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キョン「朝倉と鍋・」
- 1 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/07/19(土) 00:57:08.11 ID:u2lsaETq0.net
- 冬も終わり、桜が咲き始めた今日この頃。気温も高くなり、花粉のことを考えなければ過ごしやすい季節になった。
とはいえ、やはり夜はまだまだ寒く、温かいものを食べたくなる。
「お待たせ」
炬燵に入り待つこと約30分。ポニテエプロン姿の朝倉が鍋をもって部屋に戻って来た。
なんのことはない。朝倉に鍋に誘われた。それ以上でもそれ以下でもない。俺を殺そうとしていた人物の家に、
鍋に誘われほいほいついてきたわけではあるのだが、長門が「心配ない」と言っていたので、おそらく大丈夫だろう。
「今日は長門さんがいなくて寂しかったから、キョン君がいてくれて良かった」
そうにっこりと微笑む朝倉に、思わず見惚れてしまいそうになる。谷口のランク付けでは確かAA+であったか。
そのランクに恥じない可憐さである。
「どうかした?」
「いや、なんでもない」
- 2 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/07/19(土) 00:58:00.53 ID:vrQmZliqi.net
- なぜいまさら
- 3 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/07/19(土) 00:58:10.54 ID:6tWvEMBa0.net
- 久々
- 4 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/07/19(土) 01:01:26.59 ID:u2lsaETq0.net
- 「そう?じゃあ、冷めないうちに食べましょ」
鍋の蓋を取ると、水蒸気とともにいい香りが辺りを包む。
「今日は水炊きにしてみたの」
少し……いや、かなり意外であった。いつぞやの長門が構築した世界ではおでんを出してくれたため、
どうも「朝倉=おでん」というイメージを勝手に持っていたようだ。
「あれ?もしかして水炊きって嫌いだったかしら?」
「いや、そんなことない」
むしろ、鍋の中では個人的に上位に入るものである。あっさりとしているが、
投入する食材によって出汁に風味が増し、食欲をそそる。
「そっか。良かった良かった」
うふふと笑みを浮かべ、取皿にとりわけてくれる朝倉。
それが、ポニーテールとエプロンと相まって旦那の世話を焼く若奥様という印象を受けてしまう。
そしてこの場では、旦那となるのは必然的に俺になるわけで……
「どうかした?」
「いや、なんでもない」
- 5 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/07/19(土) 01:06:19.21 ID:u2lsaETq0.net
- 先程と同じやり取り。見惚れてしまったなどと、気恥ずかしくて言えるはずもないので同じように誤魔化してしまう。それを見透かすかのように朝倉はにんまりと笑っている。顔が熱くなるを隠すように豆腐を口の中に放り込んだ。
「あ、熱っ!」
そりゃそうだ。さっきまで煮込まれていた豆腐である。火元からは離れているとはいえ、まだまだ熱い。
「大丈夫?」
朝倉が心配そうに俺の顔を覗き込む。大したことはないが、少々舌を火傷してしまったのか舌先がヒリヒリする。
あぁ、恥の上塗りというかみっともないというか、格好悪くてげんなりしてしまう。
「ほら、お水でも飲んで冷やさないと」
「すまんな」
「別にそれくらい構わないわよー」
にこにこと笑う朝倉。さっきからずっと朝倉に笑われているような気がする。俺は肩を軽く竦め、食事を再開した。
- 6 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/07/19(土) 01:11:45.90 ID:u2lsaETq0.net
- 「お粗末様でした」
締めうどんまでしっかりと頂き、満腹感に満たされる。余談ではあるが、どこぞのうどん県では締めはうどん以外認められないそうである。
「そういえば、火傷した舌は大丈夫?」
「ああ。もう痛みはほとんどない」
「ほんとに?」
ずずいっと朝倉が距離を詰めてくる。肩が触れ合う距離。そこからじっと俺の顔を見つめてくる。
「あーんってしてみて」
いくらなんでもそれは恥ずかしすぎる。
「いいから。ほらほら」
さらに近くなる距離。頬を朝倉の両手で固定され、顔を背けることが出来ない。
それでも、だ。口を開ける事を断固として拒否させてもらう。
「もう、意地っ張りね」
「なんとでも言ってくれ」
拗ねたように口を尖らせた朝倉ではあるが、何かを思いついたのか、にんまりと笑った。
- 7 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/07/19(土) 01:12:39.37 ID:QRMVXfJ90.net
- しえ
- 8 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/07/19(土) 01:13:26.78 ID:kFct7qvy0.net
- ほう
- 9 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/07/19(土) 01:13:41.19 ID:u2lsaETq0.net
- 「しょうがないわねー。そんな強情なキョン君にはお仕置きしないとね」
そう言うと、俺の頬から手を放し後ろ手に何かを取り出そうした。フラッシュバックするのはいつぞやの教室での出来事。
俺は、反射的に目を閉じてしまった。
唇に柔らかい感触。
「これで消毒できたかな?」
目を開けると間近に朝倉の顔。
脳みそが何が起こったのか徐々に理解していく。悪戯な笑みの朝倉に、どうも俺はさらなふ火傷を負わされてしまったようだ。
- 10 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/07/19(土) 01:14:24.04 ID:u2lsaETq0.net
- 終わり
- 11 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/07/19(土) 01:20:31.57 ID:u2lsaETq0.net
- 「なぁ、ハルヒ。話があるんだ」
「な、何よ突然?似合わない真面目な顔しちゃってさ」
「俺――ハルヒのことが好きだ」
「はぁ!?え、ちょ、ちょっと待ちなさいよ!何よ、そ、それは告白ってこと?」
「そうだ」
「い、いきなり過ぎるわよ!もうちょっとムードとかそういうの、ほら、いろいろあるでしょ!バカキョン!」
「……それで、どうなんだ?」
「……キョンは馬鹿だし、みくるちゃんにはすぐデレデレするし、あたしの言うこと全然聞いてくれないし、文句ばっかり。
そ、それなのに本当にあたしのこと好きなの?」
- 12 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/07/19(土) 01:26:09.08 ID:u2lsaETq0.net
- 「ああ、好きだ」
「し、仕方ないわね!あ、あたしはキョンのことなんか全然まったくこれっぽっちも好きじゃないけど、キョンが可哀想だから付き合ってあげるわ!感謝しなさいよ」
まず最初に、誤解だと言っておく。上記の恥ずかしい台詞の連発は俺であって俺じゃない。
DIOのスタンドを目の当たりにしたポルナレフの気持ちとでも言えば、現在の俺の心境は伝わるだろうか。
とにかく、パニック状態に陥っているわけだ。何が何だかまったくわからないが、一応現在に至る流れなんかを説明しておく。
遡ること5分前、掃除が終わって何時ものように部室に向かっている途中のことだ。ハルヒを除いたSOS団の団員が揃いも揃って俺の前に現れた。
またハルヒが何かやらかしたのかと古泉に聞いたところ、
「いえいえ、貴方が心配するようなことは何も」
キザったらしいにやけスマイルで古泉はそう言った。詳しく――というほど難解な話ではないのだが――話を聞くと、どうやら三人が三人とも定時連絡らしい。
「それで、貴方から涼宮さんに今日は行けないということを伝えてもらいたいのですが、構いませんか?」
古泉だけなら自分で連絡しろと言い捨てるのだが、長門や朝比奈さんからの頼みごととなるなら話は別だ。
- 13 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/07/19(土) 01:29:58.16 ID:u2lsaETq0.net
- 「わかった。伝えておくよ」
「キョン君ありがとう」
そうにっこりと微笑まれた朝比奈さん。その笑顔を見れただけで対価としては十分過ぎる程だ。
「感謝」
長門は長門で無表情に見えるのだが、その無表情の中に感謝の気持ちが見て取れる。
「それでは、失礼します」
三人と別れ部室へと向かい、その扉を開こうとしたところで冒頭に戻る。中から声が聞こえてくるので、鶴屋さんでも来ているのかと最初は思った。
しかし、どうも様子がおかしい。ドアノブに手をかけたままハルヒの声に耳を澄ますとなにやら声を真似しているようだった。
物真似の練習をしているなら何の問題もない。練習をしているところを見られたり聞かれたりするのはいささか恥ずかしいが、ただそれだけだ。
だが、物真似をしている人物に問題があった。もうお分かりだろう。ハルヒは、何を思ったのか俺の口調と声を真似ていたのだ。
しかも、だ。恥ずかしい台詞を連呼している。
- 14 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/07/19(土) 01:31:04.62 ID:8D1jADp90.net
- かわいい
- 15 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/07/19(土) 01:34:41.51 ID:u2lsaETq0.net
- 「……愛してるよハルヒ」
「あたしもよ、キョン……」
聞こえない。何も聞こえない。いったいハルヒはどこを目指しているのだろうか。俺の真似をするのは百歩譲っていいとしよう。
しかしながら、俺の真似をしながら愛の台詞を囁くってのはいかがなものだろう。
「好きだ!好きだハルヒ!大好きだ!」
「ああ、キョン!大好きよ!」
「……何をやってるんだ?」
流石に耐えきれなくなり、俺は部室の扉を開けた。そこで俺が見たのは、
部屋の中央でまるで自分を抱き締めるかのように両手を胸の前で交差させているハルヒであった。
- 16 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/07/19(土) 01:36:29.70 ID:u2lsaETq0.net
- 「…………」
「…………」
ハルヒは顔面を完熟トマトのようにして、そのままの姿勢で固まってしまっている。
俺は俺でそんなハルヒに二の句を告げられないでいた。互いに見つめ――いや、睨み合ったまま数秒が経過した。沈黙が部室内を占拠する。
「…………」
「……おい、何事もなかったかのように自席へ座るな」
窓のほうを向いたままハルヒが再び固まる。
「ぬ、盗み聞きなんて趣味悪いんじゃないの?」
「聞くつもりはなかったし、聞きたくもなかった。でもな、あんなでかい声を出してたせいで廊下にまで丸聞こえだったぞ」
ひょっとしたらコンピ研の連中にも聞かれてしまったかもしれない。そのことを考えると、鬱になる。拳銃はどこにしまったかな。
「ね、ねぇ。ど、どの辺りから聞いてたの?」
「『なぁ、ハルヒ。話があるんだ』ってとこからだ」
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