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ファンタジー世界の酒場のよくある日常 短編
- 1 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/02/03(水) 15:11:59.169 ID:eouxXuEZ0.net
- ※長文なのでPC推奨
日も落ちて辺りが暗くなると、街の様子も自然と昼間とは違う姿になっていた。
商売をしていた者達は店をたたみ、待ちゆく人々も家路へ向かう者ばかりのようだ。
そんな中、他とは反対に日が落ちてからが稼ぎ時と明かりを灯す店が一件。
多くの者達で賑わう夜の酒場からは怒鳴るような声が響いていた。
「いいか。炙りアダンクの肉が350、エールが2杯で400。合わせて600円だろうがァ!」
若そうなオークがその厳つい顔を険しくしながら声を荒げて猫族の給仕に言い放つ。
どうやら勘定で揉めているようだ。
「……やっぱりオークはバカニャ。いいかニャ?350と400をあわせたら900円になるのニャ。」
給仕の猫族は愛らしい獣耳をぺたんとさせながらため息を一つ吐くと
声を荒げるオークを諭すように言葉を掛ける。
((……どっちもちげーよ!))
(あぁ、ニアちゃんはいつ見てもかわいいよおお!)
(……俺もニャーニャー言われてぇなぁ……。) (1/10)
- 2 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/02/03(水) 15:12:30.636 ID:tBdYC7LW0.net
- これは期待
- 3 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/02/03(水) 15:12:38.496 ID:OgvG17qG0.net
- なんで単位が円なの?
- 4 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/02/03(水) 15:13:58.280 ID:eouxXuEZ0.net
- 「ちょっとニア。喧嘩なら外でやんな!」
酒場の主と思われる人間の女から、揉め事を起こしている給仕を叱責する声が飛んでくる。
「全く猫族ってヤツァ。これじゃらちがあかねぇ……表へでろや、白黒ハッキリさせるぞ!」
「フフン♪じょーとーだニャ。うけてたつニャ!」
何やら不穏な言葉を交わしながら表へと出て行く二人。
「なんだ何だぁ?決闘でもおっぱじめようってのか?」
「おーーい、お前らもこいや!面白いことになってんぞ!」
「けしからん!実にけしからんぞ!ニアちゃんに一体何をしようと!?
ま、まさか……そんないやらしいことぉぉ!?おのれオークめ許さんぞおおおおおおお」
「やかましいわッ!」
「グエッ……。」
騒ぎを見ていた飲んだくれ達は思いがけない展開に大盛り上がり。
周りに声を掛けながらぞろぞろと二人の後に続いて外へ出ていく。 (2/10)
- 5 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/02/03(水) 15:16:17.080 ID:eouxXuEZ0.net
- 「さて、んじゃまずは中立の立場をとれる審判を探さねーとな。誰か名乗り上げる奴はいねーかァ?」
そうは言われても周りは何やら盛り上がっていたから着いて来た程度の者達だ
恐らく当事者の二人以外は何をしようとしているのかまるで分かっていない。
「しょーがニャい、ちょっとまってるニャ。」
そう告げた猫族の給仕は尻尾を揺らしながらイソイソと酒場へ戻っていく。
(はなしはきいてたニャ?ちょっとてつだってほしいニャ。)
(こ、こら。待ちなさい、私には私の仕事が……。)
(つべこべいわずいいからくるニャ!)
(大体なんですか、お勘定なら他の者に頼めば済んだ話でしょう?)
(これはもうそんなちいさいはなしじゃないニャ!いじとぷらいどをかけた、たたかいなのニャ!)
店内からは揉めるような会話が聞こえていたが、しばらくするともう一人の給仕を伴った猫族が出てきた。 (3/10)
- 6 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/02/03(水) 15:18:15.351 ID:eouxXuEZ0.net
- >>3
丁度いい単価が思いつかなかったもんで
他にも質問などあれば最後にまとめて返しますん
「またせたニャ!」
「どうして私がこんな事を……。」
猫族が連れてきた給仕は何とエルフだった。
「エルフキターーーーー!!」
「うっそ!?俺ここに何度も通ってるけどこんな娘は見たことねーぞ!」
「くっ……金髪長耳族だとぉ!?それでもボクはニアちゃんを選ぶがねッ!」
「おう、何や知らんけどそろそろ始めてくれるか?」
予想だにしなかった人物の登場に湧き上がる見物客たち。
「エルフだと?おいまさかそいつで周りを味方につけようって魂胆じゃねーだろうなァ?」
「そんなせこいことしないニャ。このこにはこーへーなしんぱんをしてもらうからあんしんしろニャ。」
「給仕が二人も遊んでいては店が回らない、いいから始めますよ。」
半ば強引に審判役となったエルフは、どうやら何をするか察しているようで
周りの雰囲気も考慮しテキパキと話を進めて行く。 (4/10)
- 7 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/02/03(水) 15:20:27.923 ID:eouxXuEZ0.net
- 「おっし、じゃー俺からイカせてもらうぜ。15+15は?」
(……おい、これもしかして。)
(白黒ハッキリさせるって……。)
((結局計算で決めるのかよおおおおおおお!?))
「いきなりせめてくるじゃニャいか……。えーっと……んん〜っ……。じゅうはち。」
(まてまて待て、その数字はどっから出てきた?)
(エルフちゃん誘ったら飲み付き合ってくれるかなぁ……。)
(じゅう!はち!聞いたかい、あの言い方!最高じゃないかッ……。)
(帰ってもええかな。)
「ぬっはははは!ヴァカめ、15+15は60に決まっとるだろうがァ!」
「バカはアナタもですよ。答えは30です。どちらも不正解なので引き分けですね。」
「なん……だと……?」
「さぁ、早くあなたも問題を出しなさい。」
驚愕するオークを放置して淡々と進めて行くエルフは次はニアの番だと促す。 (5/10)
- 8 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/02/03(水) 15:22:12.717 ID:eouxXuEZ0.net
- 「まかせるニャ。オークめかくごするのニャ。5+5は?」
(なんで数字減らしてんだ……?)
(おうお前ら、どうせならどっちが勝つか賭けでもすっか。)
(ボクはニアちゃんに全財産を賭けるッッ!!)
(こいつマジか……。)
「おいおい、いいのかァ〜数を減らしちまってぇ?これで俺の勝ちは決まったもンだぜ!答えは16だ!」
「ニャハハハハッ!ひっかかったニャ。こたえはきゅうじゅうニャ!」
「……答えは10です。どうして揃いも揃って出題者が間違えるのです!?
これでは決着がつかないではありませんか。」
「ぐぬぬ……。」
「ニャァ……。」
この状況からどう収拾をつけたものかとエルフの給仕が考え始めた、そのとき。 (6/10)
- 9 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/02/03(水) 15:24:30.493 ID:eouxXuEZ0.net
- 「ボ、ボクに出題させてもらえませんかッ!!」
今まで見物客として騒いでいた一人が名乗りを上げた。
「おまえ……さっきから周りでこの猫族に熱をあげてた奴だろォ?
かえれかえれ!肩入れしようとしてるのが丸わかりだぞ!」
「そんなことはありません!ニアさんの全てにかけて、公平な問題を出題する事を誓います!」
「こ、こいつ……なんて綺麗な、曇りなき眼をしてやがンだ……。」
「ふむ……、オークのお客様に異論はないようですね。ニアもいいですね?
では、これを最後の問題とします。」
エルフの給仕はいよいよ酒場の主から向けられる視線に殺意がこもり始めたことを鋭く感じ取っていた。
「で、では行きますッ!!……2+2は?」
(……。)
(……。)
(……。)
「…………。」
「…………。」 (7/10)
- 10 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/02/03(水) 15:26:02.308 ID:eouxXuEZ0.net
- その問題に誰もが言葉を失った、ある意味で最後に相応しいとも言える問題に。
解答者はおろか、あれだけ騒いでいた周りの者さえも言葉を失い
静かに事の成り行きを見守る中、最初に口を開いたのは……。
「……6!答えは6だッ!!」
オークだった。彼は高らかに答えを宣言すると、隣で未だ考えこむ猫族を見やる。
「悪いが俺の勝ちみたいだなァ?」
勝利を確信し笑みを漏らすオークを一瞥することなく、猫族の給仕ニアはゆっくりと自らの答えを口にした。
「よん?」
不安に押しつぶされそうになりながらも、ようやく導き出すことが出来た答え。
(((……!!)))
見物客たちには既に勝者が分かっていた、だがダメだ……まだわくな……こらえるんだ……。
内から湧き上がるものを押さえつけて審判の判定を待つ。 (8/10)
- 11 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/02/03(水) 15:27:21.479 ID:eouxXuEZ0.net
- 「……正解は4です。」
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
「やりやがったぞ!ついにやりやがったんだ!」
「最後の最後に魅せてくれるやんけ!!」
「ボクはニアさんなら出来るって、きっと答えてくれるって信じてましたから!!」
「モブくん……みんな……しんじてくれて、ありがとニャ。」
ニアの作る心からの笑顔に、そこに居た誰もが心を奪われた。
「ふぅ……どうやら決着がついたみたいですね。さぁニア、主がお怒りになる前にお仕事に戻りますよ。」
「おいおいおい、俺が負けた……だと……?なんじゃこりゃあああああああ!!」
目の前の状況を受け入れられないオークは悲痛な叫び声をあげてうずくまる。 (9/10)
- 12 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/02/03(水) 15:28:46.732 ID:eouxXuEZ0.net
- ……と、そこへ優しく肩を叩く者が現れた。
「話は済んだようだねぇ?そんじゃお代を払って貰おうか。
きっちり耳を揃えて750円丁度さね、ツケはきかないよ。
と言ってもどうせアンタ、財布の中身見たって数えられないだろ?ほら、貸してみな。」
酒場の主が纏うとてつもない雰囲気に氣圧されたオークは何も言えぬまま財布を差し出した。
「ひい……ふう……みい……、ちょっとアンタ、これじゃ足りないじゃないのさ。
一体どう落とし前つけてくれんだいッ!?」
「うぇおあああああ!?皿洗いでも、荷物運びでも、何でもしますんでご勘弁をおおおおおお!!」
ご自慢の緑の肌を青く染め上げたオークは、怯える猫のように身体を丸めてその場にひれ伏すのだった。
お楽しみの時間も終わり、店に戻って飲み直す酔っぱらいたち
彼らの笑い声とともに今日も平和な一日が終わろうとしている。
「あー、もし、そこのエルフのお嬢さん?よければ私と一杯やりませんかッ!」
「ごめんなさい、あなた生理的に無理です。」
おわり (10/10)
- 13 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/02/03(水) 15:32:59.651 ID:eouxXuEZ0.net
- 『登場人物』
・若いオークの客
・猫族の給仕ニア
・エルフの給仕
・酒場の主(人間女)
・ニアのファンボーイ
・その他酔っぱらい
気づいた人もいるかもしれないが足し算の所はFF11の
「モンクは馬鹿じゃない」ってネタをアレンジしたものでした
4時ぐらいまでは見てるんで何か質問あれば答えます
無さそうならそのままスレ落としちまってください
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