
タプリス(一人でやっていくことを決意した胡桃沢先輩でしたが……)
タプリス(一度離れてしまった、ファンを取り戻すことは難しく)
タプリス(持ち番組はとうとう0本となり、ライブの依頼もぱったり途絶えてしまいました)
タプリス(それでも、なんとか表舞台に出ようと)
タプリス(これまでのコネを活かして懇願を続けましたが、蔑まれるような目で追い返され)
タプリス(ついに先輩は、完全に孤立してしまいます)
- 31 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/17(水) 21:38:52.490 ID:P7u2vdok0.net
- はよ
- 32 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/17(水) 21:41:11.271 ID:MVoTsMgr0.net
-
サターニャ「どうして……どうして、誰も……」
サターニャ「私のことを、見てくれないのよ……」
サターニャ「私はただ人気者になって、みんなからチヤホヤされたかっただけなのに」
サターニャ「何か私が悪いことでもしたっていうの……?」
サターニャ「こんなの……あんまりよ……」
サターニャ「あんまりじゃない……」
タプリス「胡桃沢先輩……」
サターニャ「……あんたも、どっか行けばいいじゃない」
タプリス「えっ」
サターニャ「私と一緒にいたら、あんたまで巻き添えを食うんだから」
タプリス「……」
サターニャ「ふんっ、本当はいい気味だと思ってるんでしょ、私のこんな姿を見て」
タプリス「……ッ」
サターニャ「調子に乗って、贅沢三昧を繰り返して、周りに迷惑をかけて」
サターニャ「そのバチが当たったんだって、思ってるんでしょ!」
サターニャ「ねぇ、私のこと、そう罵りなさいよ!」
タプリス「……そんなことは、しません」
サターニャ「……なんでよ。私、あんたにひどいこと、たくさんしたじゃない!」
サターニャ「だから、そうする権利が、あんたにはあるはずよ!」
サターニャ「ほら、私のこと、バカにしなさいよ!」
タプリス「そんなことしないって、言ってるじゃないですかッ!!」
- 33 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/17(水) 21:42:17.082 ID:qCs5foHK0.net
- 告白タイム
- 34 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/17(水) 21:43:33.569 ID:MVoTsMgr0.net
-
サターニャ「……ッ」
タプリス「たしかに先輩は、行き過ぎた態度をとってしまったことも」
タプリス「今まであったかもしれませんけど……」
タプリス「それ以上に、先輩がずっと努力して」
タプリス「頑張ってきたことを、わたしは知っています」
サターニャ「タプリス……」
タプリス「それに、わたしは……」
タプリス「本当の胡桃沢先輩のことを知っていますから」
タプリス「ふざけたことばかりして、周りを困らせて……」
タプリス「でも、いつも明るくて元気で、みんなを笑顔にさせてくれる」
タプリス「そんな、胡桃沢先輩のことを」
タプリス「私は、ずっと前から、知っていますから」ニコッ
サターニャ「……あんたさ」
タプリス「なんですか?」
サターニャ「ぐすっ……いい奴ね」
タプリス「えへへ、ありがとうございます」
タプリス「……さ、先輩、帰りましょう?」
サターニャ「えっ、ど、どこに?」
タプリス「決まってるじゃないですか、舞天市にですよ」
サターニャ「で、でも……私、みんなにもひどいことを……」
タプリス「ふふっ、それはきっと大丈夫です」
- 35 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/17(水) 21:45:57.047 ID:MVoTsMgr0.net
-
-数日後 ヴィーネの家-
サターニャ「あの……」
ヴィーネ「あら、サターニャじゃない! ずいぶん久しぶりね!」
ガヴリール「最近テレビで見かけなかったけど、ついに干されたか?」
サターニャ「なっ!?」
ラフィエル「サターニャさん」
ぎゅぅ
サターニャ「ラ、ラフィエル?」
ラフィエル「サターニャさん、おかえりなさい。お勤めご苦労様でした」
サターニャ「どうして、みんな……」
サターニャ「私、あんなにひどいこと言ったのに……」
ヴィーネ「ひどいこと?」
ガヴリール「なんかあったか?」
サターニャ「そ、そんな、どうして……?」
ラフィエル「きっと、サターニャさんは、ですね……」
ラフィエル「いつもひどいことばかり言っていたせいで」
ラフィエル「みなさん何も、気にしていないみたいですよ」ニコッ
サターニャ「な、何よそれ! バカにして!」
タプリス「よかったですね、胡桃沢先輩っ」
サターニャ「ま、まぁ、一応その……感謝しとくわ」
ラフィエル「ふふっ、そうですかそうですかぁ」
サターニャ「あと……た、ただいま」
- 36 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/17(水) 21:48:29.517 ID:MVoTsMgr0.net
-
タプリス(こうして、舞天市に戻ってきた胡桃沢先輩とわたしには)
タプリス(平穏な日常が帰ってきたのです)
-数日後 公園-
タプリス「……胡桃沢先輩」ブンッ
サターニャ「なによ」ブンッ
タプリス「それで、なんでわたしたち、キャッチボールしてるんですか?」ブンッ
サターニャ「そんなの、暇だからに決まってるでしょ」ブンッ
タプリス「はぁ、一時はお笑い界のトップをとった先輩が……」
タプリス「休日に後輩と二人で、キャッチボール、ですか」ブンッ
サターニャ「……私、わかったのよ」ブンッ
タプリス「……えっ?」ブンッ
サターニャ「本当に大事なものはね……案外、近くにあるものだって」ブンッ
タプリス「は、はぁ」ブンッ
サターニャ「ほら、受け取りなさい!」ブゥンッ
タプリス「あぁっ、どこ投げてるんですか!?」
ヒューン ゴツンッ
????「いたっ!!」
タプリス「あ、あなたは!?」
- 37 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/17(水) 21:51:02.448 ID:MVoTsMgr0.net
-
タプリス「お、おじさま!?」
おっさん「ナハッ! 先日、潜伏先のハワイから帰ってきてね。君たちを探してたんだ」
タプリス「そ、そうなんですか……」
おっさん「それでね、さっそくで悪いけど、話があって……」
サターニャ「私を誘うつもりなら、お断りよ」
タプリス「胡桃沢先輩……」
サターニャ「私はね、やっと大事なものを見つけたの、だから……」
おっさん「……今度は一緒に、世界を目指さないか?」
サターニャ「……」ピクッ
おっさん「日本なんて……俺たちにとって、ただの小さい小さい、島国」
おっさん「これから、ナハぢからは、ワールドワイドで活かしていかないと!」
おっさん「二人で、世界を取ってやろうじゃないナハッ!!」
サターニャ「ふっ……」
タプリス「せ、先輩……?」
サターニャ「なはっ! やってやろうじゃない!!」
おっさん「世界をっ!!」
サターニャ「この手にっ!!」
二人「ナハハハハハハハハッ!!!」
おっさん「というわけで、まずは、自由の国アメリカを制覇ナハッ!!」
サターニャ「さあ行くわよ、タプリス! マネージャーとして、私についてきなさい!!」
タプリス「もう、いやですぅぅぅぅぅぅぅっ!!」
おしまい
- 38 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/17(水) 21:53:04.198 ID:P7u2vdok0.net
- 歴史は繰り返す……!
乙
- 39 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/17(水) 21:53:08.721 ID:qCs5foHK0.net
- おっさんダレだよw
乙
- 40 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/17(水) 22:07:16.863 ID:zSU9HIL40.net
- 最近ほんと見かけないな乙
- 41 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/17(水) 22:11:45.090 ID:zSU9HIL40.net
- でめでたく30作品目だった。
- 42 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/17(水) 22:12:31.091 ID:QnEWokyip.net
- おづ
- 43 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/17(水) 22:16:15.370 ID:MVoTsMgr0.net
- タプリスはここではない、どこかへ
>>41
みつおだな
- 44 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/17(水) 22:26:37.156 ID:MepGCfh6d.net
- おつおつ
- 45 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/17(水) 23:37:45.613 ID:1CaGWs5k0.net
- 安定のシリーズに今後も期待
乙乙!
- 46 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/18(木) 00:00:50.396 ID:4251KItv0.net
- 乙
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