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武術家「私と突き合ってくれ!? いいだろう!」女「いや、違う……」

1 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/11/14(土) 14:04:14.117 ID:gIoh9ZpL0.net
武術家「このところ、俺の道場の周辺をうろついてるが……何か用かな?」

女「…………」

女「これを」スッ

武術家「手紙?」

『私とつき合ってください』

武術家「私と突き合ってくれ!? つまり俺と試合したいのか! いいだろう!」

女「え」

武術家「女性ながらかなりの闘気を感じたが、やはりそういうことだったか! ささ、中へどうぞ!」

女「いや、違うんだが……」

84 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/11/14(土) 16:45:07.752 ID:1JtRntP/0.net
このスレこの前もみた

85 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/11/14(土) 16:45:12.300 ID:gIoh9ZpL0.net
<格闘ジム>

オーナー「どうだ、指導のほどは?」

師範「バッチリです」

師範「特に特別コースの若者たちは、自分の格闘技を試したくてしょうがないようで……」

オーナー「よしよし。その調子で暴力を振るいたい若者を量産するのだ」

オーナー「ゆくゆくは裏社会を始め、数々の組織に兵として献上しよう」

オーナー「不良すら喧嘩をしなくなった今の時代、暴力に長けた手駒を欲している組織は多いからな」

オーナー「どんな金持ちだって殴られればケガするし死ぬ。所詮、暴力に敵うカードはないのだ」

「たのもうッ!!!」

オーナー「な、なんだ!?」

86 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/11/14(土) 16:48:31.841 ID:gIoh9ZpL0.net
オーナー「……またあなたですか。しつこいですねえ」

武術家「当たり前だ。武術家として、お前たちのやってることを見過ごすことはできない!」

オーナー「あなたはせっかちな方ですから、さっそく彼らを呼び出しますよ」

すると――

天狗面「お前は……!」

女「捜したよ、兄さん」

天狗面「なぜここに……」

女「なぜはこっちの台詞だ」

87 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/11/14(土) 16:51:12.229 ID:gIoh9ZpL0.net
女「なぜ、こんな連中の用心棒になった」

天狗面「俺は自分の力をもっと試したくて、家を飛び出した」

天狗面「だが、どいつもこいつも俺の蹴り一撃にも耐えられないか、試合を断る軟弱者ばかり」

天狗面「中には跳躍力を生かし、ショーのような試合をやってみないかと誘ってくる輩もいた」

天狗面「俺は失望した……。今の格闘家などこんなものかと」

天狗面「やがて、同じく優れた力や技を持ちながら、くすぶっていたこの二人と出会い――」

天狗面「自分の力を振るえる場所を探すうち、このジムで雇われたわけだ」

女「ようするに、光の当たる場所に上手く馴染めず、スネたわけか」

天狗面「兄に対する口のきき方じゃないな」

女「兄さん、お前は私が倒す」

天狗面「俺を倒す? 出来もしないことを口にするな」

睨み合う兄妹。

88 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/11/14(土) 16:52:55.059 ID:scX8TdD7r.net
久しぶりに会った兄が天狗になっていた件

89 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/11/14(土) 16:54:07.284 ID:gIoh9ZpL0.net
オーナー「さてと、試合をする前にはっきりさせておきたいのですが――」

オーナー「敵であるあなたがたにこう何度もジムに出入りされては、たまったものではない。そこで――」

オーナー「この試合に負けたら、きっちり私の軍門に下ると約束して頂きましょうか」

武術家「俺は一度負けている……当然の要求だろう」

武術家「もし俺が負けたら、俺をどう扱ってもかまわん。用心棒だってやってやる」

武術家「その代わり、俺たちが勝ったら、ジムのあり方を改めてもらおうッ!」

オーナー「約束しましょう」ニコッ

弟子「師匠……」

武術家「心配するな。俺は勝つ」

大男「おうおう、あんな惨敗しておいて、大きく出やがったな! デカイことはいいことだぜェ!」

細身「ヒヒヒ、俺たちもナメられたもんだな」

90 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/11/14(土) 16:54:50.605 ID:wyTrebCca.net
よくこんなクソみたいな文考えてスレ立てようと思ったな

91 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/11/14(土) 16:56:20.533 ID:gIoh9ZpL0.net
ジムの練習生が大勢見守る中、試合が始まる。

オーナー(ここで奴らを叩きのめせば、練習生はさらに暴力に憧れる……! 極上のショーだ!)

大男「よーし、こっちは俺が出るぜェ!」ズンッ

武術家「俺が行こう」

大男「レフェリーなんざいらねえよな? どっちかが参ったするか、動けなくなるまでだ」

武術家「いいだろう」

弟子「師匠……頑張って下さい!」

女(負けるな……武術家)

92 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/11/14(土) 16:58:21.985 ID:gIoh9ZpL0.net
大男「お前んとこの道場では、自分の手足を剣や斧だと思うんだったよなァ?」

武術家「ああ、そのつもりだ」

大男「だったら俺は……核兵器だ!」

武術家「!?」

大男「おおりゃあっ!!!」ドドドッ

ドゴォッ!

武術家「ぐっ……!」ビリビリ

ガードした腕がきしむ。

武術家「核兵器とは……! スケールが違いすぎる……ッ!」

弟子「いやいや! ホントに核兵器だったらボクらみんな死んでますって!」

93 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/11/14(土) 17:00:47.892 ID:gIoh9ZpL0.net
武術家「せやぁっ!」ドゴッ!

大男「ぬるいぜェ!」

ズガァッ! ドガァッ! ドゴォッ!

大男の猛攻。

武術家(規模は問題ではないのだ……この巨漢は本当に自分が核兵器だと思っている!)

武術家(だからこんなにも思い切った攻撃ができる!)

武術家(俺は……自分の拳足をここまで信頼しているか?)

武術家(剣の如く槍の如くといいつつ……本当に思えているか?)

大男「スキありィッ!」

ドゴォンッ!

強烈なハンマーパンチが炸裂。

武術家「ぐはっ……!」ドサッ

94 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/11/14(土) 17:03:24.208 ID:gIoh9ZpL0.net
武術家(俺は――)



少年『ねえ父さん、どんなに鍛えたって、結局武器には敵わないんでしょ?』

父『かもしれないな。ワシだって頭を銃で撃たれたら死ぬだろう』

少年『だったらこんな稽古なんかせず、武器持った方が早くない? 余った時間は遊べるし』

父『一理はある。だが、武器術にだって訓練はいるし、それにそんな考えでは“つまらない”だろう?』

少年『つまらない……』

父『鍛えた体で強大な敵に挑む方がずっと楽しい。少なくともワシはそう思うから、素手で武術をやっとるんだ』

父『ってあまり答えになっとらんな。ワッハッハ』



武術家(父さん……)

武術家(父さんのいうとおりだ……俺、今楽しいよ)

95 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/11/14(土) 17:06:12.308 ID:gIoh9ZpL0.net
武術家「うおおおっ……」ググッ…

大男「立ちやがった……!」

武術家「俺はたとえ相手が核兵器でも……この五体で戦ってみせる!」

大男「へっ、そうこなくちゃなァ!」ドドドッ

武術家(落ちつけ……パワーはあるが、攻撃は単調だ!)スゥゥゥ…

武術家(突きは……槍の如く!)

ドズゥッ!

大男「ぐおぉっ!」

武術家(手刀は……剣の如く!)

ザクッ!

大男「ぐあっ……!」

弟子(筋肉の薄い急所を的確に狙ってる!)

96 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/11/14(土) 17:08:25.380 ID:gIoh9ZpL0.net
武術家(蹴りは……斧の如く!)ブワオンッ!

ドガァッ!

回し蹴りが顔面にヒット。

大男「ぐおあっ……」ズズン…

武術家「…………」ババッ!

オーナー「なっ!? おい、立てッ! 立ち上がれ!」

天狗面(無理だ。いかに大男のタフネスでも、今のを喰らっては――)

立ち上がることはできず――

ドヨドヨ…

弟子「師匠、やりましたね!」

武術家「ああ!」

女「すごい連続攻撃だった。惚れ直したぞ」

武術家「これはどうも……」ポッ…

97 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/11/14(土) 17:10:24.235 ID:gIoh9ZpL0.net
細身「やるじゃあねえかよ。ヒヒヒ……次は俺だ」ヌウッ…

女「私が行こう」

細身「女だろうと手加減はしねえぜェ!」ヒュルッ

女「…………」フワッ

スパァンッ!

飛び蹴りがヒット。

武術家(いつもながら華麗な蹴りだ!)

細身「うぐっ……!」

女「…………」スタッ

細身「だけどォ〜、軽いッ!」

98 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/11/14(土) 17:13:10.803 ID:gIoh9ZpL0.net
細身「そこだっ!」シュルルッ

女「!」

細身「ヒヒヒ……」

ガシィッ! メキメキ…

絡みつくように、女の全身を固めてしまった。

細身「俺の流派は、この細身と軟体を生かした“触手拳”! ヒヒヒ、もう抜けれまい!」

女「く……」ギリギリ…

細身「こいつはお前の妹だそうだが……折っていいのか?」

天狗面「かまわん」

細身「なら……遠慮なくゥ!」グインッ

ボグッ!

右腕が折り曲げられる。

99 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/11/14(土) 17:15:48.729 ID:gIoh9ZpL0.net
弟子「ああっ……!」

武術家「くっ……(あの体勢から骨を折るとは……!)」

女「…………ッ」

細身「ヒヒヒ……女の骨折るのは初めてだぜぇ。俺の勝ちだな」

女「勝ち……? 私はまだ戦えるぞ……」

細身「おいおい、悪あがきすんなよ。お前はまだ俺に捕まってるんだぜ? これ以上は拷問になっちまう」

女「お前が体重が軽くてよかった……」

細身「?」

女「これなら――」

100 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/11/14(土) 17:18:05.222 ID:gIoh9ZpL0.net
女「これならこのまま飛べる」グッ…

ブワッ!

細身に絡まれたまま、飛び上がった。

細身「ヒッ!?」

細身(こいつ……女のくせになんてぇ脚力! くそっ、あいつの妹だってのに油断した!)

細身(このままじゃ頭から落とされる! 仕方ない、一度放すしかねえ!)シュルルッ

バッ!

101 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/11/14(土) 17:20:17.639 ID:gIoh9ZpL0.net
――が、これこそが狙い。

女は渾身の蹴りを放つ。

女(斧の如く――)

女「はあっ!!!」

ドゴォッ!

細身「お、重……ッ」グラッ…

ドザァッ…

弟子(今のは……師匠の蹴りだ!)

武術家(見事……! 俺が彼女から学んだように、彼女もまた俺から学んでいた……!)

102 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/11/14(土) 17:21:52.166 ID:aZvlzTVYr.net
熱い展開だ

103 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/11/14(土) 17:23:10.798 ID:gIoh9ZpL0.net
ザワザワ…

細身「…………」ピクピク

天狗面「……勝負ありだ」

女「うぐっ……さあ、兄さん。これで二人とも破った。私と勝負だ」

天狗面「勝負? 笑わせるな」

女「!」

天狗面「お前は奴の油断を突いて勝っただけ……。それに片腕で俺に勝てると思ってるのか」

天狗面「予告しとこう。もしやるというなら、俺はお前の折れた腕を徹底的に狙う」

女「くっ……」

弟子(脅しじゃない……この人は本気だ!)

弟子(もしあの蹴りで、折れた腕を狙われたら……!)ゾクッ

104 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/11/14(土) 17:25:22.865 ID:gIoh9ZpL0.net
武術家「君は下がっていてくれ。彼とは俺がやる」

女「武術家……」

武術家「大丈夫、絶対勝つ!」

オーナー「お、おいっ! 大勢が見てるんだ! 絶対負けるんじゃないぞ!」

天狗面「無論だ……」



ザワザワ…

「いよいよだ……」 「あの二人が戦う!」 「どっちが強いんだ……?」

105 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/11/14(土) 17:27:44.736 ID:gIoh9ZpL0.net
武術家vs天狗面――

武術家「この間の借りを返させてもらう!」

天狗面「不可能だ。空を舞う天狗を撃墜することは誰にもできない」

ジリ… ジリ…

恐ろしいほどの緊張感に包まれる。

武術家(今!)

天狗面(今!)

動くのは同時だった。

106 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/11/14(土) 17:30:02.603 ID:gIoh9ZpL0.net
ドガガッ! バキッ! ガッ! パパァンッ!

重く素早い突きの応酬。

武術家「ハァーッ!」

バキャアッ!

天狗面「…………ッ!」ピシ…

パキィンッ!

面が割れ、女の兄の素顔があらわになる。

武術家「天狗の鼻、ヘシ折ったり!」

兄「やるな」

女(兄さん……やはり私が知る頃より顔が険しくなっている)

武術家「その面、後で弁償するッ!」

兄「いや、しなくていい」

107 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/11/14(土) 17:32:28.793 ID:gIoh9ZpL0.net
兄「行くぞ!」

ブワッ!

武術家(力強い跳躍ッ!)

武術家(女さんが無重力を漂うような跳躍としたら、こちらはまるでジェット機!)

武術家(だが、俺もこの一ヶ月――修行し直した!)

ドガッ! ズガァッ!

空中での二段蹴りを防ぎきる。

兄「ほぉ……」スタッ

武術家(よし……見えた!)

108 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/11/14(土) 17:34:20.209 ID:gIoh9ZpL0.net
ブワッ!

武術家(また飛ぶのか!)

ギュオッ!

蹴りが飛んでくる。もちろん、防ごうとするが――

バキィッ!

武術家「ぐあっ……!?」

兄「滞空時間が長いということは、蹴りの軌道をずらすこともできる」スタッ

ブワッ!

間を置かず、さらに跳躍。

武術家(いかん……次の蹴りを防ぐ手立てがないッ!)

109 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/11/14(土) 17:36:37.072 ID:gIoh9ZpL0.net
兄「ハァッ!」ブオンッ

武術家(どうするッ!?)

武術家(鍛え抜いてきた自分の拳足を信じろ!)

武術家(突きは……槍の如く!)

ズガァッ!

兄「ぐ……!?」ミシ…

飛び蹴りを、突きで迎撃する。

武術家「大男との戦いがなければ、この発想はできなかった――」

武術家「俺の拳足は核兵器とも戦える! 天狗を落とすぐらいなんてことはないッ!」

弟子(師匠の持つスケールが……さっきの戦いでぐっと広がったんだ!)

110 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/11/14(土) 17:38:43.019 ID:gIoh9ZpL0.net
兄「おのれ――」

ベシィッ!

再び飛ぼうとするところへ、ローキックが炸裂。

兄「ちっ……!」

武術家「せやぁっ!」

ドンッ!

正拳突きが胸にヒット。

兄「ぐほぉっ……ッ!」

女(兄さんが、ここまで追い詰められるのを初めて見た)

111 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/11/14(土) 17:41:17.577 ID:gIoh9ZpL0.net
兄「腕を上げたな……ここまでやるとは」

兄「ならば……この脚力で生み出せる最大の戦術を見せてやろう」グッ…

武術家「…………?」

ギュンッ!

武術家(速――)

ドゴォッ!

武術家「が、はっ……!」

凄まじい速さの突き。全く反応ができなかった。

112 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/11/14(土) 17:43:42.369 ID:gIoh9ZpL0.net
ズガァッ! ドゴォッ! ガッ! バキィッ! ズドォッ!

天狗の脚力から繰り出される猛ラッシュ。

武術家「ぐはっ……! ぐおっ……!」

ザワザワ…

武術家(凄まじい連撃だ……全身が砕けそうだ)

武術家(だが、やはり天狗は地上に降りるべきではなかったッ!)

ドゴォッ!

突きでのカウンター。

兄「ぐうっ……!」

弟子(打撃戦なら、師匠も負けてない!)

113 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/11/14(土) 17:45:37.039 ID:gIoh9ZpL0.net
間合いを詰め、殴り合いに持ち込む。

ガッ! ドカッ! ドゴォッ! バキッ! ゴッ!

武術家「……がはっ!」ヨロッ…

兄「……ぐっ!」グラッ…

武術家(勝機ッ!)

武術家「えいやぁっ!!!」ブオッ

渾身の突きを繰り出す。

武術家(消えた!?)

114 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/11/14(土) 17:48:01.440 ID:gIoh9ZpL0.net
ブワァッ!

突きをかわしつつ、今までで最大の跳躍。

兄「頭を砕いてくれるッ!」ブオンッ

武術家(手刀は……剣の如く!)

ガキィンッ!

武術家「ぐう……」メキボキ…

兄「!」

左手刀で蹴りを受け止め――

115 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/11/14(土) 17:50:21.589 ID:gIoh9ZpL0.net
右拳で――



ドゴォンッ!!!



兄「うぐ、はぁ……ッ!」ドザァッ…

撃墜された天狗は、立ち上がることができなかった。

兄「がふっ……! お前の……勝ちだ……」

武術家「いい試合が……できたよ……」



弟子「師匠……! やったぁぁぁ!」

女(兄さんを止めてくれてありがとう、武術家……)

116 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/11/14(土) 17:53:30.798 ID:gIoh9ZpL0.net
……

武術家「さあ……試合は俺たちの勝ちだ……」

武術家「これでもう、練習生たちを暴力にいざなうような真似は……」

オーナー「ンン〜? なんのことかな?」

武術家「!」

オーナー「雇ってた用心棒が負けた……ただそれだけのことで、なんでジムの方針を変えねばならない?」

オーナー「ジムの方針を変えるつもりなどなぁい!」

オーナー「むしろ、我がジムに逆らう奴らが満身創痍になってくれてありがたい!」

オーナー「師範、今の奴らならやれるな?」

師範「もちろんです!」ニヤッ

武術家「貴様ら……ッ!」

オーナー「さあ、かかれっ! 練習生たちも、こいつらを全員で叩き潰すのだァ!」

117 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/11/14(土) 17:54:06.353 ID:e0TtftFc0.net
荒らされなくても読む人は居ない カワイソス

118 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/11/14(土) 17:56:13.509 ID:gIoh9ZpL0.net
シーン…

オーナー「え?」

試合を見ていた練習生たちは――

「すげえ試合だった……!」

「人間って鍛えれば、あんなに動けるんだな!」

「武術を悪さに使おうなんてのが、なんだかバカバカしくなってきた!」

ワイワイ…

オーナー「な……!? ちょっ、お前ら……なにいってんの!? もしもーし!」

武術家「これは……」

弟子「師匠たちの戦いぶりが、みんなの目を覚ましたんですよ!」

女「一流の音楽は聴いた人間の心を洗い流すというが……」

女「一流同士の戦いが、図らずも皆の心を浄化させてしまったな」

119 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/11/14(土) 17:58:23.008 ID:gIoh9ZpL0.net
武術家「お前たちに同調する者はいなくなったな……さあ、どうする」

オーナー「う、うぐぐ……くそっ、こんなはずじゃ……どいつもこいつも……」

オーナー「ぐぞぉぉぉっ……!」ダッ

師範「ま、待って下さいぃ!」ダッ

敗北を悟り、逃げて行く二人。

武術家「…………」

武術家「終わった……か」ガクッ

ドサァッ…

弟子「師匠ッ!」

女(やはりギリギリの戦いだったか……お疲れ様)

120 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/11/14(土) 17:58:40.207 ID:aZvlzTVYr.net
もしもーしw

121 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/11/14(土) 18:01:48.154 ID:gIoh9ZpL0.net
……

……

治療を終え――

武術家「さっきはいい試合ができたよ」

大男「へっ、完敗だったぜ」

女「この腕……完治が早いように折ってくれていたのだな」

細身「ヒヒヒ……親友の妹だからなァ。俺だってそこまで薄情じゃねえさ」

武術家「これから、あなたたちはどうするんだ?」

兄「…………」

122 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/11/14(土) 18:05:28.882 ID:gIoh9ZpL0.net
兄「俺たちは特異さゆえ、なかなか腕を振るう機会を得られなかった三人組だ」

弟子(天狗・核兵器・触手のトリオだもんな……)

兄「だからこそ、こうして手を組み、あんな輩に雇われてしまったわけだが――」

兄「お前たちとの立ち合いで、結局それは“逃げ”でしかないと分かった」

兄「これからは、正しき心で健全に武を追求するとするよ」

武術家「ああ、あなたたちならきっとそれができる!」

兄「ありがとう」

大男「次は絶対勝つぜぇ!」

細身「ヒヒヒ……次会ったらもっとしつこく絡みつくから気をつけな」

兄「ああ、それと――」

武術家「?」

兄「妹を……よろしく頼む。お前になら安心して託せる」ボソッ

武術家「お、お任せを!」

女「…………?」

123 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/11/14(土) 18:08:41.565 ID:gIoh9ZpL0.net
弟子「……行っちゃいましたね」

武術家「彼らの実力なら、心を入れ替えその気になれば、どこででも活躍できる」

武術家「必ずや格闘界にその名を刻むことになるだろうさ」

弟子「お兄さんとは、別れてしまってよかったんですか?」

女「ああ、これでいいんだ」

女「ラインは交換したしな」

弟子「したんですか!」

女「『たまには実家に帰れよ』っと……」ポチポチ

女「お、『分かった』と返事が来た」

弟子「返事早い!」

武術家「羅印? うむう、強そうな技だな……」

弟子「その変換はおかしすぎますって!」

124 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/11/14(土) 18:11:47.082 ID:gIoh9ZpL0.net
その後――

<道場>

弟子「あの格闘ジムのオーナー達、夜逃げしたみたいですよ! ジムも閉鎖になりました!」

武術家「本当か」

女「おそらく、オーナーは優秀な兵を提供するからと、様々なところから融資を得ていたんだろう」

女「もちろん、まともな融資ではないはず。それが破綻した今……」

武術家「命を狙われるはめになったというわけか」

武術家「悪党とはいえ、上手く逃げ切れることを祈っておこう」

女「優しいな」

125 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/11/14(土) 18:13:44.392 ID:gIoh9ZpL0.net
ザワザワ… ガヤガヤ…

「ちわーっす!」 「今日もお願いします!」 「稽古つけて下さい!」

中年「この道場で、心まで鍛えるんだぞ!」

息子「分かったよ、オヤジ……」



武術家「あの事件で評判が広まり、この道場もずいぶん賑やかになった」

武術家「君も指導に加わってくれて助かるよ」

女「いや、私も教わることは多いし、お互い様だ」

126 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/11/14(土) 18:16:28.575 ID:gIoh9ZpL0.net
稽古が終わり――

「お疲れ様です!」 「あー……疲れた」 「クタクタだぁ〜」

ワイワイ…



女「今日もいい稽古ができたな」

武術家「…………」

女「? どうした?」

武術家「……あの」

弟子(師匠?)

武術家「君と知り合って……もうずいぶん経つ……。だから……」

127 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/11/14(土) 18:19:27.151 ID:gIoh9ZpL0.net
武術家「俺と……つき合ってくれないか?」

女「それは……組み手という意味か?」

武術家「いや、正式に恋仲になって欲しいという意味だ」

女「…………」

女「いいぞ」ニコッ

武術家「!」

弟子「笑った! ボク、女さんが笑ったところ初めて見ました!」

女「そうか? よく笑ってたつもりだったが」

弟子「せっかくですから、お二人で手でも繋いだらどうです? ギュッと」

武術家「手……ッ!」

武術家(そういえば、まだ繋いでなかった……ッ!)

128 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/11/14(土) 18:22:04.179 ID:uljQLcD0M.net
私怨

129 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/11/14(土) 18:22:21.166 ID:gIoh9ZpL0.net
武術家(しかし……まだ早い気がするッ! まだ心の準備が……ッ!)

武術家「俺と突き合ってくれ!」バッ

女「ああ、突き合おう」ババッ

弟子(残念……だけど、師匠らしいや。この二人はこれでいいんだ)

弟子「お二人とも、ボクも勉強させてもらいます!」







―おわり―

130 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/11/14(土) 18:23:09.407 ID:uljQLcD0M.net
乙!

131 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/11/14(土) 18:24:13.417 ID:wj4b8AE5M.net
良かった
次回作も期待してる

132 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/11/14(土) 18:37:30.760 ID:UEFgxKrG0.net
面白かった乙

133 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/11/14(土) 18:42:48.118 ID:aZvlzTVYr.net

末長くお幸せに突き合ってくれ

総レス数 133
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