2ちゃんねる ■掲示板に戻る■ 全部 1- 最新50    

■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています

( ^ω^)赤い石が紡いだ物語のようです

1 : ◆noe7UUkd3A :2016/02/12(金) 21:16:40.056 ID:lEFPK91q0.net
  
   
 2016年2月、世界を震撼させる出来事が起こった。

 アインシュタインが終生、実現不可能な課題であった「重力波」が、遂に観測されたのだ。


 物質は動いたときに、周囲の時間・空間を揺らし、歪ませる。

 この揺れや歪みの動きが、波のように伝わっていく現象が「重力波」である。

 時空間が波のように伝わる現象から、「時空のさざ波」とも呼ばれていた。


 「重力波」は、人が腕を動かしたときにも発生するとみられているが

 発生する波が小さすぎる為に、腕の動きによる観測は困難、検出されないのである。

 この「重力波」が検出、観測されたことで、何が起こるのか。


 宇宙空間での天体の動きが、地球上で観測出来る。

 得体の知れない「ブラックホール」が、宇宙のあらゆる星々の消滅と再生が

 地球上から「重力波」を通して、見られるかもしれないのだ。


 地球上の人々が宇宙を「見る」「聞く」ことが出来る時代は、もうそこまで迫っている。
 
   

2 : ◆noe7UUkd3A :2016/02/12(金) 21:17:30.016 ID:lEFPK91q0.net
 
 
※あるホラーゲームを元に脚色したもの。
→結構聞かれたので元ネタ追記 https://www.youtube.com/watch?v=gLCVv31GJFU

※創作板に投下した作品の続編(元ネタの作品では続々編にあたる)
 但し一部の人名以外は設定が全く別なパラレルストーリー。

※これからプレイする人はネタバレ注意。
 原作重視の傾向にあるため、一部、原文をそのまま抜粋。
   
 

3 : ◆noe7UUkd3A :2016/02/12(金) 21:17:46.766 ID:lEFPK91q0.net
 
前スレ→http://vipper.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1455109347/

その1→http://vipper.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1450875608/

その2→http://vipper.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1452423497/

その3→http://vipper.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1454138696/

その4→http://vipper.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1454335768/
 
その5→http://vipper.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1454415434/
  
その6→http://vipper.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1454825966/   
 
その7→http://vipper.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1455011560/
 

4 : ◆noe7UUkd3A :2016/02/12(金) 21:18:37.908 ID:lEFPK91q0.net
 
前回のあらすじ

 缶を開けられず苦悩する( ・∀・)の為、缶切りやそれに代わる物を探す( ^ω^)
 
 食料に関係しているのではないかと、『養殖管理室』と『水産実験場』を回る( ^ω^)

 霧を抜け、神父の猛攻からどうにか逃れた彼は、ある亡霊に出会う

 それは旅客機「ニュー速VIP」で、副機長を務めていた( -_-)だった…
 
  

5 : ◆noe7UUkd3A :2016/02/12(金) 21:19:19.458 ID:lEFPK91q0.net
 
((; _ )))「お守り…どこへ行ったんだ…神様…」

 震える青年の口から発された、「お守り」という言葉に、ブーンは反応した。

( ^ω^)(お守り…って、確かこの人が貰ってた…)

 <エネルギー区>のモニター室で見た、機長と青年の映像を思い出す。
今と同様、怖気づいて動けない青年に、機長が渡していた「お守り」…あれのことではないか。
映像の中で、受け取った青年は随分、安心した様子だった。

 彼の「お守り」は今、何処にあるのだろう――?

 今まで見てきたものに、覚えがないか記憶を巡らせる。
ところがそのとき、少しでも安心させてやりたいと思うブーンの心に、罅が入った。

((; _ )))「機長…やっぱり無理です…」
 
 青年の、今にも泣き出しそうな声が、語った。
 
 

6 : ◆noe7UUkd3A :2016/02/12(金) 21:19:38.602 ID:lEFPK91q0.net
 

((; _ )))「機長が一緒に来てくれないから…
       だから僕は…逃げようって…」

((; _ )))「早く来てください…このままじゃ…殺される…」

((; _ )))「事故なんて…僕らの責任じゃない…」
 
――そんなことを言われてしまったら、僕達乗客はどうしろと言うのだ。

 わなわなと震えている青年の言葉に、ブーンはただ俯くしかなかった。

 乗員の責任でないことなど、乗客には知りようがない。
そこで何が起きていたのか、知っているのは彼ら乗員・操縦士のみ。
何故、デブリと衝突したのか…衝突は、避けられたのではないのか…
不時着に失敗したのは、操縦の問題ではないのか…。

 左側面が大破した状態の旅客機は、今も尚、浄水処理施設に突っ込んだまま放置されている。
離陸前の整備不良かもしれず…疑いたくなどないが、機長や乗員に問題があるのかもしれなかった。
然るべき機関で調査すれば、分かることだと言うのに。

 それでも、 
  

7 : ◆noe7UUkd3A :2016/02/12(金) 21:20:29.064 ID:lEFPK91q0.net
立てておいて早々すまぬ、風呂落ち

8 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/02/12(金) 21:20:38.851 ID:U3PLwFHN0.net
支援

9 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/02/12(金) 21:26:24.346 ID:U3PLwFHN0.net
保守

10 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/02/12(金) 21:30:51.943 ID:U3PLwFHN0.net


11 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/02/12(金) 21:35:37.556 ID:U3PLwFHN0.net


12 : ◆noe7UUkd3A :2016/02/12(金) 21:37:00.904 ID:lEFPK91q0.net
落ちてるかと思ったら奇跡が起きていた…

全裸で投下するわ

13 : ◆noe7UUkd3A :2016/02/12(金) 21:37:52.356 ID:lEFPK91q0.net
  
  
((; _ )))「早く逃げないと…あの霧が…あの霧が…」

((; _ )))「あの霧は一体どこから…死んだ人間が…動き回るなんて…そんなこと…」

((; _ )))「お守り…どこへ行ったんだ…神様…」

 ブーンには、彼を責めることが出来なかった。
彼もまた、事故の被害者…墜落先の施設で死んでしまった、亡霊なのだ。


(  ω )

(^ω^ )


 …俯いていたブーンは、無言で背を向ける。
下りてきた梯子に手をかけて、水槽の外へ上っていくと
自動ドアを潜り抜けて、階段を下りた。

 向かう先は、水が溜まった「放流水槽」の中。
ブーンの記憶が正しければ、彼の探している「お守り」は、この中にあるはずだ。
 

14 : ◆noe7UUkd3A :2016/02/12(金) 21:39:07.676 ID:lEFPK91q0.net
 
 「放流水槽」は、事故防止の為か、ロックがかかっていた。
傍らにあるスイッチは、足場を浮上させる為のものだろう。
ボタンを押すと、水中から何かが引き上げられる音がした。

 …しばらく経つと、自動でドアが開いた。
予想通り、足場となる金網が、目前に姿を現している。


 一歩、踏み出したブーンは、水槽の中を見渡した。
歩く都度、カンカンと、金属の鳴り響く音が聞こえる。
 
 

15 : ◆noe7UUkd3A :2016/02/12(金) 21:40:42.309 ID:lEFPK91q0.net
 
  
( ^ω^)"

                      ‡+


 目的の「お守り」は、正面入って左側の隅に落ちていた。
網目に挟まっているそれは、奇跡的に水底へ沈まず生きている。

 機長が父から譲り受けたという「お守り」は、数多の古い傷があった。
愛用されていたのだと、他人の目にも分かる。
これを手渡された青年も、気弱と言えどこれがあったから頑張れたのだろう。

 お守りを手に、ブーンはもう一度、「養殖水槽」へ向かった。
暗い空間の中、導かれるように移動した光が、奈落の底で震える青年を照らし出す。


        \
(( _ ;)))
        /
          
(; _ )))そ
  
  

16 : ◆noe7UUkd3A :2016/02/12(金) 21:41:46.041 ID:lEFPK91q0.net
  
 立ち止まった光に、漸く気付いた青年が、震えを止めた。
引き攣った、悲鳴のような…嗚咽のような声に、「光」は何も言わない。
やがて、

(;-_-)

 …青年が恐怖に強張らせた顔をあげたとき、「光」は屈んだ。
力なく座り込んでいた青年に、「光」は握った手を差し出した。
差し出された手は、何事かと困惑する青年の前で、ゆっくり開かれる。

( ^ω^)つ‡「…あなたが落としたお守りは、これですおね」

(;-_-)そ「あっ…ああ…!」

 掌にある物を見て、青年は声を上げた。
ここへ来る前に、機長から渡された「お守り」…消えてしまった彼の支えが、そこにあった。
 

17 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/02/12(金) 21:43:07.345 ID:f1xtNFnyd.net
支援

18 : ◆noe7UUkd3A :2016/02/12(金) 21:46:35.405 ID:lEFPK91q0.net
 
( -_-)「これは…機長のお守り…ああ…!」

 震える右手で、差し出された掌の「お守り」を手にする。

( -_-)「ああ…あぁ…」
 つ‡と

 しっかりと握り締め、手にした彼は、歓喜に声を打ち震わせた。
出てこない言葉のかわりに、何度も声を上げては、手にしたお守りを抱えている。
褪せつつある金の外郭を、内側にはめ込まれた菱形の宝石を、指で何度も何度も撫でた。


( -_-)「機長…ああ…神様…!」
 つ‡と

(*-_-)「大丈夫だ…これがあれば…もう…」
 つ‡と

(  _ )「大丈夫だ……」
 つ‡と

(  _ ..:.;…( _::.. ;::: .:.;:
   
 

19 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/02/12(金) 21:50:04.727 ID:U3PLwFHN0.net
紫煙

20 : ◆noe7UUkd3A :2016/02/12(金) 21:50:36.900 ID:lEFPK91q0.net
 
 
(  ω )(これで…)

( ^ω^)(これで、良いんだお…)

 そう、あれは事故だ…誰も悪くは無い。
墜落事故への重責にも勝る恐怖が、施設に待ち受けていたなどと
彼らだって信じられなかったはずだ。
加害者などいない、事故に遭った全ての人間が被害者だ…。


( ^ω^)「お?」   。

 立ち上がった拍子に、何かが転がっているのを見つける。
近付いて拾ってみたブーンは、何処かで見たことがある形状に、首を傾げて考える。

( ^ω^)「…あ」

 思い当たって、試しに包装紙を少しだけ剥がしてみる。

(;^ω^)(…ちょっとだけ)

 ヘルメットを外して、食べようとはせず、匂いを嗅いでみた。
ミルクの混じった、甘いカカオの香りが鼻腔に漂う。
茶色の見た目でも判別出来る…コインチョコだ。
 

21 : ◆noe7UUkd3A :2016/02/12(金) 21:51:50.733 ID:lEFPK91q0.net
  
(;^ω^)(…何かの役に、立つかお?)

 一瞬、食料を求める男の姿が浮かんだが、彼が求めているのはもっと栄養価の高い食べ物だ。
チョコレートのような菓子では、あまり期待出来そうにない…。

 それでも、亡霊が遺していった物だ、何かこの先で使うことがあるはずだ。
もしかしたら自分も、いざというとき必要になるかもしれない。
拾ったチョコをポケットにしまって、ヘルメットを再び被ると、ブーンは立ち上がった。

 次にブーンが目指したのは、『重力トレーニング室』だ。
『水産実験場』と『養殖管理室』には、もうこれ以上の収穫は望めそうにない。
かと言って、手ぶらのまま『食料庫』に戻ったところで、進展することは無い。
となると、カードキーで行ける場所はあと一つ…自然と絞られてくるのだ。

 研究区前通路を抜けて、エレベーターホールに戻ってくる。
通れるかと期待して、ちらりと見たエレベーターのすぐ傍は…
変わらず枯れ木が邪魔をして、通れない。

 もしかしたら、食料庫にいる彼が、彼なりに妻を守っているのかもしれない。
そう思うと、未だ何もしてやれない自分がもどかしい…。
申し訳なさに居た堪れなくなり、ブーンは俯き加減に、目を逸らして進んだ。
 

22 : ◆noe7UUkd3A :2016/02/12(金) 21:52:35.361 ID:lEFPK91q0.net
 
 …『重力トレーニング室』前の通路に入り、二、三歩進んだところで、ブーンは違和感を覚えた。
これまで感じてきた、亡霊に出会ったときの奇妙な圧迫感だ…。
そしてそれは、西側『重力トレーニング室』から感じる。

 ブーンが近付くたびに、その圧迫感は一定の部分まで大きくなった。

(;^ω^)

 …やはり、そこに「いる」ようだ。
亡霊の声と思しき、間抜けた欠伸のような声が聞こえてくる。
ブーンにとって恐ろしいのは、その存在が「見えない」ことだ。
霧の影響で悪霊と化していたら、こんなところでは切り抜けられる術がない。

( ^ω^)「…! 窓があるお…」

 …トレーニング室を見つつ、横歩きで慎重に進んでいたブーンは
『重力制御室』の手前付近で気が付いた。
中を一望できるわけではないが、少しだけなら覗けそうな小窓が設置されている。
 

23 : ◆noe7UUkd3A :2016/02/12(金) 21:54:35.506 ID:lEFPK91q0.net
 
 小窓から眺めて見て、ブーンは「あっ」と、驚いて声をあげた。
眺めた室内は、全てが無重力で浮いている…その中に、ブーンがこれまでずっと
探し求めていた「缶オープナー」もあったのだ。

( ^ω^)「こんなところにあったなんて…」

 食料に関係のない場所と言えど、人の手を介す物だ。
誰かが抱えていても、不思議ではない…及ばなかった考えに、首を振る。
さて、問題はどうやって入るかだが、それは『重力制御室』で確認した方が早い。

 映像で見たとき、一匹の猫が通りがかって、システムを起動させてしまっていた。
室内が無重力空間なのは、その為である…亡霊の為にも、それを解除しなければ。
 

24 : ◆noe7UUkd3A :2016/02/12(金) 21:56:20.230 ID:lEFPK91q0.net
 
 制御室に入ったブーンは、トレーニングシステムの操作盤に直進し…床の首輪を拾った。
首輪は高級そうな革製のもので、銀色の、珍しい鍵状の装飾がついている。
飼い主が何処の誰なのか知りたかったが、首輪には「Roma」と書いてあるだけだった。

( ^ω^)「まあいいお」

 大して期待しているものでもないと、一応は拾って取っておく。
この先、猫の飼い主に遭遇しないとも言えないからだ。

 首輪を拾って、操作盤の前に立った。
巨大なモニターには、トレーニング室の惨状が映っている。


(;^ω^)「ちょ…」

 あまりの惨状に、ブーンは言葉に詰まったまま、何も言えなくなった。
無重力となったその空間には、あらゆる「物」が浮いている。
ポテト●ップスの袋、何かの空の容器、未開封のチョコレート…
ありとあらゆる食品が映る中には、窓から見えた缶オープナーも勿論、あった。

 更に、ブーンを脱力させたのは、
 

25 : ◆noe7UUkd3A :2016/02/12(金) 21:57:39.343 ID:lEFPK91q0.net
 
  
 
               「ふぁああ…ぁああ…」
                         
             (  ^^ω)      
    〜Θ      (__つ οと)
     〜〜゚     (      )     ∃〜〜
              ( ⌒ ヽ⌒ヽ    ‿
   〜〜〜O      〜ヽθ〜 θ
             ‿ 
〜〜〜Ц          ‿        〜〜〜〜
   | ‿                
   |        ‿
   |____________________
 /


 …膨らませた風船のように、ふよふよと浮いている、肥満体の男。
無重力となり、亡霊となって尚、彼は菓子を手放さない。
欠伸のような声を上げていたのは、おそらく彼だろう。
 

26 : ◆noe7UUkd3A :2016/02/12(金) 21:58:37.522 ID:lEFPK91q0.net
  
  
 
( ^ω^)


( ^ω^)つ"∩ プッピコーン


 無言のまま、ブーンは操作盤を弄った。
  

27 : ◆noe7UUkd3A :2016/02/12(金) 21:58:57.610 ID:lEFPK91q0.net
   
   
STOP:トレーニングシステムを、停止します。
  
  


               ‖ドスンッ
              ‖
             
 |           ((; ^^ω)そ 『ホマアアアアアアア』      
 |           (__つ οと)
 |_______ (      )________
/   ゚   Θ O    ヽθ ヽθ     ∃




(; ^^ω)『ホマホマ???なんだぁあ?????』

 …無重力状態が解けて、全ての物質が地に落ちた。
勢いよく床に叩きつけられたからか、男は呆けた声で辺りを見渡している。
  
   

28 : ◆noe7UUkd3A :2016/02/12(金) 22:00:33.334 ID:lEFPK91q0.net
  
 
( ^ω^)


( ^ω^)つ"∩ プッピコーン


START:トレーニングシステムを、起動します。


 
               『ふぉおぉまぁあぁあぁ…』
                         
             (; ^^ω)そ      
    〜Θ      (__つ οと)
     〜〜゚     (      )     ∃〜〜
              ( ⌒ ヽ⌒ヽ    ‿
   〜〜〜O      〜ヽθ〜 θ
             ‿ 
〜〜〜Ц          ‿        〜〜〜〜
   | ‿                
   |        ‿
   |____________________
 /


 …再びスイッチを入れたブーンの前で、風船が宙に浮かんだ。


( ^ω^)

(*^ω^)


 …ブーンは、このシステムの開発者に、心の中で「GJ」と称賛を送る。
トレーニングシステムの中にいる男は、ブーンの存在など知らずにふよふよと浮いている…。
 

29 : ◆noe7UUkd3A :2016/02/12(金) 22:02:12.771 ID:lEFPK91q0.net
 
(*^ω^)つ"∩ プッピコーン


STOP:トレーニングシステムを、停止します。


  


               ‖ドスンッ
              ‖
             
 |           ((; ^^ω)そ 『ホマアアアアアアア』      
 |           (__つ οと)
 |_______ (      )________
/   ゚   Θ O    ヽθ ヽθ     ∃




(; ^^ω)『ホマ???なんだぁあ?????』


(*^ω^)つ"∩ プッピコーン


START:トレーニングシステムを、起動します。



 
               『ふおぉおぉぉまぁあぁあぁ…』
                         
             (; ^^ω)そ      
    〜Θ      (__つ οと)
     〜〜゚     (      )     ∃〜〜
              ( ⌒ ヽ⌒ヽ    ‿
   〜〜〜O      〜ヽθ〜 θ
             ‿ 
〜〜〜Ц          ‿        〜〜〜〜
   | ‿                
   |        ‿
   |____________________
 /

   
 

30 : ◆noe7UUkd3A :2016/02/12(金) 22:02:50.159 ID:lEFPK91q0.net
  
 
(*^ω^)


( ^ω^)


( ^ω^)「正直すまんかった」


( ^ω^)つ"∩プッピコーン


STOP:トレーニングシステムを、停止します。

  


               ‖ドスンッ
              ‖
             
 |           ((; ^^ω)そ 『ホマアアアアアアア』      
 |           (__つ οと)
 |_______ (      )________
/   ゚   Θ O    ヽθ ヽθ     ∃

  
 

31 : ◆noe7UUkd3A :2016/02/12(金) 22:03:42.023 ID:lEFPK91q0.net
 
 
(;^ω^)「いかん、つい魔が差してしまったお…」

 …適当なところで、トレーニングシステムを停止させる。
ヘルメットの側面を軽く叩きながら、ブーンはにやけた顔を戻して、背を向けた。

 …どの場所で、どんなことをしていようと、彼もまた世に未練を残した亡霊なのだ。
願いを聞き入れて、あるべき場所で眠らせなければ。

 制御室を出ると、無重力状態が解けたからか、トレーニング室のドアロックが解除されていた。
センサーが反応するところまで来ると、ドアが開く。

 室内へ入ったブーンはその瞬間、思わず一歩、身を引いた。

(;^ω^)(…お菓子だらけだお…)

 制御室のモニターで見た通り、部屋の中のいたるところに、空の容器や菓子の残骸が落ちている。
足の踏み場は…あるものの、ヘルメットはとても外せないような環境だ。
外した瞬間、あらゆる匂いが鼻を刺激するだろう…想像するだけで、ブーンは
胃の辺りが、ぐっと締め付けられるのを感じた。
 

32 : ◆noe7UUkd3A :2016/02/12(金) 22:08:11.273 ID:lEFPK91q0.net
 
 …空間には、くちゃくちゃと何かを咀嚼する音が響き渡っている。


( ^^ω)「ハムッハフハフッハフッ」

( ^ω^)「きめえ」

( ^^ω)=3
 
( ^^ω)「うめえ…うめえホマ…」

( ^^ω)「ハムッハフハフッハフッ」 

(;^ω^)


 ブーンがぼそりと呟いたのにも構わず、彼はひたすら菓子を食べ続けている。
 

33 : ◆noe7UUkd3A :2016/02/12(金) 22:11:55.438 ID:lEFPK91q0.net
 
( ^^ω)「ハムッハフハフッハフッ」

(;^ω^)(埒が明かないお…)

( ^ω^)「あのう」

( ^^ω)「ホマ?」

( ^^ω)「なんだお前、あっちいけホマ」

( ^ω^)

( ^ω^)(落ち着け…落ち着け…I am cool guy…)

 …人を見下すような視線、言い方に、苛立ちが募って行くのを抑えつつ
ブーンは、あくまでも低姿勢で話しかけた。
 

( ^ω^)「えっと…旅客機の人ですおね?」

( ^^ω)「一緒に逃げてきたホマ、答えるまでもないホマ」

( ^ω^)

( ^ω^)(COOLCOOLCOOLCOOLCOOL)

34 : ◆noe7UUkd3A :2016/02/12(金) 22:18:11.112 ID:lEFPK91q0.net
 
( ^^ω)「あ、わかったホマ」

( ^ω^)「お?」

( ^^ω)「お前、食べ物が欲しいホマ?」

(;^ω^)「いや…別に…」

( ^^ω)「ふひひっwwあげないホマwww」

( ^^ω)「全部僕のモノホマwwwww」

( ^ω^)

( ^ω^)(キレたい…)


 いい加減、殴りたくなったそのやりとりに辟易しつつ、ブーンは首を横に振った。


(;^ω^)「おっおっ…違うんですお…」

(;^ω^)「僕は人を探しているんですお」

( ^^ω)「なんだ…人探しホマ?食べ物が無いとあげないホマ」

( ^ω^)

(;^ω^)「そう言わないで、教えてほしいですお…」

 心の中で煮えていく怒りを、あくまで表に出さないようにする。
相手は同じ旅客機の人間…少年エクストが言っていた、一緒に逃げてきた乗客。
そうと分かれば、この人物がツンの手がかりを握っているかもしれないのだ…。
 

35 : ◆noe7UUkd3A :2016/02/12(金) 22:24:53.247 ID:lEFPK91q0.net
 
( ^^ω)「…ホマ?」

(;^ω^)「?」

 話の途中で、男は唐突にブーンの顔を覗き込んだ。
菓子を片手に迫る男から身を引きつつ、様子を窺っていると

( ^^ω)「お前…どこかで見たことあるホマ」

( ^^ω)「…旅客機の中にいたホマ…女の人と一緒にいたホマ…」

( ^^ω)「ええと…えーっと…」

( ^^ω)「そうだホマ、ブーンって名前だホマ」

( ^^ω)「ブーン・スギウラだホマ…一緒にいた女の人が、そう呼んでたホマ…」

 と、思い出す仕草をしつつ、男はブーンの名前を言い当てた。
ならばこの男は、ツンのことも知っているかもしれない…。


( ^ω^)「そうですお、僕がブーンですお」


 何とかツンの足取りが掴めることを願って、ブーンはその話に乗った。
 

36 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/02/12(金) 22:33:13.943 ID:U3PLwFHN0.net


37 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/02/12(金) 22:38:28.261 ID:U3PLwFHN0.net
ほしゅ

38 : ◆noe7UUkd3A :2016/02/12(金) 22:39:15.381 ID:lEFPK91q0.net
 
( ^^ω)「そうだホマ…そうだろうホマ」

( ^^ω)「僕は物覚えがいいホマ、パパにもよくそう言われるホマ」

(;^ω^)「パ、パパ…?」

( ^^ω)「そうだホマ、僕のパパは『ラウンジ』の社長ホマ」

( ^ω^)「…!」

 男の言葉で、ブーンは思い出した。
『ラウンジ』と言えば、有名な食品関連会社である。
食品と言っても取り扱いジャンルは様々で、例えばこのフロアに散乱している菓子から
ここ月面施設に置いてあるような、宇宙用の加工食品まで手掛けている。
この男、御曹司というわけだ。

( ^ω^)「そうだったんですおね」

( ^^ω)「あ、でも…その手には乗らないホマ」

( ^^ω)「僕は頭が良いんだホマ、お前のようなペテン師には引っかからないホマ」

( ^ω^)

 …ぶちぶちと、何かが切れていく音が聞こえた。

39 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/02/12(金) 22:44:54.578 ID:U3PLwFHN0.net
ほす

40 : ◆noe7UUkd3A :2016/02/12(金) 22:48:40.094 ID:lEFPK91q0.net
 だがツンの為だ、彼女の情報を手に入れるまで、我慢しなくては…。
襟首を掴みたくなる気持ちを、どうにか堪えたブーンは

(;´ω`)「おー、違うんですお…僕はただ、婚約者を探しているだけで…」

( ^^ω)「ホマ? フィアンセ?」

( ^^ω)「そうだホマ、一緒だった女の人…ツンだったホマ」

(#^ω^)(貴様如きがツンを呼び捨てにするなお)

( ^^ω)「そうだホマそうだホマ…旅客機から出てくるときにちらっと見かけたホマ…」

 ここに来て漸く、ツンの足取りが掴めた…。
男の態度は心底、腹立たしいが、入手した情報に比べればどうと言うことは無い。

 逸る気持ちを抑えて、ブーンは訪ねた。

( ^ω^)「そ、それで…その人、何処に行ったか分かりますかお?」

( ^^ω)「ホマ…そのあと…あの、変な奴が追っかけてきて…」

 当時の光景を思い出しているようだが、男はそこで言葉を切った。
何かと、苛立ちを抑えながら見守るブーンに、男は言った。

41 : ◆noe7UUkd3A :2016/02/12(金) 22:49:44.847 ID:lEFPK91q0.net
あ、間違えた…

○尋ねた で

42 : ◆noe7UUkd3A :2016/02/12(金) 22:54:29.183 ID:lEFPK91q0.net
 
( ^^ω)「そうだホマ…お前、チョコ見つけても食べるなホマ」

(;^ω^)「え?」


 突拍子も無く出てきた言葉に、間抜けた声を上げるブーンに、男は更に続ける。


( ^^ω)「変な奴らから逃げてくるときに、落としちゃったんだホマ…」

(;^ω^)「お…食べませんお?」

( ^^ω)「…」

(;^ω^)
 
 …続く沈黙に、ブーンは嫌な予感がした。
続きを促すか…問うか問うまいか、暫く悩んでいる間に、嫌な予感は的中する。
 

43 : ◆noe7UUkd3A :2016/02/12(金) 23:00:18.820 ID:lEFPK91q0.net
  
( ^^ω)「ホマ…」

( ^^ω)「僕は今、お腹が空いてたまらないホマ…」

( ^^ω)「情報提供したら…お腹が空いてきたホマ」

( ^ω^)

( ^^ω)

( ^ω^)「あのう」

( ^^ω)「お腹が空いて…力がでないホマ…」

( ^ω^)

( ^^ω)

 …会話はそこで、終了した。
見ると、彼の片手にある菓子は、既に切らしてしまったようだ。
握る物を失くした手は、力なくだらりと垂れている…。
 
 

44 : ◆noe7UUkd3A :2016/02/12(金) 23:08:46.590 ID:lEFPK91q0.net
 
 見つめ合う中で、ブーンはある物を思い出していた。
先程、『養殖水槽』で拾ったばかりのコインチョコだ。
乗員の亡霊が、何処かで拾っていたそのチョコは、間違いなくこの男の物だろう。

( ^ω^)(こんな流れで渡すのは、凄く腹が立つお…)

 内心、悪態を吐きながら、ブーンはごそごそと、ポケットからコインチョコを取り出す。
こんな男に渡すのは悔しいが、全てはツンの為だ…。

( ^ω^)つ。「はい、どうぞですお」

( ^^ω)「ホマ…僕のチョコレートホマ…」

( ^^ω)「お前、いいやつホマ…」

 受け取ったコインチョコを、渡されて早々に開封して食べる。
咀嚼の音が、再び空間内に響き渡った。

( ^^ω)「うめえホマ…」
 
 チョコレートの甘味を、堪能しているのだろう。
一口ずつ齧りつつ、男はブーンに話の続きを聞かせた。
 

45 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/02/12(金) 23:14:00.575 ID:U3PLwFHN0.net


46 : ◆noe7UUkd3A :2016/02/12(金) 23:16:28.448 ID:lEFPK91q0.net
 
( ^^ω)「そういえば…ホマ、お前と一緒だった、あの女のひと…」

( ^^ω)「ツン、だっけ…」

( ^ω^)「そ、そうですお、ツンは僕の婚約者ですお」

 ツンの情報の前には、呼び捨てされていることの腹立たしさも忘れてしまう。
欲しくても中々、手に入らなかった情報なのだ。無理はない。

 焦るブーンの気持ちとは対照的に、男はぽりぽりとチョコを齧る。
3分の1程度まで減ったチョコを、口に含んで

( ^^ω)「ホマ…どっかで見た気がするホマ…どこだっけホマ…」

暢気な調子で、思い出そうとしている。
 
( ^ω^)「なんでもいいですお、何か」

( ^^ω)「うまかったホマ」

( ^ω^)

( ^^ω)「まだあるはずだホマ、探してきてホマ」
 
  

47 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/02/12(金) 23:23:26.360 ID:D0VTnk7V0.net
ダメだこいつ……

48 : ◆noe7UUkd3A :2016/02/12(金) 23:25:24.862 ID:lEFPK91q0.net
 
 …ブーンの、全身の血管が膨張していた。
怒りを通り越した何かを、心が訴えかけている。

 そろそろ、この男を殴っても良いだろうか…?
ブーンの頭の中では既に、男の頬を殴り、襟首を掴む場面が再生されていた。


( ^ω^)「……」

( ^^ω)「どこだっけホマ…チョコがあれば思い出せそうホマ…」

( ^^ω)「ツンが行った場所…ツンの情報…ホマ…僕は記憶力が良いホマ」

(;^ω^)「はいわかりましたお行ってきますお」

 結局、男には「ツンの情報」という弱みを握られてしまった。
遠回しに脅されて歯噛みしつつ、ブーンはさっさと、チョコを探しに外へ出た。
 
 

49 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/02/12(金) 23:32:28.461 ID:U3PLwFHN0.net
保守

50 : ◆noe7UUkd3A :2016/02/12(金) 23:35:37.773 ID:lEFPK91q0.net
 
(#^ω^)(くそお、あのおデブめ…)

 通路に出て、ブーンは殴らなかった自分を思い切り褒めてやる。
ヘルメットを両腕で抱えて、惨めになってきた現状に深い溜息を吐きながら
出入口側東の壁にある、折り畳み式の簡素な椅子を調べた。

 モニターで見た過去の映像に、あの男が逃げていく姿と共に、転がり落ちた「何か」が見えたのだ。
あの男が持っていて、「落とした」と言っているのだから、それは紛れも無くコインチョコのはずだ。

( ^ω^)「何処に落ちたっけ…」

 4列ずつ並ぶ計8つの椅子の下を、ブーンは探していった。
折り畳み式の為、座席部分を畳めばすぐ床が見えてわかる。

( ^ω^)「…お、あったお」

 出入口から2列目の椅子…折り畳んだその下に、コインチョコが見えた。
埃でもつけてやろうかと、大人げないことを考えつつ、屈んでチョコを拾う。

(;^ω^)「さあこれで…ツンの行方が分かるお…」

 また話しかけなければならないことに、内心、とても複雑な思いを抱くが
全てツンの為だと、ブーンは困った顔で、トレーニング室へ戻った。
 

51 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/02/12(金) 23:42:35.329 ID:U3PLwFHN0.net
しえん

52 : ◆noe7UUkd3A :2016/02/12(金) 23:44:04.032 ID:lEFPK91q0.net
 
 
( ^ω^)つ。「ほい、どうぞですお」

( ^^ω)つ。「ホマホマ」
 
 …ブーンが差し出したチョコを、礼も言わずに受け取る。
包装紙を破る音と、咀嚼する音が間もなく響いてきた。

( ^^ω)「どこで見たんだっけホマ…あの女の人…」くちゃくちゃ

( ^^ω)「なんだか…白い服を着てたホマ…」

( ^ω^)「白い服…」

 そう言えば…と、ブーンは回想する。ツンの恰好のことだ。
ミルナも言っていたが、彼女は花嫁衣装…つまり、ウエディングドレスを着て歩いていたらしい。
同乗していたこの男も言うのだから、それは間違いないのだろう。

 しかし、ブーンが見たとき…ツンは、ウエディングドレスなど着ていなかったはずだ。
こんな危険な施設の中、彼女は何故、ウエディングドレスで歩き回っていたのだろうか?
そう考えると、こんな疑問まで出てくる。

――皆が見たと言う彼女は、本当にツンなのだろうか?

(;^ω^)(ツンの存在を疑ってどうすんだお…)

 疑問符をつけてしまったことに後悔し、ブーンは自分の中で否定した。
不可解な点が多い為に、疑ってかかってしまうのだろう。
今は気にしないことにして、男の言葉の続きを待った。
 

53 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/02/12(金) 23:44:21.636 ID:OKk2moG30.net
ビークールしえん

54 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/02/12(金) 23:44:36.205 ID:OKk2moG30.net
ビークールしえん

55 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/02/12(金) 23:45:02.469 ID:iXAMYtNL0.net
エイジャかとおもた

56 : ◆noe7UUkd3A :2016/02/12(金) 23:50:38.216 ID:lEFPK91q0.net
  
 
 …ところが、いつまで経っても会話が進まない。
続きを待って見つめるブーンと、
 
( ^^ω)「どこだっけホマ…」

と、口を動かして首を傾げる男の、朧げな声だけが、延々と繰り返されている。
答える気が無いのか、本当に覚えていないのか、判別がつかない。

 この男の場合は、人より話すのが遅いというわけではないようだが…。
またも嫌な予感に駆られて、ブーンはその場から逃げ出したい気持ちを抑えて


(;^ω^)「えっと…あの…」

( ^^ω)「あと1こあるはずだホマ、早く持ってきてホマ」

( ^^ω)「お腹が空いて…思い出せないホマ…」

( ^ω^)

 …がらがらと、何かが音を立てて崩れて行った。
 

57 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/02/12(金) 23:50:46.133 ID:U3PLwFHN0.net
保守

58 : ◆noe7UUkd3A :2016/02/12(金) 23:58:03.832 ID:lEFPK91q0.net
  
( ^ω^)

( ^^ω)「どこだっけホマ…ツン…」

( ^ω^)

( ^^ω)「白い服着たツン…どこだっけホマ…」

( ^ω^)

( ^^ω)「思い出せそうホマ…でもチョk」

( ^ω^)「チョコの在処なんて思い出せませんお」

( ^^ω)「ホマ…確か…この部屋に、あった気がするホマ…」

( ^^ω)「間違いないホマ、この部屋にあるホマ」

( ^ω^)「自分で探してくださいお」

( ^^ω)「…ツンも自分で探すといいホマ」

( ^ω^)


( ゚ω゚)「おおおおおおぉおおおおおおおお」
 

 …結局、ブーンはチョコを探すことになった。
 

59 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/02/13(土) 00:00:21.027 ID:Ai+0snyL0.net
ワロタ

60 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/02/13(土) 00:06:58.905 ID:XQsvbfTx0.net
支援

61 : ◆noe7UUkd3A :2016/02/13(土) 00:14:01.031 ID:5R478QYJ0.net
 
 …未開封の菓子を含め、ゴミの散乱する室内を、虱潰しに探していく。
二個目のチョコを探し当てたことで、緑色の包装紙が目印だと分かったが
だからと言って、散らかる室内から探す時間は短縮されない。

( ゚ω゚)(ツンきみをあいしてるお)

( ゚ω゚)(べつにあんたに探されたって嬉しくないわよ)

( ゚ω゚)(だいたいあんたが目ぇ覚まさないからこういうことになんのよ)

( ゚ω゚)(あああいまここで君がそう言ってくれたならあああ)

 折れそうになる心を保たせる為、ブーンはツンのことだけを考えた。
愛する婚約者の為になら、犬にだってなってやる…と言う気で、ただ只管にツンだけを考えた。
手あたり次第、ゴミの山をかき分けて探していく。

 しかし、室内の捜索は一番、困難だったようだ。
小さなコインチョコに対して、部屋の面積は広く、なかなか見つからない。

( ゚ω゚)(どこにあるんだおチョコおおお)

( ^^ω)「何してるホマ、はやくするホマ」

( ゚ω゚)「はいはい、いまチョコ探してますお」

 催促する男の言葉に、投げやりな返事をした矢先、ブーンは見つけた。

( ゚ω゚)

 ふくよかな腹を揺らし、退屈そうに欠伸をする男の、尻の下に。

 

62 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/02/13(土) 00:18:09.717 ID:Ai+0snyL0.net
そこかよwwwww

63 : ◆noe7UUkd3A :2016/02/13(土) 00:19:32.885 ID:5R478QYJ0.net
 
 
( ゚ω゚)

( ^ω^)つ"「…お兄さんお兄さん」

( ^^ω)「なんだホマ」

( ^ω^)ア「お兄さんのお尻の下に、欲しがってたアレが」

( ^^ω)「拾ってホマ」

( ^ω^)

( ^^ω)「パパが言ってたホマ」

( ^^ω)「床に落としたら、手を上げて拾ってもらうのがマナーホマ」

( ^ω^)

( ^^ω)
 

 …飼い犬は、逆らえなかったようだ。
仕方なく、尻の下にあるコインチョコを拾って、ブーンは男に渡した。
 
 

64 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/02/13(土) 00:26:27.980 ID:XQsvbfTx0.net
C

65 : ◆noe7UUkd3A :2016/02/13(土) 00:28:52.891 ID:5R478QYJ0.net
 
(#^ω^)つ。「はいどうぞお客様落としましたお」

( ^^ω)つ。「やったホマ」

(#^ω^)ビキビキビキビキ

 …いい加減、まともに会話を続けてほしいものだ。
相変わらず礼を言わないまま、男はチョコを受け取って食べ始めた。

( ^^ω)「ハムッハフハフッハムッ」

( ^^ω)「ハフハフッ」

 咀嚼の音が、暫く響き渡った。
いつまで食べ続けるのか…いい加減、ブーンが待ちかねた頃。


( ^^ω)=3

( ^^ω)「あー、お腹いっぱいホマ…」

( ^ω^)「あのう」

( ^^ω)「喉乾いたホマ…これじゃ眠れないホマ…」

( ^ω^)

( ^^ω)「何か…飲み物無かったっけホマ…」

( ^ω^)

 …もういい加減、ブチ切れてもいいだろうか?
ブーンの堪忍袋の緒は、もうそろそろ切れても良い頃だった。  

66 : ◆noe7UUkd3A :2016/02/13(土) 00:38:51.941 ID:5R478QYJ0.net
 
 無論、ブーンが睨みを利かせたところで、男が動く様子は無い。
凄んで見ても、

 _, ,_
( ^ω^) ( ^^ω)ツーン

 
 …堂々と開き直り、他人の意を介さないオーラを発していた。 
常人とは違うふてぶてしさが、彼にはあった。
悔しいが、これでは何を言っても、自分が不利になるだけだろう…。
 
(;´ω`)(これが…御曹司と言うやつかお…)

 怒りを通り越して、心底、その開き直りが羨ましく思えた。
人を使うことに関してはある意味、父親より上手ではないのか。

 ともかく、ブーンはもう何かを言う気力さえ無くし、肩を落として
やむなく飲料水のある『食料庫』へ、戻ったのだった。
 

67 : ◆noe7UUkd3A :2016/02/13(土) 00:39:51.359 ID:5R478QYJ0.net
 













 
 

68 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/02/13(土) 00:49:13.795 ID:XQsvbfTx0.net
支援

69 : ◆noe7UUkd3A :2016/02/13(土) 00:56:40.008 ID:5R478QYJ0.net
  
 『食料庫』に戻り、ベルトコンベアを動かし、缶を取る過程で
ここで項垂れている男と、トレーニング室の男の格差を見せつけられて
ブーンはつくづく、ここに取り残された男が不憫でならなかった。

( ´ω`)

 彼らを取り巻く環境は、それぞれに違った。
しかし放り込まれた場所は同じなのだ…どこで、その差はついたのだろう。

 罪悪感で胸が苦しくなるも、今してやれることと言えば、何とかして
この男の為にも「缶オープナー」を手に入れることだろう…。

( ^ω^)「もうちょっと待っててくださいお」

 ブーンは首を横に振って、背筋を伸ばすと、缶を片手にトレーニング室へ戻った。
これでもう終わりだ…否、おしまいにしてやると言う勢いで。

( ^ω^)「へいお待ち」

( ^^ω)「ホマ…お前、なかなか気が利いてるホマ」

 おそらく一度目から初めてであろう、称賛の言葉をブーンに送って、男は缶を受け取る。
プルタブを指で引き開けて、ぐいぐいと缶の中を一気に飲み干していく。
 

70 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/02/13(土) 01:10:17.529 ID:Ai+0snyL0.net
私怨

71 : ◆noe7UUkd3A :2016/02/13(土) 01:10:45.608 ID:5R478QYJ0.net
 
( ^^ω)グビグビ

( ^^ω)=3

( ^ω^)

( ^^ω)「あー…おいしかったホマ…」

 一息つくと、男は傍に立って見ているブーンに注目した。
漸く、続きを話す気になったらしい。

( ^^ω)「ああ、そうだホマ…」

 思い出したように、男は言った。

( ^^ω)「お前と一緒だった、あの女の人…」

( ^^ω)「あの…なんだか…ホールみたいなところだホマ…」

( ^^ω)「作業区って書いてあったホマ…そっちの方に行ったんだホマ…」

( ^ω^)「!!」

 作業区と言う言葉を聞いて、ブーンは思い出した。
1階部分の中央ホールに、アトリエを含む行先があったことを。
ブーンが最初に来た<管理区>、電力供給の為の<エネルギー区>と…もう一つが<作業区>だ。

( ^^ω)「そうだホマそうだホマ…」

( ^^ω)「ふぁああ…それじゃ…おやすみ…」


( ^^ω.;:…( ^^ω...:.;::.. ;::: .:.;:
 
 

72 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/02/13(土) 01:17:39.851 ID:XQsvbfTx0.net
支援

73 : ◆noe7UUkd3A :2016/02/13(土) 01:20:27.019 ID:5R478QYJ0.net
 
 …ブーンを手こずらせた、ふくよかな男は、空き缶を片手に
安らかに眠っていった。

( ^ω^)(天国で思い切り食えお)

 天国なら、神様も、もっといい食事を彼に与えてくれることだろう…。
漸く肩の荷が下りたことと、得られた情報で、ブーンの力が抜けていく。


( ^ω^)「お…?」

 男を見送ったブーンの前に、何かが落ちていた。
拾ってみると、青いラインがついているカードキーだった。
白いラインのカードキーと同じ形だ、とするとこれは
セキュリティLv.2のカードキーだろうか。

 作業区へ向かった…と言うツンを追うのに、ちょうど良い収穫だ。

( ^ω^)「後は…」

 忘れてはならない、「缶オープナー」だ。
男が邪魔して取れなかった、自動式の缶切りを手に、ブーンは再び『食料庫』へ向かった。
 

74 : ◆noe7UUkd3A :2016/02/13(土) 01:22:03.050 ID:5R478QYJ0.net
 
 今日の投下はここまでで
支援&保守サンクス

75 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/02/13(土) 01:22:33.869 ID:Kx+0OglQ0.net
お疲れさん!

76 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/02/13(土) 01:23:13.123 ID:Ai+0snyL0.net


77 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/02/13(土) 01:24:08.109 ID:XQsvbfTx0.net
おつおつ!

総レス数 77
40 KB
掲示板に戻る 全部 前100 次100 最新50
read.cgi ver 2014.07.20.01.SC 2014/07/20 D ★