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四季折の羽

1 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/01/04(日) 09:23:39.15 ID:oM8xsUTpr.net
舞い落ちる粉雪が
山の背を白く染める
寂れた村の あばら家で
二人、身を寄せ合う 冬の夜

「出会った日も、雪だった」
あなたが 微笑みつぶやく
囲炉裏火(いろりび)に火照(ほて)った顔を
大きな袖の影に隠し

2 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/01/04(日) 09:24:14.86 ID:oM8xsUTpr.net
春の訪れを
息吹の歓び さえずる鳥達と 歌う
「綺麗な声だね」と あなたが言った
ただそれが、その言葉が、嬉しくて

「いつか、綺麗な声が出なくなっても、
それでも、私を愛してくれますか?」
「当たり前だよ」って 優しく笑い
そっと 大きな手が頬を撫でた

3 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/01/04(日) 09:24:47.19 ID:oM8xsUTpr.net
青葉照る 夏の午後
あなたが病に倒れた
貧しい夫婦(めおと)暮らしでは
あなたを治す薬は 買えない

明くる日も 明くる日も
ただ、ひたすらに機(はた)を織る
儚き紅葉(もみじ)の葉のように
あなたの命を、散らせはしない

4 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/01/04(日) 09:25:21.87 ID:oM8xsUTpr.net
季節は流れて
夏の終わりを告げる鈴虫が リン、と鳴く
「綺麗な指だね」と 傷だらけの手を握る、その手が
あまりにも冷たくて・・・

「いつか綺麗な指がなくなっても、
それでも私を愛してくれますか?」
「当たり前だよ」って 咳(せ)き込みながら
痛む指を 大きな手が包んだ

5 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/01/04(日) 09:25:56.01 ID:oM8xsUTpr.net
昼も夜も 機を織り続けて 
早く早く、薬を買わなければ・・・
もう少し、あと少し、紅葉(もみじ)が散る前に
この指が止まるまで・・・ この羽が、尽きるまで・・・

――嗚呼 落日の風――
――無情に朽ちていく実の――
――灯火を揺らし 落とす――

6 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/01/04(日) 09:26:22.20 ID:oM8xsUTpr.net
「いつか、私がヒトじゃなくなっても、
あなたは、私を愛してくれますか?」
怖くて真実は告げられぬまま
そっと ひとり、最後の羽を折り・・・

「当たり前だよ」って 僕は笑い
翼を失くした君を抱きしめ、言った
綺麗に羽ばたいた あの日の鶴を
ずっと、今でも覚えているよ

そして 変わらず君を 愛しているよ

7 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/01/04(日) 09:26:51.01 ID:oM8xsUTpr.net
純愛だよなぁ

8 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/01/04(日) 09:28:48.99 ID:oM8xsUTpr.net
こんな恋愛してみたい死んでもいいから

9 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/01/04(日) 09:45:37.79 ID:9yi/1niBr.net
泣いた

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