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喪黒福造「あなたのために優秀な整体師を紹介してあげますよ」 総合格闘家「優秀な整体師……ですか」

1 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/08/30(木) 18:23:37.460 ID:AbHgWH8RD.net
喪黒「私の名は喪黒福造。人呼んで『笑ゥせぇるすまん』。

    ただの『せぇるすまん』じゃございません。私の取り扱う品物はココロ、人間のココロでございます。

    この世は、老いも若きも男も女も、ココロのさみしい人ばかり。

    そんな皆さんのココロのスキマをお埋めいたします。

    いいえ、お金は一銭もいただきません。お客様が満足されたら、それが何よりの報酬でございます。

    さて、今日のお客様は……。

    武蔵(32) 総合格闘家

    【極上の整体】

    ホーッホッホッホ……。」


2 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/08/30(木) 18:24:26.273 ID:ysCAWG310.net
関係ないけど一度岸辺露伴のもとに喪黒福造来てほしい

3 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/08/30(木) 18:25:50.471 ID:AbHgWH8RD.net
テロップ「2000年代――」

東京、日本武道館。総合格闘技「SHUTSU-ZIN(シュツジン)」の試合が行われている。

リングの上に立つのは、ソフトモヒカンの髪形の日本人選手と、スキンヘッドのロシア人選手だ。

テロップ「総合格闘技『SHUTSU-ZIN』 武蔵 ― アレクサンドル・ガルシン」

武蔵が繰り出す機関銃のようなパンチに対し、両腕で必死にガードをするガルシン。

観客たち「ム・サ・シ!!ム・サ・シ!!ム・サ・シ!!」

武蔵のキックが、ガルシンの顔面に命中する。歓声が上がる観客席。


テロップ「2018年――」

東京。ジムの中で練習を行う武蔵。グローブをはめた武蔵が、サンドバッグを殴っている。

テロップ「武蔵(32) 総合格闘家・『SHUTSU-ZIN』世界王者  本名は佐原武蔵」

練習中の武蔵を見守る、ジムに所属する若者たち。

若者たち「『SHUTSU-ZIN』世界王者の座をずっと守り続け……」「この年になっても実力と肉体を維持し続ける……」
      「強さや勝利を追及し、練習熱心でストイック……」「しかも弱音は吐かない。まさに、武蔵さんは男の中の男だよ……」


4 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/08/30(木) 18:27:59.349 ID:AbHgWH8RD.net
練習を終え、所属ジムを出てしばらく道を歩く武蔵。しばらくして、彼は電柱に右手をついて立ち止まっている。

武蔵の表情は、どことなく辛そうなものに見える。


数日後。住宅街の中をジョギングする武蔵。彼はトレーニングウェアを着ている。

武蔵「ハッ……。ハッ……。ハッ……。ハッ……」

武蔵は道を走り続けたものの、次第に顔は辛そうな表情になっていく。

公園。ベンチの上に腰かける武蔵。今の武蔵は、全身が汗だくで、懸命に苦痛に耐えているような顔だ。

ベンチに座る武蔵の姿を、公園内にいるあの男――喪黒福造が見つける。ベンチに近づき、武蔵の隣に座る喪黒。

喪黒「おっ、あなたは……。もしかすると、『SHUTSU-ZIN』世界王者の武蔵さんではないですか!?」

武蔵「え、ええ……。そうですよ。俺が武蔵ですよ……」

喪黒「ならば、ちょうどいいところです。サインをお願いしますよ」

喪黒は鞄から色紙とサインペンを取り出す。

5 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/08/30(木) 18:30:15.496 ID:AbHgWH8RD.net
武蔵「こ、こんな感じでいいんですか!?」

ペンを持ち、色紙に名前を書く武蔵。サインを終えた彼は、色紙を喪黒に渡す。

喪黒「どうも、ありがとうございます……。ん!?若干、文字が震えているように感じますが……」
   「ひょっとしてお疲れなのですか!?それとも、身体の具合がどこか悪いのですか!?」

武蔵「い、いや……。俺はいたって健康ですよ……。だから、今日もジョギングをやっていて……」

喪黒「痩せ我慢はよくないですよ、武蔵さん。今のあなたは、どう見ても辛そうな顔をしています」
   「ジョギング中に、こうやって公園のベンチに座っているのも……。疲れているから……」
   「武蔵さん。現在のあなたは、心身ともに限界を迎えているのではないですか!?」

武蔵「うっ……!!」

喪黒「どうやら図星のようですねぇ……。武蔵さん、あなたの身体はもうボロボロです」
   「なぜなら、長年に渡り……。総合格闘家として試合や練習で身体を酷使し続けてきたから……」
   「その結果が、あなたの今の身体に現れているのです!」

武蔵「……あなたのおっしゃる通りです。俺はもう、引き際の時なのかもしれません……」
   「ここまで俺のことを見抜くとは……。あなた、一体何者なんですか!?」

喪黒「私はセールスマンです。仕事柄、長年、人間の観察を行ってきたおかげですよ」

喪黒が差し出した名刺には、「ココロのスキマ…お埋めします 喪黒福造」と書かれている。


6 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/08/30(木) 18:32:16.479 ID:AbHgWH8RD.net
武蔵「ココロのスキマ、お埋めします?」

喪黒「私はセールスマンです。お客様の心にポッカリ空いたスキマをお埋めするのがお仕事です」
   「まあ、ボランティアみたいなものですよ」

武蔵「は、はあ……」

喪黒「私も仕事柄、何かと身体を酷使しがちなんですよ」
   「何しろ、セールスマンというのはあちこちを動き回る仕事ですからねぇ……」

武蔵「確かに……」

喪黒「そうやって疲労した肉体を回復させるために、ぴったりなもの……」
   「何といっても、マッサージ、整体でしょう……。全身に効くんですよ、これが……」

武蔵「マッサージや整体ですか……」

喪黒「ボロボロになったあなたの肉体も、マッサージや整体で復調させることが可能なはずです」
   「健康法としても、治療法としても……。今の武蔵さんには、これ以上なく打ってつけだと思いますよ」

武蔵「うーーーん……」

喪黒「武蔵さん。あなたのために優秀な整体師を紹介してあげますよ」

武蔵「優秀な整体師……ですか。一体どこの誰なんです、その人は……?」

喪黒「意外と近くにいますよ。さあ、私と一緒にその店に行きましょう。今すぐに……」


7 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/08/30(木) 18:34:13.645 ID:AbHgWH8RD.net
とあるビル。建物の玄関前には、「中国整体 志玲」と書かれた看板がある。

待合室のソファーに腰掛ける喪黒と武蔵。

喪黒「ここの整体師は、非常に優れた腕を持っています」
   「特に……。店を経営している志玲さんは、整体の技術では世界で指折りと言えるでしょう」

武蔵「そんなにすごいんですか」

喪黒「そうですよ」

喪黒と武蔵の前に、白衣を着た女性が大蛇を従えながら姿を現す。若くて、妖絶な美貌を持った女性だ。

テロップ「葉志玲(27) 整体師」

志玲「こんにちはーー、喪黒サーン」

喪黒「やぁ、志玲さん。私の隣にいる方は、『SHUTSU-ZIN』で有名な武蔵さんですよ」

武蔵の身体や顔の側に、大蛇が人懐っこそうに寄ってくる。思わず目を丸くする武蔵。

志玲「大蛇を怖がらないなんて……。さすが、百戦錬磨の格闘家ですネ」

大蛇は志玲の側に戻る。


8 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/08/30(木) 18:36:14.276 ID:AbHgWH8RD.net
施術室の中に入る喪黒と武蔵。専用の服に着替えた2人は、ベッドで横になる。

女性の助手による整体を受ける喪黒。志玲による整体を受ける武蔵。

武蔵「うっ……。くうっ……」

志玲「だいぶ、凝っているようですネ。武蔵サン」

武蔵(これが……、本格的な整体なのか……。今の俺の身体に、間違いなく効いてるようだ……)

総合格闘家のチャンピオンの身体をもみほぐす志玲。まるで、動物を手なずけているかのようにも見える……。


整体を終え、ソファーに座る喪黒と武蔵。2人はコップに入ったジャスミンティーを飲んでいる。

喪黒「どうです、武蔵さん。この店の整体は……?」

武蔵「予想以上の効き目ですよ。店に入る前の俺は、全身の痛みと疲労に苦しんでいましたが……」
   「今ではそれがすっかりなくなっていて……。まるで、肉体が軽くなったような気分です」

喪黒「ね、効果は本物でしょ?」

武蔵「これからも、この店に通い続けようと思います」


9 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/08/30(木) 18:38:16.382 ID:AbHgWH8RD.net
喪黒「それは結構なことです。ですがね……。あなたには、私と約束していただきたいことがあるんですよ」

武蔵「約束!?」

喪黒「そうです。武蔵さん、この店は年中無休です。ですが……、日曜日にだけは来店してはいけません」

武蔵「なぜですか!?」

喪黒「実はですねぇ……。日曜日は、志玲さんや店の人たちにとっては特別な仕事があるのです」

武蔵「そうですか……。わ、分かりました……。喪黒さん」

志玲の店を出て、道を歩く武蔵。

武蔵(身体の中にたまっていたものが、この店で洗い流されたことによって……)
   (俺の中で、何かが吹っ切れたような気がした……)


数日後、記者会見場。黒いスーツを身にまとった武蔵に、カメラのフラッシュが一斉に浴びせられる。

武蔵「俺は、次の試合を最後に……。『SHUTSU-ZIN』から引退することを決意しました」


10 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/08/30(木) 18:40:14.318 ID:AbHgWH8RD.net
志玲の店。ベッドの上で武蔵は、彼女による整体を受けている。

店を出て、住宅街の中を歩く武蔵。武蔵の頭の中に、喪黒の言葉が思い浮かぶ。

(喪黒「日曜日は、志玲さんや店の人たちにとっては特別な仕事があるのです」)

武蔵「日曜日の特別な仕事……か。おそらく、日本を代表する支配層の人たちが予約でもしているんだろう」
   「何しろ……。喪黒さんによると、志玲さんは世界で指折りの整体の技術を持っているらしいからな……」


ある夜。さいたまスーパーアリーナ。リングの上で、「SHUTSU-ZIN(シュツジン)」の試合が行われている。

テロップ「総合格闘技『SHUTSU-ZIN』 武蔵 ― マイク・カポーティー」

武蔵が渾身のパンチを、カポーティーの顔面にぶつける。

武蔵を応援する観客たち。観客席で武蔵の試合を見守る喪黒。


BAR「魔の巣」。喪黒と武蔵が席に腰掛けている。 机の上にはスポーツ紙が置かれている。

スポーツ紙の一面の見出しは「武蔵(32) 引退」だ。

喪黒「武蔵さん。この間の引退試合、実に素晴らしい名勝負でしたよ」


11 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/08/30(木) 18:40:42.091 ID:EUHwjBG/0.net


12 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/08/30(木) 18:42:14.836 ID:AbHgWH8RD.net
武蔵「どうも……」
   「喪黒さんが紹介してくれた整体師のおかげで、俺はいいコンディションで引退試合に臨むことができました」

喪黒「いやぁ、どういたしまして……」

武蔵「引退後も、俺は志玲さんの店に通い続けています」

喪黒「それはいいことです。あの整体のおかげで、武蔵さんは普通の健康な肉体を取り戻しつつあるのですから」

武蔵「ええ、まあ……」

喪黒「今までの武蔵さんは……。全身を筋肉の鎧で固めていたけれど、心身の自然な形での健康を疎かにしていました」
   「整体を受けることにより……。そのことを、あなたは思い知らされたのです」
   「ごく普通で、当たり前で、自然な形での状態。それが人間の身体にとっては何よりも重要なのですから」

武蔵「は、はあ……」

喪黒「武蔵さん。格闘家を引退した後は、普通の人間として第2の人生をしっかり生きてくださいよ」
   「そのために、例えば家族サービスを大切にすることもいいでしょうねぇ」

武蔵「はい……」


13 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/08/30(木) 18:44:16.513 ID:AbHgWH8RD.net
数日後、志玲の店。整体を終えた武蔵が、志玲と話をしている。志玲の側には大蛇が2匹いる。

武蔵「志玲さんは蛇を飼っているのですね?」

志玲「はい。私は蛇が大好きなんですヨ。上の階では、数百匹くらい大蛇を養っているんです」
   「それと、他の建物でも大蛇を飼っています。みんな『いい子』ですヨ」

武蔵「そりゃあ、すごい……。でも、費用とか結構かかるんじゃないですか?」

志玲「大丈夫です。飼育費用は、整体の収入で何とかなります。それに、世の中には物好きな人がいて……」
   「私が保有している大蛇を高値で買いたいという人がいるんですヨ。海外諸国の金持ちとか……」

武蔵「へえ……。志玲さんが飼育している蛇は、それだけ質が高いんですよね」

志玲「はい。それに、この子たちは人間によくなつきますから……」

武蔵(なかなか面白い人だな……。志玲さんって……)


店を出て、道を歩く武蔵。

武蔵(店の中で飼っている大蛇……。まるで動物というよりも、人間のように人懐っこかった……)
   (あれだけの大蛇を、あそこまでなつかせるなんて……。やはり、志玲さんはただものじゃない……)


14 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/08/30(木) 18:46:17.249 ID:AbHgWH8RD.net
ある日の休日。武蔵は、妻や息子と公園にいる。武蔵の頭の中に、喪黒の言葉が思い浮かぶ。

(喪黒「武蔵さん。格闘家を引退した後は、普通の人間として第2の人生をしっかり生きてくださいよ」
    「そのために、例えば家族サービスを大切にすることもいいでしょうねぇ」)

武蔵と息子の2人の手には、野球用のグローブがはめられている。

武蔵(格闘技の選手だったころ、俺は子供とキャッチボールをする時間さえ取らなかった……)
   (こうやって、親子水入らずの時間を送ることができる今は……。本当に幸せなのかもしれんな……)

キャッチボールをする武蔵親子。帰り道では、武蔵・妻・息子が笑顔で何かを語り合っている。


自宅。ベッドの上で、大の字の姿のまま横になる武蔵。

武蔵「ハーーーーッ……」

武蔵は、疲れきっていて、辛そうな顔をしている。

武蔵(確かに俺は……。志玲さんの店に通い続けたおかげで、身体の調子をだいぶ取り戻すことができた……)
   (しかし、長年に渡って無理をし続けてきたせいで……。俺の身体はまだ、100パーセント健康を回復していない……)
   (だから、今の俺は……。子供とのキャッチボールさえも身体にこたえる有様だ……)

今まで自分が経験してきた試合の数々を回想する武蔵。

武蔵(『SHUTSU-ZIN』のチャンピオンとして名声を欲しいままにしてきた代償が、これなのか……)


15 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/08/30(木) 18:48:20.138 ID:AbHgWH8RD.net
ベッドに横たわり、目をつぶりながら考え続ける武蔵。彼の頭には、志玲の店で整体を受ける光景が思い浮かぶ。

武蔵(さっきのキャッチボールのせいで、全身の辛さがぶり返してきた……)
   (そうだ、あの店に行こう……。志玲さんの店で、俺はリフレッシュするんだ……)


自宅を出て、住宅街の中を歩く武蔵。彼はさらに街の中へ入っていく。

武蔵の周囲には、様々な看板を付けたビルがいくつも見える。彼が例の店へ近づいたその時……。

志玲の店の前には、喪黒福造が立っている。まるで、武蔵を待ち伏せしていたかのように――。

武蔵「も、喪黒さん……!!」

喪黒「武蔵さん……。あなた約束を破りましたね」

武蔵「えっ……!?」

喪黒「私はあなたに言ったはずです。日曜日にだけは来店してはいけない……と。今日は日曜ですよ。」

武蔵「で、ですが……。志玲さんの店は年中無休のはずでしょう!だから、俺が来店するのは別に悪いことではないはずです!」

喪黒「ダメです。約束は約束です」

武蔵「そ、それに、俺は今日……。子供とキャッチボールをしたせいで、身体が疲れきっていて……」
   「今、ものすごく辛い状態なんですよ!だから、どうしても……」


16 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/08/30(木) 18:50:27.215 ID:AbHgWH8RD.net
喪黒「武蔵さん。あなたは志玲さんの店の中に、どうしても入りたいのですね!?」

武蔵「もちろんです!!」

喪黒「分かりました……。そこまで言うのなら、私はあなたを止めません。ですが……、何が起きても私は知りませんよ!!」

喪黒は武蔵に右手の人差し指を向ける。

喪黒「ドーーーーーーーーーーーン!!!」

武蔵「ギャアアアアアアアアア!!!」


志玲の店。待合室のソファーに座る武蔵。

店に勤める女性の助手が、お盆を持った状態で姿を現す。お盆の上には、ジャスミンティーの入ったコップがある。

武蔵(いつもなら、整体を終えた後にお茶が出されるものだが……。今日は整体をやる前にお茶を飲むのか。珍しいな……)

助手からジャスミンティーを貰い、飲み干す武蔵。

武蔵「うう……」

ジャスミンティーを飲み終えた後、武蔵に猛烈な睡魔が襲いかかる。意識を失う武蔵。

17 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/08/30(木) 18:53:02.061 ID:+jphyDSPM.net
へびにされちゃうー!

18 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/08/30(木) 18:53:46.820 ID:AbHgWH8RD.net
しばらく時間が経った後、武蔵は目を覚ます。どうやら彼は、ソファーに座っていたようだ。

……とはいえ、待合室のソファーではない。武蔵がいる場所は、待合室とも、いつもの施術室ともどこか違う。

うっすら明かりのついた部屋の中に、整体用のベッドが3体ある。

武蔵(一体、何を始めるんだろう……!?)

武蔵は立ち上がろうとしたものの……。

武蔵(な……、何だこの感覚は……。身体がしびれて、うまく動かない……)

辛うじて動く首を使って武蔵が周りを見渡すと……。

ソファーには、自分の右と左の隣の方に2人の中年男性が座っている。

武蔵も2人も、いつの間にか店内での専用の服を着ている。


3人の前に、志玲と2人の女性の助手が現れる。

志玲「ここは、このビルの地下です。今日は、あなたたちのために特別な施術を行います」
   「武蔵サンの施術は、後で私が行いますから……。武蔵サン、まずは私の助手による施術をご覧になってください」

武蔵「は、はあ……」

女性の助手が1人の客の身体を持ち上げ、ベッドに運ぶ。一方の女性の助手も、もう一人の客をベッドへと……。


19 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/08/30(木) 18:56:05.918 ID:AbHgWH8RD.net
2体のベッドで、助手が中年の男性客に整体を行う。志玲とともに、助手の整体の様子を眺める武蔵。

1時間以上も経ったころ……。気のせいか、施術を受けている2人の男性客の身体の肌の色が変わったように見える。

志玲「これから、面白いものが見られますヨ」

さらに数十分……。2人の男性客の身体は大きく伸び始めている。

しかも、2人の肌は、爬虫類のように鱗まみれになっている。

そしてさらに数十分……。床には、2人の男性客が身につけていた服が落ちている。

女性の助手による施術を受けた2人の男性客の姿は……。すっかり大蛇に変わり果てている。


志玲「どうです、武蔵サン?この2人も、私が飼っている可愛い子たちの仲間になりましたヨ」

武蔵「そ……、それじゃあ……。志玲さんが店で飼っていた大蛇の正体は……」

志玲「そうです。この子たちはもともとは人間であり、私の店に通う常連客でもありました」

武蔵「じゃあ、俺も……」

志玲「もちろん、私のペットの仲間になって貰いますヨ。武蔵サン」

20 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/08/30(木) 18:57:14.448 ID:jEj4LWK9d.net
つまんな

21 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/08/30(木) 18:57:58.780 ID:clVdk0F40.net
tfかよ

22 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/08/30(木) 18:59:06.317 ID:AbHgWH8RD.net
武蔵「そ……、そんなことは絶対にさせないぞ……」

全身の力を振り絞り、何とか立ち上がる武蔵。しかし、武蔵は志玲に身体を羽交い絞めにされる。

志玲「お茶にしびれ薬を入れたのに、まだ動けるとは……。さすがは、『SHUTSU-ZIN』の世界王者ですネ」

武蔵「ぐうっ……!!何て怪力なんだ……。まるで、全身を万力で締め付けられているかのようだ……」

志玲に身体を締め上げられ、肉体から力が抜ける武蔵。彼女は武蔵の身体を持ち上げ、そのままベッドへと運ぶ。

ベッドに横たわる武蔵を見下ろす志玲。志玲の両手が、武蔵の肉体へと迫りくる。

志玲「武蔵サンは筋肉が豊富で、見事な肉体美を持っています。私としても、施術のやりがいがありますヨ……」

武蔵「た……、助けてくれーーーーっ!!!」


志玲の店の前にいる喪黒。

喪黒「現代の社会を生きる人間たちは……、誰もが何かしらの形で身体に無理を重ねながら、毎日の生活を送っています」
   「身体の悲鳴を無視しながら、激務や不健康な生活習慣を続けたならば……。人間、必ずどこかでガタが来るものです」
   「最近……。整体がここまで流行るようになったのは、身体に不調や疲れを持った人たちが増えたことの証とも言えます」
   「健康回復のために整体に頼るのもいいですが……。一番いいのは、動物のように、無理をせず自然な生き方をすることですよ」
   「例えば、大蛇に姿を変えられた誰かのように。蛇になってしまえば、身体が凝らなくて済みますから……。ねぇ、武蔵さん」
   「オーホッホッホッホッホッホッホ……」


                   ―完―


23 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/08/30(木) 19:01:51.032 ID:Yk0heyI30.net
日曜だけ風俗店になるのかと思った

24 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/08/30(木) 19:05:30.938 ID:Yk0heyI30.net
結構おもしろかった
原作に普通にありそう

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