たっわ変は声はイアナズキ

以下、？ちゃんねるからVIPがお送りします

キズナアイのおっかけをやって数年が経過した｡当時三浪一留大学院2年生だったオレはYouTubeでVtuberをやってたキズナアイに出会い､即効でファンになった｡

元々合コンや女の子とは縁のない生活だったが､それからはキズナアイの為だけに生きてきたようなモンだ｡

毎日キズナアイの動画を視聴し､ライブ配信も視聴し､もちろんコメントも投稿しまくって必ず応援のコメントと詩を送った｡イベントも全部行った｡

全国ホログラムライブツアーで一緒に全国制覇したのも二度や三度じゃない｡ファンやって二年目､ライブ配信で俺の名前を覚えてくれてた時には嬉しくて本気で涙が出た｡

人生で最高の喜びだと有頂天になって､帰り道一人で吼えてた｡鄙びた田舎の雑居ビルのビルメンに就職した後も､それだけが楽しみで生きてきた｡

他の事は考えようとしなかった｡結婚も､彼女も､友達も､そんなのは関係ない､いらないと思ってた｡

そして去年の6月｡信じられないものを目にした｡｢キズナアイの声が変わった!!｣目を疑った｡絶対ありえない､絶対ありえない｡死んでもありえない｡

･･･なんであんな声優が｡ふざけんな｡どこがいいんだ｡キズナアイと釣り合わない､失礼だ｡ふざけんな｡ふざけんな｡一週間仕事を休んだ｡

失意の内に半年が経った｡もうライブ配信も聴いてない｡会員番号2ケタ前半のチャンネルも辞めた｡最近になってようやく､俺も自分の幸せを掴もう…そう思えるようになってきた｡

だけど俺には何も残ってなかった｡20代という多感な時期に何もしなかったんだ｡当たり前だ｡マトモに他人と喋ったのはいつだっただろう｡

女の子とおしゃべりをしたのはいつだっただろう｡恋について､結婚について､そして人生について最後に考えたのはいつだったんだろう｡

趣味も､特技も､人間性も､協調性も｡何もありゃしない｡残ったのはブサイクで汚い30代の中身スッカラカンな男｡それだけ｡

こんなのが今更どうやって幸せ掴めってんだ｡キズナアイのおっかけは何も生み出さなかった｡それに今まで気づかなかった俺は最高にバカだ｡

そしてこんなグチをネットでしかこぼせない俺は最高に惨めだ｡是非俺を笑ってくれ｡蔑んでくれ｡そして自分の人生をもう一度考えるキッカケにしてくれ…