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キョン「紐神樣って、知ってるか?」ハルヒ「はぁ?」
- 1 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/11/27(日) 21:00:14.354 ID:ux2jZjBg0.net
- 11月も下旬となり、いよいよもって本格的に冬の訪れを実感せざるを得なくなってきた、ある日のこと。
将来的にどんな役に立つかもわからない授業を既に終え、その後の絶対的な確信をもって全く役に立たないと断言できるSOS団の部活動……という名目のただのお茶会を済ませた俺は、寄り道もせずに真っ直ぐと自宅に帰ってきた。
キョン「ただいま」
キョンの妹「あ、キョンくんおかえり〜」
玄関を開けて、「ただいま」と言えば、こうして可愛い妹が出迎えてくれる。
そんな何気ない日常こそ、日に日に下がっていく気温と湿度、それに加え退屈な授業と放課後の怠惰な部活動によってカサカサに乾いた俺の心のささくれを潤す、リップクリームのような役割を果たすのだ。
もちろん、部活動の内容はともかく、朝比奈さんのような女神と共に過ごすだけで、とても癒やされることには間違いない。
だが、残念ながら我が部の構成員は朝比奈さん1人、というわけではないのだ。
人畜無害な長門はともかく、他の2名は存在するだけで俺の心のささくれに対し、塩を塗るような奴らである。
そんなわけで、この自宅こそ、俺にとって唯一無二の安全地帯なのだが……
キョン「……ん?」
ふと、玄関に、呼ばれざる客の靴が、きっちりと揃えて置いてあることに気づいた。
気づいて、しまった。
- 2 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/11/27(日) 21:00:52.928 ID:C/8IPOHbd.net
- ほう
- 3 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/11/27(日) 21:01:09.589 ID:dcBws233d.net
- 国木田だ
- 4 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/11/27(日) 21:03:22.831 ID:ux2jZjBg0.net
- キョン「……まさか」
玄関に置いてあった靴は、サイズ的に女物。
嫌な予感を覚えつつ、自室の扉を開け放った俺の目に飛び込んできたのは、健康的な脚線美を描く、黒いオーバーニーソックスに包まれた御御足。
うつ伏せになって俺のベッドに寝転んだ、その見えそうで見えない絶妙な無防備感に、ついつい根元の方を凝視すると、むっちりとした太ももが見て取れる。正直、噛みつきたい。
これが一体、誰の足かって?
そんなのは決まっている。
ハルヒ「あ、キョン!お邪魔してるわよっ!」
ベッドに寝転んだまま、ちらっとこちらを振り向き、ハルヒはそれだけ告げると、また手元の漫画に没頭し始めた。
そう、こいつは今、俺の部屋で、俺の漫画を読み散らかし、俺のベッドでゴロゴロしている。
つまり、俺の安全地帯は完全に、ハルヒによって占領されていた。
キョン「……何しに来たんだ?」
あまりの惨状に軽い目眩を覚えつつ、辛うじてその質問を口にした。
まずは状況確認だ。こいつが一体どのような意図をもって、俺の主権を侵害しに来たのかを明らかにせねばならない。
それはもちろん、俺の部屋に巣食うこの限りなく面倒な存在を直ちに、そして速やかに排除する為に必要なプロセスだからである。
しかし、そんな俺の心中など歯牙にもかけず、ハルヒはニッコリ笑い……
ハルヒ「遊びに来たのっ!」
何とも反応に困る、無邪気な答えを返したのだった。
- 5 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/11/27(日) 21:04:22.607 ID:3jYCnfhDd.net
- かわいい
支援
- 6 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/11/27(日) 21:06:04.320 ID:ux2jZjBg0.net
- キョン「……そうかい。なら、勝手にしろ」
「遊びに来た」と、言われたら、「帰れ」ともなかなか言えず、仕方なく俺はハルヒの滞在を許可することにした。
苦渋の決断であったが、致し方あるまい。
他にどうしろというのだ。
より良い模範解答があったら、是非とも教えて貰いたいもんだ。
いや、わかってるさ。
本当に帰って欲しかったら、ハルヒが何を言おうとも「帰れ」と言って押し切ってしまえば良かったってことぐらい、誰でもわかる。
それをしなかったということは、すっかりその御御足に魅せられて……ではなく、口ではどうこう言いつつも、なんだかんだで俺は、ハルヒのことを受け入れているということだろう。
こいつの自由奔放さには辟易としているが、こうして遊びに来たと言うからには、それなりにもてなしてやってもいい。
そのくらいは、許容範囲と言える。
しかし、気になるのは寄り道もせずに帰宅した俺より、何故こいつが先に家にたどり着いているのかということだが……
ハルヒ「ん?そんなの走って来たからに決まってるじゃない!びっくりさせようと思って!」
なるほどな。
改めて、このアホの行動を予測することは困難であるということを、俺は思い知らされた。
- 7 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/11/27(日) 21:07:10.802 ID:3soFLj/Z0.net
- キョンが紐野郎になるのか
- 8 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/11/27(日) 21:09:43.278 ID:ux2jZjBg0.net
- キョン「……ほらよ」
そんなこんなで遊びに来たというハルヒに、俺は最低限のもてなしとしてお茶の一つでも出すべきだと、そう思い、冷蔵庫でキンキンに冷えた麦茶を差し出した。
なんでこのクソ寒い季節にそんな物をって?
それはもちろん、突然の来訪者に対する、俺なりの嫌味に他ならない。
しかし、ハルヒは平然とそれを……受け取らなかった。
ハルヒ「ん。そこ、置いといて」
漫画を読むことに集中しているハルヒは、こちらをチラリとも見ずに顎をしゃくり、テーブルの上に置けとジェスチャーする。
そう、この女は、わざわざ学校から走って遊びに来たという癖に、さっきからずっとこんな調子なのだ。
いるよな、こういう奴。
漫画に限らず、本を読んだり、ゲームをしたり、携帯を弄ったり。
いい加減にしろ!と、怒鳴り散らし、漫画を取り上げたくなる衝動に駆られるが、そこはぐっと堪える。
そうさ。
俺は断じて、『構ってちゃん』ではないのだ。
なので、ふんっと鼻を鳴らし、麦茶をテーブルの上に置き、俺も読書をすることにした。
別に拗ねている訳ではない。
たまたま読みかけの本があり、元より帰宅後は続きを読む予定だった。
ちなみに、その本は漫画などではなく、文庫本である。
いや、文庫本と言っても、長門の読むようなお堅いそれではなく、所謂ライトノベルと呼ばれる代物だ。
俺がラノベを読むのが意外と思われるかも知れないが、一応それなりの理由があったりする。
このラノベは、様々な『神』に翻弄される少年の物語であり、俺はそんな物語を読むことで、身近な『神』への対応の仕方を学ぼうとしていたのだった。
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