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「実は近頃妙に気になっておるんですが。ほら、よくあるでしょう?初めての町を歩いていて、いつか見た様な光景に出会ったり…」
- 1 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/11/30(土) 05:22:13.546 ID:babcPCxfa.net
- 「しかし、妙な話じゃな。数日部屋を空けて久しぶりに戻ってみれば、中は青カビやらシメジもどきで廃墟も同然。ちょっとした浦島太郎じゃな。友引高校という名の竜宮城で、ドタバタ明け暮れて月日の経つのも夢の内。お主、亀でも助けたか?」
「実は近頃妙に気になっておるんですが。ほら、よくあるでしょう?初めての町を歩いていて、いつか見た様な光景に出会ったり、今自分がしている事を、いつかそのままそっくり繰り返していた様な気がしたり」
- 2 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/11/30(土) 05:22:31.348 ID:babcPCxfa.net
- 「デジャ・ビューというヤツじゃな。疲れた時に人間の脳が生み出す偽りの体験じゃ」
「私もそう思っておりました。
疲れているんだと。だからそんな奇妙な考えに取り付かれるんだと。
今日、あの部屋を見るまでは・・・」
「何の話じゃ?」
- 3 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/11/30(土) 05:22:59.854 ID:babcPCxfa.net
- 「さっき、校長が言っておりましたね。今日一日。明日は学園祭の初日だと。
それと同じ様なセリフを以前にも聞いた様な…」
「疲れておるのじゃ…疲れておるからその様な願望が有りもしない記憶が作り出すのじゃ。
連日あの悪ガキどもの相手をしているのじゃから無理もないが、ま、それも今日で終わりじゃ。明日は学園祭の・・・、!?」
- 4 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/11/30(土) 05:23:18.281 ID:babcPCxfa.net
- 「そう考え始めてみて初めて気がついたんですが、自分でも驚くぐらい記憶がはっきりせんのです。
昨日の事も、その前日の事も、いや、うっかりすると数時間 前の事も忘れている事があったり。
何時何処で誰と会い何をしたのか。だいたい私が学校に泊まり込んで幾日経つんでしょうね?三日ですか?四日ですか?」
「さて。ドタバタしておったからのう」
「忘れてしまうほど前からですか?」
「お主。一体何を考えておる!はっきり言うてみい!」
- 5 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/11/30(土) 05:23:49.878 ID:babcPCxfa.net
- 「これはあくまで仮説でして…私の呆けた頭が生み出した夢想なら無論それに越した事がないんですが。
私は、こう思っておるのです…昨日も一昨日も、
いやそ れ以前からずっとずっと以前から、気の遠くなるぐらい前から、私ら学園祭前日という同じ一日の同じドタバタを繰り返しておるんじゃなかろうかと!
そして明日も!」
- 6 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/11/30(土) 05:24:06.273 ID:babcPCxfa.net
- 「何を馬鹿な!疲れておるのじゃ!疲れているから意識が混乱しているだけじゃ。
今日一日ゆっくり休んで明日になれば」
「明日になればどうなるんです?本当に今日と違う明日が来ると言うんですか?
今日と違う明日も思いだせんと言うのに!?」
「仮に!仮にお主の言う通りだとして。
では何で周りの人間が騒ぎださんのじゃ?
生徒たちがそれほど長く学校から戻らねば父兄が黙ってはおるまい!」
- 7 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/11/30(土) 05:24:39.958 ID:babcPCxfa.net
- 「同じ一日を繰り返しているのが友引高校だけじゃないとしたら?
友引町全体が、いや世界全体が
同じ一日を繰り返しているとしたら!?」
- 8 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/11/30(土) 05:25:03 ID:babcPCxfa.net
- 「世迷い言もいい加減にせいっ!!お主の言う事は完全に常軌を逸しておる!妄想じゃ、それはお主の妄想じゃ!」
「サクラ先生・・・。私さっきから必死になって思い出そうとしているんですが。
どうしても思い出せんのです。今日は一体、何月の何日でしょうね?教えて頂 けますか!
昨日から着のみ着のままとして、こんな物を着ておるとすれば、冬なのかも知れませんが。この汗は冷や汗なんですかねぇ?それとも、この陽気のせ いなんでしょうか?
それに・・・。
さっきから聴こえておるこれは・・・。
これも幻聴なんでしょうか・・・」
蝉の音が響き渡る
- 9 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/11/30(土) 05:25:33.244 ID:babcPCxfa.net
- 「浦島太郎は、竜宮城で夢のような日々を送り、そして、なつかしい故郷へ帰ってみれば、そこではすでに幾百年の歳月が流れていた」
「しかし、カメを助けたのが太郎一人でなく、村人全員だったら・・・村人全員が、竜宮城へ行ったのだとしたら、どうだったでしょうねェ…」
- 10 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/11/30(土) 05:27:03.687 ID:babcPCxfa.net
- https://i.imgur.com/j1HxqUl.jpg
https://i.imgur.com/IYpIoUX.jpg
https://i.imgur.com/0nSg6UV.jpg
https://i.imgur.com/NwSuUvN.jpg
- 11 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/11/30(土) 05:28:06.454 ID:uvhdYQ4O0.net
- おもしろかった
- 12 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/11/30(土) 05:28:07.458 ID:babcPCxfa.net
- 「運転手、急いでくれといったハズだが・・・・」
「まだつかんのか?表通りから友引高校まで車でたかだか2,3分のはず、やけにかかるではないか」
「お客さん、みなさん同じコトをおっしゃいますなァ。タクシーに乗ると時間がのびるんですかね・・・笑」
- 13 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/11/30(土) 05:28:24.381 ID:babcPCxfa.net
- 「・・・お客さん、カメに乗って竜宮城へ行く話、知ってます?」
「今、その気分を味わっとる」
「カメに乗って行ったのが太郎だけでなく村人全員だったらどうだったでしょうね・・・全員が竜宮城へ行って、そして、そろって村へ帰ってきたとしたら、
それでもやっぱり数百年の歳月がたってたコトになるんでしょうかね・・村人が誰一人気づかなかったとしても・・・・」
「なんの話をしとる…」
「なまじ客観的な時間やら空間やら考えるさかい、ややこしいコトになるんちゃいまっか?」
「帯に短し、待つ身に長し、いいますやろ。時間なんちゅうもんは、人間の意識の産物なんや思たらええのんやがな。
世界中に人間が一人もおらなんだら時計やカレンダーに何の意味があるちゅうねん!過去から未来へキチンと行儀よう流れてる時間なんて始めからないのんちゃいまっかいな?お客さん」
「おもしろい…これは本当にカメに乗ったのかもしれんな・・・」
- 14 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/11/30(土) 05:28:25.440 ID:dYJ8YNyf0.net
- http://youtu.be/wy8CWV0ki-A?t=1245
- 15 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/11/30(土) 05:30:52 ID:uvhdYQ4O0.net
- ごめん茶々じゃなくてそこがオチと思った
- 16 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/11/30(土) 05:32:44.062 ID:babcPCxfa.net
- 「私の名はメガネ。
かつては友引高校に通う平凡な一高校生であり、退屈な日常と戦い続ける下駄履きの生活者であった。
だが、あの夜、
ハリアーのコックピットから目撃したあの衝撃の光景が私の運命を大きく変えてしまった。
ハリアーであたるの家に強行着陸したその翌日から、世界はまるで開き直ったかのごとくその装いを変えてしまったのだ。
いつもと同じ町、
いつもと同じ角店、
いつもと同じ公園。
だが、なにかが違う。
路上からは行き来する車の影が消え、
建売住宅の庭先にピアノの音もとだえ、
牛丼屋のカウンターであわただしく食事をする人の姿もない。
この町に、
いやこの世界に我々だけを残し、あの懐かしい人々は突然姿を消してしまったのだ。
数日を経ずして荒廃という名のときが駆け抜けていった。かくも静かな、かくもあっけない終末をいったい誰が予想しえたであろう。
人類が過去数千年にわたり営々として築いた文明とともに、西暦は終わった。
しかし、残された我々にとって終末は新たなるはじまりにすぎない。
世界が終わりを告げたその日から、我々の生き延びるための戦いの日々が始まったのである。
- 17 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/11/30(土) 05:33:01.768 ID:4Es5BdPIa.net
- 地元から離れた高校に進学するときに挨拶で電車に乗ってその学校がある街まで言ったんだが駅降りた瞬間に
(あれ?なんかここ知ってるぞ…)って感覚に襲われて(感覚が正しいならこの先はこうなってるはず…なってる!!)みたいな
不思議な現象が起きて気味が悪かったんだが
あとあと冷静になって考えたら子供の時にそこの近くに住んでる親戚が亡くなって葬式の時に一度だけ通ったことがある道だったからその記憶が残ってたみたい
子供だからそこがどこかなんて知らないのにイメージは細かく残ってるんだからすごいよね人間って
- 18 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/11/30(土) 05:34:00.406 ID:babcPCxfa.net
- 奇妙なことに、あたるの家近くのコンビニエンスストアは押し寄せる荒廃をものともせずその勇姿をとどめ、
食料品、日用雑貨等の豊富なストックを誇っていた。
そして更に奇妙なことに、あたるの家には電気もガスも水道も依然として供給され続け、
驚くべきことに新聞すら配達されてくるのである。
当然我々は、人類の存続という大義名分のもとにあたるの家をその生活の拠点と定めた。
しかし何故かサクラ先生は早々と牛丼屋「はらたま」をオープンして、自活を宣言。
続いて竜之介親子、学校跡に浜茶屋をオープン。
そして面堂は、日がな一日戦車を乗り回し、おそらく欲求不満の解消であろう、ときおり発砲を繰り返している。
何が不満なのか知らんが、実に可愛くない。
あの運命の夜からどれ程の歳月が流れたのか。
しかし今、我々の築きつつあるこの世界に時計もカレンダーも無用だ。
我々は、衣食住を保証されたサバイバルを生き抜き、かつて今までいかなる先達たちも実現し得なかった地上の楽園を、
あの永遠のシャングリラを実現するだろう。
ああ、選ばれし者の恍惚と不安、共に我にあり。
人類の未来がひとえに我々の双肩にかかってあることを認識するとき、めまいにも似た感動を禁じ得ない。
メガネ著 友引前史第1巻 終末を越えて 序説第3章より抜粋」
- 19 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/11/30(土) 05:34:51.249 ID:YYgfTBM3a.net
- 名作だよなぁ
- 20 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/11/30(土) 05:38:08.075 ID:babcPCxfa.net
- 「お兄ちゃんはね、好きな人を好きでいるために、その人から自由でいたいのさ。…わかんねぇだろうな、お嬢ちゃんも、女だもんなぁ…。」
- 21 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/11/30(土) 05:43:49.108 ID:babcPCxfa.net
- 「お兄ちゃん、どうしても帰りたいの?」
「教えてあげようか?」
「えっ!知ってんの?現実へ帰る方法、知ってるの!?」
「誰でも知ってるよ ただ目がさめると忘れちゃうの」
「この玉の上から飛び降りるの そして、下へつくまでに目がさめたらどうしても会いたい人の名前を呼ぶの 名前を呼べない人はきっと、目ざめるのがイヤなのね」
「それなら大丈夫!お兄ちゃん会いたい人いっぱいいるから!」
「その代り・・・」
「ん?」
「約束してくれる?」
「責任、とってね?」
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