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キョン「ツンデレ?」ハルヒ「ツンデレ!」

1 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/07(木) 21:15:58.02 ID:RIltqExs0.net
 最近、ハルヒの様子が少しおかしい。いや、おかしいのはいつものことで、それにおかしいと言うといささか語弊がある。

 率直に現状を述べるとするならば、どうやら俺はハルヒに嫌われたらしい。別にこれは、何の根拠も無い俺の被害妄想ということでは断じてない。
根拠というか……まあ、言葉にしてはっきりと嫌いと言われたわけなのだが、ショックだった。嫌いと言われたことではない。

 ハルヒに嫌いと言われたことにショックを受けている俺自身にショックを受けたのだ。ややこしいが、二重にショックだったわけだ。

 それにしても、いきなり面と向かって嫌いだなんて、いくら思っていても心の中でひっそりと言えばいいだろうに。
そんなわけで、ここ数日はもやもやとした気分で過ごしている。

 仮病を使うことも考えたが、それはそれでなんとなく悔しいのでこうして学校に通っている。

 長い長い坂道が憂鬱を加速させていく。

「やれやれ……」

 こうやって溜め息をこぼすのも果たして何度目やら。とにもかくにも、今日も嫌な日常が始まるのだった。

2 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/07(木) 21:18:57.79 ID:RIltqExs0.net
「べ、別にキョンのことなんか、す、好きじゃないんだからね!」

「………………」

 長門ばりの沈黙を以て窓際の後ろから二番目の俺の席へ着席。

 ハルヒが俺のことを嫌いと宣言した次の日から、毎朝同じセリフをハルヒは言ってくる。
嫌味か皮肉か判別はつかないが、俺のことを嫌っていることは確かだ。
俺の顔も見たくないのか、怒りで頬を朱に染めたハルヒがそっぽを向きながらつっけんどんに言ってくることが、これほどまで精神に堪えるとはいったい誰が予想できただろうか。

 フロイト先生もびっくりだろうよ。

「………よう」

 無駄とはわかっているものの、一応声を掛けてみた。ハルヒはこっちを見向きもせずに頬を紅潮させて窓の外を見ている。
俺としては何とか関係を修復したいと願っているのだが、取りつく島もありゃしない。何故ハルヒが俺のことを嫌うのかまったく心当たりが無い。
古泉に相談しようかとも思ったが、それも業腹なので見送ったままになっている。

 そんなことを考えているとハルヒと視線が正面からかち合ってしまった。

3 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/07(木) 21:21:07.17 ID:w2MnzyPS0.net
キョン「ホモセックス?」

古泉「ええ」

国木田「うん」

4 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/07(木) 21:21:49.85 ID:RIltqExs0.net
「な、何よ!あ、あたしは、別にキョンのことなんか全然気にしてないんだからね!勘違いしないでよ!」

 このセリフももう幾度となく聞いたおかげで耳にタコができそうだ。そんなことをいちいち言わなくても、ハルヒが俺のことを嫌っているのは知っている。
授業中などに、目が合う度にそう言われ続けてもううんざりだ。俺のライフはもうゼロだ。やめてくれ。

「や、やめろですって!」

 よくわからないが、ハルヒはさらに怒り始めた。もうこうなったら俺はお手上げである。
クラスメイトのやたら生暖かい視線が気になるが、触らぬ神に祟りなし。

 俺はふて寝とばかりに机にうずくまるのだった。

 とにもかくにも放課後である。放課後といえば団活が常となっていたのだが、それが俺の精神にかなりの負担をかけている。
ハルヒに嫌われたとなると、俺の存在意義など無いに等しいというのに、長門や朝比奈さん、古泉たちは気にした様子もない。
普段と何ら変わり無い態度で俺に接してくれている。

5 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/07(木) 21:26:40.77 ID:RIltqExs0.net
「長門だけか……」

 ノックして返事が無いのを確認して中に入ると、予想どおりの人物が予想どおり本を読んでいた。
しかし、読んでいるのはSFモノではなく、キラキラとした表紙で、いかにも女の子っぽい字体が目立つ雑誌だった。

 タイトルは『ツンツンデレデレ〜これで男はいちころよ〜』というわけのわからないものである。

「……面白いか、それ?」

「ユニーク」

 そうか。一体全体どんな内容なのか見当もつかないが、長門が面白いというのなら面白いのだろうよ。
長門の趣味に口出しするのもおこがましいというものだ。

「涼宮ハルヒに勧められた」

「そうなのか?」

「そう」

 よくわからないが、長門に有害なのでは無いかと心配になってきた。先程も言ったように、長門の趣味に口出しするつもりはない。
しかし、ハルヒが一枚噛んでいるとなると話は別だ。

 長門が純粋なのにかこつけて、毒するのは断じて許されない。

6 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/07(木) 21:29:51.96 ID:QrDM7nfd0.net
続けろ

7 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/07(木) 21:31:42.05 ID:RIltqExs0.net
「長門、その本をちょっと見せてくれないか?」

「拒否する」

 な……に?長門が俺の頼みわ拒否するだと……?これはますますハルヒを弾劾せねばならんようだな。

「ちょっとだけだから。ほら、見せてくれよ」

「ダメ……」

 今日の俺はどうにかしていたんだろう。普段の俺ならば長門の嫌がることを絶対にしないというのに
。傍から見たら、まるで俺が長門のことを襲っているようではないか。

「何やってんのよ、こんのエロキョンがぁ!」

 そう。この状況をハルヒが見たらどう捉えるかなんてわかりきったことじゃないか。ああ、なんだか凄いな。
ハルヒの飛び膝蹴りがこんなにもゆっくりと見えるなんて。

 これじゃあ、話に聞く事故や死ぬ直前に何もかもがスローに見えるという体感時間の圧縮じゃないか。
そこまで冷静に考えたところで、俺の意識はパチンと電灯が消えるように真っ黒になった。

8 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/07(木) 21:38:30.15 ID:RIltqExs0.net
 頭が痛い。鼻も痛い。鼻血が出たときのように、鼻の奥に血の匂いがたまっている。しかし、何やら柔らかく、気持ちいい。

 ここは天国か?

 眩しさに目を細めながら目を開けると、ハルヒの顔がそこにあった。いつものように逸らすことなく、じっと俺を覗きこんでいる。
「心配かけんじゃないわよ」

「蹴りを入れた本人が言うセリフじゃないだろう……」

「うるさい。そもそも、キョンが勘違いされるようなことしてるから悪いのよ」

 やれやれ、と思わず呟いた。

「で、ハルヒよ。お前は俺のこと嫌ってるんじゃないのか?」

 現在の状況を端的に述べるとするならば、ハルヒに俺が膝枕されている。

 ハルヒは俺のことを嫌っているというのに、これはどういうことだろうか。
ハルヒは返答に窮したようで、ソワソワと視線をあちこみに彷徨わせている。

9 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/07(木) 21:41:36.58 ID:RIltqExs0.net
「そ、そりゃ、キョンのことは好きじゃないわよ」

「そうか」

 どこかで期待していたぶん、今回のはキツかった。大魔人のフォークのような落差とでも言えば、俺がどれだけ落胆したか伝わるだろうか。

「……むぅ。バカキョンの鈍感」

「死人にムチを打ってそんなに楽しいか?」

「そんなに言うならこっちにだって考えがあるわ」

 有希、その本貸して、とハルヒは先程俺が奪いとろうとしていた本を長門から受け取った。

「この本を明日までに熟読してきなさい。話はそれからよ」

 ハルヒは俺に雑誌を押し付けてさっさと帰ってしまった。

 で、翌日。いつものように俺が着席すると、

「べ、別にキョンのことなんか、す、好きじゃないんだからね!」

 思わずにやけてしまう俺がいるのだった。

10 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/07(木) 21:42:10.35 ID:RIltqExs0.net
終わり

11 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/07(木) 21:42:40.35 ID:xgM2rWWm0.net
爆発しろ

12 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/07(木) 21:45:51.23 ID:RIltqExs0.net
 クリスマスも間近に迫り、世間が浮き足だっている今日この頃。俺は飽きることなく文芸部の部室へ足を運んでいた。
ひんやりと冷たい廊下を流れる水のごとく歩いて辿り着いた部室の扉をノックする。これも毎度お馴染みなった行為の一連の流れに組み込まれている。

 朝比奈さんが先に着ているならマイナスイオンが出ているに違いないお声で返事が返ってくるはずで、まだ来ていないようなら長門の沈黙による返事がある。
しかしながら、今日はそのどちらでもなく「開いてるわよ」という素っ気ないものであった。

「ハルヒだけか?」

 見れば判るような状況ではあるのだが、何となくそう尋ねる。もしかすると、古泉辺りが掃除用具の入ったロッカーからこんにちはってことも考えられるからな。

「そうよ。みんな用事があるんだって」

 頬杖をついたハルヒが面倒くさそうにそう答えた。そういえば、三人から冬休みに入ると忙しくなるから定期連絡を近々するつもりだということを聞いた。
今回のこれはその辺りのことが絡んでいるんだろうよ。

 もちろん、そんなことハルヒに言えるはずも無いが。

13 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/07(木) 21:50:36.86 ID:RIltqExs0.net
「そうか。じゃあ、今日はこのまま解散にするのか?」

「何言ってんのよ?今日はあんたとあたしで活動するに決まってるじゃない。
もし休みにでもした時に限って宇宙人や未来人や超能力者が現れたらどうするのよ?」

 ハルヒの言うところの宇宙人やら未来人やら超能力者が本日は休みだからそう意見しているだけなんだがな。

「そもそも、平団員のくせに早々に帰りたいとか口にするなんて百年早いわよ。団長であるあたしに意見したいんだったら、それなりの功績をあげなさい。
ま、まぁ、別に話くらいは聞いてあげないことはないけど」

 結局どっちなんだかわからないが、それを訊いて蛇を出すつもりはさらさらない。

 触らぬ神に祟り無しである。

 さて、こうなってくると暇を持て余してしまう。
古泉がいるならオセロや将棋などのボードゲームで時間を潰すことも可能だが、その古泉が不在の上に長門や朝比奈さんも休みなので代わりを務める人がいない。
長門のように本を読むというのも一つの手ではあるのだが、長門が居なければどの本が面白いのかよくわからない。
朝比奈さんみたいに可憐なメイド服を着込んで甲斐甲斐しく給仕に勤めることも可能だが、ハルヒ相手ではヤル気が出ない。

 そもそも、俺がメイド服を着たところで変態扱いされるのがオチである。

14 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/07(木) 21:54:03.32 ID:RIltqExs0.net
 ハルヒと暇を潰すようなことが出来ればいいのだが、そのハルヒが先程からこっくりこっくり船を漕いでいる。
寝不足気味というか寝不足そのものだろう。

 授業中もずっと寝ていたようだ。

「なぁ、ハルヒ」

「なななな、何よ!全然寝てないんだからね!」

 そんな言い訳をしたところで、ずっとハルヒを観察していた俺に通用するはずがなかった。

「眠いなら机みたいな固いところで寝るより、ちゃんとベッドで寝たほうがいいぞ。
そんなんじゃ寝ても眠気がとれないだろ?」

「そ、そんなことないわよ!一時間ぐらいなら瞬きしないでも平気よ?」

 それは寝不足と関係が無いような気がする。

「ほら、今日はもう終わりにして帰ろうぜ」

「嫌よ。絶対帰らない」

 強情なハルヒに思わずため息が零れた。一体全体何がそこまでハルヒを突き動かすのやら。

15 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/07(木) 21:55:40.06 ID:RIltqExs0.net
「だって久しぶりに二人っきりになれたんだから……」

「ん、何だ?何か言ったか?」

「知らないわよ!バカキョン!」

 何故俺が怒鳴られなければならんのだ。まったくもって理不尽である。まぁ、今に始まったことではないがな。

「なら、どうするんだよ?何時もの時間になるまで帰らないのは百歩譲って良しとしよう。
でもな、そんな風に眠そうにされても気になって仕方ないぞ」

「そうね……そんなに気になるんならここで寝るわ」

「だから、横にならな――」

「なるわよ。確かマットがどこかにあったはずだから、それを床に敷いたらいいでしょ?」

 自信満々にハルヒが胸を張る。いったいどこからマットを持ってきたのやら。

「体操部から拝借したのよ。もしかするとマットが必要になるかもしれないと思ってね」

 確かに必要にはなったが、本来の用途からは著しく離れている。マットだって誰かに寝てもらうためにあるわけではないだろうに。

16 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/07(木) 21:59:53.40 ID:RIltqExs0.net
「いちいちうるさいわね。いいから、さっさとその机をずらしてマットが敷けるようにしなさい」

 どうして俺がと反論したところで、雑用なんだから当たり前でしょというありがたい御言葉を賜わうだけである。
だから俺は言われたとおりにせこせこと労働に従事するわけだ。しかしあれだ、ハルヒが雇用者にでもなったりしたら労働基準法なんぞ一蹴してしまいそうだな。
現に、俺に対する扱いが余りに酷いような気がしてならない。

「ほら、これでいいだろ?」

 簡易ベッドの完成である。たかだかマットを敷いただけではあるのだが……。そもそも、ベッドというよりは布団だな。
毛布が無いので少し寒いかもしれないが、ストーブによって室温は高くなっているので風をひく心配もないだろう。

「うーん……」

 しかし、ハルヒは何やら難しい顔で腕を組み、考え事をしているようだった。

「快適な睡眠をとるために何か足りないのよね……」

 不満があるなら家に帰ってゆっくりと寝ればいいだろう。

 そんな俺の提言はスルー。

17 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/07(木) 22:02:03.24 ID:RIltqExs0.net
「そうよ!枕が無いのよ!」

「そんなものはその辺にある分厚い本でいいだろ」

「ダメよ。本じゃ固すぎるわ」

 やっぱり家に帰るべきだろう。

「何よ、ここまでやっておいて帰るなんて負けじゃない」

 勝ちでもないがな。

「膝枕とか腕枕とかあるし、人間ってある意味枕よね……」

 それは違うだろう……。

「そうね。キョン、あんたが枕になりなさい」

「は?」

 思わずハルヒの顔をまじまじと見つめてしまう。まったくわけがわからない。

18 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/07(木) 22:05:30.28 ID:RIltqExs0.net
「キョンなら筋肉もそんなについてないからちょうどいいと思うのよ。そういうわけで、お願いね」

「断固拒否する」

 常識的に考えてそんなこと出来るはずがない。恋人同士ならすることもあるだろうが、俺とハルヒはそんな関係ではない。

「キョンに拒否権なんてあるわけないでしょ。ほら、早くしなさいよ」

 既にマットの上でスタンバっているハルヒがマットをポンポンと叩く。やるべきか。やらざるべきか。
古泉のにやけ面が頭の中でちらつく。古泉が苦労するのは一向に構わない。

 しかしながら、この状況でハルヒを不機嫌にしてもし朝比奈さんや長門に迷惑が掛かるようであるならば、それは絶対に避けなければならない。

 で、結局。保安官に拳銃を突き付けられたカウボーイの如く両手を挙げて降伏。

19 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/07(木) 22:07:34.16 ID:RIltqExs0.net
「なぁ、膝枕じゃダメなのか」

「ダメよ。それじゃあちょっと高すぎるわ」

 さいですか。こうなったら自棄だとばかりに腕をぐいとハルヒのほうに差し出した。
そこに乗せられた頭の重さを感じたと同時に、言い様の無い良い匂いがした。頭の中がとろけるような甘い匂い。

 食虫植物に誘われるハエのような気分だ。

 ドキドキして思考がまとまらずにぐるぐると渦巻いている。そんな人の気も知らずにハルヒは規則正しい寝息をたてている。
ちらりとそちらに視線をやってさらに頭が沸騰した。普段とは違い、安らかで少し幼いハルヒの寝顔。

 ドキドキするなというほうが無理である。

 しかし、そんなドキドキも時間が経つにつれて収まり、続いて俺にも眠気が訪れた。

 ゆっくりと目を閉じる。ハルヒが側にいる心地よさを腕の重さに感じながら、俺は夢の中にへと落ちていった。

 ちなみに、どんな夢を見たのかは内緒である。

 一つだけ言うとするならば、幸せな夢だったってことぐらいだ

20 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/07(木) 22:08:08.27 ID:RIltqExs0.net
終わり

21 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/07(木) 22:12:09.52 ID:k8kL+qm50.net
続けて

22 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/07(木) 22:16:13.32 ID:RIltqExs0.net
>>21
基本的にこの長さなんだ

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