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生きてるって、幸せー! 〜バレンタインの思い出〜 田口ランディ作
- 1 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/02/18(木) 05:41:28.684 ID:bcLTs2O8x.net
- バレンタインデーが近くなると、石井くんのことを思い出す。石井くんは私が十九歳の頃に住んでいたアパートの隣人。年上の大学生。
とても面倒見が良くて優しい人だった。彼は後に高校の英語の先生になった。
当時、私はフリーター。昼も夜も掛け持ちでアルバイトをしながら暮らしていた。学校に行くためにお金を貯めていた私はもう本当に貧乏で、よく石井くんにご飯をご馳走になっていたの。
その頃、私には片思いの青年がいた。とってもかっこよくて、素敵な青年。私はその青年に一目惚れしちゃった。
なんとかバレンタインデーに彼にチョコレートをあげたいと切望していた。いやはや、バレンタインデーというのは、なんて罪深い風習なのかしら。
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- 2 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/02/18(木) 05:42:16.019 ID:bcLTs2O8x.net
- バレンタインデーの当日、私は風邪をひいて高熱で寝込んでいた。うんうん唸っていると、石井くんがお見舞いにやって来た。
私は熱にうかされながらに石井くんに言った。
「お願いだから!私のかわりにチョコレートを買ってきて!夕方、彼がやって来るの!私はどうしてもチョコレートを渡したい!」
石井くんはさ、とっても良い人だから、断れなかったんだね。
だから、「分かった。安心して寝ていてね。」と、すぐさま出かけて行った。
しばらくして、石井くんはしょんぼりしてかえってきた。
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- 3 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/02/18(木) 05:43:44.165 ID:bcLTs2O8x.net
- 「ごめんね。チョコレートの売り場には、ものすごい数の女の子が髪を振り乱してチョコを買っていて、その中にどうしても入って行けなかったんだよ・・・」
石井くんは、スーパーで売っているようなペラペラの味気無い板チョコを買ってきた。私は熱でどうかしていたんだよね、だから
「こんなチョコじゃぁやだぁーーーーーー!」
と、泣いて怒っちゃった。
「ほんとうにゴメンね」と、石井くんはずっと私の氷のうを取り換えてくれた。
あの時はほんとうに、ごめん。
ありがとうね、石井くん。元気でいてください。
(終)
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- 4 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/02/18(木) 05:44:31.803 ID:bcLTs2O8x.net
- ランディ上げ
- 5 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/02/18(木) 05:46:50.857 ID:bcLTs2O8x.net
- ランディズムあげ
- 6 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/02/18(木) 05:53:10.650 ID:bcLTs2O8x.net
- エッセイあげ
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