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御坂「……?(誰よアイツ……見ない顔ね……)」

1 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:26:19.455 ID:iGyNfpT5a.net
スレ立て代行です。ではどうぞ。

2 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:26:34.004 ID:iGyNfpT5a.net
違うんよ。主の忍法帳レベルが足りんのよ

3 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:26:47.147 ID:iGyNfpT5a.net
スレ立て代行を依頼したものです
・禁書のSSです
・オリキャラメインです。勝手に設定した能力者が出ます。
・原作は読んでません。細かい設定はよくわかりません。
・アニメのレールガンまでは見ました。禁書の2期は視聴中です。
・キャラが崩壊してるかも知れませんがご容赦を

以上です。始めます

4 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:27:16.188 ID:iGyNfpT5a.net
(学園都市 とある公園)
??「いやー、ここが学園都市か。やっと着いたぜ」

自動販売機(バチッ!、ジーガー…、ゴトン)

??「ってーと、とりあえずどこ行きゃいいのかね…お?なんか自販機にケリ入れてる人が…」

御坂「…」

??「あの人は確か…。おーい!!」

御坂「…?(誰よアイツ…見ない顔ね…)」

5 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:27:32.783 ID:iGyNfpT5a.net
??「いやいや、そこにいらっしゃるのは学園三位の能力者、(超電磁砲:レールガン)こと御坂美琴さんではないでしょうか?」
御坂「だったら何よ…サインならお断りよ」

??「いやいや、おれも運がいい。学園に来ていきなり会えるとはねえ…」

御坂「(何よ、ファンか何か?シカトするに限るわね…こういうのは)」

??「いやどうも、おれは詠矢…詠矢空希(ヨメヤ ソラキ)ってもんだよろしくなー」

御坂「(はいはい無視無視。相手するとロクな事無い

6 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:27:36.528 ID:4wfSBMhE0.net
始めなくていいよ

7 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:27:42.555 ID:tdKp7sAl0.net
〜糸冬了〜

8 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:27:46.994 ID:dTK+pzn2M.net
何度も再放送される名作

9 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:27:49.020 ID:iGyNfpT5a.net
詠矢「あ、おいおい、どこ行くんだ!(って…会えたはいいがどうするかね…あ、そうだ!)…ちょいと御坂さん」
御坂「…」

詠矢「それ犯罪だろ?」

御坂「…」

詠矢「電流を操作して自動販売機を誤作動させ、金を払わずに商品を手に入れる。普通に窃盗だよな?」

御坂「…」

詠矢「いいのかねえ、学園第三位の能力者とあろう人が、小銭ケチって窃盗なんて」

御坂「…」

詠矢「あんたは強くて、その振る舞いを周囲が容認してるのかも知れないが、こう公然と…」

御坂「うっさいわねぇ!!どうせもいいでしょそんな事!」

10 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:28:05.064 ID:Kjn27nn90.net
いい加減許してやれよ!!!

11 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:28:23.192 ID:iGyNfpT5a.net
詠矢「いや、よくないっしょ。刑法的に」

御坂「だいたい、アンタに何の関係があるのよ!!」

詠矢「俺が関係してようがいまいが、それが犯罪であることは事実」

御坂「(ビキッ…)何よ、喧嘩売ってるワケ?(バチッ)」

詠矢「…まあ、そんな感じかな」

御坂「…いい度胸ねぇ…。じゃあ、お望み通り私の電撃で躍らせてあげるわ(バチッ)」

詠矢「ちょちょ!ちょっと待って!」

御坂「何よ!今更逃げれるとでも思ってんの!?」

12 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:28:24.801 ID:HBlninot0.net
超久しぶりの再放送だな

13 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:28:42.288 ID:XmrrnQYB0.net
落ちろ

14 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:28:46.886 ID:iGyNfpT5a.net
詠矢「いや、違う。ちょっと離れただけ。5メートルも有れば十分かな」

御坂「?何言ってんの?私の能力知らないの?」

詠矢「いや、知ってる知ってる。ちゃんと調べてきた。超強力な発電能力だよな?」

御坂「知ってるなら、無駄だってわからない?…もういいわ、死んでなさい!!(バチバチッ)」」

詠矢「大丈夫、空気は絶縁体だ。ここまでは届かない」

御坂「…?(あれ、おかしい、電撃が飛ばない)」

詠矢「ごく近い距離なら、空気中でも放電現象が起こる場合は有るけど、これぐらい離れてればまず大丈夫」

御坂「…!?(あれ、あれ、何度やっても飛ばない!!…電気はちゃんと起きてるのに!)」

詠矢「(お、効果アリ…かな?)」

15 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:29:04.579 ID:iGyNfpT5a.net
御坂「…アンタ…なんかやったわね…」

詠矢「多分…ね」

御坂「能力…者…」

詠矢「そうなるかな」

御坂「…なんか、アンタ嫌な雰囲気ね。その軽口、後悔させてあげるわ!!…!!(最大級の電撃を!)」

詠矢「お…電圧を上げてるのかな?それはいい判断だ。空気の絶縁限界を超える約300万V/mが有れば空気中でも電子雪崩が起こって雷を起こすことが出来る。但し!!」

御坂「さっきからゴチャゴチャうるさいわね!!でも…これでっ!!(バチッ!…バリバリ!)

詠矢「空気中に放電された電気は、一番近くにある電気抵抗の少ない物質に向かって流れる。この状況では、恐らく…」

自動販売機「(バチッ!!…ガガ…。プツン)」

御坂「えっ!?電撃が…」

16 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:29:14.015 ID:nRve+Sht0.net
読めや!そらき?

17 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:29:21.979 ID:iGyNfpT5a.net
詠矢「窃盗に器物破損が追加…か」

御坂「なによ…これ…どういうこと!?アンタ何したのよ!!」

詠矢「いや…もういいんだ、十分使えることわかったし」

御坂「はあ?」

詠矢「ご協力ありがとうございました。そんじゃまた」

御坂「ちょっと、アンタみたいな得体のしれない奴、このまま逃がすとでも思ってんの?」

詠矢「あ、いやいや、ゴメンゴメン。怒らせたのは謝るからさ…」

御坂「うるさいっ!!電撃が飛ばないならこれよ!!(チャキ)」

詠矢「おっと、そのコインはレールガンですな!。えーっと、どうだっけかな(ポチポチ)」

御坂「…ナニ携帯なんか見てるのよ…」

詠矢「いや、うろ覚えなもんで…。と、電気伝導体の二本のレールの間にこれまた伝道物質を配置し、回路を形成して荷電することよってローレンツ力を発生させて打ち出す…。てことは…レールはどこにあるんだ?」

18 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:29:37.536 ID:iGyNfpT5a.net
御坂「はい?レール?」

詠矢「うん。安定した加速を行う為には、かなり長いレールが必要となる。コインは恐らく鉄をクロムメッキしたものだろうから弾丸としては使えるけど、砲身が無いのが問題だな」

御坂「…空気中の物質をプラズマ化して、加速レールとする…簡単な話よ」

詠矢「…え?空気をプラズマ化…いや、それなら伝導体にはなるけど飛散しちゃうし、空中に固定する方法がないと…」

御坂「関係ないわよ。今までだってそうやって来たし、何も問題ないわ」

詠矢「(ヤベ、居直った。もしかしてヤバイ?)。いや、だからですね…原理が…」

御坂「うるさいっ!!死っねえええええぇぇ!!(ビシュゥゥゥゥ…ン!!!)」

19 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:29:53.683 ID:iGyNfpT5a.net
詠矢「どおうわっ!!ヤバイヤバイ、ヤバイってマジで!」

御坂「へえ…上手く避けたわね…(さすがに威力は落としたけど、ホントに上手く避けた…)」

詠矢「(撃ちやがった…。論証が弱かったか?。ってーと、別の切り口が必要だな…)」

御坂「…さあて、アンタの能力、詳しく聞かせてもらいましょうか?それとも…消し炭になりたい?(チャキ)」

詠矢「そういやあ、そろそろ昼時だけど…御坂サン、腹減ってないか?」

御坂「…あんたバカじゃないの?何の関係があるのよそんなこと!!」

詠矢「御坂サンが発電を行っているとして、電気を発生させてるのは体細胞だ。だとすれば、発電のために大量のエネルギーが必要になる。細胞活動のエネルギーは糖。血中の糖だ。空腹時は危険だぞ…」

御坂「…(あれ?なんか、体が…)」

20 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:30:09.478 ID:ASQs06qg0.net
二期までやれ

21 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:30:10.801 ID:iGyNfpT5a.net
詠矢「急激な血糖値の低下は発作を引き起こす。具体的な症状としては、大量の冷や汗、動悸、振戦、譫妄!!」

御坂「(冷や汗が止まらない…、何で急に…た、立ってられない!)(ガクッ)」

詠矢「いや、いろいろゴメン。えーっと…さっき盗ってたジュース、あ、あったあった。『黒豆サイダー』?。ま、糖度高そうだからこれ飲めば多分回復するよ」

御坂「ちょ…っと…待ちなさ…」

詠矢「んじゃ、失礼しまっす」

22 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:30:27.612 ID:iGyNfpT5a.net
白井「お姉さま!!お姉さま!!」

御坂「く…黒子…っ…」

白井「どうなさいましたの!?真っ青ですわよ!!」

御坂「ちょっと…それ…取って…」

白井「(缶ジュース?)は、はい、こちらですの?」

御坂「(プシッ)…(ゴクゴク)」

白井「…(ハラハラ)」

御坂「…ふう、ちょっと落ち着いた…」

白井「どうなされましたの?」

御坂「なんか変な奴に合って…、最初は追っ払ってやろうと思ったんだけど…」

白井「ま、まさか…お姉さまを退けたと?」

23 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:30:30.764 ID:vWufKc+8a.net
毎日立てろ

24 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:30:41.921 ID:GFDzMhfA0.net
忍法帖とか懐かしいな

25 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:30:42.889 ID:iGyNfpT5a.net
御坂「いや、そうじゃないんだけど…。なんかゴチャゴチャうるさい奴でさ、話聞いてるとなんか調子出なくって」

白井「少なくとも、お姉さまから逃げおおせたのは確かなようですわね。何かの能力者…ですの?」

御坂「そうみたい…。はぐらかして、詳しくは分からなかったけど…」

白井「それは見過ごせませんわね…。黒子がたまたま通りかかったからよかったものの…」

御坂「なんか、ヤな感じの奴だったわね。強さは感じないんだけど…なんていうか、掴みどころの無い感じ…」

白井「これは、ジャッジメントとして対応する必要がありますわね。お姉さま、相手の特徴は覚えていらして?」

御坂「うん、それは覚えてる…。黒縁メガネで、眉毛が太くて…」

白井「支部で詳しくお聞きします。移動しましょう」

26 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:30:59.895 ID:iGyNfpT5a.net
(ジャッジメント177支部)

初春「(ヨメヤ ソラキ)ですか…。在学者の名簿にはありませんね…(カタカタ)」

白井「しかし、自分から名前を名乗るとは大胆なお方ですわね」

御坂「聞いてもいないのに勝手に名乗ったのよね…。背格好からして、多分高校生ぐらいかなあ…」

初春「ダメです。中等部、高等部含めて検索しましたけどヒットしませんね」

白井「能力者なら、学園のバンクに登録があるはずですのに…まさか偽名?」

御坂「偽名なら、もっと普通の名前にするでしょうし…あ…そういえば」

白井「何か思い出されまして?」

27 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:31:39.952 ID:vYYmpm7S0.net
なんで再放送してんの?

28 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:31:45.010 ID:iGyNfpT5a.net
御坂「学園に来ていきなりアタシに会ったって言ってた…もしかして…」

白井「学園都市に初めて来たと…初春!転入者名簿ですわ!」

初春「はい!!(カタカタ)あ、ありました!(詠矢空希 高等部1年)2日前に転入届が受理されたばかりです。また正式に生徒名簿には登録されてなかったみたいですね」

御坂「やっぱり高校生か。えーっとなになに…レベル0、無能力者。ただし学園での正式な測定は未実施…」

白井「外部での簡易検査では、能力は検出されなかったようですわね…」

御坂「なーんか、ますますよくわかんないわね」

白井「なんにせよ、お姉さまに危害を加えたことは事実。捨て置けませんわ…居場所さえ分かれば…」

初春「…あの…」

白井「何ですの?」

29 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:32:01.963 ID:iGyNfpT5a.net
初春「転入者名簿に顔写真があります。これを監視カメラの記録と照合すれば…」

白井「足取りが分かりますわ!流石ですわね初春」

初春「はい!ありがとうございます!では早速(カタカタ)、第7学区の、170号カメラの記録と照合できますね…5分前のログです」

白井「そこなら、ここのすぐ近くですわね…。私なら一瞬ですわ」

御坂「じゃあ、アタシも一緒に行くわ。このままじゃ気が済まないし!…って…と…(グラッ)」

白井「いけません!お姉さまはまだ本調子ではありませんわ。ここは黒子が…その殿方をひっ捕らえて、お姉さまの前に引き出して差し上げますわ!」

初春「それに、これはジャッジメントとしてのお仕事でもありますから、御坂さんはどうか休んでて下さい」

御坂「…わかった、今回ばかりはおとなしくしといたほうがよさそうね…」

白井「どうかご自愛下さいませ。では初春、正確な位置をお願いしますわ!」

初春「はい!」

30 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:32:22.684 ID:iGyNfpT5a.net
(第7学区 路地裏)
店主「はーい、かけそばお待ちどう!」

詠矢「うーい、どうもー。(これからいろいろ物入りだろうし、節約しとかないとなあ)(ズルズル)」

詠矢「(しかしかけそば一杯じゃ腹膨れねえなあ、おにぎり食っちまうかなあ)(ズルズル)」

詠矢「(でもおにぎりまで買っちゃうと牛丼の方が安いんだよなあ)(ズルズル)」

詠矢「(腹減ってたから勢いで入っちまったけど、やっぱ牛丼屋探せばよかったかなあ)(ズルズル)」

詠矢「ごちそうーさまー」

店主「あい、まいどー」

詠矢「さて…転居申請だっけか。どこ行きゃいいのかな(ポチポチ)」

白井「ちょっと、そこのお方…」

31 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:32:37.947 ID:iGyNfpT5a.net
詠矢「あ、はい?俺のことっすか?」

白井「詠矢空希…ご本人に間違いございませんこと?」

詠矢「ええ、まあ…間違いございませんが…どちらさん?(お、結構かわいいじゃねえの。中学生ぐらいかね…)」

白井「ジャッジメントですの!!(ビシッ)」

詠矢「ジャッジメント…えーっと、確か、学園内の治安維持に努める学生で構成された組織…だったかな」

白井「お分かりなら話は早い…。ジャッジメントの権限にてあなたを拘束します!」

詠矢「でーっ!!て、なんですかいきなり容疑者ですか!(流石にいろいろマズかったかな、さっきのは…)」

白井「あなたにはいろいろとお伺いしたいことがあります。素直に同行して頂けませんか?」

詠矢「…」

白井「…お答えなさい!」

詠矢「…俺の容疑は?」

白井「は?」

32 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:32:55.373 ID:iGyNfpT5a.net
詠矢「俺が拘束されるのは何の容疑だって聞いてるんだよ」

白井「…いえ、まだ罪状が確定したわけではありませんが…」

詠矢「容疑者じゃなけりゃ、任意同行にすらならねえだろう。不審者への職質レベルなら、従う必要はねえよな…」

白井「いえ、あなたにはお姉さまに危害を加えたという疑いがありますわ!」

詠矢「お姉さま?って…もしかして、えー…あの第三位の人かな」

白井「そうですわ。ご本人の証言から、先ほどお姉さまと関わったのはあなたであることは明白!」

詠矢「そりゃ関わったかもしれんが、俺はあの人には指一本触れてない。因果関係が成立するか?」

白井「何らかの能力を使われたと、ほのめかしていませんのこと?」

詠矢「どうだったかなあ…。それに、俺はレベル0、無能力者だぜ?」

33 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:33:01.536 ID:syHllkaM0.net
ワロタ

34 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:33:13.890 ID:WjANMk250.net
お前はお前でなんの魂胆があって再放送してんだ

35 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:33:19.409 ID:FFbPFeWU0.net
久々に見た

36 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:33:40.176 ID:iGyNfpT5a.net
白井「あなた…いろいろと面度なお方ですわね」

詠矢「昔から理屈っぽい性格でねえ。友達いねえんだこれがまた…」

白井「聞いてせんわそんなこと…。いずれにせよ、素直に従わないのはやましいことがある証拠!」

詠矢「いやー、権力側の人間っていつもそう言うんだよねえ」

白井「(イラッ)、では、同行していただけないと?」

詠矢「とりあえず、今の段階では『やだね』だ」

白井「では、力ずくですわね。やはりあなたを野放しには出来ません!!」(シュン!!)

詠矢「(消えた…?)…!!(って、いきなり目の前に!)」

白井「はっ!!(ガシッ)せいっ!!」

37 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:34:02.633 ID:iGyNfpT5a.net
詠矢「転移先の物体はどうなるわけ?分子の重複とか起こらないのかな?」

白井「問題ありませんわ。わたくしの転移は…!(そういえばお姉さまがおっしゃってましたわ『ゴチャゴチャうるさい奴』と。まさか能力と何か関係が…)」

詠矢「えーっと、どう問題ないのかな?」

白井「…答える必要はありませんわ。あなたのご質問には何か別の意図を感じます」

詠矢「(あ、気付かれたか…。ま、しょうがない)いやあ、単なる好奇心だけどね」

白井「ご質問なら後で支部でゆっくりと。但し、わたくしの質問に答えて頂くのが先ですけど…(シュン)」

詠矢「…(また消えた、今度はどっから来る!)・・・どあっ!(上かっ!!)」

白井「(よし、倒しましたわ!。後は針で拘束!)…ふっ!!」

38 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:34:08.863 ID:TexHoA5c0.net
禁書SSとしてちゃんと面白いのが腹立つ

39 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:34:15.032 ID:iGyNfpT5a.net
詠矢「(な!針!どっからあんなもん、投げる気か!)…!!(ゴロゴロ)」

白井「(キイン、タスタスタス)…!(針が地面に!転がって逃げた…)」

詠矢「…よいしょっと・・・。っとにあぶねえなあ…。手裏剣か。投げた…訳じゃなさそうだな」

白井「…」

詠矢「投げただけじゃ、金属の針がアスファルトに刺さるわけねえ。地面に向かって転移させた、ってとこか」

白井「あなた…何者ですの…」

詠矢「ただの理屈っぽい高校生ですよ」

白井「なら今のはどうやって避けたと…」

詠矢「いや、偶然あんたの手に針が見えたんでね。投げられるかと思ったんで転がって逃げた。そんだけさ」

白井「…たったそれだけのきっかけで…」

40 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:35:00.385 ID:iGyNfpT5a.net
詠矢「だが、今のでわかった。テレポーターがどうやって転移先を指定しているか」

白井「…」

詠矢「指定先は『座標』だな。物を投げるのと同じ。『どの位置に向けて転移する』と指定して物体を送り込んでいる。俺が回避行動を取って針を避けられたのが証拠」

白井「それが…どうかしましたの?」

詠矢「座標なら、対抗する方法はある。要するに、狙いを定めさせなければいい(ザッ)常に動きまわってる対象には、当てにくいはず!(ダッ)」

白井「く…!(どういうことですの!針が当たらない…。この状態では細部を狙って拘束するのは無理ですわ!)…仕方ありません!多少の怪我は覚悟して頂きます!」

詠矢「しかも、銃弾や投擲と違って到達点までの軌道がない。つまり!!」

白井「(方向転換する瞬間なら、動きが止まはず。直接体に針を!)…そこっ!!(シュン)」

詠矢「相手に近づいても、流れ弾に当たる心配はねえ!一旦狙いをつけさせれば、距離を詰めた方が有利!!(ザッ)」

白井「(まさか!いきなりこっちに向かって!外したっ!!)…!」

詠矢「どっせい!!上段正拳!!」

白井「…!!(ダメ!演算が間に合わない!!)」

41 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:35:22.945 ID:iGyNfpT5a.net
詠矢「…」

白井「…」

詠矢「あー…」

白井「…え?…(寸止め?)」

詠矢「殴るつもりはなかったんだわ。忘れてた…」

白井「…(ガシッ)…(シュン)」

詠矢「のごあっっ!(なんだ、いきなり頭から落ちた!?)」

白井「…(キイン)…(タスタスタス)…ふう、拘束完了ですわ」

詠矢「ひでえなー、転移した対象の方向まで変えられるのか。受け身とれねえっての…」

白井「手こずらせてくれましたわね…」

詠矢「いやー、ゴメン。悪気はなかったんだけどねえ。『論証』に入るとつい熱くなっちまって」

白井「では、おとなしくご同行して頂けると?」

詠矢「はいはい、転がされて、一張羅の袖口を縫い付けられて抵抗する気力もございません。どこなりとお連れ下さい」

白井「最初からおとなしくそうおっしゃっていれば…。とりあえず、あなたの能力、手短にご説明いただけます?」

42 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:35:37.774 ID:uxpK8T4g0.net
これはもう古典文学のカテゴリだね
未来へと遺していくべき名作

43 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:35:40.033 ID:iGyNfpT5a.net
詠矢「すいません、せめて立って話したいんですがー」

白井「口まで拘束した覚えはございません。そのままでどうぞ」

詠矢「うわ地味にひでえ」

白井「で、なんですの?あなたの能力。お姉さまの言った通り、あなたの言葉を聞いてると調子が狂いましてよ?」

詠矢「ふっふっふ…よくぞ聞いてくれました!。俺の能力はなあ!『論証を立てることによって、相手の能力を変質させる力』だ!」

白井「変質?まさそのような能力が…」

詠矢「いや、今日俺は確信に至った。この能力は間違いなく有る。そして、おれはこの力をこう名付けた。絶対反論(マ ジ レ ス)と!!!!」

白井「最低のネーミングセンスですわね…」

詠矢「あ、ダメかな?でも気に入ってるんで変えねえぞ」

白井「ご自由に…。ですが、もしその力が本当なら、かなり特殊な能力ですわね。まさか、パーソナルリアリティに干渉する力…?」

詠矢「はい?ぱーそなる・・・りありてぃ?

44 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:35:57.994 ID:iGyNfpT5a.net
白井「そういえば、学園に来られたばかりでしたわね。ご存知無いでしょう。ご心配無くとも、カリキュラムの中で習いますわ」

詠矢「はあ…ソウナンデスカ。楽しみにしときます…」

白井「では、連行致します。よろしいですの?(ガシッ)」

詠矢「えー、あ、そうか。転移するんですな。接触者と同時転移も可能とは便利ですなあ」

白井「わたくしはレベル4ですのよ。これくらいは朝飯前」

詠矢「あ、でもでもさあ!」

白井「なんですの…行きますわよ…」

詠矢「こうやって、移動するときに、おれだけ上空に転移させられるとさあ」

白井「え?・・・(シュン)」

詠矢「死ぬしかないよなあ…(シュン)」

45 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:36:12.752 ID:iGyNfpT5a.net
ジャッジメント177支部)
白井「(シュン)」

初春「あ、おかえりなさい!どうでしたか?」

御坂「結構時間かかったわねえ…、て、黒子1人なの?」

白井「へ?…1人?」

初春「あれ、もしかして取り逃がしちゃったとか…」

白井「あ………」

御坂「…?」

白井「あ…あわあわわわわわわわわ!置いてきてしまいましたわ!!」

初春「置いてきたって…どういうことですか?」

白井「た、確かに接触して転移しましたの!でもわたくしだけが戻ってきたということは!どこかに…」

御坂「まさか、黒子の能力が暴発したっていうの?…え、じゃあ、置いてきたってどこに?」

白井「え…、どこと申されましても…あ!上空ですわ!」

御坂・初春「上空!?」

46 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:36:29.601 ID:iGyNfpT5a.net
詠矢「あー、おれ落ちてるなあ…」

詠矢「うわこれどうしょうもなくね?…」

詠矢「…」

詠矢「……つまんねえ人生だったなー……」

47 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:37:06.215 ID:iGyNfpT5a.net
おわり

48 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:37:15.795 ID:cMHAUEBUM.net
絶許

49 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:37:21.233 ID:iGyNfpT5a.net
いろいろと申し訳ありませんでした。
次からはSS速報でやります。
お目汚し失礼しました。

50 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:37:58.672 ID:9ESMF+P8a.net
あー、読矢スレ初遭遇っすわw
マジパネェ

51 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:38:08.721 ID:JvZ/7Gvod.net
ってなんで俺くんが!?

52 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:38:40.563 ID:wQaYDFIfa.net
台風中でも許されない

53 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:39:07.550 ID:LmTqgsUJ0.net
どっかで見たことある気がするけどなんだっけ

54 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:39:39.896 ID:iGyNfpT5a.net
絶対反論(マジレス)こと詠矢空希(ヨメヤ ソラキ)は落ちていた。

それは比喩的表現ではなく、ただ真っ当な「落下」である。

地面まで数秒。その落差を計測する余裕などなかったが、それが殺意を持った高さであることは容易に想像できた。

「……つまんねえ人生だったなー……」

彼の命脈は既に尽きていた…かに見えた。

時間は数秒ほど遡る

55 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:40:16.426 ID:iGyNfpT5a.net
打止「おかいものっ!おかいものっ!とミサカはミサカはうれしさのあまりお出かけの目的を連呼してみたり!」

一方「ったく、っせーな…。食料の買出しに行くだけだろーが…」

打止「でも一緒にお出かけはそれだけで楽しいんだよ?なんてミサカはミサカは素直に同意を求めてみたり!」

一方「ケッ…ナニ言ってやがんだ…。いいから静かにしやがれ!」

ショッピングモールに向かう橋の上を歩く少女と、それを追う学園第一位能力者の青年。青白い首筋をもたげて、なんとなく空を見る。

一方「しっかし…腹立つぐれえいい天気だな…あ?」

青年の視界、つまりは上空に何かが写った。そしてそれはすぐに人の形をしていることに気づく。

だが、形より圧倒的に重要なことは、それが自然落下してくるということだ。前を小走りに進む少女の頭上に。狙い済ましたように。

一方「ちょ…なんだアレは!!…あぶねえっっ!!!」

青年は走る。だが杖が必要な足は付いていかず、上半身だけが先行する。半ば飛び掛るような状態で、なんとか少女の頭上に手をかざすことが出来た瞬間、落下物が彼の腕に触れた。

一方「っつ!!…!」

56 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:40:31.342 ID:iGyNfpT5a.net
彼の能力「ベクトル変換」が発動する。落下物は水平に弾き飛ばされ、橋の欄干を通り越し、水柱を上げながら水面に叩きつけられた。

打止「ひゃあっ!!とミサカはミサカは驚きを隠せないでいたり・・・」

一方「なンだ……?」

詠矢「(あれ、俺まだ意識あるな)」

詠矢「(なんかものすごい衝撃を感じたんだが)」

詠矢「(感じたってことは生きてるんだよな?)」

詠矢「(そうだ、確か水に落ちたんだ)」

詠矢「(えーっと、つまり今水中にいるわけで)」

詠矢「(…取り合えず浮上しないと死ぬ!)」

詠矢「ぶわっ!」

詠矢「あぶねえ、せっかく命拾いしたのにまた死ぬとこだった!」

57 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:40:48.179 ID:iGyNfpT5a.net
一方「なンだテメェは!!自殺ならヨソでヤレやァ!!!!」

詠矢「えー、なんと言うか。事故なんですよ」

一方「ンだぁ?…事故だと?」

詠矢「事情を説明すと簡単なようなややこしいような…」

詠矢「とにかく、助かったよ。あんたも何かの能力者なのかな?」

詠矢「確か俺は橋の上に落下するはずだった」

詠矢「だが気づいたら川に落ちてた」

詠矢「突風が吹いたとかそんなチャチなレベルじゃなく、俺の体は弾き飛ばされてる」

詠矢「なら、やっぱり何かの能力によって助けられたと考えるべきだよな」

詠矢「というわけで、ありがとう。助かったよ」

一方「……なンかゴチャゴチャ回りくどい奴だな」

打止「…(ジー)」

一方「どしたぁ?」

打止「…(オカイモノ)」

一方「アア、そうだったな…」

詠矢「あー、なんか用があるなら行ってくれ。後は自力でなんとかするから」

一方「言われ無くてもそうすらァ…。じゃあな飛び降り野郎…おら、行くぞガキ…(スタスタ)」

打止「…(ペコリ)…(スタスタ)」

58 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:42:04.781 ID:iGyNfpT5a.net
詠矢「行っちまったか…」

詠矢「ていうかあの顔どっかで見たことあるような…」

詠矢「…まあいいか、そのうち思い出すだろう」

詠矢「さあて、これからどうするかな」

詠矢「取り合えず位置検索か(ポチポチ)」

詠矢「あ…」

詠矢「完全水没、だよな…。携帯が…電源も入らねえ…」

詠矢「水没じゃ保障対象外だよなあ…。か…金が…」

詠矢「しょうがねえ、適当に地図見ながら歩くか」

詠矢「取り合えず置いてきた荷物を回収しねえとな」

詠矢「さっきのソバ屋どこかな」

詠矢「フロ屋も探さねえとな…(トボトボ)」

59 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:42:19.570 ID:iGyNfpT5a.net
詠矢「あ、そうだ、俺は連行される所だったんだよな」

詠矢「嫌疑がかけられてるんなら、ちゃんと出頭しとかないとな…」

詠矢「これ以上ジャッジメントと事を構えるつもりもないし」

詠矢「とはいえ、何処に行ったもんだか…」

詠矢「その辺の人に聞いてわかるかな?」

詠矢「…不審者扱いされるのがオチか」

詠矢「あのツインテールの娘、名前ぐらい聞いとけばよかったな」

詠矢「さあて、どうするかな…」

嘆いたって始まらない。取り合えず俺は歩きながら考えることにした。

都市の案内板を頼りに、どうにか元の場所に戻った俺は荷物を回収することに成功した。

フロでも入りたかったがあいにく銭湯は見つからず、ネットカフェのコインシャワーで体を流すと、
万が一にと持ってきた私服に着替える。
水に落ちたときの打ち身で体のあちこちが軋む。まったく落ち着ける状況ではなかったが、考える
時間だけは十分に確保出来た。

俺は思考に結論を出し、一番近くにある図書館へ向かった。

60 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:42:36.636 ID:iGyNfpT5a.net
第七学区 図書館)
白井「探しましたわよ…詠矢さん」

詠矢「お、いいタイミングだねえ。ちょうど一冊読み終わったとこだ」

白井「まるで見つかるのを待ってたかのような口ぶりですわね」

詠矢「そう、その通り。自分で出頭しようと思ったんだけど…」

詠矢「何処に行ったらいいかも分からなくてね」

詠矢「今日最初に会ったときも」

詠矢「俺をピンポイントで見つけてたろ?」

詠矢「だから、そちらさんには何らかの位置検索の方法があると考えた」

白井「変な所には頭が回りますわね…」

白井「確かに、監視カメラの記録であなたの姿を追跡しましたわ」

詠矢「やっぱそうか。ならここで待ってて正解だったな」

詠矢「図書館の中なら監視体制はバッチリだろうし」

詠矢「ついでにいろいろと情報を仕入れられるしな」

白井「ま、ご無事で何より…」

白井「そのご様子ですと、特に危険な場所に転移したわけでもなさそうですわね」

詠矢「それがそうでもなくてさ。気づいたら空中だっんだよ」

詠矢「これがまた結構な高さでさ。マジで死ぬかと思ったぜ」

61 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:42:53.781 ID:iGyNfpT5a.net
白井「え…?ではそこからどうやって…」

詠矢「いや、なんか能力者の人が偶然通りかかってさ」

詠矢「多分念動系か何かだと思うんだけど」

詠矢「弾き飛ばして川に落としてくれたんだわ」

白井「たまたま?能力者に助けられたと…?」

詠矢「たまたま。運が良かったってことになるのかな」

詠矢「まあ、どっちかっていうと悪運になるんだろけどね」

白井「そうでしたの…。でも、わたくしもその悪運に感謝しないといけませんわね」

白井「危うく殺人犯になるところでしたわ」

詠矢「まー、基本俺が余計なこと言ったからだからな…以後自重するよ」

白井「そうしていただけると助かります」

白井「では、早速ご同行いただきましょうか?」

詠矢「はいはい、じゃあ読んだ本は元の位置に…」

詠矢「お待たせ。んじゃ行きましょうか」

白井「はい。では向こうの出口から行きますわ」

詠矢「あ、あれ…?」

白井「なんですの?」

詠矢「テレポートで移動しねえの?」

白井「…ここからでは距離がありすぎます。徒歩で向かいますの」

詠矢「なるほど距離、か。ってーことは転移にも射程があるってことだ…」

白井「…(ジロッ)」

詠矢「あ…いやいやいや、もう余計なこと言わないって…!(アセ)」

白井「…参りますわよ…」

詠矢「うーい…(なんかやりずれーな…)」

62 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:43:11.243 ID:iGyNfpT5a.net
(ジャッジメント177支部)
白井「こちらですわ…(ガチャ)」

詠矢「まいどどーも」

御坂「あ…!」

詠矢「あ……」

御坂「アンタ……さっきはよくもやってくれたわね!!(バチッ)」

詠矢「や、やめろって…!だから怒らせたのは謝るからさ…」

御坂「…謝ってすむ問題かしら?…(ビリバチッ)」

白井「お、お姉さま。支部で電撃はちょっと…」

初春「や、やめてください!パソコンが!!」

詠矢「……」

詠矢「……わかった…確かにそうだ。謝ってすむ問題じゃないかもな」

詠矢「俺も腹は括った。御坂サンの気の済むようにしてくれ」

御坂「…え?」

詠矢「まあ、正直俺も、副作用まで誘発出来るとは思わなかった」

詠矢「だが、御坂サンを危険な状態にしたことは事実だ」

詠矢「だから、煮るなり焼くなり、好きにしてくれ」

御坂「…アンタ、いきなり居直るなんてどうゆうつもりよ!」

白井「そんな勝手な言い分が通ると思ってらっしゃいますの!?」

詠矢「どうもこうもねえさ。俺はただ謝りたいだけだ」

詠矢「それでも許されねえってんなら」

詠矢「そっちの気の済むようにしてもらうのが一番いい」

詠矢「俺は一切の抵抗はしない。もちろん『論証』もだ」

御坂「…」

63 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:43:32.252 ID:iGyNfpT5a.net
詠矢「…さあ。いいぜ」

御坂「…」

初春「…(ハラハラ)」

白井「…あ、あの…まさか、お姉さま?」

御坂「…」

白井「お姉さま!!」

御坂「…(ガシッ)」

詠矢「(腕を…?)」

御坂「…!(バチッ!!)」

詠矢「ぎゃうぁ(ビクンッ)!!!…ッつつ…」

白井「…!」

初春「…!」

御坂「フン…いいわ、このくらいで許してあげる」

詠矢「このくらいって十分痛いんですけど…(ビクビク)」

御坂「気絶しない程度に抑えといたわよ。アンタには聞きたいことがあるし」

詠矢「それは…ご配慮の程痛み入ります…(ビク)」

詠矢「まあ、これで済ましてもらえるなら安いもんだわな」

詠矢「でもなあ御坂サン」

御坂「……何よ」

詠矢「窃盗はよくねえよな?刑法的に」

御坂「…」

64 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:44:29.127 ID:VOC7i14W0.net
数年ぶりに見た気がする
したらばで続いてたゴミだろ

65 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:45:08.455 ID:iGyNfpT5a.net
詠矢「一応反省しといたほうがいいんじゃねの?」

白井「窃盗?…なんの話ですの?」

御坂「え?…あ…えっと…」

白井「お姉さま…まさかまた…」

詠矢「また…って…常習犯だったのか?」

御坂「…え…って……、た、たまたま小銭が無くて、ちょっと面倒になったから……つい…」

白井「……」

詠矢「……」

御坂「…悪かったわよ…、もう二度とやらない…」

白井「本当ですの?」

御坂「本当だってば…」

白井「そうおっしゃるなら大目に見ますけど…、常盤台のエースともあろうお方が…浅ましい真似は謹んで下さいまし!」

御坂「だから、やらないって言ってるじゃない!もう…」

詠矢「えーっと…、まあ、ジャッジメントの人が大目に見るってんだから、俺がこれ以上何も言うことはねえな」

詠矢「じゃあ、この話は終わりってことで…」

白井「そうですわね…では、本題に移りましょうか」

白井「改めて自己紹介ですわ。わたくしはジャッジメントの白井黒子と申します。詠矢さん、あなたにいくつかお聞きしたいことがあります」

詠矢「なんなりと…。答えられることは答えるぜ」

66 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:45:25.585 ID:iGyNfpT5a.net
白井「では、まずあなたの能力について…」

詠矢「名前は絶対反論(マジレス)…。能力者に対して、論証を立てることによってその能力を変質させる…」

詠矢「さっき説明した通りだね」

白井「もう少し詳しくお願いします」

詠矢「っても…。俺にもよくわかってない部分も多いんだけどな」

詠矢「お二人さんと手合わせしたことで、かなり理解出来た」

御坂「…ていうと?」

詠矢「論証が完全じゃなくても、変質は発生する」

詠矢「ハッタリでも何でも構わない。相手が俺の言うことをある程度認めた時点で、能力が発動するみたいだな」

御坂「でも私の場合、電撃が撃てないって認めた訳じゃないわよ?」

詠矢「まあ、その辺は度合いの問題でさ」

詠矢「完全に認めなくても、対象の心の中『あれ、そうだっけ?』ってレベルのわずかな引っかかりでも作れれば」

詠矢「変質は一定の効果を生む」

白井「…確かに、わたくしもあなたの言葉を聞いてから転移の精度が落ちましたわ」

詠矢「どっかで俺の言葉が引っかかって、能力の精度が落ちたんだろう」

白井「…厄介な能力ですわね…。やはり、パーソナルリアリティに干渉する力…」

67 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:45:27.500 ID:6dLGC0NE0.net
懐かしい

68 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:45:32.202 ID:5yCTTdpWd.net
そろそろ許せ

69 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:45:43.494 ID:iGyNfpT5a.net
詠矢「いや、それはどうかな?」

詠矢「さっき図書館で一通りのことは調べたんだけど」

詠矢「能力者ってのは、パーソナルリアリティ…『自分だけの現実』を観測して」

詠矢「物理的には起こり得ない超常現象を引き起こす…だっけか?」

白井「そうですわ。学園の能力者は全て個別の現実を持っています」

白井「その現実は能力者によって千差万別…」

詠矢「俺はついさっきまでそんなことは知りもしなかった」

詠矢「そんな状態で、いきなり干渉する力を得るってのもねえ…」

詠矢「ただ言葉による暗示によって、能力を出させないようにしてるのかもしれないし」

詠矢「解釈としてはどうとでも取れるわな」

御坂「何よあんた。人の能力についてはどうのこうの文句付けるくせに」

御坂「自分の能力は全然適当じゃない」

詠矢「いいんだよ、俺は適当で」

詠矢「同じ能力を持った奴が表れない限り、俺の能力が『論証』される事は無いわけだからな」

白井「なんて自分勝手な…」

詠矢「パーソナルリアリティなんてそもそも自分勝手なもんだ」

詠矢「自分の思いだけで、物理法則だって簡単に捻じ曲げちまうんだからな」

御坂「そういっちゃえばそうだけどさ…なんか釈然としないわね…」

詠矢「ま、能力についてはこれぐらいだな。俺だって知らないことは話せない」

70 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:46:01.610 ID:iGyNfpT5a.net
詠矢「他に何か質問あるかい?」

白井「一通り能力に関しては理解できましたわ。ではお言葉に甘えて、もう一つ…」

詠矢「どうぞ」

白井「学園都市に来られた目的は?」

詠矢「まず第一に、自分の能力をちゃんと確かめる為」

詠矢「さっき説明した通り、俺の能力は能力者がいないと確かめようが無いんでね」

詠矢「んで次に、この能力で出来る事を探すため」

詠矢「以上二点です」

白井「意外と真っ当な理由ですわね…」

詠矢「そんなもんだよ。別に野心とか野望とかねえし…」

御坂「その割には、いきなり突っかかって来たわね…」

詠矢「いや、だからアレはゴメンって。『マジレス』を試すには、能力者と戦うしかなかったもんで…」

詠矢「その辺は白井サンも改めて謝るよ」

白井「その話はもうよろしいですわ。こちらも少し強引過ぎましたし…」

御坂「でもさあ、あんたどうやって自分の能力に気づいたの?」

御坂「能力者に会わないと解りようが無いじゃない」

詠矢「あ、それ説明してなかったな。なかなか鋭いね御坂サン」

詠矢「実は俺、能力者に会ったのは御坂さんが初めてじゃないんだ」

詠矢「俺の近所に、学園都市で能力開発してた奴がいてね」

白井「まあ、どちら様ですの?」

詠矢「白井サンも知らないような低レベル能力者らしいんだけどね」

詠矢「で、そいつが帰省で家に帰って来た時に、なんかつまんないことで言い合いになってさ」

詠矢「話の流れで、相手の能力を変質させちまったんだよ…」

71 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:46:20.066 ID:iGyNfpT5a.net
御坂「それで自分の能力に気づいたわけね」

詠矢「そうなんだ。変質はすぐに収まったんだけど、もしかしたらって思ってね」

詠矢「で、ここに来た目的、につながる訳ですよ」

白井「一応、話の筋は通ってますわね」

詠矢「信じるか信じないかはそちらさんの自由だけどね。嘘は言ってねえよ」

詠矢「さて、尋問は以上かな?終わりなら…帰らせてもらっていいかい?」

白井「そうですわね…事情聴取はこれぐらいですわね…」

白井「初春、調書の方はよろしいですの?」

初春「はい、バッチリです…(カタカタ)」

詠矢「へえ、そっちの娘、初春サンっていうのか」

詠矢「俺は詠矢空希ってもんだ。よろしくなー」

初春「あ、はい…どもです…(ペコリ)」

白井「では、今日はこれでお引取り頂いて結構です。但し!」

白井「次に出頭をお願いすることがあったら、素直に従うように」

詠矢「へいへい」

詠矢「じゃ、部屋に荷物が届くころなんで」

詠矢「そろそろ帰らせてもらうわ。んじゃ…あっと、白井サン」

白井「なんですの?」

詠矢「俺にも一つだけ聞きたいことがあるんだけどさ、いいかな?」

72 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:46:37.351 ID:iGyNfpT5a.net
白井「答えられることなら答えますわ」

詠矢「白井サンの能力。射程はどれくらいなんだい?」

白井「…お答えするのは少し躊躇しますわね」

詠矢「俺のことを信用出来ないのも無理は無いと思うが…」

詠矢「どうしても確認したいことがあってね。頼むよ」

白井「ま、よろしいですわ。わたくしの空間移動の射程は最大81.5m…」

詠矢「当然、直線距離だよな…。なるほど…81.5mか…」

白井「なんですの?」

詠矢「いや、まだアレだな…。話すにはまだ立証が足りないかな…」

白井「…」

詠矢「んじゃ、皆さんまたなー」

御坂「またって…もう会いたくないんだけど…」

詠矢「まあ、そう言いなさんな。縁があればまた会うさ」

詠矢「そんじゃまた」

佐天「(ガチャ)やっほー、こんにちわー。遊びに来たよー!」

詠矢「…」

御坂「…」

白井「…」

初春「…」

佐天「…」

佐天「(え…何この空気…)」

73 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:47:13.150 ID:iGyNfpT5a.net
初春「…あ…佐天さん…こんにちわ…」

佐天「うん…こんちわ…初春」

詠矢「…んじゃ、入れ違いで失礼するわ」

佐天「えっと…あなた…は…?」

詠矢「容疑者だよ…(ニヤリ)」

佐天「…へ?」

詠矢「…」

佐天「…?(行っちゃった)」

佐天「初春、今の人は?」

初春「ちょっと、事情を聞いていた人…ですね。なんか特殊な能力者みたいで…」

佐天「へえ…能力者…なんだ」

初春「レベルは0みたいなんですけど」

佐天「…ふーん…」

白井「……」

白井「本当レベル0なのかどうかは、本格的な検査を待つ必要がありますけど…」

御坂「どうしたの黒子?さっきからなんか考えてるけど・・・」

白井「あの方がわたくしに聞いたこと、少し気がかりですわね」

御坂「黒子の能力の射程の話?」

白井「ええ、なぜあの情報が必要だったのか…。何も裏が無ければよろしいのですが」

御坂「さあ…何考えてるわかんないヤツだし。確かに気にはなるわね」

白井「…本当に、何も無ければいいのですが…」

74 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:48:05.675 ID:iGyNfpT5a.net
(学生寮 自室)
詠矢「ふう、荷解きはこんなもんかな」

詠矢「やっぱ荷物は少なめにして正解だな」

詠矢「しかし学生寮って言うから、もっとみすぼらしい部屋を覚悟してたんだが」

詠矢「なかなかどうして、立派なモンじゃねえの」

詠矢「ベットもでかいしな…よっと(ゴロン)」

詠矢「(しかし、初日からいろいろあったなあ…)」

詠矢「(流石にちょっと疲れたかな…)」

詠矢「(考えることも増えたしな)」

詠矢「……」

詠矢「(白井サンの転移の射程は81.5m…)」

詠矢「(俺が飛ばされた橋の上は、それよりはるかに離れた場所だった)」

詠矢「(このことが何を意味するのか…)」

詠矢「(俺が、絶対反論の定義を)」

詠矢「(能力の『変質』だとあえて言った理由)」

詠矢「(ある一点の可能性を考えて、だったが・・・)」

詠矢「(まだ立証する根拠が足りないな)」

詠矢「(だが、もしかすると、もしかするかも知れんねえ…)」

詠矢「(まあ、いいや。また今度考えよう)」

詠矢「(ねむ…)」

詠矢「……」

75 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:48:38.952 ID:luOcLlS2r.net
こんなに続きあったっけ

76 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:49:03.594 ID:iGyNfpT5a.net
詠矢「……」

詠矢「ん…」

詠矢「あれ…?寝ちまったのか?」

詠矢「うわ、もうこんな時間じゃねえか…」

詠矢「今日中に携帯を変え行くつもりだったのに」

詠矢「まあ、いいか。明日にすれば…」

詠矢「しかし…腹減ったな…」

詠矢「時間も時間だし当然か」

詠矢「今からなんか作るのも面倒だな…」

詠矢「コンビニでも行くか…」

77 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:49:19.884 ID:iGyNfpT5a.net
店員「ありがとうございましたー」
詠矢「やっぱコンビニ来ると高く付くなあ」
詠矢「安いスーパー探して、ちゃんと自炊しねえとな」
詠矢「あー腹減った…先に唐翌揚げ食っちまうか(ムグ)」
詠矢「(モグモグ)…」
詠矢「(モグ)…あれ?」
詠矢「寮はどっちだっけか?」

詠矢「えーっと…」

詠矢「うわ…完全に迷っちまったな…」

詠矢「携帯無いといろいろ面倒だなー」

??「ハァ…ハァ…くそっ!!」

詠矢「…?なんか人の声が…?誰かいるのか?」

??「うわっ!…(ドサッ)」

詠矢「?(路地から人か…)。おい、アンタ大丈夫か!?」

78 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:49:36.841 ID:iGyNfpT5a.net
??「来るな!!巻き込まれるぞ!!」

詠矢「巻き込むって何の話だよ…ってなんだ、あちこち怪我してるし」

詠矢「これは…火傷か?…まあとりあえず病院行こう。肩貸すぜ…よいしょっと」

??「マズイ追いつかれたか!?。とにかく逃げないと!」

詠矢「へ?なんかヤバイの?…あれ…なんか…熱い?」

??「伏せろ!!」

詠矢「…!!!」

路地の奥から、空間を嘗め尽くすように赤い波が近づいてくる。それは猛烈な熱を伴った炎だ。

詠矢「…!お、おい。なんだありゃ!」

??「くそっ!!(キュイーン!!)」

詠矢「なっ!炎が…消えた!?」

??「……」

詠矢「…こりゃあんたの言うとおり、逃げるのが正解かね」

詠矢「とりあえず…そうだな、あっちのビルの影にでも隠れよう」

詠矢「上手くいけばやり過ごせるかも知れねえ」

??「いや、あいつらの狙いは俺なんだ。通りすがりの人を巻き込むわけにはいかない」

詠矢「…面白いじゃねえの。そんな台詞、リアルで聞けるとは思わなかったぜ」

詠矢「というわけで、ちょいと関わらせてもらうぜ?」

??「え?って…あんた、何考えてんだって…おい!!」

詠矢「はいそうと決まったらとっとと走る!!」

79 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:50:19.018 ID:iGyNfpT5a.net
詠矢「…ふう…少し落ち着いたか…」

詠矢「ここは路地からも死角になってる。そうそうは見つからないだろう」

??「…あんた…どうゆうつもりだ…」

詠矢「面白そうだから関わらせてくれって、さっき言わなかったか?」

??「面白くなんかねえよ!これは冗談で踏み込んでいい世界じゃない」

??「相手はこっちの命なんかなんとも思ってないんだ」

詠矢「生きるか死ぬかってんなら、アンタも同じだろ?それを解った上で、俺だけを逃がそうとした」

??「……」

詠矢「そんな人を、見捨てて逃げたくはねえな」

??「…あんた…」

詠矢「そういうこった。ま、数が多い方が生存確率も上がるぜ」

詠矢「とりあえず、情報を整理しようか」

詠矢「まずは自己紹介からだな。俺は詠矢、詠矢空希ってもんだ…よろしくな」

??「…俺は上条…当麻…だ。よろしく」

詠矢「上条サンねえ…了解」

詠矢「で、順番に行こう。まずはさっきの炎だが…」

詠矢「火炎放射器って訳でも…なさそうだな…」

上条「ああ、そうだ。あれはそんなもんじゃない」

詠矢「じゃあ、やっぱ発火系の能力者かな?」

上条「いや、それも違うんだ。あれは『魔術』だ」

詠矢「…『魔術』!?…って要するに『魔法』のことなのか?」

80 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:50:25.388 ID:r3cJ7/rWp.net
落ちて死ぬとこまでしか知らねぇぞ

81 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:51:20.292 ID:iGyNfpT5a.net
詠矢「そんなもん実在するのかよ」

上条「ああ、実在する。科学とはまったく概念の違う力だ」

詠矢「はー…またいきなりな話だな。流石の俺も思考が止まるわ…」

詠矢「まあいい。今そこに突っ込むのは時間の無駄だ。丸呑みにするとしよう」

上条「俺も魔術に関してはあんまり詳しい訳じゃ無いんだ。そうしてくれると助かる」

詠矢「お互い、話が早くていいな。それともう一つ、気になることがな…」

上条「言いたいことは大体わかる。やっぱ説明しといたほうがいいか…」

詠矢「じゃあ、あの消えた炎、やっぱりあんたの『力』なのか?」

上条「俺はレベル0の無能力者だ。ただ…」

上条「この右手には、あらゆる異能を打ち消す力が宿ってるんだ」

詠矢「打ち消すって…能力者の能力もか?」

上条「そうだ。『あらゆる異能』ってのは、魔術も能力も含んでる」

上条「この右手で触れさえすれば、全て打ち消すことが出来ちまうんだ」

詠矢「はー、そりゃまた…。なんとも問答無用な能力だな」

詠矢「ま、おかげで命拾いしたわけなんだが…」

詠矢「(右手がどうやって異能の力を見分けてるのか)」

詠矢「(触れる、とは言っても、厳密な効果範囲は何処から何処までなのか)」

詠矢「(なんとも『論証』しがいのありそうな能力だねえ…)」

上条「じゃあ、俺も聞いていいか、えっと…」

詠矢「俺のことは詠矢でいい」

上条「そっか。じゃあ詠矢、お前こそ何者なんだ?」

上条「この状況で、まるで緊張感もねえ。それどころか楽しんでるように見える」

上条「まだわかってねえんじゃないのか?相手は本気なんだぞ…」

82 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:51:49.678 ID:iGyNfpT5a.net
詠矢「こんなことは初体験でね。まだ臨場感が足りないのは事実。だが、状況は理解してるつもりだ」

詠矢「それとな、俺にとって知識と経験はそのまま力になる」

詠矢「誰だって、成長を実感してるときは楽しいもんだろ?」

上条「…どういうことだ…全然わかんねえよ」

詠矢「そらそうか。俺の能力説明してねえもんな」

詠矢「俺も能力者だ。が、上条サンと同じレベル0。能力の名は絶対反論(マジレス)」

詠矢「能力に対して論証を…」

詠矢の言葉をさえぎるように、空中に次々と火の玉が浮かぶ。その数は、あっと言う間に目で追える限界を超えた。

上条「くそっ!もう見つかったか!」

詠矢「なんだ、これ…これが敵の攻撃か?」

上条「そうだ、コイツがヤバイんだ…逃げるぞ!!」

詠矢「いかにも襲ってきそうだしねえ…おうさ!」

火の玉は躊躇無く彼らに襲い掛かり、次々と炸裂する。

詠矢「うおっ!!爆発とかシャレになってねえぞ!」

上条「だからヤベエつったろ!!」

詠矢「(今のところ逃げ回ってれば何とかなるが、この手数、いずれ追い詰められるな)」

詠矢「なあ上条サン、敵の数は何人かわかるか?」

上条「多分、四〜五人、そのうち一人がこの魔術を使ってる魔術師だ」

詠矢「よし、大した数じゃねえな。ならこっちから攻めに出よう」

上条「そりゃ俺だってそうしたいけど…。逃げるので精一杯だろ!!」

詠矢「確かにまあ…うおっ!!(ドドドドドッ)」

上条「詠矢!俺の後ろに!!」

83 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:52:30.216 ID:iGyNfpT5a.net
詠矢「たのむ!!」

上条「こなくそっ!!(キュイーン)大丈夫か!」

詠矢「…いや、助かったぜ。ありがとさん」

詠矢「しかし…このままじゃジリ貧だ。どうしたもんか…」

上条「なんか手があるのか?詠矢」

詠矢「…上条サン。敵の人数が解ってるってことは、一旦相手と接触したんだよな?」

上条「ああ、攻撃が始まってからしばらくして、何人かに囲まれたんだ」

上条「その中の一人が、炎の魔術を撃ってきて…」

詠矢「なるほど…つまり。奴らには接触する必要があったってことか…」

詠矢「さっきからのこの火球の攻撃、散発的過ぎると思ってたんだ」

上条「この攻撃は奴らの決め手にはならないってことか」

上条「実際、逃げ回ってればなんとかなるわけだからな」

詠矢「そう、その通り。これは敵を追い詰める手段に過ぎない」

詠矢「逆に言えば、こっちが消耗する前に、やっぱり打って出る必要があるな」

詠矢「…」

上条「なんだよ、急に黙って」

詠矢「…上条サン、酷いこと言っていいか?」

上条「なんだ…?」

詠矢「囮になってくれ」

上条「…はい?」

84 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:53:15.072 ID:iGyNfpT5a.net
(空き地)
路地を抜けた奥にある少し開けた場所。鉄骨が組み上がっただけの建設中のビルと、その資材が並べられている。
その中央に一人立つ青年、上条当麻である。

上条「…さあて」

上条「さあ、魔術師、もう弾切れか!?。俺はここにいるぞ!!」

??「……」

影からにじみ出るように現れる5体の人影。それは、ちょうど星形になるように上条の周囲を取り囲む。

魔術師「ついに観念したか。上条当麻」

上条「あきらめてなんかいねえよ。ちょっと追いかけっこに飽きただけだ!」

魔術師「逃げるのをやめたのなら同じこと…。生きて帰れると思うなよ」

上条「やっぱりそうか…」

魔術師「…ん?」

上条「俺を殺したいのなら、さっきの魔術でやればいい」

上条「わざわざ姿を見せたってのは、そうする理由があるからだ」

魔術師「ハッ、何を言うかと思えばその程度の事か。それがわかったとろで何になる」

魔術師「どの道お前の命が尽きることには変わりはないわ!」

上条「どうかな…お前に俺が倒せるか?」

上条「その炎じゃじゃあステイルの足元にも及ばないぜ!」

魔術師「あのイギリスの魔術師か…。結構、私が劣るというのなら…逃げおおせてみることだな!」

魔術師「……」

魔術師が詠唱を始めると、周囲の兵らしき者が、懐から得物を取り出す。

兵A「…(シャキン)」

兵B「…(シャキン)」

兵C「…(シャキン)」

兵D「…(シャキン)」

上条「(なんだ、武器が変形して伸びた?3mぐらいないか?どうするつもりだ…)」

魔術師「死ねっ!!」

上条「うわっ!!」

85 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:53:37.664 ID:iGyNfpT5a.net
魔術師の両手から放たれる一条の炎。それは扇状に広がり、あっという間に上条を包み込む。

上条「…!!(キュイーン)…」

上条「(くそっ!。この炎!!。確かに威力はステイル程じゃないが…」

上条「(効果範囲が広すぎる…。右手じゃ消しきれねえ!!)」

兵A「…(ザッ)」

兵B「…(ザッ)」

兵C「…(ザッ)」

兵D「…(ザッ)」

上条「(距離を…詰めてきやがる…。ダメだ、身動き取れねえ!!)」

詠矢「(ザッザッザッザッ)うりゃあ!!中段蹴りぃ!!」

兵B「…なっ!!」

何処からとも無く走ってきた詠矢の蹴りが、振り返ろうとした兵の脇腹に見事に命中した。

兵B「…ぐあっ!!…ゲフッ…(ガクッ)」

詠矢「よし、一人無力化…」

魔術師「なんだと!!伏兵か!」

上条「(…魔術が弱まった…集中が途切れたか?今なら抜けられる!)」

上条「…っ!!(ゴロゴロ)」

魔術師「しまっ…た!!」

詠矢「上条サン、大丈夫か!」

上条「ああ、おかげさんでなんとか…」

上条「あと、解ったぜ、奴らの狙いが…」

詠矢「狙い…ってーと?」

上条「魔術の攻撃は、俺を押さえ込むための手段でしかない」

上条「火球や炎で動きを封じて、あの長い武器で範囲外から攻撃するつもりだ」

詠矢「なるほど…魔術では上条サンを倒せないと初めから解ってたんだな…」

詠矢「あの武器…ハルバードってヤツかな…。しかしセコイ作戦だなあ」

魔術師「……」

86 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:54:17.333 ID:iGyNfpT5a.net
詠矢「そこまで解れば話は早い。要するにだ」

詠矢「周りのザコを倒せば、その作戦は成立しなくなる!」

詠矢「上条サン、あの偉そうなヤツは後回しだ。あと一人引き受けるから、残りは頼むぜ!(ザッ)」

上条「勝手にノルマ決めるなよ!まったく…(ザッ)」

上条「さあて…悪いが、しばらく眠っててもらうぜ」

兵D「…(ガシャン)」

上条「…(武器を放した…まさか!)」

兵D「…!(ヒュッ)」

上条「とっ…とととっ!!(ザザッ)」

兵D「なにっ!!避けた、だと!?」

上条「懐から短刀か…あっぶねえ。もうちょっと気づくのが遅かったらヤバかったな」

兵D「貴様、いったい…!」

上条「黙ってろ!(ドカッ)」

兵D「…!!(ゴロゴロゴロ)…(ガクッ)」

詠矢「(うわ、吹っ飛んだよ。すげえパンチ力だな…)」

詠矢「さあて、こっちも負けてられねえな」

魔術師「やらせんぞ…」

魔術師「やらそんぞーーーーー!!!(ゴオッ)」

上条「うわっ!!!」

詠矢「また炎か!。上条サン!!」

上条「…!!!(キュイーン)…」

詠矢「(ダメだ、炎の効果範囲が広すぎて消しきれてねえ)」

詠矢「(あれが有る限り、まだ相手の有利は覆らない…)」

詠矢「(イチかバチか、やってみるか…)」

87 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:55:50.183 ID:iGyNfpT5a.net
詠矢「おい、そこの魔法使い!!」

魔術師「…私は魔術師だ!」

詠矢「この際どっちでもいい!」

詠矢「魔術だか何だか知らないが、炎を起こしてることには変わりないな」

詠矢「それだけ膨大な火を起こすには、それ相応の可燃物が必要だ」

詠矢「しかもこれだけの範囲に広がるということは」

詠矢「可燃物は気体か液体のはず」

詠矢「見たところ、あんたはボンベもタンクも持ってるようには見えない」

詠矢「そんな大量の可燃物、どっから調達してるだ?」

魔術師「…ハハッ…」

魔術師「ハーッハハハハ!!愚か者め!!」

詠矢「…なんだ?」

魔術師「これは魔術!可燃物など必要ないわ!!」

魔術師「独自の原理によって生み出される力だ。科学側の前提など関係あるものか!!」

詠矢「な…なんだと!そんなインチキがあるか!」

詠矢「可燃物が必要ねえなんて…じゃあその炎は『燃焼』じゃ無いってのか!」

魔術師「同じ事を何度も言わせるな!。これは純粋な『魔術』の炎だ!」

詠矢「(くそっ!。やっぱりダメか。魔術を論証するには情報が少なすぎる)」

詠矢「(最初の計画通りザコを倒して…)」

魔術師「おっと…お前にも動かれては困るのでな…(スッ)」

詠矢「…!!炎と火球を同時に!」

詠矢「うわっ!!(ドカドカドカッ)」

上条「詠矢ー!!」

詠矢「(ぐっ…やべえ…逃げ回るのにも限界が…)」

詠矢「(諦めるな、諦めるなよ…何か手があるはずだ…)」

88 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:56:15.993 ID:iGyNfpT5a.net
魔術師「さあて、仕上げといこうか…」

魔術師「上条当麻…。貴様の首と右腕、貰い受ける」

兵A「…(ジャキン)」

兵C「…(ジャキン)」

詠矢「上条サン!!」

魔術師「…死して我がローマ正教の礎となれ!!」

詠矢「…」

詠矢「…あ?」

詠矢「…お前今なんて言った?」

魔術師「なんだと…?」

詠矢「ローマ正教っていやあ、十字教の一派だよな?」

詠矢「あんたら宗教関係者なのか?」

詠矢「っていうか、風体からして僧侶だよな?」

魔術師「…?」

詠矢「僧侶がなんで炎なんか撃ってるんだよ」

詠矢「僧侶が使えるのは回復と補助、あと風系の攻撃呪文だけだろうが」

詠矢「世間の常識ひっくり返してんじゃねえよ…」

魔術師「お前は何を言ってるんだ」

詠矢「それに…神ってのは慈愛と許しの象徴だよな?特に一神教はそうだ」

詠矢「その神の使徒である聖職者が、人を傷つけることしか出来ない攻撃魔法を」

詠矢「平気で使ってるんじゃねえよ」

魔術師「な…なんだと…。これは、その教えを守るために」

魔術師「神が我々に与えて下さった力だ!!」

詠矢「じゃあ何か?おまえんとこの教義には」
詠矢「『目的のためには手段は選ぶな』とか」
詠矢「『邪魔なヤツは抹殺してかまわない』とか」

詠矢「書いてあるってのか?」

詠矢「だとしたらその宗教ってのは」

詠矢「どんでもねえ邪教だなあ!!」

魔術師「な、何を言う!ローマ正教の教義は…!!?」

魔術師「(…なんだ、魔術が…安定しない!!。炎が…消え…る…!)

89 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:56:50.673 ID:iGyNfpT5a.net
詠矢「…!?(ちょっとまて、今のはキレてぶちまけただけだぞ)」

詠矢「(これでも効果あるのかよ!?)」

上条「炎が…?弱く…」

詠矢「上条サン!なんだかよくわからんが今だ!」

上条「わかった!!…(ザッ)」

魔術師「あ…慌てるな。詠唱の再構築を…」

上条「遅え!!」

魔術師「…く…そっ…炎よ!(ゴオ)」

上条「この程度…かき消せる!(キュイーン)…弾けろっ!(ドカッ)」

魔術師「ぐふぁぁぁっ!!!(ゴロゴロゴロ)……(ガクッ)」

上条「はあっ…はあっ…」

詠矢「…やったな…上条サン」

詠矢「さあて…残りはあんたらか?」

兵A「…(ガシャン)…(ササッ)」

兵C「…(ガシャン)…(ササッ)」

上条「逃げたか…」

詠矢「正直、助かるな…これ以上はキツイわ…」

上条「休んでるヒマねえぞ。結構な騒ぎになっちまった」

上条「すぐにアンチスキルが来る」

詠矢「なるほど…こっちも退散したほうがよさそうだな」

上条「詠矢、お前も寮生か?」

詠矢「ああ。そうだそうだ、ちょうど迷ってたところなんだわ」

上条「よし、じゃあとりあえず寮まで戻ろう。話はそれからだ」

詠矢「うい、賛成。案内してくんなー」

90 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:57:17.138 ID:iGyNfpT5a.net
(とある高校)
詠矢「さーて、やっと昼休みか…」

詠矢「いろいろあったけど、どうにか転校初日にまでこぎつけたなあ…」

詠矢「正直生きてるのが不思議なぐらいイベント連発だったけどな」

詠矢「ま、今日のところは最初の挨拶もつつがなく済ませたし、順調な方かな」

詠矢「とりあえずメシだな。やっぱり学食行くのが定番か」

詠矢「えーっと…どこだっけか」

詠矢「なんか俺、昨日からやたらと迷ってないか?」

詠矢「…あれ?あの見覚えのある髪形は…?」

上条「…お、っと…詠矢じゃねえか!」

詠矢「あ、上条サン。ちわす。でもなんでここに?」

上条「そりゃ、同じ寮に住んでるんだから、高校も同じだろう」

詠矢「…そういえばそうか…当たり前だよな」

詠矢「なんせこっちに来たばっかりでねえ…いろいろと勝手がわからなくて」

上条「来たばっかり?…って、お前もしかして転校生なのか?」

詠矢「そうだぜ?ああ、それも説明してなかったか」

詠矢「俺は学園の外から来た。ちょうど上条サンと会った日にね」

詠矢「んで、今日は登校初日ってわけさ」

91 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:58:21.329 ID:iGyNfpT5a.net
上条「そうなんか…どうりで見たこと無い顔だと思ってたんだよ」

詠矢「まあ、そういうわけで学校の方でもよろしくな。上条サン」

詠矢「で…、そちらのワイルドなお兄さんは?」

上条「へ?…ああ、そうか初対面だよな」

上条「コイツは土御門、俺のクラスのヤツでさ…」

土御門「始めましてだにゃー」

土御門「俺は土御門元春。カミやんのマブダチだぜい」

詠矢「おう、俺は詠矢…詠矢空希ってもんだ。よろしくなー」

土御門「カミやんから聞いたぜい。なんかすごい能力者らしいにゃ」

詠矢「すごいのかどうか俺にもまだわからないけどね…」

土御門「俺は絶対反論(マジレス)だっけか?。聞いたことのない能力だねえ」

土御門「しかも、学園に来たばかりってことは」

土御門「能力開発を受けて無い『原石』ときたもんだ」

詠矢「…」

土御門「自覚があるかどうかわからんが、あんたはすさまじいレアキャラなんだぜい?」

詠矢「情報としては知ってるが…自覚はねえかな…」

土御門「というわけで、そんなレアキャラの詠矢さん、改めてよろしくにゃ」

土御門「カミやんの新しい友達だっていうから、ぜひお近づきにと思ってねい」

92 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:59:13.540 ID:iGyNfpT5a.net
詠矢「…友達?…俺がか?」

上条「ああ、そうだよ。まさか違うとか言うつもりじゃねえだろうな?」

詠矢「んー、まあ、それは願っても無いが…」

詠矢「っていうより、大歓迎だな。こちらこそよろしくな、土御門サン(スッ)」

土御門「ああ、(ガシッ)。えーっと、上条がカミやんだから、詠矢はヨメやんでいいかにゃー?」

詠矢「ヨメやん?…ははっ、いいなそれ」

詠矢「なかなか面白いじゃねえの。好きに呼んでくんな」

土御門「じゃあヨメやんだぜい」

詠矢「……」

土御門「どしたね、ヨメやん?」

詠矢「土御門サン、なんか部活やってる?」

土御門「いや、なんもやってないぜい?」

詠矢「じゃあ、学校外で、子供のころからなんかやってるとか?」

土御門「それも無いにゃー…何でそんなこと聞くんだ?」

詠矢「俺もガキの頃からそこそこたしなんでるでわかるんだが…」

詠矢「土御門サン、かなりいい体してるよなあ…」

詠矢「しかも、単純に鍛えただけじゃそんな体にはならない」

土御門「…」

詠矢「格闘技でもやってるんじゃないかなって思ったんだけどね…」

詠矢「変なこと聞いて悪かったな」

土御門「…いやいや、別にかまわんぜい」

上条「お前ら…その辺でいいか?」

上条「早くしないと昼休み終わっちまうぞ」

詠矢「ああ、そうだったな」

詠矢「んじゃ食堂行こうぜ、上条サン。案内よろしく」

上条「よっしゃ、任せとけ!。おい、行くぞ土御門」

土御門「…わかったぜい」

93 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:59:28.711 ID:iGyNfpT5a.net
とある高校 食堂)
詠矢「ふう、食った食った…」

上条「なんだよ詠矢、言うほど食ってなかったじゃないか」

詠矢「いやいや、まだ色々と物入りでねえ…」

詠矢「いきなり携帯も変える羽目になっちまったし」

詠矢「いろいろと節約しないとな」

上条「そりゃまあ、引っ越してきたばっかりで大変だろうけどさ」

上条「メシをガマンするのは辛くねえか?」

詠矢「これでも、金額と満足度を最大効率で考えて食ったつもりだぜ」

上条「…いちいち言い回しが解りにくいぞ、お前」

詠矢「それはそうとして、上条サン」

上条「ん、なんだ?」

詠矢「放課後にでもさあ、学校とか町とか案内してくんねえかな?」

詠矢「昨日から迷ってばっかりでさ、いろいろ教えてくれると助かるんだけどなあ…」

上条「それが今日は無理なんだよ。放課後バイトでさ…」

詠矢「なに、バイトですと?」

詠矢「もし空きがあれば、ぜひ俺にも紹介して頂きたいんですが!!」

上条「な、なんだよいきなり。普通のコンビニだぞ?」

詠矢「先ほど申しましたとおり、こっちの財政状態は非常に逼迫しているのです」

詠矢「早いことバイト見つけないとヤバイんだよ」

詠矢「コンビニぐらいがちょうどいいと思ってたとこだし、上条サンと同じ職場だと安心だ」

詠矢「頼むぜ上条サン!」

94 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 11:59:42.818 ID:iGyNfpT5a.net
土御門「ほれほれ、『友達』の頼みだぜカミやん。なんとかしてやんなよ」

上条「あ…ああ、確か今募集してたと思うから…」

上条「店長に話してみるよ…」

詠矢「恩に着るぜ上条サン!じゃあ早速放課後に行くか」

上条「わかったわかった…じゃあ校門で待ち合わせな?」

詠矢「よし、決まりだ。じゃあ、また後でな」

詠矢「土御門サンもまたなー」

土御門「ああ、またにゃー」

詠矢「…(さてと)」

詠矢「(上条サンといると色々繋がってくるねえ)」

詠矢「(しかし…土御門って人、ありゃだだモンじゃねえな…)」

詠矢「(能力への知識、あの体つきと独特の雰囲気)」

詠矢「(修羅場くぐってるタイプって感じだね)」

詠矢「(…あの対応でよかったのかね)」

詠矢「(まあ、隙の無い奴だと思わせといたほうがいいだろうし)」

詠矢「(あんなもんかね…)」

詠矢「おっと予鈴だ…教室戻んねえと…」

95 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:00:39.072 ID:iGyNfpT5a.net
(とあるコンビニ)
上条「ありがとうございましたー」

上条「ふう、一段楽したかな…」

詠矢「こっちも品出し終わったぜ」」

上条「おう、お疲れさん」

詠矢「いやあ、感謝するぜ上条サン。いいバイト紹介してくれて」

上条「そうか?普通のコンビニのだろ?」

詠矢「しらばっくれてんじゃねえよ…。ほら、店長がまた集めてくれてるぜ」

上条「ここの店長は廃棄品に甘いからな。少々持って帰っても大丈夫さ」

上条「時給は普通なんだけど、これが助かるんだよなあ」

詠矢「食費が抑えられるってのはありがたいやね」

上条「全部持ってくなよ。廃棄もそれなりに出さないと怒られるらしいから…」

上条「んじゃ、俺は倉庫の片付け行ってくる。レジ頼むぜ」

詠矢「うい。頑張ってなー」

詠矢「…」

詠矢「こっちに来しばらく経ったけど…」

詠矢「なんだかんだで結構知り合いも結構出来たし」

詠矢「バイトも学校も順調だし言うこと無いねえ」

詠矢「青春を謳歌してるってヤツかな!!」

詠矢「…」

詠矢「なんだろうこの一抹の空しさは…」

詠矢「まあいいや、雑誌の整頓でもしとくか…」

96 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:00:59.986 ID:iGyNfpT5a.net
??「…」

詠矢「(お、お客さんだ)いらっしゃいませー」

御坂「え!」

詠矢「お、御坂サンじゃねえの。お久しぶりー」

御坂「なんでアンタがここにいるのよ!!」

詠矢「そりゃバイトしてるからに決まってるだろ」

詠矢「ほれ、バッチリ制服も着てるぜ」

御坂「…なんでたまたま寄ったコンビニで…」

御坂「よりにもよってアンタなんかに出会わないといけないのよ!」

御坂「なんの冗談よこれは!」

詠矢「ほら、また会うって言ってただろ?」

詠矢「なんかの縁なんだよ。こういうのもな…」

御坂「そんな縁、チェーンソーかなんかでブチ切ってやりたいわね…」

詠矢「まあまあ、そういうなよ。せっかくだからなんか買っていきな」

御坂「いいわよ、もう。どうせ立ち読みに来ただけだし、ここじゃなくたって…」

上条「詠矢、片付け終わったぜ」

御坂「え…!!」

上条「げ…ビリビリ…」

御坂「あんたねえ、いい加減にその呼び方やめなさいよ!!」

上条「ええ、はいはい、そうでしたね。御坂様」

上条「で、常盤台のお嬢様がこんな場末のコンビニに何の御用ですか?」

御坂「そりゃお客に決まってるでしょ!もっと丁重に対応しなさいよ!」

詠矢「さっき立ち読みに来ただけだって…」

御坂「…(ジロッ)」

詠矢「…なんでもございませんお客様」

97 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:01:45.600 ID:iGyNfpT5a.net
詠矢「しかし、お二人が顔見知りだったとは…」

詠矢「上条サンの顔の広さには改めて驚愕だねえ」

上条「知り合いっつーかなんつうか…まあ、いろいろありまして…」

御坂「何よその嫌そうな顔は…」

上条「いえいえ、決してそのようなことは…」

上条「っていうか、詠矢こそ御坂と知り合いなのか?」

詠矢「ああ、まあね…。こっちも少々ありまして…」

御坂「…まあ…ちょっとね」

御坂「じゃなくて!話そらさないでよ!」

御坂「アタシと知り合いなのがそんなに嫌なわけ?」

上条「いえ、決してそのようなことは…」

御坂「じゃあなんでそんな引きつりまくった顔なのよ!(バチッ)」

上条「いや、…そうでなくてですね…ここで電撃を打たれるとですね…店の商品が…」

詠矢「…」

詠矢「仲いいな…あんたら…」

上条「へっ?」

御坂「へっ?」

詠矢「もしかして付き合っちゃってるとか?」

御坂「…!!」

御坂「な…、何言ってんのよ!バッカじゃないの!?なんでアタシがこんなヤツと付き合わないといけないのよ!!」

上条「違うぞ詠矢、それは激しく違う…。ていうかこの状況をみてなぜその結論に達するんだ…」

詠矢「…うわー…」

詠矢「ダメだよそれ、御坂サン」

御坂「…?」

98 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:02:28.342 ID:iGyNfpT5a.net
詠矢「しゃべり始めのどもり、そしてその後の強すぎる否定。これはほぼ確定なのですよ御坂サン」

御坂「…アンタ何言ってんの?」

詠矢「そう、そしてこれ以上突っ込まないほうがいいのもまた道理」

詠矢「というわけでタワゴトだと思って聞き流してくんな」

御坂「…相変わらずわけわかんないヤツね…」

上条「詠矢が壮大な誤解をしてるようなのは気のせいでしょうか…」

詠矢「いや、もういいよ。この情報はいつか実を結ぶときが来るかもしれない」

詠矢「そのときまで俺の胸にしまっとくよ」

御坂「なんか、明らかにバカにされた気分ね…」

御坂「…フン…(スタスタ)」

上条「帰るのか?買い物はいいのかよ」

御坂「コンビになんて何処でもあるでしょ。わざわざこんな気分の悪いとこで買いたくないわ!」

御坂「…」

詠矢「帰っちまったか…」

上条「どうにか商品は無事だったな…」

上条「ふう…」

詠矢「どした、ため息なんぞついて」

上条「なんでこう、俺の周りのヤツはこんなのばっかりなんだ…」

上条「おかげで、上条さんの毎日はお祭りサバイバルな状態なんすよ!」

上条「俺だって普通に学生生活をエンジョイとかしたいわけでね…」

詠矢「エンジョイってーと?」

上条「そりゃやっぱり恋とか勉学とかを普通にたしなんででだな…」

詠矢「…」

上条「んで、彼女でもつくってさあ、こう…」

詠矢「……いやいや」
詠矢「彼女なら結構な勢いで作れそうなんだが…」

上条「それがさあ…どうにも出会いが無くてなあ…」

詠矢「…」
詠矢「……」
詠矢「上条サン、割と本気で殴っていいか?」

上条「…なんでせうかその物騒な申し出は」

99 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:02:44.976 ID:iGyNfpT5a.net
(とある街角 夕刻)
詠矢「今日も良く働いたなあ…」

詠矢「さーて、晩飯は確保してるけど、ちょうどいい時間だし」

詠矢「スーパー寄って見切り品でも漁るかねえ」

詠矢「…♪」

詠矢「…お」

詠矢「(女の子が…絡まれてるのか?)」

詠矢「(この最先端の詰まった学園都市で、昭和の風景だねえ)」

詠矢「(しかしまあ、ちと路地の奥とはいえ、こんな往来で…アホじゃねえか?)」

詠矢「(ま、イベントが発生してるんなら積極的に攻めますか)」

不良A「君ぃ、なかなかかわいいねえ…」

不良B「綺麗な髪してるねえ…(サワ)」

??「…!!(髪触られたっ!!)」

不良C「俺たちとどっか遊びに行かない?」

??「いえ…あの…これから用事が…」

不良A「そんなこと言わないでさあ…」

??「あー、はははは…(マズイなあ…)」

??「…(見逃してくれそうに無いなあ…どうしよう)」

詠矢「はいそこの典型的なDQNさんたち!!」

不良A・B・C「あ?」

詠矢「なにしてんのかなあ?」

不良A「ナンダてめえわぁ!!」

佐天「あ…」

詠矢「…あれ?」

佐天「容疑者…さん?」

詠矢「あれま…あの時会った娘か…。こりゃ偶然」

100 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:02:46.208 ID:rn5OaIuV0.net
もう許してあげて

101 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:02:54.119 ID:7+Z2X1Gc0.net
これ確かめっちゃ長かった

102 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:03:09.952 ID:iGyNfpT5a.net
不良A「シカトしてんじゃねえ!!」

詠矢「あ、ゴメンゴメン…」

詠矢「つーか俺の質問に答えるのが先だろ、なにやってかって聞いてんだよ」

不良B「なんかテメエに関係あるよかよ!」

詠矢「…あー、もういい。お前らには『質問』の意味から説明してやらないといけねえな」

詠矢「答える気が無いならこっちで判断させてもらう」

詠矢「見たところ、『強引なナンパ』だな」

詠矢「彼女のおびえた表情を見れば理解できる」

佐天「…」

詠矢「面倒なんでお前らの反論を聞く前に確証を取っておく」

詠矢「そこの人、今行われてる同行への誘いは、本人の意思を無視した脅迫や強要をを伴うものかな?」

佐天「…!は、はい!!(コクコク)」

詠矢「はい脅迫が成立です。犯罪だね」

不良C「…ナメてんじゃねえぞてめえ…」

詠矢「ナメてるよ、悪いけど。お前らは所詮その程度の存在だ」

不良C「痛い目見ないとわからねえらしいな…(チャキ)」

詠矢「ナイフ…ねえ…(ジロッ)。まったく…」

詠矢「お前らは単に暴力に禁忌が無いだけのゴロツキだ。それを強いと勘違いしている」

詠矢「そうゆうのは俺が一番嫌いなタイプだ」

詠矢「…手加減しねえから覚悟しとけ…」

103 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:03:21.600 ID:vWufKc+8a.net
あれ?
こんなあったっけ

104 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:03:25.674 ID:iGyNfpT5a.net
不良C「余裕かましてんじゃねえ!!。そのナメたツラに風穴開けてやる!(ダッ)」

詠矢「武器に任せた突進…そんなもん」

不良C「なにっ!!」

詠矢はナイフをかわすと即座に腕を取り、相手の内側に体を滑り込ませる。

詠矢「一本…」

不良C「…!!」

詠矢「…背負いっと!!(ドサッツ)」

不良C「ぐはっ!」

詠矢「はい、追い討ち!(ドカッツ)」

起き上がる間を与えず、詠矢は踵で相手の鳩尾を思い切り踏み抜いた。

不良C「が、がはっ!がっ!!…!!」

詠矢「まあ、たいがいの人間はこれで悶絶してしばらく動けなくなる」

不良B「てっ、てめえ!!」

詠矢「なーにいまさら驚いてんだよ。勝算もなしにケンカ売るかよ…」

詠矢「被害者の人、今のうちに逃げな!!」

佐天「え?…えっと…(ソロ)…!(ダッ)」

不良B「あっ!!この…」

不良A「…」

不良A「おめえ、俺を完全に怒らせたな…」

不良B「おい、逃げちまったぞ!」

不良A「女のことはもうどうでもいい!!」

不良A「上玉だったんで少々惜しいがな…」

不良A「とりあえず、コイツをぶちのさねえと気が済まねえ」

不良A「後悔させてやるよ!!!!!」

男の怒気が膨れ上がると、突然何の前触れも無く近くにあったブロック塀が粉砕された。

詠矢「…!?」

詠矢「能力者…か…」

105 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:04:07.119 ID:iGyNfpT5a.net
不良A「どうだ!謝ってももお遅いぜえ!!」

不良A「俺の能力はレベル3の念動豪腕(インビジムル・アーム)だ!」

詠矢「なるほど…ご大層な名前だが、様子するに念動力(サイコキネシス)の一種だな…」

詠矢「またご丁寧にレベルと名前まで公表とは…」

詠矢「おめでたいヤツだな。ま、バカな自己顕示欲のせいで色々助かるが」

不良A「ケッ、言ってろ!!」

不良A「俺の『腕』で、テメエの体グチャグチャに引き裂いてやるぜ!!」

突然、先ほど壊したブロックの一つが宙に持ち上がる。それは何かに投げられたように詠矢に向かって飛来する。

詠矢「(ガッ)っと!!あぶねえ…」

不良A「頭を掠っただけか…運のいい野郎だ…」

詠矢「(さて、どうしたもんか…)」

詠矢「(単純な能力の論証は意外と難しい…)」

詠矢「(ただ、ヤツが言った名前にヒントがある)」

詠矢「(要するに、両腕とは別の見えない『腕』を想定し、それを使うことによって物体を動かす力)」

詠矢「(そんなところだろうな…)」

詠矢「(では、『論証』に移りますか…)」

詠矢「おいお前!!」

不良A「なんだ!」

詠矢「そんなガレキいくら投げても当たらんぜ」

詠矢「それはお前さんご自慢の『腕』で投げてるんだよな?」

詠矢「人間が何かを投げる場合、必ず予備動作が必要だ」

詠矢「振りかぶる、腕を引く。そうやって初めて前に物を飛ばすことが出来る」

詠矢「そんな派手に『腕』動かしてたら…」

詠矢「お前が飛ばす瓦礫の軌道は丸見えだぜ!!」

不良A「な、なんだとこの野郎!!(ブン)」

106 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:04:24.228 ID:iGyNfpT5a.net
詠矢「よっと…(ヒョイ)」

不良A「このっ!(ブン)このっ!!(ブン)、野郎ちょこまかと逃げやがって!!」

詠矢「だから当たらねえってんだろ…」

詠矢「それにお前…さっきは引き裂くとか言っときながら…」

詠矢「瓦礫投げてるだけじゃねえか」

詠矢「なぜその『腕』で俺を直接攻撃しない?」

不良A「…」

詠矢「お前の能力…思ったより射程が無いな…?」

不良A「…っ!!て…」

詠矢「図星か…」

詠矢「自分の能力に射程が無いのがわかってるなら」

詠矢「さっさと俺に近づいて首でも絞めれば」

詠矢「勝負は既に付いていたかもな」

詠矢「悪いが、お前みたいな考えの無いバカに」

詠矢「俺の絶対反論(マジレス)は絶対に負けない!」

不良A「こ…こんのぉおおおお!!」

不良A「そんなもん、お前だって同じだろうがぁ!」

不良A「近づてこないと、俺は永遠に倒せないぜえ!!(ブン)」

詠矢「(それは確かに言う通りだな)」

詠矢「(ブロックを軽々と投げる腕力で殴られたら、流石にひとたまりも無いだろう)」

詠矢「(だが奴の能力の詳細が分かった以上、切り口はいくらでもある)」

詠矢「(…そろそろ仕上げと行きますか)」

107 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:04:39.618 ID:iGyNfpT5a.net
不良A「おるぁ!離れていても攻撃が届く分、おれの方が有利だなあ!!(ブン)…(ブン)」

詠矢「そいつはどうかな?さっきから一発も当たってねえみたいだが?(ヒョイ)」

詠矢「もう少し数を増やして、おれを追い詰めた方がよくねえか?」

詠矢「それとも、出せる腕の数にも限度があるのかな?」

不良A「はっ!なんでそんなことてめえに教えてやる必要がある!」

詠矢「教えてくれないのか…そいつは困ったな」

不良A「だぁが、お望みとあればあ!!」

不良A「ほらほら!増えるぜ!どんどん増えるぜ!(ブン)…(ブン)…(ブン)!!」

不良A「壁をブチ壊せば瓦礫はいくらでも作れる。弾切れ期待しても無駄だぜえ!!」

詠矢「ちょ…っと…増えすぎ…だろ…うおっ!!(ドカッ)」

よけきれなかった瓦礫の一つが、詠矢の肩口に命中した。

詠矢「ぐっ…」

不良A「はあい、一発命中…。動きが止まったところで、トドメと行きましょうかあ!!」

男が再度念を込めると、今までとは比べ物にならない数の瓦礫が宙に浮かぶ。

不良A「どおだ…これがお前をミンチにするんだぜ…」

不良A「俺の全力攻撃、食らいやがれ!!」

詠矢「…」

詠矢「…言ったな?(ニヤリ)」

不良A「なに?」

108 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:04:56.704 ID:r3cJ7/rWp.net
こんな長かったんか?

109 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:05:20.648 ID:iGyNfpT5a.net
詠矢「お前今『全力』って言ったよな?」

詠矢「全力、ってのは最大限の力ってこと…つまり、上限が設定された言葉だ」

詠矢「つまり、今の状態がお前が出せる『腕』の上限ってことだ…」

不良A「…なに言ってやがる…だからどうした?時間稼ぎのつもりか!!」

詠矢「簡単なことだ。両腕に荷物を持ってる時は…(ザッ)」

詠矢「もう腕は使えないよな?」

不良A「なっ!!…(一瞬で、懐に!!)」

詠矢「今お前は両腕バンザイ状態だ・・・」

詠矢「守りに回す手は…どこにもない…」

不良A「て、てめっ!!(なんでだ!ヤツの動きを)」

詠矢「…ふうっ!!」

不良A「(止められない!!)」

詠矢「どっせい!ボディアッパー!!」

低い位置から捻りだすように放たれた詠矢の拳は、斜め下方向から相手の鳩尾に深々と突き刺さった。

不良A「ごっ…がっはぁあ!!!…ぁ」

詠矢「勝負アリ…だが、コイツはオマケだ…」

崩れ落ちてくる男の顔面に、詠矢渾身の上段正拳が炸裂する。

詠矢「よいしょお!!(ゴキャッツ)」

不良A「がっ…!!!(ガクッ)…(ドシャッ)」

不良B「ウソだろ…あいつが…負けた?」

詠矢「まあ、こんなもんだろ…。それより、逃げねえのか?」

不良B「へっ?…な…!?(瓦礫が…!?)」

詠矢「『持ち主』が気を失えば手に持ったものは落ちてくる。当たり前だわな」

不良B「ちょ、ちょとま…うわ…ギャァァァァアア!!(ドカドカドカドカッ)」

詠矢「巻き込まれたか…ま、微塵も同情する余地はねえな」

詠矢「さあって…とっとと退散しないとマズイんだっけか」

詠矢「忘れずに晩飯を回収してと…」

佐天「…あ…あの、待って下さい!!」

110 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:05:43.647 ID:iGyNfpT5a.net
詠矢「あれ?さっきの娘じゃないか…逃げたんじゃなかったのか?」

佐天「そう思ったんですけど…、ほら、逃げちゃうと」

佐天「すぐにお礼言えないじゃないですか」

詠矢「…」

詠矢「そいつはまた見上げた心がけだが…」

詠矢「俺が負けたらどうするつもりだったんだい?礼も何も無いだろう」

佐天「そんときは…ほら…まあ…全力で逃げます!」

詠矢「うわ、それはそれで地味にひでえな…」

佐天「でも、大丈夫だと思ってました」

佐天「聞きましたよ?あの御坂さんや白井さんに…勝っちゃった…とか?」

詠矢「…まあ、そうなるのかねえ…負けなかっただけで勝ったつもりはねえけど」

佐天「そうなんですか?…あ、そうだ。お礼言ってなかった…」

佐天「助けて頂いてありがとうございます!!」

詠矢「あー、はいはい、どういたしまして」

佐天「あ…えと…」

詠矢「…」

佐天「…」

詠矢「……」

佐天「……」

詠矢「(あれ?言葉が出ねえな…こういう時どうするんだっけ?)」

詠矢「…えーっと…このパターンは…」

佐天「…?」

詠矢「じゃあ、さ…寮まで送ってこうか?ほら、一人だとマズイっしょ。いろいろ…」

佐天「…あ、はい。よろしくお願いします…」

111 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:06:47.290 ID:iGyNfpT5a.net
(窓のないビル)
理事長「わざわざ君のほうから来るとは珍しい」

理事長「なんの用だね?」

土御門「ちょっと確かめたいことがあってな」

土御門「単刀直入に言おう。ヤツの能力…どう見る?」

理事長「新たに発見された原石のことかね?」

理事長「…君こそ、既に対象に接触したようだね」

土御門「ああ、ちょっと前になるがな」

土御門「まさかカミやんに先を越されてるとは思わなかったが…」

土御門「話によれば、魔術にも効果を発揮したらしいぜ?」

理事長「こちらでも情報は掴んでいるさ」

理事長「既に、レベル5である御坂美琴の能力を抑えた実績も有る」

土御門「へえ…あのレールガンをねえ…」

土御門「そこまで知ってて放置してるってのは…何か考えでもあるのか?」

理事長「いや…わからんさ」

土御門「なに?」

理事長「私とて、全てを知っているわけではない。全てを予想できるわけでもない」

理事長「特に彼の能力は未知数で不確定だ。どんな可能性を持っているかもわからない」

理事長「今の段階で、下手に介入するわけにもいかないのでね…」

土御門「だからといって、このままってわけにもいかんだろ?」

理事長「それはわかっている」

理事長「今まで通り監視を続ける。必要とあればこちらからも動く」

土御門「開発部の方で不穏な動きも出ている」

土御門「手遅れにならなきゃいいがな…」

112 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:07:05.475 ID:iGyNfpT5a.net
とある街角)
佐天「…」

詠矢「…(さて)」

佐天「…」

詠矢「…(歩いてはいるが)」

佐天「…」

詠矢「…(話すことねえなあ)」

佐天「…」

詠矢「…(空気が重い)」

佐天「…」

詠矢「…(どうしたもんか)」

佐天「…あの」

詠矢「…はいっ!?(ビクッ)」

佐天「そこ左です…」

詠矢「あ、はいはい…」

詠矢「…」

佐天「…」

佐天「…えっと…」

詠矢「ん?次はどっちに曲がるのかな?」

佐天「じゃなくてですね…」

佐天「自己紹介、してなかったですね…」

詠矢「ああ、俺もそうか…」

詠矢「俺は詠矢、詠矢空希ってもんだ、よろしくなー」

佐天「佐天、涙子です…。よろしくです!」

詠矢「お、元気な声出たねえ」

佐天「あはは・・・、実はですねえ」

佐天「詠矢さんって怖い人なんじゃないかって思ってたんですよ」

詠矢「俺が?」

佐天「白井さんと御坂さんの話を聞く限りでは…そんな感じで」

詠矢「…どんな風に伝わってるのかすごく気になるんですが」

113 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:07:19.813 ID:iGyNfpT5a.net
佐天「でも、意外と話しやすい人なんですねえ」

詠矢「ああ…そいつはどうも…ありがとう」

佐天「で…能力者…なんですよね?」

詠矢「そうだね…」

佐天「レベルは0だけど、すごい能力だって…」

詠矢「あのさあ?」

佐天「は、はいっ!」

詠矢「喉渇いてないかな?」

佐天「え…?」

詠矢「ちょいと軽く運動したんでね。ちょうど自販機もある。何がいい?」

佐天「い、いえいえ!私が買います!」

詠矢「いや、でもさすがに女の子に買わせるのもねえ…」

佐天「いーえ、せめてこれぐらいは奢らせて下さい!!」

詠矢「んー、じゃあお願いしちゃうかな…。あ、俺は普通のコーヒーでいいよ」

佐天「はい!じゃあ(チャリン)…えっと(ゴトン)…これで…」

詠矢「うい、どうもー(プシッ)」

佐天「私も何か…(チャリン)…(ゴトン)」

詠矢「じゃあ、話の続きだね」

114 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:07:36.414 ID:iGyNfpT5a.net
詠矢「俺は能力者ではあるが、正真正銘レベル0だよ」

詠矢「こないだ、正式な測定ってやつを受けたんだけど」

詠矢「やっぱり数値は検出されなかったよ」

佐天「でも、実際に効果はあるんですよね…」

詠矢「うん。効果は間違いなく有るね」

詠矢「ただ、効果と測定される数値との間にどんな関係が有るのかは」

詠矢「俺にはわからんしね…」

詠矢「レベルってのは目安みたいなもんだし、俺にとっちゃ結構どうでもいいんだよ」

佐天「…」

佐天「…私もね、レベル0なんですよ」

佐天「学園に来て…能力開発とか、自分なりに頑張ってるつもりなんですけど…」

佐天「全然数値が上がらなくて…」

詠矢「…」

詠矢「大変なんだねえ…」

詠矢「俺は、気が付いたら能力を持ってたからなあ…」

詠矢「なんの努力もしてないし…なんか悪いな。能天気で」

佐天「いえいえ、そんなつもりで言ったんじゃ…(アセ)」

佐天「ただ、私と同じレベル0で」

佐天「確かな力を持ってるって、どんな人なのかなあって…」

佐天「ちょっと興味があって…」

詠矢「…」

詠矢「…うーん…」

詠矢「ちょっと質問いいかな?」

115 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:07:54.564 ID:iGyNfpT5a.net
佐天「はい、なんですか?」

詠矢「能力開発ってやったこと無いんだけど…」

詠矢「具体的に何やるのかな?」

佐天「投薬とか、電気刺激とか…。あと普通に勉強もします」

佐天「能力に対して知識を深めることも必要らしくて…」

佐天「でもやっぱり、パーソナルリアリティの獲得には、イメージトレーニングが重要ですね」

詠矢「なるほどねえ…それは解るな」

詠矢「やっぱり能力って、感情や精神から強い影響を受けるみたいだしね」

詠矢「イメージは重要だわな」

佐天「そうなんですよ。私はあんまりその辺が得意じゃなくて…」

詠矢「んー…そうだなあ…」

佐天「…?」

詠矢「佐天サン。レベル0とはいえさ、能力の種類とか起こせる事象とかは解ってるのかな?」

佐天「はい、それは…」

佐天「実は私、前にある事件に関わって…」

佐天「一時的に能力が上がったことがあったんです」

詠矢「へえ…そんときに、有る程度確認できたってことか」

佐天「はい…。風を起こす能力なんですけど…、でも力の形を見たのはそれっきりなんですよね」

詠矢「へえ…風ねえ…」

詠矢「じゃあ、俺の天敵になるぞ」

佐天「へ?…そうなんですか?」

116 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:09:04.744 ID:iGyNfpT5a.net
詠矢「ああ、俺の能力は、相手の耳に声が届かないと効果がないんだ」

詠矢「風を生む能力ってのは定義が難しいが、恐らく空気か気圧を操作する能力だろう」

詠矢「どっちにしろ、そんな能力者にとって音を遮断することなんて簡単だろうし」

詠矢「声が届かなきゃどうしようもない、俺としちゃお手上げになるね」

佐天「あー、確かにそうなりますねえ」

詠矢「『風』ってよりは『空気の操作』って考える方が効果が広がるな」

詠矢「空気の位置を動かして密度を下げれば気圧も操作出来る」

詠矢「気圧の低下による水の沸点の低下、気化熱による凍結とかコンボも可能だし」

詠矢「単純に顔の周りに真空を作って相手を窒息させたりも出来るな」

詠矢「違う速さの風を作って、任意に揚力を生み出すとかどうだろうか」

佐天「ナルホド…少し考えれば出来ることは色々広がりますねえ」

詠矢「イメージさえ出来れば、意外とやれることは多いと思うんだよね」

詠矢「そうやって、得た能力で何しようとか考えると楽しいだろ?」

詠矢「無邪気にそういうこと考えるのも、トレーニングになったりするんじゃねえのかなあ」

佐天「うーん…そうですねえ…風が操れたら…」

佐天「空とか飛んでみたいですね…気持いいだろうなあ」

詠矢「いいねえいいねえ。そんな感じ」

佐天「あと、風って言えばやっぱり初春の…あ…」

詠矢「…なんだ?」

佐天「いえ、ナンデモアリマセン…」

117 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:09:34.488 ID:iGyNfpT5a.net
佐天「ああ、でも、実際に風を操るって、どんなふうにやるんでしょうね?」

佐天「具体的なイメージが湧かなくて…」

詠矢「どうなんだろうねえ…」

詠矢「自然の風は気圧差から生まれるものだけど…、イメージしにくいわな」

詠矢「そしたらさあ…こう、空気をつかんでぶん回す感じでどうよ?」

佐天「つかんで…回す…ですか…むむ…」

佐天「目を閉じた方が集中しやすいですよね…ん…」

佐天「(つかんで…回す…、引っ張ったり投げたりもアリかな…)」

佐天「…」

詠矢「…(さあて…、どうかな)」

詠矢「…ん…?(何の音だ?)」

詠矢「…(風音?)」

突如、不自然な風が吹く。それは少女を中心に渦を巻き、集束し、やがて霧散していく。

佐天「…?(ヒュゴゴゴ)…(ヒュ-)」

詠矢「…(消えた…か。だが、今のは確かに!)」

佐天「…あれ…なんか風が…?」

佐天「え!?、まさかそんな急に…?」

佐天「気のせい、ですよね…やっぱり…はは・・・」

詠矢「来たぜ、佐天サン…」

佐天「何がですか?」

詠矢「君のおかげでようやく立証が出来た。ありがとう」

佐天「・・・?あの、話が見えないんですけど…」

118 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:10:06.756 ID:iGyNfpT5a.net
詠矢「俺も、自分能力を模索してる最中なのさ。その答えの一つが今出たんだ」

佐天「…は、はあ…出来ればもう少しわかりやすくお願いします…」

詠矢「絶対反論(マジレス)には別の使い方があるんだ…つまり…」

白井「お取り込み中失礼します」

詠矢「…あ…?」

詠矢「…こいつは白井さん、お久しぶり…」

白井「お久しぶりですわね…」

佐天「あ、白井さんじゃないですか。どうしたんですか?」

白井「先ほど、事件がありまして…その対応ですわ」

白井「状況からして、ただの能力者同士の喧嘩だったのですが…」

詠矢「あ…もしかして…」

白井「倒れていた男に供述を取ってみると」

白井「能力の制御がどうのとか、ゴチャゴチャうるさい奴がいたとか…証言が取れまして」

白井「まさかと思って周囲を捜索していたのですが…」

詠矢「…大当たりだねえ…」

白井「そのようですわね」

白井「まさか、佐天さんまで関わっていようとは、思いもよりませんでしたが…」

佐天「あの、もしかして詠矢さんが疑われてるんですか?」

佐天「だったら違います!詠矢さんは私を…助けてくれたんです!」

白井「それはわかっていますわ佐天さん」

白井「あの不良共は、このあたりでは有名な札付きでしたし」

白井「佐天さんがからまれていたことも」

白井「先に手を出したのが向こうであることも、目撃者の証言からも明白です」

詠矢「そこまではっきりしてるんなら、俺に何の用だい?」

詠矢「もしかして用があるのは佐天サンの方とか?」

白井「いいえ、ご用件は詠矢さんにです」

119 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:10:22.792 ID:iGyNfpT5a.net
白井「容疑が無いとはいえ、加害側からは証言を取っておく必要があります」

白井「それとは別に、詠矢さんに確かめたいことがありますので…」

白井「支部まで出頭願えますこと?」

詠矢「俺に…ねえ…。どうするかねえ…」

白井「悩む必要はございませんわ」

白井「わたくしが申し渡した約束、もうお忘れですか?」

詠矢「…ああ…次に出頭を…だな」

白井「思い出していただければそれで結構ですわ」

白井「では、まいりましょうか?」

詠矢「うい、素直に了解だ。んじゃ、ここでお別れだ佐天サン」

詠矢「送っていけなくてゴメンな?」

佐天「いえ、そんなことは…」

詠矢「じゃ、縁があればまたな…」

佐天「はい…えっと、いろいろとありがとうございます!」

詠矢「うーい。こっちこそありがとう」

詠矢「んじゃ行きますか。白井サン」

白井「では参りましょう…今回も『徒歩』ですわよ?」

120 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:11:43.774 ID:C1urH98x0.net
二期長すぎ

121 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:11:58.871 ID:iGyNfpT5a.net
(ジャッジメント177支部)
白井「では、調書はこれぐらいでいいでしょう」

詠矢「結構簡単に済んだねえ…」

白井「ええ、状況は既に把握しておりますので」

白井「では、ここからが本題です」

白井「初春、これ以後の記録は必要ありません。手を止めて下さい」

初春「あ、そうなんですか?じゃあ…わかりました」

詠矢「なんだい、またあらたまって…」

白井「あなた相手に、回りくどい話は無駄でしょう」

白井「詠矢さん、わたくしに隠してることはございませんか?」

詠矢「…質問の意味がよくわからんが…?」

白井「では、わかるように、わたくしが気づいた事をお教えしましょう」

詠矢「…気づいた?」

白井「転移の暴発の後、川に落ちたとおっしゃいましたね?」

白井「最初にお会いした路地裏から、わたくしの能力の射程、81.5m…」

白井「その範囲を、地図上で調べてみましたの」

白井「…もうお分かりですか?」

詠矢「ああ…何が言いたいかはわかった…」

詠矢「範囲内には、川なんか無かったってことか」

白井「ええ、その通りですわ」

白井「あなたは、わたくしの能力の限界を超えて転移したことになります」

白井「限界値というものは、能力開発の過程で、綿密な計測のものとで確定します」

白井「いくら暴発したとはいえ、何かの間違いや勢いで超えてしまうものではありません」

白井「ですので…必然的に、原因はあなたの能力ということになります」

122 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:12:15.884 ID:iGyNfpT5a.net
詠矢「…さすが白井サン…鋭いね…。全部正解だよ」

白井「わたくしの転移限界を知ろうと拘ったのも、そのせいですね」

詠矢「ああ…そいつも正解だな…」

詠矢「能力を実感してから、ずっと考えていたことなんだけどね」

詠矢「俺は能力の定義を『抑制』とは言わず、あえて『変質』と言った…」

詠矢「自分で自分の可能性を潰しちまわないようにな」

白井「ではやはり、絶対反論(マジレス)は、能力の増幅も可能だと…」

詠矢「間違いなく可能だな…。具体的なやり方もなんとなくわかった」

詠矢「否定して思い込ませれば抑制出来るんだから」

詠矢「新しい可能性を指摘し、それを肯定して思い込ませれば増幅が可能だろう」

白井「…また、とてつもなく厄介な能力になりましたわね」

詠矢「そうかい?能力の増幅なんて、使い勝手いいしさ」

詠矢「能力開発に苦労してる人もいるみたいだし、すげえ需要あると思うんだけどねえ」

白井「詠矢さん、あなたはこの学園都市の実情をご存知無さ過ぎます」

白井「絶対能力進化(レベル6シフト)…というのをご存知ですか?」

詠矢「レベル6?…能力のレベルって5までじゃなかったか?」

白井「その存在しないレベル6を作り出すための実験…」

白井「この学園都市の最終目的の一つでもあります」

詠矢「なんか、聞いただけでヤバそうな話だな…」

白井「いまだに、この実験に絡んで暗躍している者がいるという話です」

白井「実際に、私が関わった事件もあります」

123 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:12:38.977 ID:iGyNfpT5a.net
詠矢「そういう連中からしてみれば、俺の能力は…魅力的だろうな」

白井「恐らく…そう映るでしょうね」

白井「そのことを解っていただいた上で、あなたにお願いがありますの」

詠矢「忠告ならわかるが…お願いかい?」

白井「ええ…、もしあなたに実験を望む者たちから接触があっても、一切関わらないで頂きたいのです」

詠矢「…なぜ白井サンがそんなことを願うんだい?」

詠矢「理由を聞かせてくれる助かるね」

白井「レベル6シフト実験…それで、とても悲しい思いをした人がいますの」

白井「そのかたに、もう一度同じ思いをして欲しくない…」

白井「それがわたくしの願いです」

詠矢「なるほど…一途だな…いいねえ、そういうの」

詠矢「まあ俺も、ハナから面倒ごとは願い下げだし」

詠矢「白井サンに頼まれるまでもなく、そんな話が来てもこっちからお断りだね」

白井「ならよろしいのですが…ご理解頂いて感謝します」

詠矢「いやなに、別に俺は何もしてない」

詠矢「色々と教えてもらってこっちが礼を言いたいぐらいさ」

詠矢「…さて、話は終わりかな?」

白井「ええ、お話したいことは以上ですわ」

白井「お帰り頂いて結構です」

詠矢「うい…。じゃああっさり帰るぜ」

詠矢「またなー」

124 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:12:55.850 ID:iGyNfpT5a.net
初春「…ほんとにあっさり帰っちゃいましたね」

初春「じゃあ、私も帰ります」

白井「お疲れさま…。あら初春、パソコンの電源が入ったままですわよ?」

初春「あ、いいんですよ。実験に参加中なんで…」

白井「実験?」

初春「ええ、ネットワーク上の余剰演算力の活用実験だそうで…」

初春「ネットワーク上に存在するパソコンやゲーム機の余った処理能力を利用して」

初春「どこまで高い演算能力が確保出来るかって実験です」

白井「…ちょっと胡散臭いですわね…。チェーンメールの類ではありませんの?」

初春「いえ、私も最初はそう思ったんですけど…」

初春「学園の開発部から正式な通達みたいで…」

初春「ツリーダイヤグラムには遠く及ばないみたいですけど」

初春「また天気予報が当たるようになればいいなって…」

白井「そうでしたの…なら仕方ありませんわね…」

初春「じゃあ、お先に失礼します」

初春「あ、ちょっと気になったんですけど、あの詠矢って人…」

初春「あれで、ホントに理解してくれたんでしょうか?」

白井「恐らくは大丈夫かと…、考えのない人物では無いと思いますので…」

白井「それに…」

初春「…?」

白井「あの方は、わたくしを傷つけようとはしなかった。やろうと思えば出来たにも関わらず…」

白井「その点では、最低限の信頼を置いてもよろしいかと思います」

初春「…へえ…」

白井「なんですの?」

初春「いえいえ、なんでも…」

125 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:15:45.955 ID:iGyNfpT5a.net
(とあるコンビニ)
詠矢「ありがとうございましたー」

詠矢「ふう、そろそろ上がりかな?」

詠矢「最後に揚げ物でも用意しとくか…よっと」

詠矢「…(お、誰か来た)…いらっしゃいませー」

佐天「こんにちわー!!」

詠矢「お、佐天サンじゃねえの。しばらくぶり…」

佐天「しばらくって、一週間も経ってないですよお」

佐天「ここでバイトしてるって聞いて、ちょっと寄ってみました!」

詠矢「おうおう、そうかい。まあなんか買っていってくんな」

佐天「いえいえ買い物じゃなくてですね、ちょっとお伝えしたいことが」

詠矢「ん?なんだい?」

佐天「こないだ、また能力の検査をやったんですけど…」

佐天「レベルは相変わらず0のままなんですけど…数値はかなり上がったんですよ!」

詠矢「…へえ…そうなんだ…そいつはよかった…」

佐天「…あれ?あんまり喜んでくれないんですね…」

佐天「きっと、詠矢さんのアドバイスのおかげだと思うんですけど…」

詠矢「なあ佐天サン、ちょっとお願いなんだけどさ?」

佐天「…なんですか?」

126 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:16:03.025 ID:iGyNfpT5a.net
詠矢「こないだ、俺が能力についてどうこう言った事さ、誰にも言わないで欲しいんだよ」

佐天「えっ?…どうしてですか?」

詠矢「なんかさ…同じ様に能力が上がるんじゃないかって人が来るとさ」

詠矢「面倒だろ?いろいろと…」

佐天「…面倒…なんですか…」

詠矢「こないだのも単なる偶然だと思うし…変に期待されても迷惑だから」

佐天「…詠矢さん…そんな言い方って…」

詠矢「…ま、とりあえずそういうことでお願いしとくよ」

佐天「……はい」

上条「うわっと!…わりい、遅れた!」

詠矢「おお、上条サン待ちくたびれたぜ。早いこと準備してくれ」

佐天「…」

上条「アレ…なんでせうかこの空気は?」

詠矢「つーわけで佐天サン、俺今日は上がりだから…またどっかでな」

佐天「あっ…あの!!」

詠矢「んじゃ、奥で着替えるか…」

佐天「…」

上条「…???」

佐天「…帰ります」

上条「……」

上条「…俺も着替えるか…」

127 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:16:26.037 ID:iGyNfpT5a.net
(とある街角 夕刻)
詠矢「さあってと…いつもの通り見切り品漁りコースか…」

詠矢「…」

詠矢「(しかし、さっきは驚いたな。いきなり佐天サンが来るとは)」

詠矢「(まあ、ああ言っておけば、俺のことを誰かに話したりもしないだろ)」

詠矢「(もうちょっと言葉を選べばよかったかもしれんが…)」

詠矢「(色々とヤバイみたいだし、なるべく話が広がらないようにしとかないとね)」

詠矢「(…いろいろと心は痛むけど…まあしょうがない)」

詠矢「(放置すると、彼女自身を巻き込む可能性も出てくるしな)」

詠矢「…ふう…」

詠矢「…なんか飯作るのも面倒だな…」

詠矢「どっかで牛丼でも食って…」

詠矢「…!?(シュン)」


詠矢「うおっ!!(ドガシャッ)」

詠矢「いてて…?なんだ…ここは?」

詠矢「カウンター…テーブル…椅子…。喫茶店かどっかか」

詠矢「この時間に照明も付いてねえ…定休日か潰れた店舗ってとこだな…」

詠矢「いや、問題はそんなことじゃない」

詠矢「なんでいきなりこんな所にいるかって事だ…」

??「あーら、いらっしゃい」

??「っても、店員でもなんでもないんだけど」

詠矢「…こいつは…ずいぶんと刺激的なお姉さんだねえ…」

??「それは誉めてもらってるのかしら?」

??「面倒だろうから、名前は名乗っておくわ」

??「私は結標ってもんさ。アンタを連れて来いってお達しでね」

詠矢「…ついに来たか…。まあ、来て欲しくは無かったけどな」

結標「悪いけど一緒に来てもらうよ」

詠矢「答えは一つ。既に決まっている」

詠矢「とりあえず、今の段階では『やだね』だ」

128 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:19:26.580 ID:/qYVKSaxa.net
懐かしい再放送

129 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:20:46.875 ID:hYkgE92I0.net
そう言えばssスレってなんで廃れたん

130 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:21:17.448 ID:OMF5wlG7a.net
糞懐かしい

131 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:24:33.233 ID:iGyNfpT5a.net
(とある施設)
冥土帰し「やあアクセラレーター。わざわざすまないね」

一方「ったく…なンだってんだ急に呼び出しなんてよ…」

冥土帰し「開発部からちょっと実験の依頼でね」

一方「実験ン?」

冥土帰し「ああ、君にとっても悪い話ではないようだ」

冥土帰し「悪いが、頼まれてやってくれないかね」

一方「そいつは、実験の中身を聞いてからだ」

一方「俺は俺の判断で決める」

冥土帰し「まあ、君ならそう言うだろうね…」

研究者「では、説明は私からしましょう」

一方「なンだテメエは?」

研究者「私は開発部の者です」

研究者「今回の実験は開発部が主導しておりまして」

研究者「私はその責任者となります」

一方「へえ…そうか…。で、その責任者様が俺に何の用だ?」

研究者「あなたに、新たな演算環境をご用意しました」

一方「演算環境、だと?」

132 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:24:47.872 ID:iGyNfpT5a.net
研究者「ええ、ネットワーク上の余剰処理能力を利用した」

研究者「擬似的な並列演算装置の実験ですよ」

研究者「この学園都市には、膨大な数のパソコンや処理装置が存在します」

研究者「それらをネットワーク上でつなぎ合わせれば」

研究者「ミサカネットワークにも引けを取らない演算能力を得ることができます」

一方「おいおい、引けを取らないってことは」

一方「大して変わらねえって事じゃねえか…」

一方「そいつを使うことで、俺に何のメリットがあるってンだ?」

研究者「この都市には、ネットワークの死角がほぼ存在しません」

研究所「地下であろうと移動中であろうと、安定した演算環境が確保できます」

研究者「そしてもう一つ、これを…」

一方「ンだ?その懐かしのデザインのヘッドフォンは…」

一方「お偉い研究者さんってのは、アンティーク趣味でもあんのか?」

研究者「いえ、これは端末です。あなたのチョーカーに付いているものと、ほぼ同じ機能を持ちます」

研究者「思考波とのやり取りを必要としないため、高い汎用性を持つ装置です」

研究者「バッテリーも、既存のリチウム電池を使うことが出来ました。交換も容易です」

一方「なるほどねえ…。それなりに魅力的な謳い文句だが…」

一方「世の中、美味い話ってのはなかなかねえもんだ…。テメエらをどうやって信用しろってんだ?」

133 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:25:06.156 ID:iGyNfpT5a.net
研究者「そうですね、確かに信用は置けないかもしれません」

研究者「ただ、これも我々なりに考えた結果です」

研究者「あなたとミサカネットワークを切り離すことが出来れば」

研究者「彼女たちに害が及ぶ可能性が下がるはずです」

研究者「あなたとしても、より行動に自由が生まれるのではないでしょうか?」

一方「…」

一方「…この実験が上手くいけば…、あのクソガキのお守りもお役ゴメンってワケか?」

一方「面白いじゃねえか…。試してみるのも悪くねえ」

一方「おい、さっさとそいつをよこせ…」

研究者「どうぞ…。ヘッドフォンのように頭に被って頂ければ結構です」

研究者「装着した後、ケーブルをそこの端子につなぎなおして下さい」

一方「ここか?」

研究者「ええ、それでいいです」

一方「最後に確認しとくが…」

研究者「なんでしょう?」

一方「下手な真似したら…、テメエら全員、天国にも地獄にも行けねえように」

一方「塵一つ残さず消し潰してやるからな…覚えとけよ」

研究者「…もちろん…わかっていますよ…」

研究者「では、回線を開きます」

134 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:25:21.889 ID:iGyNfpT5a.net
職員A「…(カタカタ)」

職員B「…(カタカタ)」

一方「…ん…がっ!!(キィン)」

冥土帰し「どうした…アクセラレーター」

研究者「学園第一位の能力者も、意外と甘いようで…」

冥土帰し「なんだって?」

研究者「今、彼の演算は我々の手にある」

研究者「そこから、思考に介入することは容易なのですよ」

冥土帰し「まさか…そのためにこの実験を!?」

冥土帰し「おい、アクセラレター!アクセラレター!!」

一方「…」

研究者「申し訳ありません。彼の信頼を得るために、あなたの名を利用させて頂きました」

研究者「お引取り願いたいところなのですが…」

職員C「…(ジャキ)」

職員D「…(ジャキ)」

冥土帰し「…銃か…またずいぶんと準備がいいものだね」

研究者「口外されてもいささか困るもので。しばらく我々と行動をともにして頂きます」

冥土帰し「…これは、学園都市への明確な反逆行為だ…」

冥土帰し「こうまでして、君たちが望むものとは何かね?」

研究者「ご説明の必要も無いかと思いますが…?」

研究者「神の道へ至る扉の鍵が、集まりつつあるのですよ」

研究者「それがいかに不確定であったとしても…」

研究者「可能性は一つずつ潰していく…それが科学者というものでしょう?」

135 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:25:26.170 ID:Xe3WcuKn0.net
これ再放送なん?新しく作ってね?

136 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:25:41.379 ID:iGyNfpT5a.net
(とある喫茶店)
結標「『やだね』って…要するに拒否するわけね?」

詠矢「ああ、理由も告げずにただ来いって」

詠矢「そんなもん素直についていくと思うか?」

結標「知らないわよ、理由なんて…」

結標「悪いけど、私だって細かい事情は聞かされてないのよ」

詠矢「話にならんな…。もっかい戻ってだな、その指示したって奴に…」

結標「…(シュン)」

詠矢「(ドスッ)ぐあっ!!…(な、なんだこれ…フォークが肩に…)」

結標「こっちだってガキの使いじゃ無いのよねえ」

結標「面倒なんで、大人しく付いてきてくれない?」

詠矢「(…これ抜かねえと)んっ…んぎぎぎぎっ!!(ザスッ)…痛ってーな」

詠矢「転移能力者…か。いきなり仕掛けるとは容赦ねえなあ…」

詠矢「しかし…いーのかね?」

結標「なによ…」

137 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:26:08.299 ID:KKnkJcUI0.net
格ゲーの女キャラと戦うのって詠矢空希だっけ

138 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:26:19.895 ID:tx+4pHpH0.net
昔のターミネーター2並みに再放送されるよな

139 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:26:32.297 ID:iGyNfpT5a.net
詠矢「どんな人間でも考えてからそれを実行するまでブランクがある」

詠矢「それがどんなに短い時間でも、その瞬間に俺の体の位置が移動する可能性はあるわな?」

詠矢「肩口を狙ったなら心臓や肺、頚動脈も近い。脳もそう遠くないな…」

詠矢「転移能力者が座標を指定して物体を送り込んでるのは知ってるぜ」

詠矢「何かの間違いで俺が死ねば、アンタの仕事は果たせなくなる」

詠矢「いや、それよりも…」

結標「…?」

詠矢「アンタに人殺しになる覚悟があるのかい?」

結標「…!!(しまった、コイツの話はを聞いては…!!)」

結標「…貴方の話は聞かないわ!!(シュン)」

詠矢「…(今だ!)…(ザッツ)…」

詠矢は後ろに飛びのく。直後、足があった位置に転移してきたフォークが、そのまま床に落下する。

結標「なっ…!! どうして…!?」

詠矢「肩にあててビビらした後は、足を狙って動きを止める…」

詠矢「狙う場所は一番面積の広い大腿部…読めるぜ?」

結標「やるじゃないの…じゃあコイツはどう?!(シュン)」

結標が懐中電灯を一振りすると、周囲の椅子やテーブルが次々と詠矢の上空に送り込まれる。

詠矢「うおっ!!(ドカッ)…っと(ドカッ)…!!(ドカドカッ)」

詠矢「…くっ…(何とか避けれたか…)」

詠矢「(さて、どっかに隠れて視界から…)うおっ!!(キイン)…(タスタスタス)」

結標「避けきれたと思った?甘いわねえ!!(シュン)」

詠矢「そりゃ…ここじゃフォークは、売るほどあるもんなあ…」

詠矢「っと!!…とり合えず、視界から…消えないとねえ!!」

足元を狙い、床に刺さるフォークを避けつつ、詠矢はカウンターの裏へと体を滑り込ませた。

140 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:26:47.965 ID:iGyNfpT5a.net
結標「…ちっ!」

詠矢「(視界外への転移は、さっきの論証でやりにくくなっているはず)」

詠矢「(正確な位置を確認出来ない状況では、俺を殺してしまう可能性が格段に上がるからな)」

詠矢「(ここに隠れてればしばらくは安全だが…、さてこっからどうするか…)」

結標「出てきなさい!どれだけ逃げても隠れても、私の座標転移(ムーブポイント)からは逃れられないわ!」

詠矢「なるほど…。接触を必要としない転移か…厄介だな…」

詠矢「だが、自由すぎる能力ってのも逆に難しい…」

詠矢「形のはっきりしてるものは、転移の指定もやりやすいだろうが…」

詠矢「気体や液体、もしくは飛散した粉末なんかはどうかな?」

結標「…聞かないって言ってるでしょう!!(シュン)」

先ほどと同じように、椅子やテーブルをカウンター裏の上空に転移させる。

詠矢「…がっ!(ドカドカッ)…(ドシャ)」

詠矢「…」

結標「…(仕留めた?)…」

結標「…ねえ…」

結標「返事しなさいよ…潰れちゃった?…」

結標「大人しくするなら、助けてあげなくもないわよ?」

詠矢「…」

結標「…」

詠矢「…運動し、飛散していく物質の全てを指定し、転移させることは難しい。いや出来ないだろうな…」

結標「…なっ!!」

詠矢「つまりは、こういうことだ!!(バッ)」

141 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:27:03.760 ID:iGyNfpT5a.net
カウンターを乗り越え、詠矢は姿を現す。その手には…。

結標「(消火器!!)」

詠矢「うりゃ!!(バシュゥゥゥウ)」

結標「ひっ!…(シュン)」

詠矢「ムリだって。全部消しきれるわけねえだろ!!(バシュゥゥゥウ)」

結標「…っ!きゃあぁぁぁあ!!(バシュゥゥ)」

詠矢「(よしっ!ここで集中が途切れる、一気に距離を詰めて!)…どっせい!(上段回し蹴り!)」

結標「んっ!!」

詠矢「(ズルッ)あっ…!!(軸足が!)…(くそっ!浅い!)」

結標「がっ!!…痛ったい…わね!!(シュン)」

詠矢「(消えた!!)…(どこだ!)」

結標「…(シュン)」

詠矢「…(後ろか!!)」

結標「…ふっ!!(ブン)」

突然、背後に現れた結標は、手に持った懐中電灯で詠矢の頭部を一閃する。

詠矢「…がふっ!!(ゴッ)…」

結標「…女の…顔…蹴り飛ばすなんて…いい根性してるわね…ウッ(ゴホッ)」

詠矢「そりゃ、お互いさまでしょうが…」

詠矢「しかし、自己転移って手があったんだな…。すっかり忘れてたぜ」

詠矢「…ん?それじゃあ…なんで消火器を向けられたときに逃げなかったんだ?」

結標「…(ゴホゴホッ)」

詠矢「自己転移は使えない、もしくは使いたくない理由でもあるのかな?」

詠矢「そういやあ…ずいぶんと具合悪そうだな…」

結標「っさいわねぇぇええ!!」

142 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:27:22.724 ID:iGyNfpT5a.net
結標「あんた本気でムカツクわ!!!ぶっ壊してあげるわよ!!(シュンシュン)」

詠矢「よ、あぶねえっての!!(ドカドカッツ)…(キイン)…(タスタスタス)」

詠矢「(無茶苦茶しやがるなあ)…(だが雑な攻撃は逃げ回ってればなんとか…)よっと」

結標「(また…カウンターの裏に)…もおいいわ、上にはあんたの死体を持って行くことにする…」

結標「…!(ブン)」

詠矢「うおっ!!」

一呼吸置いた後、結標大きく腕を振るうと、大量の机と椅子が上空に現れる。

それらは轟音とともに落下し、カウンターとその周囲を完全にを押しつぶした。

結標「…どう?今度こそ本当に潰れた?」

結標「…」

結標「…ああ、無理もないわね。死んじゃったら返事できないもの…」

結標「そうね、死体は確認しておかないと…(シュン)」

山となっている机や椅子を転移で排除すると、結標は押しつぶされたカウンターの裏を覗き込む。

結標「…(居ない?)…どこへ…?…あっ!」

彼女の目に写ったのは、カウンターの奥にづづく厨房、さらにその先にある外側に開け放たれた勝手口だった。

結標「まさか…逃げた…!?って…どこへ…?」

結標「まだそう遠くへは行ってないはず…追えば十分…」

逃走経路を確認しようと、彼女は勝手口まで進む…が、直後。

143 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:27:44.133 ID:iGyNfpT5a.net
詠矢「うりゃ!!(ドカッ)」

裏に隠れていた詠矢は、絶妙のタイミングと渾身の力を持って扉を蹴り飛ばした。

結標「がっ!!(バンッ)」

全く予期していない攻撃に、結標の左半身は扉に強く打ちつけられた。

結標「…っつ…くぁ!!」

詠矢「よっ…と」

結標「…な…(組み付かれた!)…(首を…!)」

詠矢「逃げようったって無駄だぜ。今絞めてるのは頸動脈」

詠矢「脳貧血の進行する状態で、演算なんぞ出来るわけねえよなあ!!」

結標「……!!」

結標「……!」

結標「………(カクッ)」

詠矢「悪いな…。そのまま逃げようかと思ったんだが」

詠矢「転移能力者相手に、足で逃げ切れる自信が無かったもんでね…」

詠矢「しばらくオヤスミしといてくれ」

詠矢「(寝かせて…気道確保…)っと…」

詠矢「んじゃ…な。『またな』無しだ」

144 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:28:00.724 ID:iGyNfpT5a.net
(とある路地、夜半)
詠矢「まったく…ひでえ目に合ったなあ…」

詠矢「病院行きたいんだが…、この傷、どう説明すりゃいいんだ?」

詠矢「間違いなく事件性が疑われるよなあ…」

詠矢「このナリじゃ、人目に付くとマズイ…。どっかでしばらく休んでジャッジメントに駆け込みかな…」

詠矢「白井サン…アドレス聞いときゃよかったなあ…」

??「…(スッ)」

??「…(スッ)」

詠矢「…?(何だ?囲まれてないか?)」

詠矢「(なんか道の前後を塞がれたんだが)」

詠矢「(ヤバイ雰囲気しかしねえな)」

詠矢「えーっと、もしかして俺になんか用ですかね?」

職員A「唐突で申し訳ありません。我々は学園都市技術開発部のものです」

職員B「少しご協力をお願いしたいのです」

詠矢「えー…って、まさかの連チャンのお誘いですか?」

詠矢「カンベンしてくださいって…」

145 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:28:38.470 ID:iGyNfpT5a.net
職員A「いかがでしょう?ご同行願えますか?」

詠矢「…少なくとも、理由ぐらいは教えてもらえるんですかね?」

職員B「ある実験に参加していただきたいのですよ」

詠矢「あーもう…予備情報どおりの話で泣けてくるねえ…」

詠矢「悪いけど、ちょいと約束がありまして…。丁重にお断りさせて頂きます」

職員A「そうですか…。ですが、こちらとしてもそれで引き下がるわけにもいきませんので…(ジャキ)」

職員B「…(ジャキ)」

詠矢「…(銃!?)…(おいおい、シャレになってねえぞ…)」

職員A「どうですか?お気持ちは変わりませんか?」

詠矢「…(って、選択する余地ねえだろ、この状況は)」

職員B「我々としては、貴方の『能力』がどうしても必要なのですよ」

詠矢「……」

詠矢「俺の能力を知ってて銃口を向けるとはいい度胸だな…」

職員A「?」

職員B「?」

詠矢「俺の能力は絶賛進化中なんだよ。さっきの戦闘でまた一段と強くなった…」

詠矢「いまや絶対反論(マジレス)は、能力者意外にも高い効果を発揮する…」

詠矢「俺の一言で、誰にでも強い暗示を与えるんだ…。あんたら、その立ち位置じゃあ…」

詠矢「俺が逃げたら同士討ちだぜ?」

職員A「なっ…!」

職員B「なに?」

詠矢「なーんてね…」

詠矢「(と、ひるんだスキに逃げる!!)」

職員A「しまっ…た!!」

職員B「くそっ、追え!逃がすな!!(ダッ)」

146 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:28:52.453 ID:iGyNfpT5a.net
詠矢「(とり合えずまいた、かな?)」

詠矢「(しかしなんなんだあいつらは、街中で銃なんぞ持ち出して)」

詠矢「(まだ諦めたとは思えないな…)」

詠矢「(コイツは逃げ切れないかもな)」

詠矢「(よし)…(今のうちに)…(ポチポチ)…(うっしゃ)」

職員C「いたぞ、こっちだ!」

詠矢「(おいおい、新手かよ…俺一人にどんだけ用意してんだよ!)」

詠矢「くそっ!(ダッ)」

職員A「…(ザッ)」

職員B「…(ザッ)」

詠矢「(マズい…追い込まれてるな…。数で来られるとどうしょうも…)」

詠矢「(いや、諦めるな…どっかに活路が…)」

??「…(キュイーン)」

詠矢「うわっ!!(何だ?地面が急に…隆起した!)」

詠矢「(ドサッ)…(ゴロゴロゴロ)…っつ…何だ急に…」

研究者「てこずらせてくれるね」

研究者「絶対反論(マジレス)の詠矢空希君…」

147 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:29:04.521 ID:zKzns6yb0.net
犯罪者しかいない都市

148 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:29:10.624 ID:iGyNfpT5a.net
詠矢「…流石に…ここまでか…な?」

研究者「先に言っておくが、私は能力を持たない一介の研究者だ」

研究者「論証しようとしても無駄だよ」

研究者「それにだね…」

職員A「…(ジャキ)」

職員B「…(ジャキ)」

職員C「…(ジャキ)」

詠矢「(これは、手でも上げといたほうがよさそうだな)…(スッ)」

研究者「いくら君でも、炸薬によって弾丸が発射される原理を否定することは出来まい」

詠矢「…おっしゃる通りで…。なんの物理法則にも抵触してねえもんな…」

詠矢「で…実験の、お手伝いでしたっけか?」

研究者「ああ、彼の論証をお願いしたい」

詠矢「…彼?」

研究者「そうだ、学園第一位の能力者…。神への道にもっとも近い人物だ」

研究者「さあ、こちらへ…」

一方「…」

詠矢「ま…まさか」

詠矢「あんたは…あの時の!!」

149 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:29:32.450 ID:iGyNfpT5a.net
(操車場跡地)
詠矢「(さて、まずは状況を理解しよう)」

詠矢「(俺は小物臭い研究者風の男に拉致された)」

詠矢「(目的はレベル6シフト実験で間違いないだろう)」

詠矢「(肩の傷は応急処置を受けた。腹減ったといったらカロリーメイトくれたな)」

詠矢「(だが全快とは言いがたい。全力で活動することは無理だろう)」

詠矢「(で、今現在の場所ですよ)」

詠矢「(見るところだだっ広い、古戦場ですかって雰囲気の廃墟だね)」

詠矢「(構造物や残骸を見るに、鉄道関係の施設跡かな…)」

詠矢「(そこに、命の恩人さんと二人っきりってワケだ)」

研究者『では、ルールを説明しよう』

詠矢「うわっ!どっから音出てるんだ?」

研究者『君の正面に対峙しているのは、学園第一位の能力者、一方通行(アクセラレータ)だ』

研究者『彼の頭部に装着している端末に、マイクとスピーカーが搭載されている』

研究者『彼に向かって話せば、我々と通常に会話することが出来る』

詠矢「(端末?…ああ、なんかいかにも『悪の組織の洗脳装置』って感じだね)」

150 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:29:50.445 ID:iGyNfpT5a.net
詠矢「ナルホド…要するに普通に話しかけろってことですな…」

詠矢「でも、なんて呼べばいいのかね?面識はあるんだけどロクに話したことなくてな」

詠矢「アクセラレターだから、略してアクセラサンとか?」

詠矢「…なんかマツダの車みてえだな」

詠矢「まあいいや、適当に第一位サンとでも呼んどこう」

研究者『…説明の続きいいかね?』

詠矢「…根本的に納得いってませんが…、お聞きしましょうか…」

研究者『我々の最終目的はレベル6を創造することにある』

研究者『君の力で、アクセラレータの能力を増幅し』

研究者『その高みに彼を導いて欲しい』

詠矢「…おいおい、俺の能力知ってるのか?」

詠矢「適当にツッコミを入れて、他人の能力を変質させるだけだぞ?」

詠矢「そんな大それた事、出来るわけねえだろ?」

研究者『我々は、学園の能力者に関して全て把握している』

研究者『君の能力にも早くから注目し、調査させてもらっている』

研究者『実際に、君に関わって数値が上昇した人物からの証言も取れている』

詠矢「なっ…、どっからその話を!!」

151 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:30:53.875 ID:iGyNfpT5a.net
研究者『数値計測を担当した係員からだ。あまり明確な情報ではなかったが…』

研究者『我々が君の能力に対して立てた推論を裏付けるには、十分な証拠だったよ』

詠矢「(そうか…、佐天サン、俺と合う前に話しちまってたか…)」

詠矢「(てーことは…、ヤバイないろいろと)」

詠矢「…」

研究者『沈黙の肯定…と言ったところかな?』

詠矢「よく調べてますねえ…。まあ、実例が有る分、否定は出来ないっすね」

詠矢「だが、実例が有るってだけで、なんの裏付けもない能力です」

詠矢「そんなもんに、研究者サンの人生賭けてもいいんですかね?」

研究者『構わんさ…。我々とて既に後には引けない』

研究者『たかが私の存在一つ、賭けてもいい実験だと思っている』

詠矢「…狂信者ですねえ…」

研究者『科学、というものにはね、魂を売る価値はあるのだよ』

詠矢「(…ダメだ、説得は聞きそうにねえな)」

詠矢「じゃあ…ついでに聞きますが、俺に拒否する権利は無いっすかね?」

研究者『拒否するのは構わないが、気持ちが変わるまで痛い思いをすることになる』

詠矢「そいつはカンベンだな…」

152 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:31:08.805 ID:iGyNfpT5a.net
研究者『なら素直に従ってくれたまえ』

研究者『あまり強情を張るようだと…我々としては』

研究者『君に動いてもらえるよう、他に手を考えなければならない』

研究者『聡明な君なら、これ以上は説明しなくともわかるだろう?』

詠矢「…なるほどね」

詠矢「わかりました…やりゃあいいんでしょ?」

詠矢「どうなるかわかりませんけど、やるだけやってみますよ」

詠矢「ただ、最初にしっかり抗わせてもらいますよ」

詠矢「思いつく限りやってみないと、後で論証に実が入りませんので…」

研究者『好きにしたまえ…』

研究者『ただ、逃げるのは不可能だぞ』

研究者『この封鎖地区は隔壁で取り囲まれている。普通の人間が乗り越えら得る高さではない』

研究者『範囲内には、監視カメラが数箇所配置してある』

研究者『君は常に監視下であることを忘れないでもらいたい』

詠矢「へいへい…よく理解できました…」

詠矢「んじゃ…早速!!(ダッ)」

突然、弾かれたように走り出すと、詠矢は一気に相手との距離を詰める。

153 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:31:24.632 ID:iGyNfpT5a.net
詠矢「(恐らく、この端末が元凶…コイツを取れば!!)」

一方「…(スッ)…(キィン)」

詠矢「…うわっ!!(ブワッ)…!!!(ゴロゴロゴロ)…くっそ…(思いっきり吹っ飛ばされた)」

詠矢「なんの…もっかい!!…(ダッ)」

一方「…(キィン)」

詠矢「がはっ!!(なんだ、いきなり腹に衝撃が!!)…ぐがあっ!!(ゴボッ)」

研究者『空気のベクトルを操作して衝撃波を作り出した』

研究者『見事に命中したようだね』

詠矢「…な、なんだよ…静止してるものも操作出来るのか…」

詠矢「そんなもんベクトル変換って呼ぶんですかね?」

研究者『運動量も含めてベクトルなのだよ…』

詠矢「(何だよそれ…。そんなモン単なる念動じゃねえか)」

詠矢「(いや、ベクトルって言葉使ってるってことは)」

詠矢「(下手すると電磁波や光も含まれる…。念動よりはるかに範囲が広い)」

詠矢「要するに、全てのエネルギーを方向や量も含めて操作出来る能力って…ことか…(ゴホッ)」

詠矢「流石第一位…壮大な能力だねえ…」

154 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:31:36.975 ID:iGyNfpT5a.net
研究者『理解は出来たかね?なら、実験に移ってもらおうかな』

研究者『彼の能力は、今のところ接触が条件となっている』

研究者『その制限を外す方向で論証してみてくれ』

詠矢「…さあて」

詠矢「(第一位サンは明らかに自由意志を奪われた状態だ)」

詠矢「(つまり、この実験はそもそも望んでないってことだ)」

詠矢「(命の恩人に、仇を返すわけにもいかねえんだが…、今の状態では打つ手がねえ)」

詠矢「(どうする?ここは考えどこだぞ…)」

詠矢「…」

詠矢「…うし…やってやろうじゃねえか!」

研究者『ようやくやる気になってくれたかね』

詠矢「俺の能力でどこまでのことが出来るのか…その上限を試すまたとない機会だからな…」

詠矢「神の道ってのを、開いてみるとしますか!」

詠矢「ただし、論証の手順はこっちで決めさせてもらうぜ?」

研究者『ああ、それは構わないよ』

155 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:31:52.690 ID:iGyNfpT5a.net
研究者『今のアクセラレータは、他人の言葉を受け入れやすい状態になっている』

研究者『どのような論理でも、君の能力は最大限に発揮されるだろう』

研究者『さあ、共に、神が生まれる瞬間に立ち会おうじゃないか…』

詠矢「了解…じゃあ早速いきますか」

詠矢「…さあて、第一位サン」

詠矢「あんたの能力は接触が前提らしいが」

詠矢「既にそんな制限は無いも同然じゃねえか?」

詠矢「さっき、俺を捕まえるとき、地面を隆起させてたよな?」

詠矢「そんとき、地面に直接手を触れているようには見えなかった」

詠矢「しっかり靴を履いて地面に立っていたわけだ。だが、それが接触って言えるのか?」

一方「…」

詠矢「その状態ってのは、単にあんたが『接触した』と自覚していたに過ぎない」

詠矢「そうなると、前提なんて限りなく曖昧なもんだ」

詠矢「第一位さんが認識する限り、その範囲は無限に広がっていく」

一方「…(ピク)」

詠矢「おお…反応あるねえ…」

156 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:32:08.019 ID:iGyNfpT5a.net
詠矢「第一位サンもなんかノって来たんじゃねえの?」

詠矢「俺もだんだん楽しくなってきたなあ…」

詠矢「んじゃ続けるぜ?」

詠矢「そもそも、大気や地面を動かせるってんなら」

詠矢「そいつら全ては、連続してるといっても過言じゃない」

詠矢「大気が途切れているのは一部の密閉された空間だけだ」

詠矢「地面は、完全に水の上にある浮島意外、全て地表として繋がっている」

詠矢「水だって同じさぁ。水道の蛇口だって、浄水場から河川、さらに海まで繋がっているぜぇ!」

詠矢「この地上すべて!、すなわちこの世界すべて!、あんたの影響が及ばない場所は殆どねえ!!」

一方「…(ゴゴゴゴゴゴ)」

詠矢「全てのエネルギーを統べる能力。まさに神の力と呼べるんじゃねえかなぁ!!」

157 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:32:45.722 ID:iGyNfpT5a.net
(とある施設)
職員A「…被験者の数値、上昇を続けています」

研究者「よし、いいぞいいぞ…このまま順調に行けば…」

冥土帰し「愚かな…、こんなことをしていったい何になるというのだね?」

研究者「わかりませんよ。わからないからこそやるんです」

研究者「レベル6は、全くの未知の領域です。その向こう側を見るための実験なのですよ!」

冥土帰し「(駄目だ…彼らはただレベル6を創造することだけに取り付かれている…)」

冥土帰し「(アクセラレータ、すまない。これは私の不手際だ…)」

冥土帰し「(彼らの真意を見抜くことが出来なかった…)」

冥土帰し「(今はただ…あの詠矢という人物に賭けるしかないのか…)」

職員B「実験場の大気と地面から強い振動が検知されています」

研究者「そうか…。アクセラレタータの力が、周囲の環境に影響を与え始めた証拠だ…」

研究者「引き続き計測を続けろ!」

職員B「はい!」

詠矢『じゃあさあ?』

職員が作業に取り掛かろうとした直後、モニター越しに詠矢の声が響く。

詠矢『次の段階に行くかい?』

詠矢『第一位サンの能力が、実際にどれくらいの範囲に影響を与えられるか…試してみねえ?』

研究者「…?」

158 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:33:01.295 ID:iGyNfpT5a.net
詠矢『とりあえず、そうだなあ…。この地面の下の大陸プレートでも、盛大に引っぺがしてもらいましょうか…』

研究者「…なんだと?」

詠矢『震度も計測できないような壮絶な地震が起こるなあ…、流石に日本も滅亡かな?』

研究者「…回線を開け…」

研究者「おい、いったいどうゆうつもりだ!」

研究者「そのまま安定して能力の上昇を導くんだ。余計なことは言うな!」

詠矢『…神が行う、最も壮大で厳粛な行為ってのは、何だと思います?』

研究者「…?」

詠矢『破壊と…創造ですよ…』

研究者「…なに?」

詠矢『だからあ…神の力を得た証拠に、世界を滅ぼしてもらおうってことですよ!』

詠矢『今の第一位サンなら、地震も、津波も、台風も思いのままだ』

詠矢『あ、面倒だったら自転を急停止させてもいいかな』

詠矢『世界中が、一斉に同じ方向に吹っ飛ぶなあ…』

詠矢『どうせ地球自体に干渉できるだろうから、重力とか止めてみるとかね』

詠矢『どうなるか想像もつかないけどねぇ…へへっ』

研究者「な…なんだと!気でも狂ったか!」

159 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:33:21.138 ID:Kjn27nn90.net
これこんなに長かったの

160 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:33:21.216 ID:iGyNfpT5a.net
詠矢『そりゃまあ…お蔭さんでねぇ…。こんなバカ壮大な論証…正気じゃやってられませんよぉ!!』

研究者「そんなことをすれば、お前も無事では済まないぞ!」

詠矢『あ?なんですか?いまさらビビリましたかぁ?』

詠矢『研究者さんが魂売ってるって言うもんで…俺も命ぐらい賭けてみようかと思いましてねぇ』

詠矢『まあ…実際に賭けるのは全人類の命になっちゃいますけどねえ…』

職員A「被験者の数値、さらに増大しています!」

職員B「振動も更に増大!。地面に亀裂と剥離が発生しています!」

研究者「…?(ゴゴゴゴゴ)…ここまで…振動が…」

研究者「まさか…本気で…」

詠矢『さあ、第一位サン、イメージを広げるんだ!全てを認識するんだ!』

詠矢『もはや世界のすべてはあんたのものだ!!』

詠矢『いいねえ!最高に楽しいねえ!!』

研究者「(おかしい…調査によれば彼はもっと思慮深い人間のはずだ…)」

研究者「(こんな、全てを滅ぼすような行動をとるはずが無い…。まるで何かに酔っているようだ)」

研究者「(まさか…自分の能力に呑まれて…?)」

詠矢『大地と大気が震えてるねえ…』

詠矢『絶対反論(マジレス)と一方通行(アクセラレータ)が共振し合ってるのかねぇ!』

161 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:33:37.385 ID:iGyNfpT5a.net
研究者「…(ゴゴゴゴゴゴ)…!」

職員A「…数値は今だ上昇を続けています!…あの…」

研究者「なんだ?」

職員A「このままでは…下手をすると…」

研究者「判断は私がする…黙っていろ…」

職員A「はい…」

研究者「…!(ゴゴゴゴゴゴゴ)…(ガガガガガガガ)」

職員A「…!」

職員B「…!」

研究者「…」

研究者「……くっ!」

研究者「…外部からの音波を遮断するよう、被験者に指示しろ」

研究者「それで、絶対反論(マジレス)の効果を防げる」

職員A「しかし、それでは我々の指示が被験者に…」

研究者「端末のスピーカーから直接伝えられる。遮断するのはあくまで外部の声だ」

職員A「わかりました!(カタカタ)」

研究者「その後、彼を徹底的に痛めつけて黙らせろ。殺しても構わん」

冥土帰し「殺す…?なぜそこまでする必要がある!!」

研究者「うるさい!さっきの論証を見ていただろう!」

研究者「今もうちに始末しておかないと…我々の身が危ういのだよ!!」

162 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:33:57.080 ID:iGyNfpT5a.net
(操車場跡)
詠矢「さあ、頑張ってくれよ、第一位サン!!」

一方「…」

詠矢「(なんだ…反応が薄いな…)…あれ?(周囲の振動が止んだ?)」

一方「…(ガッ)…(キュイン)」

アクセラレータが地面を踏みつけると、その体は一気に加速し、詠矢に向かって突進する。

詠矢「なっ!!(ドカッ)」

大雑把に放たれたアクセラレータの拳が、詠矢の胴体に命中する。

詠矢「…!!ぐおっ!!(ゴロゴロゴロ)…(ドシャッ)」

詠矢「くっ…!!あぁ(いってえ…んでもって速ええ…)」

詠矢「よいしょっと…。ひでえな、第一位サン。いきなり殴ることねえだろ!」

一方「…」

詠矢「(聞いてない…、いや効いてないって言うべきか?)」

詠矢「(音を遮断したな…)」

詠矢「(あのオッサン、小心者ぽかったからなあ)」

詠矢「(派手にビビらせてやればどっかで引くと思ったんだが)」

詠矢「(意外と早く折れたな)」

詠矢「(その上、俺を攻撃してきたってことは)」

詠矢「(実験は半ば諦めたって感じかね)」

詠矢「(さあて、もうひと頑張りだ)」

163 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:34:04.874 ID:nxXYFm4e0.net
この痛々しい文章を何時間も書き続けたやつ凄いよな

164 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:34:32.992 ID:iGyNfpT5a.net
詠矢「こっからは…俺の全力を持って…逃げる!!(ダッ)」

詠矢「つーか俺ここんとこ逃げてばっかりだなあ!(ダダッ)」

一方「…(スッ)」

アクセラレータが静かに地面に手を置く。すると無数の岩塊が切り出され、それはそのまま詠矢に向かって飛翔する。

詠矢「うおぉおっ!(ドカドカドカッ)」

詠矢「なあんか、避けるのだけは得意になっちまってねえ!!」

詠矢「この程度ならなんとか…よっと!(ドカドカッ)」

一方「…(キュイン)」

詠矢「うおっ!!(一瞬で、目の前に!)」

再び無造作に振るわれた拳が、詠矢の頭部に命中する。

詠矢「がっ!!(ドカッ)…い…ぎ…(ガクッ)」

詠矢「(あの細い腕で、なんて威力だ…)」

詠矢「(しかもあんな適当なパンチが…反応も出来ないスピードで…)」

詠矢「…そうだよな…、ベクトル変換なら、身体能力も何もかも思いのままだな」

詠矢「能力ってのは…、人が普通に積み上げる努力を、軽く追い越しちまうんだなあ…」

詠矢「なんか…心が折れそうになるねえ」

詠矢「ま、俺は諦めねえ…けどな!(ダッ)」

165 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:34:50.884 ID:iGyNfpT5a.net
一方「…(スッ)…(キュイーン)」

詠矢「意外とワンパターンだな!ギリギリだが…避けれるぜえ!(ドカドカドカッ)」

一方「…」

詠矢「いよっと!(ドカッ)…まだまだっ!!(ドカドカッ)

一方「…」

一方「……(キュイーン)」

詠矢「なっ!!地面が!!(ズサッ)…(ゴロゴロ)…っきしょ…」

一方「…(シュン)」

転倒した詠矢の傍に、アクセラレータがその能力で一気に距離を詰める。

詠矢「しまっ…!!がはあっ!!(ゴッ)…(バキッ)」

勢いに任せた相手の拳が、詠矢の腹部に突き刺さる。

詠矢「(うおっ!!どっか折れたっ!!)」

骨折の場所を確かめる暇も無く、アクセラレータの攻撃が次々に繰り出される。

詠矢「がっ!」

詠矢「いぎっ!」

詠矢「…っ!!!」

166 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:35:08.965 ID:iGyNfpT5a.net
ほぼ全身をくまなく殴打され、最後に止めとばかりに、振りかぶった拳が詠矢の顔面に命中する。

メガネが吹き飛び、破片が皮膚を切り裂く。

詠矢「…が…あっ…(ドサッ)」

詠矢「(あー…ヤベえ…痛み感じなくなってきた…)」

詠矢「(えっと…全身打撲、骨折は恐らく肋骨…、ついでに顔面から出血…)」

詠矢「(視界は…なんとか確保…眼球は無事、かな?)」

詠矢「よっ…と(ゴロン)。仰向けになるのが精一杯か…」

詠矢「…流石に死ぬのかね?」

一方「…」

詠矢「どうせ聞こえてねえんだろうけど…」

詠矢「俺は命乞いをするつもりはねし、あんたらの言うことを聞くつもりもない」

詠矢「可能性は消えてないから…な…」

一方「…」

詠矢「…?」

詠矢「お…」

詠矢「ハッ…ハハッ…」

詠矢「来たぜ…可能性が!!」

167 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:35:12.425 ID:C4VA1XVga.net
最初から再放送しててワロタ

168 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:35:23.864 ID:iGyNfpT5a.net
(とある施設)
研究者「…なんだ…何を笑っている」

モニター越しに写る詠矢の顔には、不適な笑みが浮かんでいた。

研究者「なぜこの状況で笑える…?」

職員B「……あ…?」

職員B「…3番カメラに…人影が…」

研究者「何?…なんだと?」

研究者「ここには誰も入って来れないはずだぞ!」

職員B「で、ですか確かに写っています!」

研究者「どこだ…ええい、拡大しろ!!」

職員B「はい!」

研究者「…あれは…まさか…まさか!!」

研究者「上条…当麻!!」

169 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:37:18.068 ID:utZrRYEz0.net
>>159
全部で17000レスくらいあるから1スレじゃ終わらん

170 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:39:06.791 ID:zBNwo8PAd.net
何度でも時を超えて再放送し続けろ

171 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:41:12.859 ID:aKBfbhcV0.net
文章こそ恥ずかしいが普通に面白い

172 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:42:19.118 ID:5IaCpFRO0.net
なんか知らんうちに続編できてて草

173 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:43:41.811 ID:D8orBhKNa.net
(操車場跡)
上条が、空間から突如現れた。すぐ隣には白井黒子がいる。
詠矢の正確な居場所が分からなかったせいか、二人が現れたのは少し離れた場所だった。

上条「詠矢!!大丈夫か!!」

白井「詠矢さん!ご無事ですか!?」

詠矢「タイミングバッチリだな…お二人サン」

詠矢「いい感じでピンチだ…」

一方「…」

上条「なっ…アクセラレータ!お前何やって…!!」

一方「…(スッ)…(キュイーン)」

上条「うおっ!!(風が!!)」

白井「くっ…!(ヒュゴゴゴゴ)」

詠矢「第一位サンは操られてるんだ…、頭に被ってる装置を外して…くれ」

詠矢「上条サン、あんたなら『触れる』はずだ…」

174 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:43:58.512 ID:D8orBhKNa.net
上条「わかった!!っても…風が…(キュイーン)…(くそっ、近づけねえ!!)」

白井「…接近できれば、よろしいのですね?」

上条「…ん?どうするんだ?」

白井「あなたを傍まで飛ばします。あとは何とかしてくださいまし!」

上条「お、おう!って…ちょっとま…」

白井「…(ガシッ)…(シュン)」

上条「(シュン)おわっ…ととと…(ザッ)」

一方「…!」

アクセラレータは拳を振り上げる。それは明らかに上条の頭部を狙っていた。

上条「こんのぉ!!、目ぇさませ!!(ガッ)」

一瞬の隙を見逃さず、カウンター気味に伸ばされた上条の右手が、アクセラレータの頭に届く。

一方「…!!」

上条「こいつだな?…こんなもんっ!!(キュイーン)…(ガシッ)!!」

上条の右手が、頭部の端末を引き剥がし、同時に接続されていたケーブルを引き抜いた。

175 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:44:12.085 ID:D8orBhKNa.net
一方「…が、あぁぁああっ!!」

一方「…(ガクッ)…(ドサッ)」

詠矢「…よし…これでたぶん…大丈夫だ…」

上条「詠矢!これでいいのか?」

詠矢「ああ、流石上条サン…よくやってくれた…」

上条「っていうかお前、ひでえ怪我じゃねえか!」

詠矢「ああ…まあ、そうなんだよなあ…もうあんまり感じねえんだが…」

上条「おい、それってマズイんじゃねえのか?しっかりしろ!」

詠矢「あー、骨折してるんで動かさないでくれ…。救急車呼んでくれると助かるんだけど…」

上条「ああ、わかった!」

白井「(シュン)…詠矢さん…。また随分な有様ですわね…」

詠矢「まー、なんとか…生きているよ…」

研究者『(ジーッ)…(ガガッ)…なぜだ!!』

投げ捨てられた端末から、研究者の声が響く。

176 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:44:27.646 ID:D8orBhKNa.net
研究者『なぜだ、なぜここにいる!。幻想殺し(イマジンブレイカー)の上条当麻!!』

白井「わたくしがお連れしました…」

研究者『お前は…ジャッジメントの白井黒子だな?』

研究者『確かに、お前の能力ならここに入ってくることも容易だが…』

詠矢「へー、お二人さんとも結構有名…なんだねえ…」

研究者『そんなことはどうでもいい!!なぜこの場所に来たかと聞いてるんだ!』

詠矢「いやいや、別に難しいことじゃねえさ…」

詠矢「俺が呼んだんだよ、助けてくれってな…」

研究者『なに?いったいいつの間に…』

詠矢「あんたらに捕まる前さ。上条サンにメール打っといたんだよ」

詠矢「『なんかヤバイ事に巻き込まれてる。助けてくれ』」

詠矢「『ジャッジメントの白井黒子って人が協力してくれるはずだ』ってね」

詠矢「御坂サン絡みで、もしかすると知り合いなんじゃねえかと思ってな…まあバクチだったけどさ…」

研究者『…たったそれだけの情報で…ここまでたどり着いたというのか?』

177 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:44:42.436 ID:D8orBhKNa.net
白井「ジャッジメントの捜査能力を舐めないで頂きたいですわ…」

白井「既にこういう事態は想定済みでしたし」

白井「こちらには別ルートの情報もありましてね…(ピピピピピ)あら…お姉さまですわ」

御坂『ああ、黒子?近くまで来てるんだけど…そっちはどう?』

白井「ええ、予想通り、実験場はここでしたわ…」

御坂『そう、じゃあ私もそっちに行くわ…』

白井「では、今からお迎えに…」

御坂『いーわよ…、入り口ぐらい自分で…作るから!』

御坂「(キイン)…(ビシュゥゥゥン)…!!!」

御坂の放ったレールガンは、操車場跡地を取り囲む隔壁を易々と貫通し、人がゆうに通れる穴を穿った。

詠矢「お?…まさか御坂サン?派手な登場だねえ…」

研究者『御坂美琴まで!!…なぜだ!!』

詠矢「そういえばそうだな…。何で御坂サンが?」

御坂「別にアンタを助けに来たわけじゃないわよ…」

178 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:44:55.758 ID:D8orBhKNa.net
御坂「いきなりアイツから、黒子の連絡先を教えてくれって言われたときは…」

御坂「何のことかと思ったけど…ね…」

打止「アクセラレータ!!とミサカはミサカは急いで駆け寄ってみたり!(タタッ)」

御坂「この子が私のところに来たから…すぐに理解できたわ…」

御坂「アクセラレータが居なくなったって…。ネットワークにも繋がっていないってね…」

研究者『…』

上条「…詠矢からの連絡」

御坂「この子からの捜索願い…」

白井「そしてネットワーク上の余剰演算実験とレベル6シフト…」

白井「これらの情報をつなぎ合わせれば、この場所を特定するのは難しくはありませんでしたわ…」

研究者『き…貴様ら!』

詠矢「…なんだか一部…わからんとこもあるが…、どっちにしろ…俺の悪運も相当なもんだな…」

詠矢「あの短時間で、これだけのメンバーが集まるんだからなあ…」

上条「それは違うぜ」

179 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:45:10.668 ID:D8orBhKNa.net
上条「お前が最後まで諦めずに手を打ったから…。俺に助けを求めてくれたから…」

上条「俺たちはここに辿り着くことが出来たんだ。運なんて簡単なもんじゃねえよ!」

詠矢「…」

詠矢「…ははっ…そうかもな…お褒め頂いて光栄だねぇ…」

白井「…さて」

白井「既に決着は着きました。どこのどなたか存じ上げませんが…」

白井「素直に投降することをお勧めしますわ」

白井「既にアンチスキルにも通報してあります」

白井「あなた方の居場所を突き止めるのも、時間の問題でしょう」

研究者『…』

御坂「そうねえ…」

御坂「一番ヤバイ奴が、復活したみたいだし…」

一方「ん…あ…」

打止「あ、まだ起きちゃダメだってミサカはミサカ心配してみたり!」

一方「…(ザッ)」

おぼつかない足取りで進むと、アクセレータはさっきまで自分の頭にあった端末を拾い上げる。

180 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:45:32.311 ID:D8orBhKNa.net
一方「テメェら…約束…覚えてンだろうなあ…。あぁ!?」

研究者『…!』

研究者『い、いいのか…こっちには人質が…』

一方「…あ?…なんだ?あの医者のことか?」

一方「面白いねえ…爆笑もんだぜ…」

一方「この俺に、人質なんて…通用すると思ってンのか?」

研究者『…なっ!!』

一方「お約束通り…全員残らずブチ殺しにいってやっから…首洗って待ってろやぁあ!!!」

一方「…!!(キイン)」

アクセラレータは怒りのままに地面を踏みつけると、その体は宙を舞い、何処かへと飛び去っていく。

上条「おい!お前殺すって…ダメだろそんなの!!(ダッ)」

上条「あっ…白井!後のことは頼む!(ダダッ)」

打止「まってよー、アクセラレータ!、とミサカはミサカは届かない思いを叫んでみたり!(タタッ)」

御坂「…あら…みんなまとめて行っちゃったわね…」

御坂「じゃ、私も帰ろうかな…」

白井「あら、お姉さまもですの?」

181 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:45:46.988 ID:D8orBhKNa.net
御坂「まあね…。あの子の依頼は果たせたわけだし、私がここに居る理由はもう無いもの…」

御坂「じゃあ黒子、先に寮に帰るけど…」

御坂「あんたはそこのケガ人の世話があるから、遅くなるでしょう?」

御坂「寮監には私から説明しとくわ」

白井「…お気遣い感謝しますわ。お姉さま…」

御坂「じゃ…ね」

詠矢「…」

白井「…」

詠矢「…」

白井「……」

白井「詠矢さん?大丈夫ですの?」

詠矢「ん…ああ…まあ…なんとか…」

詠矢「あ…そうだ白井サン…」

白井「何ですの?」

詠矢「約束守れなくて…ゴメンな?」

白井「…え?」

182 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:46:16.052 ID:8wCvirRA0.net
この最後の最後で上条さんをテレポートさせてしまうという最大の失態

183 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:46:16.984 ID:D8orBhKNa.net
詠矢「流石に、全く関わるな…ってのは無理だったが…」

詠矢「レベル6…実験は…何とか…阻止したぜ…」

白井「…詠矢さん…あなたまさか…」

白井「そのために…こんな…!」

詠矢「まあ…約束…だし…ねえ」

詠矢「…」

詠矢「…あ…」

白井「…?」

詠矢「…ねむ……」

詠矢「…」

詠矢「…(ガクッ)」

白井「詠矢さん?」

白井「…詠矢さん!?」

白井「詠矢さん!!詠矢さん!!」

184 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:46:36.824 ID:D8orBhKNa.net
(とある病院)
詠矢「…ん」

詠矢「…ん?」

詠矢「…(見上げれば…見知らぬ天井…)」

詠矢「あ…っと…どこだ?。まあ…病院か…。定番通りベットの上…だね」

冥土帰し「やあ、目が覚めたかね?」

詠矢「あ、ども…。えっと…」

黄泉帰り「僕は医者だよ。君の治療を担当させてもらった」

詠矢「そうなんですか…そいつはありがとうございます…」

詠矢「お、あれ…?痛みとかないですね…。骨折なんてすぐ直るわけないのに…」

冥土帰し「僕の全力を持って治療させてもらったよ。体のほうはもう問題ないはずだ」

冥土帰し「頭を強く打ってるから、念のためしばらく入院してもらうがね…」

詠矢「はー、流石学園都市のお医者さんだ…すごいっすねえ…」

黄泉帰り「いや、君もなかなかのものだよ」

詠矢「俺が…っすか?」

185 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:46:49.758 ID:D8orBhKNa.net
冥土帰し「僕はね、あの研究者に軟禁されていたんだ」

冥土帰し「モニター越しに、君の事は見ていよ」

詠矢「あー、そうなんですか…ちょっと恥ずかしいっですね」

冥土帰し「論証…というのか…かなり特殊な能力のようだが…また無茶をしたものだね」

詠矢「まあ、無茶でもないんですけどね。あの論証じゃあ、大事には至らないだろうと思ってましたので…」

冥土帰し「ほう、何か確信があったのかね?」

詠矢「そりゃまあ、俺だって死にたくないですから…」

詠矢「論証の前提が『認識できる』って事にしといたんで」

詠矢「そんな広い範囲に影響は出ないと思ってました」

詠矢「一個人が認識できる範囲なんてたかが知れてますから。全世界を巻き込むようなことは恐らく出来ないだろうって」

冥土帰し「…なるほど…、論旨の中に、既に限定条件が含まれていたわけだ」

詠矢「そういうことです。まあ、相手を引かせるのが目的でしたから」

詠矢「世界をー、とか、人類がー、とか、派手に吹きましたけどねえ…」

186 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:47:03.088 ID:D8orBhKNa.net
冥土帰し「…すべて計算ずくだったということかね…」

冥土帰し「やはりなかなかのものだよ…君は」

冥土帰し「…そうだ、君の渡すものがあってね…受け取ってくれたまえ…」

詠矢「え?って…メガネと…スマホ?」

冥土帰し「あのジャッジメントの女の子が回収してくれていたみたいだね」

詠矢「ありがとうございます!いやー、これは最後にメール打った後、その辺に投げ捨てたんで…」

詠矢「まさか戻ってくるとは思いませんでした…って…あれ?これ新品じゃないですか?」

冥土帰し「ああ、こちらで用意して、データを移し変えておいたよ」

冥土帰し「今回の件は僕の不手際があってね…出来る限りのことはさせてもらうよ」

詠矢「えーっと、まあ…よく解りませけど遠慮なく…ありがとうございます」

冥土帰し「気にすることはないよ…おっと(プルルルル)内線だ…」

冥土帰し「(ガチャ)はい、僕だ…何かね?…ほう…」

冥土帰し「詠矢君、君に面会のようだ…通してもいいかね?」

詠矢「え、俺にですか?…はい…いいですよ」

冥土帰し「わかった…では、案内してくるよ…」

詠矢「(面会って…誰だろ?…もしかして…)」

187 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:47:17.275 ID:D8orBhKNa.net
土御門「やあヨメやん、大変だったにゃあ」

詠矢「…」

詠矢「…ここはコケていいとこですか?」

土御門「…?」

詠矢「だってこの展開だったら、来るのは女の子でしょうが!!」

土御門「…ヨメやん、現実はそう甘くないんだぜい」

土御門「で、どうだい体の方は?」

詠矢「信じられない速度で回復したよ。そちらのお医者さんのおかげでね」

土御門「なら良かった…。実は、ヨメやんに話があってな」

土御門「来てもらいたいとこがあるんだが…」

詠矢「…なんだよ…またあらたまって…。体の方は大丈夫そうなんだけど…(チラッ)」

冥土帰し「しばらく安静にしておいた方が、といいたいところだが…」

冥土帰し「短時間出歩く分には問題ないよ」

詠矢「あ、許可が出ちゃいましたか…じゃあどうしますかねえ…」

188 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:47:20.650 ID:/pBDORMZ0.net
@詠矢空希テンプレ(ズルズル)@
 
・いや、よくないっしょ。刑法的に                              ・とりあえず、今の段階では『やだね』だ
・俺が関係してようがいまいが、それが犯罪であることは事実               ・…まあ、そんな感じかな
・あ、いやいや、ゴメンゴメン。怒らせたのは謝るからさ…                 ・(お、効果アリ…かな?)  
・どおうわっ!!ヤバイヤバイ、ヤバイってマジで!                     ・…俺の容疑は?
・具体的な症状としては、大量の冷や汗、動悸、振戦、譫妄!!             ・ どっせい!!上段正拳!!
・俺はあの人には指一本触れてない。因果関係が成立するか?              ・いやー、権力側の人間っていつもそう言うんだよねえ
・いやー、ゴメン。悪気はなかったんだけどねえ。『論証』に入るとつい熱くなっちまって ・ただの理屈っぽい高校生ですよ
・(あ、気付かれたか…。ま、しょうがない)いやあ、単なる好奇心だけどね        ・……つまんねえ人生だったなー……
・そして、おれはこの力をこう名付けた。絶対反論(マ ジ レ ス)と!!!!      ・うわこれどうしょうもなくね?…


                 ≫\ミ三ミノノ/-、
               /〃〃〃〃〃ヾ≦ミ三ミ、
        ィ-、    彡‖‖〃〃从从从ヾヾミミミ
        / /  ィ-、‖‖‖从从从从从从从》》》
       / / / /从从‖ヘ从从从从从从从从ミ          いやどうも、おれは詠矢…詠矢空希(ヨメヤ ソラキ)ってもんだよろしくなー
      /  / /  /从: : : :|≡r-ヾヽ、从从从从从ミト
   _/⌒ヽノ   / ヾ : : : |l | `・ゝ ノr──-、从≪   r‐、   ,‐、    
  /ー、\| /ヘ  /   ヾ从|!|  `─‐/ l, `・ゝ }从ト    | |  / /
  \ \八 〉'   /ノソト    ゝ・_.〉─-'从ト、_ノ  | |  / /
         |      八   ,-‐-ニュ、   /ヾミ彡     | |__/ /-‐、
       /  / ̄// |: \   `ー‐'  /(_      |  /〉〈ノハ
         / ‖ハ |   ' ,,__   _ノ/        |/ /  | |

189 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:47:31.416 ID:D8orBhKNa.net
土御門「ちょっと合ってもらいたい人がいるんだけどにゃあ…」

土御門「あ、そうそう、待望の女の子も来てるぜい」

詠矢「…女の子?」

結標「…」

詠矢「あ…えっと…その節はどうも…」

詠矢「結び目サン…だっけ?」

結標「結標よ!!まったく…」

結標「あなた、小難しいこと言う割には、あんまり頭良くないんじゃないの?」

土御門「まあまあ、その辺にしとけ結標」

詠矢「お二人さん…お知り合いってことか…」

土御門「結標は仕事の同僚なんだぜい」

詠矢「仕事…ねえ…まあ、色々ツッコミたい所はあるが…丸呑みしとくわ…」

結標「だいたいねえ、あなたが素直についてくれば」

結標「こんな面倒なことにはならなかったのよ?」

詠矢「……はい?」

土御門「その辺もまとめて説明するにゃあ。どうだい、来てくれないか?」

詠矢「そこまで引っ張られたら行かんわけにいかんでしょ…」

土御門「よし、じゃあ決まりだ。早速行こうぜヨメやん」

190 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:47:48.230 ID:D8orBhKNa.net
(窓の無いビル)
理事長「よく来たね、詠矢空希君…」

理事長「私は学園都市の統括理事長、アレイスター・クロウリーだ」

詠矢「…あー…ども…」

詠矢「…(浮いてる…しかも逆さに)…」

詠矢「あの、大丈夫ですか?頭に血上ったりしません?」

理事長「君に心配してもらう必要はないよ」

理事長「それとも、私まで論証して見せようという魂胆かね?」

詠矢「いえいえいえいえいえ、滅相もございません…」

詠矢「(やろうと思えば突っ込みどころ満載なんだけどねえ…。やめといたほうがいいだろうな)」

詠矢「えーっと…土御門サン。まだ用件を聞いてないんだけどさ…」

土御門「そうだったな…。統括理事長がヨメやんに話があるそうだ」

詠矢「…なるほど。えー、では、拝聴させて頂きます」

191 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:48:06.863 ID:D8orBhKNa.net
理事長「うむ…。君の能力について、一つ忠告があってね」

理事長「論証によって対象の能力を変質させる…極めて特殊な能力だ」

理事長「未知の領域を多く残した能力ともいえる反面…」

理事長「その効果は不確定で、そして不安定だ…。『増幅』については…特にね」

詠矢「…不確定なのは自覚ありましたけど…不安定…ですか…」

理事長「そうだ、むやみに増幅の能力を使えば、どんな影響や反動が出るかも解らない」

理事長「暴走する可能性もある」

詠矢「…」

理事長「そういった、多くの危険をはらむ増幅の論証は、自重してもらいたのだ」

詠矢「…えーっと…まあ」

詠矢「なんというか、意外と普通に忠告なんですね…」

詠矢「ま、理事長サンからの直々のお願いなら、聞かないわけにもいかないでしょうし…」

詠矢「俺もいろいろとヤバイと思ってたところですので…。素直に承ります」

理事長「理解が早くて助かるな…」

192 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:48:21.715 ID:D8orBhKNa.net
理事長「この学園都市には、既に中止されているレベル6シフト実験を企てるものがまだいる」

理事長「私と君が接触したことを知れば、彼らも手を出しづらくなるだろう」

理事長「今回のような件に巻き込まれることは、恐らくもうないだろう…」

詠矢「あ…もしかして…。結標サンが迎えに来た理由って…」

土御門「技術部に不審な動きがあったことは掴んでいた」

土御門「先回りして、ヨメやんを保護しようと回収に行った…らしい」

詠矢「らしいって…土御門サンは知らなかったのかい?」

土御門「結標が直接組織から指示を受けていたらしくてな…。俺は聞いていなかった」

詠矢「じゃあ、さっき言ってた、素直に来てればってのは…」

理事長「君といち早く接触する為に、組織を通じて彼女に動いてもらった」

詠矢「先に接触してれば…、あの研究者も手を引いていたかも…ですか?」

理事長「それでも彼らが実験を強行した可能性も捨てきれないが…」

理事長「中止する可能性も高かっただろうね」

193 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:48:38.692 ID:D8orBhKNa.net
詠矢「…」

詠矢「…いやいやいやいや」

詠矢「なんか俺が悪いみたいな空気ですけど。そりゃ違うんじゃないですか?」

詠矢「そりゃ、案内役の人にちゃんと事情を話とかないと…」

詠矢「俺だって素直に着いてけないっすよ」

詠矢「ただでさえレベル6実験の話を聞いてて、こっちは警戒してるんですから」

理事長「…」

土御門「ははっ…アレイスター。今回ばかりは、お前の秘密主義が裏目に出たようだな」

土御門「ヨメやんの言ってることはもっともだぜ?」

理事長「…そのようだな」

詠矢「…まあ…済んだことですので別にいいですけどね」

詠矢「こっちは、恩人に恩を返せたかなと思ってるんで、結果オーライですし」

理事長「そういってくれると助かる…」

理事長「私からの話は以上だ。君が納得してくれればそれでいい…」

詠矢「はい、まあ…納得はしました」

詠矢「ただ、こっちからも一つお願いが」

理事長「なんだね?」

194 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:48:56.308 ID:D8orBhKNa.net
詠矢「俺の『増幅』の力なんですが…」

詠矢「どうしょうもなくヤバくて、それを使わざるを得ない状況になったとき」

詠矢「俺の判断で使わせてもらっていいですか?」

理事長「…それはどんな状況かね?」

詠矢「まあ…かっこつけるわけじゃないですけど…」

詠矢「自分の命とか、この学園都市とか、俺の周りの人たちとか」

詠矢「守りたいものを守らなきゃいけないとき…ですかね?」

理事長「…いいだろう…その時点での判断は君に任せるよ」

理事長「ただ…この学園で私の目が届かない場所はない。そのことを忘れないようにね」

詠矢「わかりました…、ありがとうございます…」

土御門「ヨメやん…言ったねえ…」

詠矢「いや、蒸し返えさんでくれ…かなり恥ずかしいんだから…」

土御門「話は終わったようだな。アレイスター」

理事長「ああ。引き上げてもらって構わないよ」

詠矢「んじゃ、失礼しまっす…」

195 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:49:31.169 ID:D8orBhKNa.net
(とある街角)
結標「…(シュン)」

詠矢「っとと…」

土御門「…よ」

詠矢「ふう…さて、どうするかね」

土御門「解散かにゃあ?」

結標「仕事も終わりだし…いいんじゃないの?それで」

詠矢「んーそうさな」

詠矢「まあ病院もそう遠くねえみたいだし。歩いて戻るか」

詠矢「んじゃ…二人ともまたなー」

詠矢「…(テクテク)」

詠矢「…(ふーむ)」

詠矢「…(ようやく考えがまとまり出したな)」

196 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:49:45.167 ID:D8orBhKNa.net
詠矢「(恐らく…理事長サン最初から俺と接触する気は無かったんだろう)」

詠矢「(俺を連れて来るつもりなら、面識のある土御門サンを使いに出すほうが確実だ)」

詠矢「(わざわざ結標サンを使うのは無理がある…)」

詠矢「(となると、あえて実験をを止める気はなかった…ってことになるな)」

詠矢「(俺の能力では、レベル6が生み出せないことを見越した上でね…)」

詠矢「(実験が失敗に終われば、次に同じ事を考える奴は居なくなる)」

詠矢「(抑止としては、より効果が高いから…ってとこだろうな)」

詠矢「(まあ、いまさら確認も出来んし、口外する意味もねえから)」

詠矢「(この考えは俺の頭の中にしまっとくか…)」

土御門「…ヨメやん…考え事かにゃあ?」

詠矢「うをわっ!!びっくりしたぁ!」

197 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:50:02.749 ID:D8orBhKNa.net
詠矢「あれ、土御門サン、解散じゃなかったっけ?」

土御門「そりゃ、まだ治療中のヨメやんが心配になってねえ」

詠矢「あー、そりゃどうも…」

土御門「それより…随分と考え込んでいたみたいだけど?」

詠矢「いやいや…まあ、色々とあったんで、整理をね…」

土御門「整理…ねえ…」

詠矢「そうそう…」

土御門「それだけか?」

詠矢「…まあ」

詠矢「…あんまり突っ込まんでくれい」

198 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:50:18.641 ID:D8orBhKNa.net
土御門「…」

土御門「…ははっ」

土御門「そうだな、そうしとくか」

詠矢「…すまんね」

土御門「なあヨメやん」

詠矢「お、おう!なんでい」

土御門「病院まで送ってくぜい」

詠矢「…いやー、実は場所がよくわからなくてねえ」

詠矢「助かるぜ土御門サン」

199 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:50:37.665 ID:D8orBhKNa.net
(とある中学校)
佐天「…はあ」

下校時間はとうに過ぎた夕暮れ。佐天涙子は、下駄箱で靴を履き替えながら小さくため息をつく。

佐天「(詠矢さん…あれから会えてないなあ…)」

佐天「(あのコンビニに行っていないし…どうしちゃったんだろ)」

佐天「(会って何するってわけでもないけど…)」

佐天「(あのままっていうのもなあ…)」

佐天「…はあ…」

初春「…どうしたんですか佐天さん」

佐天「あ…、初春」

初春「なんだか最近元気ないですねえ」

佐天「えー、っと…そうでもない…よ?」

初春「そうなんですか?ここんとこ支部にも来ないですし…」

佐天「確かに行ってないなあ…。支部…?」

佐天「(そうだ、ジャッジメントなら…何か知ってるかも)」

200 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:50:55.161 ID:D8orBhKNa.net
佐天「初春。あの…さあ。詠矢さんって人、知ってる?」

初春「詠矢さんですか?はい、知ってますよ」

初春「何度かお会いしましたね。お話したことは殆どないですけど…」

佐天「やっぱりそうなんだ…。えーっと…さあ…」

佐天「今何してるのか…知らないかなあ…って…」

初春「詠矢さんですか?…確か…入院されてたみたいですよ?」

佐天「へっ、入院?どして!?」

初春「事件に巻き込まれて…大怪我されたとか…」

佐天「大怪我!?って…だっ…大丈夫なの!!」

初春「えっと、詳しいことは機密事項なんで話せないですけど…」

初春「確かもう退院されたとかで…大丈夫だと思いますよ?」

佐天「…あ…そうなんだ…。よかった…」

初春「っていうか佐天さん…、お知り合いだったんですか?」

佐天「あ…ああ、うん…ちょっとね…へへ…」

初春「…あ、佐天さん、もしかしたら…もしかして…(ニヤニヤ)」

201 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:51:11.960 ID:D8orBhKNa.net
佐天「なによその顔は…」

佐天「なんとなく言いたいことわわかるけど」

佐天「そういうのじゃありませんから!」

初春「えー、ほんとですかぁ?…」

初春「でもどっちにしろ、もう普通に学校行かれてるんじゃないですか?」

佐天「そうか…退院してるんだもんね…(またコンビニ行けば会えるかな)」

初春「あ…(ジリリリリ)予鈴鳴りましたね、ほんとに帰らないと…」

佐天「あ、ほんとだ。じゃ、とりあえず帰ろっか」

あわてて校庭に出る二人。小走りで校門に向かう。

詠矢「お、ちわす」

校門を抜けた瞬間、二人は突然声をかけられる。

佐天「あっ!…詠矢…さん?」

初春「…どもです…」

振り向くと、壁に背を預けた詠矢がそこに立っていた。

202 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:51:29.808 ID:D8orBhKNa.net
詠矢「いやどうも。ストーカーみたいな真似して悪いね」

詠矢「ちょいと佐天サンに話したいことがあってねえ」

詠矢「白井サンから学校の場所を聞いといたんだ」

初春「…えーっと…私は支部に寄らないといけないので」

初春「お先に失礼しますねー(ソソクサ)」

佐天「ちょっと!!初春!」

詠矢「…お邪魔だったかな?」

佐天「え?いえ…そんなことは…」

佐天「実は…私も会いたいなーって、思ってたとこなので…」

詠矢「へえ、そいつなうれしいねえ…」

詠矢「んじゃ、ここじゃなんだし、場所変えようか」

佐天「はい、わかりました…」

203 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:59:37.551 ID:D8orBhKNa.net
とある公園)
詠矢「ここならいいかな」

詠矢「んじゃ、あんまり時間取らせるのもアレなんで、手短に」

詠矢「さて…どっから話したもんかな…」

佐天「…」

詠矢「こないださ、佐天サンを突き放すような言い方しちゃったけど」

詠矢「ちょいと俺の方に事情があってさ」

詠矢「あんまり人と関わっちゃいけない状況でね…。佐天サンにも距離を置いてもらう必要があったんだ」

詠矢「細かいことを説明する訳にもいかなくてね、あんな言い方しちまった」

佐天「…詠矢さんの能力の事…ですか?」

詠矢「まあそうなんだけど…。詳細を話すと佐天サンに必要の無い情報を与えちゃうからねえ」

詠矢「知らないほうがいいよ」

204 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 12:59:59.036 ID:D8orBhKNa.net
詠矢「まあ、いずれにせよ…」

詠矢「佐天サンが俺に、一定の信頼を寄せてくれていたとしたら」

詠矢「俺のあの言葉はそれを裏切るものだったろう…、佐天サンを傷つけてしまったかもしれない」

詠矢「それは謝りたいんだ…」

詠矢「ゴメンな?」

佐天「…」

詠矢「まあ、何も気にしてないっていうんなら…」

詠矢「自意識過剰のキモイ奴、ぐらいで思ってくれていいからさ…」

佐天「…」

佐天「あの…」

佐天「わたし…難しいことはよくわからないですけど…」

佐天「詠矢さんは、わたしのことを気にかけてくれたんですよね?」

詠矢「…へ?」

詠矢「…いや…そういうことじゃない…けど…?」

佐天「初春に聞きました、何か事件に巻き込まれてたって」

佐天「それで、大怪我したって…」

詠矢「…」

205 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 13:00:13.651 ID:D8orBhKNa.net
佐天「もしかして私が巻き込まれるんじゃないかって…そう思って…」

詠矢「…」

詠矢「えーっと…ええとね?」

詠矢「その…断じてそうゆう事ではない…と思うんだが…?」

佐天「…ふふっ…いいですよ、じゃあ…」

佐天「私がそう思うのは自由でしょ?」

詠矢「…まあ、それはそうだけど…」

佐天「いいんですよ、それだけで…私は…」

佐天「嬉しいんです!」

詠矢「…そうなんか…、まあ、それが一番佐天サンにとって」

詠矢「一番納得できるんだったら、それでも…」

佐天「もう…また難しいこと言って…」

佐天「いいんです!こういうのは」

佐天「理屈抜き、なんですよ!」

詠矢「…」

詠矢「……」

詠矢「ははっ…そうか、『理屈抜き』か…そいつは…」



詠矢「論証出来ねえな…」

206 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 13:00:36.179 ID:D8orBhKNa.net
以上です。
これでこの話は完結となります。

長い間ありがとうございました。
2012/04/07(土) 00:53:36.67

207 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 13:09:40.092 ID:Gq6R2uCO0.net
乙!感動した!

208 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 13:10:11.379 ID:PqdZQC9/0.net
こいつだけ再放送されすぎだろ

209 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 13:14:25.727 ID:D8orBhKNa.net
3期以降までやると1日が終わるわ

210 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 13:14:53.324 ID:rmYjGUM+r.net
そんななげーのかよ

211 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 13:18:06.261 ID:ADeR3tSC0.net
再放送だけで1000まで余裕でいくからな

212 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 13:18:10.192 ID:KKnkJcUI0.net
途中まで読んだ記憶はあるわ

213 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 13:31:15.460 ID:5t6V98Djp.net
これ途中から恋愛話ばっかになるからな

214 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 13:31:15.584 ID:KRkBQiG80.net
この定期ってこんなに痛いスレだったのか
読んでないけど

215 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 13:38:12.014 ID:+0evq/870.net
これ原作レイプが酷いだけで別につまらなくはないよな

216 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 13:38:26.068 ID:D8orBhKNa.net
(ジャッジメント177支部)

詠矢「…(ポチポチ)」

白井「…(カリカリ)」

初春「…(カタカタ)」

詠矢「…(ポチポチ)」

白井「…(カリカリ)」

初春「…(カタカタ)」

白井「…初春、出来ました。入力をお願いしますわ」

初春「あ、はい…わかりました…」

白井は書きあがった書類を初春に手渡す。

詠矢「…忙しそうだ…ねえ…」

スマートフォンの上に指を走らせながら、詠矢はポツリと言った。

白井「そう、ではなくて実際に忙しいのです!」

白井「…詠矢さんも…お忙しそうで…」

当然ながら、その口調には皮肉が込められていた。

217 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 13:38:38.999 ID:D8orBhKNa.net
詠矢「んー、まあ、調べ物とかね…忙しくはねえけど…」

詠矢「…あ、なんか手伝おうか?」

白井「結構です!!ここには部外者に頼める仕事などありません!!」

詠矢「そっか、そりゃ失礼しました…」

軽く答える詠矢を白井はじとっと睨む。今更ながら、この人物に支部への出入りを許したことを少し後悔していた。

初春「…えっと…、今の書類で今日の分は終わりですから…」

初春「白井さんも少し休憩したらどうですか?」

白井「…そうですわね…では、お言葉に甘えてひと息入れさせていただきますわ…」

初春の助け舟に促され、白井は手を休め、ふうと小さく息を吐いた。

詠矢「…ん、と…食うかい?(ポチポチ)」

指を休めないまま、詠矢は紙袋を差し出す。

白井「…なんですの?」

詠矢「差し入れだよ…シュークリーム…美味しいと思うよ…」

218 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 13:38:51.503 ID:D8orBhKNa.net
白井「あら…ありがとうございます…。頂きますわ…」

詠矢「初春サンも手が空いたら食べなー」

初春「あ、はい!いつもありがとうございます…」

白井「では早速…(ガサ)…(パク)…」

白井「…(モグ)…美味しいですわね…」

詠矢「そらよかった…(ポチポチ)」

白井「…」

詠矢「…」

白井「…(モグ)」

詠矢「…(ポチポチ)」

白井「…」

白井「…はあ…」

思わず大きなため息を付く白井。

詠矢「どした…幸せが逃げるぜー」

白井「…逃げるほどの幸せもござませんわ」

219 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 13:39:05.566 ID:D8orBhKNa.net
詠矢「そりゃまたお疲れだねえ…」

詠矢「その雰囲気は…仕事疲れ…ってだけでもなさそうだね…」

白井「…その無遠慮な洞察力…相変わらずですわね…」

詠矢「ん、まあ、いろいろと想像は付くからね…」

詠矢「確か…御坂サンと同室なんだっけか…まあ、そりゃ疲れるわな…」

白井「お姉さまが毎日幸せそうなのはよろしいのですが…」

白井「毎度毎度…お二人の話を聞かされるのは…少々…」

詠矢「うわあ…結構すごそうだなあ…それ」

白井「さすがに最近はお姉さまも気を使っていただいて…」

白井「あまりお話はされないのですが…」

白井「全身から発せられるオーラというか…雰囲気がどうも…食傷気味でして…」

詠矢「そりゃ大変だねえ…。俺だと聞かされるのはバイト中ぐらいだからなあ」

詠矢「同じ部屋だと逃げる場所もねえもんな…」

220 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 13:39:23.237 ID:D8orBhKNa.net
白井「かといって部屋を変わるつもりは毛頭ございませんし…。慣れるしかないのでしょうが…」

詠矢「ま、そのうち二人とも安定してくるだろ。しばらくのガマンさ…」

白井「だとよろしいのですが…」

詠矢「…(ポチポチ)」

白井「…(モグ)」

初春「…(カタカタ)」

初春「…!!」

初春「白井さん!!事件みたいです!!」

白井「…!!どこですの!初春、詳細を!!」

白井は椅子から勢い良く立ち上がると、初春の後ろに回りパソコンのモニターを覗き込む。

初春「えっと…別支部で起こった強盗事件みたいです…犯人は取り逃がしたみたいで…」

初春「逃走中みたいです。応援要請が来てますね…」

白井「こっちに向かって逃げてくる犯人を、先回りして抑えればいいのですわね?」

初春「それがですね…(カタカタ)。相手は監視カメラの死角を選んで移動しています」

初春「かなり地の利があるようですね…」

221 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 13:39:38.509 ID:D8orBhKNa.net
白井「やっかいですわね…。ですが…逆に…」

白井「移動経路を予測できるかもしれませんわ…初春、お願いできますの?」

初春「はい!やってみます…。えと…犯人は風貌からしてスキルアウトらしいので…」

初春「予想できる目標の場所と…監視カメラの抜け道の情報を組み合わせて…(カタカタ)」

初春「…んでもって…ちょっと加工を…(カタカタカタ)」

初春「出ました!!」

白井「流石ですわね初春…。あら…これは…道が2本…ですの?」

初春「はい…条件を設定して絞り込んでみたんですけど…どうしてもこの2系統が残ります…」

白井「まずいですわね…固法先輩は今別の事件の対応中ですし…」

白井「初春にはここに残ってもらわないといけませんし…」

初春「先回りするにしても…二分の一になっちゃいます…ね…」

詠矢「…」

スマートフォンから目線を外し、詠矢は二人の方に向き直る。

222 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 13:39:52.819 ID:D8orBhKNa.net
詠矢「手伝おう…か?」

白井「へっ?」

白井「いえ…お気持ちはありがたいですが…お断りします…」

白井「一般人を事件に巻き込むわけにはまいりません!」

詠矢「巻き込まれるのは今に始まったことじゃねえけどな…」

白井「これは既にジャッジメントで対応している事件です。あくまでこちらで対応します!」

詠矢「まあ…正論…だけどね…大丈夫かい?」

白井「お気になさらず…なんとかしてみますわ」

初春「…」

初春『白井さん白井さん…』

白井『なんですの!』

初春『せっかくだからお願いしちゃいましょうよ!』

白井『何をバカな事を!この程度の事件、部外者の力を借りなくても…』

初春『でも今の状況じゃ完全に賭けになっちゃいますよ?』

白井『う…それは…』

223 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 13:40:06.845 ID:D8orBhKNa.net
詠矢「…(なんか揉めてるねえ)」

白井『ですが、状況的にはかなり危険です。もし何かあったら…』

初春『その辺は、ほら、大丈夫じゃないですか?』

初春『なんだかんだいって、詠矢さん、お強いですし…』

白井『それとこれとは…話が別です!』

初春『うーん…じゃあ、ですね…』

初春『危なくない範囲で、協力してもらえれば…いいんじゃないでしょうか…』

白井『…』

白井「そうですわね…」

白井「詠矢さん…では、ご協力いただけますか?」

詠矢「ういよ…喜んで!」

詠矢は立ち上がると、やる気をアピールするかのように首を回し腕を回す。

詠矢「んで、何やればいい?」

224 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 13:40:19.842 ID:D8orBhKNa.net
白井「見張り、ですわ」

白井「逃走経路の一方に待機していただき、犯人が通過するかどうかを確認してください」

白井「わたくしは別の経路を確認します」

詠矢「…んで、見つけたらどうすりゃいい?」

白井「こちらに連絡頂ければ結構です」

白井「更に先回りして、犯人を確保します」

詠矢「なるほど…白井サンなら、追いつくのは簡単だもんな」

白井「間違っても、ご自分で犯人と対峙しないように…」

詠矢「わかってる…その辺はわきまえてるさ…」

白井「約束ですわよ?」

白井「では、参ります!」

白井が詠矢の腕を掴むと同時に、二人の姿は掻き消えた。

225 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 13:40:36.233 ID:D8orBhKNa.net
とある路地 廃屋)

二人は、朽ちた室内に現れる。

白井「…ここですわ」

詠矢「っと…なるほど…張り込みのポイントか…」

白井「この前の路地が、予想される逃走経路の一つです」

白井「詠矢さんは、ここを対象が通過するか確認してください」

詠矢「わかった…んで、見かけたら白井サンに連絡すればいいわけだね?」

白井「ええ、その通りです」

白井「対象の風体に関しては、初春から詠矢さんの携帯にデータが送られて来ます」

白井「そちらで確認してくださいまし」

詠矢「うい。で、いつまで張ってりゃいいのかな?」


白井「撤収するタイミングはこちらで指示します。それまではよろしくお願いします」

226 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 13:41:13.457 ID:D8orBhKNa.net
詠矢「了解。逆にこっちが発見されるとマズイだろうから…」

詠矢「隠れながら監視できるポイントでも探しとくか…」

白井「あと、しつこいようですが…」

詠矢「わかってるっての…出過ぎたマネはしねえよ…」

白井「なら結構ですわ…」

白井「わたくしも移動します」

詠矢「おう、んじゃ頑張って…」

白井「…では(シュン)」

詠矢「ってと…」

詠矢は辺りを見回しつつ張り込むポイントを探す。

227 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 13:41:27.698 ID:D8orBhKNa.net
詠矢「(おあつらえ向きに壁のトタンは穴だらけだな)」

詠矢「(覗き込むには苦労しねえが、相手から発見される可能性も高いな)」

詠矢「(ま…進行方向は向こうみたいだから…この辺…かね)」

適当な場所を見つけると、詠矢は静かに腰を下ろした。

詠矢「(ブブブ)…(お、メール来た…添付写真をっと…)」

詠矢「(…下品なツラしてやがんなあ…なんでこの手の奴って)」

詠矢「(判で押したような悪人面なのかね…)」

詠矢「(ま、確認しやすくていいがね…)」

詠矢「(…さて…)」

詠矢「(…暇なもんだな…)」

詠矢「(当たり前か…)」

詠矢「…」

228 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 13:41:43.264 ID:D8orBhKNa.net
詠矢「…お?」

五分とかからず変化が起こった。

足音と思われる、地面を蹴り上げるような音が近づいてくる。

強盗犯「ハアッ…ハアッ…」

息を切らせ、男が走ってくる。先ほどの悪人面の主である。

詠矢「…(来たか…こっちが当たりとはね…)」

詠矢「…(さて…集中しますか…)」

足音はあっという間に大きくなる。そして、それが最大音量となったとき。

詠矢のいる廃屋の前を通過した…。

強盗犯「ハアッ…ハア…」

詠矢「…!」

詠矢は息を潜め、走り抜ける男の顔を確認する。

詠矢「…(間違いねえ…コイツだ…!)」

229 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 13:41:56.442 ID:D8orBhKNa.net
送られてきた写真と対象を再度確認すると、すばやく詠矢はスマートフォンを操作する。

詠矢「(対象が目の前を通過。容貌から犯人であることを確認)…(約一分前に通過…っと)」

必要最小限の情報を入力すると、詠矢はすぐさまメールを送信した。

詠矢「…」

詠矢「…(こんで、仕事終わりかな?)」

詠矢「…(ブブブ)…(お、返信か…)」

詠矢「…『ご苦労様です。後はこちらで対処します。撤収願います』…か…」

詠矢「本格的に終わりだね…さて…」

詠矢「もう行っちまった…よな?」

路地に人の気配が無いことを確認すると、詠矢は人の通れる場所を探して外に出た。

詠矢「もう、白井サンが先回りしてるんだよな…」

詠矢「んじゃ、大人しく帰りますかね…」

詠矢「…」

詠矢は、犯人が走り抜けていった路地の先をなんとなく見る。

詠矢「なんか…やな予感するなあ…」

詠矢「…どうするか…ねえ」

230 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 13:42:13.730 ID:D8orBhKNa.net
(とある路地 空き地)

強盗犯「ハアッ…ハアッ…ここまで…逃げれば…」

かなりの距離を走り続けた男は、周囲の静かさに安心したのか、その足を緩めた。

強盗犯「ハアッ…さすがに…ハア…追ってこねえ…だろ…」

膝の上に手を置き、息を整えようとした直後。

(キイン タスタスタス)

強盗犯「…!!何だ!!」

突然、男の足元に金属の矢が突き立った。

白井「そこまでですわ!!」

強盗犯「…テメエ…」

白井「ジャッジメントですの!」

白井は腕章を見せ、自分の立場を誇示した。

白井「ずいぶんとお疲れのようですわね?そろそろ終わりにしてはいかがでしょう?」

白井「鉄格子の向こうで、ゆっくり休んで頂けますわ」

231 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 13:42:30.184 ID:D8orBhKNa.net
強盗犯「野郎…ナメやがって…」

白井「あなたのような小物に、時間をかけるわけに参りません」

白井「とっとと終わらせていただきます(シュン)」

白井は消えた、得意の転移ドロップキックだ。

強盗犯「ぐわっ!!」

突如、後頭部を襲う攻撃など避けられるわけもなく、男は簡単に地に伏した。

白井「終わりです!」

拘束するための鉄矢を手に取った瞬間、白井は勝利を確信していた。

だが、男は突然身を翻す。

強盗犯「けっ!!これでも食らえ!!」

男は台詞の直後に目を閉じる、そして。

白井「…!!!」

白井の目の前に突然強い閃光が発生する。

232 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 13:42:45.443 ID:D8orBhKNa.net
その視界が真っ白に塗りつぶされた。

白井「し…まっ…!!」

強盗犯「うるあぁ!!」

上体を起こしながら、男は白井の胴体に拳を放った。

白井「ぐはっ!!!」

たまらず膝が落ちる白井。

強盗犯「まだまだあぁ!!」

男は完全に立ち上がると、前のめりになった白井の腹部を力任せに蹴り上げた。

浮き上がった白井の体は宙を舞い、落下し地面に叩きつけられた。

白井「ゲフッ…ん…ぐ…」

白井「…あなた…能力…者…」

強盗犯「ヘっ…爆裂閃光(フラッシュボム)ってな…空間に光を発生させるだけの」

強盗犯「チンケな能力だがなあ…」

233 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 13:43:05.262 ID:D8orBhKNa.net
強盗犯「使い方によっちゃあ…刺さるだろ!?」

言葉と同時に男は白井の背中を踏みつける。

白井「…ぐ…ぎっ!!」

強盗犯「さあて…どうしてやろうかねえ…」

強盗犯「アジトに連れ込んで…イジメ倒してやろうか…?ええ!!」

白井「…こ…の…!!」

強盗犯「まあ、どっちにしろ、もう少し弱らせてから…だなあ!」

(ザッ)

再び男が背中を踏みつけようとした瞬間。誰かが走りこんできた。

詠矢「ハアッ…ハア…」

強盗犯「なんだ…テメエは…!?」

詠矢「なんか、ヤバそうだったんで…急いで追っかけてきてみたんだが…」

詠矢「間に合った…いや、合わなかったのかな?」

234 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 13:43:18.927 ID:D8orBhKNa.net
強盗犯「仲間…か?」

詠矢「仲間ってのは間違いないが…通りすがりの一般人だよ…」

白井「…!(この声は…詠矢さん!)」

白井「詠矢さん、逃げてください!!。あたなたが関わることではありません!!」

詠矢「お小言なら後で聞くよ」

詠矢「そんな状態の白井サンを置いて、逃げれるわけねえっしょ…」

白井「…っ!!」

強盗犯「テメエもナメた野郎だなあ…。コイツは、使いたくなかったが…」

男は腰のベルトからバタフライナイフを取り出した。

詠矢「おーおー…定番だねえ…」

詠矢「そういうもの出せばビビると思ってんのならお生憎様」

詠矢「こちとら結構見慣れててね…」

強盗犯「なんだ…やるってのか…?」

235 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 13:43:37.933 ID:D8orBhKNa.net
詠矢「逃がすつもりなら追って来ねえいっての…」

白井「詠矢さん!コイツは光を使います!!気つけてください!」

詠矢「ああ…こっちに向かってるときに…なんか光が見えたんだが…能力者だったのか…」

強盗犯「…このアマ…」

強盗犯「余計なこと口走ってんじゃねえ!!」

男は力の限り白井の背中を踏みつける。

白井「が…っ…は…!!」

詠矢「…!」

いつもゆるいの詠矢の表情が、一気に鋭くなる。

ぎりっと奥歯を噛み締めると、静かに相手の距離を詰める。

詠矢「来い…相手してやるよ…」

強盗犯「…ナニ余裕かましてんだテメエェェ!!死んどけやあぁあ!!」

男は躊躇無く顔面を突いてくる。

236 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 13:44:10.520 ID:D8orBhKNa.net
詠矢「…!」

上体を反らし、詠矢はそれをギリギリでかわす。頬に浅い切創が浮かび、血がにじむ。

詠矢「…!!」

すぐさま詠矢は男の手首を取り、ひねり上げようとするが…。

強盗犯「(今だ!!)」

詠矢「…っ!!」

詠矢の目の前に強い閃光が発生する。と同時に、しばし両者の動きが止まる。

強盗犯「ケッ…チョロイもんだ…」

勝ち誇った男は目を開ける。だが、その視界に移ったのは…

正面から自分の顔面に向かってくる、相手の拳だった。

強盗犯「なっ…!!ガフッ!!」

詠矢の拳は、男の鼻筋に正確に命中した。

だが、腕をとられたまま倒れることも出来ない。

237 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 13:44:23.205 ID:D8orBhKNa.net
詠矢「ナントカに刃物って奴だな…。とりあえず大人しくしてもらおうか?」

詠矢は取った腕をひねり上げると、相手の体をうつぶせに倒し、そのままのしかかって肩と肘を極める。

強盗犯「い…いでででで!!…てめえ…目は…」

詠矢「あ?アホかてめえは?」

詠矢「まぶしいのはお前も同じなんだろ?能力を使う前に目を閉じないと、自爆するわけだ」

詠矢「同じタイミングでこっちも目を閉じれば、影響なんぞ受けるわけねえだろ…」

詠矢「初見ならともかく…わかってて引っかかるような能力じゃねえな」

強盗犯「…く…っそ…て…めえ!!」

詠矢「はいはい、暴れると余計痛いよ…」

極めた腕を詠矢は更に締め上げる。

強盗犯「いぎぎぎぎぎぎぎいい!!」

238 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 13:44:40.813 ID:D8orBhKNa.net
詠矢「白井サン!無事かい!!」

詠矢「動けるんなら!コイツの拘束を頼む!」

白井「…はい…なんと…か…」

よろよろと立ち上がる白井。視界はどうにか回復したようだ。

白井「…んっ!!」

鉄矢が転移され、男の上着の数箇所を地面に縫い付けた。

強盗犯「なっ!!」

詠矢「これで動けんな…」

強盗犯「…く…っそ…おぉぉぉお!!」

詠矢「ま、観念しな…」

強盗犯「…おい、テメエ!」

詠矢「何だよ…」

239 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 13:44:55.895 ID:D8orBhKNa.net
強盗犯「いつまでのしかかかってんだよ!もういいだろうがよ!」

詠矢「…まあ…そうだな」

強盗犯「ならとっととどけよ!!」

詠矢「…」

詠矢「…あ、手が滑った…(ゴキャッ)」

強盗犯「へっ?…ガ…ギィャアアアアァァァァアアア!!!」

強盗犯「…(ガクッ)」

肩関節を外された痛みで、男は気を失った。

詠矢「やれやれ…静かになったな…」

詠矢「白井サン!大丈夫か!!」

まだおぼつかない足取りの白井の傍に詠矢は駆け寄る

240 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 13:45:09.753 ID:D8orBhKNa.net
白井「はい…この程度…なんてこと…(ゴホッ)」

詠矢「無理すんなって…ほら…」

詠矢は白井の腕を抱えて体を支える。

白井「詠矢さんこそ…血が…」

詠矢「まあ、この程度カスリ傷さ…白井サンに比べればね…」

詠矢「とにかく、容疑者は確保した。応援を呼んで、早いこと医者行こう!」

白井「ええ…その方が…よろしいですわ…ね…」

241 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 13:45:10.840 ID:JVyLJNne0.net
世界名作劇場

242 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 13:45:24.093 ID:D8orBhKNa.net
常盤台中学女子寮 御坂と白井の自室)

白井「ということがありまして…」

御坂「アンタも大変ねえ…こんなに生傷増やして…」

胸に巻いた包帯を取り替えつつ、御坂は後輩の体の傷を確認しながら呟いた。

白井「職務上仕方ありませんわ…覚悟の上です…」

御坂「そんなこと言って…アンタも女の子でしょ?…まったく…」

御坂「はい、これでいい?」

白井「ありがとうございます…お姉さま」

御坂「なに水臭いこと言ってんのよ。これぐらいお安い御用よ」

包帯と、湿布の交換を終え、御坂はねぎらうように白井の肩をぽんぽんと叩いた。

白井「しかし…今回ばかりは詠矢さんに助けられました」

白井「あの方が居なかったらどうなっていたことか…」

御坂「まあ…意外と頼りになるもんね…あの人…」

243 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 13:45:39.017 ID:D8orBhKNa.net
御坂「…」

御坂「黒子…さあ…」

白井「なんでしょう?」

御坂「最近…詠矢さんの話…多いわよね?」

白井「へっ…?」

白井「それは…まあ…三日と開けずに支部に来ていれば…」

白井「自然と話題も多くなりますわ」

御坂「…へえ…そう…なんだ…」

白井「…なんですの…その妙な勘ぐりは…」

白井「絶賛恋愛脳のお姉さまの基準で判断されては困りますわよ!?」

御坂「ああ…ゴメン…そういう意味じゃないんだけど…さ」

御坂「黒子から、そんな風に誰かを評価する話って」

御坂「あんまり聞いたことが無かったから…さ」

白井「…まあ…確かに…」

244 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 13:45:56.826 ID:D8orBhKNa.net
白井「一部高い能力をお持ちであることは…認めざるを得ませんが…」

御坂「普通の高校生のレベルは、逸脱しちゃってるわね…」

白井「…おねえさま…ずいぶんとあの方に肩入れしますのね…」

御坂「え?…あれ?…いや、そうかな?」

白井「お姉さまは上条さんのこともあって、印象は良いのかもしれませんけど…」

白井「わたくしからすれば、詠矢さんはお二人を結びつけた憎き人物なのです!」

白井「そうです、忘れていましたわ…最初からお姉さまに攻撃をしかけたり…」

白井「やはり、あの方相容れる人物ではございませんわ!」

御坂「…」

御坂「…でもさあ…。そこまで悪く言うことも無いと思わない?」

御坂「詠矢さんなりに、いろいろ頑張ってるみたいだし…

245 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 13:46:13.020 ID:D8orBhKNa.net
白井「…」

白井「まあ…それは…」

白井「(確かに…傀儡の事件も、あの方が居なければ解決出来たかどうか…)」

白井「(以前にも、わたくしとの約束を命がけで守ろうとしてくださいましたし…)」

白井「…」

御坂「…どしたの?黒子?」

白井「え?…いえ…なんでもありません…わ…」

御坂「うーん…じゃあさあ」

御坂「こういうのはどう?」

246 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 13:46:46.419 ID:D8orBhKNa.net
ジャッジメント177支部)

詠矢「うい、こんちわー」

詠矢はいつもの調子で支部の扉をくぐる。

頬には傷を覆うテーピングがまだ残っていた。

初春「あ、こんにちわー」

白井「…こんにちわ」

詠矢「お、白井サンもう出てきてもいいのかい?」

白井「あの程度のケガでいつまでも休んでられませんわ」

詠矢「まあ、元気そうで何よりだけど…無茶せんようになー」

白井「わかっておりますわ…」

白井「それはそうと詠矢さん…お話がありますの…」

詠矢「え?俺に?…」

詠矢「(あー、こないだは出しゃばり過ぎたしなあ…約束も守らなかったし…)」

詠矢「(さすがにお小言かな?)」

詠矢「ん…と…なんだい?」

白井「詠矢さん…」

白井「ジャッジメント…やりません…こと?」

247 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 13:49:45.849 ID:D8orBhKNa.net
ジャッジメント177支部)

詠矢「俺が…ジャッジメント?」

白井「そうですの」

詠矢「はあ…って…俺に…勤まるのかね?」

白井「…あくまでわたくしの判断ですが」

白井「詠矢さんの格闘術、捕縛術に関しては…」

白井「あらためて訓練が必要のないレベルですし」

白井「判断力や倫理観も十分にお持ちです」

白井「加えて、あなたの絶対反論(マジレス)…は」

白井「能力者の犯罪に対して、切り札となる可能性もあります」

詠矢「…ずいぶんと評価してもらってるのはうれしいけど…」

詠矢「俺が…ねえ…」

248 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 13:50:02.243 ID:D8orBhKNa.net
詠矢「っても、急に志願してもなれるもんなのかい?」

白井「もちろん、訓練と試験は必要となりますが…」

白井「詠矢さんなら問題なくクリアできると思います」

白井「いかがでしょう、我々は慢性的に人手不足です」

白井「あなたのような方に加わって頂ければ…」

白井「なんというか…その…」

詠矢「…ん?」

白井「たっ…頼もしい…かと…思いまして…」

初春「…」

初春「…(うわぁ、白井さん無理してるなあ…)」

詠矢「…」

詠矢「…そう…なんか…な?」

初春「えっと…ですね」

初春「…私もそう思います…よ?」

詠矢「…」

249 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 13:50:15.416 ID:D8orBhKNa.net
詠矢「…んー…」

珍しく声に出して悩むと、詠矢は後頭部を数回掻き毟る。

詠矢「…ちょっと時間くれないかな?」

詠矢「いろいろ考えること多くてさ…」

白井「わかりました。確かに急に決められるものではありませんね」

白井「決心が付くまで…しばらく待たせていただきますわ」

詠矢「ん…ゴメンな…」

白井「…いえ、それはかまいません」

白井「よいご返事を…期待していますわ」

詠矢「…んと…じゃあ…これ…」

どこからとも無く紙袋を取り出す。

詠矢「ロールケーキなんだけどさ…」

白井「いつもありがとうございます」

白井「お茶でも入れましょうか?」

250 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 13:50:28.479 ID:D8orBhKNa.net
とあるコンビニ)

詠矢「…」

上条「…20円のお返しになりまーす…」

詠矢「…」

上条「ありがとうございましたー…」

詠矢「…」

詠矢「…あっ…ありがとうございました…」

上条「…」

上条「詠矢…品出し終わったのか?」

詠矢「ん…と…これで終わり…だ…」

詠矢は倉庫から持ってきた商品を並べ整頓する。

上条「…どした、詠矢?」

詠矢「いや、別にどうもしねえけど…?」

上条「なんか考え事か?」

詠矢「まあ…考えてるのは…いつものことだけどさ…」

上条「なんか…違うな…」

詠矢「何がだよ…」

251 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 13:50:48.864 ID:D8orBhKNa.net
上条「だってさあ、お前って考え事してるときって」

上条「どっか楽しそうなんだよな…」

上条「…でもさっきまでは違った。本気で悩んでる感じだったぜ?」

詠矢「…そっか…そうだったか…」

詠矢「上条サンなかなか鋭いねえ…」

上条「なんかあったのか?俺でよかったら相談に乗るぜ?」

上条「まあ…詠矢が考えてわからない事が」

上条「俺に答えられるとは思わねえけどさ…」

あくまで軽く、上条は自嘲気味に笑った。

詠矢「いやいや…そういう言葉は一番ありがたいさ」

詠矢「やっぱ、持つべきものは友達だねえ…」

詠矢「そこまで言ってもらったんじゃあ…黙ってるわけにもいかんね」

上条「…やっぱ、なにかあるんだな?」

詠矢「心配してもらうようなことじゃないんだけどさ…」

252 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 13:51:04.524 ID:D8orBhKNa.net
詠矢「ジャッジメントやってみないかって…誘われたんだよ」

上条「へえ…。誘われたって言うと…やっぱ白井か?」

詠矢「あ、うん」

上条「で、やってみるかどうか悩んでるってわけか…」

詠矢「まあ、そういうわけだな」

上条「ジャッジメント…か…」

上条「じゃあ、俺が思ったこと、ストレートに言ってみていいか?」

詠矢「お、貴重なご意見賜れますか?」

上条「んじゃ…俺は詠矢なら、やれると思う」

詠矢「…そうか…な?」

上条「お前とは会ってからあんまり経ってねえけどさ」

上条「今まで一緒にやってきたことを考えれば…素直にそう思えるぜ?」

詠矢「…」

詠矢「そっか…。そいつは褒めてもらってるてことで、いいのかな?」

上条「おいおい、そんなモン疑う余地無く褒めてるんだろうが」

253 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 13:51:18.069 ID:D8orBhKNa.net
上条「少なくとも、お前は自分の力がどうやったら人の役に立てるかって」

上条「いつも考えてるだろ…それくらいは俺にだってわかる」

上条「だからさ、そういうとこだけ考えてみても…」

上条「向いてるんじゃないか?ジャッジメント…」

詠矢「…そうか…ねえ…」

上条「あくまでこれは俺の意見…だけどな」

詠矢「そりゃま、決めるのは俺…だわな」

詠矢「わかってんだけどなあ…」

上条「…」

詠矢「お、お客さんだぜ。無駄話は終わりだ…」

上条「あ、いらっしゃいませー!!」

??「あ、いたいた、ここだったのねえ!」

詠矢「…!!」

上条「えっと…何か…?」

詠矢「母さん!!」

254 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 13:51:33.826 ID:D8orBhKNa.net
上条「…えっ!!」

??「寮の近くのコンビニで働いてるって聞いてたけど…」

??「結構数があるのよねえ、探しちゃったわよ、もう!」

上条「え…と…もしかして…詠矢…くん…のお母さんです…か?」

??「あらあら…こちら…もしかして上条さん?」

沙希「空希の母の、詠矢沙希(ヨメヤ サキ)と申します。いつも息子がお世話になって」

母と名乗った女性は、上条に向かって深々と頭を下げる。

上条「え…と…いや…こちらこそ…」

つられた上条も同じように頭を下げる。

詠矢「母さん!来るなら来るで先に連絡ぐらいしてくれよ!!」

沙希「なに言ってんのよ、こういうのはいきなり来るから面白いんじゃない!」

詠矢「って…もう…」

沙希「ねえ、この方、電話で何度かお聞きした上条さん?」

詠矢「まあ…そうだけど…」

沙希「まあまあ、始めましてぇ…」

255 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 13:52:02.697 ID:D8orBhKNa.net
上条「あ、どうも…です…」

沙希「空希の友達になってくださったそうで、ありがとうございます!」

沙希「もー、この子昔から小うるさい子でねえ、友達なんて出来たこと無かったんですけど」

詠矢「…母さん…やめてくれって…マジで…」

詠矢はたまらずレジの上に突っ伏す。

沙希「あらそうなの?」

上条「えっと…俺も…詠矢…くん…にはお世話になってまして…」

日本の母親がもつ独特の迫力に気圧される上条は、たどたどしく答える。

沙希「これはこれは、ご丁寧にどうも」

詠矢「…いいからさ…もう…」

詠矢「俺、もう少しでバイト終わりだからさ…どっかで待っててくれよ…」

詠矢「そう…今日はお仕事終わりなのね…じゃあ丁度いいわ」

沙希「…ねえ、空希。今日が何の日か覚えてる?」

詠矢「…」

詠矢「…忘れるわけ…ねえっしょ…」

沙希「じゃあ、行きましょうか」

詠矢「行くってどこにだよ…」

沙希「そりゃ決まってるじゃない」

沙希「お墓参りよ!」

256 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 13:52:18.369 ID:D8orBhKNa.net
(とある墓地)

詠矢「まったく…母さんは強引だねえ…」

沙希「何よもう、まさか嫌だったって言うの?」

詠矢「いや、そんなことはねえけどさ…」

詠矢「今年は帰らないつもりだったから…」

学園都市から電車を乗り継ぎ数時間、詠矢の実家に程近い場所に、その小さな墓地はあった。

沙希「あら、まさかお金の心配とかしてたの?」

詠矢「え?…そりゃまあ…新幹線とか結構かかるし…母さんだって楽じゃないだろうから…」

沙希「もう…相変わらず心配性ねえ」

沙希「大丈夫よ!学費だってそんなに高くないし。空希が出て行って逆に楽になってるぐらいよ?」

詠矢「なら…いいんだけど…さ」

沙希「はいはい、いいから。お墓洗ってあげて?」

詠矢「んー…」

257 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 13:52:35.464 ID:D8orBhKNa.net
たわしと雑巾を受け取ると、詠矢はバケツに張った水を墓石にかける。

それからしばらく、親子二人は言葉も少なく淡々と作業を進める。

墓石を洗い、花を供え、火を付けた線香を立てる。

独特な香りと共に、静かに煙が立ち上がる。

詠矢「…」

沙希「…」

二人はほぼ同じタイミングで手を合わせ、目を閉じた。

詠矢「…」

沙希「…」

拝み終わった後も、詠矢は静かに墓石を見つめている。

沙希「空希…?」

息子の横顔に何かを感じ取った母は、静かに語りかけた。

詠矢「…ん?」

沙希「お父さんのこと…まだ…割り切れてない?」

258 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 13:52:50.404 ID:D8orBhKNa.net
詠矢「そりゃ…ね…」

詠矢「警察官が殉職なんて…あることなんだろうけどさ」

詠矢「あの…死に方は…な…」

沙希「そうね…。私にとっても、父さん…流(ナガル)さんはとても大切な人だった…」

沙希「それを急に…あんな形で…だもんね…」

詠矢「悲しいとか辛いとか言うのはもうねえけどさ…」

詠矢「まだ、ちょっとね…」

沙希「…そう」

沙希「…」

沙希「ま、仕方ないわよね」

沙希「でもきっと空希なら、考えて考えて、その向こうに必ず答えを見つけてくれるわ!」

詠矢「こういうのって…考えてどうにかなるもんなのかね…」

沙希「あなたはずっとそうやってきたでしょ?だから大丈夫よ!」

259 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 13:53:08.332 ID:D8orBhKNa.net
詠矢「なーんか、信用されてんだか放任されてんだか…ねえ」

詠矢「でも…ここに来て…悩んでることの答えが一つ出たよ…」

沙希「あらそうなの?ならよかったじゃない」

詠矢「んじゃあ…早速帰って話しないとな」

沙希「…今日はもう遅いでしょ?泊まっていきなさい」

沙希「久しぶりに帰ってきたんだから…ゆっくりしていきなさいよ」

詠矢「そっか…そだな…そんなに慌てて帰ることもないか…」

沙希「そーそ、たまには母さんの言うことも聞いて頂戴!」

沙希「どうせロクなもの食べてないんでしょ?ついでだから…」

沙希「何か美味しいもの食べに行きましょ!!」

260 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 13:53:24.511 ID:D8orBhKNa.net
(学園都市 とある駅)

詠矢「さあて…戻ってきた…か」

実家で一晩過ごした詠矢は、翌日の午後に学園都市に戻っていた。

詠矢「んじゃ、早速連絡しねえとな…(ポチポチ)」

詠矢「……あ、白井サンかい?いきなり電話して悪いね」

詠矢「いやいや…うん…ちょっと話したいことあってさ…」

詠矢「今から会えないかな?…うん…あ、そうなんか…」

詠矢「んじゃ、そっちまで移動するよ…うん…」

詠矢「じゃあ後で…(ピ)」

詠矢「よっと…」

目的地が決定した詠矢は、淡々と歩き出した。

261 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 13:53:57.321 ID:D8orBhKNa.net
(とあるショッピングモール)

詠矢「いやいや、どーもこんちわ…」

白井「こんにちわ…何のご用ですの?」

詠矢「ちょっと話したいことがあってねえ…」

詠矢「しかし、外出中だったのか…もしかして仕事中かな?」

白井「いえ、今日は非番ですので…ちょっとショッピングですわ」

詠矢「へえ、一人でかい?」

白井「ええ、あいにく皆さんお忙しいようで…」

白井「お姉さまは言わずもがな…ですわね…」

詠矢「なるほどねえ…じゃあ、用事が済んでからでいいよ」

詠矢「せっかくの休み、邪魔しちゃ悪いしね」

白井「よろしいのですか?」

詠矢「ん、まあ別にそこまで急ぐ話でもねえし…」

詠矢「出来れば早く話してえなと思ってただけだからな」

詠矢「んじゃ、ごゆっくり…時間があれば後で電話してくれ…」

262 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 13:54:12.531 ID:D8orBhKNa.net
白井「…」

立ち去ろうとする詠矢の背中を、白井が見つめる。

白井「…」

白井「…!(あ)」

突然、白井の中に何かが閃いた。なにやら含みの有る笑顔が自然と浮かぶ。

白井「ちょっとお待ちください詠矢さん!」

詠矢「…ん?どしたね?」

白井「どうせお暇なのでしたら…」

白井「荷物持ちをお願いできませんこと?」

詠矢「そりゃーアレかい?買物に付き合えってこと…かい?」

白井「まあ、そういうことですわね」

詠矢「そりゃまあ…楽しそうだけどねえ…」

白井「詠矢さん、いろいろなことにご興味があるようですが」

白井「女の過酷な買物に付き合ってみるのも、よい経験になりましてよ?」

白井はふふんと鼻を鳴らすと、挑発するような笑顔を浮かべて見せた。

263 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 13:54:25.844 ID:D8orBhKNa.net
詠矢「…(あ、なんか悪い顔してる)」

詠矢「まあ…いいぜ…お役に立てるんなら…」

白井「では、決まりですわね、参りましょう」

詠矢「うい…」

白井「(フフフ、わたくしが今日どこに行こうとしてたか…)」

白井「(想像も出来ないでしょうね…)」

白井「(ちょっと最近やられっぱなしで面白くありませんでしたの)」

白井「(今日は、少々困らせてやりますわ…)」

白井「…ンフフフフ…」

詠矢「…」

詠矢「…(なんだかねえ)」

白井の背中から立ち上る黒いオーラに不安を感じつつも、その後を黙って付いていった。

264 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 13:54:47.490 ID:D8orBhKNa.net
(とあるランジェリーショップ)

詠矢「(うわ…なんだこの店)」

ショッピングモールのはずれに有るとある店は、妖艶な店構えのランジェリーショップだった。

白井「(驚いてますわね…しめしめ…)」

白井「さ、入りますわよ…」

詠矢「お…おう…」

詠矢「(おーう…店構えもすごいが売ってるモンもすげえなあ…)」

詠矢「(おわっ!これとか…こんなデザインでどこ隠そうっていうんだよ…)」

詠矢「白井サン…いつもこんな店来てるのか?」

白井「ええ、普通のお店では、わたくしの趣味に合う品があまり手に入りませんでしたが…」

白井「最近ここを見つけまして…重宝しておりますのよ?」

詠矢「あ…重宝って…そうなんか!?」

答える詠矢の声が思わず裏返る。

白井「そうですわよ?…ほらほら…詠矢さん、こういうのいかがでしょう?」

詠矢「って…それ殆ど紐じゃ…」

ただひたすら動揺する詠矢。その姿を白井は満足げに見る。

265 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 13:55:00.811 ID:D8orBhKNa.net
白井「(フフフ…やはりこの手のことには免疫が無いご様子…)」

白井「(もう少しからかって差し上げましょうか…)」

白井「こっちなかなかいいですわねえ…」

白井「いかがですか詠矢さん?」

詠矢「いや、そう聞かれてもだな…えっと…」

詠矢「…ん…?」

白井「どうしましたの?」

詠矢「…白井サン、こういうの着るんだよな…?」

白井「ええ…もちろんですわよ?」

詠矢「…」

詠矢「…ダメだな…」

白井「はい?」

266 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 13:55:18.344 ID:D8orBhKNa.net
詠矢「似合わねえよ…」

白井「…え?」

詠矢「白井サン、体細いんだからさ、こんな露出度の高いもの着ると」

詠矢「下着だけ浮いちまうぞ」

白井「…な…」

白井「なんですの!人の趣味にケチつけないで頂けますの!?」

詠矢「いや、好き嫌いとは別にだな、似合う似合わないっていう判断基準は明確に有る」

白井「…え?あ、いや…でも動きやすさと掃き心地重視ですから…」

詠矢「あー、違うぞそれ。布地が少ないほど動きやすいと思ってるのは完全な誤解だ」

詠矢「最近の下着は機能性が高くてなあ」

詠矢「体型をサポートして、動きを補助してくれるものが沢山ある」

詠矢「特に白井サンは職務上動き回ることが多いし」

詠矢「こんなネタ重視のもの身に付けてちゃダメだ」

267 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 13:55:44.275 ID:D8orBhKNa.net
詠矢「…んー」

白井「…」

白井「あの…詠矢さん?」

一人考え込む詠矢。白井はおずおずと声をかけた。

詠矢「確か、その手の店がこのモールにあったはずだ…」

白井「…あの…聞いてます?」

詠矢「よし、見に行ってみよう、確か(ガシッ)こっちだ!」

白井「え?…って…あわわわぁ!」

詠矢は白井の手首を掴むと、そのまま腕を引いて移動を始める。

白井は転移で逃げることも忘れ、引きずられるように連れて行かれてしまった。

268 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 13:55:58.822 ID:D8orBhKNa.net
(とある学生寮 上条の自室)

上条「それじゃあ、詠矢をジャッジメントに勧めたっての、美琴だったのか?」

御坂「そそ、黒子に言ってみたの」

テーブルの上に並べられた惣菜に箸を伸ばしつつ、上条は言った。

上条「はー…、美琴からそんな話を出してたなんてなあ」

御坂「そう?私は向いてると思うけどなあ…」

上条「そりゃ俺だってそう思うけどな、ちょっと意外だったぜ?」

御坂「んー…ちょっと…心配なことがあってね…」

上条「…心配って、何だよ」

御坂「黒子のことよ…」

御坂「あの子、ずっとジャッジメントの仕事と、私のことばっかりだったから…」

御坂「私が当麻と付き合いだしてから、ちょっと元気なかったのよね…」

上条「そりゃ、申し訳ないつーかなんていうか…」

御坂「だから、喧嘩友達でも出来ればなあ…ってね?」

上条「喧嘩友達かぁ?…まあ、確かにあんまり仲良さそうじゃないけどな。あの二人」

269 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 13:56:12.989 ID:D8orBhKNa.net
御坂「ううん、それは多分違う…」

御坂「言い争えるってことは、相手のことを認めてるってことだもん」

上条「そんなもんなんか…ねえ」

御坂「ま、当麻にはいくら説明してもわからないだろうけどー」

上条「なんだよ、その手の話になるといつもその結論ですな」

御坂「だってそうじゃない…まあいいけどさ」

御坂「とにかくあのコ、しっかりしてるようで危なっかしいトコもあるから」

御坂「詠矢さんみたいな人が支えてくれればいいかなって」

上条「確かに、アイツなら力にはなってくれるだろうな…」

上条「ってもよ、危なっかしいって言えば美琴も同じだぜ?」

御坂「…いーのよ。私には当麻がいてくれるから」

上条「お、そっちに落としますか御坂センセー」

御坂「ふふっ…」

微笑を交わす二人。食事は静かに進んでいった。

270 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 13:56:26.819 ID:y1RXgXFP0.net
久しぶりにみたいと思ってた

271 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 13:56:44.653 ID:D8orBhKNa.net
とあるショッピングモール フードコート)

詠矢「…まことに申し訳ございません…」

小さなテーブルを挟んで差し向かいに座る二人。

詠矢はそのテーブルに手をつき、膝を擦り付ける勢いで頭を下げていた。

白井「まったく…詠矢さん思ったより強引ですのね…」

白井は膝元に置いた紙の手さげ袋に目を落としつつ言った。

詠矢「女の子に下着を勧めて買わせるとか、我に返ってみるとなんと大それたことを…」

白井「もういいですわ…詠矢さん…。最後はちゃんと納得して決めましたし」

白井「店員の方の説明を聞くうちに、わたくしも少し興味がわきましたわ」

詠矢「いやほんとゴメン。論証に入るとつい熱くなっちまって…」

白井「あら、これも論証ですの?」

詠矢「問題に対して思考し、対策を考えて結論を出す。同じことだよ」

許しを得たと解釈したのか、詠矢は静かに頭を上げた。

272 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 13:57:08.841 ID:D8orBhKNa.net
詠矢「とにかく、気に入らなかったら弁償するからさ」

白井「お気になさらず…下着の一つや二つ着こなしてみますわ」

詠矢「ん…、そういってくれると気が楽だね」

白井「…」

詠矢「…」

会話が終わった後に、なんとも言いがたい間が発生する。

詠矢「…えっとな?」

口火を切ったのは詠矢の方だった。

白井「なんでしょう?」

詠矢「用事も終わったみたいだし、話…いいかな?」

白井「ええ、よろしいですわ…」

詠矢「こないだの、ジャッジメットやってみないかって話だけどさ」

詠矢「申し訳ないけど、お断りさせてもらうわ…」

白井「…」

273 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 13:57:24.345 ID:D8orBhKNa.net
白井「そう…ですの…」

白井「残念ですわ…。引き受けていただけるものだと、思っておりました…」

詠矢「ゴメンな?」

詠矢「理由…説明しといたほうが、いいかな?」

白井「…差し支えなければ、お聞きしたいですわ」

詠矢「俺の父さんがさ、警察官だったんだ」

白井「だった…過去形ですの?」

詠矢「ん、まあ、殉職してるんだよ」

白井「…!!、そう…でしたの…」

詠矢「白井サンさあ、何年か前に、麻薬中毒の暴力団員が、銃を持って民家に立てこもった事件って覚えてるかな?」

白井「ええ…たしかあの時、対応した警官が…え!?…まさか?」

詠矢「そう、そのとき撃たれて死んだのが俺の父さんなんだ」

白井「…」

274 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 13:57:44.700 ID:D8orBhKNa.net
詠矢「父さんは厳格で正義感の強い人だった」

詠矢「最後の最後まで、警察官としての正しさを貫いて」

詠矢「ヤク中のヤクザを安全に確保しようとして…殺された」

詠矢「結構それから大変でさ、心無い奴からいろいろ言われたよ」

詠矢「臆病者とか、腰抜けだとか…なんで先に撃たなかったんだとかさ」

詠矢「それでちょっと荒れてた時期もあったんだけどね…」

白井「…」

詠矢「まあいいや、そんな話は」

詠矢「でも俺は父さんのやったことは間違っていないと今でも思う」

詠矢「現行の法規の中で、最大限正しい判断だったと思う」

詠矢「でも…もし、相手の安全を省みなかったら、『正しい』判断をしなかったら」

詠矢「父さんは死なずに済んだんじゃないかと思うと…ね」

白井「…」

275 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 13:57:57.379 ID:D8orBhKNa.net
詠矢「俺の悪い癖で、いろいろ考えすぎちまってさ」

詠矢「そういうことに整理が付いてない人間が、ジャッジメントみなたいな公的な機関で」

詠矢「働いちゃいけないと思うんだよな…」

詠矢「…ってまあ、そういうわけなんだ」

白井「…」

白井「わかりました」

白井「そのようなご事情がおありなら…仕方ありませんわね…」

白井「わたくしこそ、詠矢さんの心情も考えず」

白井「勝手なことを言いまして…申し訳ありませんでした…」

詠矢「いやいや、謝らないでくれよ!そんなことわかるわけないんだからさ!」

白井「いえ…でも…」

詠矢「こっちこそご期待に添えなくて申し訳ない!」

白井「…」

白井「…詠矢さん」

詠矢「…ん?」

276 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 13:58:10.563 ID:D8orBhKNa.net
白井「詠矢さんのお父様の判断、わたくしも正しかったと思います」

白井「ですが、わたくしも同じような状況になった場合、どのような判断が出来るかわかりません」

白井「同じく法を守るものとして、この話は深く心に刻み付けておきたいと思います」

詠矢「そっか…なんかありがとな?」

詠矢「父さんを認めてくれる人が増えて、ちょっとうれしいよ」

白井「恐縮…ですわね…」

詠矢「んじゃあ…話は終わりだね」

詠矢「俺は失礼するよ」

詠矢は静かに席を立つ。

詠矢「んじゃ、またなー」

白井「ええ…また…」

遠のいていく詠矢の背中を、白井は静かに見つめていた。

277 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 13:58:23.878 ID:D8orBhKNa.net
常盤台中学学生寮 御坂と白井の自室)

白井「…ふむ」

自室に一人の白井は、買って来たばかりの下着をなんとなく身に着けてみた。

白井「試着のときにも思いましたが…確かに動きやすいですわね」

白井「肌と衣服が衣服が触れ合うことも少ないですし…着心地も悪くありませんわ…」

四肢を軽く動かし、白井は着心地を確かめる。

御坂「ただいまー」

突然扉が開かれる。

白井「お、お姉さま…おかえりなさいまし…」

枕を引っつかんで慌てて体を隠す白井。

御坂「あら…どうしたのその下着」

白井「えっ…いえ…ちょっと…着心地を…」

御坂「ちょっと見せてよ!」

枕を剥ぎ取る御坂。白井にはもう隠す手段はない。

白井「…」

278 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 13:58:40.715 ID:D8orBhKNa.net
御坂「いいじゃない、ちょっと地味だけど落ち着いた感じで」

御坂「似合ってるわよ?」

白井「あ、ありがとうございます…」

御坂「でもどうしたの?いつものと全然違うじゃない?」

白井「えと…いえ…たまにはちょっと…変化球をと…」

御坂「アンタはいつも着てるのがデッドボール並の変化球でしょうが…」

御坂「たまにはそういうストレートなものも着なさいって…」

白井「お…お姉さまには言われたくありませんわ!!」

白井「お先にお風呂失礼します!」

御坂を押しのけ、白井は逃げるように脱衣場に入ってしまった。

御坂「…なに慌ててるんだか」

御坂「ま、いっか。なんか元気出たみたいだし…」

愛すべき後輩の様子に、御坂は素直に微笑む。

それぞれの思いを包み込みながら、学園都市の夜は静かに更けていった。

279 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 13:59:28.226 ID:D8orBhKNa.net
以上となります。
この話はこれで完結です。
ありがとうございました。
2013/01/23(水) 00:11:16.71

280 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 13:59:56.779 ID:cQk9TyBk0.net
あれこれ俺の知ってるやつと違うんだけど
何これ続編?新作?

281 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 14:01:39.371 ID:nxXYFm4e0.net
確かに完結してなかったよなあれ

282 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 14:03:24.477 ID:D8orBhKNa.net
3期4期長いから5期だけ貼った

283 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 14:05:15.013 ID:WK3SLHDVp.net
2期以降は蛇足だなもっともいえば落ちて死ぬのが1番綺麗

284 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 14:09:30.895 ID:1rD1Y+KZ0.net
6期以降も貼れ

285 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 14:15:08.341 ID:Qh6S1VqS0.net
正直今のハーメルンやなろうでなら受け入れられそうな気はする

286 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 14:15:15.948 ID:D8orBhKNa.net
7期が一番面白いと思うけどな

287 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 14:16:51.269 ID:nbIckpj10.net
食峰の奴で完全なろう化してて気持ち悪かった

288 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 14:18:45.447 ID:P3xNszjQ0.net
長すぎるからアニメ化してくれ

289 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 14:22:07.376 ID:D8orBhKNa.net
7期で詠矢さんの絶対反論で幻想殺しを強化して戦う所めっちゃ良かった

290 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 14:30:02.097 ID:y1RXgXFP0.net
二期はにわかが書いてるからなぁ

291 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 14:36:36.569 ID:8wCvirRA0.net
一期はにわかじゃないという風潮

292 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 14:48:06.207 ID:dzpfEyb70.net
これに許してやれよとか言ってる奴は新参なの?

293 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 15:27:06.401 ID:HBlninot0.net
>>292
新参はこのスレ知らないと思う

294 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 16:12:07.261 ID:cQk9TyBk0.net
7期…?えそんなシリーズ化してたのかこれ

295 :毛ガニくん:2019/10/13(Sun) 16:57:41 ID:RO0sV89PM.net
>>292
今どき新参って単語言ってるあたり自分で新手ですって自己紹介してるもんだから辞めておけ

296 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(Sun) 17:27:39 ID:SlxQID1dd.net
再放送定期

297 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/10/13(日) 17:45:16.955 ID:2Mcy8ULy0.net
全部貼れ
いや貼ってくださいおねがいします

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