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喪黒福造「普通の人間としての暮らし、味わってみませんか!?」 独裁国家要人「そんなの無理ですよ」

1 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/08/16(木) 15:29:08.339 ID:ff+8Ij5sD.net
喪黒「私の名は喪黒福造。人呼んで『笑ゥせぇるすまん』。

    ただの『せぇるすまん』じゃございません。私の取り扱う品物はココロ、人間のココロでございます。

    この世は、老いも若きも男も女も、ココロのさみしい人ばかり。

    そんな皆さんのココロのスキマをお埋めいたします。

    いいえ、お金は一銭もいただきません。お客様が満足されたら、それが何よりの報酬でございます。

    さて、今日のお客様は……。

    崔英男(45) 独裁国家要人

    【普通の人生】

    ホーッホッホッホ……。」

2 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/08/16(木) 15:31:16.967 ID:ff+8Ij5sD.net
ナレーション「2018年――」

夜。東京、ある寿司屋。カウンターで客たちが食事をしている。客の中には喪黒福造もいる。

店の中にある液晶テレビがニュースを流している。

テレビ「本日、シンガポールで歴史的な米朝首脳会談が行われました」

テレビの画面には、アメリカの大統領と北朝鮮の最高指導者の姿が映っている。

テレビ「トンプソン大統領と崔英恩委員長が握手を交わしています」

テロップ「崔英恩(チェ・ヨンウン) 朝鮮労働党委員長・北朝鮮第3代最高指導者」

崔英恩は口元に笑みを浮かべてはいるものの、目つきは決して笑っていない。

権謀術数に長けた独裁者らしく、何かを企んでいるような顔つきにも見えなくもない。

客たちと一緒にテレビを見る喪黒。

喪黒「…………」

モノローグ「このニュースを見て、私は、1年前に出会ったあの人のことを思い出しました」

3 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/08/16(木) 15:33:21.436 ID:ff+8Ij5sD.net
ナレーション「2017年2月――」

羽田空港。高そうなコートを羽織り、スーツにノーネクタイの太った中年男性。

テロップ「崔英男(チェ・ヨンナム) (45) 北朝鮮最高指導者・崔英恩の兄」

崔英男を出迎えるヤクザの男たち。彼らは高価なスーツを着ているが、目つきが悪く、いかがわしい雰囲気を醸し出している。

ヤクザたち「あなたをお待ちしておりました。『山田社長』」

崔英男は電気自動車の後部座席に乗り、ある目的地へと向かう。


ビジネス街。ビルの上の階のある部屋。この部屋で、崔英男は白髪頭の初老の人物と会っている。

初老の男のスーツの左胸の部分には、金バッジがついている。彼は普通の社長とは違う威厳の持ち主だ。

初老の男「さすが、あなたの国で生産された『製品』は質が高いですな」

崔英男「まあ、私の『商売』はあまり褒められたものではないんですがね」

崔英男の顔は、どこか苦々しそうな表情をしている。

4 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/08/16(木) 15:35:27.935 ID:ff+8Ij5sD.net
夕方。東京のある下町。居酒屋。

サラリーマンの客たちに交わりながら、崔英男は酒を飲んでいる。崔英男の隣にいる客は、喪黒福造だ。

客たちと話をし、談笑する崔英男。闇社会の関係者との商談の時とは違い、彼の表情は実に楽しそうだ。

やがて時間が経過し、サラリーマンの客たちは次々と去っていく。店の中にいる客は、崔英男と喪黒の2人だけだ。

喪黒「あなたのお仕事は?」

崔英男「『実業家』ですよ」

喪黒「あなたの話言葉には、『訛り』がおありのようですねぇ」

崔英男「私は『地方』出身者ですからね」

喪黒「商売はうまくいってますか?」

崔英男「ぼちぼちですね。人には言えない気苦労がありますから」

喪黒「大変ですなぁ。何なら、私があなたの相談に乗りましょうか」

喪黒が差し出した名刺には、「ココロのスキマ…お埋めします 喪黒福造」と書かれている。

崔英男「ココロのスキマ、お埋めします!?」

5 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/08/16(木) 15:37:21.406 ID:ff+8Ij5sD.net
喪黒「私はセールスマンです。お客様の心に空いたスキマをお埋めするのがお仕事です」

崔英男「は、はあ……」


BAR「魔の巣」。喪黒と崔英男が席に腰掛けている。

喪黒「居酒屋を出た時に気がついたんですが……。これ、あなたの落し物ですよ」

喪黒は机の上にバッジを置く。

喪黒「これは北朝鮮で使用されているバッジですね」
   「バッジに描かれている人物は、北朝鮮の建国の父・崔日柱(チェ・イルジュ)でしょう」

崔英男「!!!」

バッジを見て顔色が変わる崔英男。彼は動揺した様子になる。

喪黒「あなた、日本の方ではありませんねぇ……。もしかすると、不法入国でしょう」
   「ほら、過去に……。あなたは不法入国で本国に強制送還されていますよねぇ……!?」

崔英男「●▲■★◆○▽☆、●▲■★◆○▽☆(お前は共和国の工作員で、英恩が送り込んだ刺客なのか)!?」

喪黒「私は北朝鮮の工作員でも、崔英恩が送り込んだ刺客でもありませんよ。崔英男さん」

崔英男「●、●▲■★◆○▽☆●▲■(な、なぜ私が崔英男だと分かった)!?」
     「●▲■★、●▲■★(お前は一体、何者なんだ)!?)」

6 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/08/16(木) 15:39:23.295 ID:ff+8Ij5sD.net
喪黒「いやぁ、私はセールスマンですよ。他のセールスマンとは一味違っていますがね……」

崔英男「…………」

喪黒「まあ、少しはリラックスしたらどうです。私は怪しいものではありませんから」

崔英男「ウーーーム……」

喪黒「私はお仕事で、人々の心のスキマを埋めるボランティアをしているのですよ」

崔英男「そうですか……」

喪黒「見たところ……。あなたの心にもスキマがおありなようですねぇ……」

崔英男「ええ、その通りですよ。私は私なりに、辛い思いをしていますから……」

喪黒「今のあなたの辛さは、一般人には言い表せないものでしょう。何しろ、崔英男さんは……」
   「独裁国家の指導者の長男として生まれ、権力闘争に敗れた挙句……」
   「現在、最高指導者となった弟に命を狙われる身……」

崔英男「あなたの言う通りですよ。できれば、私も普通の人間に生まれたかった……」
     「さっき、居酒屋に集まっていたサラリーマンたちのように……」

喪黒「なるほど……」

崔英男「普通の人間としての人生……。平凡人でありながら、人並みの幸せ……」
     「これらはどんなに大金を払っても、私には手に入れられないものですからね……」

7 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/08/16(木) 15:41:19.494 ID:ff+8Ij5sD.net
喪黒「私が何とかしてあげましょう」

崔英男「えっ!?」

喪黒「普通の人間としての暮らし、味わってみませんか!?」

崔英男「そんなの無理ですよ」

喪黒「無理ではありません。私ならできます」

崔英男「一体、どんなやり方なんですか!?」

喪黒「それはですね……」

喪黒は鞄から何かを取り出す。

机の上に置かれたのは、表紙に「人生体験サービス」と書かれた分厚いパンフレットだ。

崔英男「これは……」

喪黒「大人向けの人生体験、職業体験ができるサービスです」
   「あなたのお望みの職業……。あなたのお望みの家庭……。これらを2日間だけ体験できます」
   「あなたが体験したいお好きなコースを、このパンフレットからお選びください」

8 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/08/16(木) 15:43:23.402 ID:ff+8Ij5sD.net
崔英男「面白そうですね……」

崔英男は、喪黒から渡されたパンフレットを開く。

喪黒「お決まりになりましたか!?」

崔英男「はい。じゃあ、このサラリーマンコースをお願いします。妻と一人息子がいる家庭もセットで……」

喪黒「たやすい御用です。崔英男が体験するサービスは、今晩から2日間のものとなっております」

崔英男「今晩からですか……。早いですね」

喪黒「2日間だけ、このパンフレットで指定された家庭と会社でサラリーマンの生活を送ることができます」

崔英男「何だかわくわくしますね……」

喪黒「ただし、このサービスを体験できるのは2日間だけです。いいですね、約束ですよ」

崔英男「わ、分かりました……。喪黒さん」


夜。吊り革を持ち、電車に乗る崔英男。彼は、安物のスーツにネクタイをしたサラリーマンの服装をしている。

崔英男(『藤子企画』に勤めるサラリーマン・『山田英男(やまだ・ひでお)』……)
     (それが、人生体験サービスで選んだ今の俺だ……)

9 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/08/16(木) 15:45:25.471 ID:ff+8Ij5sD.net
東京郊外のある住宅。塀にある表札には「山田」の名字が書かれている。

住宅の玄関の前に立ち、ドアを開ける「山田英男」こと崔英男。

崔英男「ただいまー!!」

女性と子供「お帰りー!!」

崔英男を出迎えたのは、妻役の女性と、息子役の子供だ。

妻は30代後半のように見えるし、子供は小学生のように見える。


夜中。寝室には、崔英男、妻役、息子役の3人の布団が並んでいる。3人は眠っている。

夢を見る崔英男。彼の過去に起きた光景が、夢の中に次々と出てくる。


北朝鮮、平壌。父・崔英日に、執務室へ呼ばれる崔英男。

テロップ「崔英日(チェ・ヨンイル) 朝鮮労働党総書記・北朝鮮第2代最高指導者」

崔英日「情けない奴め!お前は私の後継者になる資格などない!」

10 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/08/16(木) 15:48:11.308 ID:ff+8Ij5sD.net
ある日。建物の中で会話をする崔英男と弟・崔英恩。

崔英恩「お兄様は甘いんですよ。世の中というものは、権力闘争によって成り立っています」
     「だから……。美辞麗句と嘘によって他人を騙し抜き、邪魔者は速やかに始末する……」
     「生き残りの秘策はそれしかありません」


さらにある日。執務室で、崔英日と崔英男は会話をしている。

崔英男「国内の餓死者をこれ以上、放っておいていいんですか!!」
     「改革開放政策を導入すれば、飢えに苦しむ人民を救うことができますよ!!」

崔英日「お前は修正主義者か!!地上の楽園である我が共和国に餓死者などおらん!!」


朝。目を覚ます崔英男。部屋の中には、妻役の女性と、息子役の子供が布団に寝ている。

崔英男(ああ、そうだった……。今の俺は、崔英男ではないんだった……)
     (俺は例のサービスによって、サラリーマンの山田英男になっているんだったな……)

台所。妻役の女性や、息子役の子供と食事をする崔英男。

息子役の子供がランドセルを背負い、家を出る。

息子役「行ってきまーーーす」

11 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/08/16(木) 15:50:17.766 ID:ff+8Ij5sD.net
ビル街。「藤子企画」の看板がついたビルがある。

建物の部屋の中には、社員役の人間たちがいる。山田英男こと崔英男も社員役を演じている。

机に向かう崔英男。彼はボールペンを持ち、書類に何かを書いているようだ。


午後。タクシーに乗る山田英男こと崔英男。

崔英男(架空の仕事内容に、架空の商談……。これがサラリーマンコースか……)

喫茶店。山田英男こと崔英男は、相手の会社役の男性と架空の商談を行う。

商談を終え、握手をする崔英男と相手の会社役の男性。


夕方。BAR「魔の巣」。喪黒と崔英男が席に腰掛けている。

喪黒「例のサービスはいかがですか、崔英男さん!?」

崔英男「人生体験サービスは、意外と手の込んだ作りになっていますね……」
     「おかげで……。今の私は、独裁国家の要人で異分子という普段の立場をすっかり忘れ……」
     「精神的にも……。東京に住む一サラリーマンに完全になりきっていますよ」

12 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/08/16(木) 15:52:23.339 ID:ff+8Ij5sD.net
喪黒「サラリーマンコースのご感想は!?」

崔英男「なかなか楽しいですね。ああ、こういう仕事にこういう生活があったのか……と思いましたよ」

喪黒「あなたが満足できれば、私としては何よりですよ」
   「ただし、約束は守ってください。今のサービスを利用できる期限は2日間……、明日の夕方までですよ」

崔英男「え、ええ……。そりゃあ、承知していますよ……」


夜。東京郊外のある住宅。

台所で食事をしながら団欒を行う崔英男、妻役の女性、息子役の子供。

この一家の大黒柱・山田英男を演じている崔英男の顔は、笑顔で楽しそうだ。


夜中。寝室で眠る崔英男、妻役の女性、息子役の子供。この日も、崔英男は過去の光景を夢に見る。

東南アジア某国のホテル。レストランでコーヒーを飲もうとする崔英男。

次の瞬間、彼が持ったコーヒーカップが粉々に砕け散る。部屋の窓ガラスには銃弾の跡がある。

13 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/08/16(木) 15:55:06.663 ID:ff+8Ij5sD.net
携帯電話を持ち、通話をする崔英男。彼の通話相手は、弟で北朝鮮最高指導者の崔英恩だ。

崔英恩「やぁ、お兄様。私からの『贈り物』はいかがでしたか!?」
     「腕のいい狙撃手を使って、あなたが死なないように巧妙に狙いを定めておきましたよ」

崔英男「お、お前は……」

汗だくとなり、目が覚める崔英男。

崔英男(夢か……。何て、嫌な夢なんだ……。これが私の……、今までの人生なのか……)
     (独裁国家の最高指導者の一族に生まれ、権力闘争に敗れた上に、弟に命を狙われる人生……)
     (こんな人生は嫌だ……。せめてもう少し、私は『日本人・山田英男』として生きていたい……)


朝。台所で食事をとる山田一家こと、崔英男・妻役の女性・息子役の子供。崔英男は新聞を見ている。

昼。架空の会社「藤子企画」。崔英男は、机の上にある電話に向かって何かを話しているようだ。


夕方。BAR「魔の巣」。喪黒と崔英男が席に腰掛けている。

崔英男「あの、喪黒さん……。例のサービス、もう1日だけ延長させてください……」

喪黒「いいえ、なりません。あのサービスは2日間だけ、それが約束でしたよねぇ」

14 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/08/16(木) 15:57:17.855 ID:ff+8Ij5sD.net
崔英男「喪黒さん、もう1日だけお願いします!!普通の人生のありがたみを、もう少し味わいたいのです!!」
     「せめて、あと1日間だけ……!!これは、私の一生の願いです!!」

喪黒「仕方ないですねぇ……。では、今回は特別にあと1日分だけサービスの延長を認めましょう」
   「ただし……、あなたに何が起きても私は知りませんよ!!」

喪黒は崔英男に右手の人差し指を向ける。

喪黒「ドーーーーーーーーーーーン!!!」

崔英男「ギャアアアアアアアアア!!!」


夜中。寝室で眠る崔英男、妻役の女性、息子役の子供。夢を見る崔英男。

夢の中では、山田英男としての崔英男が、息子役の子供と公園でキャッチボールをしている。

妻役の女性が、キャッチボールをする崔英男と息子役を優しく見守っている。


朝。目を覚ます崔英男。

崔英男(いつもと違い、いい夢を見た……)
     (これで何も思い残すことなく、残り1日分は「山田英男」として人生を送れる……)

15 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/08/16(木) 15:59:16.745 ID:ff+8Ij5sD.net
藤子企画。上司役の男性が、山田英男こと崔英男の席へ寄ってくる。

上司役「山田君、君に重要な仕事が入った。今すぐ、北海道まで行ってくれないか」

上司役が崔英男に飛行機の旅券を渡す。


羽田空港。山田英男こと崔英男が、旅客機の座席に座っている。

旅客機の中には大勢の客たちと、客室添乗員の服装の女性がいる。彼女は崔英男の元へ向かう。

すっかり山田英男になりきった崔英男は、彼女のことを全く警戒していない。

客室添乗員の姿の女性がスカートの中から拳銃を取り出し、崔英男へと発砲する。

パァン!!!パァン!!!彼女が撃った弾は、崔英男の心臓と額に命中する。


絶命し、座席で首を垂れる崔英男。次の瞬間……。

住宅街にあった「山田家」の自宅も……、ビル街にあった「藤子企画」のオフィスも……。

空気に溶けるように消えていく。まるで、最初から存在していなかったかのように……。

16 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/08/16(木) 16:01:26.556 ID:ff+8Ij5sD.net
旅客機の中。

乗客たち「うわあ、人殺しだああ!!!」「おい!!こいつ、銃を持っているぞ!!!」

客室添乗員に変装した北朝鮮工作員の女性が、こめかみに拳銃を当てて自殺を図る。パァン……!!!

彼女は、そのまま旅客機の床へと崩れ落ちるように倒れる。


ある市街地。新聞の号外を配達員が通行人たちに配っている。新聞の見出しは「崔英男氏、暗殺される」だ。

新聞配達員「号外ーっ!!!号外でーす!!!」


テレビ局。女性アナウンサーが、崔英男のニュースを速報で伝えている。

アナウンサー「北朝鮮の崔英恩委員長の兄・崔英男氏が、旅客機の中で何者かに暗殺されました」


家電量販店にあるテレビ。通行人たちは立ち止り、大型テレビのニュースを見ている。

テレビ「警視庁の調べによると……、崔英男氏を殺害した女性の衣服からは……」
    「北朝鮮指導者の肖像画が描かれたバッジが見つかっています……」

17 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/08/16(木) 16:05:18.343 ID:ff+8Ij5sD.net
ナレーション「2018年――」

東京、ある寿司屋。店の中にあるテレビは、米朝首脳会談のニュースを伝えている。

客たちとともにテレビを見つめる喪黒。

テレビ「本日、シンガポールで歴史的な米朝首脳会談が行われました……」

客A「思いつきで動くアメリカの大統領に……、得体の知れない北の指導者……」
   「こんな連中に振り回されるなんて、日本も大変だよなぁ……!」

客B「北朝鮮は日本人を拉致しているんだぞ!人さらい国家の独裁者なんか信用できるかよ!」


夜。寿司屋を出る喪黒。

喪黒「平凡な人間として生まれ、普通の生活を送り、人並みの人生を送る……。これらは一見当たり前のように見えます」
   「ですが……。こういう当たり前の人生を送りたくても送れない人たちも、世の中には一定数存在しているのです」
   「それに……。当たり前で人並みとされる幸せも、いざ無くしてみると、人間はそのかけがえのなさに気付くわけです」
   「普通の人間としての平凡な人生と、人並みの幸せ……。一般人にとって、そのありがたみは普段は気付きにくいものです」
   「1年前、旅客機の中で暗殺されたあの人は……。崔英男としてではなく『山田英男』として死にたかったのではないでしょうか」
   「オーホッホッホッホッホッホッホ……」

喪黒が歩く道を星空が照らす。夜空には無数の星とともに、崔英男の顔が浮かび上がっている。

                   ―完―

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