■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
喪黒福造「心の底から分かりあえる友達が欲しいでしょう?」 元自衛官「そうかもしれませんね……」
- 1 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/08/13(月) 20:56:15.223 ID:jSwuBCZND.net
- 喪黒「私の名は喪黒福造。人呼んで『笑ゥせぇるすまん』。
ただの『せぇるすまん』じゃございません。私の取り扱う品物はココロ、人間のココロでございます。
この世は、老いも若きも男も女も、ココロのさみしい人ばかり。
そんな皆さんのココロのスキマをお埋めいたします。
いいえ、お金は一銭もいただきません。お客様が満足されたら、それが何よりの報酬でございます。
さて、今日のお客様は……。
森本良治(33) 元自衛官
【友情の絆】
ホーッホッホッホ……。」
- 2 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/08/13(月) 20:57:48.636 ID:kXDTMipM0.net
- 友情の絆て ダサいしよく分からん
- 3 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/08/13(月) 20:58:22.952 ID:jSwuBCZND.net
- 夏のある日。都会の街の中を行く多くの通行人たち。
サラリーマン、女性、若者、親子連れ……、通行人たちは皆、半袖姿だ。
工事現場。炎天下の中、汗だくとなりながら道路工事を行う男たち。
土木作業員たちは、ヘルメットをかぶり、長袖の作業服を着ている。
テロップ「森本良治(33) 元自衛官・土木作業アルバイト」
荷車に積まれたコンクリの欠片を運ぶ森本。
歩道を歩く通行人たちは、土木作業員たちの姿には全く目もくれようとしない。
昼。休憩しながら昼食をとる土木作業員たち。
コンビニ弁当を食べながら、会話をする土木作業員たち。
一方、土木作業員たちのグループから浮いた森本は一人で昼食をとっている。
森本(昨日も、今日も、明日も、将来も……。俺は孤独な人生を送り続けるのか……)
森本の顔には哀愁の表情が浮かんでいる。
- 4 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/08/13(月) 20:59:21.064 ID:ailHw/2jd.net
- どーーーーーーーーーーーん!!
- 5 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/08/13(月) 21:00:31.783 ID:jSwuBCZND.net
- 休日。アパート。部屋の中で筋トレをする森本。森本は、腕立て・腹筋運動・スクワットをしている。
森本「ハッ……。ハッ……。ハッ……」
バッティングセンター。バットを持ち、打席に立つ森本。機械から発射されるボールに、森本が振ったバットが当たる。
彼が打ったボールは、綺麗な弧を描きながら飛んでいく。
バッティングセンターの中には喪黒福造もいる。遠くの方から森本の打席を眺める喪黒。
喪黒は、ゆっくりと森本の方へと近づく。
機械から発射されるボール。例の如く、森本はボールをジャストミートさせる。
喪黒「ナイスバッティング!!」
森本「うおっ!!び……、びっくりしたあっ!!」
喪黒「いやぁ……。それにしても上手なバッティングですねぇ」
「機械から発射される剛速球を、何度何度も見事にヒットさせるとは……」
森本「まぁ、その……。俺は中学と高校のころ、野球部に所属していましたからね……」
喪黒「それでですか……」
- 6 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/08/13(月) 21:00:38.949 ID:kXDTMipM0.net
- いや友情の絆て
- 7 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/08/13(月) 21:02:06.142 ID:mteBdOPz0.net
- 笑ゥせぇるすまんって絶対最後不幸になるから嫌い
- 8 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/08/13(月) 21:02:29.052 ID:jSwuBCZND.net
- 森本「でも、俺は変化球を打つのは苦手なんですよ……」
「さっき、俺が打っていたボールの球種はどれもストレートですから……」
喪黒「じゃあ、今度は変化球のバッティングにも挑戦してみてください」
森本「えっ!?」
喪黒「苦手なものにチャレンジしてみるのも、たまには悪くないでしょう」
森本「そ、そうですか……。じゃあ、今度は変化球で……」
打席に立つ森本。機械からは変化球が発射される。
森本が勢い振ったバットに、ボールは見事命中する。拍手する喪黒と驚く森本。
喪黒「お見事!!」
森本「あ、当たった……。こんなことが……」
喪黒「どんなに苦手なものであっても、苦手意識を克服すると得意分野になります」
森本「そ、そうですか……」
喪黒「何事も積極性が必要ですよ。チャレンジ精神、一歩を踏み越える勇気……」
森本「は、はあ……」
- 9 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/08/13(月) 21:04:10.485 ID:kXDTMipM0.net
- 友情の絆とは
- 10 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/08/13(月) 21:04:34.098 ID:jSwuBCZND.net
- 喪黒「あなたは直球が打てるけど、変化球を打つのは苦手……」
「これを世渡りに置き換えるなら……。くそ真面目で誠実だけど、そのせいで対人関係が苦手……」
「そうでしょう!?」
森本「そ、そうですよ!!よくそこまで、人のことを見抜けますね……!!」
喪黒「いやぁ……。仕事柄、長年、人間の観察を行ってきたおかげでしてねぇ……」
喪黒が差し出した名刺には、「ココロのスキマ…お埋めします 喪黒福造」と書かれている。
森本「……ココロのスキマ、お埋めします?」
喪黒「私はセールスマンです。お客様の心にポッカリ空いたスキマをお埋めするのがお仕事です」
森本「変わったお仕事ですね……」
喪黒「あなたの心にもスキマがおありのようですねぇ。何なら、相談に乗りましょうか?」
BAR「魔の巣」。喪黒と森本が席に腰掛けている。
喪黒「ところで森本さん、お盆休みに帰省とかはしないのですか?」
森本「俺には帰るべき実家がないのですよ。なぜなら、俺は両親がいないですし……」
「親戚の家に泊まるってのは何かと気を使いますからね……」
喪黒「これは、悪いことを聞きましたなぁ……。すみません」
- 11 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/08/13(月) 21:05:11.951 ID:kXDTMipM0.net
- 友情の絆
- 12 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/08/13(月) 21:06:35.284 ID:jSwuBCZND.net
- 森本「俺は、生まれてからある時期まで神戸市で育ちました。あの1995年までは……」
喪黒「1995年……。阪神大震災ですか?」
森本「はい。俺は震災で両親を亡くしたんです」
喪黒「それは、誠にお気の毒ですなぁ……」
森本「倒壊した自宅に埋もれ、意識を失っていた俺は……。自衛隊員によって救出されました」
「だから、俺は……。今こうやって生きているわけです」
喪黒「この体験がきっかけで、あなたは自衛隊員になろうと決心したのでしょう!?」
森本「はい、そうですよ。両親を亡くした俺は、親戚のもとで少年時代を送り……」
「高校卒業とともに自衛隊に入隊しました」
喪黒「自衛隊での生活はどうでしたか……?」
森本「訓練の厳しさには何とか耐え抜きました。とはいえ、集団生活はきつかったですね……」
喪黒「辛かったでしょう?」
森本「ええ……。ですが……、国を守るために頑張っているんだというやりがいはありましたね」
喪黒「あなたは真面目ですねぇ」
- 13 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/08/13(月) 21:07:59.503 ID:kXDTMipM0.net
- 友情の絆
- 14 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/08/13(月) 21:09:22.382 ID:jSwuBCZND.net
- 森本「自衛隊は若い自衛官が多いですから、30歳を前に辞める人たちが多いんですよ」
「だから、自衛隊を辞めた後のことを考え、俺は20代のころにいろいろ資格を取りました」
「三流大学とはいえ、通信教育を受けて大卒の学歴も取得しましたよ」
喪黒「実に感心なお方ですなぁ……」
森本「だが、自衛隊を除隊した後……。いざとなると就職活動で困難が続きました」
「正社員になろうとしたものの、会社の面接では何度も不採用が続き……」
「今に至るまでアルバイトで食いつないできました」
喪黒「いやぁ、大変ですねぇ……」
森本「生活面よりも、むしろ……。俺が苦しんでいるのは他人となじめないということです」
喪黒「長い間、自衛隊に所属していた影響で……、社会に溶け込むのに苦労しているのですか?」
森本「それだけじゃ、ありません。俺はもともと、性格的に集団になじめないんです」
「だから……。無理をして集団に溶け込むことで、協調性を身につけようと努力はしたんですけどね……」
喪黒「あなたが中学や高校のころ、野球部に所属していたのもそういうことでしょう?」
森本「はい」
喪黒「じゃあ、あなたは友達を持ったことは……」
- 15 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/08/13(月) 21:10:51.693 ID:kXDTMipM0.net
- 友情の絆
- 16 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/08/13(月) 21:11:28.168 ID:jSwuBCZND.net
- 森本「……ないですね。一応、話し相手を作ることはできるんですけど……」
「心の底から分かりあえる友達というものに巡り合ったことは、一度もないんですよ……」
喪黒「それじゃあ……、世渡りで苦労しますよねぇ」
森本「ええ……。アルバイトも、結局、集団になじめないまま職種を転々とし続けました……」
喪黒「ストレスもたまる一方でしょう?」
森本「もちろんですよ」
喪黒「寂しいですねぇ、森本さん……。そんなあなたも、内心では……」
「心の底から分かりあえる友達が欲しいでしょう?」
森本「そうかもしれませんね……」
「孤独な生活に耐えていても……。心のどこかでは、分かりあえる仲間を欲しているのでしょうね」
喪黒「自分と生い立ちやタイプが近い相手が見つかれば、お互い分かりあえるものですよ」
「社会は広いですから……。職場によっては、元自衛官の人たちもたくさんいるはずです」
「あなた以外にも……」
森本「今のところ……。バイト先でそういう人たちに巡り合ったことは、一度もありませんね……」
喪黒「警備会社とかは、元自衛官や元警察官が退職後に就職することが多いですよ」
「森本さんは、警備会社で働いたことは……」
森本「今まで、一度もありませんでした……。喪黒さんに指摘されて、ハッとしましたよ」
- 17 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/08/13(月) 21:14:13.763 ID:jSwuBCZND.net
- 喪黒「じゃあ、決まりです。今度、警備会社の仕事の面接を受けてみたらどうです?」
森本「バイトの面接で……、ですか?」
喪黒「正社員採用の面接に決まっていますよ。警備会社なら、あなたも正社員になるチャンスはあります」
森本「果たして、うまくいきますかね……」
喪黒「大丈夫です!必ずうまくいきます!」
「ほら、バッティングセンターで変化球のボールを打った時のことを思い出してください」
森本「どういうことです!?」
喪黒「どんなに苦手なものであっても、苦手意識を克服するのが成功につながるんですよ」
「それと……。積極性、チャレンジ精神、一歩を踏み越える勇気……!!」
森本「じゃあ、喪黒さんのアドバイス通り、警備会社の面接を受けてみますか……」
喪黒「そうです、その意気です!!そんな森本さんに、私が気合を入れてあげましょう……」
喪黒は森本に右手の人差し指を向ける。
喪黒「さぁ、私の手をよーく見ててください……」
「ドーーーーーーーーーーーン!!!」
森本「うわああああああああ!!!」
- 18 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/08/13(月) 21:16:16.028 ID:jSwuBCZND.net
- 数日後、ある警備会社。スーツを着た森本良治がパイプ椅子に座り、就職面接に臨んでいる。
森本が書いた履歴書を眺める面接官。
面接官「森友さんは、元自衛官で……。現在は土木作業のアルバイトをしているのですね?」
森本「はい……」
面接官「森本さんは集団行動に慣れていそうだし……、体力にも自信がありそうですよね」
「あなたのような人材を、うちの会社は求めていたんですよ……」
森本「えっ、それでは……」
面接官「森本さん。あなたを採用します」
美術館。館内では、有名な画家の作品の展覧会が行われている。
美術館を訪れ、絵画を鑑賞する一般市民たち。その陰では、警備員たちが仕事をしている。
建物の中にいる警備員たちの中には、もちろん森本の姿もいる。
ある日の夜。とある企業のビル。懐中電灯を持ち、ビルの中を仲間たちと巡回する森本。
社員たちが帰った建物の廊下のタイルに、警備員たちの靴の足音が響く。
休憩時間。仕事仲間たちと缶コーヒーを飲み、話をする森本。
- 19 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/08/13(月) 21:16:55.117 ID:aGB8ESJy0.net
- 友情の絆キチガイ負けてやんの。ざまあw
- 20 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/08/13(月) 21:18:18.273 ID:jSwuBCZND.net
- テロップ「福井健彦(36) 元自衛官・警備員」「川口泰造(33) 元自衛官・警備員」
福井「それにしても……。元自衛官が3人もここに揃うとはなぁ……」
森本「ええ……。俺と似たような境遇の人間がここにいたとは意外でした」
川口「それだけじゃあ、ありません……。俺たちは年齢も比較的近いですから」
福井「森本……。お前は俺たちと案外気が合いそうだよなぁ……」
森本「俺もそう思いますね……」
休憩時間を終え、仕事を再開する森本。彼の側には福井や川口もいる。
BAR「魔の巣」。喪黒と森本が席に腰掛けている。
喪黒「森本さん、最近どうです?」
森本「面接は成功し……、俺は正社員になれました。警備員の仕事は、意外と俺に向いていたようです」
喪黒「よかったですなぁ、森本さん。その調子ならおそらく……、友達も見つかったと思いますよ」
森本「ええ、見つかりましたよ……。心から気の合う人間が何人かできました」
喪黒「警備会社で知り合った友人には、あなたと同じ元自衛官の人もいますよねぇ?」
- 21 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/08/13(月) 21:20:24.699 ID:jSwuBCZND.net
- 森本「もちろんです。喪黒さんに警備会社への面接を紹介されたおかげで……、俺の人生は変わりました」
「喪黒さんには本当に感謝しています」
喪黒「こうやって感謝されて、実に身に余る思いです……」
「ですがね……。森本さんには、私の方からアドバイスしておきたいことがあります」
森本「は、はあ……」
喪黒「友達のためならば、相手の耳触りのいいことばかりではなく、時には苦い忠告も必要なのです」
「ほら……。昔から、良薬は口に苦しと言いますからねぇ……」
森本「は、はい……」
森本「約束してください。友達が間違ったことをやろうとしたなら、はっきりノーを言うべきです」
「間違ったことには、優しくも厳しくいさめる……。それが本当の友情関係なのですよ」
森本「わ、分かりました……。喪黒さん」
数日後の夜。居酒屋チェーン店。店内には、森本・福井・川口に、もう一人仲間がいる。
一同「カンパーイ!!!」
テロップ「大沢誠司(35) 元警察官・警備員」
- 22 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/08/13(月) 21:22:25.571 ID:jSwuBCZND.net
- 福井「また、大企業の不祥事か……」
大沢「こんなあくどいことをやってる奴が、一流上場企業の社長だなんて……」
森本たち4人は、店内にあるテレビのニュースを見ながら何かを話している。
福井「こういう連中の会社を警備するなんて、俺たちはたまったもんじゃねぇなぁ」
森本・福井・川口「そうだ!そうだ!」
森本「こういう悪人が不正な金を儲け、好き放題やってる……。実に胸糞が悪い話ですね」
川口「全く、時代劇や小説の世界なら仕置き人が出てきてもおかしくないのに……」
福井「でも、現実の世界では……。こういう金と権力を持った悪党がのうのうとのさばっている」
川口「俺たちに力があれば、こいつらに一泡吹かせられるんだが……」
大沢「やりようによっては、奴らの鼻を明かすことは可能かもしれんぞ……」
福井「もしも、そんなことができるのなら……。面白そうだな。一体、どんなやり方なんだ!?」
話が白熱する4人。彼らの会話の内容は、雲行きが徐々に怪しくなっていく。
- 23 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/08/13(月) 21:22:34.418 ID:S0MyPJ/y0.net
- 久々に見た
期待
- 24 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/08/13(月) 21:24:30.184 ID:jSwuBCZND.net
- ある日の夜、ビジネス街。とある大企業。駐車場には、大型のワンボックスカーが停車している。
建物の中には、警備会社の制服を着た4人――福井・大沢・川口・森本がいる。
懐中電灯を持ち、仲間を先導する福井。廊下をゆっくりと歩く4人。
4人はなぜか、背中にリュックサックを背負っている。
彼らの表情は真剣そのものだが、警備をしている時とはどこか違っている。
建物の奥へ奥へと向かう4人。そして――。彼らはある部屋へと辿りつき、息をのむ。
部屋の左側の壁には、銀色の金属でできた大型の扉がある。
一同「着いたぞ……」「ここが……、金庫室か……」
扉の前にいる大沢。彼が何やら操作をした時、「ガチャッ」と音を立てて扉が開く。
会社を後にする4人。夜の道路を、福井が運転するワンボックスカーが走っている。
福井「俺たちも、とうとう犯罪に手を染めてしまったな……」
大沢「でも……、俺たちよりもこの会社の方が何百倍も悪いんだよな」
川口「ああ。だって、この会社は悪徳企業として有名だから――」
- 25 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/08/13(月) 21:27:18.448 ID:S0MyPJ/y0.net
- 昨夜BSトゥエルビで放送してたね
- 26 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/08/13(月) 21:27:54.249 ID:jSwuBCZND.net
- 車内にいる3人の会話を聞き、後ろめたい表情になる森本。
森本(俺は酒に酔ったはずみで、金庫破りの計画に賛成してしまった……)
森本の頭の中に喪黒の忠告が思い浮かぶ。
(喪黒「友達が間違ったことをやろうとしたなら、はっきりノーを言うべきです」)
さらに森本の頭には、福井・大沢・川口の3人の顔が浮かぶ。仕事場や居酒屋で笑顔で談笑する光景とともに――。
福井「もう、後戻りはできんな……。俺たちは、この後どうすればいい?」
森本「こうなったら、徹底的にやり抜こう!!積極性、チャレンジ精神、一歩を踏み越える勇気!!」
福井・大沢・川口「おおっ、いいこと言うな!!何だか吹っ切れてきたぞ!!」
早朝。空に太陽が昇りかけている。住宅街を歩き、帰り道を行く森本。
森本(アパートの契約は解除しよう……。4人でとことん逃げ延びてやろう……。今の俺にはそれしかない……)
考え事をしながら歩く森本。彼が角を曲がったその時――。目の前には喪黒福造がいる。
喪黒「森本良治さん……。あなた約束を破りましたね」
森本「も……、喪黒さん……!!」
- 27 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/08/13(月) 21:28:48.865 ID:exsQndUsd.net
- 来たか
- 28 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/08/13(月) 21:31:01.731 ID:jSwuBCZND.net
- 喪黒「私はあなたに忠告しました。友達が間違ったことをやろうとしたなら、はっきりノーを言うべきだ……と」
「それなのに、あなたは……。金庫破りに参加した上に、彼らの犯罪行為を止めるどころか……」
「むしろ、積極的に加担しようとしているではないですか!」
森本「で、でも……、喪黒さん……!!俺は……、俺は……!!」
「心から分かりあえる友人に……、かけがえのない仲間に……、やっと巡り合えたんです!!」
喪黒「森本さん……。間違ったことには、優しくも厳しくいさめてこそ……、真の友情ですよ」
森本「お、俺は友達を失いたくありません……!!せっかく出会えたのに……!!」
喪黒「分かりました……。あくまでも今の仲間を選ぶというのなら……、そうすればいいでしょう!!」
「ですが……、どのようなことになっても私は知りませんよ!!」
喪黒は森本に右手の人差し指を向ける。
喪黒「ドーーーーーーーーーーーン!!!」
森本「ギャアアアアアアアアア!!!」
1年後。東京都内のある駅。駅の壁に貼られたポスターの側を、大勢の通行人たちが通り過ぎていく。
そのポスターとは、そう――。警察が作った全国指名手配のポスターだ。
指名手配のポスターには、福井・大沢・川口・森本の4人の顔写真と名前が記載されている。
- 29 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/08/13(月) 21:32:14.680 ID:S0MyPJ/y0.net
- ドーンキタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!
- 30 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/08/13(月) 21:34:12.309 ID:s4vX62YTa.net
- 俺自衛官
久々の休暇
- 31 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/08/13(月) 21:34:16.941 ID:jSwuBCZND.net
- ある街の家電量販店。店にあるテレビがニュースショーを映す。番組は、連続窃盗事件の特集をしている。
テレビ「例の窃盗団は、企業の金庫破りを全国で繰り返しており……。現在、被害額は数億円を超えています……」
「グループのメンバーは、福井健彦容疑者、大沢誠司容疑者、川口泰造容疑者、森本良治容疑者の4人です……」
文化人「警察の威信にかけてでも、この窃盗団は逮捕すべきです。彼らの一連の犯罪は悪質ですよ」
タレント「企業を狙い、義賊気どりのつもりなのでしょうけど……。やっていることは犯罪に他ならないですからね」
高速道路を行くワンボックスカー。車の中には、窃盗団と化した福井・大沢・川口・森本の4人が乗っている。
一同「俺たちは仲間だ!!死ぬも生きるも一緒、どこまでもやり抜いていやる!!」
車内にいる4人の顔つきは、生き生きした表情だ。
パーキングエリアで、高速道路を走る例の4人の車を見つめる喪黒。
喪黒「人間が人生を歩む上で、心の支えとなるかけがえのないもの……。それが友人の存在です」
「古来より今に至るまで……、友人の大切さや友情の美しさは様々な物語のテーマとなってきました」
「まさかの時こそ真の友とはよくぞ言ったものですが……、友人を助けるやり方は時と場合によります」
「友人が間違ったことをしようとしている時、彼を思って心から忠告ができるかどうかは……」
「普通の人には難しいものです。本当の友情の意味とは一体何なのでしょうか……、ねぇ、森本良治さん」
「オーホッホッホッホッホッホッホ……」
―完―
- 32 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/08/13(月) 22:27:05.845 ID:SAeVxSrxa.net
- おつ
- 33 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/08/13(月) 22:57:18.155 ID:S0MyPJ/y0.net
- 乙
面白かった
総レス数 33
21 KB
掲示板に戻る
全部
前100
次100
最新50
read.cgi ver 2014.07.20.01.SC 2014/07/20 D ★