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女「こう寒いと、手を握りたくなってしまうね」

1 :以下、VIPがお送りします:2022/01/07(金) 23:43:11.56 ID:F6C+/WMl1
男「握るな」

女「ふふ、それはボクの勝手さ」

男「俺の都合も考えろ」

女「じゃあ君の息子で我慢しよう」

男「余計意味がわからん」

2 :以下、VIPがお送りします:2022/01/07(金) 23:45:48.23 ID:F6C+/WMl1
 ヤツの戯言がまた始まる。

女「きっと、熱いんだろうね」

男「何を想像してんだ」

女「もちろんナニをさ」

 視線が俺の下に向いてやがる。

男「どこ見てんだお前」

女「言わせないでよ」

男「そういう意図では聞いてねえよ」

女「い、糸を引いてない……?」

3 :以下、VIPがお送りします:2022/01/07(金) 23:58:03.07 ID:F6C+/WMl1
男「……」

女「沈黙は禁だよ」

男「金だろ」

女「玉ということかい?」

男「よくそんなポンポンと下ネタが出てくるな?」

女「いっぱい出たね」

 言い方が怪しいだろそれだと。

4 :以下、VIPがお送りします:2022/01/08(土) 00:03:58.22 ID:34UtMuzM0
 このテンションになっちまうと、もうどうしようもない。

 ヤツが満足するまで、こういう話の展開だ。

女「それにしても、冷えるね」

男「そうだな」

女「まるでくっついて歩けと言われているようだね」

男「またそれか」

 話が戻ってるぞ。

5 :以下、VIPがお送りします:2022/01/08(土) 00:10:11.09 ID:34UtMuzM0
女「いいじゃないか、ボクらは仲が良いんだから」

男「仲が良いからくっついていいルールなんてないんだよ」

女「じゃあ、ボクが君にくっついてはいけないルールもないよね?」

男「……」

 まあ、そうなる。

6 :以下、VIPがお送りします:2022/01/08(土) 00:14:25.99 ID:34UtMuzM0
女「スカートだとどうしても脚が冷えるからね」

男「タイツしてても寒いもんなのか?」

女「そうだね。やっぱり人肌が一番だ」

 と言うと。

 ヤツは俺の前に立ちふさがり。

女「さあ、思いっきりどうぞ」

 と、笑顔で言った。

7 :以下、VIPがお送りします:2022/01/08(土) 00:18:01.34 ID:34UtMuzM0
男「なんのつもりだ」

 手を大きく広げてやがる。

女「こうなったらやることは一つだろう?」

男「わからん」

女「本当に?」

男「わからんわからん」

8 :以下、VIPがお送りします:2022/01/08(土) 00:22:04.55 ID:34UtMuzM0
 大体予想はつくが。

 ここはしらばっくれておく。

女「わかった」

 表情から笑顔を変えずに、ヤツは後ろを向いた。

男「なんだ?」

 チラリとこちらを見ながら、

女「後ろからの方が良いってことだろう?」

 見当外れなことを言いやがる。

9 :以下、VIPがお送りします:2022/01/08(土) 00:26:57.25 ID:34UtMuzM0
男「……」

 ヤツの横をスルリと抜け、俺はまた歩き始めた。

女「あっ」

 それに気づき、ヤツは俺の隣を並行して歩く。

女「シャイだね」

男「なんのことだか」

 ヤツの冗談は、どこまで冗談なのかわからん。

10 :以下、VIPがお送りします:2022/01/08(土) 00:36:11.19 ID:34UtMuzM0
女「ボクももう少し、身長が欲しかったな」

男「小さいもんな」

女「そうだね。背伸びしても君に届かない」

 歩きながら器用につま先立ちする。

男「本当に背伸びしてんのか?」

女「してるさ」

 つま先立ちのせいで、歩き方がちょこちょこと細かくなっている。

11 :以下、VIPがお送りします:2022/01/08(土) 00:39:40.36 ID:34UtMuzM0
 と、その時だった。

女「おっと」

男「ん」

 俺の方へ少しよろけたヤツを、俺は身体で受け止めた。

 おそらく、つま先立ちのせいでバランスを崩したのだろう。

男「大丈夫か?」

女「……ふふっ」

 顔をあげたヤツは不敵な笑みを浮かべていた。

12 :以下、VIPがお送りします:2022/01/08(土) 00:48:12.96 ID:34UtMuzM0
女「やっぱり君は背が高いね」

男「平均くらいだろ」

女「ボクからすれば大きいよ」

男「まあ、そうか」

女「こんなに大きいの、入らないよ……」

 あのなあ。

13 :以下、VIPがお送りします:2022/01/08(土) 00:50:01.62 ID:34UtMuzM0
 助けて損した気分だぞ。

女「ふふっ、君がいてくれたおかげで転ばずに済んだ」

 体勢を立て直して、俺のそばから離れる。

女「ありがとう」

男「へいへい」

女「お礼は身体でするよ」

 せんでいい。

14 :以下、VIPがお送りします:2022/01/08(土) 00:56:31.46 ID:34UtMuzM0
男「無視無視」

女「ブンブン」

男「なんだそりゃ」

女「蜂だよ」

男「虫じゃねえ」

 俺の答えに満足げに笑顔で応えてくる。

 飽きねえなコイツも。

15 :以下、VIPがお送りします:2022/01/08(土) 00:58:25.70 ID:34UtMuzM0
 歩調はそのままで、ヤツが話始める。

女「ボクらは中学の頃からずっと同じクラスだったけれど」

男「ああ」

女「同じクラスじゃなかったら、どうなっていただろうね」

男「んー」

 想像もつかん。

女「こうして一緒に帰っているかな」

 ポツリと尋ねてくる。

16 :以下、VIPがお送りします:2022/01/08(土) 01:02:40.82 ID:34UtMuzM0
男「なって見なくちゃわからん」

女「それは答えになっていないよ」

男「例えばの話の時点で答えを出す必要はないだろ」

女「じゃあ、想像してみて欲しい」

男「例えばなのに?」

女「例えばだからさ」

 オウム返しじゃねえか。

17 :以下、VIPがお送りします:2022/01/08(土) 01:08:38.80 ID:34UtMuzM0
男「想像ねえ」

 のんびりと考えてみる。

 まあ例えばの話だからな、深く考え込む必要はない。

女「ボクは一緒に帰っていると思うんだ」

男「そりゃなんで?」

女「クラスが違ってても学校は同じだからね」

 まあそりゃそうだが。

18 :以下、VIPがお送りします:2022/01/08(土) 01:09:51.16 ID:34UtMuzM0
女「君は?」

男「まあ一緒に帰ってんじゃねえかな」

女「そうか」

 ヤツは何も変わらない笑顔を見せた。

女「なら、別のクラスになっても大丈夫だね」

男「あくまで例えばの話だろ」

女「だとしてもだよ。ボクは少し不安だったから」

 なんで不安になる。

19 :以下、VIPがお送りします:2022/01/08(土) 01:11:15.31 ID:34UtMuzM0
男「感受性豊かだな」

女「感度も良いよ」

男「それは知らん」

女「じゃあ、想像してみて欲しい」

 するか。

 スルーして話を変えよう。

男「腹減ったな」

女「ボクを食べようとしているのかい?」

 話変え失敗。

20 :以下、VIPがお送りします:2022/01/08(土) 01:12:49.91 ID:34UtMuzM0
女「飢えているんだね」

男「うるせえ」

女「もう……しょうがないな」

 何故服のボタンに手をかける。

女「外が初めてになるなんてね」

男「待て、話を進めるな」

女「お礼は身体でするって言ったよね?」

男「せんでいいと言った」

女「言われてないよ」

 しまった、口に出してなかった。

21 :以下、VIPがお送りします:2022/01/08(土) 01:17:39.90 ID:34UtMuzM0
男「じゃあ言う。せんでいい」

女「千でいい?」

 相場はよくわからんが絶対安いだろ。

男「お礼なんてしなくていいっつってんだ!」

女「あまり大きい声を出さないでくれ。お腹の子が驚くよ」

男「なんだその速度!?」

 ジェットコースターでももう少し助走があるぞ。

22 :以下、VIPがお送りします:2022/01/08(土) 01:18:42.28 ID:34UtMuzM0
女「あはは、楽しいね」

男「楽しくねえよ」

 コイツは本当に。

 とんでもないことを平然と言いやがって。

男「徒労だ」

女「……」

男「な、なんだ?」

 いきなりこっちをジッと見て。

23 :以下、VIPがお送りします:2022/01/08(土) 01:20:06.70 ID:34UtMuzM0
 いつもとは全然違う目つき。

男「うっ……」

 思わずたじろいでしまう。

女「トロンとした目をしてみたよ」

男「徒労だ徒労!」

 どこまでもふざけたヤツだ。

24 :以下、VIPがお送りします:2022/01/08(土) 01:31:07.46 ID:34UtMuzM0
 こんな毎日を、ほとんど登下校で行っているわけだが。

 あの手この手で色んな話をするヤツの語彙力は尋常ではない。

 そしてこの迷宮のように果てしない会話は。

 基本、家に着くまで終わらない。

女「着床だね」

男「到着だ」

25 :以下、VIPがお送りします:2022/01/08(土) 01:44:24.47 ID:34UtMuzM0
女「それじゃあ、また明日」

男「おう」

 家が隣なので帰路はほとんど一緒。

 というか、ずっと一緒だ。

女「ふふっ」

男「なんだ?」

女「『また明日』って言えるのが嬉しいだけさ」

男「なんじゃそりゃ」

26 :以下、VIPがお送りします:2022/01/08(土) 01:49:29.52 ID:34UtMuzM0
女「そう思わないかい?」

男「ま、そうだな」

女「じゃあ、君にも言って欲しいな」

男「なんでわざわざ」

女「ダメかい?」

男「……わーったよ、また明日な」

女「……」

男「なんだ?」

女「なんだかおあずけされたみたいでウズウズするね」

 俺はスルーして家に向かったのであった。

 こうでもしないと本当に話が終わらない。

 まあ。

 また明日だな。

27 :以下、VIPがお送りします:2022/01/08(土) 02:01:33.57 ID:34UtMuzM0
 次の日。

男「うう、寒っ」

 冬はやはり寒い。

 防寒具をしっかり着けていても寒いもんは寒い。

 吐く息はもちろん白く、余計そう感じさせられる。

女「寒いね」

男「んおっ」

 後ろからいきなり声を掛けられて驚く。

女「ふふっ、驚いたかい?」

 気を抜いていた。

28 :四八歳:2022/01/08(土) 13:56:30.56
りょうすれあげ

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