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厨二妄想サラスヴァティ

416 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/07/08(日) 19:36:58.001 ID:CaTik6itd.net
<父親の思い出>
「親父、か……」
「あんたのお父さんってどんな人なの?」
「……あんまり接点がないんだ。俺が小さい頃から単身赴任で、家にもあんまり戻らなかった。元が転勤族だったのもあるし、異動が多かったんだろうな」
「ふーん……」
「遊んでもらった記憶もほとんどない。たまに帰ってきた時に一緒にテレビとか見たこともあるけど、何日かしたらすぐ帰っちゃったし」
「寂しくなかった?」
「俺自身、根っからのお母ちゃんっ子だったからなあ。今にして思えば、同じ男同士として交流を持っておくべきだったと思う」
「そしたら、尚更元の世界に帰らなきゃ。成長した所を見てもらおうよ」

「……できないんだ。もう、親父には会えない。去年、病気で逝ってしまったから……」
「! ごめん、あたし……」
「いや、いいんだ。母さんから聞いたんだけどさ、親父は、自分の身体が弱ってることを隠して働き続けていたらしいんだ。
 病院にも行ってなくて、身体に限界が来た時にはもう……手遅れだったって。だから、きっと仕方のないことだったんだよ」
「……どうして、そんなになってまで……」
「俺は、親父じゃないから正確にはわからない。だけど、親父が働いて稼いだお金で俺も母さんも不自由なく暮らせていたことを考えれば……想像はつく」
「家族のために……?」
「そうだと信じたい。じゃなきゃ、最期を一人で迎えた親父があまりにも……孤独すぎるじゃないか。
 不器用だったかも知れないけど、それでも俺にとってはたった一人の親父だったから」
「……そうね。あんたがそう思ってくれるなら、お父さんも安心できると思うわ」

「……だけど、一緒に酒を飲んで見たかったなあ。なあ、親父……」

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