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のび太「6年生になって2ヶ月か…」

1 :以下、VIPがお送りします:2021/05/22(土) 19:55:37.29 ID:/Lrx8KdGV
とうとう、6年生になってしまった。
相変わらず冴えない毎日だ。
勉強はダメ、スポーツもダメ、しずかちゃんのことは好きだけど、やっぱり出木杉の存在は気になる。

でも少しずつ変わっていっているところもある…


【学校】
のび太「あ、スネ夫。おはよう!」

スネ夫「なんだのび太か、おはよう」(そのまま歩き去る)

のび太「…」


最近、みんなの態度がそっけない気がする。
別に嫌がらせを受けているわけではないけど。

5 :以下、VIPがお送りします:2021/05/22(土) 20:12:48.19 ID:/Lrx8KdGV
【放課後】
のび太「スネ夫、今日遊ばない?」

スネ夫「悪いな、今日も忙しいんだ」(立ち去る)


(誰かが後ろからのび太の肩を叩く)
のび太「わっ…!」

ジャイアン「ま、気にすんなよのび太。スネ夫のことは放っておいてやってくれ」

のび太「ジャ、ジャイアン」

ジャイアン「何だよ、そんなに驚くなって」

のび太「いや驚いたわけじゃないけどさ…それよりスネ夫何かあったの?」

ジャイアン「いや、お前が気にすることじゃない」

のび太「ふーん…」

ジャイアン「じゃ、俺も店番あるから、またな」(走り去る)


6年生になってからジャイアンも大人しくなった。
今までは学校に行くのが嫌になることもあったけど、ジャイアンとスネ夫が苛めてこなくなってから学校へ行く苦痛はなくなった。
でも、何だろう。

何かモヤモヤする…

6 :以下、VIPがお送りします:2021/05/22(土) 20:18:20.98 ID:/Lrx8KdGV
のび太「あ、しずかちゃん」

しずか「あら、のび太さん」

のび太「そうだ!今日一緒に遊ばない?」

しずか「ごめんなさい、今日はピアノのお稽古があるの。また今度遊びましょ」

のび太「え、あ、そうなんだ。頑張ってね」

しずか「ありがとう。それじゃあまた」

のび太「うん、またね」



最近気が付いたけど、僕ってこの3人以外友達がいないんだな。
他に誘おうと思う人が思い浮かばない。

尚更僕にはドラえもんがいて良かったと思う。

7 :以下、VIPがお送りします:2021/05/22(土) 20:23:09.15 ID:/Lrx8KdGV
のび太「ただいまー」

玉子「おかえりのび太。テスト返ってきた?」

のび太「うん、16点」

玉子「そう。0点じゃないけど、もっと頑張らなくちゃね。おやつ食べたらさっさと宿題やっちゃいなさい」

のび太「はーい」

ママも最近怒る回数が減った。
僕が今まであまりにも0点を取りすぎたせいで、感覚がおかしくなったのだろうか。
16点でも、悪い点数には変わりないのに。
それとも、もう僕には期待していないのだろうか。

ママ「台所におやつを置いてるから、ドラちゃんと食べなさい」

のび太「はーい」

8 :以下、VIPがお送りします:2021/05/22(土) 20:30:56.56 ID:/Lrx8KdGV
【のび太の部屋】
ドラえもん「おかえり」

のび太「ただいま。はい、おやつ」

ドラえもん「やったあ!どら焼きだ!」

のび太「相変わらず好きだねどら焼き」

ドラえもん「そりゃあね、いくつ食べても飽きないよこの味は。それじゃ、いただきまーす!」

のび太「いただきます」

ドラえもん「やっぱり、どら屋のどら焼きは最高だなぁ」(むしゃむしゃ)

のび太「ごちそうさま」

ドラえもん「早っ、もっと味わって食べないと」
(のび太座布団を敷いて横になる)

9 :以下、VIPがお送りします:2021/05/22(土) 20:33:33.23 ID:/Lrx8KdGV
ドラえもん「ねえ、何かあったの?」

のび太「別に」

ドラえもん「ジャイアンに苛められたとか」

のび太「いや、ジャイアンは6年生になってから、ほとんど苛めしなくなったよ。この間もずっと貸してたマンガ返してくれたし」

ドラえもん「ふーん、良かったじゃない」

のび太「まあね」

ドラえもん「そう言えば、最近仕返しするために道具借りに来なくなったもんね」

のび太「うん。でもさ…」

ドラえもん「ん?」

のび太「何か、分からないんだけど…変な気分」

10 :以下、VIPがお送りします:2021/05/22(土) 20:38:54.95 ID:/Lrx8KdGV
のび太「今までみたいにジャイアンに殴られたり、スネ夫から仲間外れにされたり、そんなのはもう御免だけどさ」

ドラえもん「あとジャイアンリサイタルもね」

のび太「だから、これで良いんだけどさ…」

ドラえもん「うん」

のび太「でも何だろう、何でこんな気分なんだろう」

ドラえもん「それはね、きっとのび太くんが二人のことを大切な友達だと思っているからじゃないかな」

のび太「うーん、そうなのかな」

ドラえもん「安心しなよ、のび太くんは二人と大人になってからも良い友達のままだから。勿論しずかちゃんとも良い…」

のび太「でもさ!」

ドラえもん「?!」

のび太「よく分かんないよ」

11 :以下、VIPがお送りします:2021/05/22(土) 20:47:00.53 ID:/Lrx8KdGV
ドラえもん「まあまあ、あんまり難しく考えないで。気分転換に宿題でも」

のび太「そうやって勉強の方に誘導して…」

ドラえもん「まあ前よりは少しマシになったけど、このままじゃダメだよ。本気でしずかちゃんと結婚したいなら今のままだと流石にしずかちゃんが可哀想だ」

のび太「もう、言ってくれるな」

ドラえもん「しずかちゃんみたいに優秀になれとは言わないけど、最低限の教養を身に付けないと、結婚した後しずかちゃんばっかりが苦労することになるよ」

のび太「何だよもう、でも最もかな」

ドラえもん「さ、今からなら間に合うよ」

のび太「分かったよ」

12 :以下、VIPがお送りします:2021/05/22(土) 20:51:37.31 ID:/Lrx8KdGV
【10分後】
のび太「あー、疲れた」

ドラえもん「もう?まだ10分だよ」

のび太「だめ、全然終わりそうにないし」

ドラえもん「まったく」

のび太「ちょっと出掛けよっと」

ドラえもん「のび太くん?」ギロッ

のび太「やだなドラえもん、図書館に行くんだよ図書館」

ドラえもん「本当に…?」ジー

のび太「本当だよ、本当」(手提げ袋に学習用具を詰める)

ドラえもん「じゃ、帰ってきたらチェックするね」

のび太「アハハハハ、うん、じゃあ行ってくるねアハハハハ…」

ドラえもん「行ってらっしゃい」

13 :以下、VIPがお送りします:2021/05/22(土) 20:54:41.55 ID:/Lrx8KdGV
のび太「こう言うときは気分転換しなきゃ、でも余計な荷物持ってきちゃったな」

出木杉「のび太くーん」

のび太「あ、出木杉くん」

出木杉「やあ、どっか行くの?」

のび太「えーっと…と、図書館で宿題でもなんて」

出木杉「奇遇だな、僕も図書館に行くところだったんだ。一緒に行こうよ」

のび太「え?あ、うん」


のび太(はぁ、何でこうなるのさ)

14 :以下、VIPがお送りします:2021/05/22(土) 21:03:06.65 ID:/Lrx8KdGV
そういや最近出木杉くんとも喋ってなかったな。
何て声かけたら良いんだろう。

のび太「出木杉くんも宿題しに行くの?」

出木杉「いや宿題はもう終わったよ。ちょっと調べたいことがあってね」

のび太「そうなんだ」


【図書館】
出木杉「じゃあ僕は探し物があるから、また後でね」

のび太「うん、分かった」


しょうがない。
取り敢えずやってみるか。終わる気がしないけど。

15 :以下、VIPがお送りします:2021/05/22(土) 21:07:23.96 ID:/Lrx8KdGV
のび太「ダメだ、全然分からない」

出木杉「どう?終わりそう?」

のび太「出木杉くん、探し物は見つかったの?」

出木杉「一冊はね、それより大丈夫そう?」

のび太「まだ、どっちとも終わらなくてね。難しそうだし」

出木杉「どれどれ?あ、これはね…」
(その後は出木杉くんのスーパー解説が入る)


のび太「そっか、それで時速は70キロなんだね」

出木杉「そうそう。はじきとも言うけど」

16 :以下、VIPがお送りします:2021/05/22(土) 21:15:08.78 ID:/Lrx8KdGV
のび太「はじき?」

出木杉「はやさ、じかん、きょり。そこの頭文字をとってはじき。ほら、こういう図にすると'き'のしたに'は'と'じ'があるだろ?」

のび太「うん」

出木杉「上のきからはを割ると時間。きからじを割ると速さ。はとじを掛けると距離。木の下ではしゃぐじじいって覚えればいいよ」

のび太「すごい分かりやすい」

出木杉「後の問題も今みたいにやってみればいいよ。速さ、時間、距離のどれを求めているのか分かればすぐだよ」

のび太「ありがとう」

出木杉「じゃあ僕、もう少し探してくるね」

のび太「うん」

出木杉「あ、分からなくなったら国語やった方がいいよ。今日は漢字だけだから教科書を見て写すだけだし、その方が時間が無駄にならないと思うよ。もしも分からない問題があったら後で教えるから」

のび太「ありがとう」

17 :以下、VIPがお送りします:2021/05/22(土) 21:22:30.96 ID:/Lrx8KdGV
【帰り道】
のび太「はー、やっと終わったよ」

出木杉「頑張ったねのび太くん」

のび太「出木杉くんのお陰で助かったよ」

出木杉「いやー」

のび太「ところで何の本借りたの?」

出木杉「えっとね、これ」

のび太「星の本?」

出木杉「うん、天体観測が好きでね。よく星について調べるんだ。」

のび太「へぇ」

出木杉「これからの季節も楽しみだし」

のび太「僕は星のことはよく分からないや」

出木杉「そうだなぁ、織姫と彦星の星もそろそろ見られる頃だよ」

のび太「あ、それは知ってる」

出木杉「今は東の空で見えるはずだよ。真夏になれば真上の高い空に移るけど」

のび太「へぇー」

18 :以下、VIPがお送りします:2021/05/22(土) 21:32:19.82 ID:/Lrx8KdGV
のび太「それにしても出木杉くんは凄いなぁ。勉強にスポーツも出来て、更には星にも詳しいって」

出木杉「いや、まだまだ分からないことだらけさ。でも興味があるから調べてるって感じかな」

のび太「そっかー、僕は興味が持てないからな。興味が持てたらもう少し勉強も出来るようになるのかな」

出木杉「そうだね、でも僕だって興味ないときややる気なくなることだってあるよ」

のび太「そうなの?」

出木杉「まあね、でもそんな時はやらなきゃいけないって使命感でやってるかな。ほら、僕『出木杉』って名字なのに出来なかったら藤子先生が困るだろ」

のび太「そこまで考えていたのか!」

出木杉「みんな僕のこと結構持ち上げるけど、案外普通の少年なんだぜ」

のび太「いや、普通じゃないと思うけど…」

出木杉「のび太くんが言う?未来の世界から来たロボットと住んでいる少年が」

のび太「言われてみればそうだね」

二人「ハハハハハ」

19 :以下、VIPがお送りします:2021/05/22(土) 21:34:18.72 ID:/Lrx8KdGV
出木杉「良かった」

のび太「え?」

出木杉「最近のび太くん元気無かったから心配だったんだ」

のび太「そうなの」

出木杉「うん、それにしずかちゃんも心配してたよ」

のび太「しずかちゃんが?!」

20 :以下、VIPがお送りします:2021/05/22(土) 21:37:55.49 ID:/Lrx8KdGV
出木杉「それにね…いや、やめておこう」

のび太「?」

出木杉(君が元気でないと、張り合いが無いなんて言えないや)

のび太「出木杉くん?」

出木杉「話が変わるけどね、僕にはライバルがいるんだ」

のび太「え!出木杉くんに?」

出木杉「うん」

のび太「でも、出木杉くんならそのライバルに余裕で勝てるんじゃない?」

出木杉「それがそうでもないんだな」

21 :以下、VIPがお送りします:2021/05/22(土) 21:41:17.97 ID:/Lrx8KdGV
出木杉「まあ自分で言うのもなんだけど、勉強は勝ってるかな。スポーツも多分勝ってると思う」

のび太「余裕じゃない」

出木杉「でもね、1番僕が勝ちたい分野で勝てる自信がないんだよ」

のび太「そうなの?」

出木杉「まあ、だから、お互い頑張ろうね」

のび太「え?あ、うん!分かったよ。今日はありがとう」

出木杉「こちらこそ、楽しかったよ」

のび太「じゃあ、またね」

出木杉「またね(絶対に負けないぞ、のび太くん)」

22 :以下、VIPがお送りします:2021/05/22(土) 21:49:08.89 ID:/Lrx8KdGV
のび太「ただいま」

ドラえもん「おかえり。宿題は捗った?」

のび太「うん、無事に終わったよ」

ドラえもん「そっかそっか、じゃあ晩御飯食べたら続きをって、え!終わったの?!」

のび太「うん、終わったよ」

ドラえもん「すごい、全部合ってる」パラパラ…

のび太「偶然出木杉くんに会ってね、教えてもらったんだ」

ドラえもん「へぇ、良かったじゃない」

のび太「うん、出木杉くんは天体観測が好きなんだって。僕が宿題してる間はずっと星の本を探していたよ」

ドラえもん「そうなんだ。確かに似合うね」

23 :以下、VIPがお送りします:2021/05/22(土) 21:51:46.95 ID:/Lrx8KdGV
のび太「それにね、出木杉くんにもライバルが居るんだって」

ドラえもん「えー出木杉くんにもねぇ」

のび太「勉強もスポーツも完璧なのにさ、1番勝ちたい分野で勝てる自信がないんだってさ」

ドラえもん「ふーん」

のび太「1番勝ちたい分野って何なのかな?」

ドラえもん「さあね、出木杉くん何でも出来ちゃうから」

のび太「だろ?それに僕にお互い頑張ろうってさ」

ドラえもん「ん?あっ…!」

のび太「何かの世界チャンピオンと闘うつもりなのかな?」

ドラえもん「どうだか…」クスクス

24 :以下、VIPがお送りします:2021/05/22(土) 22:13:16.72 ID:/Lrx8KdGV
【次の日】
先生「じゃあこの問題の続きをどうやって解けば良いか解る者ー?」

児童「はーい」

のび太(あれ?これは昨日やった)

のび太「はい…」

先生「おぉ、野比くん分かるのかね?!」

児童「ええ?!」

のび太「えっとこの問題は速さを求めれば良いので、さっき田中くんが出した24000mを4時間で割って、答えは時速6000mです」

児童「あぁ…」

のび太「???」

先生「野比くん、途中までいいぞ。だが大事なことを忘れている」

のび太「え?」

先生「源くん、助けてあげなさい」

しずか「はい、この問題は分速何mかを聞いているので、のび太さんが出してくれた6000mを60で割って時速を分速に直します。よって、答えは分速100mです」

児童たち「さすがしずかちゃん」

25 :以下、VIPがお送りします:2021/05/22(土) 22:13:58.66 ID:/Lrx8KdGV
先生「よくやった源くん、野比くんも途中までしっかりやっとったぞ、勉強したのかね?」

のび太「昨日、出木杉くんが教えてくれたので」

先生「そうかそうか、野比くんも出木杉くんも偉いぞ」


スネ夫「…」

26 :以下、VIPがお送りします:2021/05/22(土) 22:18:58.05 ID:/Lrx8KdGV
【休み時間】
スネ夫(あ、この問題分からないな)カリカリ


スネ夫(くそーもうすぐ模試があるっていうのに)


のび太「あれ、スネ夫休み時間も勉強してんの?」

スネ夫「ああ、まあな」

のび太「へえ、真面目だね」

スネ夫「今集中してんだ、邪魔しないでくれないかな」

のび太「最近ジャイアンとも遊んでないし、何かあったの?」

スネ夫「だから邪魔しないでって言ってんだろ」

のび太「何もそこまで怒らなくても」

スネ夫「ったく、先生にちょっと誉められたくらいで浮かれるなよ、のび太のくせに」

のび太「何だよ」

27 :以下、VIPがお送りします:2021/05/22(土) 22:21:40.27 ID:/Lrx8KdGV
スネ夫「あっちに行ってろよ」

ジャイアン「スネ夫、言い過ぎだぞ」

スネ夫「何だいジャイアンまで、僕は君たちとは違うんだ!」

ジャイアン「おい、スネ夫。そのくらいにしとけよ」

スネ夫「ジャイアン」

のび太「?」

ジャイアン「のび太、グラウンドに行こうぜ」

のび太「うん」

28 :以下、VIPがお送りします:2021/05/22(土) 22:29:00.66 ID:/Lrx8KdGV
【グラウンド】
ジャイアン「のび太」

のび太「どうしたの?」

ジャイアン「スネ夫のことは放っておいてやってくれって言っただろ」

のび太「うん」

ジャイアン「お前のことは責めるつもりは無いんだが、もう今までみたいに遊んだりはなかなか出来ないんだ。だから放っておいてくれ」

のび太「どうして?」

ジャイアン「もう大人にならなきゃいけないんだよ俺たち」

のび太「僕たち友達なのに?」

ジャイアン「スネ夫はな、中学受験するんだってよ。」

のび太「受験?中学って受験しないと入れないの?」

ジャイアン「そうじゃない」

29 :以下、VIPがお送りします:2021/05/22(土) 22:36:08.55 ID:/Lrx8KdGV
ジャイアン「俺は受験がない公立の中学に行く。その様子だときっとのび太も同じだろ。でもスネ夫はな頭の良い奴が集まる中学に入学するために受験するんだ」

のび太「そっかー。でもスネ夫ってそんなに成績良かったっけ?僕が言うのもなんだけどさ」

ジャイアン「バカ。だから今休み時間も使って必死に勉強してんだろうが」

のび太「そっか」

ジャイアン「出木杉みたいな天才ならそんな苦労は必要ないんだろうがな。大抵の人間は苦労しないと行けないとこみたいだぜ」

のび太「それであんなに一生懸命…。僕はただスネ夫と遊びたかったんだけど、悪いことしたな」

ジャイアン「お前は悪くねえよ。何も知らなかったんだし。スネ夫もあまり受験のこと言いたくないみたいだったしな。だけど、これで分かっただろ。スネ夫のことはしばらくはそっとしておいてやってくれ」

のび太「うん、分かったよ」

30 :以下、VIPがお送りします:2021/05/22(土) 22:47:43.85 ID:/Lrx8KdGV
【帰り道】
のび太「何か気が重いなぁ」

しずか「あまりスネ夫さんのこと気にすること無いわよ」

のび太「よりによって修学旅行で同じ部屋になるなんて」

しずか「いつもの3人で良かったじゃない」

のび太「でもな、あれからずっと無視されてるよ僕」

しずか「そのうち落ち着くわきっと」

のび太「そうだね」

しずか「じゃあ私今日もピアノのお稽古があるから」

のび太「今日も?」

しずか「コンクールが近いのよ。またね」

のび太「またね」

31 :以下、VIPがお送りします:2021/05/22(土) 22:54:02.04 ID:/Lrx8KdGV
【晩御飯】
パパ「そう言えば、そろそろ修学旅行の時期じゃないか?」

のび太「7月の頭に行く予定だよ」

パパ「そうか。どこに行くんだ?」

のび太「えーとどこだったっけ?」

ドラえもん「覚えてないの?」

パパ「おいおい」

ママ「栃木の方じゃなかった?」

のび太「あ、確か日光と、なすびってところだったかな?」

ドラえもん「なすび?」

32 :以下、VIPがお送りします:2021/05/22(土) 22:58:02.78 ID:/Lrx8KdGV
パパ「那須高原の那須のことかな?」

のび太「そうそう、それかも」

ドラえもん「ホントに分かってるの?」

パパ「良いね」

ママ「でしょう、那須高原でのんびりしたいわ。のびちゃんは山が好きだから、きっと楽しめるわ」

のび太「ま、裏山にはよく行くけどさ」

パパ「お土産、楽しみにしてるぞ」

ママ「ちょっとパパ、気が早すぎますよ」

のび太「…」

ドラえもん「?」

33 :以下、VIPがお送りします:2021/05/23(日) 10:52:10.03 ID:qEoqoO6/J
【のび太の部屋】
ドラえもん「今日も宿題終わったの?」

のび太「何とかね」

ドラえもん「すごいじゃない」

のび太「別に遊ぶ相手もいないから宿題しただけさ」

ドラえもん「みんなは?」

のび太「知らない。忙しいんだってさ」

ドラえもん「そうなんだ。僕もしずかちゃん達と全然会ってないな」

のび太「スネ夫は勉強、しずかちゃんはピアノ、ジャイアンは店番」

ドラえもん「大変だね」

のび太「みたいだね」

34 :以下、VIPがお送りします:2021/05/23(日) 10:57:02.23 ID:qEoqoO6/J
のび太「ねえ、ドラえもん」

ドラえもん「なんだい?」

のび太「前にタイムマシンで結婚式の前日に行ったときさ、しずかちゃんは僕との結婚を決めてくれていたし、ジャイアンとスネ夫とも友達のままだったよね?」

ドラえもん「うん、そうだね」

のび太「じゃあ、いずれは僕たちが見たことがそのまま起きるってことだよね?」

ドラえもん「一応ね。でも必ずとは言い切れないよ」

のび太「そうなの?」

ドラえもん「現時点ではその通りになるけど、ちょっとした弾みで未来は少しずつ変わってしまうからね。変わってしまう可能性も少なくともある」

のび太「そっかー」

ドラえもん「どうしたの?」

35 :以下、VIPがお送りします:2021/05/23(日) 11:00:32.81 ID:qEoqoO6/J
のび太「何だかね、スネ夫ともう話すことないまま小学校卒業しちゃいそうで。それにジャイアンとしずかちゃんとも段々話すことがなくなりそうな気がしてさ」

ドラえもん「またまた、そんなわけないでしょ」

のび太「最近ピリピリしてるんだ。まあスネ夫が休み時間勉強してるところちょっと邪魔しちゃった僕も悪いんだけどさ」

ドラえもん「へぇ、スネ夫くん休み時間も勉強してるんだ」

のび太「ジャイアンから聞いたんだけど、受験するんだってさ」

ドラえもん「そっかー。やっぱりな」

36 :以下、VIPがお送りします:2021/05/23(日) 11:08:38.67 ID:qEoqoO6/J
のび太「知ってたの?」

ドラえもん「ううん、知らなかったけど。いつかはこうなると思ってた」

のび太「どうして?」

ドラえもん「だってスネ夫くんのパパは、大企業の社長だぞ」

のび太「それが受験とどう関係するのさ」

ドラえもん「だって、スネ夫くんのパパの会社はいずれスネ夫くんが継ぐだろ?」

のび太「まあ、そうかな。それで?」

ドラえもん「それでって…じゃあさ、大企業の社長ってどんなイメージがある?」

のび太「え?そうだな…まあお金を一杯持っていて」

ドラえもん「うんうん」

のび太「あとは頭が良くて優秀ってイメージかな」

ドラえもん「つまり、スネ夫くんは大人になるまでに頭が良くて優秀な人にならなくちゃならないんだ」

のび太「そっか!それで頭の良い子が集まる名門私立に受験しようとしているのか」

ドラえもん「きっとそういうことだろうね。今までスネ夫くんは塾や家庭教師があるものの遊んでばっかりだっただろ?だから今相当我慢して頑張っているんじゃないかな」

のび太「我慢か…」

37 :以下、VIPがお送りします:2021/05/23(日) 11:13:41.98 ID:qEoqoO6/J
ドラえもん「きっと、焦っているんじゃないかな。ピリピリしてるのもきっと焦っているからだと思うよ」

のび太「そうなんだ。僕スネ夫のことなんか知らずに、のんきなことを」

ドラえもん「まあまあ、気にすることないよ。のび太くんののんきな部分は呆れることもあるけど、反対に助かっている人もいると思うよ」

のび太「そうなのかなぁ?」

ドラえもん「そうやってみんな悩んで大人になって行くんだ。のび太くんもスネ夫くんも、ジャイアンとしずかちゃんも」

のび太「何か先が思いやられるなぁ」

ドラえもん「でもいつかきっと元通りになるさ。のび太が頑張っていれば」

38 :以下、VIPがお送りします:2021/05/23(日) 11:20:08.82 ID:qEoqoO6/J
のび太「そう言えば」

ドラえもん「?」

のび太「僕が大人になった世界って、ドラえもんが居なかったよね?」

ドラえもん「………そうだね」

のび太「大人になるってことは、ドラえもんともお別れしなくちゃいけないんだ」

ドラえもん「やめようよ、その話は」

のび太「みんなとの関係がギクシャクして、ドラえもんともお別れしなくちゃいけないんなら、僕大人になんか!」

ドラえもん「そういうこと言わないの」

のび太「だって!」

ドラえもん「のび太くん落ち着いて」

のび太「…大きくなるってことは、お別れがその分増えるんだよ。僕が幼稚園児から小学生へと大きくなっておばあちゃんとお別れした。これから大きくなってドラえもんとお別れ。そしていずれは他の人たちとも…」

ドラえもん「のび太くん、そう言ってくれて嬉しいよ。僕も君とお別れしたくない。でもこの世に生まれた以上、いつかはお別れをしなくちゃいけないんだよ」

のび太「それは分かっているけど…」

39 :以下、VIPがお送りします:2021/05/23(日) 11:27:32.75 ID:qEoqoO6/J
ドラえもん「でもね、別れがあるから出会いもあるんだ。これからのび太くんは沢山の素敵な人たちと出会うはずだよ。大きくなるってことは寂しいことだけじゃないさ」

のび太「そうかな」

ドラえもん「こればかりは考えても仕方ない。悩むより今を楽しみなよ。会えるうちに沢山の想い出を作るんだ」

のび太「想い出か…」

ドラえもん「そうそう」

のび太「分かったよ。それとドラえもん、お願いがあるんだ」

ドラえもん「なあに?」

のび太「ドラえもんはいつ帰っちゃうの?」

ドラえもん「…」

のび太「ドラえもんとの大切な時間を無駄にしたくないんだ!決められた時間喧嘩をして過ごしたくないし」

ドラえもん「のび太くん」

40 :以下、VIPがお送りします:2021/05/23(日) 11:33:41.57 ID:qEoqoO6/J
のび太「教えてよドラえもん」

ドラえもん「今は言えない」

のび太「どうして?」

ドラえもん「だって、確かに喧嘩はしなくなるかもしれないけど」

のび太「良いじゃない」

ドラえもん「君は僕に気を遣うだろ」

のび太「当たり前じゃないか」

ドラえもん「僕はいつもの君と僕との関係でいたいんだよ」

のび太「いつもの…」

ドラえもん「いつもみたいに遊んで、笑って、時には喧嘩をしたって僕は構わないさ。それが僕にとって最高の時間なんだから」

のび太「でも、前みたいに突然帰るなんて嫌だよ」

ドラえもん「分かった。未来へ帰る1週間になったら必ず伝えるよ」

のび太「うん」

ドラえもん「さあさあこんな暗い話は辞めにして、修学旅行しっかり計画たてなくちゃね」

41 :以下、VIPがお送りします:2021/05/23(日) 11:38:46.48 ID:qEoqoO6/J
のび太「修学旅行は、まだ先だよ。今日しおりを配られたばかりだし」

ドラえもん「当日まであっという間だよ」

のび太「そう言えば、夜はジャイアンとスネ夫と同じ部屋だったよ」

ドラえもん「良かったね」

のび太「それまでに関係が戻っていれば良いんだけどな」

ドラえもん「大丈夫大丈夫」

のび太「2日目に少し班行動があるんだけど、それはしずかちゃんと出木杉くんと委員長の4人だったよ」

ドラえもん「最高じゃん」

のび太「しずかちゃんは嬉しいけど、出木杉くんがなー」

ドラえもん「出木杉くん良い子じゃん」

のび太「だからこそ、しずかちゃんが取られないか心配で」

ドラえもん「じゃあ出木杉くんに負けないように、うんと勉強しないとね」

のび太「はいはい、分かりました」

ドラえもん「ウフフフフ」

42 :以下、VIPがお送りします:2021/05/23(日) 11:40:21.35 ID:qEoqoO6/J
大山時代のモブ女子で良さげな子が思い浮かばなくて、
水田バージョンから委員長をお借りしました。悪しからず。

43 :以下、VIPがお送りします:2021/05/23(日) 14:27:15.26 ID:qEoqoO6/J
それから数日が経った。
相変わらずスネ夫とは話していない。

ジャイアンとしずかちゃんも話はするけど、遊ぶことはない。
このままで良いのだろうか…


のび太「どう?ピアノの調子は」

しずか「うーん、まあまあかしら」

のび太「そっか、良かった」

しずか「いいわね、のび太さん」

のび太「え?」

しずか「ううん、何でもないわ。またね」

44 :以下、VIPがお送りします:2021/05/23(日) 14:29:42.68 ID:qEoqoO6/J
【のび太の部屋】
のび太「うーん」(宿題をやりながら考え事)

ドラえもん「さっきからどうしたの?あんまり捗ってないみたいだね」

のび太「それはいつものことさ」

ドラえもん「確かに」

のび太「何か何もしないまま、時間だけが過ぎていく感じ」

ドラえもん「じゃあたまには出掛けよっか」

のび太「あ、うん」

45 :以下、VIPがお送りします:2021/05/23(日) 14:32:27.13 ID:qEoqoO6/J
【タケコプターで空中散歩】
のび太「なんかこうやってドラえもんと出掛けるの久しぶりだね」

ドラえもん「そう言えばそうだね。最近のび太くん勉強頑張っていたから」

のび太「だって宿題終わる頃にはいっつも日が暮れてるんだもん」

ドラえもん「どこ行こっか」

のび太「取り敢えず町内を一周してから裏山かな」

ドラえもん「オッケー」

46 :以下、VIPがお送りします:2021/05/23(日) 14:36:09.30 ID:qEoqoO6/J
のび太「あれ、ジャイアンだ」

ドラえもん「ホントだ、配達の帰りかな?」

のび太「おーいジャイアーン!あれぇ?ジャイ子ちゃんが店番してる」



ジャイアン「おお、ジャイ子。遅くなって悪かったな」

ジャイ子「いいのよ」

ジャイアン「もう戻っていいぞ」

ジャイ子「いいわよ、あたしもうちょっと店番してる」

ジャイアン「漫画の続きがあるだろ」

ジャイ子「でも…」

47 :以下、VIPがお送りします:2021/05/23(日) 14:40:20.38 ID:qEoqoO6/J
ジャイアン「いいから、ジャイ子は気にすんなって」

ジャイ子「お母ちゃんもお兄ちゃんもお店のことで頑張ってるのに、あたしだけ何もしないなんて」

ジャイアン「大丈夫だって。ジャイ子には才能があるんだ。ジャイ子の好きな漫画で頑張れば良いんだ」

ジャイ子「お兄ちゃん」

ジャイアン「将来売れっ子になって恩返ししてくれればいいんだ。だからお店のことは俺に任せろ」

ジャイ子「お兄ちゃんだって、歌や野球があるでしょ?」

ジャイアン「俺には才能はないんだ。それに将来の跡継ぎだからよ。いいから戻った戻った」


のび・ドラ「…」

48 :以下、VIPがお送りします:2021/05/23(日) 14:45:47.20 ID:qEoqoO6/J
【タケコプターで空中散歩】
のび太「ジャイアンも大変なんだな」

ドラえもん「そうだね。ジャイ子ちゃんも店番してるとなると…お店の経営状態があまり良くないのかも」

のび太「それなのにジャイアンいつも笑顔で」

ドラえもん「ジャイアンが大人しくなったのも、本当は気持ちに余裕がないかもしれないからかもしれないね」

のび太「ジャイアンに何かしてあげられることないかな?」

ドラえもん「こればかりは家庭の事情だから、首を突っ込まない方がいいよ。本人もあまり聞かれたくないことかもしれないし」

のび太「そうなのかな」

ドラえもん「のび太くんはいつもののび太くんでいるのが、きっとみんな救われると思うよ」

のび太「そんなもんかー」

49 :以下、VIPがお送りします:2021/05/23(日) 14:48:27.57 ID:qEoqoO6/J
【裏山】
のび太「やっぱ裏山は最高だね」(昼寝)

ドラえもん「ほんとほんと、空気も美味しいし」

のび太「ここに来ると気持ちが落ち着くね」

ドラえもん「そうだね」

のび太「あれ?出木杉くんだ」

ドラえもん「ホントだ」

50 :以下、VIPがお送りします:2021/05/23(日) 18:24:23.93 ID:Bn0Y8gvI/
つづけたまえ

51 :以下、VIPがお送りします:2021/05/23(日) 18:44:37.91 ID:qEoqoO6/J
のび太「やあ」

出木杉「あ、のび太くんにドラえもん」

ドラえもん「久しぶり出木杉くん」

出木杉「久しぶり」

のび太「うわぁすごい、上手だな」(スケッチブックを覗く)

出木杉「いや〜」

ドラえもん「ホント上手、出木杉くんは絵も上手なんだね」

出木杉「そんなこと。近いうちに駅前の再開発があるみたいで、景色が変わる前に描いておきたいって思ったんだ」

のび太「あ、パパが言ってた。駅も高架駅に変わるんだよね?」

出木杉「うん。だから今の景色を忘れないように、よく目に焼き付けて描き写しているんだ」

のび太「ふーん」

52 :以下、VIPがお送りします:2021/05/23(日) 18:48:15.21 ID:qEoqoO6/J
【空中散歩】
ドラえもん「出木杉くん、絵が上手だったね」

のび太「まあね」

ドラえもん「のび太くん?」

のび太「いつまでもこのままじゃいられないのかな」

ドラえもん「え?」

のび太「どうしても変わっちゃうんだろう。街も人も」

ドラえもん「まあ世の中そんなもんさ」

のび太「まあね。あ、しずかちゃん」

53 :以下、VIPがお送りします:2021/05/23(日) 18:51:50.14 ID:qEoqoO6/J
しずか「…グスン」

のび太「しずかちゃーん!」

しずか「あ、のび太さんにドラちゃん」

ドラえもん「やあ」

のび太「ピアノの帰り?」

しずか「ええ」

のび太「何か元気ないね。ピアノの練習上手くいってないの?」

しずか「ええ、まあ…」

のび太「元気だして。しずかちゃんならきっと上手くいくよ。だってしずかちゃん、あんなにピアノ上手なんだもん」

しずか「無責任なこと言わないで!」

のび・ドラ「?!」

54 :以下、VIPがお送りします:2021/05/23(日) 18:55:38.49 ID:qEoqoO6/J
しずか「あなたに分かるの?一生懸命やってるのに上手くいかないもどかしさ」

のび太「え…」

しずか「そんなの勝手よ」

ドラえもん「しずかちゃん」

しずか「ふぅ…ごめんなさい、あたしったら。今日は帰らせてもらうわ。のび太さん、ドラちゃんまたね」

のび・ドラ「うん、またね…」


のび太「怒らせちゃった…」

ドラ「うん…」

55 :以下、VIPがお送りします:2021/05/23(日) 19:06:15.96 ID:qEoqoO6/J
それから数日が経った。
相変わらず、スネ夫とは口を利いていない。
ジャイアンも挨拶はするものの、お店のことについて聞いてしまいそうで極力話さないよいにしている。

しずかちゃんもあれから話していない。



委員長「すごいしずかちゃん、予選突破したんだね」

しずか「ええ」

委員長「すごいわー」

しずか「でもこれからが大変」

委員長「しずかちゃんなら大丈夫よ、頑張って」

しずか「うん」

のび太(予選は通過したみたいだね)

56 :以下、VIPがお送りします:2021/05/23(日) 19:10:44.66 ID:qEoqoO6/J
【図書館】
のび太(ああ、こんな調子で修学旅行楽しめるのかなぁ?)

出木杉「のび太くん、何ぼんやりしてんの?宿題終わった?」

のび太「い、いや、まだだけど…」

出木杉「もう、しっかりしてよ」


そして何故か、最近週に何回か出木杉くんと図書館へ行くようになった。

57 :以下、VIPがお送りします:2021/05/23(日) 19:14:38.77 ID:qEoqoO6/J
出木杉「あー、旨い」(サイダーを飲む)

のび太「うん。美味しい」(サイダーを飲む)

出木杉「最近暑くなってきたね」

のび太「そうだね」


出木杉「のび太くん、もしかしてしずかちゃんと喧嘩した?」

のび太「いいや、別に」

出木杉「そっか。最近二人が話しているの見てなかったからさ」

のび太「そう。出木杉くんはしずかちゃんと話してる?」

出木杉「まあ、ちょこちょこね。たまに一緒に勉強したりはするけど」

のび太「そうなんだ」

58 :以下、VIPがお送りします:2021/05/23(日) 19:17:06.37 ID:qEoqoO6/J
のび太(やっぱりしずかちゃんは出木杉くんが好きなんじゃないか。確かに二人が一緒になった方が彼女のためになるよな)

のび太「出木杉くん、しずかちゃんを…」

出木杉「しっかしさ、しずかちゃんも変わっているよね」

のび太「え?」

出木杉「僕と一緒に勉強しているのに、のび太くんの話ばっかりするんだよ」

のび太「え??」

出木杉「いつものび太さんが、のび太さんがってね」

のび太「えっ???」

59 :以下、VIPがお送りします:2021/05/23(日) 19:22:24.79 ID:qEoqoO6/J
出木杉「実は、僕のライバルはのび太くんかもよ?」

のび太「ええっ????ぼ、僕がライバル??」

出木杉「ははは、そんなに驚くことないだろ?」

のび太「だって、僕だよ?バカでグータラな野比のび太だよ?」

出木杉「それは関係ない。それにグータラかどうかは兎も角、少なくとも君はバカではないと思うよ。テストの点があまり取れないだけで」

のび太「じゃあ…やっぱり出木杉くんも?」

出木杉「うん、僕はしずかちゃんが好きだ」

のび太(カッコいい…)

60 :以下、VIPがお送りします:2021/05/23(日) 19:27:35.46 ID:qEoqoO6/J
出木杉「しずかちゃんとは仲が良いと思っているし、話も合う。勉強やスポーツも正直自信はあるよ。でも正直君にどうしても勝てないことがある」

のび太「勝てないこと?」

出木杉「それは時間さ」

のび太「時間?」

出木杉「まずしずかちゃんとのび太くんは家の方向が同じ。僕だけ違う。だから帰り道に関われる時間が違う」

のび太「確かに出木杉くんの家、学校から近いもんな」

出木杉「そして、僕はまだしずかちゃんとは5年間の付き合いだけど、のび太くんはもっと小さい頃から一緒だろ?しずかちゃんと過ごした歴が違う」

のび太「そう言えば物心ついた頃には、しずかちゃんと遊んでいたな」

61 :以下、VIPがお送りします:2021/05/23(日) 19:33:16.49 ID:qEoqoO6/J
出木杉「それに、聞いた話だと、のび太くんとしずかちゃんは何度も大冒険をしたらしいじゃないか。過去の世界や遠い宇宙の世界。海底や地底だったり」

のび太(そう言えば、僕らは色んな世界へ行って、幾度となく困難を乗り越えてきた。ドラえもんやジャイアン、スネ夫も一緒に…)

出木杉「そんなに一緒にいるなんて、過ごした時間が濃すぎるよ…」

のび太「…」

出木杉「でもね、僕分かるんだ。のび太くんが良い人だって。本当は頼れる存在だって。じゃなきゃ、しずかちゃんがあんなにのび太くんのこと褒めるわけないもの」

のび太「え?しずかちゃん、僕のこと褒めてるの?」

出木杉「そうだよ。その大冒険の話もしずかちゃんから聞いたわけだし」

のび太「そうだったんだ…」

62 :以下、VIPがお送りします:2021/05/23(日) 19:39:59.38 ID:qEoqoO6/J
出木杉「のび太くん、君は本当は賢いから分かっていると思うけど、ドラえもんはいつかは帰る。それにこれからは勉強や部活でもっと忙しくなる。今までみたいに大冒険は出来なくなるよ」

のび太「う、うん」

出木杉「だからモタモタしてると、僕がしずかちゃんに告白するよ」

のび太「えっ?!」

出木杉「僕は本気だよ。しずかちゃんの気持ちが僕に動き始めたらすぐ告白するつもりさ。ぼんやりしていられないぞ」

のび太「そんな」

出木杉「へへへ、冗談さ」

のび太「なんだ〜」

出木杉「でも、しずかちゃん魅力的だから、これから更にモテるようになると思うよ。だから早く仲直りしないと」

のび太「あ、しずかちゃんから聞いてたの?」

出木杉「まあちょっとね」

63 :以下、VIPがお送りします:2021/05/23(日) 19:50:22.97 ID:qEoqoO6/J
出木杉「まあ、正直応援したくない気持ちもあるけどね。でもしずかちゃんに元気がないのは、僕も悲しいから」

のび太「出木杉くん、でも仲直り出来るかな?」

出木杉「やっぱり告白しちゃおっかな〜」

のび太「それはダメ!」

出木杉「ははは、面白いねのび太くん」

のび太「もう、からかわないでよ」

出木杉「ハハハ」

のび太「ハハハ」


こうして、僕と出木杉くんはライバル且つ親友になった。
本当は出木杉くんも辛いところがあったはずだけど、彼は本当に強いしカッコいい。
だからこそ、彼にしずかちゃんを取られちゃいけない。

僕が唯一出木杉くんと対等に戦える場所だから。

64 :以下、VIPがお送りします:2021/05/23(日) 21:44:47.95 ID:qEoqoO6/J
【修学旅行当日】
ママ「のびちゃん、忘れ物はない?」

のび太「大丈夫だよママ」

ママ「お財布は持った?」

のび太「大丈夫ったら〜」

パパ「それじゃあ、お土産を楽しみにしてるぞ」

のび太「うん、任せて!」

ドラえもん「そうだ、のび太くん。これを持っていきなよ」

のび太「これは?」

ドラえもん「これは夜みんなで遊ぶと良いよ。こっちはもしもジャイアンが…」

のび太「あ、なるほどね」

ドラえもん「じゃあ、楽しんできてね」

のび太「ありがとう。それじゃ、行ってきます」

65 :以下、VIPがお送りします:2021/05/23(日) 21:48:25.33 ID:qEoqoO6/J
【学校の玄関】
出木杉「これから栃木県へ1泊2日の修学旅行へ行きます。最後までみんなが怪我なく帰れますように、そしてなかなか出来ない貴重な体験をさせてもらうので少しでも多く学べるように、真剣に取り組み、仲間と最高の想い出を作りましょう」


ジャイアン「ったく、出木杉は真面目だなー」

のび太「まあまあ」


校長「それでは、修学旅行へ出発!」

児童たち「おー!!」

66 :以下、VIPがお送りします:2021/05/23(日) 21:53:34.76 ID:qEoqoO6/J
先生「それでは3組もバスに乗るぞ。1班から順に進みなさい」


のび太「僕の席はここか」

委員長「のび太さん座るわよ」

のび太「あ、委員長」

委員長「楽しみましょう。同じ班だし宜しくね」

のび太「うん、宜しく」


のび太(しずかちゃんは、出木杉くんと隣か…)

67 :以下、VIPがお送りします:2021/05/23(日) 22:00:35.99 ID:qEoqoO6/J
こうしてバスは出発した。
最初に先生からの注意事項があって、その後は委員長が企画したバスレクが始まった。


委員長「それではバスレクその1。今回は栃木県に行くので栃木県クイズを始めまーす」

児童「シーン…」

委員長「始めまーす!盛り上がっていきましょー!!」

ジャイアン「イェ、イェーーーイ!全問答えてやるぜ!!」

安雄「おっしゃー!!」

児童「イェーイ!!!」

スネ夫「…」

しずか無言で拍手

のび太(クイズなんて分かるわけないのに)

68 :以下、VIPがお送りします:2021/05/23(日) 22:04:00.00 ID:qEoqoO6/J
委員長「第1問!三択です。栃木県の県庁所在地はどこ?さあみんな小4の頃を思い出して!」

出木杉「ふむふむ」

のび太(流石にこれは分かるでしょ)

ジャイアン「わかんねえ」

スネ夫「…」

委員長「@栃木市 A宇都宮市 B足利市 さあどれ?」

69 :以下、VIPがお送りします:2021/05/23(日) 22:07:03.66 ID:qEoqoO6/J
委員長「@の栃木市だと思う人!」

ジャイアン「栃木県なんだから栃木市だろぉ!」挙手

シーン…

ジャイアン「あれ?」

委員長「Aの宇都宮市だと思う人!」

その他「はーい!」

ジャイアン「えっ?!」

委員長「Bの足利市だと思う人!」


委員長「正解は…Aの宇都宮市!」

ジャイアン「マジかよ!」

のび太「クスクス」

ジャイアン「おい」

のび太「あ…」

70 :以下、VIPがお送りします:2021/05/23(日) 22:11:56.63 ID:qEoqoO6/J
委員長「第2問。次も三択です。栃木県宇都宮市の名物と言えば次のうちどれ?@いかにんじん Aゼリーフライ Bぎょうざ」

出木杉「なるほどね」

しずか黙ってうなずく

たけし「くそっ、わかんねえ」

のび太(そう言えば浜松と争ってるみたいなこと、パパが言ってたな)

71 :以下、VIPがお送りします:2021/05/23(日) 22:16:42.27 ID:qEoqoO6/J
委員長「@のいかにんじんだと思う人」

シーン…

はる夫「いかにんじんって何?」

委員長「Aのゼリーフライだと思う人」

ジャイアン「よく分からねえけど、ゼリーのフライ、旨そう。はーい!」挙手

シーン

ジャイアン「あれ?」

はる夫「ゼリーフライって何?」

安雄「お前さっきからうるさい」

委員長「Bのぎょうざだと思う人!」

その他「はーい」

委員長「正解は…Bのぎょうざ!!」

モブ@「やったぜ!」

ジャイアン「またかよ!くそっ」

委員長「剛田くん気にしないで。次もあるわ!」

72 :以下、VIPがお送りします:2021/05/23(日) 22:19:51.09 ID:qEoqoO6/J
委員長「因みに@のいかにんじんは隣の福島県の郷土料理で、Aのゼリーフライは埼玉県行田市の名物。でもゼリーじゃなくて、おからを主としたものを衣をつけずに揚げた料理らしいわ。銭形で銭が訛ってゼリーになったって説があるわ」

のび太「へぇー」

しずか「為になるわー」

先生「よく調べておる。関心関心」

73 :以下、VIPがお送りします:2021/05/23(日) 22:25:00.48 ID:qEoqoO6/J
委員長「第3問!三択です。栃木県の人口はおよそ何万人?@129.3万人 A194.4万人 B287.1万人」

のび太「おっと、急に難しくなったぞ」

しずか「出木杉さん、分かる?」

出木杉「一応ね」

しずか「まあ、すごい」

のび太(楽しそうだな)

スネ夫(えーっと…群馬県と人口が近いのは覚えてるんだけど。AとBどっちだ?)

ジャイアン「やっぱりわかんねえ」

74 :以下、VIPがお送りします:2021/05/23(日) 22:29:05.83 ID:qEoqoO6/J
委員長「@の129.3万人だと思う人」

児童「はーい」

のび太「はーい(なんとなくこれかな)」

ジャイアン「はーい!はいはい!」

委員長「Aの194.4万人だと思う人」

出木杉「はーい」

しずか「はーい」

スネ夫「はーい」

児童「はーい」

はる夫「出木杉が挙げてるから間違いないな。おれもAにしよう」

安雄「ずるいぞ」

委員長「Bの287.1万人だと思う人」

児童「はーい」

75 :以下、VIPがお送りします:2021/05/23(日) 22:32:20.33 ID:qEoqoO6/J
委員長「正解は…Aの194.4万人です!」

スネ夫「良かった…」

ジャイアン「くそっ、いつになったら正解できるんだ!」

委員長「因みにBの287.1万人は、茨城県の人口です」

のび太「へぇー」

委員長「@の129.3という数字は、ドラちゃんの身長体重の数字です」

のび太「あ、それで@を選んだのか僕」

ジャイアン「ドラえもんじゃ、しょうがないかー」

76 :以下、VIPがお送りします:2021/05/23(日) 22:42:12.03 ID:qEoqoO6/J
委員長「第4問!三択です。今日の午後見学する日光東照宮。さてここで神として祭られている人物は誰?@徳川家康 A前田利家 B毛利輝元」

のび太「え、もうわからないや」

出木杉「ふむふむ」

しずか(@かしら?)

スネ夫(前田利家は加賀百万石だから石川だろ。毛利は広島の方のはずだから、答えは@かな)

ジャイアン「徳川家康しか知らないや」

77 :以下、VIPがお送りします:2021/05/23(日) 22:46:14.83 ID:qEoqoO6/J
委員長「@の徳川家康だと思う人」

児童「はーい」

出木杉「はーい」

スネ夫「はーい」

しずか「はーい」

ジャイアン「俺は家康を信じるぜ!はーい」

委員長「Aの前田利家だと思う人」

児童「はーい」

委員長「Bの毛利輝元だと思う人」

のび太「はーい(なんとなくだけど)」

78 :以下、VIPがお送りします:2021/05/23(日) 22:53:58.24 ID:qEoqoO6/J
委員長「正解は@の徳川家康」

スネ夫「あ、良かった…」

のび太「あー、間違えたー」

ジャイアン「やった!正解した!」

委員長「剛田くん、初正解?」

ジャイアン「おうよ!」

委員長「みんな!初正解の剛田くんに拍手」

パチパチパチパチ

ごうだ「よせよ、照れるじゃねえか//」


こんな感じでバスレクをみんな楽しみ、宇都宮市にある栃木県子ども総合博物館に行った。
そこでは宇宙やロボットなど色んなコーナーがあって楽しめた。

79 :以下、VIPがお送りします:2021/05/23(日) 22:59:47.32 ID:qEoqoO6/J
お昼は名物の餃子を食べ、午後は日光東照宮と日光江戸村へ。
ジャイアンが水戸黄門の真似をしていたけど、お前は印籠を見せられる方だろうと皆からツッコまれていた。

しかしよく考えたら、皆ジャイアンにツッコミを入れられるほどの関係になっていたんだな。


僕は神社とか興味がなかったけど、ジャイアンがいたお陰で楽しめた。
途中先生と出木杉くんが解説してくれたのもデカい。

そして意外にも委員長と結構話した。
前から仲良くなれたかもしれないな。


スネ夫はほとんど口を開かなかった。
しずかちゃんは他の女子や出木杉くんとは話していたけど、僕とは一回も喋らないまま終わった。

80 :以下、VIPがお送りします:2021/05/23(日) 23:09:23.76 ID:qEoqoO6/J
そして夕方、那須高原にある宿に到着した。
温泉付きの立派なホテル。
到着したとき、みんな感動した。

ジャイアン「すっげー!」

出木杉「綺麗なホテルだね」

ジャイアン「俺、こんなとこ泊まって良いのかな?」

しずか「たけしさんったら」

委員長「ここのホテル、温泉も素敵って有名よ」

しずか「まあ、嬉しい」


先生「晩御飯は18時からだが、その前にお風呂だぞ。1組から順に入るから決められた時間までは部屋で待機するように」

児童「はーい」

しずか「もっとゆっくり入りたかったわ」

委員長「まあまあ」

81 :以下、VIPがお送りします:2021/05/23(日) 23:12:45.26 ID:qEoqoO6/J
【306号室】
ジャイアン「ふぅ、やっと着いたぜ」

のび太「そうだね」

ジャイアン「じゃ、風呂の時間になるまで何かして遊ぼうぜ」

のび太「いいね」

スネ夫「僕はいいや」

ジャイアン「スネ夫。修学旅行くらい楽しめよ」

82 :以下、VIPがお送りします:2021/05/23(日) 23:15:04.55 ID:qEoqoO6/J
スネ夫「別に。楽しんでるつもりだけど」

ジャイアン「折角の修学旅行だぞ。もっと盛り上がろうぜ」

のび太「そうだよ」

スネ夫「僕は来週末模擬試験があるんだ。1分でも時間を無駄に出来ないんだ」

のび太「スネ夫…分かったよ。それなら…」

ジャイアン「お前はバカだよ」

のび太「えっ」

83 :以下、VIPがお送りします:2021/05/23(日) 23:20:53.81 ID:qEoqoO6/J
スネ夫「何だよ!僕がバカだって?」

ジャイアン「そうだ、お前は大バカ者だ」

スネ夫「何言うんだ。僕は6年生になってからこの3ヶ月で偏差値を10も上げたんだぞ!県庁所在地も分からなかったジャイアンに言われたくないやい!」

のび太(それは言えてるな…)

ジャイアン「いいか。勉強なんてものはいつでも出来る。況してや受験本番じゃなくて飽くまで模試だろ?」

スネ夫「それが何だって言うんだ!」

ジャイアン「修学旅行はな、今日限り!一度きりなんだ!」

スネ夫「修学旅行なんか、中学でも高校でもあるじゃないか!」

ジャイアン「バカ野郎!お前と一緒に行けるのは一生のうち、今日だけだろうが!!」

84 :以下、VIPがお送りします:2021/05/23(日) 23:33:07.42 ID:qEoqoO6/J
スネ夫「…!!」

ジャイアン「スネ夫。俺は今日が凄く楽しみだった。それはお前とのび太が居るからだ。幼稚園からずっと一緒だった心の友と部屋まで一緒なんて最高じゃん」

のび太「僕もだよスネ夫。小さい頃から一緒だったし、ドラえもんの道具でたくさんの大冒険をしてきた仲じゃないか」

スネ夫「…」

ジャイアン「スネ夫」

スネ夫「えっ」(ジャイアンの両手がスネ夫の両肩に)

ジャイアン「お前は修学旅行楽しめてるのか?」

スネ夫「…」

ジャイアン「本当にこれで良いんだな?」

スネ夫「うぅ…」泣き出す

のび太「スネ夫」(スネ夫の背中をさする)

85 :以下、VIPがお送りします:2021/05/23(日) 23:42:59.67 ID:qEoqoO6/J
スネ夫「僕だって好きでやってるわけじゃないんだ。受験だって別に僕が望んだことじゃない」

のび太「スネ夫…」

スネ夫「でも仕方無いんだ。骨川家の長男として生まれた以上、名門校に通ってパパの会社を継がないといけないんだ。だから僕も受け入れて精一杯努力してるんだ」

ジャイアン「それは見てて分かるぞ」

スネ夫「でも不安なんだ。僕が出木杉くんやしずかちゃんみたいに優秀じゃないし、勉強すればするほど、どんどん自信がなくなっていくんだ」

のび太「お母さん厳しいの?」

スネ夫「いや、そうでもないよ。でも期待に応えないと。パパやママをガッカリさせたくないと思って」

のび太「そうだったんだ…」

ジャイアン「スネ夫、こう思い悩んだときは、思いっきり遊んで忘れようぜ」

スネ夫「えっ」

ジャイアン「どうせ家帰ったら勉強漬けだろ。それなら息抜きできるときにした方がいいぜ!それに俺も家帰ったら遊ぶ時間があまりないからよ」

スネ夫「え?」

のび太(2人とも、大変なんだな)

ピンポーン

86 :以下、VIPがお送りします:2021/05/23(日) 23:45:10.70 ID:qEoqoO6/J
ガチャ
のび太「出木杉くん」

出木杉「やあ。今からトランプやるんだけど来ない?」

のび太「いいねー。ねえ、二人とも行こうよ」

ジャイアン「おう!行くぞスネ夫」

スネ夫「で、でも僕は…」

ジャイアン「いいから来いって」

スネ夫「うん…」

87 :以下、VIPがお送りします:2021/05/23(日) 23:50:19.04 ID:qEoqoO6/J
【305号室】
出木杉「おまたせー」

のび太「お邪魔しまーす」

ジャイアン「おう!」

スネ夫「やあ」

安雄「じゃあやるか」

はる夫「何する?」

安雄「大富豪で良いんじゃない?」

ジャイアン「よし、やろうぜ」

88 :以下、VIPがお送りします:2021/05/23(日) 23:52:48.78 ID:qEoqoO6/J
安雄「じゃあその辺座ってよ」

出木杉「大丈夫だった?」小声

のび太「何が?」小声

出木杉「さっきジャイアンとスネ夫くんの大声が聴こえたからさ、心配になってね」小声

のび太「あ、それで。大丈夫だよ」小声

安雄「配るよ」

のび太「OK」

89 :以下、VIPがお送りします:2021/05/24(月) 00:01:11.60 ID:8EDvcXeU1
スネ夫「…」

のび太(スネ夫のやつ、やっぱり遊ぶ気分になれないのかな?)


ジャイアン「よし、6の3枚出し」

はる夫「うわ、無理だー」

ジャイアン「もうすぐ上がれそうだ」

出木杉「じゃあ」Qの3枚

ジャイアン「何?!」

安雄「すげー」

スネ夫「甘いね。」

90 :以下、VIPがお送りします:2021/05/24(月) 00:03:07.91 ID:8EDvcXeU1
スネ夫「2、3枚ね」

みんな「なに?!」

スネ夫「ついでに、5,6,7,8の階段革命からのJ2枚で上がり」

安雄「すげー」

スネ夫「ははは、ゲームのことでなめてもらっちゃ困るなぁ」

のび太「あのー」

スネ夫「えっ?」

のび太「僕まだ一枚も出してないんだけど…」

スネ夫「全く、のび太は相変わらず弱いんだから」

のび太「もう、なにさ」

みんな「ハハハ」

スネ夫「ハハハ」

のび太(スネ夫が久しぶりに笑った!)
ジャイアンと目が合う

ジャイアン(スネ夫、良かったぜ…)

91 :以下、VIPがお送りします:2021/05/24(月) 00:08:20.97 ID:8EDvcXeU1
それからは大浴場に入り、バイキングを食べた。
本当に美味しかった。

しずかちゃんはお風呂の話で委員長と盛り上がっていた。


食事のあとは広間を借りて学年レク。
何だかんだで楽しかった。

相変わらずしずかちゃんとはお話出来てないけど、今はスネ夫が元気になったことだけで大満足だった。



しずか(のび太さん…)

委員長「どうしたの?」

しずか「ううん、何でもない」

92 :以下、VIPがお送りします:2021/05/24(月) 00:14:26.20 ID:8EDvcXeU1
【お土産コーナー】
のび太「どれにしよっかな?」

ジャイアン「おいのび太、まだかよ」

スネ夫「相変わらずのろまなんだから」

のび太「うるさいなぁ全く」

ジャイアン「先戻ってるぞー」

のび太「分かったー」


のび太「うーん、どうしよっかな?」

先生「決まったかね?」

のび太「いえ、まだです」

先生「迷うのは良いが、モタモタしてると自由時間が無くなるぞ」

のび太「ええ」

先生「久しぶりに骨川くんの笑顔が見られて安心したよ」

のび太「そうですね。僕も良かったです」

93 :以下、VIPがお送りします:2021/05/24(月) 00:24:24.54 ID:8EDvcXeU1
先生「野比くんと剛田のお陰だな」

のび太「いえ、そんな」

先生「お前たちはな、成績は芳しくないが、でも人のことを思いやる力がある。それは本当に立派なことだぞ」

のび太「ありがとうございます。実は僕も不安だったんです。」

先生「え?」

のび太「このまま関係がギクシャクしたままなのかなって」

先生「そうか。でもそれなら心配ないよ。君は人のことを信じられる人だ。だから骨川くんがまた笑顔になれるのをずっと待つことが出来たんじゃないか?」

のび太「そうなんですかね?」

先生「君は君が思っているより、ずっと優秀な生徒だ」

のび太「確かに成績も伸びました」

先生「うーん、勉強はもうちょっと頑張らなきゃいかんな」

のび太「先生、厳しいですって」

94 :以下、VIPがお送りします:2021/05/24(月) 00:27:31.53 ID:8EDvcXeU1
先生「ハハハ。ま、野比。その人のことを信じる力。それはこれからも大事にしてくれよ」

のび太「はい!」

先生「他にも君が信じて待っている人がいるんじゃないか?」

のび太「え?」

先生「じゃあ、また後でな」


委員長「それでねー」

しずか「うんうん。あ、のび太さん」

のび太「しずかちゃん…」


委員長「あ、私ったら財布忘れてきちゃった。一旦部屋に戻るわね」

しずか「じゃあ、あたしも戻るわ」

委員長「すぐ戻るから、ここで待ってて」ソソクサ

しずか「ちょっとー」

95 :以下、VIPがお送りします:2021/05/24(月) 00:33:40.68 ID:8EDvcXeU1
のび太「やあ」

しずか「こんばんは」

のび太「しずかちゃんもお土産を?」

しずか「ええ」

のび・しず「…」


のび太「そ、そう言えば、ピアノのコンクール、予選通過したんだってね。おめでとう」

しずか「ええ、ありがとう…」

のび太「この間はしずかちゃんがどれだけ苦労しているかも知らないで、無責任なこと言ってごめんね」

しずか「いや、いいの。あたしもあの時は先生にすっごく怒られて、上手く弾けない自分にもイライラしてて…。こちらこそ八つ当たりしちゃってごめんなさい」

のび太「しずかちゃんは悪くないよ」

しずか「そんなことないわ。あの後、のび太さんに強く当たったこと後悔してね。あんなこと言わなきゃ良かったって」

のび太「そうなの?」

しずか「だって、あれからお話しできなかったじゃない?」

96 :以下、VIPがお送りします:2021/05/24(月) 00:40:28.70 ID:8EDvcXeU1
しずか「のび太さんとはずっと一緒だったのに、話さない日が続くのはやっぱり調子狂っちゃうわね」

のび太「僕もしずかちゃんと話せなくて、何て言うか…」

しずか「うん」

のび太「悲しかった」

しずか「!」

のび太「だって、しずかちゃんとお話するの凄く楽しいし。しずかちゃんと一緒に遊んだり出掛けたり、時にはお菓子を作ってもらって…。しずかちゃんといつも一緒にいるのが当たり前で幸せだったのに。一緒にいるのが気まずいだなんて…」

しずか「あたしもよ。のび太さん」

のび太「え?」

しずか「のび太さんと一緒にいるのが1番楽しいし、幸せよ」

のび太「しずかちゃん」

しずか「明日の班行動。今までお話出来なかった分、たくさん話しましょ!」

のび太「うん!」

しずか「あらやだ//」(急に恥ずかしくなる)

97 :以下、VIPがお送りします:2021/05/24(月) 00:42:59.99 ID:8EDvcXeU1
しずか「やっぱりお土産は明日にするわ。またね」

のび太「うん。また明日」


それから僕は部屋に戻ってから、
先生に見つからないように、ドラえもんが貸してくれた22世紀のゲームで皆で遊んだ。

さっきの6人でずっと盛り上がって、あっという間に消灯時間になった。

98 :以下、VIPがお送りします:2021/05/24(月) 00:50:54.59 ID:8EDvcXeU1
【306号室】
スネ夫「何かあっという間だよな」

ジャイアン「だな。毎日修学旅行ならいいのに」

スネ夫「言えてる」

ジャイアン「スネ夫も受験勉強大変だよな。よく出来るよな。お前は偉い!」

スネ夫「いやー。それよりもジャイアンこそ店番毎日やってるじゃない。今まではサボってたのに」

ジャイアン「ああ、それな…」

のび太「どうしたの?」

ジャイアン「お前たちには話すよ。誰にも言うなよ」

のび・スネ「うん」

ジャイアン「実はな、うちの店、今そんなに経営状況が良くないんだ」

スネ夫「そうなんだ」

ジャイアン「きっかけは駅裏の新しいスーパー」

のび太「あ、あそこ結構混んでるよね」

ジャイアン「それに加えて」

99 :以下、VIPがお送りします:2021/05/24(月) 07:54:09.58 ID:8EDvcXeU1
ジャイアン「一部で不買運動が怒ったんだ」

のび・スネ「えっ?!」

ジャイアン「ほら、俺前まですぐ暴力奮っていただろ。それにみんなの物も結構奪っていたし。その内容が町内に知れ渡ってしまってな。同じ学校の親たちが、うちの店で買うのを一斉に辞めてしまって、そこから売り上げは下がる一方」

のび太「そんなことがあったのか」

スネ夫「僕は聞いたことがある」

ジャイアン「それで俺が悪さをしていたのが、母ちゃんだけじゃなく父ちゃんにもバレてしまってな。こっぴどく叱られたよ」

のび太「そうだったんだね」

ジャイアン「一度付いた俺の悪いイメージは簡単には消えないけど、一生懸命店番して、暴力も辞めて、失った顧客をゆっくりでいいから取り戻すんだ」

100 :以下、VIPがお送りします:2021/05/24(月) 11:26:45.08 ID:8EDvcXeU1
ジャイアン「それによ、俺も長男だから、いずれ剛田雑貨店を継がないといけないしな」

のび太「やっぱりそうなんだ」

ジャイアン「俺が今頑張らないと潰れちまう。そしたら、ジャイ子が漫画を描くための道具を買うだけの小遣いをあげられんねえ。ジャイ子には無理させたくないんだ」

スネ夫「ジャイアンも大変だったんだね」

ジャイアン「ま、お陰さまで何とかやってるぜ」

101 :以下、VIPがお送りします:2021/05/24(月) 13:16:24.56 ID:8EDvcXeU1
スネ夫「のび太はいいよな。将来が決められてなくて」

のび太「確かに自由だけど、将来何やりたいか全く思い付かないや」

ジャイアン「まあ、のび太は自由なんだから、じっくり考えればいいさ。それよりよー」

102 :以下、VIPがお送りします:2021/05/24(月) 13:34:48.07 ID:8EDvcXeU1
ジャイアン「お前らって、その…好きなやついるのか?」

スネ夫「どうしたのさ急に」

ジャイアン「そりゃあ、修学旅行の夜はそういう話するもんだろ」

スネ夫「恋バナってやつか」

のび太「へへ、ジャイアンに恋バナは似合わないなあ」

ジャイアン「こんにゃろー!」
ボカボカ

のび太「いてー、暴力辞めたんじゃないの?」

ジャイアン「それはそれ、これはこれだ」

103 :以下、VIPがお送りします:2021/05/24(月) 22:34:35.02 ID:ILj+jTW0L
うちきり?

104 :以下、VIPがお送りします:2021/05/25(火) 01:13:13.99 ID:JC5TAkLz0
ごめんなさい。
今日というか昨日は仕事が難航しまして。

きちんと終わりまで書きます。
結末はもう決まっているので。

105 :以下、VIPがお送りします:2021/05/25(火) 01:16:17.45 ID:JC5TAkLz0
のび太「そういうジャイアンは気になる子いるの?」

ジャイアン「え?俺か?」

のび太「うん」

スネ夫「いるの?」

ジャイアン「えーっと…」

のび太「もしかして、ずっと前に会った後藤なつみさん?あの剣道道場の」

ジャイアン「あ、そんな子もいたな」

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