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( ^ω^)裏切りと暗躍のようです
- 1 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/05/26(火) 16:27:31 ID:kC/0uo990.net
- 秋は鮮やかにやってきた。
床に紙質の硬い雑誌をずりおとし、
かわりに一枚の毛布を顎まで引っ張りげ、
一九四五年の秋にゴミ捨場で死んだパルチザンのように背をまるめ、
両膝を腹に引き寄せていつものようにけじめなく眠りについた。
俺の眠りはいつもそうだ。
たとえばこんな不吉なファンタジーをよく経験する。
カシミールの山の中をさまよっているとつゆ知らずにいつの間にか中国国境を越えている。
本人には越境の意志などまるでない。
しかし、自分の凍る息の輪からふと視線をあげると、
山稜には狙撃兵たちが送電線の雀のように並んでいるのが見える。
なにが起こったのか理解できないままに佇む。
きびしい声調の中国語の警戒が体に突き刺さる。
それでも俺は動かない。
動けないのだ。
数秒か数十秒後には結氷した顔面を一種の清涼感をともなって貫いていくライフル弾の予感がし、
予感はやがて確信に変わる。
確信は少しずつ恐怖に形を変え、恐怖はわずかの熱を呼び、凍った眉を溶かす。
水滴が流れ、眼に入りこみ視界がにじむ。
俺は、なぜか自分の部屋の窓辺にかけたままの洗濯物を思い出す。
折り畳み、鼻を押し当て、それから引き出しにしまわなければ。
こう寒くては凍って繊維がばらばらになってしまう。
俺はどこか知らない国の言葉で、山稜の雀たちに叫ぶ。
待て、撃つな。
洗濯物を取り込むまで待ってくれ。
- 108 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/05/26(火) 18:48:23.854 ID:hUzUYxQlM.net
- 保守しゅ
- 109 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/05/26(火) 18:50:08 ID:kC/0uo990.net
- 大男は一冊の本をとりだして俺に渡そうとした。
コンサイスくらいの大きさで、表面は硬い厚紙だった。
( ^ω^)「なんだお」
ひらいてみると聖書だった。
( ゚∋゚)「あげます。ただで貰わないです」
( ^ω^)「いらないお。
だいいち俺はゾロアスター教徒だお」
( ゚∋゚)「いいから、いいから」
とやつはいった。
( ゚∋゚)「僕もあまり読まないですね。
でも、なんですか、ピンチのとき助かります、時々。
いい本です、時々。
気は心です」
( ^ω^)「けっ」
もうそのときには白人はさっさと身を翻して、
自動券売機のある方へ歩み去っていった。
俺は本をかたわらのゴミ箱に投げ捨てようと思ったが、
なぜか気が咎めた。
なにしろいちおうは聖書だからな。
あとで電車の網棚にでも置き去りにしよう。
(゚、゚トソン
兎尊の姿が見え、
俺は聖書を上着の内ポケットに急いでしまいこんだ。
- 110 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/05/26(火) 18:51:35 ID:kC/0uo990.net
- ――
西口の地下の店に入ると空気がひやっとした。
俺たちはバーテンダーの定位置からいちばん遠い席を選んだ
コーヒーにしますかと尋ねると、兎尊はカシスを注文した。
午後のカシスとはなかなか渋い選択だと俺は思った。
とりわけこんな店では。
(´・ω・`)
コーヒーアンドワインという、
文化財保護委員会から記念品を貰えそうな、
古めかしい看板を出し続けているこの店のバーテンダー兼オーナーは、
俺の古いなじみだった。
やはりまともに就職できない同類で、
やつも俺も一時は「第四次産業」に足を踏み入れていたことがある。
もともとも瓶の中で帆船を組み立てるのが女よりも好き、
といったタイプだったから第四次産業の産業戦士としては大成する見込みがなかった。
俺の方は向上心がありすぎた。
「思想の科学や」や「サウスチャイナ・モーニングポスト」を読んでいても大成できない。
やつはバーテンダー学校に入り、
俺は「週刊平凡」の広告で探偵学校に入った。
- 111 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/05/26(火) 18:52:57.678 ID:kC/0uo990.net
- 数年後、
どしゃ降りの雨の日に雨宿りにこの店の階段を駆けおりると、
バーテンダーが客のいないカビ臭い店の隅でアポリネールの「カリグラム」読んでいた。
やつは俺を見るとワニみたいな口をあけてガハハと笑い、
マティーニをつくってくれた。
うんとドライにしてくれといったら、
生のジンをグラスに注ぎ、
栓を抜いたベルモットを隣にどんと置いた。
においを嗅ぎながら飲めといって、
またガハハと笑った。
そんな話を俺は兎尊にしてやった。
きょうは襟元のとじたミズガラシ色の服を着ていて、
俺は少しだけそのことが残念だった。
( ^ω^)「ご主人は」
と口調を改めて俺はいった。
すでに三十分以上の時間が店に入ってから過ぎていて、
二人とも三杯目を注文したところだった。
( ^ω^)「ご主人は、あなたを裏切ったりはしていませんお。
調査の結果そういうふうなことになりましたお」
兎尊は俺を見ていた。
なにをいいたいのかわからなかった。
( ^ω^)「働きものですお、ご主人は。
遅くまで残業が多いし、ときには技術者のセミナーにも顔を出すし。
報告書はこの袋の中に入っていますお。
ついでですが調査費の請求書も」
テーブルのうえに滑らせた封筒に、
兎尊は手を触れようとはしなかった。
かわりにハンドバッグからセイラムの袋を取り出し、
一本の煙草を抜いて火をつけた。
深く吸って、吐きだした。
- 112 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/05/26(火) 18:55:25 ID:kC/0uo990.net
- ( ^ω^)「大変多忙な生活だと思いますお。
よくは知りませんが、あのくらいの年齢がいちばんたいへんなんじゃないでしょうかお。
確かに若かった頃の快活な印象はだいぶ薄れているようですが、仕方のないことかも知れませんお。
察してあげくださいお」
-v(゚、゚トソン「あなた、それはなんですの?」
俺は気をそがれて、言葉を呑み込んだ。
-v(゚、゚トソン「いい加減な調査をするということ?
それとも私にたいする同情?」
( ^ω^)「どういうことですお。
彼はあなたを裏切っていないお。
つまり浮気もしていない。
少なくとも私が注意を払っていた期間にはそういうことはなかったお。
気配も感じさせなかった。
今後、仮にあり得るとしても彼のようなタイプは、男にありがちな多少飲みすぎて夜だけのできごとにして、決してあとをひかない。
私はそう思うお」
兎尊は俺の眼の奥をのぞきこんだ。
研究者が細胞分裂を観察しているときの眼だ。
俺は網膜がむずがゆくなって視線をそらせた。
-v(゚、゚トソン「都村に女がいることは知っています」
と彼女はいって、煙草を灰皿でにじり消した。
俺は溜息をついた。
多分、調査費は取りはぐれることになるだろう。
- 113 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/05/26(火) 18:57:09 ID:kC/0uo990.net
- 彼女は続けた。
(゚、゚トソン「名前は知りませんが、顔は知っています」
俺は酒を飲みほした。
彼女の顔に正対する気分ではなかった。
バーテンダーに声をかけてもらいたかった。
しかし彼はカウンターの端で身じろぎもせずうつむいて立っていた。
やつはまだアポリネールにいかれているのだろうか。
悪い癖だ。
治さないと老後を幸福には送れない。
(゚、゚トソン「あなたにお渡しした写真。
あれ、半分に切れていたでしょう」
( ^ω^)「ええ」
俺はつぶやくように肯定した。
(゚、゚トソン「切ったほうに女の人が写っていました。
主人のデスクの引き出しに入っていたんですが、いまでは、あの人が私に見つけるように仕向けたんじゃないかと思えて」
( ^ω^)「過去の人じゃありませんかお?
あるいはたんに会社の部下であるとか」
(゚、゚トソン「違います」
彼女は断言した。
(゚、゚トソン「主人はこの何年も私の体に触れません。
遅くなるときはかならずお風呂に入ってきます。
隠そうともしません、そのことを」
( ^ω^)「そうですかお」
- 114 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/05/26(火) 18:58:25 ID:kC/0uo990.net
- ねえ、と彼女はいい、俺の名前を呼んだ。
(゚、゚トソン「あなたのお気持ちはとても嬉しいんです。
知らないで済むことなら、そのほうがいい。
どうなったところで、私には離婚する気持ちが全然ない以上ね。
確かに氷は冷たいですけど、一度凍ってしまえばいくら冷えてもそれよりは冷たくなりようがないですしね」
( ^ω^)「それはそうですお」
(゚、゚トソン「ただ」
といって兎尊は言葉を切った。
俺はその先が聞きたくなった。
聞いてもどうしようもないことは分かっていたし、
生活費の足しにはならないことも知っていたが、
誘惑をおさえ切れなかった。
( ^ω^)「ただ、なんですかお」
(゚、゚トソン「相手の人に子供がいるのかどうか知りたかった。
住んでいる場所も見当はついています。
でも、自分で確かめに行く勇気はなくて、とても」
( ^ω^)「それで私を傭ったと」
(゚、゚トソン「ええ。
子供ができない体になったとわかるまでは凄く優しかったんです。
病院でそのことを知らされると、彼は蒼ざめました。
それから長いこと低い声で笑っていました。
笑いながら涙をいっぱいに浮かべて。
思い出すと辛いんですよ、いまでも」
出ましょう、と兎尊がいった。
俺は慌てて立ちあがった。
どこへ、とは尋ねなかった。
尋ねさせない気迫が彼女の言葉の中に潜んでいた。
- 115 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/05/26(火) 18:59:35 ID:kC/0uo990.net
- ――
俺はベッドに腰かけて自分の腹の肉をつまんでみた。
フレンチトースト二枚分はどの厚みが手のひらに残った。
俺はそれをもみしだいた。
愛と希望を腹に詰め込んだ結果がこれだとしたら皮肉だ。
兎尊はあおむけにベッドに横たわっていた。
シーツを巻きつけず、
少しずつ肉がつきはじめてルーベンスの裸婦を追いかけつつある下腹と、
小さくまとまった陰毛とを隠そうとはしなかった。
(゚、゚トソン「こう思ったんでしょ、あなた」
と兎尊は同じ姿勢のままでいった。
(゚、゚トソン「離婚しても、一人でやっていけそうにな女だ。
だからそっとしておくべきだ」
俺は黙っていた。
立ちあがって冷蔵庫に近づき、扉をあけ、ビールを一本取り出して栓を抜いた。
瓶から直接、口の中に苦い液体を流し込んだ。
冷えすぎていて、うまいとは思えなかった。
兎尊の人生のような味かも知れない。
- 116 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/05/26(火) 19:00:34 ID:kC/0uo990.net
- 俺は兎尊に、なにか飲むかと尋ねた。
彼女は、なにも、と答え、それじゃシャワーを浴びたら、
という提案には無言だった。
あれから酒場を出て、
兎尊と俺は新宿の雑踏を歩いた。
長い間、黙って歩いた。
彼女は確信を抱いたものだけが見せる歩調でまっすぐ歩き、
俺は飼主の気持ちを忖度しかねているイヌみたいに彼女についていった。
それから俺にこういった。
いっしょに寝てくださる?
瞳が、
割ったばかりの石炭のように、
輝きを帯びていた。
街のざわめきが一瞬だけ消え去ったように思えた。
俺は頷いた。
俺たちはさらに歩き、
夕暮れの小路を通り抜け、
一軒のラブホテルに入った。
シャワーも浴びずに抱きあった。
俺は彼女の胸を押しあけ、乳房のにおいを嗅いだ。
そのときはじめて彼女のつけている香水の名前を思い出した。
- 117 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/05/26(火) 19:01:39 ID:kC/0uo990.net
- あなたとはこんなことをしてみたかったのよ、
と兎尊は喘ぎながらいった。
フィルム保管室で偶然みたいにあなたにキスされてから、
時々思い出していたわ。
ずっとよ。
ずっと。
俺も告白した。
再会したときに淫らな思いを持ったことを。
ただし、
仕事の依頼の電話を貰うまでは、
こんなことを一度も思いだしたことはなかったということは黙っていた。
なぜあなたを家に呼んだかわかっちょうだい、
と彼女は俺の体のしたで囁いた。
なぜだと尋ねた。
ひょっとしたらこんなことをしてくれるかも知れないと思ったの。
午前中というのは女がいちばんいやらしくなるときなのよ。
彼女は俺に背中を向けたがった。
そして尻を高く掲げ、
興奮が昂まると、
お尻をつねって、
もっと強くつねって、
と絶叫した。
- 118 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/05/26(火) 19:03:00 ID:kC/0uo990.net
- 俺は彼女の過酷な要求を十分に満たそうと努力した。
一リットルの汗と虚脱感がその労働の報酬だった。
フィルム保管室の事件を思い出した。
もっとも、
いまの行ないそのものが六フィートの波の立つ海だとしたら、
油を流した海の、それも岸辺のできごとにすぎなかったが。
それは、俺の眼から見ればこんなふうだった。
フィルムを棚に並べて、
人の気配にふり返ると兎尊がドアをうしろ手に閉じてたたずんでいた。
俺は多分、
あいまいな微笑を浮かべて意味のないことを彼女にいった。
彼女はそのコマーシャルフィルム制作会社のディレクターのアシスタントで、
俺は昼間はそこでアルバイトし、夜は学校に通う、
ひねて老けた苦学生だった。
身分が違う、
というきわめて古典的なエクスキューズが俺の脳裡をかすめ飛んだ。
しかし、彼女はつかつかと俺に近づき、
土俵際で駄目を押す力士みたいな仕草で俺を湿った壁に押しつけた。
自分の片手を壁についた。
お蔭でさらにぴったりと壁に押しつけられる恰好になった。
俺は牛にアリーナの側壁までおいつめられた闘牛士の心がわかる気がした。
それから彼女は唇を近づけた。
俺は眼を閉じようかどうしようか迷った。
考えたあげく眼をひらいたままにしておくことにした。
- 119 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/05/26(火) 19:03:19 ID:Xp7mgSkKK.net
- おー未だに書いてるのいたのか
したらばもすっかり見なくなったわ
がんばえー
- 120 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/05/26(火) 19:04:30 ID:kC/0uo990.net
- ふりかかる火の粉を避けることはないが、
一生屈辱感にさいなまれるような態度は、
精神の底にこびりついた自尊心の残骸にかけてとりたくはなかった。
だが行動がともなわなかった。
彼女はもう一方の手も壁についた。
つまり、
俺は彼女に犯されるようにしてキスされたのだ。
自慢できない過去には違いない。
彼女は自分のしたことを終えると、
ひとこともなしに扉から出ていった。
その後姿は、
命を賭けて国境を越える亡命者のそれのように他人の入り込む隙がなかった。
結局、それきりだった。
間もなく彼女は結婚するために会社を辞め、
俺はそのこととは無関係に、もっと割のいいアルバイト先へ移った。
- 121 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/05/26(火) 19:04:35 ID:Y78X+I0M0.net
- ( ゚∀゚) おっぺぇ!おっぺぇ!
- 122 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/05/26(火) 19:05:21.030 ID:kC/0uo990.net
- (゚、゚トソン「あなたに会ってみたかったの」
と兎尊はいった。
横たわり、手枕をしていた。
乳房が自重に耐えかねて歪んでいた。
(゚、゚トソン「あなたに会って」
と彼女は続けた。
(゚、゚トソン「自分がいまどんな場所にいるのか知りたかった。
あなたと寝てみれば」
彼女はそこで言葉を切った。
俺は待った。
(゚、゚トソン「あなたと寝てみれば、
自分がどれくらい変わったか、
これからどうすればいいか、
そんなことがわかるんじゃないかと思ったわけ」
- 123 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/05/26(火) 19:07:02 ID:kC/0uo990.net
- ( ^ω^)「彼は昔の彼ならず、ということもあるお」
(゚、゚トソン「そうね。
そういうこともある。
でも、あなたはかわってなかった」
( ^ω^)「そうかお」
(゚、゚トソン「そうよ。
昔から同じにおいがした」
( ^ω^)「そうかお」
(゚、゚トソン「かわったのは体つきだけ。
お腹が前よりずっと出ているってことだけ」
なんと答えていいのかわからなかった。
多少の修辞学を使ってもらわなければ答えにくい。
真実に近づきすぎるのはときに罪だ。
( ^ω^)「それで、君はなにかわかった?
なにか決断した?」
彼女はシーツをすっぽりかぶった。
そして、いった。
(゚、゚トソン「なんにも」
彼女はシーツのしたで身を丸くした。
(゚、゚トソン「ほんとうに、なんにも。
わかったのは、私がこういう行為に飢えていたということだけ。
たったそれだけ」
- 124 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/05/26(火) 19:16:18 ID:hUzUYxQlM.net
- 四円
- 125 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/05/26(火) 19:18:58 ID:mn46rE79M.net
- ?
- 126 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/05/26(火) 19:20:43 ID:Y78X+I0M0.net
- 規制を食らったかな?
- 127 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/05/26(火) 19:22:49 ID:rwvSaMkv0.net
- しえん
- 128 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/05/26(火) 19:40:02 ID:kC/0uo990.net
- ――
その夜、俺は池袋で飲んだ。
胃を裏返してスポンジで洗いたくなるほどに飲んだ。
酒場では傍若無人にふるまうサラリーマンの三人組と険悪な雰囲気になりかけたが、
マスターが間に入っておさめてくれた。
マスターは俺の背中を押しながら低い声でいった。
ひと月くらいは顔を見せないでくれよな、
今夜のあんたは態度がいいとは全然いえないぜ。
(*^ω^)
俺は駅前にのビルの地下にある駐車場のほうへ歩いていった。
二人連れの男女が、
百メートルも先から俺を避ける様子がありありとわかった。
風邪がぶり返しそうな予感がした。
俺は地下駐車場に続く長い通路をゆっくり降りていった。
景気づけにどういう歌を歌おうかと考えていた。
大きな声で、春の日の花と輝く、と歌いはじめたが、
あとが続かなかった。
酔っていようがいまいが記憶力に差はないはずなのだが、
俺はアルコールのせいにした。
実際に春の日が花と輝くとすれば、
そんな些細なことを気にする必要もなくなるだろう。
俺は奇妙なまでに楽観的だった。
近づきつつある寒さと頭痛の季節のことを、
無意識のうちに忘れようと努力していた。
駐車場の奥、
何十本かのコンクリートの柱を通り過ぎたどんづまりに赤電話があるのを知っていた。
だらしない部屋からではなく、
ちゃんと服を着たままで電話をしたい女がいるときには、
よくここを利用する。
- 129 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/05/26(火) 19:40:57 ID:kC/0uo990.net
- 腕時計に眼をやると、
午前一時三十分を少しまわっていた。
なに、構うものか。
思い立ったときがいちばん実りの多いときだ。
またそうするべきだ。
受話器をとりあげコインを落としこんでダイヤルをまわした。
ひょっとしたら、と俺は考えた。
彼女は一人でいるかもしれない。
ベルの鳴る音を数えているとき、
ひょっとしたら、と再び考えた。
彼女は俺からの電話を待っているかも知れない。
フランスとじの本のページをペーパーナイフで切り裂きながら。
- 130 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/05/26(火) 19:43:04.501 ID:kC/0uo990.net
- 十回までベルが鳴り、
また一から数えなおした。
ゆっくりと七つまで数えたとき受話器のはずれる音がした。
深い息に続いて、兎尊の声がした。
( ^ω^)「俺ですお。
こんな夜遅く電話して済まないと思うお。
聞いて欲しい話があるんだお」
俺は一気にそれだけ喋った。
電話線の向こう側の端からは、
しかし、なんの反応もなかった。
( ^ω^)「聞いているのかお?
もしもし、聞いてますかお。
話してるのは俺ですお」
兎尊の声が、わかります、
聞こえていますといった。
あたりをはばかっている低い声だった。
( ^ω^)「提案があるんだお」
と俺はいった。
明日にしてくださいと彼女がいった。
( ^ω^)「明日にはなりませんお。
いまでなきゃ駄目ですお。
いま返事をして欲しいんだお。
飲みながら考えていたんだお。
君と別れてから、ずっと。
ずっとだお、あなた」
明日にしてくださいと、彼女は繰り返した。
- 131 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/05/26(火) 19:43:19.537 ID:Y78X+I0M0.net
- しえん
- 132 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/05/26(火) 19:44:34.020 ID:kC/0uo990.net
- 構わずに続けた。
( ^ω^)「酔ってるなんて思わないでくれお。
酔ってはいるけど、酔っているせいだなんて思わないで欲しいんだお。
俺はもう東京がいやになったお。
この街もこの街の人間も、この街のネコもみんないやになったお。
どこかへ行きたい、この街以外のどこかで暮らしてみたいと痛切に思ってるお。
そして、あなたと一緒に行きたいとやはり痛切に思っているんだお」
俺は息を継いだ。
彼女の反応を待った。
長い間があって、彼女はいった。
あなた正気?
( ^ω^)「正気だお。
いやいい直すお。
いまは正気じゃないかも知れないお。
正気じゃないからこそ、こんなことがいえるんだと思って欲しいお。
なおかつですお、正気じゃないからこそ俺は本気だし、俺の言葉は信用できるんだお。
できたら、と俺は思うんだお、できたらあなたと南の日差しの明るい国へ行きたい。
そこでうまいオレンジを食べたい。
ぬるいワインを飲みたいお」
- 133 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/05/26(火) 19:47:26.981 ID:kC/0uo990.net
- (#^ω^)「……主人が起きる?
どうしようと構わないお。
もしよかったらご主人を電話に出してくれお、俺が説得するお。
俺には自信があるんだお。
飲んだせいじゃないお。
飲んだせいかも知れないがこの自信は本物だお。
叩けばいい音がはね返るお。
貯金箱を叩き壊すお、俺。
それにここだけの話だが、最後の砦にと思っていくらか貯えもあるんだお。
国債を売り払っちまえば……そりゃ百にもならないかも知れないが、あなたの費用ぐらいは出せるお。
ネコには家を出てもらって、アパートは引き払うお。
もううんざりしたんだお、球屋の二階の床のきしきしと鳴る部屋にも、池袋の猥雑な夜にも……カプリだお。カプリ島。
イタリアのほくろみたいな島。
そこで俺はタイプライターを買って。
打てやしないけど、たいした問題じゃないお。
ユリシーズを主人公にした小説を書くんだお。
君は泳いでりゃいいお。
そうするとアメリカの映画プロデューサーがやっくる。
君はそいつをちっとも好きじゃないくせに、俺に別れを告げて出ていく。
俺は理由もわからずひたすら悲しみ続け、地中海の海の青さが眼にしみるってわけだお。
どうだお? 悪くないだろうお」
俺は三日熱のマラリア患者のように一気にまくしたてた。
息が切れ、
脈搏が早くなっていることに気付いた。
彼女は黙ったままだが、
まだ電話線は死んではいなかった。
俺は待った。
そして哀願した。
そうするうちに少しずつ本気になっていった。
どうでもいい与太話がが現実になり得る気がした。
じりじりとしつつ、
なにもかもが原色のイタリアのイメージを膨らませ、
もてあました。
- 134 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/05/26(火) 19:48:55.005 ID:kC/0uo990.net
- 彼女がぽつりといった。
あの人の相手に、
といいかけて言葉を切り、
いくつもの季節がとおりすぎイタリアも冬になったと思えるほどの長い沈黙のあとで、
ようやく言葉を継いだ。
あの人の相手には子供がいるの?
それは、あの人の子供?
俺は黙り込んだ。
どういえばいいのかわからなかった。
受話器を逆の手に持ちかえ、
姿勢をかえた。
横向きになり打ちっ放しのコンクリートの壁に体をもたせかけた。
片方の手のひらで顔を強くこすった。
静まり返った広い駐車場で、
俺は孤独という言葉を実感した。
- 135 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/05/26(火) 19:50:07.637 ID:kC/0uo990.net
- 俺はこんなふうに話した。
そうするためにはかなりの自制心が必要だった。
( ^ω^)「確かに女の人がいますお。
都村さんには。
つきあいもだいぶ長いようだお。
嘘をついて悪かったと思っていますお。
俺は心からそのほうがあなたのためにはいいと。
だからあんなふうにいったんだお」
俺は続けた。
( ^ω^)「しかし、相手の人には子供はいないお。
役所へ行ったりいろんな方法で確かめてみたお。
都村さんには子供はいないんだお」
海溝の底から湧きあがるような深い溜息が、
電話線を伝わって俺の耳に届いた。
それが安堵を示すのか、
それとも絶望を示すのか俺にはわからなかった。
- 136 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/05/26(火) 19:51:10.459 ID:kC/0uo990.net
- 彼女が俺の名を呼んだ。
かすれた声だった。
強く受話器を耳に押しつけるために持ちかえようとしたときだった。
受話器の上辺が爆発して、
弾け飛んだ。
ついに世界の終わりのときがきたのかと思った。
受話器が弾けただけにしてはあまりにも巨大な音が響き、
駐車場の全体を揺るがせた。
( ^ω^)
俺は砕けた受話器を茫然と眺め、凍った。
なにがなんだかわからなかった。
わずか正気に返り、
入口のある方角へ向き直ってみて、
はじめてそれが銃声だとわかった。
( )
三つ目の柱の蔭に、
半ば身を隠した男が立っていた。
男は右手で拳銃のグリップを握り、
左手は、
真っすぐに前に突き出した右の手首をしっかりと掴んでいた。
- 137 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/05/26(火) 19:52:10.205 ID:kC/0uo990.net
- 男の顔に見覚えがあった。
しかし、
この状況で思い出せというのは無理な注文だ。
無意識にあとずさろうとしたが壁がぴたりと背中に触れただけだった。
手の中に残っていた、
かつて受話器だったプラスチックの残骸を捨てた。
どうするべきかを考えたが、
まるでいいアイディアが浮かばない。
神に祈ることさえ思いつかなかった。
彼の手の中で拳銃の回転弾倉がまわるのが不思議によく見えた。
眼を閉じるべきかどうか迷った。
銃声がキーになって、
狂気の男と以前どこで会ったか思い出した。
彡⌒ミ
( @_ゝ@)
最初に都村を張りにいった日に溜池で俺をしげしげと眺めていた男だった。
あの小柄な、
貧相なジャン=リュック・ゴダールをさらにひとランク貧相にした初老の男だった。
弾着の衝撃を待つごく短い時間のうち、
それだけのことを考えた。
- 138 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/05/26(火) 19:52:55.857 ID:kC/0uo990.net
- 俺はつぎの瞬間、
胸に強烈な圧迫を受けた。
地球の全重量を受けとめたようだった。
同時に後頭部にも激しい衝撃があった。
頭をいやというほどコンクリートの壁にぶつけたのだ。
世界が暗転した。
さよならをいわず、
これまでの人生の非を悔いることもできないのがとても残念だと思いながら、
さらに二度、銃声を聞いた、
そんな気がした。
音は月世界から聞こえてくるように遠く、
俺のあわれな頭蓋の中でうつろにこだましていた。
- 139 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/05/26(火) 19:54:52 ID:kC/0uo990.net
- ――
地獄の番人が、
ここは三百パーセントの満員だからよそへ行ってくれないかといった。
俺は駄々をこねた。
ここは電車の形をした地獄じゃないのかお。
だったら俺はここへくるということになっているんだお。
まだ一人くらいなら入る余地があるだろうお。
なんとかしてくれお。
地獄の番をしている中年の男が、
いきなり俺の頬をたたき始めた。
最初は撫でるように弱く、
次第に強く。
彼は無抵抗な俺をたたきながら大声で叫んでいた。
満員なんだ。
満員だといったら満員なんだ。
最後は石原裕次郎がキャバレーでドラムをたたくくらいに荒っぽいやりかたになった。
そして耳の中に思い切りでかい声を吹き込みやがった。
起きろ! 探偵。
さっさと起きねえと二度と目のさめないようにしてやるぞ。
- 140 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/05/26(火) 19:56:57 ID:kC/0uo990.net
- ――
眼をあけると二人の男の顔が見えた。
しゃがみこんでいるやつと、
立ったままで薄笑いを浮かべたやつだ。
地獄の番人よりも、
二人とももっとも散文的な顔をくっつけていた。
( ´ー`)「なんだ生きてるのか」
刑事の白根だった。
( ´_ゝ`)「お前を殺しそこなった男だがね」
ともう一人がいった。
立ちあがると白根よりも頭ひとつだけ背が高い。
夏になると人よりも早く日焼けする、
というのがその男、
流石刑事の貧しい冗談のひとつだった。
( ´_ゝ`)「やつはあそこにいるよ。
俺たちが射った。
救急車はじきにくるが、死にかけてる」
柱の根元に狙撃者が倒れていた。
厚い眼鏡のレンズの片方にひびが入り、
霧のおりたみたいに真っ白になっているのが見てとれた。
太腿と肩のしたあたりが赤く染まっていた。
( ´_ゝ`)「それからお前の心臓だがね」
と流石がいった。
( ´_ゝ`)「毛が生えてるだけじゃなかったんだな」
俺は自分の胸を見た。
上着が裂けていた。
胸ポケットに手を入れ、
聖書をとりだしてみた。
表紙に丸い穴があいている。
- 141 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/05/26(火) 19:58:02 ID:kC/0uo990.net
- 弾丸は不規則にひしゃげた形で、
ヨハネの第一の手紙の部分からこぼれ落ちてきた。
あとわずかで裏表紙に達しようというところで慣性の力を失い、
ヨハネの言葉の中に埋もれてしまっていた。
<神を愛するとは、すなわち、神との約束を守ることだ。そしてその約束を守ることは決して重荷ではない>
そういう意味の文句が英語で記されている場所の近くに、
弾丸の旋転がもたらした最後の焼け焦げがあった。
( ´ー`)「なぜお前が狙われたか教えてやろうか」
と白根がいった。
立ちあがっても胸と頭が激しく痛んだ。
( ´ー`)「その男だがな、お前に恨みがあるんだと。
お前、覚えがあるか?
満員電車の中ででかいくしゃみをしただろう。
そんときにひっかけられたんだそうだ、しこたましぶきを」
俺は横たわっている男をふり返った。
彼は苦しげに喉を鳴らしていた。
救急車のサイレンが近づいてきた。
- 142 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/05/26(火) 19:58:57 ID:kC/0uo990.net
- 流石が、
自分の銃をホルスターにしまいながらいった。
( ´_ゝ`)「いい年をしているくせにガンマニアでね。
これも改造ガンだ」
と白根のコートのポケットからはみだしている銃を指さした。
それはすでに透明のビニール袋に入れてあった。
( ´ー`)「ずっとあんたのことを張ってたらしいぜ」
と白根がいった。
( ´ー`)「会社員ていうのはよほど人生の目的が足りねえんだなぁ」
( ´_ゝ`)「おれたちもな」
と流石がいった。
( ´_ゝ`)「スーパーの前で狙われたのはお前以外にはないと思ってな、
これでもお守りしてやってたんだぜ。
なんだよ人の気も知らないで、
明るいうちからラブホテルへ人妻なんて連れ込んでよ」
- 143 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/05/26(火) 19:59:24 ID:5f1Ke4J80.net
- 支援
- 144 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/05/26(火) 20:00:55.085 ID:kC/0uo990.net
- 俺はいった
( ^ω^)「連れ込んだわけじゃないお。
自慢じゃないが連れ込まれんだお」
救急車が駐車場に入ってきた。
二人の刑事の顔に赤い回転灯が映えた。
こいつらこそ地獄の番人にふさわしい。
( ´_ゝ`)「で、どうにかなるのかよ」
と流石がいった。
( ^ω^)「なにがだお」
と俺は問い返した。
( ´_ゝ`)「その恋がだよ」
( ^ω^)「どうにもならないお」
( ´_ゝ`)「おしまいか」
( ^ω^)「ああ、そうだお。
おしまいだお」
( ´ー`)「だろうな」
と白根がいった。
( ´ー`)「満員電車の中でくしゃみして、
誰かの恨みを買うようなやつに本気で惚れる女はいねえよ。
経験上よくわかる」
俺は痛みをこらえながらいった。
( ^ω^)「余計なお世話だお。
こう見えても一人前に傷ついているんだお。
そっとしていてくれないかお」
それからゆっくりと両手でズボンのほこりを払い落した。
- 145 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/05/26(火) 20:01:21 ID:kC/0uo990.net
- Fin
- 146 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/05/26(火) 20:03:02 ID:kC/0uo990.net
- ご支援ありがとうございました m(_ _)m
- 147 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/05/26(火) 20:08:28.922 ID:Y78X+I0M0.net
- 乙でした!
改行を工夫してくれるともっと読みやすくなって助かるんだぜ!
- 148 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/05/26(火) 20:17:53.048 ID:g0G8gSXBa.net
- 乙desu
- 149 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/05/26(火) 20:22:10.209 ID:INq+IleU0.net
- 乙
- 150 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/05/26(火) 20:23:45.981 ID:hUzUYxQlM.net
- おつ!
- 151 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/05/26(火) 20:25:03.687 ID:kC/0uo990.net
- >>147
すみません
気をつけます m(_ _)m
- 152 :◆CaOyByoJC6 :2020/05/26(火) 20:44:26 ID:5f1Ke4J80.net
- ブーン系まとめサイト「Boon's Beautiful Harmony」の管理人です
この作品を当サイトで保管してもよろしいでしょうか
- 153 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/05/26(火) 20:48:12 ID:kC/0uo990.net
- 大丈夫ですよ ( ^ω^)ノ
- 154 :◆CaOyByoJC6 :2020/05/26(火) 20:52:08 ID:5f1Ke4J80.net
- ありがとうございます、近日中にまとめさせていただきます
Boon's Beautiful Harmony@令和のブーン系小説まとめサイト
https://reiwaboonnovels.web.fc2.com
- 155 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/05/26(火) 21:31:12 ID:Vperi3/9d.net
- 過去作があったら教えてくれると嬉しいな
- 156 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/05/26(火) 22:12:19 ID:kC/0uo990.net
- 過去作はこれだけですね
(,,゚Д゚)焚火のようです
ttp://s2-d2.com/archives/21129656.html
(=゚д゚)花の行方と懐中時計のようです
ttp://s2-d2.com/archives/20849765.html
- 157 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/05/26(火) 22:14:35.866 ID:mE/AC7qo0.net
- 投下乙!
横からだが過去作も読むぜ
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