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俺「ラノベとか俺でも書けそうじゃんwww書いてみよwww」

1 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/02/09(木) 19:27:14.778 ID:DWzcfmtu0.net
パソコンに向かって、早一時間が経とうとしていた。
この間に俺の書いた文書はゼロ。ラノベなんぞ簡単なもんだろうと勇んでいた俺の士気は底をつこうとしていた。
マグカップの中で冷えたコーヒーが何度目かの溜息を吸い込み、濁りを深くする。二月だというのに外は快晴で、澄み渡った青空からこぼれる暖かな熱線が、ガラス窓を通じて俺に向かい差す。

「もう諦めてもいいよ」

二月の空はそう言っているかの様だった。

2 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/02/09(木) 19:28:05.738 ID:mRtLFuPBM.net
他人の実話を元にしたらいいぞ

3 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/02/09(木) 19:28:18.643 ID:Z1VApg0j0.net
>>1
すき

4 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/02/09(木) 19:28:36.169 ID:U2vuST/W0.net
才能を感じる

5 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/02/09(木) 19:29:07.583 ID:FYQ8D98Wa.net
ラノベじゃなくても良いやん

6 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/02/09(木) 19:29:25.601 ID:2FvLe9lE0.net
syamuでも書ける定期

7 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/02/09(木) 19:30:14.993 ID:VQWMXSJw0.net
まずは良いものを書こうという目標を捨てるといいぞ

8 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/02/09(木) 19:30:28.126 ID:6dC70wiT0.net
>>1
いいね

9 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/02/09(木) 19:31:39.873 ID:DWzcfmtu0.net
>>7
その通りですな

10 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/02/09(木) 19:32:10.659 ID:6WuCQaRT0.net
ラノベじゃなくても十分通用するレベル

11 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/02/09(木) 19:34:19.849 ID:pvw481Aj0.net
エロい話を考えると何故か熱い展開になってしまう

12 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/02/09(木) 19:36:28.058 ID:xYcaiHCF0.net
こういう捻くった分を描くと途端に賞賛するゴミども

13 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/02/09(木) 19:51:36.234 ID:042vzCEy0.net
「やめてくれぇ〜〜〜〜っ」
 赤堀は情けない声を出し、自らの排泄物でまみれた床の上を転がるように逃げ惑う。
「名前を、奪ったことは謝る、だから、だから許して、やめてくれ」
 赤堀には見えているのだろう。彼に迫る姿無き『襲撃者』の姿が。
「ロンベルなんだろ? お前はロンベルなんだろ? グラディオラスなんて名前にして悪かった――ひっ!」
 小便を漏らす。小便は川となり、堆積した大便を流す。この部屋には赤堀の小便と大便による無秩序な山河ができていた。
 彼に何が見えているのかは分からない。ただ、この部屋、正確に言えば閉鎖病棟のこの施錠された一室には、赤堀ただ一人しか居ない、それが事実であった。

 彼にその兆候が出始めたのは閉鎖病棟に隔離させられ、12時間目。
 虚ろな目をした赤堀は真っ白な床の上に寝そべり、真っ白な天井をただ見つめ、ただ茫然と「――グラディオラス、ヒースケ――」と呟き始めた。
 医師は統合失調症の症状と判断し、赤堀の尻の穴から試験中の薬物AKHR0721を投薬――そこからだった変化が始まったのは。
 赤堀は見えない何かから逃げ惑い、糞尿をまき散らし、ひたすらグラディオラスとヒースケに助けを求め続けた。
 彼は壊れてしまったのだ。

 状況は次第に悪化していった。彼には見えない物が見え、それから逃げるように部屋の中で狂ったダンスを踊り続ける。
 グラディオラスもヒースケも助けに来ない、ここは彼だけの世界。

14 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/02/09(木) 19:51:47.856 ID:042vzCEy0.net
「将貴は良くなるんでしょうか」
 憔悴しきった父親が医師に問う。
 医師はカルテに目を通し「現代の医学では難しいでしょう」と簡潔に告げた。
 初老を過ぎた父の顔には疲れが見えていた。妻は刑務所へ行き、息子は精神病院に入院。近所から『次はあの男も何かしでかすんじゃないか』そう言われていた。
「将貴を助けてください、将貴を助けてください……」
 それは必死の懇願だった。白衣を精一杯の力で掴み目からこぼれる涙がそれを濡らす。医師は父親を易々と振り払い落ち着いた声で言った。
「我々とて最善を尽くしているんです――彼を助けたい気持ちは同じです」
 そう、医師も焦っていたのである。どれだけの治療行為を行っても改善されないこの状況に。

 その日は父親は赤堀の顔を見ず帰っていった……いや見るのが苦痛だったのだろう。
「なにがグラディオラスだ、なにがヒースケだ、助けてやれよ、助けてやってくれよ」
 一部の病室に設置されている監視カメラの映像越しに赤堀を眺める医師の顔には無力感に近い何かが浮かんでいるようであった。

15 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/02/09(木) 19:51:58.799 ID:042vzCEy0.net
 それから6か月の時が経った。
 赤堀は良くならない。いや、むしろ状況は悪化していた。
 やがて食事を拒むようになって無秩序に暴れるようになった彼は、強制的にベッドに固定され栄養補給や排泄用のチューブに繋がれたままになっていた。
 それでもまだ彼の目にはロンベルの姿が見えていた。いや、彼にこの世界はもう見えていないのだろう、今の彼の目に見える光景はもはや別の世界なのであろう。
 彼は時折、うわ言のようにロンベルやグラディオラス、ヒースケの名前を呟く。
 そしてそれもやがて無くなり、赤堀は死んだような目で天井を見つめ続ける。いや、彼が見つめているのはこの世界なのだろうか。それすらも定かではない。
 医師にとって決断の時は近いようだった。

「……尊厳死?」
 赤堀の父は医師から聞かされたその言葉に軽くはない衝撃を受け次の言葉を待つ。
「彼の状況は極めて特殊なケースです。実を言うと事例が無い、彼は現在終わらない夢を見続けている、そしてそこから醒めない状況にあるのですよ」
「では夢から醒めれば」
 そう、父親は希望を捨てていなかった。だが、医師の返答は残酷だった。
「既に不可能です」
 医師は父親に説明した、既に脳の大部分の機能が停止しつつあること、臓器の殆どがただ生きる為だけに動いていること、このまま人間としてまともに生きる可能性は無いこと。
「彼がこのまま健常者に戻る可能性は0%です。体を動かす脳の機能が一度死んだ以上、仮に回復したとしてももう二度とまともな生活は送れないでしょう」
 そして、医師は告げる、決定的な言葉を。
「これ以上彼が苦しむ前に、医療行為を中止しましょう。重度の精神病患者に尊厳死が適用された例は少なくとも国内ではありませんが、彼の為を思えば大丈夫です」
「将貴……あぁっ、将貴……」
 父親は医師の前で嗚咽を漏らす。
「こればかりは、奥様と相談して決めてください」
 医師の言葉は最後まで残酷だった。

 その日、一人の男が死んだ、姓は赤堀。妻は刑務所に服役中、息子は精神科に入院中。
 帰宅中にF県F市内の駅構内で飛び込み、自殺だった。

16 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/02/09(木) 19:52:13.383 ID:042vzCEy0.net
『父親の死から数日後、赤堀将貴に対する延命行為が中止された』
 これは医師の日記からの引用である。

 医師は『意図的に延命行為を怠り患者を死なせた』とされ、殺人罪が1審、2審にて求刑された。
 しかし、出所した赤堀の母親の「これ以上息子のせいで不幸になる人間を増やしたくない」との意見、人権団体の運動から最高裁の判決にて赤堀の死に比してはごく軽い罪で決着した。

 裁判から数日後。F県F市のとある墓所に母親は訪れていた。
「将貴……お母さんは何もしてやれなかったよ、あんたが苦しんでる時、何もしてやれなかったよ、ごめんね」
 赤堀家之墓。そこに赤堀はいた。一度は一族から墓に入れるのを拒否されたが、母親の懇願もあり、父親と共に同じ墓に入ることができた。
「それじゃ、将貴、お母さんパートがあるから、ヒースケたちと仲良くするんだよ」
 墓前には赤堀が描いたヒースケたちの絵が置かれていた、それは初期症状の頃の赤堀が描いたものである。それはとても巧いとは言えないが、どこか暖かさがあった。
 ヒースケと、グラディオラス、それに並んで自分。この絵は誰かに見せるものではなく彼が夢見た世界そのものだったのかもしれない。
 それは風に舞い、遠く天高く飛び去って消えて行った。まるで今は別の世界に居る赤堀の所へ飛んで行くように。

 完

17 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/02/09(木) 19:52:58.525 ID:nl+2EAX/0.net
なお、その感想から書てみたらアニメ化したフルメタルパニック

18 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/02/09(木) 19:56:37.690 ID:DWzcfmtu0.net
>>17
マジかよ
才能すげえな

19 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/02/09(木) 20:01:37.623 ID:HZQMa4sy0.net
いつものようにモカを一杯頼み、テーブルに出したタブレットでテキストファイルを開き物理キーボードを無線接続する。昨日はキリが良い所で終わったので、新たな章から再開できる。
カフェとして就業しバーの開店準備を開始するまでにあと一時間半ほどだった。仕事帰りのこのわずかな時間こそが私にとって唯一確保できる執筆時間だ。
妻にはこの事は告げていなかった。言ったところで応援してくれるとは思えない。はやく帰って家事をしろだの子供の面倒を見ろだの言われるだけだろう。
コーヒーが届くと私は砂糖をたっぷり注いだ。疲れた頭にカフェインと糖分の油を差し、猥雑な日常から逃れるように小説を書き始める。
しかし、すぐに筆は止まった。主人公が反旗を翻すシーンである。種族の違いから差別を受け辛酸を舐めていた主人公が仲間たちと協力し悪役を叩きのめす、そんなカタルシスのある場面だった。
だが、私は思ってしまうのだ。こんなに上手く行くだろうか、と。
辛い日常を忘れさせてくれるような、累積した鬱憤を晴らしてくるような小説が書きたかった。なのに、書けば書くほどにキャラクターは血肉を得、それぞれの思惑が交差しひとつの社会を描きはじめる。そして、だからこそ酷薄な現実に肉薄してしまうのだった。
遠い異国の世界であろうと、別の時代であろうと、人間としての奥行きを与えようとすれば、そこに葛藤が生まれ、キャラクター間には軋轢ができてしまう。
私は、それに気づいた瞬間、テキストファイルを削除した。
フィクションの世界だってこれだけままならないのだ。現実なら尚更だろう。
そう考えると少し気が楽になった。
そして、その日以降私は小説を書いていない。

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