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ガヴリール「特別なんかじゃない」

1 :以下、VIPがお送りします:2017/05/15(月) 08:13:11.04 ID:b2Obq3RT+
ヴィーネ 「…ねぇ。さっきから同じ敵と戦ってばかりいるけど、楽しいの?」

ガヴリール「こいつが一番経験値持ってるんだよ。レベル上げは楽しくないけど、やらないとあとあときつくなってくるんだ」

ヴィーネ 「勉強と同じね。宿題もそれくらい真面目にやってくれると助かるんだけど」

ガヴリール「気が向いたらねー」

ヴィーネ 「はぁ…あんたほどほどにしないと、本当に天界に連れ戻されるんじゃない?」

ガヴリール「怖いこと言うなよ。今の私からネトゲを取り上げたらほんとにラッパ吹くぞ」

ヴィーネ 「怖いこと言わないでよ…ま、更正したらしたで、ガヴらしくない気もするけどね」

ガヴリール「そうそう。もはや駄天していない私は私じゃないからな」

ヴィーネ 「もう。でも、出会った頃の真面目なガヴも、今だってガヴのままよ?」

ガヴリール「ん? どういうこと?」

ヴィーネ 「駄天していなかった頃のガヴと今のガヴ。優等生の面影は見る影もないけど、今だって紛れもなく同じガヴリールだってこと」

ガヴリール「いやいや。あの頃と今の私、まるっきり変わったっていうのに、どうして同じだと言えるんだよ。もう別の生き物の域だろ、過去の私」

ヴィーネ 「自分で言う?」

2 :以下、VIPがお送りします:2017/05/15(月) 08:16:04.88 ID:b2Obq3RT+
ガヴリール「そう考えると、お前よく私の友達やってられるな」

ヴィーネ 「え、どうしてよ」

ガヴリール「お前が友達になったのは天使だった私だろ。なにもかもが違う、こんな駄天使じゃない。ヴィーネ、お前、何をもって今の私を友達だって言ってるんだ?」

ヴィーネ 「だから言ったでしょ。天使だったガヴも、駄天使のガヴも、同じガヴなんだって」

ガヴリール「いやいやいや。違うだろ。なにもかも」

ヴィーネ 「同じよ。実は少し怠惰でぐうたらだったってだけで」

ガヴリール「少し?」

ヴィーネ 「…だいぶ」

3 :以下、VIPがお送りします:2017/05/15(月) 08:18:18.81 ID:b2Obq3RT+
ガヴリール「はぁ。ヴィーネってほんと、悪魔としてはだめだめだよねー」

ヴィーネ 「えっ!? なんで今そんな話になるのよ!」

ガヴリール「…他人の駄目なところって、おいそれと受け入れられるものじゃないでしょ?ヴィーネだって、最初は直そうとしてたじゃん」

ヴィーネ 「そうね…前までのガヴに戻ってほしいと思ってたわ。あの時はガヴのためだと思って行動していたけど、今思えばこれ、ただ私が駄天したガヴのことを受け入れられなかっただけだったのかもしれないわね」

ガヴリール「それが普通なんだよ。なのにヴィーネは…まったく、とんだお人好し悪魔だな」

ヴィーネ 「お人好し、ね…」

ガヴリール「なに?」

ヴィーネ 「多分違うわよ、私」

4 :以下、VIPがお送りします:2017/05/15(月) 08:18:49.44 ID:b2Obq3RT+
ガヴリール「え? いやヴィーネほどのお人好しはそうそういないよ」

ヴィーネ 「違うわ。だって、私は普通じゃない」

ガヴリール「うん?」

ヴィーネ 「お人好しってきっと、誰にでも”普通に”、そうするんでしょう?」

ガヴリール「まあ、そうなんじゃない?」

ヴィーネ 「だとしたらやっぱり違うわ。私は、”ガヴリールだから”だもの」

ガヴリール「……」

ヴィーネ 「ガヴは、特別だから」

5 :以下、VIPがお送りします:2017/05/15(月) 08:23:05.84 ID:b2Obq3RT+
ヴィーネ 「……私ね、ちょっとヤキモチ妬いてたのよ」

ガヴリール「ヤキモチ?」

ヴィーネ 「ガヴ、私の知らない間に、委員長たちの部活に顔を出してたでしょう?
そういった交流が増えることはガヴにとっていいことのはずだし、そもそも私には関係ないことなのに…
もしもそのままガヴが部活とかに入っちゃったら、やだなって。どうしてか『ガヴが取られちゃう』って思っちゃったの」

ガヴリール「……」

ヴィーネ 「もともと私のものでもないのに、変よね。それに、これって嫉妬でしょう?

ガヴリール「多分、そうだろうな」

6 :以下、VIPがお送りします:2017/05/15(月) 08:25:20.32 ID:b2Obq3RT+
ヴィーネ 「…ねぇガヴ。私、ガヴのこと――」

ガウリール「まあ、そういうこともあるんじゃない? 自分の仲良い友達と他の誰かが仲良くしてたら嫉妬くらいするでしょ。
特にヴィーネは私と結構一緒に行動してるからな」

ヴィーネ 「…そういうもの?」

ガウリール「そう。普通だよ」

ヴィーネ 「普通、ね…」

ガヴリール「……」

ヴィーネ 「本当にそうだと思う?」

ガヴリール「なにが言いたいんだよ」

7 :以下、VIPがお送りします:2017/05/15(月) 08:26:56.39 ID:b2Obq3RT+
ヴィーネ 「私、ガヴのことが好きなんだと思う」

ガヴリール「っ…。…友達だからな。普通だろ」

ヴィーネ 「ねぇガヴ。今、ガヴのことを抱きしめたいって思うのも、普通?」

ガヴリール「スキンシップでしょ。普通だよ」

ヴィーネ 「そのまま手を繋ぎたいって思っても?」

ガヴリール「女同士なら普通なんじゃないの」

ヴィーネ 「…キス、したいって、思ってても?」

ガヴリール「……キスはもともと、愛情表現の一種だし。友達同士でもするらしいし。普通だよ」

ヴィーネ 「…ねぇガヴ。これって――」

ガヴリール「ちが、う。ヴィーネ、それは違う」

ヴィーネ 「……」

ガヴリール「ヴィーネ」


ガヴリール「特別なんかじゃ、ない」

8 :以下、VIPがお送りします:2017/05/15(月) 08:28:08.46 ID:b2Obq3RT+
ヴィーネ 「ガヴ」

ガヴリール「…?」

ヴィーネ 「恋って、『それが恋だ』なんて、誰にもわからないと思うの。どきどきするから、嫉妬するから、なんて、
ただの特徴に過ぎない。たとえ他人から見て明らかにその特徴が当てはまっていても、本人が友情だと思えば友情でしかないし、
逆に一般的な特徴を全く持たない感情でも、本人が恋だって思うならそれは恋なのよ」

ガヴリール「…うん」

ヴィーネ 「私はガヴに対するこの気持ちを特別だと思ってる。恋であれ友情であれ、唯一のもの。天使と悪魔だし、女の子同士だし、一般的なそれには全然当てはまっていないけど…」

ガヴリール「……」

ヴィーネ 「それでも私は、この気持ちを恋なんだと思ってる。…貴女が好きよ、ガヴリール」

9 :以下、VIPがお送りします:2017/05/15(月) 08:29:18.94 ID:b2Obq3RT+
ガヴリール「…はぁ。悪いけど、私は違うよ、ヴィーネ。恋なんてしてない。恋だなんて、思えない」

ヴィーネ 「! ……そっか。あーあ。脈ありだと思ってたのになぁ」

ガヴリール「…泣くなよ」

ヴィーネ 「…失恋した時くらい泣いたっていいでしょ…!」

ガヴリール「いや、してないから」

ヴィーネ 「…は?」

ガヴリール「ん?」

10 :以下、VIPがお送りします:2017/05/15(月) 08:30:29.98 ID:b2Obq3RT+
ヴィーネ 「いや、だってガヴは私に恋してないんでしょ?」

ガヴリール「してないな」

ヴィーネ 「じゃあ振られたってことでしょ…失恋じゃない」

ガヴリール「まあたしかに、恋じゃないよ。いや、他の奴から見たらもしかしたら恋に見えなくもないかもしれないけど」

ヴィーネ 「な、なに? どういうこと?」

ガヴリール「恋なんて呼ぶには、あまりに重いんだ、ヴィーネ。……愛してるんだよ」

11 :以下、VIPがお送りします:2017/05/15(月) 08:30:54.75 ID:b2Obq3RT+
ヴィーネ 「…愛?」

ガヴリール「まあ恋と愛は別の感情だけど…両想いってことだよ。そもそも、恋は愛にたどり着くための過程らしいぞ」

ヴィーネ 「え、でも、だってさっき、私の気持ちは特別じゃないって…なんで両想いなのにそんなこと言ったのよ!」

ガヴリール「こんな駄天使に恋なんてするより、もっとお似合いのやつがいるだろって思って」

ヴィーネ 「いないわよ! 私は、ガヴリールじゃなきゃ…!」

12 :以下、VIPがお送りします:2017/05/15(月) 08:32:49.29 ID:b2Obq3RT+
ガヴリール「…ん。だからちゃんと覚悟決めたんだよ。本当は告白させるつもりじゃなかったし、気持ちに応えるつもりもなかったけど。ヴィーネが私を選んでくれるなら…私も、ちゃんと伝えようと思って」

ヴィーネ 「ずるい天使…振られたと思った時ほんとにショックだったんだから」

ガヴリール「悪かったって」

ヴィーネ 「……ねぇガヴ」

ガヴリール「ん?」

ヴィーネ 「えっと…今、ガヴとキスしたいって思うのは、普通?」

ガヴリール「…っ。…普通だよ」










ガヴリール「両想いだからな」

13 :以下、VIPがお送りします:2017/05/15(月) 08:33:56.15 ID:b2Obq3RT+
おわれ


夜中から朝へかけてのテンションで書きました。反省も後悔も苦労もしている。
ガヴィーネ流行れ

14 :以下、VIPがお送りします:2017/05/17(水) 04:10:59.03 ID:ceIZy2Vut
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