■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
ガヴリール「千咲ちゃん、錬金術士になってアトリエを開く」
- 1 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/18(木) 21:16:57.240 ID:SC0ZLkla0.net
-
-ラフィエルの家-
タプリス「前から思っていましたが、白羽先輩のお部屋って」
タプリス「本がたくさんありますよね……」
ラフィエル「ほとんどが天界の実家から持ってきたものなんですけど」
ラフィエル「個人的に好きな本ばかりで、どうしても手放せなくて」
タプリス「あはは、やっぱり自分の好きなものって」
タプリス「手元に置いておきたいですよね」
ラフィエル「ええ」
タプリス「この本なんか、ずいぶんと古めかしいといいますか」
タプリス「歴史を感じる本ですね」
ラフィエル「ああ、それは錬金術の本ですよ」
タプリス「れんきんじゅつ?」
ラフィエル「はい、素材と素材を釜で調合して、新しい物を作り出す技術のことです」
タプリス「そんな魔法のような技術があるんですね、知りませんでした……」
ラフィエル「私も小さい頃に、その本を見て感動してしまって」
ラフィエル「いろいろ真似ごとをしてみたものです。ですが、才能がなかったみたいで」
ラフィエル「結局、私にはできませんでしたけど」
タプリス「白羽先輩でも、できないことがあるんですね……」
ラフィエル「そうだ、タプちゃん。よかったら、錬金術、試してみませんか?」
タプリス「わたしが錬金術を……ですか?」
- 2 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/18(木) 21:18:31.528 ID:SC0ZLkla0.net
-
ゴポゴポゴポッ
ラフィエル「ふぅ、釜の準備はこんな感じですかね」
タプリス「す、すごいです、こんな大きな釜を使うんですね」
タプリス「人がすっぽり入れそうです」
ラフィエル「間違っても、中に入ってはいけませんよ?」
タプリス「あはは……こんな紫色の液体に浸かったら、一生染み付きそうですしね」
ラフィエル「うふふ、それだけなら良いんですけど」ニコッ
タプリス「……ッ」
ラフィエル「それでは次に、この混ぜ棒を持ってみてください」
タプリス「は、はい」
ラフィエル「素材は、そうですねぇ。水と……この雑草にしましょう」
タプリス「使う物自体は、割りとありふれたものなんですね」
ラフィエル「ええ、中には滅多に手に入らないものを使うケースもあるみたいですけど」
ラフィエル「今回はお試しですから、これで十分です」
タプリス「わ、わかりました。じゃあ入れますね?」
ポチャン ポチャン
ラフィエル「素材をすべて入れたら、ゆっくり大きく円を描くように混ぜてみてください」
タプリス「了解です。ぐーるぐる、ぐーるぐる……」
パァァァァッ
ラフィエル「……ッ」
タプリス「なっ!? 釜の中が光って!?」
- 3 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/18(木) 21:19:23.279 ID:/j7hyNQ/0.net
- アトリエシリーズパロディなの?
それともただ錬金術するだけなの?
- 4 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/18(木) 21:20:23.667 ID:SC0ZLkla0.net
-
ラフィエル「す、すごいです、タプちゃん!」
タプリス「えっ、ど、どういうことです?」
ラフィエル「タプちゃんには錬金術の才能があるってことですよ!」
タプリス「そ、そうなんですか? よくわかりませんけど……」
ラフィエル「私ではこのように、素材同士が反応することは、ありませんでしたから」
ラフィエル「さぁ。さっそく中から、出来たものを取り出してみましょう」
タプリス「これはガラスの器ですか? あ、中に緑色の液体が入ってます」
ラフィエル「ええ、その液体は中和剤といって」
ラフィエル「様々な錬金術の調合の基礎となる、調合品なんです」
タプリス「な、なるほど……」
ラフィエル「それにしても、タプちゃんが錬金術を使えるだなんて……」
タプリス「あはは……ただ混ぜただけで、実感がないですが……」
ラフィエル「……私、久しぶりに燃えてきました!」
タプリス「えっ?」
ラフィエル「タ、タプちゃんにお願いがあります」
タプリス「は、はい、なんでしょう」
ラフィエル「私の代わりに……錬金術マスターになってもらえませんか!?」
タプリス「れ、錬金術マスター、ですか?」
ラフィエル「無理を言っているのは承知の上です、しかし……」
ラフィエル「私には叶えたくても、その力がありませんでしたので……」
ラフィエル「ですから、タプちゃんの手で」
ラフィエル「私の子供の頃からの夢を、叶えてもらえないでしょうか」
タプリス「白羽先輩……」
- 5 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/18(木) 21:21:40.419 ID:SC0ZLkla0.net
-
タプリス「……わかりました」
ラフィエル「それじゃあ!」
タプリス「わたしで、どれだけお力になれるかはわかりませんけど」
タプリス「それが白羽先輩のためになるのなら」
タプリス「わたしは喜んで、錬金術を学びたいと思います!」
ラフィエル「タプちゃん!」
ぎゅぅぅ
タプリス「し、白羽先輩!?」
ラフィエル「ありがとう……本当にありがとうね、タプちゃん」
タプリス「いえいえ、もし期待はずれだったら、ごめんなさい」
ラフィエル「良いんです、それでも」
ラフィエル「私に夢を、再び見させてくれて、ありがとうございます」
タプリス「はい。わたしなりに、精一杯がんばりますから」
――
ラフィエル「ということで、これが錬金術関連の参考書です」
ドンッ
タプリス「あはは……結構ありますね、しかもみんな分厚い……」
ラフィエル「私は一応、全て読破していますから」
ラフィエル「分からない部分があれば聞いてください」
ラフィエル「それと、この釜も一緒に、神足通でタプちゃんのお家に持っていきますね」
タプリス「あ、ありがとうございます」
ラフィエル「あとは……調合に使う素材ですね。近場で手に入らなそうであれば」
ラフィエル「いつでも私を呼んでください。タプちゃんの足となりますからっ」
タプリス「そ、それはさすがに恐れ多いので、最終手段で……」
- 6 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/18(木) 21:23:06.881 ID:SC0ZLkla0.net
-
-タプリスの家-
ゴポゴポゴポッ
タプリス「なになに、錬金術の基本は……」
タプリス「素材と素材を入れて、ぐるぐるーっとかき混ぜれば完成?」
タプリス「ずいぶんとアバウトな参考書ですね……」
タプリス「それにしても結構、色々なものを作ることができるみたいです」
タプリス「軟膏や、薬品、それと……ば、爆弾!?」
タプリス「さすがに爆弾を使う機会なんて、ないと思いますけど……」
タプリス「えと……それじゃあ、何を作ろうかなぁ」
タプリス「そうだ、この軟膏を作ってみましょう」
タプリス「材料は……油と粉と、中和剤ですか」
タプリス「中和剤は先ほど、白羽先輩の家で作ったものがありますので」
タプリス「油……、サラダ油でいいのかな?」
タプリス「そして粉は……、薄力粉でいいですかね」
ポチャン ポチャン
タプリス「材料を入れてっと」
タプリス「ゆっくりと、落ち着いて、ぐーるぐる、ぐーるぐるっと……」
パァァァッ
タプリス「あ、この反応は、先輩のうちの時と同じです!」
タプリス「やったぁ、できましたぁ♪」
- 7 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/18(木) 21:24:31.129 ID:SC0ZLkla0.net
-
タプリス「よくわからない軟膏の完成ですっ!」
タプリス「えっと、どれどれ……、どうやらこの軟膏は」
タプリス「切り傷、擦り傷によく効くみたいですね」
タプリス「すごいです。お家にあるもので、お薬が作れちゃうなんて」
タプリス「わたし、よく怪我をするので助かりますね」
タプリス「この調子でどんどん、作っていきましょう!」
-数日後 タプリスの家-
ラフィエル「こんにちは、タプちゃん。調子はどうですか?」
タプリス「あ、こんにちは。白羽先輩!」
タプリス「参考書を読みながら、基本的な物は作ることができました!」
ラフィエル「そうですかそうですかぁ」
ラフィエル「それは、頼もしい限りですね」ニコッ
タプリス「えへへ、なので今、少し難しいのに挑戦中なんです」
ラフィエル「へぇ、見せてもらっていいですか?」
タプリス「はい、こんな感じです」
ゴポッ ゴゴゴッ ゴボッ
ラフィエル「こ、これは!?」
タプリス「なんか混ぜても混ぜても全然光らなくて……どうしてでしょうね」
ラフィエル「タプちゃん! 危ないっ!!」
タプリス「えっ?」
ピカッ ドゴォォォォンッ
- 8 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/18(木) 21:26:03.155 ID:SC0ZLkla0.net
-
-どこかの海岸-
シュンッ
ラフィエル「ふぅ……危ないところでした」
タプリス「……」パクパク
ラフィエル「タプちゃん、大丈夫ですか? ああ、こんなにススでお顔が真っ黒に」フキフキ
タプリス「か、釜が……ば、爆発して……」
ラフィエル「ええ、調合に失敗したみたいですね」
ラフィエル「おそらく、今のタプちゃんの錬金術の技量では、厳しい物だったのでしょう」
タプリス「失敗すると爆発するなんて、知りませんでした……」
タプリス「白羽先輩、ありがとうございます。先輩がいなかったら、どうなってたか……」
ラフィエル「いえいえ。でも、そうですね……少し危ないですから」
ラフィエル「これからは基本的な物を作り続けて、技量を磨いていきましょうか」
タプリス「は、はい。わかりました」
タプリス「……それにしてもあんな爆発が起きたのに」
タプリス「釜自体はビクともしてないですね、すごいです」
ラフィエル「ええ、白羽家に代々伝わる、特別製みたいですから」
タプリス「なるほど……」
ラフィエル「では、タプちゃんのお家に戻りましょうか」
タプリス「あ、すみません。少しだけ待っててもらっていいですか?」
ラフィエル「良いですけど、どうしたんです?」
タプリス「素材用に、海水と砂を採取していこうと思いまして」
ラフィエル「あらあら、すっかりタプちゃんも錬金術士が板についてきましたね」
タプリス「えへへ、爆発させてるようじゃ、まだまだですけどね」
- 9 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/18(木) 21:27:31.371 ID:SC0ZLkla0.net
-
- 一ヶ月後 タプリスの家 -
ゴポゴポゴポッ
タプリス「これとあれとそれを、入れましてー♪」
タプリス「ぐるぐるーっと、大きく混ぜちゃいます♪」
タプリス「ぐーるぐる♪ ぐーるぐる♪」
パァァァァッ
タプリス「あっという間に……できましたぁ♪」
タプリス「ふふっ、だいぶ錬金術にも慣れてきたかもしれません」
タプリス「最初は失敗してた物も、ほとんど作れるようになりましたし」
タプリス「……それにしても」
タプリス「部屋の中が、作った物だらけになってきましたね……」
タプリス「そうだ、せっかくですから」
タプリス「先輩たちに、おすそ分けしましょうか」
――
ピンポーン ガチャ
ヴィーネ「ふふっ、こんにちは、タプちゃん」
ラフィエル「今日は呼んでくれて、ありがとうございます」
タプリス「月乃瀬先輩、白羽先輩、こんにちは!」
タプリス「わざわざ来ていただいて、ありがとうございます!」
ヴィーネ「って、事前には聞いていたけど……すごい、物の山ね……」
タプリス「あはは、お恥ずかしい限りです」
- 10 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/18(木) 21:28:35.191 ID:rApITDkud.net
- ほ
- 11 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/18(木) 21:28:45.890 ID:rApITDkud.net
- ほ
- 12 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/18(木) 21:28:56.289 ID:rApITDkud.net
- ほ
- 13 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/18(木) 21:29:04.898 ID:SC0ZLkla0.net
-
ヴィーネ「そうだ、おみやげにアップルパイを作ってきたのよ」
タプリス「本当ですか! 月乃瀬先輩のアップルパイ、おいしいので嬉しいです!」
ヴィーネ「それはよかった」ニコッ
ラフィエル「あ、タプちゃん、タプちゃん」
タプリス「なんですか?」
ラフィエル「実は錬金術で、アップルパイも作ることができるんですよ?」
タプリス「え? 食べ物も、ですか?」
ラフィエル「ええ」
タプリス「でも、あの紫の液体の入った釜に入れて、できたもの……ですよ?」
タプリス「おいしくないんじゃ……」
ラフィエル「じゃあ、せっかくヴィーネさんもいることですし」
ラフィエル「錬金術でパイ作り、してみましょうか」
タプリス「は、はぁ……」
――
ラフィエル「材料は……小麦粉と水と塩とりんご、ですね」
タプリス「失敗せずに、ちゃんとできるかな……」
ラフィエル「今のタプちゃんの技量なら、簡単に作れると思いますよ」
タプリス「で、では……」
ポチャン ポチャン
ヴィーネ「へぇ、錬金術って、こうやってやるのね……」
ヴィーネ「でも食べ物を入れちゃって、本当に大丈夫なの?」
タプリス「入れること自体は問題ないんですけど……ぐるぐるーっと」
パァァァァッ
- 14 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/18(木) 21:31:21.646 ID:SC0ZLkla0.net
-
タプリス「す、すごい……ほんとにできちゃいました」
ヴィーネ「しかもこれ、見た目は私のと、ほとんど変わらないわね……」
タプリス「でも、味はさすがに……」
ピンポーン
タプリス「あれ、どなたでしょう?」
ラフィエル「ふふっ、というわけで、ですね……」
――
ラフィエル「アップルパイ、どちらが美味しいか選手権、開催ですー」
ラフィエル「審査員はですね……」
ガヴリール「私と?」
サターニャ「大悪魔である、この私、サタニキア様よ!」
タプリス「し、白羽先輩」コソコソ
ラフィエル「なんですか、タプちゃん」
タプリス「これ、大丈夫なんですか? いわゆる毒味というやつでは……?」
ラフィエル「大丈夫ですよ、安心してください」ニコッ
ラフィエル「では、まずはヴィーネさんのアップルパイから」
ガヴリール「普通にうまいな」モグモグ
サターニャ「ええ、おいしいわね」パクパク
ラフィエル「それでは次に、タプちゃんのアップルパイをどうぞ!」
タプリス「……」
ガヴリール「……」モグモグ
ガヴリール「……ッ」
- 15 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/18(木) 21:33:15.633 ID:SC0ZLkla0.net
-
ガヴリール「なんだこれ! めっちゃ美味いぞ!」
サターニャ「ええ! なんかこういうの、お店で食べたことあるわ!」
タプリス「……う、うそ、ですよね?」
ガヴリール「嘘なんかついて、どうすんだよ」
ラフィエル「タプちゃん、食べてみてください」
タプリス「は、はい」パクッ
タプリス「……あ、おいしい」
ラフィエル「でしょう?」
ヴィーネ「ほんとね、これ、すごく美味しいわ……」
ラフィエル「ということで、満場一致でタプちゃんの勝利です!」
ヴィーネ「あんな作り方してるのに、完敗するなんて……」
タプリス「ご、ごめんなさい、月乃瀬先輩」
ヴィーネ「いえ、タプちゃんが謝ることないのよ。それに……」
ヴィーネ「私も燃えてきたわ! もっと美味しいアップルパイを作ってやるってね!」
ヴィーネ「今度、また勝負しましょう!」
タプリス「は、はい!」
ガヴリール「ところで、あんな作り方ってなんだ?」
ラフィエル「実はですね、あれは錬金術で作られたものなんです」
ガヴリール「はぁ!? まさか、あの怪しげな釜で作ったのか!?」
タプリス「は、はい……」
ガヴリール「くそっ、なんてもん食わすんだよ……」
タプリス「うぅ……ごめんなさい、ごめんなさい」
サターニャ「そう? 別にどんな作り方だって良いじゃない」
ヴィーネ「サターニャは、どんな味でも気づかなそうね……」
- 16 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/18(木) 21:35:14.292 ID:SC0ZLkla0.net
-
ガヴリール「へぇ、この部屋にある物、全てをね……」
タプリス「はい、部屋が手狭になってきたので」
タプリス「何でも好きなのを持っていってください」
ガヴリール「好きなのっていってもな……あ、そうだ」
ガヴリール「最近、肩こりがひどいんだけど、なんか良いのあるか?」
タプリス「そうですね、それでしたら、薬用湿布が……」ゴソゴソ
タプリス「ありました! 試しに貼ってみます?」
ガヴリール「ああ」
ぺたっ
タプリス「ど、どうです?」
ガヴリール「あぁ……これいい、これいいわぁ……」
タプリス「ほんとですか!? よかったです……」
ガヴリール「なんだよこれ、マジで良いじゃんか……」
ガヴリール「よし、タプリス。この湿布、あるだけくれ」
タプリス「あるだけ、ですか!? わ、わかりました」
サターニャ「私はそうねぇ……あ、昨日、膝を怪我しちゃったんだけど」
サターニャ「なんか良い薬とかあるかしら?」
タプリス「傷……でしたら、この軟膏がいいですよ」
ぬりぬり
サターニャ「へぇ……、って!? なんか傷が塞がっていくんだけど!」
タプリス「ふふっ、これで完治ですね」
サターニャ「すごいじゃない、これ! 何かの魔術みたいね!」
サターニャ「私もこれ、あるだけ貰うわ!」
タプリス「えへへ、わかりました。持ってっちゃってください」
- 17 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/18(木) 21:37:23.809 ID:SC0ZLkla0.net
-
ガヴリール「タプリス、ありがとな」
サターニャ「ふっ、私の役に立てることを、光栄に思いなさい!」
ヴィーネ「たくさんもらっちゃって、ありがとね、タプちゃん」
タプリス「いえいえ、どういたしまして、です!」
タプリス「何かあったら、いつでも言ってくださいね」
ガヴリール「ああ、それじゃあな」
バタンッ
タプリス「ふぅ……」
ラフィエル「お疲れ様でした、タプちゃん」
タプリス「あ、白羽先輩。今日はいろいろと、ありがとうございました」
ラフィエル「いえいえ。あ、そうだ、頑張っているタプちゃんにですね……」
ラフィエル「実は贈り物があるんです」
タプリス「贈り物?」
ラフィエル「これです!」
タプリス「これは……お洋服、ですか?」
ラフィエル「ええ、錬金術士の正装です♪ ヴィーネさんにも手伝ってもらって」
ラフィエル「二人で、作ったんですよ」
タプリス「す、すごいです! こんな立派なお洋服を作れるなんて……」
ラフィエル「ふふっ、タプちゃんなら、錬金術でそのうち作れるようになりますから」
タプリス「あはは……それはさすがに」
ラフィエル「とりあえず、着てみてください♪」
タプリス「は、はい……それでは」
- 18 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/18(木) 21:38:17.538 ID:WpOnOtpG0.net
- 支援
- 19 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/18(木) 21:39:11.357 ID:SC0ZLkla0.net
-
ラフィエル「あぁっ、かわいい! タプちゃん、かわいいです!」パシャパシャ
タプリス「うぅ……恥ずかしいです」
ラフィエル「そんなことありませんよ! 絶対にかわいいです!」パシャパシャ
タプリス「こんなフリフリで……しかも、露出も多くて……」
ラフィエル「それも、錬金術士の正装の伝統ですから、問題ありませんよ!」
ラフィエル「これから錬金術をする場合は、その格好でお願いしますね♪」
タプリス「うぅ……」カァァ
――
タプリス「それにしても……」
タプリス「自分が錬金術で作った道具を使って、誰かが喜んでくれたり」
タプリス「笑顔になってくれるのって、なんかいいですね」
ラフィエル「うふふ、そうですかそうですかぁ」
タプリス「それって、天使としての基本的な理念にも合っていますし」
ラフィエル「……とても良いことだと、私も思いますよ」
ラフィエル「錬金術はあくまでも、他の技術と同じく、手法の一つですから」
ラフィエル「それをどう使うかは、人それぞれで良いんです」
ラフィエル「だから、タプちゃんが自分でやりたいことをしてください」ニコッ
タプリス「白羽先輩……ありがとうございます!」
タプリス「ですけど、具体的にはどうすれば良いでしょうね……」
ラフィエル「それでしたら、私に良い考えがあります」
タプリス「良い考え、ですか?」
- 20 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/18(木) 21:41:10.971 ID:SC0ZLkla0.net
-
-翌日 舞天市内 老人ホーム-
タプリス「ここって、老人ホームですよね」
ラフィエル「ええ、この街にも困っている人は大勢いると思いますけど」
ラフィエル「特に集中しているのが、ここかと思いまして」
女職員「あら、あなた達ね。みなさんのお世話を手伝いたいって子は」
タプリス「こ、こんにちは」
女職員「こっちは猫の手も借りたいほど忙しいから、本当に助かるわ」
女職員「これからよろしくね」
ラフィエル「はい。こちらこそ、よろしくお願いします」ニコッ
お婆さん「あらあら、こんなに若くてかわいい子が遊びに来てくれたのかい」
お爺さん「嬉しいねぇ、眼福眼福」
女職員「あら、私は若くもかわいくもなくて、悪かったですね」ニコッ
お爺さん「ほっほっほっ、こりゃ参ったわい」
みんな「わはははははっ」
タプリス「ふふっ、なんだか雰囲気の良いところですね」
ラフィエル「ええ。でも、気苦労もきっと、多いはずですよ」
ドンッ
タプリス「あいたっ」
じいさん「邪魔じゃ! ぼさっと立っとるな!」
タプリス「ご、ごめんなさい!」
じいさん「ふんっ」スタスタスタ
- 21 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/18(木) 21:43:11.574 ID:SC0ZLkla0.net
-
タプリス「はぁ、こ、怖かったです……」
女職員「大丈夫?」
タプリス「大丈夫です……わ、わたしがぼーっとしてたせいで……」
女職員「気にしないで。あの方ね、いつも誰にでも、あんな感じだから」
タプリス「は、はぁ……」
女職員「それじゃ早速だけど、みなさんのお相手をお願いね」
タプリス「はい、わかりました!」
――
お爺さん「これを腰に貼れば良いのかい?」
タプリス「はいっ、そうすると、痛いのが楽になりますよ」
お爺さん「へぇ、すごいねぇ、ありがとう」
お婆さん「千咲ちゃん、このクリームはどうやって使うんだい?」
タプリス「これはですね、毎晩寝る前に、痒いところに塗ってください」
タプリス「そうすると、炎症が引いて、ぐっすり眠ることができるんです」
お婆さん「はぁ、千咲ちゃんは、お薬屋さんか何かなのかい?」
タプリス「ええ、そんな感じです」ニコッ
お婆さん「ありがとう、今晩、使ってみるよ」
タプリス「ふぅ……」
ラフィエル「お疲れさま、タプちゃん」
タプリス「あ、白羽先輩もお疲れ様です」
ラフィエル「どうですか? 調子は」
タプリス「わたし、人見知りなので、なかなか大変ですけど……」
タプリス「でもやりがいがあって、楽しいです!」
ラフィエル「ふふっ、そうですかそうですかぁ」
- 22 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/18(木) 21:45:47.042 ID:SC0ZLkla0.net
-
-数日後 老人ホーム-
お爺さん「千咲ちゃん、聞いとくれ!」
お爺さん「千咲ちゃんにもらった湿布を腰に貼ったら」
お爺さん「次の日には、腰痛が完全に治ったんじゃ!」
お婆さん「私もだよ、クリームを痒いところに塗ったら」
お婆さん「痒みが治まって、完全に治ったんじゃ!」
タプリス「本当ですか!? それはよかったです」ニコッ
お爺さん「おい、みんな、来てくれ! この子のお薬は本当にすごいぞ!」
お婆さん「みなも一度、診てもらうと良いよ」
『なんじゃなんじゃ』
ガヤガヤ
タプリス「お、押さないでください! お一人ずつ、ちゃんと診ますから!」
女職員「すごいわね、あの子。医者の卵だったりするんですか?」
ラフィエル「ふふっ、そんな感じです」
女職員「でもあなたたちが来てから、本当に大助かりですよ」
女職員「実際、みなさんの体の不調って、我慢してもらうことの方が多かったですから」
女職員「こうやって直に解決してもらえるのは、嬉しいです」
タプリス「ちゃんと並んでくださいね! 順番に!」
じいさん「……」ジーッ
タプリス「あ、あの時のおじいさん……」
じいさん「……チッ」スタスタスタ
タプリス「あ……、行っちゃった」
- 23 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/18(木) 21:47:19.992 ID:SC0ZLkla0.net
-
-数日後 老人ホーム じいさんの個室-
コンコンッ
タプリス「失礼します……」
じいさん「なんじゃ、誰が入っていいと言った!?」
タプリス「ひっ、ご、ごめんなさい……」
じいさん「……で、何の用だ?」
タプリス「え、えっと……」
じいさん「もっとはっきり喋らんかい!!」
タプリス「ご、ごめんなさい! 何かお困りのことはないかなって!」
じいさん「はぁ? 困ってることじゃと?」
タプリス「はい、体のどこかが痛いとか、調子悪いとか」
タプリス「おじいさんにも、ないかなぁと思いまして」
タプリス「もしあれば、わたしが治してあげられるかもと……」
じいさん「……誰がそんなこと頼んだ?」
タプリス「えっ」
じいさん「もし、どっかが痛かったとしても、お前さんのような」
じいさん「若いもんの助けなどいらんわ!」
じいさん「さっさと出ていけ!」
タプリス「で、でも……わたしは、おじいさんの助けに……」
じいさん「そういうのが、押し付けがましいと言ってるんじゃ!」
タプリス「……ッ」
じいさん「他にもたくさんおるじゃろ! 助けを求めてるのが!」
じいさん「ワシには、そういうのはいらん! さっさと出ていけ!!」
タプリス「わ、わかりました……し、失礼します」
- 24 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/18(木) 21:48:25.925 ID:johaxHa/p.net
- 妖精はいないのか
- 25 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/18(木) 21:49:11.153 ID:SC0ZLkla0.net
-
-老人ホーム 職員控室-
タプリス「はぁ……」
女職員「どうしたんですか? そんな溜息ついて」
タプリス「いえ、先ほど、あの怖いおじいさんのところへ行ってきたんですが」
女職員「えっ? 一人で、ですか?」
タプリス「は、はい。そうですけど……」
女職員「あの方、あんな性格ですから……他のみなさんとも、よく喧嘩をされていて」
女職員「今は個室に入ってもらってるんですけど」
女職員「私たちでも、部屋に入れてもらえないことがあるのに」
女職員「よく部屋に入れてもらえましたね」
タプリス「で、でも……怒鳴られて、追い出されちゃいました」
女職員「あはは……そうですか」
タプリス「なんとか、あの方の助けになりたいんですけど……」
女職員「うーん……難しいですね」
女職員「あの方も前は、あんな風ではなかったんですけど」
タプリス「えっ、そうなんですか?」
女職員「ええ。一年前くらいに、あの方の奥さんが亡くなられて」
女職員「それから、ですかね。他人を拒絶するようになってしまったのは」
タプリス「そうだったんですか……、あ、そういえば」
タプリス「おじいさんの部屋に、写真立てがありました」
タプリス「二人で並んで撮った写真みたいでしたけど、あれがまさか……」
女職員「ええ、数年前に奥さんと撮られた写真ですね」
女職員「二人で旅行中、花火大会を見た時に撮ったと、言っていました」
タプリス「……花火、ですか」
- 26 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/18(木) 21:51:11.637 ID:SC0ZLkla0.net
-
-数日後 老人ホーム じいさんの個室-
コンコンッ
タプリス「し、失礼します」
じいさん「またお前さんか! 誰が来い、などと言った!?」
タプリス「ひっ、ごめんなさい!」
じいさん「用がないなら、さっさと出ていけ!」
タプリス「あ、あのっ!」
じいさん「あ? なんじゃ!?」
タプリス「おじいさんは、花火がお好きなのですか!?」
じいさん「はぁ? お前さん、何を言って……」
タプリス「だって……そこの写真に、おじいさんと花火が写ってますから!」
じいさん「……ッ」
スッ バタンッ
じいさん「こんなもん、お前さんが見んでもいい」
タプリス「ごめんなさい……お話、聞かせてもらいました」
タプリス「おじいさんの奥さんと一緒に撮った、大事な思い出だと」
じいさん「……チッ、あのお喋り女がッ」
タプリス「だから、花火には……特別な思い入れがあるんじゃないかって」
じいさん「……だから、なんだと言うんじゃ」
タプリス「えっ」
じいさん「ワシが仮にじゃぞ? 花火が好きだったとして……」
じいさん「それが、なんだと言うんじゃ!」
- 27 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/18(木) 21:53:11.024 ID:SC0ZLkla0.net
-
タプリス「わ、わたしが……」
じいさん「あ?」
タプリス「わたしがおじいさんに、花火を見せてあげます!」
じいさん「ハッ! 何を言い出すかと思えば……」
じいさん「あれか? お前さんが、ワシを何処かに連れ出して」
じいさん「花火を見せようとでも言うのか?」
じいさん「生憎だがな、ワシはもう、ここを離れる気はないんでな」
じいさん「そんなの、とっとと諦めて――」
タプリス「……違いますッ」
じいさん「は?」
タプリス「ここの屋上で! その写真に負けずとも劣らない、打ち上げ花火を!」
タプリス「おじいさんに、見せてあげます!」
じいさん「……くっ」
タプリス「……」
じいさん「くかかかかかっ! これは傑作じゃ!」
じいさん「ここで? 打ち上げ花火を、見せるじゃと?」
じいさん「そんなもんが、できるはずないじゃろう!」
じいさん「いくら老いぼれだからといって、それ以上馬鹿にすると――」
タプリス「わたしは、真剣ですッ!!」
じいさん「……ッ」
タプリス「今週末の夜、楽しみにしていてください!」
タプリス「絶対に、絶対絶対、おじいさんに花火を、見せてあげますから!」
じいさん「……ふんっ、好きにしろ」
タプリス「はい、好きにしますッ!」
- 28 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/18(木) 21:55:11.366 ID:SC0ZLkla0.net
-
-老人ホーム 職員控室-
女職員「数日、休みがほしい?」
タプリス「はい。わたし、おじいさんのために」
タプリス「花火を打ち上げることにしたんです!」
ラフィエル「あらあら……」
女職員「花火って……、市販のやつ、じゃないのよね?」
タプリス「はい、あのおじいさんの写真よりも、大きな花火です」
女職員「って言っても、この街、花火大会なんてないし」
女職員「花火職人に、ツテでもあるの?」
タプリス「いえ、そこは大丈夫ですから!」
ラフィエル「タプちゃん、もしかして……」
タプリス「ええ。その、もしかして、です」
女職員「わかったわ、休み自体は問題ないけど……」
女職員「あまり、無理はしないようにね」
タプリス「はい、ありがとうございます!」
-次の日 ラフィエルの家-
タプリス「威勢よく啖呵を切ってしまったものの」
タプリス「わたし、花火なんて作ったことありませんでした……」
ラフィエル「私の記憶の中でも、タプちゃんに貸した錬金術の本の中に」
ラフィエル「花火が載っているのは、なかった気がしますね」
タプリス「はぁ……どうしよう」
ラフィエル「……では、私の実家に行ってみましょうか」
タプリス「えっ、白羽先輩のご実家ですか?」
- 29 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/18(木) 21:57:20.656 ID:SC0ZLkla0.net
-
-天界 白羽家 書庫-
タプリス「すごく広い書庫ですね……」
ラフィエル「天使学校の図書室ほどではありませんが」
ラフィエル「私が持ち出していない、錬金術の本もきっと、あるはずです」
タプリス「ありがとうございます、白羽先輩!」
ラフィエル「いえいえ、タプちゃんには私の夢を叶えてもらっている最中ですから」
ラフィエル「こんなことぐらい、お安い御用です」
ラフィエル「では、手分けして探しましょうか」
タプリス「は、はい!」
――
ラフィエル「なかなかありませんね……」
タプリス「ですね……って、うっ……手が届かない」
ラフィエル「あ、私が取りましょうか?」
タプリス「だ、大丈夫です! と、届いたので……って、わわっ!」
ラフィエル「タプちゃん!?」
バタンッ バラバラバラッ
タプリス「いたたたたっ」
ラフィエル「大丈夫ですか? 怪我はありませんか?」
タプリス「は、はい、わたしは大丈夫ですけど」
タプリス「本を散らかしてしまって、ごめんなさい……」
ラフィエル「タプちゃんが無事なら平気ですよ……って、これは!?」
タプリス「えっ」
- 30 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/18(木) 21:59:12.212 ID:SC0ZLkla0.net
-
ラフィエル「見てください、タプちゃん! 花火のような、絵が載っています!」
タプリス「ほんとだ……しかもこれ、錬金術の本ですね」
タプリス「あ、レシピも載っていますよ!」
ラフィエル「すごいです、タプちゃん! こんな見つけ方をするなんて!」
タプリス「あはは……偶然も偶然ですけど」
タプリス「それで、えっと……調合する素材は……」
タプリス「燃料と、火薬と……ドンドン花?」
ラフィエル「ドンドン花……」
タプリス「火薬と燃料は、在庫がありますけど……」
タプリス「先輩、ドンドン花って聞いたことあります?」
ラフィエル「……ちょっと待ってくださいね」
ちりんちりん スッ
マルティエル「お呼びですか、お嬢様」
タプリス「わっ、びっくりした!? ど、どこから……」
ラフィエル「マルティエル、ドンドン花という単語に聞き覚えはありませんか?」
マルティエル「ドンドン花ですか、それでしたら……」
マルティエル「お嬢様が天使学校時代に、学校の庭園に植えられたことがあると」
マルティエル「そう、記憶しています」
ラフィエル「それです! たしか初等科の時でしたね」
マルティエル「はい」
ラフィエル「さすがマルティエルです。ありがとう。もう下がっても良いですよ」
マルティエル「……」
ラフィエル「下がりなさい」ニコッ
マルティエル「……はい」ゾクゾクッ
シュンッ
- 31 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/18(木) 22:01:27.267 ID:SC0ZLkla0.net
-
タプリス「あの……さすがに、可哀想なのでは……」
ラフィエル「大丈夫です。あんな風に見えて、実はすごく喜んでいますから」
タプリス「は、はぁ……」
ラフィエル「では、天使学校へ行ってみましょうか」
タプリス「はい!」
-天使学校 初等科 校内-
教師「あら、白羽さんではないですか」
ラフィエル「お久しぶりです、先生」ニコッ
教師「今日はどうしました?」
ラフィエル「えっとですね。私たち、ドンドン花という花を探していまして」
ラフィエル「私が在学中に、庭園に植えたことがあったのを思い出したんです」
教師「ああ、ドンドン花! 懐かしいわね」
タプリス「で、できれば、それをいただきたかったんですけど……」
教師「ただ……今はもう、校内で植えていなくてね」
ラフィエル「そ、そうなのですか……」
タプリス「そんな……」
教師「でも、野生で咲いている場所なら知っているわ」
タプリス「本当ですか!?」
教師「ええ、この学校の裏手の山の中なんだけど……」
教師「もともと薄暗い場所に咲く花でね、洞穴の中に咲いていることが多いのよ」
ラフィエル「なるほど、わかりました。探してみます」
教師「ただ最近、落石があったって話を聞くから、気をつけてね」
タプリス「はい! ありがとうございました!」
- 32 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/18(木) 22:03:18.449 ID:SC0ZLkla0.net
-
-天使学校 裏手の山-
ラフィエル「先生に貰った地図によると……この辺ですね」
タプリス「洞穴のようなものは見当たりませんけど……」
ヒュゥゥ
ラフィエル「そうですねぇ……って、タプちゃん、何か聞こえませんか?」
タプリス「え? わたしには何も……」
ラフィエル「風の音が、聞こえます……こっちです!」
タプリス「あ、先輩待ってください!」
タッタッタッ
ラフィエル「タプちゃん、これを見てください」
タプリス「これは、岩壁ですか?」
ラフィエル「いえ、違います、よく見ると……」
タプリス「あ、少しだけ隙間が空いてます!」
ラフィエル「ここから風が入り込んでいる、みたいですね」
タプリス「ということは……」
ラフィエル「はい、ここに洞穴がある、ということです」
タプリス「じゃあ、まさか……」
ラフィエル「この岩壁に見える巨大な岩が……上から落ちてきた、ということですね」
タプリス「そんな……」
ラフィエル「さすがにここまで大きいと、神足通で移動させることもできませんし」
ラフィエル「どうしましょう……」
タプリス「……先輩、移動させる必要なんて、ありませんよ」
ラフィエル「えっ?」
タプリス「通れないのだとしたら……、こじ開けてしまいましょう!」
- 33 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/18(木) 22:05:11.727 ID:SC0ZLkla0.net
-
ラフィエル「タ、タプちゃん? こじ開けるって?」
タプリス「はい! この岩もろとも、破壊してしまえば良いんです!」
ラフィエル「そんなこと……って、まさか!?」
タプリス「はい。錬金術の練習の時に、実は作ってたんです……」
タプリス「この爆弾をっ!」
タプリス「まさか、これが役に立つ時が来るとは思いませんでしたけど」
ラフィエル「ほ、ほんとに大丈夫?」
タプリス「ええ、爆発の規模も把握してますし、このくらいの岩なら大丈夫です」
タプリス「じゃあ、先輩は離れててくださいね!」
ラフィエル「えぇ」
タプリス「いきますよっ……えーいっ!」ブンッ
カッ ドゴォォォォォンッ
シュゥゥゥゥ
ラフィエル「すごい……あの岩が木っ端微塵に……」
タプリス「えへへ、大成功ですっ!」
ラフィエル「タプちゃん、こんなにたくましくなって……」
タプリス「た、たくましいんですかね? あはは……」
タプリス「と、とりあえず、中に入りましょう!」
ラフィエル「ええ」
- 34 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/18(木) 22:07:18.751 ID:SC0ZLkla0.net
-
-天使学校 裏手の山 洞穴の中-
タプリス「なんでしょう、ここ。人の手が入ってたんですかね」
ラフィエル「ええ、木箱やらが散乱してますね」
タプリス「この太くて丸い筒のようなもの、なんでしょう」
ラフィエル「これは樽といって、液体を貯蔵する木製の容器ですね」
タプリス「へぇ……たる、ですか」
ラフィエル「ええ、たるです」
タプリス「……」
タプリス「たーる♪」
ラフィエル「タ、タプちゃん、どうしました?」
タプリス「あ、いえ……なんか、単語の響きが気に入ってしまって……」
ラフィエル「そうですか……」
タプリス「う、なんか恥ずかしくなってきました。お、奥に行きましょう」
-洞穴の最奥-
タプリス「これじゃないですか!? ドンドン花!」
ラフィエル「すごく綺麗な花ですね……」
タプリス「しかも、こんなにたくさん咲いて……綺麗……」
ラフィエル「もしかすると、誰かが管理していたのかもしれませんね」
タプリス「えっと、いただいちゃっても大丈夫でしょうか」
ラフィエル「必要な分だけなら、大丈夫でしょう」
タプリス「……摘み取ってごめんなさい。絶対に無駄にはしませんから」
- 35 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/18(木) 22:08:52.555 ID:WpOnOtpG0.net
- 支援
- 36 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/18(木) 22:09:12.023 ID:SC0ZLkla0.net
-
-タプリスの家-
タプリス「あとは、素材を調合するだけです! 丸一日かかるみたいですけど」
ラフィエル「技術的には、どうですか? できそうですか?」
タプリス「レシピについては、理解できましたけど……」
タプリス「実際できるかは、半々ってところですかね」
ラフィエル「……タプちゃんなら、きっと大丈夫ですよ」
ラフィエル「だって、今までずっと、頑張ってきたんですから!」
タプリス「えへへ、ありがとうございます」
ラフィエル「おじいさんに、思い出の花火を見せてあげましょう」
タプリス「はいっ」
ゴポゴポゴポッ
ポチャン ポチャン
タプリス「材料投下よしっと。あとは、ずっとかき混ぜ続けて……」
ラフィエル「あ、タプちゃん。お腹が空いたら教えてくださいね」
ラフィエル「私が食べさせてあげますから」ニコッ
タプリス「あはは……、数分とかなら、釜から離れても大丈夫ですから」
ラフィエル「えっと、私がしてあげたいんです」
タプリス「あ、ありがとうございます。でしたら、その時は……」
ラフィエル「はい♪」
- 37 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/18(木) 22:11:21.325 ID:SC0ZLkla0.net
-
-翌日 早朝 タプリスの家-
ラフィエル「すぅ……すぅ……」
ラフィエル「んっ……い、いけない、私、寝てしまって……」
タプリス「……」グルグル
ラフィエル「タ、タプちゃん、ごめんなさい。私……」
タプリス「あ、先輩。もう少しで、できますから」
ゴポッ ゴゴゴッ ゴボッ
ラフィエル「なっ!? この反応は!?」
タプリス「……ッ、まずいですね」
タプリス「もう素材を取りに行く時間も、調合する時間もないのに……」
ラフィエル「神足通で飛ばします!」
タプリス「ま、待ってくださいっ!」
ラフィエル「タ、タプちゃん!?」
タプリス「たくさんの人たちが助けてくれたおかげで……」
タプリス「ようやくここまで、たどり着くことができたんです!」
タプリス「それなのに、こんなところで……終わらせません!」
タプリス「錬金術の参考書にも書いてました! 錬金術を成功させる最大の秘訣は……」
タプリス「錬金術士の、強い想いなんだって!!」
タプリス「お願いっ! おじいさんに花火を見せてあげたいのっ!!」
タプリス「だから成功してっ! お願い、だからぁ!!」グルグルグルー
パァァァァッ
- 38 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/18(木) 22:13:11.681 ID:SC0ZLkla0.net
-
ラフィエル「光が……弾けて……」
タプリス「はぁ……はぁ……」
タプリス「やった! 先輩っ! できましたぁ!!」
ラフィエル「すごい! すごいです! タプちゃん!!」
ぎゅぅぅ
タプリス「わたし、やりました! 花火、ちゃんとできたんです!!」
ラフィエル「ええっ、見てました! 見てましたとも!」
タプリス「よかった……ほんとに良かった……」
ラフィエル「よく頑張りましたね、タプちゃん」ナデナデ
タプリス「えへへ、嬉しい……で――」クラッ
バタンッ
ラフィエル「タ、タプちゃん!?」
タプリス「すぅ……すぅ……」
ラフィエル「タプちゃん、眠って……?」
ラフィエル「ふふっ、そうですね。一晩中、かき混ぜていたんですから」
ラフィエル「緊張の糸が切れてしまったんですね」
ラフィエル「……花火を打ち上げるのは、今晩ですから」
ラフィエル「それまでは、ゆっくり休んでくださいね、タプちゃん」ナデナデ
タプリス「すぅ……すぅ……」
- 39 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/18(木) 22:15:14.240 ID:SC0ZLkla0.net
-
-その日の晩 老人ホーム 屋上-
じいさん「ふんっ、こんなところに連れ出して、ワシをどうする気じゃ!」
じいさん「寒いったらないぞ! ああ、寒い!」
タプリス「も、もう少しだけ、待っててくださいね」
ラフィエル「すみません、無理を言って、屋上を開けてもらって」
女職員「いえ、良いですよ。私も楽しみにしていましたから」
女職員「それよりも、本当に花火が打ち上がるんですか?」
ラフィエル「ええ、タプちゃんが、頑張ってくれましたから」
タプリス「こちらは準備できましたっ!」
タプリス「あとは……白羽先輩、結界は問題ないです?」コソッ
ラフィエル「ええ、大丈夫ですよ。周りから花火は完全に見えませんし、聞こえません」
タプリス「ありがとうございます、助かります!」
タプリス「それでは、おじいさん」
タプリス「約束通り……おじいさんに、打ち上げ花火を贈ります!」
タプリス「わたしが作った、この……錬金花火のドンドン丸で!」
パサッ
じいさん「なんじゃ、そのケッタイな球は」
タプリス「これを今から、夜空に打ち上げますよ!」
じいさん「なんだって?」
- 40 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/18(木) 22:17:14.582 ID:SC0ZLkla0.net
-
タプリス「では……いきますよ! せーのっ!」
シュボッ
じいさん「……」
タプリス「……」
じいさん「……何も起こらんぞ?」
タプリス「あれ? おかしいですね……」ズイッ
ラフィエル「タプちゃん、危ないですよ!」
タプリス「えっ?」
シュボッボッボッ ドンッ
タプリス「わっ! わわっ!!」
ヒュゥゥゥン ドォォォォォォォンッ
キラキラキラッ
タプリス「わぁ……」
ラフィエル「す、すごい……」
女職員「綺麗……ですね」
ヒュゥゥン ヒュゥン ドォォン ドォォォォンッ
キラキラッ キラキラキラッ
じいさん「……こ、これは」
じいさん「これは……あの時の……、あいつの……」
ヒュゥゥゥン ドォォォォォォォンッ
キラキラキラッ
じいさん「あいつが好きだった……あの光、じゃないかッ」
- 41 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/18(木) 22:18:09.198 ID:WpOnOtpG0.net
- 支援
- 42 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/18(木) 22:19:11.627 ID:SC0ZLkla0.net
-
ヒュゥゥゥン ドォォォォォォォンッ
キラキラキラッ
タプリス「おじいさん……花火、どうでしたか?」
じいさん「……嘘つき呼ばわりして、悪かった」
タプリス「いえ、平気です! だって、こうやって実際に……」
タプリス「花火をお見せすることが、できたんですから」ニコッ
じいさん「……ッ」
じいさん「……そうやって笑うの、やめてくれんか」
タプリス「えっ?」
じいさん「お前さんはな、あいつの若い頃にそっくりすぎるんじゃ」
タプリス「わ、わたしと……?」
じいさん「とにかく花火が大好きで、ワシにいつも」
じいさん「花火大会がここであるから、一緒に行こうと手を引っ張って……」
じいさん「しかも、無理やりじゃぞ?」
じいさん「それで各地の花火大会に、連れて行かされたわ」
タプリス「そうだったんですか……」
じいさん「でも、あいつがいなくなってからは……」
じいさん「花火を見ることもなくなった。見たくもなかったのかもしれん」
じいさん「なのに、ワシはまた……花火を見てしまったんじゃ」
じいさん「この世にはまだ、こんなに綺麗なもんが……」
じいさん「あったんじゃな……」
タプリス「はい……まだまだ、たくさんありますよ」
- 43 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/18(木) 22:21:12.636 ID:SC0ZLkla0.net
-
じいさん「え?」
タプリス「綺麗なものなんて、それこそ、この世界には山ほどあります」
じいさん「そう……なのか?」
タプリス「わたしが、おじいさんに見せてあげますよ!」
タプリス「これからも、たくさんたくさん、綺麗で感動できるものを!」
じいさん「……カカッ、言ったな?」
じいさん「せいぜい、期待せずに待っていることにしようかの」
タプリス「ふふっ、驚いたって知りませんからっ」
じいさん「ああ、そうじゃ」
タプリス「なんですか?」
じいさん「最近な、少し腰の調子がよくないんじゃ」
タプリス「えっ」
じいさん「お前さん、薬もってるんじゃろ?」
じいさん「今度来るとき、持ってきてくれ」
タプリス「あ……」
じいさん「いいな?」
タプリス「はいっ」ニコッ
ラフィエル「ふふっ、すっかり仲良しさんですね」
女職員「ええ、信じられません。あの方があんな表情されるなんて」
女職員「本当に、本当にありがとうございます」
ラフィエル「いえいえ。全ては、タプちゃんの頑張りですから」ニコッ
じいさん「だから、そう笑うなと、言ってるじゃろうが!」
タプリス「ご、ごめんなさい〜!」
- 44 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/18(木) 22:23:36.671 ID:SC0ZLkla0.net
-
-数日後 老人ホーム-
タプリス「ふふっ、腰のお薬、五種類も作ってきてしまいました」
ラフィエル「あらあら、張り切ってますね」
タプリス「ええ、障害が大きいほど、やりがいがありますから!」
ラフィエル「喜んでくれるといいですね」
タプリス「こんなたくさん持ってきて、どうする気じゃバカタレー!」
タプリス「って、言われそうですけど」
ラフィエル「ふふっ、ありえそうです」
-老人ホーム じいさんの個室-
コンコンッ
タプリス「こんにちは、失礼します」
タプリス「来ましたよー……って」
シーンッ
タプリス「あ、あれ……誰もいない?」
タプリス「というか、色々あった物も綺麗になくなってますね……」
ラフィエル「……ッ」
タプリス「白羽先輩? どうしました?」
ラフィエル「い、いえ、なんでもありません」
ラフィエル「それよりもタプちゃん。今日は……帰りましょうか」
タプリス「えっと……おじいさんがどこに行ったのか」
タプリス「わたし、聞いてきます!」
タッタッタッ
ラフィエル「あ、タプちゃん!? 待ってください!」
- 45 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/18(木) 22:25:17.002 ID:SC0ZLkla0.net
-
-老人ホーム 職員控室-
タプリス「……うそ……ですよね?」
女職員「いえ、本当の話よ」
タプリス「だって、ほら……先週末はあんなに……」
女職員「一昨日の晩、ね。ここから、緊急搬送されてしまって」
女職員「そのまま……息を引き取ったそうよ」
タッタッタッ
ラフィエル「タプちゃん!」
タプリス「し、白羽先輩……」
ぎゅぅ
タプリス「うそ……うそに決まってます……そんなの……」ポロポロ
ラフィエル「……ッ」
女職員「白羽さんは……ご存知なのね?」
ラフィエル「先ほど、お部屋で……なんとなく察しました」
女職員「……そう」
タプリス「……だって、おじいさん、わたしの腰の薬を待ってたんです」
タプリス「あの、若いもんの力なんぞ借りるかって」
タプリス「言っていたおじいさんが、ですよ?」
ラフィエル「タプちゃん……」
- 46 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/18(木) 22:27:14.592 ID:SC0ZLkla0.net
-
タプリス「これから、たくさん、たくさん……」
タプリス「この世界の綺麗なものを見せてあげるって……」
タプリス「感動させてあげるって、約束したのに……」
タプリス「こんなの……こんなのって、あんまりじゃないですかッ!」
タプリス「あんまり、ぐすっ……じゃないですか……」
女職員「……」
タプリス「……あの方は、幸せだったんでしょうか」
ラフィエル「……えっ?」
タプリス「最期の最期で、あんな花火を、わたしに見せられて」
タプリス「本当はつらい思いを、させてしまっただけではないでしょうか」
女職員「……そんなことありませんよ」
タプリス「えっ」
女職員「これは……あの方の部屋にあった写真立てです」
女職員「……写真を見てみてください」
タプリス「これには、奥さんとの写真が……って、え?」
女職員「あの日の翌日に、私に言ってきたんです」
タプリス「う、うそ……」
女職員「昨日の夜の花火の写真、撮ったんじゃろう? 飾るから寄越せ! って」
タプリス「……ッ」
女職員「そんなことを言う方が、つらい思いだなんて、していたと思いますか?」
タプリス「あ……あぁっ……」フルフル
女職員「嬉しかったからに、決まっているじゃないですか」
タプリス「あぁぁぁぁぁぁっっ!」
- 47 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/18(木) 22:29:13.414 ID:SC0ZLkla0.net
-
ぎゅぅぅ
ラフィエル「タプちゃん……」
タプリス「ぐすっ……ひっく……」
ラフィエル「おじいさんも、今ごろ向こうで言っていますよ」
ラフィエル「あいつへの最高の手土産をもらった、って」
タプリス「先輩……せんぱぁい……」
ラフィエル「……」ナデナデ
――
ラフィエル「落ち着いた?」
タプリス「……は、はい。ご迷惑をおかけしてすみません」
ラフィエル「いえ、良いんですよ」ニコッ
女職員「こんなことがあったばかりだけど……」
女職員「あなたたちは、どうするの?」
女職員「私としては、これからも来てくれると助かるんだけど……」
タプリス「はい、もちろんです」
タプリス「困っている人がいる限り、わたしは……」
タプリス「どこにだって行きますから」
ラフィエル「私は……タプちゃんが行くところなら、どこへでも」
女職員「ありがとう、本当に助かるわ」ニコッ
- 48 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/18(木) 22:31:11.366 ID:SC0ZLkla0.net
-
-数日後 ラフィエルの家-
タプリス「白羽先輩……わたし、決めました」
ラフィエル「タプちゃん?」
タプリス「今回の件で、自分自身のことがよくわかったんです」
タプリス「わたしが本当にやりたいことを、見つけられたんです」
ラフィエル「……」
タプリス「わたし、この錬金術で……」
タプリス「もっとたくさんの人たちを、笑顔にしたいです」
タプリス「そして、困っている人たちを、助けてあげたいです」
タプリス「わたしにできることなんて、ちっぽけかもしれませんけど」
タプリス「それでもわたしは、この目の届く範囲だけでも」
タプリス「みんなに幸せを届けたいんです」
ラフィエル「……私、言いましたよね」
ラフィエル「錬金術は、あくまでも手法の一つ」
ラフィエル「それをどう使うかは、タプちゃん次第なんです」
ラフィエル「だから私は、タプちゃんのしたいことを、ずっと応援しますよ」
タプリス「白羽先輩……ありがとうございます!」
ラフィエル「いえいえ、それにですね……」
ラフィエル「私が小さい頃に思い描いていた夢が、まさに……」
ラフィエル「タプちゃんが目指そうとしている場所、そのものなんですからっ」ニコッ
- 49 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/18(木) 22:32:25.906 ID:WpOnOtpG0.net
- 支援
- 50 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/18(木) 22:34:03.699 ID:SC0ZLkla0.net
-
- 一年後 舞天市郊外の借家 -
ドタッ ドタドタッ
ラフィエル「タプちゃん、次の依頼の品、できてますか!?」
タプリス「えっとえっと……、これですね、はい!」
ラフィエル「これは、次の次の依頼品ですよ!」
タプリス「えっ、ほんとですか!?」
ラフィエル「急いで作っちゃってください! 素材は私が取ってきますから!」
タプリス「ごめんなさいっ! お願いしますっ!!」
タプリス(こうして舞天市の郊外に、小さなお家を借りた、わたしたちは)
タプリス(そこで、お客さんからの依頼を受け、錬金術による調合品を提供する)
タプリス(いわゆる、アトリエ、というものを始めました)
タプリス(最初は、全くお客さんの来ない日々が続きましたが)
タプリス(最近では、口コミで市内に評判が広がり)
タプリス(知る人ぞ知る何でも屋として、てんてこ舞いな毎日を送っています)
- 51 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/18(木) 22:36:44.044 ID:SC0ZLkla0.net
-
ラフィエル「タプちゃん! そういえば、ご依頼された方が」
ラフィエル「今日、来店するって言ってました!」
ラフィエル「だから、そろそろ……」
ピンポーン
タプリス「あ、もう、いらっしゃったみたいです!」
ラフィエル「ごめんなさいっ、私、今、手が離せなくてっ!」
タプリス「わ、わたしが出ます!」
タプリス(こんなドジばかりなわたしですけど)
タプリス(白羽先輩のお手を、多々煩わせながら……)
タプリス(なんとか人々の手助けができている、そんな近況です)
タプリス(ですが……こんな現状で、満足はしていられません)
タプリス(一人でも多くの人に笑顔を届けるのが、わたしの願いなんです)
タプリス(だって、わたしは……錬金術士なんですからっ!)
ガチャ
タプリス「いらっしゃいませっ!」
タプリス「タプリスのアトリエへ、ようこそっ!」
おしまい
- 52 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/18(木) 22:38:54.493 ID:J3RaLcmq0.net
- 乙
- 53 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/18(木) 22:41:25.742 ID:7rx+2ZPyd.net
- 不覚にも泣いた
- 54 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/18(木) 22:42:55.399 ID:8M/bcUlwa.net
- はやく時空の卵とかNAとか作ろう
- 55 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/18(木) 22:43:48.441 ID:WpOnOtpG0.net
- 錬金術師になればお金に不自由しないと
思っていた時期もありました乙。
- 56 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/18(木) 22:58:19.768 ID:johaxHa/p.net
- オヅ!
- 57 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/18(木) 23:01:25.386 ID:SC0ZLkla0.net
- タプリスは笑顔の多い日ばかりじゃない
- 58 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/18(木) 23:27:36.779 ID:4NxtsGA90.net
- タプちゃんかわいい
- 59 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/18(木) 23:40:20.593 ID:J8avRc+Ua.net
- タプちゃんの中の人はエスロジに出てたな
- 60 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/18(木) 23:42:45.399 ID:SWLotn/Hd.net
- エロスジだと?
- 61 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/19(金) 00:26:49.101 ID:6pBGPAi20.net
- 天使だから四極天の知恵書とか簡単に作れそう
総レス数 61
55 KB
掲示板に戻る
全部
前100
次100
最新50
read.cgi ver 2014.07.20.01.SC 2014/07/20 D ★