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トンネルを抜けるとそこは雪国であった。

1 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/02/12(水) 20:18:06.917 ID:7FV3KkcP0.net
夜が白くなった。
僕の息も白く暗闇を照らすようだった。
何とはなく碧い夜の闇の中に灯るオレンジの灯火を車窓から眺めた。
とても美しかった。
僕がなぜ電車に乗っているのか。僕は分からなかった。ただ電車には乗っている、その事実が僕の中にある全てだった。
「おい」と僕が呼ぶと車掌が来て、「なんでしょうかお客様」と言うから「いつ雪国駅に着くのだ」と問うと「まだまだでございます」のようなことを彼は言った。
なので僕はそいつを斬り殺して、「ならば僕がこうしても恨まれまいな」と言って電車から飛び降りた。

2 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/02/12(水) 20:27:29.696 ID:7FV3KkcP0.net
電車を飛び降りるとそこは雪国であった。
夜の底が白くなった。
僕の息も白く闇夜を照らすようだった。
足元を見ると冷たくも包まれるような感覚があった。これが雪か、と僕は蔑んだ目をする。噂には聞いていたがそれほど大したものでもない、と友人たちの顔を思い出しながら否定した。
確かに白く美しく、尚かつその冷たさには人の心を魅了する何かがあるのかもしれないがそれだけだ。凡人共には悪いが俺にとって雪なんてのはただの水だ。
そう結論づけた僕は雪の中をひたすらに歩いた。予約してあるホテルはどこなのか。わからないが歩かなくては死ぬほど寒いのだった。

3 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/02/12(水) 20:33:55.927 ID:7FV3KkcP0.net
「ちょっとそこのあんた」
何もない場所だった。遠くには真っ白な山がある。でもここはそこにはまだ遠くてなだらかな雪原のようになっている。
僕が振り向くとそこには女の子がいた。
長い髪。くりりとした目。組んだ腕からはその性格がなんとなく現れていた。
「貴様こんなところで何をしておる、女。」
僕は取り敢えず友好的な関係を築きたい、というよりかは暖を取れるものを提供してほしいと思い言葉を紡いだ。
「それはわたしのセリフよ。こんな雪国で夜遅くにコソコソしてる男がいるなんて怪しすぎるわよ。何者なの?」
ふむ。それもその通りだ。

4 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/02/12(水) 20:39:15.936 ID:7FV3KkcP0.net
「怪しいものではない。電車に乗ってたら車掌に騙されてな。電車を飛び降りたはいいが、どうしたものかと思っておったのじゃ。そなた、今晩泊めてはくれぬだろうか」
相手は女だが、そんなこと気にしてはいられない。僕の体温はすでにこの大量の雪たちにより奪われもはや命は風前の灯だ。ここは藁にもすがるしかないのだ。
「仕方ないわね。今晩だけだからね。あと、変な気起こしたら殺すからね。ここじゃ助けを呼んでも誰も来ないからあんたなんか死んでも誰も知ることはないわよ。」
「わかった。それでいいからお前の家に連れてってくれ。」
「こっちよ。」
それが僕と彼女の出会いだった。

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