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キョン「ブログ?」ハルヒ「ブログ!」

1 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/05(火) 21:21:05.56 ID:3g0HdQjY0.net
 俺が部室に行っても、まだ長門だけしか来ていないということも少なからずある。
その場合、長門はせっせと読書に勤しんでいるわけで、俺は手持ちぶさたにだらだらと時間を過ごすことになる。

 そういう時は、俺でも理解できる簡単な本を長門に勧めてもらったり、ハルヒの机に置いてあるパソコンでネットサーフィンをして時間を潰している。

 そして今日も、そんな風に時間を潰していたのだが、ふと開いたお気に入りリストの中に妖しげな存在感を感じさせるものがあった。

『ハルヒのLOVE日記』

 いったい全体これはどういった代物なんだろう。

 日記とあるぐらいだから、ブログかその類のものであるとうことはわかる。
しかしながら、日記という言葉にくっついている単語が異様な雰囲気を醸し出しているのを否めない。

 その単語の意味は小学生でも知っているものであり、至るところで目にするのだが、こういったモノにすら使うものなのかという疑問が湧いてくる。
こう言っちゃなんだが、頭の悪そうなサイト名である。ハルヒのネーミングセンスを疑わざるを得ない。

 しかし、ハルヒが考える名前なんてものがまともであった試しもなく、これだって所謂釣りという可能性だってまだまだ否定できない。
中身を確認したいところだが、もしもハルヒの個人的なものだとすると、プライベートを覗き見するようで気が引けてしまう。

2 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/05(火) 21:22:04.58 ID:Ea3I5wup0.net
期待age

3 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/05(火) 21:27:46.45 ID:3g0HdQjY0.net
 しかし、好奇心は猫をも殺すって言うぐらいであるわけで、結局俺は好奇心に負けてそれを開いてしまった。
プライベートな内容だとしても、ブログとして公開しているんだったら問題無いだろうと誰にともなく言い訳をしていると、サイトが表示された。

 トップにでかでかとサイト名が表示され、ちかちかと光っている。
中々に手の込んだ作りとなっており、SOS団のホームページよりも気合いを入れて作られていることが伺える。

 少し感心しながらスクロールしていくと、『BLOG』という項目に行き着いた。僅かに緊張しながらそれをクリック。
ページが飛んで、日付と日記のタイトルの羅列した画面が表示された。

 そのタイトルを幾つか挙げてみよう。

『キョンの生態考察』

『キョンの好み研究』

『キョンの1日観察』

 俺は自分の目を疑い、一旦戻って再びBLOGをクリック。世界というものは非情にできているらしい。
先程見たタイトルは見間違えたわけではなかったようだ。余りのことに数秒画面を見つめたまま固まってしまった。

 恐る恐る、その中の一つを選んで開いてみる。以下はそれからの一部引用である。

4 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/05(火) 21:30:54.21 ID:Ea3I5wup0.net
しえ

5 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/05(火) 21:31:21.87 ID:3g0HdQjY0.net
『今日はあたしのキョンの生態系について少し考察してみようと思う。あたしのキョンは、一般的には格好いいと言われるような顔ではない。
 さらに、それは間が抜けていると言えそうである。

 授業中は大抵の場合寝ており、そのせいで成績は低い。

 しかしながら、その寝顔はかなり愛くるしいものがあり見ていて癒される。幸いながらそのことに気が付いているのはあたしだけ。

 これからもこのことを知っているのはあたしだけでいい。


(中略)


 以上のようなことから、あたしはやっぱりキョンのことが好きなのである』

 いや、もう恥ずかしいやら凄まじいやらで何とコメントしてよいものかわからない。
とにかく、俺の日常生活がとにかく赤裸々に綴られていた。

 それにしても、こんなBLOGが存在するということは、ハルヒは俺のことを……。

6 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/05(火) 21:33:56.60 ID:Ea3I5wup0.net
しえ

7 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/05(火) 21:35:58.27 ID:3g0HdQjY0.net
 一旦落ち着こうと、画面から顔を上げたところでハルヒと目が合った。
どうやら俺は集中し過ぎて、ハルヒが来たことに気が付かなかったようだ。

「……」

「……」

 見つめ合うこと数秒。ハルヒが表情を凍らせたまま画面が見える位置まで近づいてくる。

 そして、静止。

「な、何観てんのよ…?」

「いや、何って…」

 答えられるわけがなかった。ハルヒのブログを観ていたなんて。

 しかし、ここでも俺は世界の無情さを思い知らされることとなる。突然のハルヒの登場によって、俺の意識は完全にそちらに向いてしまった。
それがどういった結果を生むことになるか想像してもらいたい。

 簡単だ。画面には、ハルヒの書いたと思われるブログがありありと映し出されている。
誰が見ても何をしているか判るぐらいなのだから、ハルヒが見ればそれは尚更だろう。

8 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/05(火) 21:39:38.94 ID:3g0HdQjY0.net
 そして、画面に気が付いた瞬間ハルヒの顔面が引きつった。

 もちろん、俺の顔面もだ。ひくひくと口の端を痙攣させながら、ハルヒが油の切れたロボットのような動きで俺を見る。
再び、ばっちりと目が合った。

「な、何よ?」

「いや…」

「言いたいことがあるなら、聞いてあげないことも無いわよ」

 顔面を引きつらせたまま、ハルヒはあくまで強気な態度に出る。どうせ俺に負けたくないだとか、そんな意地から来るものだろう。
だからといって、こちらも強気な態度に出れる程精神状態は回復していない。

 ここは穏便に事を進めた方が安全だ。

「俺は何も観てない」

 この状況でそんな言葉を言うのは明らかに失敗だった。それは観たと自白しているようなものだ
。途端に、ハルヒの引きつった顔面が蒼白になる。いや、ショックなのは判る。

 俺もかなりショックだったからな。

9 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/05(火) 21:39:42.22 ID:Ea3I5wup0.net
しえ

10 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/05(火) 21:40:16.81 ID:vEHtYxho0.net
どういう状況なのかだれか絵を描いてくれ

11 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/05(火) 21:42:02.63 ID:YAjDTRqY0.net
国木田オチじゃないハルヒSSはここ最近では珍しい

12 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/05(火) 21:44:02.66 ID:3g0HdQjY0.net
「そ、それはアレよ、アレ。幻の超生物のキョンについて書いたレポートよ。
たまたまキョンと同じ名前だったわけで、キョンには一切関係ないから」

 その割には身に覚えがあるような内容だったぞ。

「それはデジャブよ。よくあるじゃない、初めて行った所でここに来たことあるって感じることが。それと同じなのよ」

 もうこれは相当苦しい言い訳である。

 ハルヒが覚悟を決めて白状してくれるのならば、俺もそれなりに誠意を持った態度で接することができる。
しかし、本人が必死に否定している内は何を言っても無駄だろう。

「な、なら、俺にはまったく関係ないんだな?」

「……当たり前じゃない」

「そうか…」

 若干寂しいような気もするが、きっとこれで良かったんだろう。揚げ足を取ってハルヒに嫌な思いをさせるのも忍びないしな。
今日はただネットサーフィンをして、その間に俺は何も観なかった。これで万事解決ってことだ。

13 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/05(火) 21:48:32.66 ID:3g0HdQjY0.net
「おっと、座りっぱなしで悪かったな」

 後はさっさと席を空けて退散するに限る。

「ちょっと待ちなさいよ」

「何だ?」

 不機嫌そうな顔をするハルヒに呼び止められ、指定の場所へと向かう足を止める。

「どうしてもって言うなら、たまにはキョンを日記の内容にしてあげないこともないわよ」

「超生物の方のか?」

「違うわよ、バカキョン!」

 そう怒鳴るハルヒに、そうかと答え曖昧に笑う。こんな時、どんな顔をすれば良いのか古泉ならば判ったかもしれない。
だが、生憎俺は古泉なんかではない。なので、曖昧に笑うので精一杯だった。

 しかし、ハルヒがそれで満足したようだったからきっとそれは正解だったのだろう。

 そしてしばらく経ってから、ハルヒのブログに俺のことが書かれていた。
そこには、まともな文章で俺に対する想いが綴られていたのだった。

14 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/05(火) 21:49:40.73 ID:3g0HdQjY0.net
終わり

15 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/05(火) 21:51:29.12 ID:jJzVjMwP0.net
古泉「こいつはくせえッー!ゲロ以下のにおいがプンプンするぜッーーーーッ!!」

16 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/05(火) 21:52:19.45 ID:Ea3I5wup0.net


17 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/05(火) 21:53:36.35 ID:3g0HdQjY0.net
 今日の部室内には普段と異なり、少しピリピリとした空気が流れている。原因は言わずもがなハルヒである。
いや、今回だけはその原因の一端を俺が担っていると言ってもいいかもしれない。

「ちょっと、キョン!ちゃんと話聞いてるの?」

 ハルヒが耳元で怒鳴る。

 俺の聴力が低下しかねないのでそういう行為は遠慮してもらいたいのだが、コイツにそんなことを説いたとしても聞き入れてもらうことは不可能だろう。
それに、俺はある事があってからハルヒに対して口を開いていないわけで、それを説くことをするつもりはない。

「………」

「無視するな!」

 ハルヒが俺の頭を叩く。こちらとしては口を開かないだけであり、話はきちんと聞いているし、頷いたり首を振ったりして肯定か否定かの意は示しているつもりだ。
ハルヒは納得というか、それを話を聞いているという態度に捉えてくれていないのだろう。

 そろそろ気が付いてもいいと思うのだがね。

18 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/05(火) 21:53:52.25 ID:XdnHS7fu0.net
じゃあハルヒがガンプラ作りに目覚める話書いていい?

19 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/05(火) 21:57:07.15 ID:3g0HdQjY0.net
「今日のキョン、少しおかしいわよ?調子が悪いの?」

 首を振る。

「じゃあ何で口を開かないのよ」

 沈黙。

 YesかNoで答えられる質問でないと俺はどうすることもできない。ハルヒは少し苛ついたように俺を睨む。
そんなに睨まれてもだな、俺はハルヒに言われたことを忠実に守っているだけであり、そのことに腹を立てるのはお門違いで自業自得ってわけだ。

 状況が分かりにくいと思うので、今に至る経緯を簡単に話しておこうと思う。事の始まりは昨日の団活中のことであった。
俺はハルヒと些細なことで言い争いになり、それがヒートアップした結果ハルヒはこんなことを言ったのだ。

20 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/05(火) 21:58:43.08 ID:zLk6UGZt0.net
昨日までの続きやね

21 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/05(火) 21:59:38.96 ID:3g0HdQjY0.net
「だいたい、いつもキョンはうるさいのよ!口を開いたら文句しか言わないし。たまにはその口を閉じたらどうなの?」

 そしてその後、ハルヒはそのまま帰ってしまい俺は反撃のチャンスに恵まれることは無かった。
古泉にはハルヒと仲直りするように頼まれたのだが、ハルヒをつけあがらせると碌でもないことになるのは受け合いであり、
これから先の人生を考えても確実に良いと言えない。

 そこで俺は考えたのだ。どうすればハルヒに、無茶な我が儘が決して良い結果を生むとは限らないと教えることができるのかと。
そして、思いついたのがハルヒが帰る間際に言い放ったソレを実践するということだった。

 で、その結果がこれだ。ハルヒは苛つき、閉鎖空間を発生しかねない状況にまで来ているだろう
。しかし、いくら古泉に頼まれたとしても俺は止めるつもりはない。間違っていることを間違ったままにしておいて良いはずが無い。
それにだな、ここで俺が止めてしまったらハルヒを叱ってやれるやつがいなくなる。

 つまり、誰かがハルヒのブレーキとなってやる必要があるわけだ。

22 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/05(火) 22:03:21.14 ID:3g0HdQjY0.net
 ハルヒを神だと考えているイエスマンの古泉が属する機関にそんな大それたことをしてくれる奴はいない。
長門の親玉は観察が目的であるためにきっと放置だろうし、朝比奈さんにそんな役割を押しつけるわけにいかない。
となれば、不本意ながら一般人の俺にその役目が回ってくるってことだ。

 損な役目が俺に回ってくることはもう慣れた――なんて強がることはできないし、しないが、回ってきたなら諦めてそれをロールするしか無いんだろうね。

 まったく、やれやれだ。

「ねぇ、本当にどうしたの?」

 ハルヒが先程と違って、心配そうな声音でそう訊ねてくる。いつもは輝いている瞳が不安で揺れている。
ここはもう一押しといったところか。

「…………」

 俺は心を理性で以て冷やし、ハルヒのその問いに沈黙を守る。ハルヒはどうしたら良いのかわからないといった表情を浮かべ、口をつぐんだ。
古泉を始め、他の団員には口出ししないよう事前に言ってある。そんなわけで、この場でハルヒに助言は無い。

 ハルヒが自分で気付くしかないということだ。

23 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/05(火) 22:07:41.82 ID:3g0HdQjY0.net
「もしかして――」

 ハルヒがハッとしたように俺の瞳を覗き込む。

「――昨日の事……?」

 静かに肯定。

「それで黙ってるの?」

 さらに肯定。

「でも、昨日のアレはあの時の冗談っていうかその場の勢いっていうか…」

 ハルヒがしどろもどろになりながら言い訳を並べていく。自分の冗談を真に受けられ、戸惑い、悩んでいる。

 ……もういいだろう。ハルヒだってたっぷり反省したようだしな。

24 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/05(火) 22:12:08.88 ID:3g0HdQjY0.net
「あんまり我が儘とか無茶なこと言うのは止めとけよ。禄なことにならないって判ったろ?」

 出来るだけ優しく、諭すようにそう言ってやる。

 ハルヒは驚いたのか目を丸くして、俺の顔をまじまじと見つめて、やがて安心したのか不機嫌そうに嬉しそうな笑みを浮かべた。

「冗談を本気にするなんて、本当にキョンってば子供なんだから。
 でもまぁ、あたしが悪いだなんて思ってないけど、たまにはキョンの意見を聞いてあげないことも無いわよ。
 それに、キョンが冗談を本気にするような子供だから、しばらくは冗談言わないであげる」

 やれやれ。

 どうしてコイツは素直になるということを知らないんだろうね。
だが、今回のことでハルヒはハルヒなりに忠告を聞き入れてくれたってことだ。
それだけでも十分な収穫があったわけで、とりあえずは良しとしておくか。

 俺は「悪かった」とだけ謝って、怒鳴られるのを覚悟でハルヒの頭を撫でるのだった。

25 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/05(火) 22:14:01.50 ID:ZyXp2LVj0.net
またお前か

26 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/05(火) 22:14:04.14 ID:3g0HdQjY0.net
終わり

27 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/05(火) 22:16:22.62 ID:3g0HdQjY0.net
「ほら、キョン君こっちだよっ」

 俺の手を握って元気いっぱいな御方がにこりと笑う。

 もうこれでもかというような程美しいポニーテールをなびかせた鶴屋さんと俺は人混みを抜けていく。
夏真っ盛りなこの季節、走るには少々躊躇われるのだがそれもお構い無し。
ハルヒにだって負けやしないその元気さを少しは分けていただきたいくらいだ。

「おんや、キョン君。もう疲れちゃったのかな?」

「いえ、疲れたというわけではないんですけどね、走り回って暑いといいますか……」

「そっかそっか。それじゃあ、どっかその辺の喫茶店にでも入ろうかっ」

 ニコニコと汗一つ掻いていないような御様子で、近くにある喫茶店を指差される。ここは鶴屋さんの好意を素直に受けよう。

 そんなわけで俺たちは喫茶店の中へ。

 中はよく冷えており、それだけど生き返った気がする。文明の利器のありがたさをしみじみと実感してしまう。
アルバイトであろうウェイトレスに案内されて窓際の席へ。

 注文したアイスコーヒーは殆ど待たされずに運ばれてきた。

 それを一口飲んでほっと一息を吐いた。

28 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/05(火) 22:20:19.52 ID:3g0HdQjY0.net
「ごめんねっ、キョン君。今日はずっと走ってたから」

「いえ、さっきも言いましたがそれは構いませんよ。そういうのには慣れてますから」

 思わず苦笑を浮かべてしまう。ハルヒに連れ回されたおかげで、それなりのことではへこたれないようになった。
しかし、どうにもこの暑さには参ってしまう。地球温暖化の影響もあるのだろうか、ここ数年で一段と暑くなったような気がする。

 ハルヒの力でどうにかならないものか。いや、いつぞやのように季節外れの桜なんかは止めてもらいたい。
少し暑さを軽減してくれればいいのだ。

「キョン君はつまんないかい?」

「えっ?」

 少し驚いて鶴屋さんを見る。たははと笑う姿はいつもの元気さからいうと三割減といったところか。

「そんなことないですよ。楽しいです、はい」

 照れ臭さはあるものの、偽りのない気持ちを口にした。

 鶴屋さんと一緒にいて楽しくないはずがないし、そもそも楽しくないなら鶴屋の買い物に付き合おうとも思わないだろう。

29 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/05(火) 22:21:57.81 ID:Ea3I5wup0.net
しえ

30 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/05(火) 22:24:51.66 ID:3g0HdQjY0.net
「そ、そっか。それは良かったにょろ」

 言った俺も照れ臭いが、言われた本人も照れ臭いのだろう、にははと恥ずかしそうに俯いている。
鶴屋さんがこんな表情をするなんて知らなかった。いつもいつも元気いっぱいな姿からは想像するのがちょっと難しいくらいだ。

「それじゃあキョン君、午後はどうするにょろ?何処か行きたいところはあるかいっ?」

「いえ、特には」

 アイスコーヒーをまた一口飲む。程よい苦さと冷たさが体に染み渡る。

「じゃあ、さっきみたいに気になったお店にブラブラ寄る感じで構わないかいっ?」

「ええ、もちろん」

 この暑さの中歩き回るのは普通なら勘弁したいところなのだが、鶴屋さんとなら歩いてもいいと思えるのだから不思議なものだ。
案外ハルヒの探している不思議なものってのはこんなものではあるまいか。

31 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/05(火) 22:29:11.06 ID:3g0HdQjY0.net
「でも、そんなラブコメ的な展開は認めませんから」

「……認めない」

 思わぬ声に驚いて俺たちが座っている通路を挟んで反対側に朝比奈さんて長門がいた。
いったいいつから居たのだろうとか、そういった疑問よりも、朝比奈さんと長門の言った意味がわからずに首を捻る。

「鶴屋さんのことは大切なお友達と思っています」

「ありがとねっ、みくる。あたしもそう思ってるにょろよ」

「それでも!それでもキョン君のことは渡しません!」

 両の手をぐぐーっと握り締め鶴屋さんを真っ正面から睨み付ける。まぁ、そう形容するにはあまりに可愛らしいのだが。

「おおっと、みくるっ!それは宣戦布告なんだねっ!でも、キョン君は渡さないのさっ!」

 鶴屋さんも鶴屋さんで朝比奈さんに対抗するかのごとく立ち上がりびしーっといった感じに指先を向ける。
俺はというと、現状に頭がまったくついていかずにただただその様子を眺めているだけであった。

 何故かはわからないが朝比奈さんと鶴屋さんは俺が関係することで覇権を争っている。
まさかハルヒの命によってSOS団の活動を優先するよう説得しに来たのかもしれない。
いや、でも俺は昨日の不思議探索には参加したし、平日の団活にだってきちんと顔をだしている。

 となると、いったい朝比奈さんと鶴屋さんは何を争っているのだろう。

 わーわーぎゃーぎゃーと普段の二人からは想像もつかないようなはしゃぎっぷりだ。
やっぱりこの二人は仲はよろしいようである。

 そこで長門の視線に気が付いた。

32 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/05(火) 22:32:56.65 ID:3g0HdQjY0.net
「どうした、長門?」

「…………すき」

 長門の口が何かを伝えようと動くも、よく聞き取れない。

「すまん何だって?」

 そう聞き返すとあからさまに落胆の色を見せる。いや、無表情には違いないのだが、そんな顔をしている。

「キョン君はあたしのものなのさっ!いくらみくるでも譲らないんだよっ!」

 と、いきなり鶴屋さんに抱き締められた。俺を誰かから守るようにきつく頭の後ろに回された腕に力が込められる。

 ナニカヤワラカイという漠然とした感覚。これはいったい……。冷静に状況を把握しているようであって実はそうではない。
脳ミソの1割程度が活動しているだけで、その他9割は機能停止中。

「キョン君は誰にも渡さないんだねっ!」

 チュッと額で柔らかい感触。

「あー!」

「―――ッ!」

 朝比奈さんの叫び、長門の息を呑んだ。

 つまり、俺は、その、あれだ、所謂、デコチューというものをされたらしい。

 鶴屋さんの腕の締め付けがきつすぎてブラックアウトする寸前、俺はそんな結論に達するのだった。

33 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/05(火) 22:34:55.94 ID:3g0HdQjY0.net
終わり

34 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/05(火) 22:37:06.93 ID:BqHRUhH50.net
おい

35 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/05(火) 22:39:53.12 ID:3g0HdQjY0.net
>>34
いつもこの程度の長さなんだ

36 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/05(火) 22:41:28.10 ID:3g0HdQjY0.net
「キョンくんあたしもオレンジジュースちょうだい!」

 日曜日の昼下がりのことである。
ちょうどコップにオレンジジュースを注いでいるところに妹がやってきた。
部屋着ではなく私服を着ていることから、この後どこかに出掛けるようだ。

「ミヨちゃんの家に行ってくるから、シャミの面倒見ててねー」

 オレンジジュースを勢いよく飲み干し、そう言い残して妹は家を出て行った。
相も変わらず元気なこって。週末の元気は毎週土曜日に使い果たしてしまう俺には、
日曜日というものは安息日であり、その午後ともなれば最も心安らぐ一時であると言っても過言ではない。

37 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/05(火) 22:41:29.64 ID:BqHRUhH50.net
続きはよ

38 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/05(火) 22:44:13.92 ID:3g0HdQjY0.net
「君は可愛いにゃー」

 コップを持って部屋に戻ってくると、中から声がする。いつぞやみたいにシャミセンが話し出したのかと思われるが、
あの時以来シャミセンがしゃべっているのをみたことはない。

 つまりは、だ。シャミセン以外の誰かがシャミセンに向かって話しかけているということだ。
……こんなこと誰でも気付くだろうに、俺は一体全体誰に向かって説明しているんだろうね。

「それにしても随分とご機嫌だな」

 ベッドにシャミセンと一緒に寝そべっている佐々木に声をかける。

「それはもう。僕はこう見えて猫派だから」

 こう見えるもなんも初耳だ。

39 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/05(火) 22:45:21.04 ID:FPxEEXju0.net
またお前か

40 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/05(火) 22:47:33.38 ID:j1d2m//e0.net
佐々木だ俺得

41 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/05(火) 22:48:23.44 ID:3g0HdQjY0.net
「そうだったかい?まぁ、キョンとペットについて語り合ったことはなかったかもしれないね。
いい機会だ、僕が猫派ということを覚えておいてくれ」

「へいへい」

 気のない返事を返し、コップをテーブルの上に置く。佐々木はシャミセンを抱いてベットに座り直し、
俺はベットに持たれかかり、その横に座り込む。その際、シャミセンと目があったが、
それ程嫌がっているわけではなさそうである。まぁ、普段から妹の相手をしているだけがあって、構われるのは慣れている。
ましてや、妹ほど雑に扱われるわけでないから尚更であろう。

「それはそうと。佐々木でも『にゃー』なんて言うんだな」

 先日、偶然にも1年ぶりの再会を果たした俺達ではあるが、中学時代に佐々木がそんな可愛らしい言葉を使っているのには、
ついぞお目にかかったことはない。

「おや、キョンは何か勘違いしてないか?猫と話すときは語尾ににゃーをつけるのが礼儀ってものじゃないか」

 さも当然に言い放つ佐々木。猫派ではそれが当たり前なのであろうか。俺個人としては犬も猫もどちらか一方に傾注することはないので、
そういうことは聞いたことがなかった。

42 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/05(火) 22:52:13.08 ID:3g0HdQjY0.net
「冗談だよ、キョン」

 佐々木が楽しそうにくつくつと咽を鳴らす。そこでようやく俺はからかわられていることに気が付いた。

 やれやれ。

「キョンのそういうところは相変わらずだね」

「佐々木のそういうところも相変わらずだな」

 1年ぶりの再会ではあるが、昨日もあったような感覚。再会するまでの時間など関係ない。
俺と佐々木はそんな関係である。

 佐々木に撫でられ、シャミセンがごろごろと咽を鳴らす。佐々木も笑う際に咽を鳴らす。
妙な共通点がある。いや、ほんとどうでもいい。

「猫はいいよね。こうやって膝の上に乗っているだけで、こんなにも癒やしてくれるんだから」

「そうか?うちの妹の膝の上に乗せられた時は大抵面倒臭そうな顔してるぞ」

 シャミセンからしてみれば随分な迷惑である。その点佐々木の膝の上ならリラックスできて気持ちいいのではないだろうか。

43 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/05(火) 22:54:58.28 ID:3g0HdQjY0.net
「キョンも試してみるかい?」

「……遠慮しておく」

「まぁ、そう言わずに」

 やたら楽しそうな佐々木。というか、有無を言わせない。そういのははた迷惑な団長さんだけで十分である。

「ほら、そこに座るんだ」

 指示されるがままベットに腰掛ける。そして、俺の膝の上にぽふっと佐々木が頭を乗せる。
そして、シャミセンは佐々木のほっそりとしたお腹の上に鎮座している。

44 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/05(火) 22:57:26.09 ID:y/2AisFx0.net
私はシャミセンになりたい

45 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/05(火) 23:00:04.74 ID:3g0HdQjY0.net
いや、ちょっと待て。お前が猫のほうかよ」

「おや?逆のほうが良かったかい?」

 再び咽を鳴らす。もはや、何も言うまい。

「ほら、キョン。僕を撫でるんだにゃー」

 クールなキャラははるか一万光年先にでも行ってしまったのか。軽く嘆息し、
しょうがないので佐々木の顎から喉を撫でてやる。
 
 佐々木は気持ちいいのか、猫がそうするようにすっと目を細めた。どう表現していいのかわからんが、
今ならなんとなく猫派の気持ちがわかるような気がする。

「にゃー」

 そんなわけで、俺の安らかな日曜日の午後は佐々木を膝に乗せ、撫で続けることで過ぎていくのであった。

 そして、それを帰ってきた妹に発見され、赤っ恥をかいたことを追記しておく。

46 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/05(火) 23:03:00.51 ID:AlzKeMIl0.net
支援

47 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/05(火) 23:03:48.90 ID:3g0HdQjY0.net
終わり

48 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/05(火) 23:04:58.18 ID:Eu8KgRXO0.net
うひょーw

49 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/05(火) 23:05:47.69 ID:3g0HdQjY0.net
なんかリクエストとかあればどうぞ

50 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/05(火) 23:09:25.21 ID:AlzKeMIl0.net
支援

51 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/05(火) 23:10:44.80 ID:r7Ojr/hw0.net
佐々木もっとちょうだい

52 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/05(火) 23:12:45.99 ID:3g0HdQjY0.net
>>51
佐々木のストックはもう微妙なのしかない

53 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/05(火) 23:13:38.41 ID:3MgX+zcOO.net
この佐々木猫前も見た気がする

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