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喪黒福造「何なら、中国で本格的な料理修業をしてみませんか?」 中国人料理人「えっ、私が中国に行くんですか!?」
- 1 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/10/03(水) 21:24:24.226 ID:Ksf8+LbyD.net
- 喪黒「私の名は喪黒福造。人呼んで『笑ゥせぇるすまん』。
ただの『せぇるすまん』じゃございません。私の取り扱う品物はココロ、人間のココロでございます。
この世は、老いも若きも男も女も、ココロのさみしい人ばかり。
そんな皆さんのココロのスキマをお埋めいたします。
いいえ、お金は一銭もいただきません。お客様が満足されたら、それが何よりの報酬でございます。
さて、今日のお客様は……。
劉永漢(45) 料理人
【料理修業】
ホーッホッホッホ……。」
- 2 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/10/03(水) 21:25:00.359 ID:YlIlbZ590.net
- 期待していいのか
- 3 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/10/03(水) 21:25:55.923 ID:nfXiDGx70.net
- 期待するぞ
- 4 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/10/03(水) 21:26:19.493 ID:Ksf8+LbyD.net
- テロップ「神奈川県、横浜中華街――」
数々の牌楼と、立ち並ぶ中国風建築物。街のシンボル・関帝廟。
街中をひしめく人の群れ。甘栗売りの男が、通行人に呼び込みをしている。
甘栗売り「甘栗、おいしいですよー。試食してみてくださいねー」
興味ありそうな表情で、甘栗売りの前に立つ若いカップル。カップルの側を通り過ぎる例の男――喪黒福造。
歩道にいる怪しい占い師の女が、喪黒に呼び込みを行う。
占い師「手相占いいかがですか?よく当たりますよー」
占い師の姿に目もくれず、そのまま立ち去る喪黒。
とある料理店では、観光客たちが食べ放題のサービスを堪能している。また、別の料理店も客でにぎわっている。
一方、場末の中華料理店『陽光軒』。通行人たちは、店に入ろうとせず素通りしていく。『陽光軒』の店内は客が全くいない。
客席のテーブルにいるのは、どうやらこの店の店主のようだ。昼間であるにも関わらず、店主は店で酒を飲んでいる。
- 5 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/10/03(水) 21:28:13.694 ID:Ksf8+LbyD.net
- テロップ「劉永漢(45) 料理人・『陽光軒』店主」
劉(この店も、俺の代で終わりか……)
酒で酔い潰れ、赤ら顔をしている劉。彼は虚しそうな表情をしている。
『陽光軒』の玄関の戸が開き、店の中に喪黒が入る。喪黒の姿に気付く劉。
劉「ああ、いらっしゃいませ……」
慌てて喪黒に水とおしぼりを渡す劉。メニューを見る喪黒。
喪黒「ホイコーロー定食で……」
劉「かしこまりました……」
厨房に立つ劉。酔っ払ってはいるものの、料理を作る様子は手なれている。
喪黒のいる席にホイコーロー定食を運ぶ劉。劉が作った定食を一人で食べる喪黒。
食事が終わり、レジの前に立つ喪黒。
劉「お会計ですか?」
- 6 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/10/03(水) 21:30:16.173 ID:Ksf8+LbyD.net
- 喪黒「あの……。ちょっと気になったことがあるんですが……」
劉「は、はあ……」
喪黒「あなた、昼間から店内で酒を飲んでいましたよねぇ……」
劉「す、すみません……」
喪黒「おそらく、酒を飲まずにはいられない何かの事情があるのでしょう」
劉「ええ、その通りです……。何と言っても、店のやりくりに苦労していて……」
喪黒「そうですか……。あなたの心にもスキマがおありのようですなぁ」
喪黒が差し出した名刺には、「ココロのスキマ…お埋めします 喪黒福造」と書かれている。
劉「……ココロのスキマ、お埋めします?」
喪黒「私はセールスマンです。お客様の心にポッカリ空いたスキマをお埋めするのがお仕事です」
劉「人生相談とか、そういったお仕事ですか?」
喪黒「どちらかというと、ボランティアみたいなものですよ。何なら、私があなたの相談に乗りましょうか?」
- 7 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/10/03(水) 21:32:17.231 ID:Ksf8+LbyD.net
- 『陽光軒』。店のテーブルで会話をする喪黒と劉。
喪黒「ほう……。劉さんは先祖代々、料理人の一族なのですか」
劉「はい。『陽光軒』は祖父がこの地で開業した店であり、私で三代目になります」
喪黒「さすが……。一族を通じて料理人であるおかげか、あなたも料理の腕は割といいようですなぁ」
劉「ありがとうございます……」
喪黒「それにも関わらず、この店が繁盛しているようにはとても見えませんし……」
「何しろ、あなたは店のやりくりに苦労して酒に溺れていますよねぇ……」
劉「ええ、そうですよ。今日、この店に入ったお客様はあなたたった1人だけですから……」
喪黒「劉さんの料理店は、老舗の食堂屋として中華街で細々とやってきました」
「しかしながら、食べ放題の店が増えたことにより、客が次第に減っていった……というわけですよねぇ?」
劉「おっしゃる通りです。格安の食べ放題の店が増えたおかげで、中華街から老舗の料理店は前よりも減りました」
喪黒「格安で食べ放題の店は、大衆受けがいいですからねぇ……。ただ、一方で言えるのは……」
「劉さんのお店は、値は張るものの質の高い料理を作ってきた……ということでもあります」
- 8 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/10/03(水) 21:34:17.152 ID:6VCgdPYc0.net
- おもしろそう
- 9 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/10/03(水) 21:34:19.000 ID:Ksf8+LbyD.net
- 劉「はい。とはいえ……、この中華街に多くの観光客が訪れている現在は……」
「大衆受けするものに、商売のやり方を変えるべきなのかもしれません」
喪黒「でも、料理の質を落としたくないという気持ちも一方でおありでしょう」
劉「そうですよ。結局……。私は時流に乗れず、敗北者になったということでしょうね……」
喪黒「劉さん、諦めるのはまだ早いですよ。あなたが料理人として立ち直る余地はまだありますから……」
劉「お気持ちはありがたいんですが……、私にはどうすることもできませんよ」
喪黒「大丈夫です。私が何とかしてあげましょう」
劉「なっ……!?」
喪黒「劉さん。何なら、中国で本格的な料理修業をしてみませんか?」
劉「えっ、私が中国に行くんですか!?」
喪黒「そうです。何しろ、中国は中国料理の本場の地でもありますから……」
「この国で修行すれば、あなたは今以上に料理の腕前を身につけることができます」
「しかも……。経済発展が目覚ましく、競争が盛んな中国で店のやりくりを学ぶことにより……」
「あなたは店を経営するためのコツも掴むことができます」
劉「うーーーん……」
- 10 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/10/03(水) 21:36:15.701 ID:Ksf8+LbyD.net
- 喪黒「今以上に料理の腕前が身につき、その上、店を繁盛させるためのコツも身につけることもできますから……」
「中国大陸での料理修行は……。劉さんにとっては、まさに一石二鳥というわけです」
劉「言われてみれば、そうかもしれませんね……」
喪黒「じゃあ、決まりです!劉さん、中国へ行ってみましょう!」
劉「そうなると、この店は……」
喪黒「残念ながら、畳むしかないでしょう」
劉「やはり、そうせざるを得ませんか……。先祖代々続いた店を閉めるのは惜しいですね……」
喪黒「ですが、修行がうまくいけば……。あなたは今の店よりも、しっかりした店を持つことができます」
「料理人としても経営者としても一流になることこそ、あなたの先祖への供養になると私は思いますよ」
劉「分かりました……」
上空を飛ぶ旅客機。飛行機の客席の中には劉がいる。
劉(この修行で、料理人として立ち直ることができるのなら……。自分としてはまさに本望……)
- 11 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/10/03(水) 21:38:17.675 ID:Ksf8+LbyD.net
- テロップ「中華人民共和国――」
空港で、案内役の人物と会う劉。いつの間にか劉は、案内役が運転する車の助手席に乗っている。
劉(ずいぶん遠くへと向かっているな……)
とある地方都市。広めの公園を歩く案内役と劉。
劉「ここに、私の料理修業の師匠がいるのですか……?」
案内役「そうです」
公園の広場には、太極拳を行う年配の市民たちの姿が見える。太極拳グループを見つめる劉。
グループから離れた一人の初老男性が、樹木の側で太極拳をしている。
テロップ「呉源宝(60) 料理人」
案内役「こんにちは。呉老師」
太極拳の動きを止めて、案内役と劉に向き合う呉。
呉「これはこれは……」
- 12 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/10/03(水) 21:38:35.980 ID:0EjeaJyt0.net
- 真面目な話すぎて逆に違和感ある
- 13 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/10/03(水) 21:39:25.907 ID:6fClLOEy0.net
- テロップwwwwww
- 14 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/10/03(水) 21:40:16.032 ID:Ksf8+LbyD.net
- 案内役が運転する車に乗る呉と劉。
案内役「呉老師は伝説的な料理人であり……。何よりも、多くの弟子たちを育てた人物としても知られています」
劉「さすがですね……」
呉「まあ、何と言うか……。今の私は、料理人を育てる仕事が中心ですから……」
とあるホテルの料理店。多くの客でにぎわう店内。テーブルで料理を食べる呉、案内役、劉。
劉「ここの料理、なかなかおいしいですね……。料理人の私が思わず感心するほどのでき栄え……」
案内役「この店のシェフは、呉老師の弟子の一人なんですよ」
劉「そ、そうなんですか……」
呉「彼がここまで一人前になってくれて、本当によかったよ」
案内役「ただし、呉老師による料理修業は非常に厳しいですよ」
劉「それは覚悟していますよ。でも……。修行を成し遂げて、料理人として一流になりたいんです!」
呉「あなた、気にいったよ。明日から、私のもとで修業しなさい」
- 15 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/10/03(水) 21:40:35.680 ID:ZMGaZuao0.net
- 料理人に老師はおかしい
正しくは師傅
- 16 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/10/03(水) 21:41:14.179 ID:bQOAEK280.net
- 顔じゃないんだ心だぜ〜♪
- 17 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/10/03(水) 21:42:14.910 ID:Ksf8+LbyD.net
- ある店の厨房で、呉から指導を受ける劉。劉が作った料理を試食する呉と料理人たち。
呉「劉、あなたは荒削りながら、なかなか見込みがあるね」
劉「あ、ありがとうございます……」
とある部屋で、呉と一緒に腕立て伏せをする劉。また、劉は公園で呉とともに太極拳を行う。
呉「料理は肉体労働でもあるから、料理人には体力が必要だよ。劉……」
劉「は、はあ……」
ある山。森の中を行く呉と劉。ひょうひょうとした呉と、へたばった表情の劉。
呉「味のいい料理を作るためには、質のいい食材を選ぶことが大事だ」
「こういった大自然の中は、質のいい食材の宝庫でもあるからな……」
ある大都市。ビル街の中のある料理店。店の中には、呉と劉がいる。
呉「劉。しばらくの間、この店を営んでみてはどうかね?」
劉「えっ!?私がですか?」
- 18 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/10/03(水) 21:44:20.811 ID:Ksf8+LbyD.net
- 呉「そうだ。どうやって客を集め、どんな風に店を栄えさせるかを……」
「自分の頭で考えながらやってみなさい」
劉「は、はい……」
テロップ「1年後、横浜中華街――」
エキゾチックな街並みの中、ところどころ日本語の看板も見える。街は、今日も多くの観光客でにぎわっている。
再びこの街を訪れる喪黒。喪黒の片手には、赤い表紙のミシュランガイドが握られている。
中華料理レストラン『新生陽光』の中に入る喪黒。
喪黒「私は、ここの店主の劉さんと顔見知りなんです」
ウェイトレス「えっ、そうなんですか?」
喪黒「私の連絡先を書いたメモを、店主に渡しておこうと思います」
ウェイトレスにメモを渡す喪黒。メモには、BAR「魔の巣」の住所がボールペンで書かれている。
しばらくした後、喪黒のテーブルに中華料理のフルコースが運ばれてくる。食事を行う喪黒。
- 19 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/10/03(水) 21:46:31.765 ID:Ksf8+LbyD.net
- BAR「魔の巣」。喪黒と劉が席に腰掛けている。
喪黒「劉さん。『新生陽光』での料理、おいしかったですよ。さすが、ミシュランに載るだけのことはありますなぁ」
劉「お褒めいただき、誠に恐縮です……」
喪黒「中国での料理修業は、見事な形で成果を上げたようですねぇ。劉さん」
劉「ええ。私の料理の腕は見違えるように上がりましたし、店を経営するためのコツも掴むことができました……」
喪黒「それはよかったですなぁ」
劉「何もかも喪黒さんのおかげです。喪黒さんには本当に感謝しています」
喪黒「どういたしまして。ですがねぇ……。私はあなたに、どうしても言っておきたいことがあるのですよ」
劉「は、はあ……」
喪黒「劉さん。あなたは料理人として、すでに完成されていますから……。何も心配することはありません」
「今以上に完璧な境地を求めようとすると、きりがないですから……」
劉「はい……」
喪黒「劉さん、私と約束してください。中国での料理修業は、昨年行った1回のみにしておいてください」
「料理人としては、あくまでも今のままの生活で満足しておくべきです。いいですね!?」
- 20 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/10/03(水) 21:48:17.755 ID:Ksf8+LbyD.net
- 劉「わ、分かりました……。喪黒さん」
横浜中華街、『新生陽光』。弟子の料理人たちとともに厨房に立つ劉。
料理を作りながら、若い料理人に何かを教える劉。
劉(自分が、若者にものを教える立場になるとはな……。俺も年を取ったものだ……)
テロップ「中華人民共和国、上海――」
とある大型の料理店。テーブルに向かう劉と弟子の料理人たち。
弟子の料理人A「ここは、ミシュランに載っている有名な店ですよね」
劉「ああ。それだけでなく、この店の店主は呉老師の弟子でもあるんだ」
劉と弟子たちの元へ、料理のフルコースが運ばれてくる。料理を食べる一同。
弟子の料理人B「おいしい!!」
劉(こ、これは……。私が作った料理よりも質が上回っている……)
- 21 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/10/03(水) 21:50:18.407 ID:Ksf8+LbyD.net
- テロップ「横浜中華街――」
帰国し、街の中を歩く劉と弟子たち。
劉「呉老師は、私よりも腕のいい料理人を育てていたのか……。やられた……」
弟子の料理人A「気にすることはありませんよ。劉さんは、横浜中華街ではトップクラスの料理の腕前ですから……」
劉「私も料理人なら、あのような上級の品質の料理を作ってみたい。それどころか、あれを追い越した極上のものを……」
弟子の料理人B「大丈夫です。劉さんなら作れますよ」
劉「いや。あそこまでのレベルの料理を作るには、もう少し修行が必要かもしれない……」
劉の頭の中に、喪黒の忠告が思い浮かぶ。
(喪黒「中国での料理修業は、昨年行った1回のみにしておいてください」)
劉「ううむ……」
『新生陽光』。大勢の客たちでにぎわう店内。
客たち「この店の料理、最高だね!」「ああ。さすがはミシュランに載った店だよな」
- 22 :猪突見学(male) :2018/10/03(水) 21:50:56.378 ID:27OGy3xHa.net
- 横浜中華街でミシュランってよっぽどだよね
- 23 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/10/03(水) 21:53:42.718 ID:Ksf8+LbyD.net
- 弟子の料理人たちと厨房に立つ劉。
劉(俺の腕前はまだまだ、上海のあの店の水準には達していない……)
数か月後。BAR「魔の巣」。喪黒と劉が席に腰掛けている。
劉「あの、喪黒さん……。もう1度、中国で料理修業をしたいのですが……」
喪黒「いいえ、なりません。あの料理修業は1度のみにしておくのが、私との約束でしたよねぇ」
劉「で、ですが、喪黒さん……。私よりも優秀な料理人の存在を、上海で知りました!」
「何より、彼もまた呉老師の弟子だったのです……!私は、あの時のショックを今も忘れていません!」
喪黒「まあまあ、劉さん……。あなたは今のままでも、料理人としては超一流ですから……」
「今以上に完璧な境地を追い求めなくても、社会で十分通用しますよ」
劉「いえ、喪黒さん……!私はどうしても……。上海のあの店の水準に追いつき、追い越したいんですよ!」
「だから、もう1度だけ中国で料理修業をしたいんです!!せめて、もう1度だけ……」
喪黒「仕方ないですねぇ……。では、今回は特別にあと1度だけ料理修業を認めましょう」
「ただし……、あなたに何が起きても私は知りませんよ!!」
- 24 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/10/03(水) 21:56:10.212 ID:Ksf8+LbyD.net
- 喪黒は劉に右手の人差し指を向ける。
喪黒「ドーーーーーーーーーーーン!!!」
劉「ギャアアアアアアアアア!!!」
テロップ「中華人民共和国――」
案内役と劉が乗る車が、高速道路を走る。例の公園で、呉源宝と再会する劉。
呉「2度目の料理修業は、1度目よりもはるかに厳しいものです。それでも耐えられますか?」
劉「もちろんです。どんなに厳しい修行であっても、私はやり抜いてみようと思います」
1週間後。山の中を行く呉と劉。劉は獣の唸り声を耳にし、違和感を感じる。
劉「こ、ここは……。ああっ!!」
呉と劉の周りには、虎が2匹いる。2人の前に迫りくる2匹の虎。脅えた表情の劉と、落ち着いた表情の呉。
襲いかかる虎に対し、呉による拳と蹴りが次々と命中する。呉に虎が倒されたのを見て、残り1匹の虎はひるんだ様子になる。
- 25 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/10/03(水) 21:59:39.956 ID:Ksf8+LbyD.net
- 呉「さあ、劉……。あなたも生身で虎と戦ってください」
「自分の力で虎を倒し、これを料理して食べるのが今日の修業ですよ」
劉「ええっ!?さ、さすがの私も、そんなことは無理ですよ……」
呉「劉……。あなたは『どんなに厳しい修行であっても、やり抜く』と私に言いましたね?」
「その言葉通り、ここにいる虎と戦いなさい。修行を成し遂げ、今以上の料理人になりたいでしょう?」
劉「……分かりました。こうなった以上、やるしかありません……。ウオオオオオオッ!!!」
叫び声を上げ、生身のまま虎に立ち向かう劉。劉の声を聞き、彼に襲いかかろうとする虎。
横浜中華街。善隣門の前にいる喪黒。
喪黒「そもそも、人間にはものを食べる機能が備わっていますが……。人間と動物は、食べることに対して決定的な違いがあります」
「動物の食事は、本能のまま、ただ腹を満たすだけですが……。人間の食事は、作る方も食べる方も何かしらの形で頭を使います」
「だから……。料理文化は、人間が長い歴史をかけて築いた知恵の蓄積であり、身近でありつつも貴重な宝と言えるかもしれません」
「とはいえ、料理の修業は非常に厳しいものですから……。プロの料理人になるには、並大抵でない苦労を味わうのも確かです」
「果たして、劉さんは2度目の料理修業を成し遂げて、日本へ帰って来れるでしょうか?彼が、無事に帰国できればいいですけどねぇ……」
「オーホッホッホッホッホッホッホ……」
―完―
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