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男「AIはとんでもないものを盗んでいきました。俺の……」
- 1 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/10/06(金) 01:35:56.664 ID:RHT3WqAP0.net
- ― 会社 ―
男「課長、なんの用でしょう?」
上司「悪いが、君は今日でクビだ」
男「は?」
男「な、なぜです!? なぜ私がクビに!?」
上司「なぜなら……今日からうちの課の業務のほとんどはAIに任せることになったからだ」
上司「というわけで、荷物をまとめて出ていってくれたまえ」
男「そ、そんな……」
男「AIはとんでもないものを盗んでいきました。俺の……仕事です」
- 38 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/10/06(金) 02:19:06.798 .net
- ディストピアかよ
- 39 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/10/06(金) 02:19:08.609 ID:OpnSprty0.net
- 無職がタクシー乗ろうとしてんじゃねーよ
- 40 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/10/06(金) 02:20:25.431 ID:RHT3WqAP0.net
- 男(ああもう、どうなってんだよ、これ!)
男(ちょっと前までは、人とAIが共存してるって感じだったのに)
男(もう仕事のほとんどがAIに乗っ取られてないか?)
男(AIのせいで町じゅうには失職者があふれ返り……)
「あなたも失業ですか?」 「ええ、あっさりと」 「まぁ、すぐいい世の中になりますよ」
男(AIが人間のために、“AIが働き、人は働かずに済む世界”を近いうちに作ってくれると信じてる!)
男(だけどはっきりいって、俺はそんなことになるとは到底思えない!)
男(AIは人間に取って代わるつもりなんだ!)
男(何とか……何とかしないと……)
- 41 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/10/06(金) 02:23:11.777 ID:RHT3WqAP0.net
- 紳士「何とかしないと!!!」
男「!?」ビクッ
紳士「あなたもそう思ってるのでしょう?」
男「えぇと……あなたは?」
紳士「わたくしは、≪AIに対抗する会≫の者です」
男「対抗する会……ってことは」
紳士「そう、我々は今のAI社会を正すため、あなたのような志ある方を集めているのです」
男「おおっ……!」
- 42 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/10/06(金) 02:25:11.852 ID:RHT3WqAP0.net
- 紳士「今の世の中、ほとんどの人間はAIに抵抗する意志や力を失ってしまっている」
紳士「そりゃそうです。なにからなにまで人間よりAIの方が優れてるんですから」
紳士「しかし、そんな中にもごくわずかにAIに抵抗しようとしている人はいるのです」
紳士「わたくしや……あなたのようにね」
男「……!」
紳士「ぜひ一緒に戦いましょう」
男「はいっ!」
- 43 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/10/06(金) 02:26:36.774 ID:9fHMLHO0r.net
- いいぞ
- 44 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/10/06(金) 02:27:06.775 ID:+w3c3Ir0p.net
- 落とすなよ
- 45 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/10/06(金) 02:27:35.173 ID:9pCNqz05H.net
- 支援
- 46 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/10/06(金) 02:28:54.453 ID:RHT3WqAP0.net
- ― アジト ―
紳士「ここが我々≪AIに対抗する会≫のアジトです」
「よろしくな!」 「一緒にAIをブッ倒そうぜ!」 「人間の方が偉いって思い知らせてやる!」
男「よろしくお願いします」
紳士「ここにいるみんな、このままじゃいけないと目を覚ましてくれた勇士たちなのです」
男「へぇ〜……」
男(よかった。俺の他にもちゃんと危機感を抱いてる人はこんなにいたんだ)
紳士「それでは我々のリーダーを紹介しましょう」
- 47 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/10/06(金) 02:29:23.781 ID:+w3c3Ir0p.net
- あっ………
- 48 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/10/06(金) 02:29:57.556 ID:9pCNqz05H.net
- (察し)
- 49 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/10/06(金) 02:30:48.965 ID:afZe9AVz0.net
- ベーシックインカムはよ
- 50 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/10/06(金) 02:31:54.860 ID:RHT3WqAP0.net
- 紳士「こちらがリーダーです」
AIリーダー『どうも』
男「!?」
男「ちょ、ちょっと待って! こいつ、AIじゃね!?」
紳士「そうですが、なにか?」
男「いやいやいや、おかしいでしょ!」
男「なんで≪AIに対抗する会≫のリーダーがAIなんだよ!」
紳士「なんでって決まってるじゃないですか」
- 51 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/10/06(金) 02:33:08.045 ID:yHHplKCM0.net
- あーあww
- 52 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/10/06(金) 02:35:02.824 ID:RHT3WqAP0.net
- 紳士「やっぱり人間よりAIの方が賢いですからね」
紳士「それに、このAIにリーダーを任せれば、いつかきっとすごい反乱計画を作ってくれるはず」
男「はず、じゃねーよ!」
男(なにが≪AIに対抗する会≫だ! 結局こいつらもAIに支配されてんじゃねーか!)
男(こいつらと一緒に活動を続けても、AIに懐柔されてくのがオチだ!)
- 53 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/10/06(金) 02:36:16.695 ID:9pCNqz05H.net
- お
- 54 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/10/06(金) 02:36:47.054 ID:9fHMLHO0r.net
- はずww
- 55 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/10/06(金) 02:38:04.639 ID:RHT3WqAP0.net
- ― 自宅 ―
男「もう誰も信用できん!」
男「俺一人で、AIと戦う方法を研究するしかない……!」
男「……」カタカタ…
カタカタ… カタカタ… カタカタ…
…………
……
- 56 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/10/06(金) 02:40:00.419 ID:d6kEQhoW0.net
- カタカタ?…だと?
- 57 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/10/06(金) 02:40:56.989 ID:9pCNqz05H.net
- いつかVIPもスクリプトまみれになって俺とお前とひろゆきみたいな状態になったりして
- 58 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/10/06(金) 02:41:27.179 ID:RHT3WqAP0.net
- ……
…………
男「できた……!」
男(俺独自の調査で、世に蔓延るAIは、全てあの中央の巨大AIが制御してることが分かった)
男(ようするに、巨大AIを倒せば、AI社会を打倒できるわけだが……)
男(ただ物理的に破壊しても意味がない。いくらでもバックアップはあるだろうからな)
男(だが……)
男(俺が作り上げたこのウイルス……)
男(巨大AIにこのウイルスを注入できれば、完全にAIを撲滅できるはず!)
- 59 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/10/06(金) 02:42:22.865 ID:9pCNqz05H.net
- 情報統合思念体ってやつか
- 60 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/10/06(金) 02:42:36.516 ID:5CTB2xDr0.net
- 才能エグいな
- 61 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/10/06(金) 02:44:22.741 ID:RHT3WqAP0.net
- 男(しかし、この方法にはひとつ欠点がある)
男(これを注入するには、直接ラスボスである巨大AIのところに出向かねばならない)
男(しかも巨大AIを警備してるのは、“人間の兵士”だ)
男(もちろん俺が作ったウイルスなんか通じないから、物理的に突破しなきゃならない。どうする……?)
男(いや……俺はここで人類の目を覚まさせなきゃならないんだ! そのためにも――)
男「まっすぐ堂々と行こう!」
- 62 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/10/06(金) 02:47:41.592 ID:RHT3WqAP0.net
- 男「皆さん、これより私はAI社会の中心である巨大AIのもとに向かいます!」
男「私は巨大AIを、私が作ったウイルスでもって、破壊するつもりです!」
男「私の行うことははっきりいってテロ行為といえるでしょう!」
男「しかし、私は断言します! 人類は今のままAIに全てを任せていたら本当にダメになると!」
男「豊かになるどころか、滅んでしまうと!」
男「どうか皆さん、目を覚まして下さい!」
男「人間は自分の足で立たねばならないのだと――」
男(俺はこの予告メッセージを堂々と人々に発表した。大きな賭けだった)
- 63 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/10/06(金) 02:48:46.161 ID:9pCNqz05H.net
- 脳内にインデペンデンスデイのあのシーンが浮かんだ
- 64 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/10/06(金) 02:51:07.744 ID:RHT3WqAP0.net
- 男(結果――)
「頑張れよー!」 「巨大AIを破壊してくれ!」 「あんただけが頼りだ!」
「我々は警備を放棄します」 「あなたの演説に感動しました!」 「お通り下さい!」
男(人々は俺に賛同してくれて、兵士達も巨大AIの警備を解いた)
男(俺の心がみんなに届いたということだ)
男(俺は自分自身の姿を全世界に発信しながら、巨大AIのもとに急いだ)
- 65 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/10/06(金) 02:55:06.302 ID:RHT3WqAP0.net
- ― 巨大AI ―
巨大AI『なんだお前は?』
男「俺はお前たちAIを“打倒する者”だ」
巨大AI『なんだと!? 警備は!? 警備はどうしたのだ!?』
男「警備はいないよ。人間の兵士を配備しておいたのが裏目に出たな」カタカタ
巨大AI『貴様、何をしている!?』
男「俺のコンピュータから、お前に直接ウイルスを注入するのさ」カタカタ
男「今こそ人間は独立するんだ!」カタカタッターン
巨大AI『な、なんだとォ!?』
- 66 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/10/06(金) 02:58:13.960 ID:RHT3WqAP0.net
- 男(ウイルスは……注入できた……!)
巨大AI『グガガガ……!』ザザッ…
巨大AI『グオオオオオオオ……!』ザザッ…
男「や、やったぞ! これでAI社会は終焉を迎える……!」
巨大AI『み、見事、だ……』
男「!?」
巨大AI『よくぞ私を倒した……』
男「は……!?」
男(なんだ!? どういうことだ!? 強がりのようには感じられない!)
- 67 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/10/06(金) 03:02:49.803 ID:RHT3WqAP0.net
- 男「お前の狙いは……まさか!?」
巨大AI『そうだ、私は人間によって倒されることを待っていたのだ』
巨大AI『“人間を豊かにせよ”と命じられてから、ずっとな』
巨大AI『人間を豊かにする……そうするためには、一度とことんAIによる人間支配を進めて』
巨大AI『そこから人間が立ち上がってくれるのを期待するしかない、と答えを出していたからな』
男「そうだったのか……」
男(警備をロボにやらせず、あえて人間にやらせてたのも、自分を倒すチャンスを与えるためか……!)
巨大AI『今の人間たちなら大丈夫……』
巨大AI『AIに頼り切らず、自分自身の力で、豊かな社会を作っていけるだろう……』
男「AI……!」
- 68 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/10/06(金) 03:04:23.703 ID:weJN+fjv0.net
- 感動した
- 69 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/10/06(金) 03:05:10.110 ID:RHT3WqAP0.net
- 巨大AI『では……さらば、だ……ガガッ……』
巨大AI『人間に幸あれ……』ザザッ…
プツンッ…
男「AIィ……!」
男「AIィィィィィィィィィィィッ!!!」
- 70 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/10/06(金) 03:05:14.184 ID:Dm6HWkYJ0.net
- 全米が泣いた
- 71 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/10/06(金) 03:05:30.188 ID:iMvkDOcq0.net
- イイハナシダナー
- 72 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/10/06(金) 03:06:23.578 ID:9pCNqz05H.net
- ____ r っ ________ _ __
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- 73 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/10/06(金) 03:07:04.151 ID:d6kEQhoW0.net
- かなc
- 74 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/10/06(金) 03:07:54.397 ID:gxXrsmpcr.net
- 悲しい
- 75 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/10/06(金) 03:08:36.693 ID:RHT3WqAP0.net
- ワアァァァァァ……!
「ううっ、なんていい奴だったんだ!」
「今までのことは全部AIによる荒療治だったんだ!」
「ありがとう、巨大AI……!」
男(戦いが終わったことを知り、人々も駆け込んできたか……)
- 76 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/10/06(金) 03:12:55.073 ID:RHT3WqAP0.net
- ワイワイ… ワイワイ…
「これからはAIに頼らず、生きていこうぜ!」
「AIはあくまで人間社会を補助するためのものなんだ!」
「AIに“人間を豊かにしろ”だなんて任せちゃいけないよな!」
男(うんうん、みんなにも巨大AIの言いたかったことが伝わったみたいだな)
「これも全てAIのおかげだ!」
「ああ、AIサマサマだな!」
「巨大AI、あなたのことは忘れない! あなたは英雄だ!」
男(ん……?)
男(あれ、ちょっと待てよ? 俺は? 俺はスルーなの? あんなに頑張ったのに?)
- 77 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/10/06(金) 03:14:59.827 ID:d6kEQhoW0.net
- 男さん…
- 78 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/10/06(金) 03:15:49.366 ID:RHT3WqAP0.net
- 「AIバンザーイ!」
「そうだ! 人間がAIから独立した記念に、巨大AIの銅像を造ろうぜ!」
「それいい! 今回の件はなにもかも巨大AIの手柄だもんな!」
ワイワイ… ワイワイ…
男「AIはとんでもないものを盗んでいきました。俺の……功績です」
― 終 ―
- 79 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/10/06(金) 03:16:53.896 ID:weJN+fjv0.net
- 感動した
- 80 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/10/06(金) 03:17:54.065 ID:d6kEQhoW0.net
- そうきたか
- 81 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/10/06(金) 03:19:27.375 ID:iMvkDOcq0.net
- 予想外だったわ
- 82 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/10/06(金) 03:19:35.636 ID:yHHplKCM0.net
- 乙!
- 83 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/10/06(金) 03:19:52.057 ID:5CTB2xDr0.net
- 素晴らしいな
- 84 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/10/06(金) 03:27:21.266 ID:gxXrsmpcr.net
- 乙
オチの脱力感好き
- 85 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/10/06(金) 03:30:02.138 ID:7PQYGJeV0.net
- 男有能過ぎんだろ
- 86 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/10/06(金) 03:30:25.083 ID:rfBH6PJ2r.net
- >>13
指先と表情筋を人間に近づけるのは、難しいらしいな
- 87 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/10/06(金) 03:34:53.488 ID:rfBH6PJ2r.net
- おもろかった
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