わたし達は起き上がり、うしろを振り向く。ひしゃげた車が壁につっこんで、煙を上げている…。

以下、＼(^o^)／でVIPがお送りします

…ふと気付くと、車と壁の間に、なにか変な形の固まりが、押し付けられたみたいにつぶれてる。
その変な固まりを中心に、壁にびっしゃりと、赤い液体が飛び散ってる。
まるで、大きな赤い花柄みたいに。

……耳につき刺さる高い音が、カレンの悲鳴だって気付くまで、ずいぶん時間がかかった。
カレンは、なんで叫んでるんだろ…？
わたしは、ぼんやりと壁を見詰めていた。
変な固まりは壁でつぶれたトマトみたいに、微動だにしない。
あれがもし生き物なら、間違いなく死んでる。

…あれがもし、人間だとしたら、顔を壁に向けて、ちょうど背中の当たりで車に挟まれている形になる。
カレンはその変な固まりに駆けよって、車を必死にどかそうとしている。
…馬鹿ですねぇ…。いくらカレンが力持ちでも、車は動かせませんよ…。
ああ、カレン、だめですよ。手が汚れるからその変な固まりに触っちゃ…。
車と壁の間から、カレンが変な固まりを引っ張り出そうとするたび、それはぶらぶらと力なく揺れる。
カレンの制服は真っ赤に染まってる。…あーあ、後で洗うの、大変ですよ…。アリスに手伝ってもらわなきゃ…。
そう言えばアリスは、どこに行ったんでしょう？
アリスは、ほら、もうすぐ車の下の方から、『いたーい…』なんて言いながら出てくるに決まってます…。
あはは、カレン、まわりの大人に叱られてます。
…あのオトナ達がいなくなったら、きっと、アリスは車の下あたりから、『いたーい…』なんて、笑いながら出てくる。
そうに決まってる。そうに決まってる。絶対に。絶対に絶対に…。

気がついたら、わたしも、変な固まりに駆け寄っていた。鉄と、生肉の匂い。
ねえ、アリス。家に帰るから、そこから出て来てよ。
……うちに帰って、ごはん作って、ずっと、楽しく幸せに暮らすんだからさ。
３人でずっと仲良く。
ねえ。動いてよ、ねえ、アリス…。
ねえ………………。