ワイ「ち、チノちゃん！　患者さんの表皮剥がさないで！」　チノ「うるさいですね……」ペリペリ

以下、？ちゃんねるからVIPがお送りします

ワイ「あ、あぁ～ッ！」　インシンデントカキカキカキーッ

チノ「はい、今日のラウンドは終わり。お疲れさまでした」

ワイ「うぅ……あ、ありがとうございました……」

数週間前、念願のラビット病院に就職したのだが、『完全個室の部屋に認知症老人を野放しにすると不穏になり転倒されるのでは』
という懸念の声があり、結果、チノちゃんが定期的に病室を順番に周回してくれるようになった。しかしチノちゃんはなんだか
認知症老人のことがキライみたいで、いつもいつも不愛想にトランスファーして、患者さんの表皮ペラリペラリなのだった。

ワイ「トホホ……チノちゃん可愛いのにトランスファーはイタイイタイなんだから……あーあ、どうにかしてチノちゃんのトランスファーをやさしくて気持ちいものにしてもらえないかな～、ん？」

深夜なのにチノちゃんのいるナースステーションから明かりが漏れている。

チノ「よいしょ……よいしょ……」

ワイ（ち、チノちゃんが、ナースステーションでAED人形を相手にトランスファーの練習をしている！？）

チノ「ふぅ……こんなものですかね……。もっと気持ち良くなってもらえるように頑張らないと……」

ワイ「チノちゃーん！」　バターンッ！

チノ「ひゃあッ！？」

ワイ「チ、チノちゃーん！　ごめんよーッ！　チノちゃんは毎日患者さんのためにトランスファーの練習してたのにワイはそんなことも知らずに……ッ！
　　ハフッ！ハフッ！　チノちゃんの握ってた車椅子の持ち手いい匂い！」

チノ「ど、ドサクサにまぎれて匂いを嗅がないでください！」

ワイ「ご、ごめんねチノちゃん……！」

チノ「べ、別に、トランスファーの練習するくらい普通です……。それが私のお仕事なんですから……。それに、私は下手で、あんまり気持ちよくなってもらえないから」

ワイ「そ、そんなことないよ！　チノちゃんのその気持ちだけで患者さんのADL気持ちいいんだよ！　あっ、そ、そうだ！　チノちゃん看護師長確認BOX出して！

チノ「こ、こうですか？」

ワイ「そう！　それじゃあ今から事故報告書提出するからね！　チノちゃんのやわらかインシンデントドッピュするからね！　ちゃんと受け止めてね！」

チノ「えっ、えっ？」

ワイ「ウオーッ！　チノ！　ニトリル手袋に出すぞ！」バサバサバサーッ

チノ「ひゃあッ！」バサーッ

ワイ「くっ、ふぅ……！　す、すっごい影響度レベルのが出たぁーッ！」

チノ「ほんとうです……で、でもなんで……？」

ワイ「それはね……チノちゃんのトランスファーが、ヘタクソすぎるからだよ！　チノちゃんの乱暴なトランスファーのせいでね！」

チノ「ヘタクソ……」

ワイ「そう！　だからADL自立してる人のラウンドなんて、二の次なんだよ！　患者さんは、看護師さんにやってもらうより、介護士さんやリハビリさんにやってもらうのが一番気持ちいいんだよ！」

チノ「そんな……はわわ……あ、あの……もうちょっとだけ、練習に付き合ってもらってもいいですか？」

ワイ「もちろん！」
その後、ワイは一晩中チノちゃんのトランスファーの練習に付き合って次の日の朝は起き上がれないほど表皮剥離していた。
でもまぁ、その日以来、トランスファーをするときチノちゃんが患者さんの耳元で「騒いだら転倒させるぞ」とつぶやいてくれるようになったので結果ステルベン！　臨終

ワイ「ち、チノちゃん！ 患者さんの表皮剥がさないで！」 チノ「うるさいですね……」ペリペリ

ワイ「ち、チノちゃん！　患者さんの表皮剥がさないで！」　チノ「うるさいですね……」ペリペリ