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女「こう寒いと、手を握りたくなってしまうね」

1 :以下、VIPがお送りします:2022/01/07(金) 23:43:11.56 ID:F6C+/WMl1
男「握るな」

女「ふふ、それはボクの勝手さ」

男「俺の都合も考えろ」

女「じゃあ君の息子で我慢しよう」

男「余計意味がわからん」

9 :以下、VIPがお送りします:2022/01/08(土) 00:26:57.25 ID:34UtMuzM0
男「……」

 ヤツの横をスルリと抜け、俺はまた歩き始めた。

女「あっ」

 それに気づき、ヤツは俺の隣を並行して歩く。

女「シャイだね」

男「なんのことだか」

 ヤツの冗談は、どこまで冗談なのかわからん。

10 :以下、VIPがお送りします:2022/01/08(土) 00:36:11.19 ID:34UtMuzM0
女「ボクももう少し、身長が欲しかったな」

男「小さいもんな」

女「そうだね。背伸びしても君に届かない」

 歩きながら器用につま先立ちする。

男「本当に背伸びしてんのか?」

女「してるさ」

 つま先立ちのせいで、歩き方がちょこちょこと細かくなっている。

11 :以下、VIPがお送りします:2022/01/08(土) 00:39:40.36 ID:34UtMuzM0
 と、その時だった。

女「おっと」

男「ん」

 俺の方へ少しよろけたヤツを、俺は身体で受け止めた。

 おそらく、つま先立ちのせいでバランスを崩したのだろう。

男「大丈夫か?」

女「……ふふっ」

 顔をあげたヤツは不敵な笑みを浮かべていた。

12 :以下、VIPがお送りします:2022/01/08(土) 00:48:12.96 ID:34UtMuzM0
女「やっぱり君は背が高いね」

男「平均くらいだろ」

女「ボクからすれば大きいよ」

男「まあ、そうか」

女「こんなに大きいの、入らないよ……」

 あのなあ。

13 :以下、VIPがお送りします:2022/01/08(土) 00:50:01.62 ID:34UtMuzM0
 助けて損した気分だぞ。

女「ふふっ、君がいてくれたおかげで転ばずに済んだ」

 体勢を立て直して、俺のそばから離れる。

女「ありがとう」

男「へいへい」

女「お礼は身体でするよ」

 せんでいい。

14 :以下、VIPがお送りします:2022/01/08(土) 00:56:31.46 ID:34UtMuzM0
男「無視無視」

女「ブンブン」

男「なんだそりゃ」

女「蜂だよ」

男「虫じゃねえ」

 俺の答えに満足げに笑顔で応えてくる。

 飽きねえなコイツも。

15 :以下、VIPがお送りします:2022/01/08(土) 00:58:25.70 ID:34UtMuzM0
 歩調はそのままで、ヤツが話始める。

女「ボクらは中学の頃からずっと同じクラスだったけれど」

男「ああ」

女「同じクラスじゃなかったら、どうなっていただろうね」

男「んー」

 想像もつかん。

女「こうして一緒に帰っているかな」

 ポツリと尋ねてくる。

16 :以下、VIPがお送りします:2022/01/08(土) 01:02:40.82 ID:34UtMuzM0
男「なって見なくちゃわからん」

女「それは答えになっていないよ」

男「例えばの話の時点で答えを出す必要はないだろ」

女「じゃあ、想像してみて欲しい」

男「例えばなのに?」

女「例えばだからさ」

 オウム返しじゃねえか。

17 :以下、VIPがお送りします:2022/01/08(土) 01:08:38.80 ID:34UtMuzM0
男「想像ねえ」

 のんびりと考えてみる。

 まあ例えばの話だからな、深く考え込む必要はない。

女「ボクは一緒に帰っていると思うんだ」

男「そりゃなんで?」

女「クラスが違ってても学校は同じだからね」

 まあそりゃそうだが。

18 :以下、VIPがお送りします:2022/01/08(土) 01:09:51.16 ID:34UtMuzM0
女「君は?」

男「まあ一緒に帰ってんじゃねえかな」

女「そうか」

 ヤツは何も変わらない笑顔を見せた。

女「なら、別のクラスになっても大丈夫だね」

男「あくまで例えばの話だろ」

女「だとしてもだよ。ボクは少し不安だったから」

 なんで不安になる。

19 :以下、VIPがお送りします:2022/01/08(土) 01:11:15.31 ID:34UtMuzM0
男「感受性豊かだな」

女「感度も良いよ」

男「それは知らん」

女「じゃあ、想像してみて欲しい」

 するか。

 スルーして話を変えよう。

男「腹減ったな」

女「ボクを食べようとしているのかい?」

 話変え失敗。

20 :以下、VIPがお送りします:2022/01/08(土) 01:12:49.91 ID:34UtMuzM0
女「飢えているんだね」

男「うるせえ」

女「もう……しょうがないな」

 何故服のボタンに手をかける。

女「外が初めてになるなんてね」

男「待て、話を進めるな」

女「お礼は身体でするって言ったよね?」

男「せんでいいと言った」

女「言われてないよ」

 しまった、口に出してなかった。

21 :以下、VIPがお送りします:2022/01/08(土) 01:17:39.90 ID:34UtMuzM0
男「じゃあ言う。せんでいい」

女「千でいい?」

 相場はよくわからんが絶対安いだろ。

男「お礼なんてしなくていいっつってんだ!」

女「あまり大きい声を出さないでくれ。お腹の子が驚くよ」

男「なんだその速度!?」

 ジェットコースターでももう少し助走があるぞ。

22 :以下、VIPがお送りします:2022/01/08(土) 01:18:42.28 ID:34UtMuzM0
女「あはは、楽しいね」

男「楽しくねえよ」

 コイツは本当に。

 とんでもないことを平然と言いやがって。

男「徒労だ」

女「……」

男「な、なんだ?」

 いきなりこっちをジッと見て。

23 :以下、VIPがお送りします:2022/01/08(土) 01:20:06.70 ID:34UtMuzM0
 いつもとは全然違う目つき。

男「うっ……」

 思わずたじろいでしまう。

女「トロンとした目をしてみたよ」

男「徒労だ徒労!」

 どこまでもふざけたヤツだ。

24 :以下、VIPがお送りします:2022/01/08(土) 01:31:07.46 ID:34UtMuzM0
 こんな毎日を、ほとんど登下校で行っているわけだが。

 あの手この手で色んな話をするヤツの語彙力は尋常ではない。

 そしてこの迷宮のように果てしない会話は。

 基本、家に着くまで終わらない。

女「着床だね」

男「到着だ」

25 :以下、VIPがお送りします:2022/01/08(土) 01:44:24.47 ID:34UtMuzM0
女「それじゃあ、また明日」

男「おう」

 家が隣なので帰路はほとんど一緒。

 というか、ずっと一緒だ。

女「ふふっ」

男「なんだ?」

女「『また明日』って言えるのが嬉しいだけさ」

男「なんじゃそりゃ」

26 :以下、VIPがお送りします:2022/01/08(土) 01:49:29.52 ID:34UtMuzM0
女「そう思わないかい?」

男「ま、そうだな」

女「じゃあ、君にも言って欲しいな」

男「なんでわざわざ」

女「ダメかい?」

男「……わーったよ、また明日な」

女「……」

男「なんだ?」

女「なんだかおあずけされたみたいでウズウズするね」

 俺はスルーして家に向かったのであった。

 こうでもしないと本当に話が終わらない。

 まあ。

 また明日だな。

27 :以下、VIPがお送りします:2022/01/08(土) 02:01:33.57 ID:34UtMuzM0
 次の日。

男「うう、寒っ」

 冬はやはり寒い。

 防寒具をしっかり着けていても寒いもんは寒い。

 吐く息はもちろん白く、余計そう感じさせられる。

女「寒いね」

男「んおっ」

 後ろからいきなり声を掛けられて驚く。

女「ふふっ、驚いたかい?」

 気を抜いていた。

28 :四八歳:2022/01/08(土) 13:56:30.56
りょうすれあげ

29 :以下、VIPがお送りします:2022/01/08(土) 19:17:47.93 ID:3M4EbgOzC
お前最高じゃねーか

30 :以下、VIPがお送りします:2022/01/08(土) 19:47:35.26 ID:VXpKRSpk+
良スレ

31 :以下、VIPがお送りします:2022/01/08(土) 20:36:45.41 ID:34UtMuzM0
男「ちょっとな」

女「ボクも驚いたよ」

 何が。

女「身震いしているから、てっきり用を足しているのかと」

男「家の前でするかよ!」

 どれだけ我慢できない尿意だったんだ。

32 :以下、VIPがお送りします:2022/01/08(土) 20:40:01.94 ID:34UtMuzM0
女「だから恐る恐る後ろから声をかけたのさ」

男「堂々とかけろそれなら」

女「……これは何をかけろと言われているんだろう?」

男「声だ声!!!」

 それ以外に何がある!

 とんでもない飛躍だ。

33 :以下、VIPがお送りします:2022/01/08(土) 20:44:36.83 ID:34UtMuzM0
女「なんだ、てっきり」

男「言わんでいい」

女「おや、ならなんだと思ったんだい?」

男「あん?」

 そう言われると困る。

男「そりゃさっきの話だったらアレしかないだろ」

女「口に出して言ってよ、わからないから」

 コイツ……。

34 :以下、VIPがお送りします:2022/01/08(土) 21:02:13.47 ID:34UtMuzM0
女「ねえ、言ってみてよ」

 なんだそのキラキラした目は。

男「尿だろ尿!」

女「違うよ、ボクが思っていたのは精――」

男「それ以上はよせ」

 どういう話からそうなるんだ。

35 :以下、VIPがお送りします:2022/01/08(土) 21:10:54.94 ID:34UtMuzM0
男「んなこと言ってねーで行くぞ」

女「うんっ……一緒にイこっ?」

男「……」

 言い方に少し違和感があるが、もう無視するしかない。

女「顔を見られると恥ずかしいな……」

 続けるな。

 無視してるんだから。

36 :以下、VIPがお送りします:2022/01/08(土) 21:27:33.63 ID:34UtMuzM0
 会話は続く。

女「今日はお味噌汁がいつも以上に美味しく感じたよ」

男「寒いからな」

女「やっぱり和食は良いね」

男「俺も今日は味噌汁だったな」

女「おや、一緒だね」

 こういう話もする時はする。

37 :以下、VIPがお送りします:2022/01/08(土) 21:43:13.72 ID:34UtMuzM0
女「でも、やっぱり冬はこたつが一番だ」

男「こたつにミカンがやっぱり良いよな」

女「うん。こたつの中でくんずほぐれつ」

男「ぬくぬくしろ」

女「抜く抜く?」

男「違う」

 ワードのチョイスを間違えると即座にこれだ。

38 :以下、VIPがお送りします:2022/01/08(土) 22:13:37.08 ID:34UtMuzM0
女「大丈夫、中だったらバレないよ」

男「お前なぁ……」

 せっかく普通の会話だったのに。

 一気に積み上げていたものが崩れ去っちまったような感覚だ。

 ヤツは何かをくぐるようなジェスチャーをして、

女「口……あっ、脚の方が良い?」

 と、言うのであった。

39 :以下、VIPがお送りします:2022/01/08(土) 22:31:45.84 ID:34UtMuzM0
 コイツのエロトークに終わりはないのか。

男「寒いと汁物がより美味く感じるんだよな」

 無視して味噌汁の話に戻そうとする。

女「汁物……」

 あ。

 やっちまった。

女「やっぱりかけようとしてたものって……!」

 ふりだしに戻った。

40 :以下、VIPがお送りします:2022/01/08(土) 22:40:07.27 ID:34UtMuzM0
女「というのは置いておいて」

男「なんだ」

 自分から話を変えたくせに。

女「今日、学校が終わったら明日はおやすみだね」

男「そうだな」

女「じゃあ、君の家に集合にしよう」

男「……ん、いつそんな話になった?」

 急展開過ぎる。

41 :以下、VIPがお送りします:2022/01/08(土) 23:05:46.11 ID:34UtMuzM0
女「遊ぼう」

男「先に言えよそれを」

女「先に家を言ってしまったね」

 面白くねえよ。

男「何するんだよ」

女「部屋に男女が二人、何も起きないはずが」

男「ある」

女「あはは、面白い冗談だね」

 だから、

 面白くねえよ。

42 :以下、VIPがお送りします:2022/01/08(土) 23:31:04.12 ID:34UtMuzM0
女「この前、部屋でトランプを見つけてね」

 なるほど。

 トランプで遊ぼうってことか。

 そういえば、久しくやってないな。

男「やるか」

女「良かった」

 そんな約束をして、俺達は学校に向かったのであった。

43 :以下、VIPがお送りします:2022/01/08(土) 23:36:38.23 ID:34UtMuzM0
女「ぶっかけられた白いモノ」

男「ふりかけをかけた白米」

女「うん、そうとも言うね」

 そうとしか言わないんだよ。

 昼食中、ヤツのド下ネタにやや食欲が失せる。

男「TPOってもんがあるぞ」

女「ティン――」

男「それ以上は言うな」

 なんでそうなる。

44 :以下、VIPがお送りします:2022/01/08(土) 23:37:46.83 ID:34UtMuzM0
女「ふふふっ」

 楽しそうに笑うなコイツは。

女「明日が楽しみでついつい」

男「気が早いな」

女「気持ちがヨガってしまうね」

男「アガるんだよ」

45 :以下、VIPがお送りします:2022/01/08(土) 23:46:52.37 ID:34UtMuzM0
男「お前、少しは黙れないのか?」

女「強めに口を押さえられたら黙るよ」

 誰だって黙るだろそれは。

女「じゃあ少し黙ってみようか」

男「ああ、頼む」

女「……」

 ヤツが急に静かになる。

46 :以下、VIPがお送りします:2022/01/09(日) 00:21:58.07 ID:6ltCoASyQ
男「……」

 俺も黙々と弁当の中身を口に入れていく。

女「……」

 ヤツは無言で、バランスよく食べ進めていく。

 俺よりも量が少ないので、早々と完食しやがった。

女「さて」

 と小さく呟く。

47 :以下、VIPがお送りします:2022/01/09(日) 00:27:36.23 ID:6ltCoASyQ
 まだ食事中の俺の目の前で両肘を机につけて手を組んだ。

 そのまま、少し前のめりの姿勢になる。

 そして、喋らないままこちらをジーっと見てきやがる。

男「なんだ」

女「……」

 返事をせず、同じ体勢のままずっと俺から視線を離さない。

 どんどんとこちらに顔が近づいてくる。

 ニヤついた表情は変わらない。

48 :以下、VIPがお送りします:2022/01/09(日) 01:03:46.71 ID:6ltCoASyQ
男「……」

 反応したら負けだ。

 そんな気がして、俺は気にせずに弁当を食べ進めていく。

女「……」

 首が少しだけ横に傾いて、上目遣いになる。

 得意げな笑顔をべったりと貼り付けながら。

男「……」

 不気味だ。

49 :以下、VIPがお送りします:2022/01/09(日) 01:06:57.16 ID:6ltCoASyQ
男「もういい。喋っていいぞ」

 その言葉に、ヤツはニコッと微笑んだ。

 ゆっくりと前傾姿勢をやめ、普通の体勢に戻る。

女「あはは、待てをされた犬みたいだ」

男「なんだそりゃ」

女「実はもう、喋りたくてたまらなかったんだ」

男「そうかよ。で、なんだったんださっきのは?」

女「ふふ、なんだろうね」

 一番不気味な答えじゃねえか!

50 :以下、VIPがお送りします:2022/01/09(日) 01:08:45.36 ID:6ltCoASyQ
女「君を見てただけだよ」

男「近かったぞ」

女「近い方がよく見えるからね」

 それはそうだが。

男「あんなジロジロ見るなよ」

女「視姦してたのさ」

 うわ、掘り下げなきゃ良かった。

51 :以下、VIPがお送りします:2022/01/09(日) 01:14:13.18 ID:6ltCoASyQ
女「ボクっておしゃべりなんだね」

男「ああ、ほとんどずっとお前が喋ってるぞ」

女「たまには君の話も聞いてみたいね」

男「そんな話すことないぞ」

女「じゃあボクが話すよ」

 結局こうなるんじゃねえか。

52 :以下、VIPがお送りします:2022/01/09(日) 01:14:44.97 ID:6ltCoASyQ
 まあ別に。

 多少やかましいヤツと。

 それほど喋らない俺は。

 話し手と聞き手でちょうど良いのかもしれない。

 ヤツの話すことは――少々下品な話が多いが――不愉快なことは絶対に言わない。

 誰かの悪口とか、そういうネガティブな内容はゼロだ。

 だからこそ、バランスが取れているのかもしれない。

女「さっきのボクが透視能力があったら、君はもうスケスケだったね」

男「……」

53 :以下、VIPがお送りします:2022/01/09(日) 01:21:12.21 ID:6ltCoASyQ
女「明日が楽しみだ」

 ぴょこぴょこと跳ねるような歩き方をヤツがする。

 陽が傾いて、更に寒さを感じる下校時間のこと。

女「小学校の頃はどんな遊び方をしてたんだい?」

男「……トランプか?」

女「それ以外ないだろう」

 ちゃんと聞かないと危ないんだよ、お前は。

54 :以下、VIPがお送りします:2022/01/09(日) 01:23:32.11 ID:6ltCoASyQ
男「オーソドックスなのしかしてこなかったな」

女「正常位」

男「……あ、でもソリティアはハマって、よく一人でやったりもした」

女「自慰」

男「……あんまり大人数でやってないかもだな。妹とばっかりしてたな」

女「近親相姦」

男「言葉を選べバカ!!!」

 あまりにも酷過ぎるだろ!

55 :以下、VIPがお送りします:2022/01/09(日) 01:27:24.41 ID:6ltCoASyQ
女「罵られた」

男「全部変な言い換えするからだろが!」

女「興奮した」

男「罵られて!?」

女「うんっ♪」

 弾むような口調で言うな!

56 :以下、VIPがお送りします:2022/01/09(日) 01:30:50.23 ID:6ltCoASyQ
男「お前、無敵なのか」

女「人はやがて死ぬよ」

 なんだその返し。

 急に現実的だな。

女「ああ、これは不死身か」

 どうでもいいわ。

57 :以下、VIPがお送りします:2022/01/09(日) 01:33:57.97 ID:6ltCoASyQ
女「ボクはほとんどやったことがないから、色々教えてもらいたいな」

男「そうなのか」

女「うん。だけどヤる気はあるよ」

 ……なんか誤解を生みそうな言い方だな。

女「だからボクにいっぱい教え込んで欲しい」

 誤解を生みそうな言い方だな。

女「君に初めてをあげるね」

 誤解を生みそうな言い方だな!!!!

58 :以下、VIPがお送りします:2022/01/09(日) 01:46:28.58 ID:6ltCoASyQ
男「普通に言え!」

女「室内用の玩具での遊び方を教えてください」

男「おい!」

 ……いや合ってるのか。

 トランプ=室内用の玩具。

 いやいや、誤解を生むだろうが!

59 :以下、VIPがお送りします:2022/01/09(日) 01:57:51.42 ID:6ltCoASyQ
女「教え込まれた玩具にハマり癖になってしまうボク」

男「やめろ」

女「『もっとしたい』とたくさんおねだりしてしまうかも」

男「やめろ!」

 誰かこの暴走機関車を止める術を教えてくれ!

 速度が一向に下がらん、むしろ加速してやがる。

60 :以下、VIPがお送りします:2022/01/09(日) 02:00:34.37 ID:6ltCoASyQ
女「ふふふ」

 なんで笑ってんだ。

女「今日も楽しかったね」

男「誤解を生む……ってもう家か」

 いつの間に着いてたんだ。

女「明日、頃合いを見て行くよ」

男「頃合いってなんだよ」

 何時だよ。

61 :以下、VIPがお送りします:2022/01/09(日) 02:05:45.16 ID:6ltCoASyQ
女「君の自家発電が終わったな〜と思ったら」

男「しねえよ!!!」

 含み笑いをしながらヤツは家へと入っていった。

男「……はぁ」

 ヤツが去ると、自分の身体が叫び疲れていることに気づく。

男「アイツといると体力が持たんな……」

 そう独り言ち、

男「あ」

 自分も誤解を生みそうな言い方をしたことに少々後悔した。

62 :以下、VIPがお送りします:2022/01/09(日) 02:09:54.83 ID:6ltCoASyQ
女「お邪魔します。わぁ、ちゃんとイカくさい」

男「やってねーし臭くねえよ」

女「何を?」

男「うるせえ、あとゴミ箱見るな」

女「何もない……袋新しくしたのかい?」

男「だからやってねーって言ってんだろ!」

女「だから何を?」

 うぜえ!

63 :以下、VIPがお送りします:2022/01/09(日) 02:16:29.12 ID:6ltCoASyQ
 次の日のことだ。

 部屋に入ってくるなりスタートダッシュ快調だな。

女「それでは早速」

 バフっと。

 俺のベッドに仰向けに倒れた。

男「何が早速だ。降りろ」

女「お前には地べたがお似合いだって!?」

男「言ってねえ!」

64 :以下、VIPがお送りします:2022/01/09(日) 02:20:45.60 ID:6ltCoASyQ
女「床を舐めろというのなら喜んで舐めるよ……?」

男「お前ちょっとはそういう発言自重できないのか?」

女「ボクは何を言っているんだろうね、馬鹿だなぁ、あはは」

男「……ん?」

女「自嘲した」

 どんなラッシュよりもクラクラする。

65 :以下、VIPがお送りします:2022/01/09(日) 02:24:25.97 ID:6ltCoASyQ
 頭を軽く掻いて、俺は部屋の真ん中にある背の低い机の前に座った。

男「トランプやるんだろ。持ってきたのか?」

女「持ってきてはないけれど」

 持ってきてはない?

女「んしょ」

 俺のベッドから上体を起こし、立ち上がる。

 手慣れたようにベッドの下を覗き込み、手を入れる。

女「じゃあ、やろうか」

 ベッドの下から戻ってきた手の中には、トランプがあった。

66 :以下、VIPがお送りします:2022/01/09(日) 02:28:33.96 ID:6ltCoASyQ
男「え……」

女「なんだい?」

男「いや、それ……」

女「トランプだね」

男「いやいや違う」

女「? どこからみてもトランプだろう」

男「じゃなくて! どっから出したんだそれ!?」

女「君のベッドの下から」

男「それがおかしいんだろが!」

 なんでそんなところにトランプがあるって知ってんだ!

67 :以下、VIPがお送りします:2022/01/09(日) 02:36:27.50 ID:6ltCoASyQ
 そのトランプは確かに、俺の物だった。

女「ああ、それはね」

 ヤツはトランプを胸に抱いて。

女「いかがわしい物を探していたらベッドの下で可哀想にしていたんだ」

男「……い、いかがわしい物?」

女「ボクに言わせたがるね、君は」

男「言わなくていい。いい、いい……」

 内心、めちゃくちゃビビっている。

 怖い、コイツが怖い。

68 :以下、VIPがお送りします:2022/01/09(日) 02:38:35.77 ID:6ltCoASyQ
女「まさかベッドの底に貼り付けるなんて発想は無かったなぁ」

男「……え」

女「確かに普通にベッドの下だとバレてしまうよね」

男「お、お前……」

女「大丈夫さ、口外はしないよ。ボク達だけの秘密だ」

 ……死にてえ。

69 :以下、VIPがお送りします:2022/01/09(日) 02:52:44.92 ID:6ltCoASyQ
 打ちのめされたような感覚。

 窓から飛び降りれば楽になれるんじゃないか?

 そういうことを考えてしまうほどに精神を持っていかれた。

女「さ、気を取り直して始めようか」

男「やれると思うか?」

女「ボクはなんとも思っていないよ」

 窓に走り寄り、自分の姿を見ながら、何やらポーズをしている。

女「ボクはあんなに胸が大きくなりそうないけれど、ね」

 もう殺してくれ、俺を!

70 :以下、VIPがお送りします:2022/01/09(日) 02:57:32.92 ID:6ltCoASyQ
女「おや、どうしたんだい?」

 ヤツのいつものニヤケ面も。

 今は悪魔のように見えてくる。

男「楽しそうだなお前」

女「うん、だって今からトランプをやるんだから」

 それどころじゃないんだけどな俺は。

女「さあ、何からやろうか。教えてくれ」

 燦燦とした目をしていやがる。

71 :以下、VIPがお送りします:2022/01/09(日) 02:59:18.99 ID:6ltCoASyQ
 非常に気分は落ち込んでしまったが。

 やるしかあるまい。

 深淵のようなため息をついたあと、トランプを軽くシャッフルする。

男「二人でやる遊び……か」

 意外と絞られてしまうものだ。

女「普通にやっても面白くないよね」

男「あん?」

女「賭博しよう」

男「一番やったらダメだろ」

 何普通に言ってんだコイツ。

72 :以下、VIPがお送りします:2022/01/09(日) 13:04:24.72 ID:6ltCoASyQ
女「じゃあ罰ゲームありとか」

男「まあそれくらいなら」

女「ゲーム毎に都度決めよう」

男「度が過ぎたのは無しだぞ」

女「交尾は?」

男「却下だ」

女「いけると思ったんだけどなあ」

 なんでいけると思ったんだ。

73 :以下、VIPがお送りします:2022/01/09(日) 13:57:17.63 ID:AJtsDl+6J
交尾は?草

74 :以下、VIPがお送りします:2022/01/09(日) 15:13:48.22 ID:6ltCoASyQ
 なんだかんだでやってみると意外と白熱するもので。

男「うおおおおおおおおおおおお! 負けた……」

女「ボクの勝ちだね」

男「くそー罰ゲームなんだっけか」

女「犬のモノマネだね」

男「やりたくねえ……」

女「わんわんっ」

男「いやお前がやるのかよ!」

75 :以下、VIPがお送りします:2022/01/09(日) 15:14:35.96 ID:6ltCoASyQ
女「あはは、面白いね」

男「もっかいだもっかい」

女「うん。じゃあ犬のモノマネもしたし交尾のモノマネでも」

男「こだわるな」

 繋げようとするな、色んな意味で。

 負けると悔しいし、勝てるとスカっとする。

 エロ本のくだりを忘れられるとは全く思えんが。

 それでもまあ、悪くない。

76 :以下、VIPがお送りします:2022/01/09(日) 15:27:14.81 ID:6ltCoASyQ
男「また負けだ! なんなんだ!」

女「ははは、ボクって運が良いんだね」

男「確かにほぼ運ゲーだが、こうも勝てないと悔しいぞ」

女「確かに、ほとんどボクが勝ってるね」

 これまであらゆるゲームをやって15戦3勝12敗。

 勝てた3勝はヤツがルールをしっかりと理解できていない緒戦だったからだ。

 運も絡むゲームが多いのは確かだが、負けまくりだ。

 ビギナーズラックだとしてもあんまりだ。

77 :以下、VIPがお送りします:2022/01/09(日) 15:56:44.27 ID:6ltCoASyQ
 罰ゲームは基本的にヤツが提案し、俺はやるゲームを色々と提案した。

 同じゲームを何度かやっては変え、また同じゲームをやったり、少しルールを変えてみたり。

 案外時間は経って、気づけば2時間ほど遊んでいた。

 勝率はヤツが9割。俺はボロ負けだった。

男「ダメだ全然勝てん。凄いなお前」

女「まぐれだよ。今日だけさ」

男「そろそろラストにするか」

 罰ゲームし過ぎて辛くなってきた。

女「そうだね」

78 :四八歳:2022/01/09(日) 16:30:40.90
WKTK

79 :以下、VIPがお送りします:2022/01/09(日) 18:36:26.16 ID:6ltCoASyQ
男「次の罰ゲームは?」

女「うーん、そうだなぁ」

 今のところ、一切被らない罰ゲームを提案し続けている。

 これに関しては凄いと言わざるを得ない。

女「じゃあ、『自分の秘密を一つ言う』ってのはどうだろう」

男「……秘密」

 脳裏にエロ本が浮かぶ。

女「ダメかい?」

男「いや、いいだろう」

 負けっぱなしの俺だったが。

 これは勝たなくてはならない。

80 :以下、VIPがお送りします:2022/01/09(日) 20:10:25.62 ID:6ltCoASyQ
 ここで負けてしまうと。

 俺は別の場所にあるエロ本のありかを教えないといけなくなる。

 こういうのはスリルが強ければ強いほど頑張れるもんだ。

 絶対に負けられん。

男「やるぞ。ゲームは何にする?」

女「君が選んでいいよ」

 コイツ、余裕だな。

81 :以下、VIPがお送りします:2022/01/09(日) 20:41:32.21 ID:6ltCoASyQ
 久しぶりのトランプに謎の前のめりな姿勢を見せていた俺も。

 少し疲れが出ていた。

 そりゃ二時間もやったらそうなる。

 なんか簡単にできるものはないか……。

 ヤツは変わらず笑ってやがる。

男「うーん……そうだな」

82 :以下、VIPがお送りします:2022/01/09(日) 20:56:11.20 ID:6ltCoASyQ
 俺はトランプの山札の上から一枚引いて、机に表側に置いた。

 出たのはハートの『1』。

男「最終決戦はハイアンドローだ」

女「ハイアンドロー?」

男「なんだそのリアクション」

 何故片手で胸を隠して股間を隠したんだ。

女「上と下」

男「裸なのかお前」

女「見ての通り全裸です」

 勘違いさせようとするな!

 普通に服は着てるからな!? 着てるぞ!?

83 :以下、VIPがお送りします:2022/01/09(日) 21:04:04.72 ID:6ltCoASyQ
女「ルールを教えてもらえるかな」

男「まあ簡単に説明すると」

 先ほど出したハートの「1」に、もう一枚山札の上から引いたカードを裏にして横に置いた。

男「このカードが、今出てるハートの『1』より上か下かを宣言する」

女「ふむふむ」

男「今回はわかりやすく『1』は最弱のカードでやろう。ってことは一番弱いカードになるから、『上』だな」

 裏にして置いたカードを表側にする。

 クローバーの『4』。

男「『4』。『1』より上の数字だから、成功ってことになる」

女「なるほど。じゃあ、最強は『13』になるのかな?」

男「その通り」

84 :以下、VIPがお送りします:2022/01/09(日) 21:16:08.64 ID:6ltCoASyQ
 色々と細かいルールやローカルルールがあったりするが、今回は単純なルールにする。

 ジョーカーは入れず、ただただ数字で勝敗が決まる。

男「で、次は『4』よりも上か下かを選ぶ」

女「『上』! ……『7』だ」

男「これを続けて、当てられなかった方が負けだ」

女「同じ数字が出たら?」

男「上下どっちを選んでも成功」

女「シンプルで良いね。やろう」

男「だろ? じゃあ、何戦先取にする?」

 無難に3戦先取ってところか。

85 :以下、VIPがお送りします:2022/01/09(日) 21:23:18.63 ID:6ltCoASyQ
 ヤツは山札をジーっと見つめながら、

女「一発勝負にしよう」

 と言った。

男「一発勝負!?」

 つまり。

 1回でも間違えたら。

 そこで勝敗が決まる。

86 :以下、VIPがお送りします:2022/01/09(日) 21:25:18.01 ID:6ltCoASyQ
女「一発でデキるかな?」

男「何がだ」

女「ふふっ……もう二時間もやっているしね」

男「そ、そうだけど」

 1回だけで勝負が決まるって。

 とんでもない重圧だぞ。

女「おや、秘密を言うのが怖いのかな?」

 煽ってくるじゃねえか。

男「……やってやろうじゃねえか」

女「ふふ、声が一瞬裏返ったよ?」

 クソ、落ち着け俺よ。

87 :以下、VIPがお送りします:2022/01/09(日) 21:31:14.84 ID:6ltCoASyQ
 にしてもこの勝負。

 一瞬で決まってしまう可能性もあり、非常に怖い。

 ただ俺はさっき自分で言ったことを忘れてはいない。

 『こういうのはスリルが強ければ強いほど頑張れるもんだ』。

男「始めるぞ」

 山札を丁寧に切る。ヤツに手渡して、ヤツにも切らせる。

女「ふふ、緊張するね」

 緊張してるとは思えないほど、ヤツはいつも通りの表情だった。

88 :以下、VIPがお送りします:2022/01/09(日) 21:37:59.17 ID:6ltCoASyQ
男「俺が先攻だ」

女「じゃあボクは後受」

 受けるな。攻めろ。

男「……」

 山札から一枚引き、表にして置く。

 出たのは『11』だ。

 少しホッとしながら、俺は宣言する。

男「『下』」

 もう一枚引いて、表にする。

89 :以下、VIPがお送りします:2022/01/09(日) 21:53:38.88 ID:6ltCoASyQ
 トランプの数字は『10』だった。

男「うおっ! あぶねっ」

女「近かったね」

男「でもまあ、下は下だ」

 成功しているのだから関係ない。

女「じゃあボクは……」

男「……」

女「『上』」

 『上』!?

90 :以下、VIPがお送りします:2022/01/09(日) 22:04:32.79 ID:6ltCoASyQ
 ぺらりとカードが開かれる。

 『12』。

女「12だ。良かった」

男「マジかよ……」

 満面の笑みでこちらを見てくる。

 今は、この表情が非常に憎たらしい。

91 :以下、VIPがお送りします:2022/01/09(日) 22:13:05.27 ID:6ltCoASyQ
男「『下』!」

女「『下』」

男「『上』!」

女「『上』」

男「うーん……『下』!」

女「『上』かな」

 予想がつかないほど続くハイアンドロー。

 どんどん宣言の重みが増していくうえ、重圧がかかってくる。

92 :以下、VIPがお送りします:2022/01/09(日) 22:18:53.86 ID:6ltCoASyQ
 裏の山札の枚数が残り数枚になっても、まだ勝負は決まっていなかった。

男「まさかこんなに長く続くとは……」

女「すごいね、サクッと終わると思ったのに」

 想定していた時間よりも間違いなく長い時間が経過していた。

女「ボクの番だね」

 表になっている最新の数字は『3』。

女「えっと、『下』」

男「何!?」

女「今残っている数字は『1』が2枚、『2』が1枚、『7』が1枚だからね」

93 :以下、VIPがお送りします:2022/01/09(日) 22:22:15.11 ID:6ltCoASyQ
 しっかりと出た数字と残りの数字を覚えてやがった。

 それなら確かに、『下』の数字の多い方を選ぶのが無難だ。

女「めくるね」

男「ああ」

 慣れた手つきで薄くなった山札から一枚、カードを引く。

 そしてカードを持っていた方の掌を返して、表にする。

男「!」

女「おや」

 カードは、『7』だった。

94 :以下、VIPがお送りします:2022/01/09(日) 23:03:35.72 ID:6ltCoASyQ
男「か、勝った!!」

女「最後の最後に運が味方してくれなかったなぁ」

男「いや、でもこれは凄い戦いになったな」

女「うん。熱戦だったね」

 急に緊張の糸が切れる。どれほど時間が経っていたのだろう。

 これまでの道のりは決して楽ではなかった。

 しかし今、その茨をかきわけて勝利を手にしたのだ。

95 :以下、VIPがお送りします:2022/01/09(日) 23:20:56.92 ID:9jroxEOf4
女「20分もやってたみたい」

男「ほとんど最後までやってたからな」

女「君の血走った目、おかしかったな」

 そりゃそうだ。

 これ以上恥を晒したくはない。

 ……にしても、そんな顔に出てたか。

96 :以下、VIPがお送りします:2022/01/09(日) 23:25:29.99 ID:9jroxEOf4
女「ふぅ、たくさん遊んだね」

男「そうだな」

 首をくるりと回すと、少し凝っていた。

 ほとんど同じ体勢だったから当然だろう。

女「それじゃあ、そろそろ帰ろうかな」

 おいおいおいおい。

97 :以下、VIPがお送りします:2022/01/09(日) 23:37:55.05 ID:9jroxEOf4
男「おいおいおい」

女「めいめいめい」

 甥じゃねえ。

男「何か忘れてないか?」

女「色んなトランプ遊びを教えてくれてありがとう」

 いや、礼でもねえ。

98 :以下、VIPがお送りします:2022/01/09(日) 23:46:37.18 ID:9jroxEOf4
男「トランプで負けたら何をするんだった?」

女「負けを認める?」

男「それはそうだ。じゃなくて」

女「絶対服従する?」

男「そんなことは一度も言ってない」

 というかなんだそれ。どっから出たルールだ。

99 :以下、VIPがお送りします:2022/01/09(日) 23:49:56.76 ID:6ltCoASyQ
 トランプを片付けながら俺は言う。

男「罰ゲームだ罰ゲーム」

女「……」

 珍しく黙り込む。

男「えっと、『自分の秘密を一つ言う』だったか」

女「うん、そうだね」

男「さて、言ってもらおうか」

 自分の顔は見えないが。

 少しだけ悪い顔をしている気がする。

100 :以下、VIPがお送りします:2022/01/09(日) 23:53:08.41 ID:6ltCoASyQ
女「機嫌が良いね」

男「負けっぱなしだったからな」

女「ふふっ、勝気に押されちゃったかな」

 机を隔てた対面にいるヤツは。

 唇に人差し指を当て、少し思案したような顔を見せる。

 指を離して、俺を見つめながら、

女「……どうしても言わないとダメかな?」

101 :以下、VIPがお送りします:2022/01/09(日) 23:58:02.45 ID:6ltCoASyQ
男「は?」

 意外な返答。

 普段ならこんな返しがくることはない。

 想定外過ぎて俺も変な声が出ちまった。

女「……」

 いや、というか。

 コイツどんな爆弾発言するつもりなんだ。

102 :以下、VIPがお送りします:2022/01/10(月) 00:01:28.73 ID:SgQ63/wl2
 そんな言えないことってなんなんだ。

男「待て、それはこれからの人間関係をも壊れるくらいの発言なのか?」

女「……かも?」

 そういうのやめろよ。

 めちゃくちゃ怖くなってきた。

男「……」

 まずい、俺も黙ってしまった。

103 :以下、VIPがお送りします:2022/01/10(月) 00:04:54.99 ID:SgQ63/wl2
女「……」

 ヤツは笑顔を作りながら。

 いつもより少しだけ、眉が下がっているように見えた。

男「……でも」

 何も考えずに言葉が先走る。

男「聞く。……聞いてやる」

104 :以下、VIPがお送りします:2022/01/10(月) 00:13:45.03 ID:SgQ63/wl2
 なんで罰ゲームをさせる側がこんなに弱気になってんだ。

 そもそも、コイツとは結構な時間一緒にいる。

 何か変なクセやら過去の行動やらで、仲が拗れるようなことはない。

 ……と、俺は思っている。

女「わかった」

 ヤツも意を決して座り直した。

 と思った、またすぐに立ち上がった。

105 :以下、VIPがお送りします:2022/01/10(月) 00:16:05.70 ID:SgQ63/wl2
女「うーん」

男「なんだ?」

 落ち着かないな。

女「えっと、立ってもらってもいいかな」

 俺が?

男「必要なことなのか?」

女「……必要ではないかも」

 なんなんだ。

106 :以下、VIPがお送りします:2022/01/10(月) 00:19:30.34 ID:SgQ63/wl2
男「さっきからおかしいぞ。どうした」

女「うーん、どうかしているのかも、ボク」

 見りゃわかる。

 さっきからもじもじとしやがって

男「……」

女「……ごめん、一旦お手洗いを借りてもいいかな?」

男「え……ああ、行ってこい」

 それでもじもじしてたのか?

 ……そういうわけではなさそうだが。

107 :以下、VIPがお送りします:2022/01/10(月) 00:40:11.69 ID:SgQ63/wl2
 ヤツが部屋を出てしばしの静寂。

男「……」

 俺はトランプをベッドの下……ではなく、雑多な物入れの棚にしまった。

 いつもの感じではないヤツの雰囲気が、あまりにも違和感でしかたがない。

 それにこんなにもったいぶっていることも。

 むしろ、もったいぶっといて肩透かしのパターンも全然なくはない。

108 :以下、VIPがお送りします:2022/01/10(月) 01:36:35.16 ID:SgQ63/wl2
 そうだとしても。

 空気を作り過ぎだろうに。

男「ふー」

 落ち着け俺。

 大したこと、ないだろう。

 ガチャ。

 部屋のドアが開く。

女「おまたせ」

 ヤツは、笑っていなかった。

109 :以下、VIPがお送りします:2022/01/10(月) 02:00:03.74 ID:SgQ63/wl2
 珍しい表情だ。

 少し、曇ったような表情。

 そして何より。

 ペラペラと喋る口が。

 全く動いてないのだから。

女「んしょ」

 ゆっくりと、俺の対面に腰を下ろす。

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