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雨
- 1 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/10/03(月) 20:21:17.880 ID:pPnluoaA0.net
- 雨
昔から雨がすきだった。
ビニール傘をすべり落ちていく雨粒も、空を映す水溜りも、それに長靴を浸すのも。
青が溶け込んだような空気も、それがシンと冷えるのも。
- 2 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/10/03(月) 20:21:46.729 ID:pPnluoaA0.net
- 雨の日にはきまってビニール傘を差す。
母は盗られるからやめなさいという。
けれどぼくはビニールの透明がすきなのだ。
濡れたフロントガラスのぼやけた視界みたいに、ひらいた傘は天窓になる。
ぼくは歩みがのろくなるのも忘れて、ひたすら上を向いて歩いていく。
パラパラ、パラパラ―――……。
いつの間にか足が止まる。
ときどき、走る電線から、膨れ上がっておおきくなった雨粒が落ちてくる。するとぼくは我に返る。
- 3 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/10/03(月) 20:23:08.402 ID:pPnluoaA0.net
- 歩道が狭いと、向かから歩いてくる人と傘がぶつかりそうになる。
そんなとき、ぼくらは傘を反らしたり、高くあげたりしてスペースを譲り合う。
うまくお互いの呼吸がはまると、ぼくらは友達のように笑い合う。
「いやぁ、降られちゃいましたね」
「まったく」
こんな具合の会話が目でやりとりされる。
そして充足感が尾を引くと、次のお向かいさんと同じことをして傘がぶつかる。
すると傘のフチに溜まっていた雨粒がいっきになだれ落ちてくる。
- 4 :五月 ◆iuORrHojMY :2016/10/03(月) 20:23:35.433 ID:ScAvVxNyr.net
- ss?
- 5 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/10/03(月) 20:25:05.127 ID:pPnluoaA0.net
- 色つきの傘だって、実は結構きらいじゃない。
彼らは色味に乏しい街の景色を華やかにしてくれる。
黄色と赤の傘を差した小学生の女の子の隣を、緑色の傘でサラリーマンが通り抜けていく。
彼らはわずか二秒の間に、きっと人生で一度きりの信号機を組む。
公園の池の銀色が踊り、その下をゆっくりと鯉が泳いでいる。
芝は生き返ったように青く、昨日よりずっときれいだった。
そんな光景に目を洗われ、心を濡らされると、ぼくはいっそ傘を手放したくなる。
この正しさをこの身で感じたいのだ。
- 6 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/10/03(月) 20:36:10.883 ID:2mJVHc8xx.net
- 終わり?
- 7 :五月 ◆iuORrHojMY :2016/10/03(月) 20:38:53.122 ID:ScAvVxNyr.net
- え、続きは?
これ詩かなんかだったの?
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