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百江なぎさたそに挿入したい

1 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/05/22(木) 19:31:10.70 ID:1DDi8ezz0.net
わかる

2 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/05/22(木) 19:34:47.80 ID:+7wa8GUh0.net
なぎさという小学生の女の子がいた。
あらゆるものを欲しがり、諦めることがない。
大好物はチーズで、それは母親譲りだった。

ある日、母親が暗い顔でなぎさに話す。
「お母さんね、癌になったの。」
発見時には癌はだいぶ進行しており、ほどなく彼女は入院した。
癌の苦痛は日増しに強くなっていったが、人が見舞いに来るたび作り笑いをしてみせた。しかし、なぎさと一緒にいるときだけは笑顔を作る必要はなかった。愛らしい振る舞いに自然と笑顔になるのだ。図らずも、その本物の笑顔はなぎさを安心させていた。

途切れることのない見舞いの中、なぎさがチーズケーキを持っていったことがあった。大好物のチーズを食べれば元気になるだろうと思ってのことだったが、代わりになぎさが食べることになった。
癌、というよりも抗癌剤の副作用で体の免疫力が落ちているため、母親は発酵食品は食べられないのだ。それでも、なぎさの当初の目的は果たされていた。美味しそうに食事をする娘の姿は、母を元気にさせるものだ。

3 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/05/22(木) 19:35:49.65 ID:+7wa8GUh0.net
必然的に、なぎさにまで作り笑いをする日はやってくるのだった。
発見の遅れた癌に治療は意味を成さず、身体は衰えていく。医者に知らされるよりずっと早く、母親は自らの命がそう長くないことに気づいていた。
千思万考の末、なぎさにそれが伝えられた。なぎさも薄々気づいてはいたが、予感と事実では重みが違う。僅かな希望も消え、悲しみだけが残る。それ以来、なぎさは息を切らして見舞いに来るようになった。

暗い見舞いがしばらく続いた後のことだ。なぎさは泣いていた。母親の顔色は死人のそれに等しかった。
母親はかすれた声で言った。
「チーズケーキが食べたいの。あのとき、なぎさがせっかく持ってきてくれたのに食べられなかったから。」
なぎさは、看護婦にチーズケーキを持ってきてほしいと頼んだ。もはやチーズが身体に与える影響など気にする段階ではなく、最期の時を少しでも幸せに生きてほしいと思ったのだ。
しばらくして看護婦が持ってきたのは、チーズケーキではないお菓子だった。チーズケーキは見つからなかったのだという。それは嘘だ。病院の評判のため、患者には別の病院で死んでもらわなければならない。引取先が見つかるまで母親を生かしておきたいのだろう。
なぎさはその言葉を疑うような性格ではなく、病院を飛び出しチーズケーキを探した。近くのケーキ屋は既に閉まっている。遠くまで行くにも今は時間が惜しい。冷静さを失ったなぎさには、成す術が無いように思われた。
そんななぎさのもとに白い猫のような生き物が現れた。

4 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/05/22(木) 19:36:18.84 ID:+7wa8GUh0.net
笑顔のなぎさが箱を抱えて病室に戻ってきた。左手には指輪が嵌められている。箱を開け、チーズケーキを母親に差し出す。母親は震える手でチーズケーキを口へ運ぶと、微笑みながら涙を流した。それを見て、なぎさも同じように涙を流した。

気持ちの変化によるものか、母親は容体を奇跡的に持ち直した。文字通り願ってもいない事態になぎさは喜んだが、見舞いの時間は減ってしまっていた。魔法少女としての仕事があるのだ。
キュゥべえと名乗るあの生き物によれば、使い魔という者達は人を食べる。ただでさえ無視できないし、母親に被害が及べば最悪だ。街に現れる使い魔との危うい戦いを続けた。

再び、母親の容体は悪化した。気持ちだけでは病に完全には勝てない。彼女にもなぎさにも、これが本当の最期であることがわかっていた。
母親は以前のようにチーズケーキが食べたいと言ったが、なぎさにはどうしようもなかった。おそらく外で買ってくる時間は無いだろう。困り果てたが、魔法で作ればよいと閃いた。願いの内容の影響で、お菓子を作る魔法が簡単に使えたのだ。
なぎさは病室を出て隠れて魔法を使った。しかし出てくるのはチョコレートやクッキーばかりだった。なぎさは躍起になった。諦めるつもりはない。執着心の強い性格が災いし、他のことが考えられなくなっていた。
チーズケーキを出そうとして何分か経った。なぎさはハッとなって病室へ戻ったが、母親は帰らぬ人となっていた。なぎさの脳内を様々な想いが駆け巡り、指輪の宝石が黒い色に染まっていく。最後になぎさは思った。キュゥべえに、母の病気を治すようお願いすればよかったと。

その日、新しい魔女が生まれた。
お菓子の魔女。その性質は「執着」。欲しいものは全部。絶対に諦めない。お菓子を無限に生み出せるが、大好物のチーズだけは自分で作ることができない。

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