寝てるからあと好きにしてって許可もろた
「あの丘に行ってみよう」兄さんはそう言うとかけていった。二つ並ぶなだらかで、白い山の合間をぬってせっせと登る兄さんの背中は小さくなるばかりで、幼かった私は怖くなった。
「待って、待ってよう」と半べそをかきながら、後をついていく私をちらりと一瞥すると兄さんの口角はくっと持ち上がる。いつもそうだった、兄さんは私を付かず離れずで前を行く。
それがまだ小さな兄さんの優しさだったと気づくには私はまだまだものごごろもついていなかった。
そうしているうちに兄さんは少し桃色に色づいた山頂まで一気に駆け上がり、私はまた少し涙をためてわんわん言いながら追いついた頃には、兄さんは臼のような突き出たところに腰掛けていた。
高いところから望むその風景は慣れ親しんだ私たちがよく見るものとは違った丘の顔にみえた。
兄さんはややあってふぅと息をつくと気のない声で「おっぱい」とだけ言うと、わたしも疲れてしまい兄さんに寄りかかり、胸を枕に眠ってしまったのだった。
これ
「待って、待ってよう」と半べそをかきながら、後をついていく私をちらりと一瞥すると兄さんの口角はくっと持ち上がる。いつもそうだった、兄さんは私を付かず離れずで前を行く。
それがまだ小さな兄さんの優しさだったと気づくには私はまだまだものごごろもついていなかった。
そうしているうちに兄さんは少し桃色に色づいた山頂まで一気に駆け上がり、私はまた少し涙をためてわんわん言いながら追いついた頃には、兄さんは臼のような突き出たところに腰掛けていた。
高いところから望むその風景は慣れ親しんだ私たちがよく見るものとは違った丘の顔にみえた。
兄さんはややあってふぅと息をつくと気のない声で「おっぱい」とだけ言うと、わたしも疲れてしまい兄さんに寄りかかり、胸を枕に眠ってしまったのだった。