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2日、3日と航海が続くうちに、自分のうちの変化に気づいた。
- 1 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/03/22(月) 11:07:42.728 ID:g9s646Per.net
- 目先のことに感情を動かす自分になっていたのだ。船に乗った当座は、生きてありという感動がすへてであり、欲求も不満もなかった。順応性の早さに驚く。軍紀がゆるむとともに、トラブルも耐えなかった。食事の支度、そのあとの片付け、という些細なことにも、尖りあった。死地をくぐり抜けてきたもの同士のいたわりも、共感もなかった。階級の上にあぐらをかいて、動こうともしないもの、階級とはなんだ。この場になって何をとぼけているか、といういがみ合い。階級に関わりなく、黙々と動くものに、負担がかかっていった。秩序が失われ、誠意に頼るという奇妙な現象が、露骨になっていった。結局、怠け者や、図太いものが、のほほんと寝そべるということになる。その無神経さに対して、正義感の虫がかみついていく。病院、兵站、歩兵などの混成であり、将校、兵の雑居という条件が、一層悪化させた。
- 2 : ̄ ̄ ̄ ̄\| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄:2021/03/22(月) 11:08:19.498 ID:fqdQdvOd0.net
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- 3 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/03/22(月) 11:09:31.433 ID:tSi58RvD0.net
- 濃厚なホモスレ
- 4 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/03/22(月) 11:10:02.535 ID:EQSgankV0.net
- 船酔いすると逃げ場がないからな
- 5 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/03/22(月) 11:15:21.520 ID:g9s646Per.net
- 評定の目を意識して動いていたものに、無償の奉仕は望むべくもない。決定的なのは、どうしようもない資質である。そんな一切に目もくれず、忠実に任務を果たしていくもの、ぶつぶつ不平を鳴らし、不満をぶちまけつつも、やらずにはおれないもの。人一倍憤慨しながらも、実際にはなにもしないもの、根っから図々しくできているもの、規制するものがなくなると、それぞれの資質があからさまになってくるのである。
- 6 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/03/22(月) 11:24:24.890 ID:g9s646Per.net
- 階級によって強制されていた秩序は、整然たるものがあったが、一度それが緩んでくると、収拾のつかない混乱に陥った。反動的な成り行きである。一糸乱れぬ権威による秩序の儚さを、思い知らされた。その混乱から、新しい秩序が形づくられていくのには、時間がかかる。依然としてその権威を過信しているもの、その権威にはなもかけないもの、平行線上に睨みあう他はない。少佐と上等兵との、取っ組み合いも異様な風景だった。しかし、長い権威の伝統は、意識の底深く根をおろし、理屈を超えて権威の存在を暗黙のうちに認めているのが一般たった。
- 7 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/03/22(月) 11:35:46.129 ID:g9s646Per.net
- 思わず知らず、階級に敬礼してしまう習性は、抜けきらぬ。殻を破るのは、容易なことではないのだ。いわば、反射的とも思われる屈従の習いは、一朝一夕には拭い去れるものではない。またしても、一つの状況下における「人間」の姿を観る機会が与えられたのである。これまた、稀有の状況下といっていいだろう。そんな人間をのせた「鳳翔」は白波を蹴立てて、一路北上している。生々しい弾痕を負うたまま、忠実に走り続けている。我執がのさばってくると、輸送にあたっている乗組員たちにもとばっちりが飛ぶ。「便乗者、手を洗え」、「便乗者、食事受け取れ」と、アナウンスするその便乗者、便乗者が気に入らぬのである。帝国海軍の伝統であろうが、便乗者の意識がない限り、便乗者とは何事だと眼に角立てる。
- 8 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/03/22(月) 11:36:03.998 ID:g9s646Per.net
- もはや、海軍も存在していないはず、「鳳翔」も空母ではなく、ただの輸送船にすぎない。乗組員も、他に使命があるわけではなく、輸送そのものが任務である。底をくぐり抜けてきたことからくる、甘えに似た感情があったことは否定できない。おれたちには、このくらいのことは大目に見てくれてもよかろうと。瑣末なことも、あるいは瑣末なことなるがゆえに、海軍のしきたりに背反して、衝突することもあった。
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