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喪黒福造「この鏡を使用すれば、あなたは役と完璧に同化することができます」 舞台俳優「これを使えば俺は……」

1 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/11/01(木) 22:49:18.462 ID:pXXKbDN9D.net
喪黒「私の名は喪黒福造。人呼んで『笑ゥせぇるすまん』。

    ただの『せぇるすまん』じゃございません。私の取り扱う品物はココロ、人間のココロでございます。

    この世は、老いも若きも男も女も、ココロのさみしい人ばかり。

    そんな皆さんのココロのスキマをお埋めいたします。

    いいえ、お金は一銭もいただきません。お客様が満足されたら、それが何よりの報酬でございます。

    さて、今日のお客様は……。

    草刈蓮太郎(27) 舞台俳優

    【役者魂】

    ホーッホッホッホ……。」


2 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/11/01(木) 22:49:49.719 ID:+sWI6FAKp.net
久しぶりの喪黒福造SSやんけ

3 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/11/01(木) 22:50:42.578 ID:0iYv2neE0.net
どうせバッドエンドだから要らん

4 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/11/01(木) 22:51:06.908 ID:pXXKbDN9D.net
とあるビル。広いスペースの中で、劇団俳優たちが舞台の稽古をしている。

主演の若い男性が、身振り手振りを使い、大声で何かを叫んでいる。

テロップ「草刈蓮太郎(27) 舞台俳優・劇団シアターオーガ所属」

草刈の演技に対し、演出家・今井が渋い顔をして何かを言う。今井はパーマ頭で色眼鏡をかけている。

今井「違う!!そうじゃない!!やり直しだ!!」

テロップ「今井忍(45) 演出家」

今井「草刈、もう少し役と一体化しろ!!」

草刈「すみません……」

今井に謝る草刈。うんざりした表情で草刈を見る劇団員たち。草刈の表情が曇っていく。

草刈(また、演出家に怒られた……。俺は一生懸命やっているのに……)

5 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/11/01(木) 22:53:07.824 ID:pXXKbDN9D.net
とあるホール。劇団シアターオーガによる演劇が上演されている。演劇のタイトルは『流血男爵』だ。

ナイフを握りしめて立つスーツ姿の主役・草刈。草刈の側には、人が倒れている。

草刈と遺体を目にし、驚いた表情をする恋人役の女優。

恋人役「まさか……!!連続殺人犯の正体が、よりによって鷹橋さんだったなんて!!」

草刈「見てしまったのか……。そうだよ!!俺が、あの悪名高い殺人鬼・流血男爵さ!!」

恋人役「そんな……、これは何かの間違いよ!!あなたが、そんなことをするはずはない!!」
     「心優しいあの鷹橋さんが……」

草刈「残念だが、これが現実なんだよ!!秘密を知られたからには、君も生かしておくわけにはいかない……」

恋人役にナイフを向ける主役の草刈。倒れる恋人役。恋人役の女優を抱き、悲壮な顔で叫ぶ草刈。

草刈「ゆ、許してくれ……!!君にだけは手をかけたくなかった!!」

演劇を鑑賞する観客たち。観客たちの中には、例の男――喪黒福造がいる。


6 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/11/01(木) 22:55:14.088 ID:pXXKbDN9D.net
楽屋。演技を終えた劇団俳優たちがくつろいでいる。一方、草刈の表情は暗い。

草刈に近づき、小言を言う劇団座長・甘利。

甘利「草刈。お前はもう少し、演技に対して工夫をしたらどうだ」

テロップ「甘利英輔(71) 劇団シアターオーガ座長」

草刈「も、申し訳ありません。座長……。次の上演では気をつけます……」

甘利「俺はお前の将来性を見込んで、主役に選んだんだぞ。だから、大役にふさわしい演技をしてくれ」


ホテル。客室で、演劇批評雑誌を読む草刈。雑誌には、評論家による草刈への批判が書かれている。

雑誌「草刈氏の演技は、まだまだ未熟さが目立つ」「主演の俳優の単調な演技が、物語の魅力を半減させている」

雑誌を床に叩きつける草刈。

草刈「ちくしょう!!」

7 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/11/01(木) 22:57:13.432 ID:pXXKbDN9D.net
とある建物。稽古場の中で演劇の練習をする劇団俳優たち。

何かの演技をする草刈。それに対し、演出家の今井がダメ出しをする。

今井「一体何度言えば分かるんだ!!草刈!!」

草刈「すみません……!」


夜。とある居酒屋。カウンター席で客たちがはしゃぐ中、一人でビールを何杯も飲む草刈。

草刈りの隣には喪黒が座っている。

草刈(くそっ……!俺は一生懸命演じているのに、どうして周りに認められないんだ!)

店内にある液晶テレビが、何かのドラマを映している。主演の男性アイドルが、何かを話す。

居酒屋ママ「あら、『炎』のメンバーの二神君じゃない?相変わらず、かっこいいよねぇ」

草刈「こんなアイドル風情の大根の、どこがいいんだ!!バカヤローーッ!!」

テレビを一瞥し、大声で悪態をつく草刈。草刈の罵声に、思わず驚く客たち。

8 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/11/01(木) 22:59:10.114 ID:pXXKbDN9D.net
居酒屋を出て、街を歩く草刈と喪黒。喪黒が草刈に話しかける。

喪黒「さっきはお店の中で、ずいぶん荒れていましたなぁ」

草刈「いやぁ、お恥ずかしい……。大人げないところを人前にさらしてしまって……」

喪黒「あなたは、かなり酔っていましたからねぇ。飲まずにはいられない事情があったのでしょう」

草刈「ええ。そうですよ……。いろいろ辛いことがあったもので……」

喪黒「なるほど。私の仕事柄、あなたを放っておくわけにはいきませんねぇ……」

喪黒が差し出した名刺には、「ココロのスキマ…お埋めします 喪黒福造」と書かれている。

草刈「……ココロのスキマ、お埋めします?」

喪黒「私はセールスマンです。お客様の心にポッカリ空いたスキマをお埋めするのがお仕事です」

草刈「あなた、セールスマンなんですか……」

喪黒「どちらかと言うと、ボランティアみたいなものですよ。何なら、相談に乗りましょうか?」

9 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/11/01(木) 23:01:14.752 ID:pXXKbDN9D.net
BAR「魔の巣」。喪黒と草刈が席に腰掛けている。

喪黒「あなたは、劇団シアターオーガの草刈蓮太郎さんですよね?」

草刈「ど、どうして俺の名を!?」

喪黒「この間、私は『流血男爵』を鑑賞したのですよ。ほら、あなたの劇団の演劇の……」

草刈「ああ、ファンの方ですか……。俺の演技が稚拙なせいで、見苦しかったでしょう」

喪黒「そんなことはないです。あなたは荒削りだけど、まだまだ伸びる可能性を持っていますよ」

草刈「ど、どうも……。でも、現在の俺は大きな壁にぶち当たっているんですよ」

喪黒「ほう……。おそらく、あなたは自らの演技のあり方について悩んでいるのでしょうねぇ」

草刈「はい。今まで脇役を演じてきた俺は、今回の演劇で初めて主役に選ばれました」
   「しかし、俺の演技に対し、周囲からは批判が相次いでいて……。俺は悩んでいるんです」

喪黒「草刈さん。今のあなたは、俳優人生で最大のスランプを迎えているのではないですか?」


10 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/11/01(木) 23:03:13.321 ID:pXXKbDN9D.net
草刈「そうです。最近じゃあ、俺は自分の才能を疑い始めているくらいですよ」

喪黒「そんなことはありません。草刈さんには才能があります」
   「だから、今までの脇役としての演技には光る物がありました」

草刈「は、はあ……」

喪黒「あなたには、役者としての才能とテクニックは十分あります」
   「ただ……。もう少し役と一体化できれば、役者として一皮むけるでしょう」

草刈「最近、よく言われるんですよ。それ……」

喪黒「あなたも役者ならご存知でしょう。スタニラフスキーシステム……」

草刈「はい。内面から演技を行い、いかにその役になり切るか……ということですよね」

喪黒「そうです。草刈さんは、スタニラフスキーシステムを体得する必要があるでしょう」

草刈「確かに……」

喪黒「草刈さん。そんなあなたのために、いい道具があるんですよ」


11 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/11/01(木) 23:05:22.200 ID:pXXKbDN9D.net
喪黒は鞄から何かを取り出す。机の上に置かれたのは、金色の柄が付いた手鏡だ。

草刈「これは……」

喪黒「見ての通り、手鏡ですよ。名前は、『スタニラフスキーミラー』です」

草刈「スタニラフスキーミラー?」

喪黒「はい。スタニラフスキーミラーには、特殊な効果があるんですよ。実はですねぇ……」
   「この鏡を見つめながら、『自分は何々になる』と心の中で唱えると役になりきることができます」

草刈「ということは、それじゃあ……」

喪黒「この鏡を使用すれば、あなたは役と完璧に同化することができます」
   「まさに、舞台俳優としてはこれ以上なく打ってつけの道具ですよ」

草刈「これを使えば俺は……」

喪黒「もちろん、俳優として完全に立ち直ることができるでしょう」

草刈「もしも効果が本当なら……。この鏡、欲しいですよ……!」

喪黒「よろしかったら、スタニラフスキーミラーをあなたにプレゼントしますよ」


12 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/11/01(木) 23:07:13.618 ID:pXXKbDN9D.net
草刈「えっ、いいんですか!?」

喪黒「構いませんよ。これは、あなたが俳優として成功することを願う私からの気持ちなのですから……」

草刈「ありがとうございます!これからは、この鏡を使って俳優活動に精進しますよ!」

喪黒「いやぁ、どうも……」


翌朝。自宅マンション、部屋。スタニラフスキーミラーをじっと見つめ、心の中で自分に言い聞かせる草刈。

草刈(俺は流血男爵だ……。連続殺人鬼の流血男爵こと鷹橋京一郎……。それが俺だ……)

草刈の目つきは、次第に鋭いものになっていく。


とある建物。広めの室内で、演劇『流血男爵』の稽古をする劇団員たち。

身振り手振りを交え、大声で叫ぶ草刈。草刈の表情は、殺人鬼の役らしいものになっている。

休憩をとる劇団員たち。演出家の今井が、草刈に話しかける。

13 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/11/01(木) 23:09:14.162 ID:pXXKbDN9D.net
今井「草刈君。さっきの君の演技、素晴らしかったぞ」

草刈「あ、ありがとうございます……。今井先生……」

今井「殺人鬼らしい狂気の表情が出ていて、なかなかよかった。本番もこの調子で演じてくれよ」

草刈「は、はい……」


ある都市のホール。控室で、スタニラフスキーミラーを見つめる草刈。

草刈(俺は流血男爵……。俺は流血男爵……)

俳優「草刈、そろそろ行こうぜ」

草刈「分かりました」


舞台では、劇団シアターオーガの演劇『流血男爵』が上演されている。

拳銃を手にする草刈。草刈りに対し、警官隊役の俳優たちが銃を突きつけている。

14 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/11/01(木) 23:11:14.581 ID:pXXKbDN9D.net
草刈「この世に神なんかいない!!だから、俺の命は俺の手で支配するんだ!!」

こめかみに銃を突きつけ、自殺をする草刈。彼の身体は、崩れ落ちるように倒れていく。

演劇を終え、観客たちに挨拶をする舞台俳優たち。

観客席から鳴り響く無数の拍手。喪黒も観客たちに混じり、拍手をしている。


BAR「魔の巣」。喪黒と草刈が席に腰掛けている。

喪黒「草刈さん。この間のあなたの演技、実に見事なものでした」

草刈「ど、どうも……。お褒めいただいて恐縮です……」

喪黒「まるで本物の殺人鬼であるかのような、生々しさを感じる演技でしたよ」

草刈「それもこれも、あのスタニラフスキーミラーのおかげですよ」
   「あの鏡を見つめながら自分に言い聞かせると、本当に役そのものになってしまうんです」

喪黒「どうやら、あなたは役者として再起できたようですねぇ」

草刈「ええ……。喪黒さんには感謝してもしきれないですよ……」


15 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/11/01(木) 23:13:14.922 ID:pXXKbDN9D.net
喪黒「どういたしまして。ですがねぇ……、私の方からあなたに忠告をしておきたいことがあるんですよ」

草刈「どういうことですか?」

喪黒「草刈さんには、役者としての才能は十分にあります」
   「だから……。いずれはスタニラフスキーミラーに頼らずに、しっかりした演技ができるようになってください」

草刈「は、はい……」

喪黒「それにですよ……。あの鏡の効果は本物ですから、使い過ぎには気を付けた方がいいです」
   「なぜなら……。スタニラフスキーミラーは、使い過ぎると、本人の人格が役に乗っ取られる恐れがあるんですよ」

草刈「そうだったんですか……。それは怖いですね」

喪黒「だから、草刈さん。私と約束してください。スタニラフスキーミラーの使用は、ほどほどのところで止めておくべきです」
   「役になりきるのもいいですが、草刈蓮太郎としての自分の人格を見失わないでくださいよ」

草刈「わ、分かりました……。喪黒さん」


とある建物。稽古場で、演劇『流血男爵』の練習をする劇団俳優たち。今井にダメ出しをされる草刈。

今井「草刈、今の演技はなんだ!!この間は、もっとしっかり演じていただろう!!」


16 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/11/01(木) 23:15:13.741 ID:pXXKbDN9D.net
稽古を終えて一休みする一同。休憩中の草刈は、バッグの中からスタニラフスキーミラーを取り出す。

草刈(やっぱり、俺はスタニラフスキーミラーがないとダメだ。あの鏡がないと、役になりきれない……)

スタニラフスキーミラーを見つめ、自分に言い聞かせる草刈。

草刈(俺は流血男爵……。俺は流血男爵……。俺は流血男爵……)

草刈の顔つきは、徐々に殺人鬼らしい鬼気迫るものになっていく。


とあるホール。演劇『流血男爵』の上演を控え、観客席に大勢の人間が集まっている。

観客たち「『流血男爵』は、ロングランが続いているな」「ああ。この演劇は、草刈の怪演ぶりが見ものらしいな」

控室。一人のまま、スタニラフスキーミラーを見つめる草刈。

草刈(俺は流血男爵……。俺は流血男爵……。俺は流血男爵……)

鏡をバッグにしまう草刈。彼が後ろを振り向くと、そこには喪黒の姿がある。

17 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/11/01(木) 23:17:18.254 ID:pXXKbDN9D.net
喪黒「草刈蓮太郎さん……。あなた約束を破りましたね」

草刈「も、喪黒さん……!!」

喪黒「私はあなたに言ったはずですよ。スタニラフスキーミラーの使用は、ほどほどのところで止めておくべきだ……と」
   「にも関わらず、あなたはあの鏡に頼ることを止めていないようですねぇ。何よりも、ついさっきでさえも……」

草刈「すみません……。俺はあの鏡がないと、役になりきれないんです!!だから、どうしても……」

喪黒「弁解は無用です。約束を破った以上、あなたには罰を受けて貰わなくてはなりません!!」

喪黒は草刈に右手の人差し指を向ける。

喪黒「ドーーーーーーーーーーーン!!!」

草刈「ギャアアアアアアアアア!!!」


舞台で、演劇『流血男爵』が上演される。殺人鬼の役を見事に演じきる草刈。草刈の演技に見入る観客たち。

演劇を終え、舞台俳優たちが観衆に挨拶を始めようとしたその時……。


18 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/11/01(木) 23:19:14.884 ID:pXXKbDN9D.net
突然、制服姿の警官たちが舞台に現れる。草刈に対し、警察手帳を見せる警察官。

警察官「草刈さん、殺人容疑であなたを逮捕します!」

警察官により、草刈の両手に手錠がはめられる。驚いた表情の草刈。ざわめく観客席。


警察署、取調室。机に向かい、警察官Aによる取り調べを受ける草刈。警察官Aの側には、警察官Bが立っている。

警察官A「草刈さん。あなたには、連続通り魔による2件の殺人を行った疑いがあるんですよ」

草刈「一体何のことですか?全然覚えていません!」

警察官A「とぼけないでください。歩道の防犯カメラに、あなたらしい人物の映像が映っていました」
      「それだけでは、ありません。現場から見つかった指紋を調べたら、あなたのものと一致したんですよ」

草刈「フッフッフッ……。そうだよ……。あの2件の殺人を行ったのは俺だよ……」

警察官B「容疑を認めるのですね?草刈さん」

草刈「俺は草刈なんかじゃあない!!俺は流血男爵こと鷹橋京一郎だ!!」


19 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/11/01(木) 23:22:42.182 ID:pXXKbDN9D.net
机を勢いよく引っくり返す草刈。ひるんだ警察官Aのベルトから、草刈は拳銃を奪う。

警察官A「おい、何をするんだ!!」

草刈「この世に神なんかいない!!だから、俺の命は俺の手で支配するんだ!!」

自らのこめかみに、拳銃を突きつける草刈。

警察官A・警察官B「やめろーーーーっ!!」

拳銃の引き金を引く草刈。取調室に響く銃声。パァンッ……!!!草刈は頭から血を流し、崩れ落ちるように倒れる。


とある劇場。たった1人の状態で観客席にいる喪黒。

喪黒「演劇であれ、映画やテレビドラマであれ……。役者という職業は『演じる』ということを仕事にしています」
   「そもそも……。有能な役者は役になりきることができますし、役を見る観衆たちの心を虜にさえしてくれます」
   「しかしながら……。どんなに優れた役者であっても、演じる役の解釈は、本人の心と人格があってのものです」
   「だから結局のところ……。現実の世界という劇場で、自分という役をしっかり演じることこそ重要なのかもしれません」
   「ところで、草刈さんは殺人鬼の役を演じ切れてさぞ本望でしょう。でも、彼はもう少し自分の人格を大切にすべきでしたねぇ……」
   「オーホッホッホッホッホッホッホ……」

                   ―完―


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