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男「なんで女ちゃんってしゃべんないの?」

1 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 13:31:00.21 ID:SsEO2Lwu0.net
転載禁止でお願いします。




突然、男くんに話しかけられた。
困った。
どうしよう、って思ってたら

「いじめんなよ」

「えーいじめてないよ?」

とか別のコと喋って去っていってしまった。
会話難しい。
ちょっと怖かった。

2 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 13:31:21.09 ID:d/1IqMSj0.net
クソ定期

3 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 13:31:51.75 ID:SsEO2Lwu0.net
その後、男くんだけ戻って来た。

「いじめてないよ?」

なんか言わなきゃ、と思ったけど。
すぐどっかいった。
会話難しい。

4 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 13:32:14.13 ID:P8p8VSvE0.net
糞定期

5 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 13:32:25.65 ID:SsEO2Lwu0.net
私は全然しゃべらない。
だから友達もいない。
給食の時間とか、班で食べるから困る。

黙々と食べる。
なるべくずっとモグモグしてる。ゆっくり。
今、口にものが入ってるからしゃべれないフリしてる。

別に話しかけられるわけじゃないのに。

6 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 13:33:11.51 ID:EaYoH4MR0.net
おっさん

7 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 13:33:12.80 ID:SsEO2Lwu0.net
「女ちゃんって食べるの好きなの?」

口が空だったタイミングで話しかけられた。
なんか言わなきゃと思ったけど、声が出なかった。

「食べてる時、真剣だよね」

困ったから、とりあえず牛乳飲んだ。
時間稼ぎで。
なんて言おうかと思って、男くんの方を見たら目があった。
なんか、笑われた。
その後は他の子と喋ってたから、給食食べる作業に戻った。

8 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 13:33:52.77 ID:SsEO2Lwu0.net
私は瑞希ちゃんとは話す。
二年生のクラスになって、全然誰とも喋らなかったけど
瑞希ちゃんが
「私、あんたの事あんま好きじゃないけど、別に嫌いじゃないから」

って言って体育の2人組になってくれた。
全然仲良くないけど、必要な時は瑞希ちゃんに頼る。
瑞希ちゃんはクラスで偉いコなのに、あんまり怖くない。

9 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 13:34:27.46 ID:SsEO2Lwu0.net
時々、男くんが話しかけてくるようななった。
男くんはなんで話しかけてくるのかと不思議に思ってたら
藤原くんが、男くんに聞いてた

「最近なんであの子に話してんの?」

「え、班の作業とか不便じゃん」

私は不便だった。言われてみれば当たり前だけど。
ちょっとショックだった。

10 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 13:34:52.43 ID:SsEO2Lwu0.net
でもちょっと気が楽になった。
ちょっと怖かったし。
別になにか感情とかなくて作業的なことだったから。
なぜかわかんないけど。良かった。

良くないか。私は不便だし。
なんとも思われないなら、ちょっと頑張ってみようかと思った。

11 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 13:35:20.77 ID:SsEO2Lwu0.net
男くんは同じ班なので、
話しかけられるのは給食の時が多い。
だから給食の時間話しかけられたら、何か返事をしよう、と思ったらすごく緊張した。
今まで全然喋らなかったのに、突然喋ったらいけない気がした。
食べるペースを考えながら、男くんに話しかけられるのを身構えるのムツカシかった。
いつもは完璧に給食の終わる時間で食べ終わるけど、揚げギョウザが残った。

「それ嫌いなの?」

給食の時間が終わったと思って気が抜けてたので、上手く答えられなかった。
説明するのは、すごく難しい。

12 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 13:36:17.32 ID:SsEO2Lwu0.net
説明するのは、難しいので諦めた。
はい、かいいえ、で答えられる事を聞かれたら返事をしようって決めた。
昨日は家帰ってずっとシミュレーションしてた。
「いいえ」
って言えば良かったんだ。
そういう結論に至った。
次に聞かれたら、「いいえ」って言おう。

13 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 13:37:05.03 ID:SsEO2Lwu0.net
美術の席は名前順なので班が教室とは違う。
瑞希ちゃんが居るので助かる。
でも美術の先生はやる気が全くないので
いつも課題だけ出して準備室に行ってしまう。
クラスのみんなはだから、適当に好きな場所に移動して、作業したり遊んだりしてる。
なのでちょっと、とても瑞希ちゃんに申し訳ない気持ちになる。
瑞希ちゃんは私の介護係りとか言われてる。

14 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 13:38:22.82 ID:SsEO2Lwu0.net
別に瑞希ちゃんが私に話しかけてくる事はない。
黙って時々必要な時だけ手伝ったりする。
瑞希ちゃんは人気者なので、瑞希ちゃんが動けない代わりにいつも他の班の子が遊びにくる。今日はゆみちゃんが来た。(苗字とかは忘れた。瑞希ちゃんがゆみちゃんって呼んでる)
ちょっと気まずい。怖い。

「藤原、ワンピースもって来てんだけど」

「マジか、流石に見つかるんじゃね?」

「資料って言ったらOKされたんだって」

「なにそれ、ウケる」

私は黙って作業してる。
完全に空気。

15 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 13:39:30.97 ID:SsEO2Lwu0.net
今日は、日直だったので早く学校に来た。
教員室に日誌を取りにいかなきゃいけない。
私が全部やれば、一緒のコと話さないで済むので、私は一人で仕事やる。
私と組む子はラッキーだと思ってくれてるので助かる。
教員室を出たら男くんがいた。
サッカー部の服を着てた。

「おはよー」

すごく驚いたので、固まってしまった。
男くんはいいながら教員室に入って行ったので返事は出来なかった。
様子を見てたら、なんか鍵を返してた。

16 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 13:40:08.55 ID:SsEO2Lwu0.net
「おはよう」なら言える気がした。
ちょっと、このまま待って、直ぐ出て来たら、「おはよう」って言ってみようかと思った。
めちゃくちゃ緊張した。

「おはよう」って言おう。

男くんはなかなか出てこなかった。

あんまり、こんなとこで立ち尽くしているのは変な気がしてきた。

男くんは体育の先生と何か喋っている。

私は「おはよう」って言うと決めたので頑張って立ってた。
真っ直ぐ立ってるのかよくわからないぐらい緊張した。

他のクラスの日直のコが来たので逃げた。

17 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 13:40:41.58 ID:SsEO2Lwu0.net
定期じゃないが

18 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 13:40:54.24 ID:ECY0gmuR0.net
さるよけ

19 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 13:41:21.39 ID:SsEO2Lwu0.net
男くんはサッカー部だった。
サッカー部は朝練を毎日してる。
朝早く学校に来れば、二人きりになれて
二人きりなら、おはようって言える気がした。
ので、校門が開く時間に学校に行った。
男くんは、いた
けど、他のサッカー部の人も居たので、教室を通り過ぎてトイレにいった。
当たり前のことであった。

めちゃくちゃ緊張したのに

20 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 13:42:43.86 ID:SsEO2Lwu0.net
私は学校以外では喋る。
男の人とも喋る。
塾の個別授業の先生に男の先生もいるから。
大学生でアルバイトをしている。
距離が近いのでめちゃくちゃ緊張する。
私は頭が良くないので、成績は上がらない。
とても申し訳ない。
肩とかがぶつかるとビクッとする。
すごく気を使ってくれるので、とても申し訳ない。

21 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 13:44:09.42 ID:SsEO2Lwu0.net
「先生」と「わかりません」と「わかりました」が言える。
申し訳ないので、「わかりません」はなかなか言えないけど、わからないとバレる。
塾は同じ学校の人もいるので、気まずい。
個別は自習室出やるので、あまり出くわさないけど、
玄関とかで時々あう。
向こうは話しかけて来ないので気にしなくてもいい、と思うのだけど気になる。

先生と話してるところを見られるのは恥ずかしい。

22 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 13:44:15.26 ID:hQi6h+dF0.net
こんなん誰も転載しねえよカス

23 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 13:46:05.89 ID:SsEO2Lwu0.net
塾の帰りに、男くんが遠くから歩いてくるのを見つけた。
男くんは制服を着ていた。
結構遅い時間だったのに。
隠れようと思ったけど、それも不自然な気がしたので、車道の反対側に避けるだけにした。
男くんが近づいてくる。
どうしよう。
挨拶。
さよなら?こんばんわ?
どうしよう。
下を向いてバレないようにしながらすごく悩んだ。
下を向いていたので気づかなかったけど、
気づいたらもう、スレ違っていた。

ホッとしました。

24 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 13:46:25.75 ID:qdRVr9r50.net
ゴミ定期

25 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 13:46:35.76 ID:Uk3CFHF/0.net
マジでスレチだから死ね

26 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 13:47:53.05 ID:SsEO2Lwu0.net
私は家に帰って考える。

別に男くんと話さなくてもいいのだ。
男くんが勝手に話しかけてくるだけなんだから。
私は、男の子と喋る方の人じゃないし。
男くんと話さなくてもいいのだ。
別に隠れなかったし。
気づかれなかったからいいのだ。
無視したわけじゃないからいいのだ。
私は挨拶しようと思ってたし。

私は言い訳を考える。

誰に言うわけでもないのに。

27 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 13:48:37.01 ID:+E4eJykb0.net
http://viper.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1403464146/

28 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 13:48:55.07 ID:SsEO2Lwu0.net
今日は男くんと喋った。死ぬかと思った。

給食の時間だった。
私は大学芋が好きじゃない。
ベタベタするし、ボソボソするから、甘いのに。
ちょっとつまんで、牛乳で流し込む。繰り返す。
苦戦する。していたら

「珍しくすげぇまずそうに食べるね」

私は、とても、大学芋に、集中していたので私に話しかけられてることに気づかなかった。

「大学芋嫌いなの?」
私だ!と気づいた。
そして焦った。
牛乳で飲み下しながら、男くんを見る。
男くんは可笑しそうにコッチを見てたけど、その時は表情とかよくわからなかった、
この場合「はい」と答える奴!
頭の中がいっぱいだった。飲み込んで、

「はい」

っと言った。
言えたと思う、その後すごく咳込んでしまったけど。
むせった。酷い。

「ごめん」
男くんは笑いながら謝ってた。

私は男くんと会話した!

29 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 13:50:27.43 ID:SsEO2Lwu0.net
私は男くんと会話した。
私は無敵だと思った。すごい。
>>27続きをかくんだよ


ちょっと調子乗った。
大学芋も食べられる気がした。

実際はそうでもなかった。
大学芋はやっぱり不味かったので、直ぐに現実に戻った。
あとは黙々と食べた。

30 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 13:51:24.40 ID:SsEO2Lwu0.net
家に返って音楽をかける。
塾に入ってばかりの頃、先生に焼いてもらったCDだ。
余りにも喋らないので、話のネタにってオススメのCDを貸してくれた。
そして、感想教えて?って言われた。

よく知らないロックの音楽だったけど、私はこれがとてもお気に入りだ。
機嫌がいい時にこれをかける。
私は強くなった気持ちになる。

イエーイ!とか一緒に歌う。

私はこれがとてもお気に入りだ。
ちなみに感想は感想文にして渡した。
先生には笑われた。

31 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 13:52:10.13 ID:SsEO2Lwu0.net
私は男くんに話しかけられるのが楽しみになっていた。
最近、男くんは「はい」か「いいえ」で答えられる質問をしてくれる。
一日、一回くらい。
話しかけられない日には残念に思う。

でもなるべく、嬉しそうに見えないように気をつける。
男くんに話しかけられて嬉しそうにしてるのを周りの人に見られたら、
困る。

私はつとめて、私らしく振る舞う。

内心、すごく嬉しいのに。

32 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 13:52:42.82 ID:SsEO2Lwu0.net
質問されたから答える。
必要な事だから、仕方ないから、
私が話したいからじゃない。
っというのが、重要。

たぶん、今なら、「はい」か「いいえ」以外も話せる気がする。
必要なら。
私は自分の向上心の高さに驚く。
私は、必要な用事があれば、男くんに話しかけるつもりになっている。

虎視眈々と、チャンスを伺っている。

33 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 13:53:14.33 ID:SsEO2Lwu0.net
チャンスは意外にも早くやって来た。
社会科の授業のプリントが足りなかった。
私と男くんは一番後ろで、隣の席なので、先生が、

「あー、そこ席くっつけて二人で見て」

と指示したのだ。
先生に指示されたら、仕方が無いので、私は黙々と、従う。
こういうことは、今までも時々あった。
けど、今日は私は何か必要があれば喋る。
そう意気込んでいた。

こういう時に不便だから、男くんは私に話しかけるようになったんだし。
私はがんばろうと思った。とても。

34 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 13:53:54.63 ID:SsEO2Lwu0.net
席を動かす時に、男くんの赤ペンが落ちた。

そして私の足元に転がって来た。
このシチュエーションは想定していた!
落としたものを、拾って、渡す!

このシチュエーションは想定していました!

私は、とても自然な仕草で(手はちょっとだけ震えてた)ボールペンを拾って、男くんに渡した。

「はい」

男くんは落としたことに気づいてなかったのでちょっと間があったけど

「ん?あ、ありがと。」

ありがとうって言ってくれた!
「はい」って言えた!
この「はい」は「はい」か「いいえ」の「はい」じゃないのです!

私は日常会話を一つこなせた!

35 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 13:54:14.00 ID:sP5reyl90.net
ふむ

36 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 13:54:29.05 ID:SsEO2Lwu0.net
私はとても嬉しかったので、
家に返ってリプレイした。先生のCDを流しながら。

自分で、ボールペンを転がして、
拾って

「はい」

やってみたら、思った以上に、馬鹿らしかったのでやめた。
流石にこれは恥ずかしいなと、思ってCDを止めた。
ものすごく恥ずかしくなった。

なにやってんだ自分。

37 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 13:55:12.50 ID:SsEO2Lwu0.net
男くんとの会話で上がった私のコミニケーション能力は塾でも発揮された。

私はずっと気になっていたあのCDのバンドの名前を先生にたずねることが出来た。
先生も喜んでくれた。
先生はとても、優しい。
ちょっと瑞希ちゃんに雰囲気が似てる。

今度は感想を口で言ってみようと思った。

38 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 13:55:41.58 ID:SsEO2Lwu0.net
私の天敵は三谷原さんだ。
三谷原さんは、余計な事を言う。
瑞希ちゃんとゆみちゃんと、三谷原さんは仲良しでいつも一緒にいる。一番偉いグループ。
ゆみちゃんは、一番怖い雰囲気だけどあんまり私のことを気にしないでくれる、三谷原さんは、瑞希ちゃんにとゆみちゃんと四人になった時に、私が居るのが気に食わないらしい。
もうちょっと髪切れば?とか
スカート長くね?

とか言う。
ちょっと馬鹿にされてる気がする。
スカートは短くするのは調子乗ってると思われるのでしないけど、髪の毛は切った。
美容院は苦手。

39 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 13:56:21.04 ID:SsEO2Lwu0.net
次の日に学校に行ったら、
また三谷原さんにからかわれた。

「あー!ほらいいじゃん、可愛いジャーン」

とか言う。
瑞希ちゃんも居たので私は勇気を出した。

「ありがと」

蚊のなく様な声だった。ちょっと自分でも情けなかった。

「あいつにも見せてくれば?」

あいつ、が男くんの事だとわかった。
恥ずかしくて顔が真っ赤になったのがわかった。悔しかった。

「みぃこ、良くない」

瑞希ちゃんが言ってくれたから、三谷原さんはそれ以上は何も言わなかったけど。
私は、そんなんじゃないのに、って言いたかった。
言えないけど。

40 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 13:57:02.75 ID:SsEO2Lwu0.net
言えなかったけど、
「ありがと」って言い返せたから、進歩だと思った。
それに、私も、髪型は気に入ってる。
前に比べれば可愛いと思う。前に比べれば。

男くんには、何も言われなかった。
良かった。

41 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 13:57:35.25 ID:SsEO2Lwu0.net
私は返事が出来るようになった。
男くん以外の人にも。
おかげでだいぶ便利になったと思う。

掃除の時とかに、ちりとり持って来て、とか頼まれるようになった。
私は「うん」とか「わかった」とか返事をする。
バリエーションが増えた。素晴らしい。

私は頼まれたり、指示されるのが好きだ。
私がどうしたいかは関係ないから。恥ずかしくない。

今になって思うけど、前までの私はすごく不便だった。
ちょっと妄想する。
私がすごくみんなと喋れるようになったら、あの時は不便だったよねーごめんねー。
とか言って謝りたい。
すごく喋れる私を、私は時々妄想する。

42 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 13:58:07.81 ID:SsEO2Lwu0.net
返事に比べて、挨拶はとても難しい。とても。
私は、前は全然喋れなかったから、挨拶の難しさをわかってなかった。
挨拶はレベル1ぐらいだと思っていたけど、実際は全然違う。
よく考えてみれば、普通に喋れる子でも最近の子は挨拶出来ないーとか世間に言われたりするのだから、その難易度はレベル0の私がやすやすとこなせないのは当たり前だった。
挨拶は、友達とか先生とかにしかしないし、だから、挨拶するのは、仲良しだよねーとかって自分から言うようなもので、とても勇気がいる。

無理。

43 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 13:58:51.31 ID:SsEO2Lwu0.net
今朝、下駄箱のところで男くんに会った。
私はちょっと離れたところに居て、男くんは私に気づいてなかった。

男くんはおはようって言ってくれるから、私も、男くんにおはようって言ってもいいのだと思う。

だから、おはようって言いたかったけど、
ちょっと遠いかな、とか、もうちょっと近づいてからかな、とか、思ってたら、
男くんが私に気づいて

「おはよう」

って言って、そのまま階段を登ってってしまった。

男くんの挨拶の射程距離は私よりずっと長い。

44 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 14:00:15.37 ID:SsEO2Lwu0.net
そのすぐ後、私が階段を登り切ったら教室の前にまた男くんが居た。
やっぱり、ちょっと遠い。

私は混乱してしまう。
さっき男くんにもうおはようって言われてるし
このタイミングで言ったら変なんじゃないかとか。
向こうはコッチに気づいてるんだから、ちょっと遠いけど、今もう言うべきなのか、とか

そんな事を考えてたら、男くんは他の子と雑談を、始めてしまった。

男くんにはおはようって言ってもいい気がするけど、この人に言うのは違う気がするけど、男くんに、だけ言うのも変だし、
もうわかんない

わっかんないよー
あいさつーもぉー

無理。

45 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 14:01:10.09 ID:SsEO2Lwu0.net
美術の時間の話

授業はレタリングで、特にペアとかを作る授業じゃなかったので、私は黙々とレタリング辞典を見ながら、自分の名前をかっこよく書いてた。
ちょっと楽しかった。

そしたら男くんが、私の隣に座った。
美術の、時間はほとんど自由席のような状態だったけど、男くんは普段あんまり席を
動かなかったのですごく驚いた。
私のレタリングをみて

「上手いじゃん」

って言ってくれた。
嬉しかった。

嬉しかったのです。

46 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 14:01:59.19 ID:PykGIa5d0.net
さるよけ

47 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 14:01:59.61 ID:SsEO2Lwu0.net
男くんは、瑞希ちゃんとサッカーの話をしていた。

瑞希ちゃんは話題が豊富。どんな話でも出来る。かっこいい。

「私ウイイレめっちゃ強いよ」

「マジか、今度勝負しようよ」

「無理、ヤダ、却下。」

男くんは、瑞希ちゃんの前だと、なんだか子どもっぽい。
ちょっと残念に思う。

48 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 14:02:50.07 ID:FO8lQbsW0.net
いいね

49 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 14:03:25.91 ID:SsEO2Lwu0.net
「いいじゃん今度、ウチでウイイレ大会やんのよ」

「ない。あんたんちとか無理。」

男くんは、もう本当に、あっさり足らわれてしまう。
私は、なんだか、残念な気持ちになる。

50 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 14:04:31.38 ID:SsEO2Lwu0.net
男くんは、私にも話かける。
でもいつもと全然違う。

「女ちゃんはサッカーとかみんの?」

私は返事が出来ない。
いつもみたいには、返事を待ってくれてないのがわかる。

51 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 14:05:08.85 ID:SsEO2Lwu0.net
私は、話の箸休めみたいに話しかけられてる。

「今年はワールドカップだよ、見たら絶対ハマるよ」

そういって、今度はまた瑞希ちゃんの方を向いてしまう。

男くんは私と話に来てくれたんじゃなかった。
当たり前だけど。

52 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 14:05:35.28 ID:SsEO2Lwu0.net
私は、瑞希ちゃんと話してる時の男くんが嫌い。

落ち着きがないし。
話が下手になる。
子供みたい。

私が答えるのを待ってくれてる。
あの男くんなら、瑞希ちゃんだって、きっと相手にしてくれると思うのに。
瑞希ちゃんは、あの男くんを知らない。
私しか知らないんだと思う。

53 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 14:06:04.77 ID:SsEO2Lwu0.net
再開

54 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 14:07:02.83 ID:SsEO2Lwu0.net
私は悲しい気持ちだった。
悲しい気持ちだったので、教室に戻らないで、すこしダラダラした。
みんなが、教室に戻って行くのを眺めた。

何で悲しい気持ちだったのかは、すこし、複雑。

私の名前が書いてある、レタリングを眺めた。威勢のいい明朝体だった。私の名前の癖に。

55 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 14:07:09.58 ID:Dt/v7Wo10.net
つらい

56 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 14:08:59.88 ID:SsEO2Lwu0.net
レタリングは楽しかったな。と思った。

「さっきは、なんかごめんね。」

見上げる前に、声でわかった。
男くんだった。

57 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 14:09:55.25 ID:FO8lQbsW0.net
瑞希ちゃんいいね

58 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 14:10:06.24 ID:SsEO2Lwu0.net
男くんは、バツの悪そうな顔をしていた。

「クッションみたいにしちゃったなって思って。ほら、俺、ストレートしか投げらんないからさ。ちょっと外して、緩急つけるーみたいなのに、使っちゃたなっていうか」

男くんはボールを投げるような仕草をしながら、思いつくまま口に出してるようだった。
言い訳をする子供みたいに。

59 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 14:11:25.49 ID:SsEO2Lwu0.net
ストレート?野球の話?
サッカーじゃなくて?
私は混乱してしまう。突然だったので。

「サッカー?」

ので、間の抜けた声で、私は口に出していた。
言ってすぐに全然違うのはわかった。

60 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 14:12:33.17 ID:SsEO2Lwu0.net
「え?あ、そうサッカーの話の時。余裕なくてさ、便利に使っちゃったなと思って。感じ悪かったでしょ」

男くんが、何を言いたいのかはなんとなくわかった。
男くんはなんだか弱々しいかった。
いつもと全然違う。
男くんは落ち込でるんだと思った。それでも、私に気を使ってくれてる。
申し訳ない気持ちでいっぱいになった。小さくなって消えたい。

61 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 14:14:26.26 ID:SsEO2Lwu0.net
でも、男くんが落ち込んでるなら励ましたい。って思った。
何か言ってあげたいって思った。
でも私は喋るのが全然上手くない。
本当に全然上手くない。嫌になる。
私は困ってしまう。
それしか出来ないから。

「あー、いやなんか言いたいこと言うだけになっちゃったけど、とにかく、ごめんね」

男くんは、私が何か返事をするのを待っているようだったけど。
私は何も言えなかった。

62 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 14:15:54.92 ID:SsEO2Lwu0.net
男くんが背中を向ける。
なにも言えなかった。
男くんが、歩いていく。遠くに。

「私は、便利になりたい、です」

わけがわからない。
わけがわからないけど、何とか口から出てきたのはそんな言葉だった。
何が、とかじゃなくて、もう、全部恥ずかしくて、もう本当に、小さくなって消えたかった
もう、本当ヤダ。もう本当ヤダ自分。

63 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 14:16:34.96 ID:SsEO2Lwu0.net
男くんは、振り返って、ちょっと考えるような間があってから

「そっか。ありがと。」

そういって教室に戻って行った。
男くんは優しい。
私はずっと俯いて固まっていた。
男くんは、どんな顔をしていただろうか。

64 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 14:18:34.33 ID:5ytKZJgj0.net
謎定期

65 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 14:18:42.04 ID:SsEO2Lwu0.net
家に帰って、私は考える。
なんの役にも立たない私について。
私が、みんなみたいに上手に話せたら。
話せたら、なんて言っただろう。

時間をかけて考えても、私には正解がわからなかった。
私は少しも上手く喋れない。
もっと、上手に喋れるようになりたいと思った。切実に。

66 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 14:19:45.64 ID:SsEO2Lwu0.net
書き溜め終わり

67 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 14:24:12.92 ID:SsEO2Lwu0.net
席替えがあった。
なんとなく男くんと気不味かったので少しホッとした。
残念だとも思ったけど。

私の隣の席は綿貫さんだった。
綿貫さんは、少し変わっている。
女の子なのに野球部で、思ったことをなんでも喋る。
かっこいい。
だから少し怖い。

68 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 14:27:03.85 ID:a57pmgXU0.net
見てるよ

69 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 14:27:19.38 ID:SsEO2Lwu0.net
「女ちゃんって、最近喋るようになったよね」
綿貫さんに話しかけられるのは初めてだった。
心臓が鈍く痛い
咎められているような気がしたから。

70 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 14:33:01.01 ID:SsEO2Lwu0.net
返事が出来ない。
「はい」と言えばいいと思ったけど。
どうしてか、言えなかった。
心臓が痛い。

「最近調子乗ってるね、って言われたと思ってるよ」

すぐ側から声がした。私の前の席。
名前はわからないけど野球部の男の子。
たまらなく消えたくなった。
そうだ、と思った。
言葉にされてよくわかった。

71 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 14:37:04.22 ID:FO8lQbsW0.net
ええな

72 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 14:39:54.73 ID:SsEO2Lwu0.net
男の子は私に目を合わせないで、続けて言う。

「ごめんね、こいつ無神経だから。嫌味のつもりはないと思うよ」

私はドギマギして、男の子の横顔と綿貫さんの顔を交互に見る。

「え、なんで?どういうこと?」

綿貫さんは、本当に驚いたように、無遠慮に、私に顔を覗き込んでくる。
無遠慮に、なんて思う私。ひどい被害妄想だ。
私は話の展開についていけない。

73 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 14:41:41.94 ID:5ZvktqGQ0.net
何だろうかこのスイーツ小説と似たような匂いは

ラーメン屋でケーキ食いだすようなもんだろこのスレ

74 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 14:49:24.49 ID:SsEO2Lwu0.net
「おまえにゃ一生わからんよ」

不満そうに綿貫さんは男の子を睨む。
男の子はからかうように怖がってみせる。

「まぁいいや。よろしくね」

綿貫さんはそう言って笑いかけてくれた。
とにかく。
私はとにかく、返事をする。

「よろしく」

なんとか、声に出せた。よかった。
その後野球部の男の子はわざわざ自己紹介をしてくれた。
倉田くんと綿貫さんは幼馴染なんだと教えてくれた。
倉田くんは不思議な人だと思った。

75 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 14:56:21.39 ID:SsEO2Lwu0.net
綿貫さんは遠慮をしない。
中間試験の答案が返された時、
私の点数はいつも通り悪かった。
綿貫さんはそれを勝手に覗き込んで

「うわっ悲惨」

とか言ってくる。
そして、自分の答案を見せつけてくる、

「私の方が酷いけどね」

私はつい笑ってしまう。
学校で笑うのなんて、すごく久しぶりだと思った。

76 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 15:01:05.20 ID:5ytKZJgj0.net
なんかちん毛めっちゃ抜けたわ

77 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 15:07:46.79 ID:SsEO2Lwu0.net
「人の答案勝手にみるなよ」

たしなめるように倉田くんは言う。

「馬鹿には傷を舐め合う仲間が必要なの、ね?」

仲間。
すごく嬉しいと思った。
だから頷いた。よくわからなかったけど。

「おお、さすが友よ。言ってやれこの自慢気に点数を隠そうともしない嫌味男に」

友。
私に友達が出来た。
初めて、友達が出来ました。

78 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 15:13:05.58 ID:SsEO2Lwu0.net
私はもっと頑張ることにした。
友達が出来たから。
友達はお喋りをするものだと思うから。
だけど、なかなか上手くいかない。

「何が言いたいか全然わからん」

私は一生懸命喋るのだけど、綿貫さんは大抵、そう言って笑う。
笑ってくれるので、それはそれでいいのだ、と思うようにしている。
綿貫さんと喋るのはすごく楽しい。

79 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 15:21:56.53 ID:SsEO2Lwu0.net
塾で私は、友達が出来た事を先生に報告する。
先生は喜んでくれた。
先生とは、だいぶ上手く喋れるようになった。
先生は聞き上手だ。
だから私は余計な事まで先生に相談してしまう。
「私は自分から、話しかけられるようになりたい」

いつも綿貫さんが私に話しかけてくれるから。
私は私も綿貫さんと話したいと思ってることを、伝えたいと思っている。

80 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 15:26:25.12 ID:SsEO2Lwu0.net
先生は、そんな難しく考えないでいいと言った。
学校以外で見たこととか、楽しかったこととか、驚いたこととか、なんでも、報告してみればいいんじゃないか、と。

私は頷いたけど、難しいと思った。
私の事なんか、面白くない。誰も興味ない。
だから、報告するような事はない。
とても難しい。

81 : ◆xwDQN.24h. :2014/06/28(土) 15:27:47.05 ID:NY2kyQvo0.net
見てるよ

82 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 15:30:17.43 ID:a4F+G8+L0.net
あんまwktkしない

83 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 15:33:54.76 ID:SsEO2Lwu0.net
そして、大失敗をした。

私は、ある日、塾の帰りにゆみちゃんと藤原君が手を繋いで歩いているのを見た。
すごく驚いた。
私はつまらない人間だけど、ゆみちゃんは、クラスの人気者だから、報告する価値がある事だと思った。

だから、私は次の日の学校で、ずっと綿貫さんに話をするタイミングをはかっていた。
綿貫さんに話しかける。
私はその事で頭がいっぱいだった。

84 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 15:41:46.68 ID:SsEO2Lwu0.net
綿貫さんは食べるのが早い。
すぐに給食を食べ終わって、ずっとみんなに話しかける。
私は、綿貫さんの話が終わるのを待つ。
タイミングを、見計らって。勇気をだす。

「そう言えばね、昨日ゆみちゃんと藤原君が手を繋いでるのを見たよ」

達成感が湧いて来た。
自分から話しかけた。
出来た。
と思って、ホッとした。満足で顔がほころぶ。

85 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 15:49:03.95 ID:0y6gzxUd0.net
良いと思う

86 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 15:50:22.86 ID:SsEO2Lwu0.net
「本当に、どごで?」

綿貫さんさ前のめりになって私の話を聞いてくれる。
その様子に私も少し興奮する。

「塾の帰りに見たよ」

倉田くんが、焦ったように何か言おうとするのがわかった。急に不安になる。
それより早く綿貫さんが大きな声で遠くのゆみちゃんに声をかける。

「ゆみ、藤原と付き合ってんの?女ちゃんが見たって!」

倉田くんが、綿貫さんを止める。
クラス中が私たちを見てるのがわかった。

87 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 15:58:48.93 ID:SsEO2Lwu0.net
不味い事になった。
そういう雰囲気は私でもわかった。

「あ、ヤバ。ゆみゴメン!」

綿貫さんは口でいう程には気にしてないようだったけど。
男くんは苦い顔だ私を見ていた。
私は視線が痛かった。

88 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 16:05:17.98 ID:SsEO2Lwu0.net
昼休みに三谷原さんに無人の美術室に呼び出される。
私のやった事は「ありえない」ことだった。
怖くて、立ってられないかと思った。
私は、調子に乗ったいた。その通りだと思う。
浮かれ過ぎていた。

「少し考えればわかんじゃん」

私は何も考えてなかった。

三谷原さんがいなくなった後も、私はどうしていいかわからなかった。

89 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 16:22:30.93 ID:SsEO2Lwu0.net
その後はもう、何も話さなかった。
早く帰りたかった。
下駄箱の所で男くんと瑞希ちゃんがいたけど、顔も見れなかった。
一人になりたかった。

「あんた、喋っても喋らなくても人に迷惑かけるね」

瑞希ちゃんの言う通りだった。
私はもう、誰とも喋らない方がいい。
だから私は返事をしなかった。
瑞希ちゃんのため息か聞こえる。

「助けて欲しい?」

つい、私は動きを止める。
面倒くさそうなのに優しい喋り方。
瑞希ちゃんは怖くない人だ。

90 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 16:32:36.95 ID:SsEO2Lwu0.net
私は瑞希ちゃんをまじまじと見つめる。

「はい」

思わず声が出ていた。

「ちょっとそこで待ってな」

そう言って瑞希ちゃんは、教室の方へ戻って行った。

「マジでいい女だよな」

男くんが瑞希ちゃんが去って行った方を見ながら言う。
私は返事が出来ない。
私は瑞希ちゃんのことを話す男くんが嫌いだ。

「泣いてるの?」

「泣いてない」

私は嫌な奴だ。こんな時でも私は瑞希ちゃんに嫉妬してる。

91 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 16:39:55.84 ID:SsEO2Lwu0.net
ゆみちゃん達は怒ってなかった。
秘密にするつもりはなかったんだって笑ってくれた。
私と綿貫さんが謝ったらすぐに許してくれた。
綿貫さんが居たからだと思った私はとても卑しい。

92 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 16:50:08.61 ID:SsEO2Lwu0.net
その後はもう何もなかった。
私はすごく気をつけて喋るようになったけど。
私がこの学校ではイジメられないで済んでいるのは、瑞希ちゃんのおかげだと思う。

それでも、まだ私は上手く瑞希ちゃんと喋れない。
男くんの事を考えてしまう自分が嫌になるから。

93 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 16:50:24.14 ID:a57pmgXU0.net
見てるよ

94 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 16:57:06.05 ID:SsEO2Lwu0.net
私はずっと落ち込んでいた。
塾の先生は何かあったのかと、気に掛けてくれたけど、私はあまり自分の失態を話す気になれなかった。
先生に軽蔑さらるような気がしたから。

95 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 17:01:26.48 ID:f3b1p8Gl0.net
見てる
昔同じようなコがいた
助けれなかったけど

96 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 17:06:26.99 ID:SsEO2Lwu0.net
私の塾では個別授業は自習室で行う。
普段は集団授業の人達はこないのだけど、ある日、ゆみちゃんや三谷原さんがテスト勉強をしていた。
何故かここの塾生じゃない、瑞希ちゃんも来ていた。
ゆみちゃんは手をふってくれた。

その日、先生はなんだか落ち着かない感じだった。
後で聞いたら、先生と瑞希ちゃんら兄妹だった。
すごく驚いた。

97 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 17:08:37.44 ID:FJOd87l30.net
緘黙症かね

98 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 17:13:10.55 ID:SsEO2Lwu0.net
先生も私と瑞希ちゃんが同じクラスだとは知らなかったらしい。
一度も話題に上がらなかったから。

「それだったらさ、今度あのバンドのコピバンやるから瑞希と見に来なよ。ライブ、元気でるよ楽しいから」

そう言って、先生は私にチケットを渡してくれた。
私は困ってしまう。
私と瑞希ちゃんは、仲良くない。
とも言えなかった。

99 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 17:20:55.98 ID:SsEO2Lwu0.net
先生は「自分では妹を誘い辛いからさー」
とおどけて私に頼んだ。
先生は私が指示されたりお願いをされれば、気持ちが楽になることを知っているからだと思った。
この場合はちょっと違うのにな、と思った。

それでも、私は学校で瑞希ちゃんに話しかける。
頼まれたから。
瑞希ちゃんは、先生の話をされるのがなんだかいやそうだった。
多分、私がちゃんと伝えられなかったからだと思うけど。

結局、チケットは渡せなかった。

100 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 17:26:16.87 ID:SsEO2Lwu0.net
チケットは綿貫さんに渡した。
一人で知らない所にいくのは怖かったから。
綿貫さんは

「ライブハウスとか初めて」
とか
「大学生と知り合いとかすごいね」

とか、とても喜んでくれた。
綿貫さんは臆さない。それが心強かった。
ライブハウスは、本当に、暗くて煩くて、知らない人ばかりで、怖かったから。

101 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 17:33:37.55 ID:SsEO2Lwu0.net
ライブハウスは怖かったけど、音楽は意外にも楽しかった。
綿貫さんはすぐに跳ねたり、手をあげたりして一人で知らない人達の中に混じっていってしまった。
ちょっと薄情だな、と思った。

心細かったけど、一人になると、なんだか体がウズウズするような、気がした。
部屋で先生のCDを聞いてる時のような気分。

102 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 17:40:01.69 ID:SsEO2Lwu0.net
一人でいると、バンドの入れ替わりの時に知らない女の人に声をかけられた。

「中学生?リュウの妹?」

リュウは先生の名前だ。
何か答えなきゃと思った。

「知り合いです」

何故だか、すんなりと喋れた。
知らない人しかいないと、私は少し話しやすい。

103 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 17:41:26.05 ID:SsEO2Lwu0.net
どうでもいいけど今調べたら東武動物公園の、ホワイトタイガーのリュウってもう死んでるんだね。
ショック。

104 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 17:47:31.73 ID:SsEO2Lwu0.net
「そっか?まぁ楽しんでこうぜ」

女の人はそう言って、私の手をつかんで人混みの中に進んでいく。
私はオロオロとそれについていく。
先生が舞台に立っていた。
手を振ってくれる。瑞希ちゃんを探してるようだった。

105 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 18:01:42.74 ID:SsEO2Lwu0.net
曲が始まると、周りで歓声があがる。
私の耳元で女の人も叫ぶ。
怖い。
曲は私のお気に入りの曲だった。
みんな叫ぶ。
私の手を女の人が振り上げる。
すごい音量で頭が壊れそうになる。
女の人に促されて、私も叫ぶ。
もう何がなんだかわからなかった。
それでも楽しかった。
なんだか全部どうでもいいような気がしてきた。
綿貫さんは私の事を見てない。
誰も私を知らない。
大きな音で誰にも声が届かない。
そう思ったら、なんだか私は強くなった気持ちになってくる。
一人で部屋でいる時みたいに。
私は一人で、みんなと一緒に叫んだ。

106 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 18:10:14.54 ID:SsEO2Lwu0.net
ライブが終わっても、私は興奮していた。
綿貫さんが驚くぐらい。
ちょっと自分で、どうしていいかわからないぐらい。
先生を見つけて駆け寄る。
先生は真剣な顔で
「お酒飲まされた?」
なんて聞いてくるので、私は笑ってしまう。答える気も起きない。お酒なんか飲んでない。
私はちょっとおかしくなっていたんだと思う。

「先生、私にも出来ますか?」

先生は私に気圧されるように答える。

「練習すれば、まぁ」

練習すれば、私にも出来る。
私は四本弦のギターを持って歌う自分を妄想する。
その時、私はきっと無敵だと思った。

107 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 18:15:22.47 ID:SsEO2Lwu0.net
家に帰って、私は、後悔した。
激しく、後悔した。

激しく。

思い出すだけで顔が赤くなる。
居たたまれなくなる。
私は恥ずかしさで悶える。
ベッドでバタ足をしても、無かったことにはならないのに。

あの時の私は私じゃない。
そう思おうとした。

ダメだった。

私だった!

108 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 18:26:55.69 ID:SsEO2Lwu0.net
学校で私は綿貫さんにからかわれる。
綿貫さんは遠慮をしない。ところ構わず。誰彼構わず話す。

私は一日中綿貫さんについて回って綿貫さんを止めなければならなかった。
「やめてぇ」と情けない声をもう、何度出したかわからないくらい。
それがまた綿貫さんを面白がらせた。
ちょっと本気で酷いと思った。

その出来事が恥ずかし過ぎて、私は話すことを恥ずかしがる余裕も無かった。

私のそんな醜態を最初は誰も信じなかったけど
私が本気で恥ずかしがるものだから、逆に信憑性が、高まってしまった。

結局、綿貫さんは倉田くんに本気で叱られるまで止まらなかった。
謝ってくれたけど、私もちょっと怒った。

109 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 18:30:01.04 ID:Qj4ppqB+0.net
かわいい

110 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/06/28(土) 18:32:18.19 ID:SsEO2Lwu0.net
その様子を見て、男くんにも笑われてしまった。
いつもみたいな、優しい笑顔じゃなくて、ゲラゲラと。
本当に恥ずかしかった。

恥ずかしかったけど、その笑い方が友達同士みたいで、ちょっとだけ嬉しかった。
ちょっとだけ。

恥ずかしかった。

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