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アカギ「ラビットハウス……？」
- 1 ：以下、＼(^o^)／でVIPがお送りします：2014/08/06(水) 01:03:02.20 ID:wK7ID8O30.net
- 南郷が欲したのは変化だった。
南郷（誰か流れを変えてくれ……。
この澱んだ空気……。
かわいらしい空間に、おっさんが一人でいるのは耐えられない……。
誰でもいい……。悪魔でも……っ！）
ガチャリ。
そのときだった。ラビットハウスの扉が開く。
南郷（誰だ……！？）
アカギ「やってるかい」
現れたのはアカギ……。
後に神域と呼ばれる男。
その伝説の夜の、始まりである。
- 2 ：以下、＼(^o^)／でVIPがお送りします：2014/08/06(水) 01:05:59.37 ID:wK7ID8O30.net
- チノ「いらっしゃいませ。お席におかけになってお待ちください」
南郷（チャンスだ……っ！）
南郷「すいませんっ！ 注文いいですか……っ！」
チノ「はい。ただいま」ﾄｺﾄｺ
南郷（やった……っ！ やったぞ……っ！
これでようやくこのカラカラの喉を潤せる……っ！）
チノ「何に致しましょう」
南郷（ここは、頭のウサギをもふもふしたい……っ！
喉の渇きと同時に……、心の渇きも癒せる……っ！
まさに千載一遇の好機……っ！）
- 3 ：以下、＼(^o^)／でVIPがお送りします：2014/08/06(水) 01:08:33.41 ID:wK7ID8O30.net
- 南郷「じゃあ」
南郷（いや、待てよ……。もし断られでもしたら……。
心は一生乾いたままだ……っ！
ここはぐっと堪えて……、
喉の渇きをとりあえず癒すのが先だ……。）
チノ「はい」
南郷「このブルーマ」
アカギ「死ねば助かるのに……」ﾎﾞｿｯ
南郷「……？ 何……？ お前、この店の常連か……？」
アカギ「いや……。ただ。今、あんたの背中の気配が死んでた」
南郷「ぐっ…………！」
- 4 ：以下、＼(^o^)／でVIPがお送りします：2014/08/06(水) 01:11:18.27 ID:wK7ID8O30.net
- 南郷（馬鹿か俺は……っ！ なんでここでもふもふしねぇんだ……っ！）
チノ「あの、ご注文は……？」
南郷「……その頭のウサギさんだっ！」
チノ「非売品です」
南郷「ぐっ……！ ならせめてもふもふさせてくれっ！
頼むっ！ この通りだ………………っ！」
チノ「……じゃあ。コーヒー一杯で、一回です」
南郷「……ああ！ じゃあコーヒーを一杯頼むっ！」
チノ「かしこまりました」
アカギ「フフ…………」
アカギ……っ！ 余裕の傍観…………っ！
- 5 ：以下、＼(^o^)／でVIPがお送りします：2014/08/06(水) 01:13:01.34 ID:wK7ID8O30.net
- 南郷「よっしゃあ！ やったぞお！」もふもふ
チノ「……あの。そろそろ返してください」
南郷「ああ！ 嬢ちゃんすまねぇな！」
チノ「はい」
アカギ「……」ｽｯ
アカギ……っ！ ここで挙手……っ！
無言の挙手…………っ！
チノ「はーい。少々お待ちください」ﾄﾃﾄﾃ
南郷（ぐっ……！ その手があったか……っ！
声を発さずに店員を呼ぶ……っ！
まさに悪魔的発想……っ！）
ここに来てアカギ。その才能の片鱗を覗かせる。
- 6 ：以下、＼(^o^)／でVIPがお送りします：2014/08/06(水) 01:15:11.22 ID:OgzNm+dT0.net
- ぴょん・・・ぴょん・・・
- 7 ：以下、＼(^o^)／でVIPがお送りします：2014/08/06(水) 01:16:36.02 ID:wK7ID8O30.net
- アカギ「俺もあそこにいるおっさんと同じものを」
チノ「はい。オリジナルブレンドをひとつでよろしいですか？」
アカギ「……いや。そうじゃねえ。
俺もその頭のウサギさんをもらおうか」
チノ「……コーヒー一杯で一回です」
南郷（あいつは何をやっている……っ！？
俺と同じやりとりを繰り返して、何をたくらんでいるんだ……っ！？）
アカギ「ククク……。じゃあ」
チノ「……はい」
アカギ「倍プッシュだ……っ！ コーヒーを二杯……っ！」
南郷（な、なんだって…………っ！）
- 8 ：以下、＼(^o^)／でVIPがお送りします：2014/08/06(水) 01:19:32.72 ID:wK7ID8O30.net
- 南郷「お、落ち着け……っ！」
南郷……っ！ たまらず割って入る……っ！
アカギ「なんだい。おっさん」
南郷「お前の気持ちは痛いほど分かる……っ！
だがな……っ！ 二杯頼んだところで、
二回ももふもふできるとは限らねぇんだっ！ 考え直せ……っ！」
アカギ「ククク……。いいから見てなって。
嬢ちゃん。コーヒーを二杯だ」
チノ「かしこまりました。では、二回もふもふしていいですよ」
南郷「な…………っ！」
南郷……っ！ 絶句……っ！
- 9 ：以下、＼(^o^)／でVIPがお送りします：2014/08/06(水) 01:21:46.08 ID:wK7ID8O30.net
- アカギ「ほら……。俺の言った通りでしょ……？」
南郷「あ、ああ」
南郷（なんて読みをしやがるこのガキ……っ！）
アカギ「ククク……。物事ってのは単純にできてるもんさ。
難しく考えすぎなんだぜ。おっさんは」
南郷「ぐっ……！」
アカギ「フフ……。ケチなもふもふ必要なし……っ！」
アカギ……っ！
これにはたまらず心ぴょんぴょん……っ！
- 10 ：以下、＼(^o^)／でVIPがお送りします：2014/08/06(水) 01:23:38.44 ID:mbl5hYZd0.net
- なんだこれ
- 11 ：以下、＼(^o^)／でVIPがお送りします：2014/08/06(水) 01:23:50.74 ID:cnVydWYG0.net
- つまんね
- 12 ：以下、＼(^o^)／でVIPがお送りします：2014/08/06(水) 01:24:56.34 ID:wK7ID8O30.net
- チノ「そろそろ返してください」
アカギ「フフ……。ありがとよ」
アカギ……っ！ 大満足……っ！
南郷「待ってくれ！」
アカギ「！？」
チノ「……なんでしょう」
南郷「コーヒーおかわり！ 20杯だ……っ！」
チノ「えっ！」
- 13 ：以下、＼(^o^)／でVIPがお送りします：2014/08/06(水) 01:28:10.11 ID:wK7ID8O30.net
- 南郷（俺にあるのは大人の財力……っ！
見たところあの白髪のガキは素寒貧……っ！
さっきのコーヒー二杯止まりが証拠……っ！）
南郷「嬢ちゃんっ！ 20杯だっ！」
チノ「えーと……。かしこまりました」
チノ（どうしよう。20杯分もない……。）
南郷（これで20回分もふもふできる……っ！）
チノ（……まぁ、5杯だけ作ればいいか。どうせ飲まないでしょうし）
チノがやったこれは、キャタピラと呼ばれるイカサマ。
原始的な方法だが、ウサギさんに夢中な南郷は気付かない。
数万回と繰り返したチノの動きに澱みはない。
- 14 ：以下、＼(^o^)／でVIPがお送りします：2014/08/06(水) 01:31:36.94 ID:wK7ID8O30.net
- 南郷（もふもふ……っ！ もふもふ……っ！）
南郷……っ！ まさに至福……っ！
至福のもふもふ……っ！
アカギ「……フフ。随分回りくどいことするんだね……。
俺はもっとストレートに行くよ……」
チノ「あの……。そろそろ……」
南郷「ダメだっ！ まだ10回分ももふもふしてねぇ！」
チノ「……そうですね」ｼｮﾎﾞﾝ
アカギ「嬢ちゃん。ちょっといいかい」ﾎﾞｿｯ
チノ「……なんですか？」ﾋｿﾋｿ
- 15 ：以下、＼(^o^)／でVIPがお送りします：2014/08/06(水) 01:33:23.51 ID:wK7ID8O30.net
- アカギ「あそこにいる男。あいつはあのウサギさんを食べるつもりだ」
チノ「ええっ！」
アカギ「しー……。声がでかい」
南郷「うひょおおおお！！！！！」もふもふ
チノ「それで、どうしたらいいんでしょう……」ﾋｿﾋｿ
アカギ「ずっと見張っていたらいい。ただし目を離したら……」
チノ「……」ｺﾞｸﾘ
アカギ「分かったかい。嬢ちゃん」
チノ「……分かりました」ｺｸｺｸ
- 16 ：以下、＼(^o^)／でVIPがお送りします：2014/08/06(水) 01:36:27.03 ID:wK7ID8O30.net
- チノ「……」ｼﾞｰｯ
南郷「うっひょおおおお！！！！！」もふもふ
チノ「……」ｼﾞｰｯ
アカギ「ちょっといいかい。コーヒーのおかわりをもらいたいんだが」ｽｯ
チノ「えっ。……でも」ﾁﾗﾘ
南郷「うっひょおおおお！！！！！」もふもふ
アカギ（ククク。さぁ、どうする……？）
チノ「あーうー……」
チノ……っ！ 選択の時……っ！
- 17 ：以下、＼(^o^)／でVIPがお送りします：2014/08/06(水) 01:38:49.66 ID:wK7ID8O30.net
- チノ「ココアさん！ リゼさん！ ちょっと来てください！」
ココア「……どうしたのー？ 休憩時間まだあるよー？」
リゼ「なんだ。トラブルか？」
チノ「いえ！ 接客をお願いします！
ちょっと今手が離せなくて！」
アカギ「フフ……。ちょっといいかな……？」
ココア＆リゼ「はい！」ﾀﾀｯ
南郷（なっ……！）
アカギ「ククク……」
アカギ（この店の広さなら従業員が一人ということはあり得ない。
そしてこの内装。こんなお店で働くということは、
それなりに容姿に自信があるはず……っ！
つまりブスは出てこない……っ！）
- 18 ：以下、＼(^o^)／でVIPがお送りします：2014/08/06(水) 01:40:32.79 ID:wK7ID8O30.net
- アカギ「このお店のオススメは……？」
ココア「オリジナルブレンドがおいしいですよー」
リゼ「お前は味分からないだろ……。
カプチーノがオススメです」
アカギ「フフ……。ふたつ言われたんじゃ迷っちまうな……」
ココア「オリジナルがいいですよ！」
リゼ「カプチーノだ！」
アカギ「ククク……」
南郷（ぐっ……！ あいつ楽しそうにしやがって……っ！）
- 19 ：以下、＼(^o^)／でVIPがお送りします：2014/08/06(水) 01:42:40.95 ID:VgvT17pa0.net
- ティッピー一言も発さず…！！
- 20 ：以下、＼(^o^)／でVIPがお送りします：2014/08/06(水) 01:43:00.89 ID:wK7ID8O30.net
- 南郷（こっちのウサギさんもかわいいが……）ﾁﾗｯ
南郷「しかし……っ！」
ココア＆リゼ「ｷｬﾋﾟｷｬﾋﾟ」
南郷「ぐっ……！ ぐっ……！」ﾎﾞﾛﾎﾞﾛ
南郷……っ！ あまりの悔しさに涙……っ！
慚悔の咆哮……っ！
南郷「うらやましい……っ！」ﾎﾞﾛﾎﾞﾛ
アカギ（フフ……。自分でまいた種さ。悪く思うなよ）
- 21 ：以下、＼(^o^)／でVIPがお送りします：2014/08/06(水) 01:44:52.83 ID:pllEjO6zO.net
- このアカギはチノと同い年か
- 22 ：以下、＼(^o^)／でVIPがお送りします：2014/08/06(水) 01:46:08.49 ID:wK7ID8O30.net
- アカギ＆ココア＆リゼ「ｷｬｯｷｬ」
南郷「ぐっ……！ ぐっ……！」ﾎﾞﾛﾎﾞﾛ
チノ「……」ｼﾞｰｯ
アカギの心はぴょんに溶け天に上った。
アカギ無法のココアリゼ待ち。
こうして後に神域と呼ばれる男。
最初の一杯。
伝説の夜は幕を閉じた。
終わり
- 23 ：以下、＼(^o^)／でVIPがお送りします：2014/08/06(水) 01:47:25.73 ID:VgvT17pa0.net
- 夜ならたかひろだよな
- 24 ：以下、＼(^o^)／でVIPがお送りします：2014/08/06(水) 01:48:58.53 ID:wK7ID8O30.net
- 読んでくれた方、レスくれた方、ありがとうございました。
- 25 ：以下、＼(^o^)／でVIPがお送りします：2014/08/06(水) 01:54:43.12 ID:I0viPR5Q0.net
- 乙
- 26 ：以下、＼(^o^)／でVIPがお送りします：2014/08/06(水) 01:55:25.65 ID:Ti+Vk50j0.net
- すばらだったお
- 27 ：転載したら風穴 ◆/AfiKASusc ：2014/08/06(水) 01:57:15.48 ID:BlHonIde0.net
- おつ
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