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婚活女「まず年収は1000万以上、優しくて、頼りがいがあって、将来性は抜群で……」

1 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/05/04(火) 17:00:11.811 ID:qGTdeV7/0.net
女「こんな私ですので、結婚して下さい!」

男「いや……」

女「お願いしますよ! しましょう!」

男「あの……」

女「絶対損させませんから! さあ、手始めに婚約から……」

男「し、失礼します!」ダッ

女「ちょっと! 逃げないでぇ!」

2 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/05/04(火) 17:01:47.467 ID:lXj1W1Caa.net
年収1000万以上 ←うん
優しくて←当然だね
頼りがいがあって←頼るの?
将来性がある?←ごめんなさい

3 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/05/04(火) 17:04:06.407 ID:qGTdeV7/0.net
女「あなた、いい年してニートなんですってね」

ニート「ええ、まあ」

女「よかったね。私がずっと養ってあげるから。もう仕事しなくていいんだよ」

ニート「でも……」

女「というわけで、結婚しましょう!」

ニート「ハロワ行きます!」

女「なんで!?」

4 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/05/04(火) 17:07:30.067 ID:qGTdeV7/0.net
女「なんでよ!? なんでみんな逃げるの!? こんな優良物件なのに!」

女「顔だって……そりゃ超美人とはいえないけど決して悪くないはず!」

相談員「なんていうか……あなたのその強引すぎるオーラが、男性を怖がらせてるんじゃないでしょうか」

女「ううう……」

女「じゃあさ、あなた結婚してよ。ね? いいでしょ!」

相談員「私には心に決めた人が……」

女「ちくしょぉぉぉぉぉ!!!」

5 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/05/04(火) 17:11:20.295 ID:qGTdeV7/0.net
― 町 ―

女「ううう……結婚したい。結婚、結婚、結婚……」

女(こうなったら片っ端から求婚してやろうか……)

女(あの会社員!)ギロッ

会社員「ひっ!」サッ

女(あの若者!)ギロッ

若者「わっ!」サッ

女(あのおじいちゃん!)ギロッ

老人「くわばらくわばら……」サッ

女(あの少年!)ギロッ

少年「怖いよう……」サッ

女(どいつもこいつも目を逸らしやがってぇ……)

6 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/05/04(火) 17:14:14.384 ID:qGTdeV7/0.net
女(あの青年!)ギロッ

青年「…………?」

青年「ボクになにか?」

女「おおっ、目を逸らさない! さてはあんた、只者じゃないわね?」

青年「よく分かりましたね!」

女「ふうん、何やらかしたの?」

青年「えぇと……あの……ケッコン詐欺を少々……」

女「まさかの結婚詐欺!」

7 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/05/04(火) 17:16:15.449 ID:qGTdeV7/0.net
女「今ここらで詐欺グループが暗躍してるらしいけど、その一味?」

青年「あ、いや……そういうわけじゃ……」

女「もうやってないの?」

青年「はい……やってません」

女「ならいいや。贅沢いえないし、この際詐欺師でもいい! 結婚しよ!」

青年「えっ、あ、はいっ!」

女「やったぁぁぁぁぁ! じゃ、とりあえず結婚を前提にしたお付き合いということで、よろしくね!」

青年「はい!」

女(フッ、勢いって大事ね)

8 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/05/04(火) 17:19:22.356 ID:qGTdeV7/0.net
― 事務所 ―

女はファッションデザイナーとして、自分の事務所を持っている。

女「おはよ」

地味娘「おはようございます、先生」

女「さ、今日もはりきって仕事しよっか!」

地味娘「あれ? 先生、何かいいことあったんですか?」

女「分かるぅ? 私にもついに春が来たのよ、春が! スプリング・ハニ・カム!」

地味娘「ハニカムだと蜂の巣になっちゃいますよ」

9 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/05/04(火) 17:22:13.891 ID:qGTdeV7/0.net
地味娘「先生、大手のファッションメーカーから依頼が来てます」

女「あら、嬉しい。メール転送してくれる?」

地味娘「送りました」

女「……なるほど、新しいブランドを立ち上げたい、か。これは大きな仕事になるね」

女「さっそく打ち合わせに出かけてくる!」

地味娘「行ってらっしゃいませ」

女「ル〜ルルル〜。は〜るがき〜た、は〜るがき〜た、ど〜こ〜に〜きた〜♪」

女「それは……イッツミー!」

地味娘(いつにもましてハイテンションだなぁ……)

10 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/05/04(火) 17:23:25.799 ID:jSQT0juxr.net
浮かれまくってんな

11 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/05/04(火) 17:26:12.804 ID:qGTdeV7/0.net
休日――

女「おはよう、詐欺師君」

青年「おはようございます。できれば、詐欺師はやめて下さい……」

女「ああ、ごめんごめん」

女「デートしたいんだけど、私恋愛経験ほとんどないから、デートコースに自信ないのよね」

女「というわけで、ここはあなたに任せたいんだけど」

青年「ボクもそうですよ」

女「えっ、恋愛経験ないのに結婚詐欺なんかやってたの!? チャレンジャーすぎない!?」

青年「すみません……」

女「じゃあさ、家に来ない? おいしい手料理ご馳走してあげる!」

12 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/05/04(火) 17:29:27.264 ID:qGTdeV7/0.net
― 女の自宅 ―

女「シチューを作るからね」

青年「楽しみです」

女「さっそくジャガイモを剥いて……」

たどたどしい手つきでジャガイモを剥く。

女「うわっとぉ! 手を切るとこだったぁ!」

青年「ボクがやりますよ!」

13 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/05/04(火) 17:32:15.428 ID:qGTdeV7/0.net
青年「…………」スッスッ

手際よくシチューを作っていく。

女「わぁ、上手! 特に包丁さばきなんてプロみたい!」

青年「訓練でよくやらされたんで……」

女「訓練? なんの?」

青年「あ……えぇと、あの……詐欺師の」

女「へぇ〜、詐欺って刃物の扱いも重要なんだ。奥が深いんだね」

14 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/05/04(火) 17:34:52.985 ID:1zUqkfSM0.net
楽しみ

15 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/05/04(火) 17:35:32.525 ID:qGTdeV7/0.net
青年「どうぞ」

女「いただきまーす!」パクッ

女「おいひぃ〜! グルメ漫画の女の子みたいな顔しちゃうぅ〜!」ホワァァァ

青年「すごい顔ですね」

女「こんなおいしい料理を作れるのに詐欺をやってたなんて、よほどの事情があるのね」

女「よっしゃ! 私の愛のパワーであなたを暗黒の世界から救ってあげる!」

青年「あ、ありがとうございます」

16 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/05/04(火) 17:38:24.197 ID:qGTdeV7/0.net
― 事務所 ―

地味娘「先生、おはようございます」

女「おはよう……あれ?」

地味娘「なにか?」

女「今日はいつもとはずいぶん雰囲気が違うね。垢抜けたというか……」

地味娘「ちょっとイメチェンしてみたんです」

女「ふうん。色々試してみるのはいいことよ」

女(この子もデザイナー志望だしね)

17 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/05/04(火) 17:42:15.065 ID:qGTdeV7/0.net
― 公園 ―

二人は公園をデートしていた。

女「天気がよくて、気持ちいいね」

青年「ホントですね。雲一つない青空です」

女「おっ、あそこ歩いてる人、いいセンスしてる」

女「んー……あっちの人はイマイチね。素材はいいのに」

青年「どうしたんです?」

女「あ、ごめん。職業柄、ファッションチェックするのクセになっちゃってて」

青年「分かります。ボクにもそういうクセってありますよ」

女「あっ、やっぱりそうなんだ!」

18 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/05/04(火) 17:45:33.912 ID:qGTdeV7/0.net
カキーンッ!



女「へ?」

青年「よっと」パシッ

背後から飛んできたボールをなんなくキャッチする。

女「すごい、見ないで取った!」

青年「背後への警戒は欠かさないようにしてるんです。これがボクのクセですね」

女「へえ……詐欺師って大変なんだ」

スミマセーン… アリガトウゴザイマース…

19 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/05/04(火) 17:48:12.431 ID:qGTdeV7/0.net
……

女「さっきのお店、おいしかったねー」

青年「ええ、最高でした!」

ブロロロロ…

すぐそばをスクーターが通りすぎる。

青年「あ、こける」

女「え?」

20 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/05/04(火) 17:52:48.177 ID:qGTdeV7/0.net
ズダァンッ!

茶髪「いたたた……」

女「本当にこけた!」

青年「大丈夫ですか!?」ダッ

茶髪「う、うう……」

女「うわ、ひどい出血……」

青年「救急車を呼んで下さい!」

女「うん、分かった!」

21 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/05/04(火) 17:54:44.416 ID:qGTdeV7/0.net
女「場所は……。はい……はい……お願いします!」

女「どう?」

ハンカチを取り出す青年。

青年「ここを縛れば……血が止まります」ギュッ

青年「それとここのツボを刺激すれば、さらに血流が大人しく……」

女「おおっ!」

茶髪「あり……が、とう……ござい……ます……」

青年「動かないで下さい。すぐ救急車が来ますから」

22 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/05/04(火) 17:57:02.696 ID:jSQT0juxr.net
青年やるな

23 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/05/04(火) 17:57:31.440 ID:qGTdeV7/0.net
まもなく救急車が駆けつけ――

救急隊員「的確な応急処置でした。ご協力感謝します」

青年「いえ……とんでもないです」

女「やるぅ!」

女「だけど……どうして怪我の治療なんてできるの? 看護師を目指してたとか?」

青年「えぇと……これも詐欺師としての訓練で……」

女「詐欺師って色んなことやるんだねー」

24 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/05/04(火) 18:00:24.018 ID:qGTdeV7/0.net
― 事務所 ―

地味娘「…………」

女(彼女、最近ますますオシャレするようになったなぁ)

女(ちょっと派手すぎる気もするけど……。せっかくの素朴な可愛さが台無しになってるような……)

地味娘「あの、先生」

女「あ、あらどうしたの?」

地味娘「給料の前借りを……お願いできないでしょうか?」

女「え」

25 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/05/04(火) 18:03:12.231 ID:qGTdeV7/0.net
地味娘「どうしてもお金が必要で……」

女「…………」

女「かまわないわよ」

地味娘「いいんですか!?」

女「うん、あなたにはいつもお世話になってるし。これぐらいの頼みは聞いてあげる」

地味娘「あ、ありがとうございますっ!」ペコペコ

女「…………」

26 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/05/04(火) 18:06:13.885 ID:qGTdeV7/0.net
……

女「…………」

青年「どうしました? 珍しくボーッとしちゃって」

女「あ、ごめん。ちょっと考え事しててね」

青年「なにか心配ごとがあるならいって下さい。力になりますよ」

女「ありがと。だけど、ウチの職場のことだから」

女(ついかっこつけて理由は聞かないでおいたけど、やっぱりまずかったかなぁ)

女(何事もなければいいんだけど……)

27 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/05/04(火) 18:10:06.920 ID:qGTdeV7/0.net
― カフェ ―

イケメン「君の顔を見ていると、どうしても笑みがこぼれてしまう」

地味娘「どうして?」

イケメン「一日のうち、こうして君と会ってる時間がオアシスだからだよ」

地味娘「オアシスだなんて……」

イケメン「そうやって照れてる君も可愛いよ。ところで、例の件なんだけど……」

地味娘「うん、まとまったお金……持ってきたよ!」

イケメン「ホントかい! ありがとう!」

店員「コーヒーお持ちしました」

28 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/05/04(火) 18:12:13.682 ID:qGTdeV7/0.net
イケメン「よく集めてくれたね! これだけあれば、起業することができる!」

地味娘「ホント?」

イケメン「それで商売が軌道に乗れば、君と一緒になれるよ! いや必ず乗せてみせる!」

イケメン「僕は青年実業家、君はファッションデザイナーになるんだ!」

地味娘「嬉しい!」

イケメン「今のうちに新婚旅行先も決めておかないとね」

地味娘「うふふ、先生に報告するのが楽しみ!」

29 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/05/04(火) 18:15:11.730 ID:qGTdeV7/0.net
……

……

― 事務所 ―

女「…………」

女(おかしい。あの子、もう三日も休んでる……)

女(電話しても出ないし……何かあったのかな)

女(プライバシーに関わるのもと思ってたけど、一度家に行ってみた方がいいかもしれない)

30 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/05/04(火) 18:17:16.349 ID:o3E/2OcB0.net
支援

31 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/05/04(火) 18:18:16.064 ID:qGTdeV7/0.net
女「……ってわけなの。今までこんなことなかったから不安で……」

青年「そんな真面目な女の子が無断欠勤なんて気になりますね」

女「これから行ってみようかと思うの」

青年「ならボクも行きますよ」

女「いいの?」

青年「はい、何か役に立てるかもしれませんから」

女「ありがとう、心強いよ!」

32 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/05/04(火) 18:21:15.052 ID:qGTdeV7/0.net
― 地味娘の自宅 ―

ピンポーン…

女「ダメだ、出てこない」

女「どうしよう……」

青年「じゃあ、開けちゃいましょう。もし倒れてたりしたら大変ですし」

女「え」

青年「この針金で……」カリカリ…

女「クッキングだけじゃなくピッキングまでできるの!?」

青年「はい、訓練で……」

女「このやり取りもすっかりおなじみになったね」

33 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/05/04(火) 18:24:50.576 ID:qGTdeV7/0.net
部屋に入る。

女「なにこれ、真っ暗……」

青年「気をつけて下さい」

ウッウッウッ…

女(すすり泣く声……?)

女「あ!」

地味娘「……あ」

すっかりやつれている。

女「ごめん、勝手に入っちゃって……。でも、どうしたの? いったい何が……」

地味娘「う、ううう……」

女「!」

地味娘「先生ぇ〜!」ダッ

34 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/05/04(火) 18:24:52.936 ID:arMxJyZt0.net
みてます

35 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/05/04(火) 18:27:25.562 ID:qGTdeV7/0.net
女「騙された?」

地味娘「はい……起業にお金が必要だっていわれて、私の貯金も前借りしたお金も渡したんです……」

地味娘「そしたら音信不通になっちゃって……」

地味娘「事業が軌道に乗ったら、結婚の約束もしていたのに……。もう先生に会わす顔もなくて……」

女「それって結婚詐欺じゃない! ――まさか!」ギロッ

青年「ボ、ボクじゃないですよ!」

地味娘「私の彼はもっとイケメンでした……」

青年「うう……。だけど疑いが晴れてよかった……」

女「とりあえず、ここじゃなんだし、ちょっと場所を変えようか」

36 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/05/04(火) 18:31:15.211 ID:qGTdeV7/0.net
― カフェ ―

女「今、お金はあるの?」

地味娘「いえ、すっからかんです……」

女「だったら生活に必要なお金は私が出してあげる」

地味娘「そんな! そんなことできません!」

女「いいの、気にしないで。というより、むしろそうしたいのよ」

地味娘「え……?」

女「あなたは私の部下であり弟子で、妹みたいなもんなんだから。もっと甘えてよ」

地味娘「あ、ありがとうございます……」グスッ

青年「…………」

37 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/05/04(火) 18:34:15.381 ID:qGTdeV7/0.net
女「しかし、ムカつくのは犯人ね。どうにか見つけ出したいけど……」

地味娘「電話は繋がらないし、手掛かりらしいものはなにも……」

女「青年君、どう思う?」

青年「もし……一回きりの犯行だとしたら、捜し出すのは難しいでしょうね」

女「だよねえ。もうどこかに逃げてる可能性が高いし」

店員「コーヒーお持ちしました」コトッ

女「ありがと」

女「……ん?」

女「あーっ!!!」

店員「な、なんですかいきなり!?」

38 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/05/04(火) 18:36:28.530 ID:qGTdeV7/0.net
女「あんた……いつぞやのニート!」

店員「あっ、あの時の! 妖怪求婚女!」

女「誰が妖怪だ!」

地味娘「この人は?」

女「私が結婚相談所で会ったことある男よ。こいつニートのくせに結婚しようとしてたの」

店員「ニートが結婚しちゃ悪いんですか!」

女「状況にもよるけどあまりよくないでしょ」

店員「ていうか今の俺はニートじゃないし! 働いてるし!」

青年「まあまあ、落ちついて下さい」

39 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/05/04(火) 18:37:42.367 ID:jSQT0juxr.net
お前かよ

40 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/05/04(火) 18:39:19.184 ID:qGTdeV7/0.net
女「まさか、あの時のニートが今やカフェの店員とはねー」

店員「やるもんでしょ、俺も」

店員「あっ、そっちの子、こないだ店に来てましたよね」

地味娘「どうも……」ペコッ

女「実はこの子、彼氏に騙されちゃってね。あんた、その時のことなにか覚えてない?」

店員「ああ……覚えてますよ」

女「え!?」

店員「すげえ大金渡してるなって思ったから妙に印象に残ってるんですよ」

女「それで、なにか手掛かりになるようなことない?」

店員「そういえばあのイケメン……一人になった後、電話してたなぁ」

41 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/05/04(火) 18:42:43.710 ID:qGTdeV7/0.net
イケメン『あー、余裕余裕。あのイモ女、まんまと騙されやがったよ』

イケメン『しかも、予想以上に持ってやがった。今回も大儲けだぜ!』



店員「こんな感じの会話をしてました」

地味娘「イモ女……」

女「あなたはイモ女なんかじゃないよ。とても可愛いよ。なんてこというの!」

店員「俺がいったんじゃないのに……」

青年「それと……明らかに“仲間”に対する喋り方ですよね、それ」

女「あ、たしかに……」

女「そうか、イケメンは詐欺グループの一員なのかも!」

42 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/05/04(火) 18:45:14.159 ID:qGTdeV7/0.net
青年「犯罪グループなら、ボクの知り合いに頼めば特定できるかもしれません」

女「え?」

青年「ちょっと時間をもらえますか。なんとか犯人を捜し出してみせますから」

地味娘「は、はい!」

店員「すごいなぁ、探偵か警察の知り合いでもいるの?」

青年「えぇと……まあ、そんな感じです」

女(犯罪グループを特定できる知り合いって……どういうこと……?)

43 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/05/04(火) 18:48:25.401 ID:qGTdeV7/0.net
数日後――

― カフェ ―

青年「……詐欺グループの居所が分かりました」

地味娘「本当ですか?」

女「どこ!? どこにいやがるの!?」

青年「ある駅前の雑居ビルに、堂々とベンチャー企業として居を構えてます」

青年「表向きはビジネスコンサルタントってことになってますが、裏は……」

女「世にも卑劣な詐欺グループってわけね」

青年「どうしますか?」

地味娘「…………」

44 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/05/04(火) 18:51:24.007 ID:qGTdeV7/0.net
地味娘「……行きたいです」

地味娘「もし彼がいたら……もう一度話したい。お金も返して欲しいですし……」

女「じゃ、私も行く!」

地味娘「いいんですか?」

女「もちろんよ。青年君もいいでしょ?」

青年「はい、ちゃんと準備も出来てますし」

女「それじゃニート、あんたも来なさい」

店員「なんで!? 俺、勤務中なんですけど!」

店長「いいよ、行ってきても」ニコッ

店員「いいんですか!?」

45 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/05/04(火) 18:55:10.083 ID:qGTdeV7/0.net
……

青年「ここの三階です」

女「汚いビルに居を構えてる怪しい事務所……みたいなのを想像してたけど小奇麗なビルじゃない」

地味娘「ええ、犯罪の匂いはしませんね」

女「ホントにここなの?」

青年「はい、間違いありません」

店員「分かってないなぁ、君たち。詐欺師がわざわざ自分から怪しい格好すると思う?」

女「黙れニート!」

店員「俺ニートじゃないって!」

46 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/05/04(火) 18:59:13.658 ID:qGTdeV7/0.net
― 会社 ―

“仕事”にいそしむ社員たち。

社員A「もしもし、俺だよ俺! 今事故起こしちゃってさー」

社員B「はい、今のままですとあなたの口座から不正にお金が引き出される可能性が……」

社員C「霊験あらたかなツボでして……」

イケメン「今日も絶好調だな」

社員A「あんたにゃかなわねえよ。今まで何人の女を騙してきたか……」

イケメン「今回のイモ女はかなりの当たりだったな。まさかあんな大金を用意できるとは思わなかった」

社員A「そりゃあんたに頼まれりゃ、大抵の女は張り切っちまうって」

イケメン「せっかくルックスに恵まれたんだ。有効活用しねえとな」

イケメン「さぁて、また町でバカな女を引っかけるとするか」

47 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/05/04(火) 19:02:09.210 ID:qGTdeV7/0.net
すると――

女「失礼しまーす!」

イケメン「……なんですか?」

ザワッ…

女「初対面の相手には名刺を渡すのがマナーだけど、あんたらにそんなのいらないでしょ」

女「地味娘ちゃん、この中にいる?」

地味娘「…………」

地味娘「あ!」

イケメン「君は……」

48 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/05/04(火) 19:05:23.859 ID:qGTdeV7/0.net
イケメン「やぁ、僕を捜してここまで来てくれたの? 嬉しいよ!」

地味娘「あなたは……私を騙してたの?」

イケメン「騙してなどいるもんか! 僕は今でも君を愛してるよ!」ニコッ

地味娘「…………」

地味娘「……よく分かったよ」

女「地味娘ちゃん……」

地味娘「騙したことについてはもう何もいわない。あなたの正体についても責めない」

地味娘「だけど、せめて……お金は返して」

地味娘「全額とはいわない。少しだけでもいいから……」

49 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/05/04(火) 19:07:54.101 ID:qGTdeV7/0.net
イケメン「バ〜〜〜〜〜カ!」

地味娘「!」

イケメン「金返せ? 一円だって返すかよ。あの金は全部俺のもんだ」

イケメン「短い間、お前みたいなイモ女に夢見させてやったんだ! ガタガタいうんじゃねえよ!」

地味娘「う、ううっ……!」

女「よく頑張ったね」

女「せっかくの優しさを踏みにじって……本性現したわね、このクズ野郎」ギロッ

店員「そうだそうだ! お金ってのは真面目に働いて手に入れてこそ価値があるんだ!」

女「ニートのあんたがいうと説得力が違うわ……」

店員「どうも」テヘッ

店員「……ってニートじゃないし!」

50 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/05/04(火) 19:10:16.861 ID:qGTdeV7/0.net
女「もうここに用はないね。帰りましょ」

イケメン「おっとそうはいかないな」

女「!」

イケメン「ここまで来たってことは俺らのやってること……お前ら知ってんだろ?」

イケメン「金は返さねえし、ここから帰すわけにもいかねえ」

女「なんですって……」

社員A「サツにタレこまれたら面倒だしな」サッ

社員B「全員、再起不能にしてやらねえと」パキポキ

腕に覚えがありそうな社員たちに囲まれる。

51 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/05/04(火) 19:10:38.191 ID:O6k0unSnr.net
支援

52 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/05/04(火) 19:13:13.003 ID:qGTdeV7/0.net
女「くっ……結局、暴力で来るの!?」

地味娘「ううっ……すみません……私のせいで……」

女「ニート、頑張って! 男でしょ! 全員やっつけて!」

店員「そんな無茶な!」

青年「大丈夫です」

女「え?」

青年「こういうことになると分かってましたから、ちゃんと準備してあります」

青年「ここはボクに任せて下さい」

女「…………!」

女(いつもと雰囲気が違う……)

53 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/05/04(火) 19:16:41.145 ID:qGTdeV7/0.net
社員A「なんだてめえ? 一人で俺らとやる気か?」

青年「そうです」

社員A「おもしれえ。やれるもんなら……」

青年「…………」スッ

ナイフを取り出す。

社員A「おいおい、ナイフなんか持ってんのかよ。見かけによらず物騒な野郎だ」

社員A「だが、お前みたいな奴がどうせ刺せるわけ――」

青年「…………」シュッ

ドスッ!

社員の腹に血がにじむ。

社員A「え……!? う……ううっ……!」ドサッ

54 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/05/04(火) 19:18:27.786 ID:qGTdeV7/0.net
社員B「こいつ……刺しやがった!」

社員C「マジかよ!?」

青年「次はあなたたちですね」

社員B「くそぉぉぉぉぉっ!」

社員C「ブッ殺してやる!」

青年がナイフを振るうたび、赤い血しぶきが舞う。

ブシュゥゥゥゥッ… ドバチャッ…

女(これは……どういうことなの!? 青年君は元詐欺師じゃなかったの!?)

55 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/05/04(火) 19:21:26.564 ID:qGTdeV7/0.net
血まみれで倒れる大勢の社員。

青年「…………」ズイッ

イケメン「わ……わわっ!」

ザクッ!

机に赤くなったナイフを突き刺す。

イケメン「ひいいっ!」ガタガタガタ…

青年「後はあなただけですね。どうしますか? 降参するか、それとも……」

イケメン「助け……殺さないで……」

青年「ならお金を返して下さい」

イケメン「わ、分かった。返す返すぅぅぅぅぅ!」

この瞬間、イケメンのズボンは濡れていた。

56 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/05/04(火) 19:24:19.788 ID:qGTdeV7/0.net
青年「終わりましたね」

女「うん……」

地味娘「は、はい……」

店員「ア、アハハ……」

三人は青ざめている。

青年「すみません……驚かせちゃいましたね」

女「殺し……ちゃったの?」

青年「…………」

店員「――あれ!?」

57 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/05/04(火) 19:26:14.376 ID:qGTdeV7/0.net
店員「これは……みんな生きてる!」

女「え!?」

地味娘「本当だ! 気絶してるだけです! 血も……本物の血じゃないです!」

女「どういうこと……!?」

青年「とりあえず、ここを出ましょう。全て……説明します」

…………

……

58 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/05/04(火) 19:29:26.201 ID:qGTdeV7/0.net
青年「じゃあ、この辺りで……」

女「うん」

地味娘「あ、先生。私たちはちょっと離れてますよ」

店員「えっ、俺も聞きたい……」

地味娘「いいから。さ、早く行きましょう、ニートさん」

店員「分かったよ……。あと俺ニートじゃない」

女(気を使ってくれちゃって……)

二人きりになり――

59 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/05/04(火) 19:33:57.898 ID:qGTdeV7/0.net
青年「ボクは……産まれてすぐ両親に捨てられ、ある殺し屋に育てられました」

女(殺し屋……!)

青年「学校も通わせてもらえましたが、将来は後を継がせると殺しの訓練をさせられてました」

青年「そしてボク自身、後継者になるつもりでいた……」

青年「だけど……」

女「だけど?」

青年「どうしても殺せなかったんです」

青年「人どころか、練習に用意された犬や猫も殺せず……いつもこっそり逃がしてました」

女「…………」

60 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/05/04(火) 19:35:56.224 ID:qGTdeV7/0.net
青年「だけどボクは殺し屋になりたかった。ボクにはそれしか出来ないと思ったから……」

青年「そんなある日、師匠が仕事を持ってきたんです」



殺し屋『どうしても殺し屋になりたきゃ、この仕事をこなしてみろ』



青年「仕事の内容は、ある御曹司からの依頼でした」

青年「“ある女の子をモノにできなかったから、見せしめにその女の子と彼氏を殺して欲しい”と」

青年「カップルは純朴な二人で落ち度はなく、100%逆恨みでした」

女「なんて身勝手な話なの……」

青年「もちろんボクにはできませんでした。だけど、やらなきゃ師匠には認められない……」

青年「だからボクは……」

61 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/05/04(火) 19:38:07.474 ID:qGTdeV7/0.net
青年『これ……カップルの死体写真です』

御曹司『うおおっ! あいつらくたばりやがった! ざまあねえぜ!』



女「さっきみたいに気絶させて血のりをつけて、死体を偽装したわけね」

青年「そうです。御曹司は気をよくして大金を払ってくれましたが……師匠にはバレました」



殺し屋『中途半端な仕事しやがって……』

殺し屋『お前が見逃したカップルは、二度と標的にならないよう逃がしてやった。ありがたく思え』

殺し屋『お前のやったことは……そうだな、“血痕詐欺”だ! お前は殺し屋にはなれねえ!』



青年「ボクは師匠に見放されたんです……」

62 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/05/04(火) 19:39:02.574 ID:MQ16ARbP0.net
そんなネーミングありかよ

63 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/05/04(火) 19:41:02.544 ID:qGTdeV7/0.net
女「やっと……謎が解けたよ」

女「ケッコン詐欺のこと、刃物の扱いのこと、怪我の手当てが上手なこと……」

女「詐欺グループを突き止められたのも、その時のツテがあったからだ」

青年「黙っていて……すみません」

女「ううん。別に怒ってないよ」

青年「でも、ボクが殺し屋なんて知ったら……」

女「そりゃ誰か殺してたら、私も怖くなってたかもしれない。だけどあなたは殺してないんでしょ?」

女「よく打ち明けてくれたね。嬉しいよ」

青年「ありがとうございます……!」

64 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/05/04(火) 19:44:06.091 ID:qGTdeV7/0.net
女「あ、そうだ!」

青年「どうしました?」

女「今抱えてる大きな仕事のデザイン……殺し屋めいたデザインにしてみようかな」

女「シャープで、ちょっと危険な匂いがする感じのさ。きっとウケると思う!」

青年「ええっ!」

女「青年君スタイルいいし、ぜひモデルとして雇いたいの。いいでしょ!」

青年「は、はいっ!」

女「決まり! それにこんなに頼もしいガードマンもいないしね。なんたって殺し屋なんだから!」

青年「一応、殺してはいないんで……」

65 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/05/04(火) 19:46:11.023 ID:qGTdeV7/0.net
地味娘「あ、お二人とも」

店員「話は終わりました?」

女「うん、終わった」

地味娘「それで……どうなりました?」

女「もちろん、今後ともお付き合いを続けることになったよ。ね?」

青年「はい!」

地味娘「そうですか……」ホッ

店員「うんうんよかったよかった」

66 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/05/04(火) 19:49:34.931 ID:qGTdeV7/0.net
……

その後、新デザインは見事ヒットした。

― 事務所 ―

女「いやぁ〜、今日も取材で忙しいわ」

地味娘「なにしろ例の殺し屋モチーフのファッションが大ウケしましたもんね」

女「地味娘ちゃんもよく手伝ってくれたよ。私一人じゃここまでは出来なかった」

地味娘「いえ、そんな……」

女「着実に実力をつけてるし、そろそろあなたも独自のブランドを作る時が来るかもね」

67 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/05/04(火) 19:52:27.568 ID:qGTdeV7/0.net
……

TV『本日、詐欺グループのメンバーらが逮捕されました』

TV『男たちは非常に雑な詐欺を働いたところ、警察に通報されてしまい……』

女「あ、これって……」

青年「あいつらですね」

女「あのイケメン、すっかりやつれてるじゃん」

女「もしかしたら、青年君にやられたのがトラウマになって、詐欺の腕も落ちちゃったのかも!」

青年「だとしたら嬉しいですね」

68 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/05/04(火) 19:55:22.927 ID:qGTdeV7/0.net
それからも交際は続き――

女「今日も楽しかったね〜。青年君がジェットコースター苦手とは意外だったよ」

青年「あまりああいうの乗ったことがないんで……」

アハハハ…

青年「……あの」

女「ん?」

青年「ボクたちって、えぇと、結婚を前提に付き合ってる……ことになってますよね」

女「そういえばそうだったね。私が申し込んで、あなたがOKして……」

女「今思うとあの時の私、どうかしてたわ! 初対面の人にあんなこといって!」

69 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/05/04(火) 19:58:19.450 ID:qGTdeV7/0.net
青年「その後色々あって、結婚のことについては有耶無耶になってましたけど……」

青年「今こそ言わせて下さい」

女「!」

青年「最初は勢いで付き合ってたけど、ボクはいつしかあなたをホントに好きになっていた」

青年「あなたは優しくて、頼りがいがあって、将来性もある……。ボクには勿体ないほど素晴らしい人だ」

女(なんかどこかで聞いたような……)

青年「だけどもう、あなたを他の誰にも渡したくない! ずっと一緒にいたい!」

青年「だから……結婚して下さい!」

女「…………ッ!」

70 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/05/04(火) 19:59:49.176 ID:dTd4XJ9Nr.net
きたああああ!

71 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/05/04(火) 20:01:09.974 ID:qGTdeV7/0.net
女「詐欺じゃないよね?」

青年「もちろんです!」

女「嬉しいよ……ありがとう」

抱き合う二人。



…………

……

72 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/05/04(火) 20:04:13.113 ID:qGTdeV7/0.net
― 式場 ―

ウェディングドレスに身を包む。

女「どう?」

青年「とても……綺麗ですよ」

女「ありがと。青年君もとてもかっこいいよ」

女「詐欺師にも殺し屋にもぜーんぜん見えない!」

青年「じゃあ、何に見えます?」

女「そりゃもちろん……私の愛する人よ!」

73 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/05/04(火) 20:06:31.202 ID:qGTdeV7/0.net
女「皆さん、本当にありがとう。私たち幸せになります!」

青年「えぇと……必ず幸せにします!」



ワアァァァァァ……!

地味娘「おめでとうございます! とってもお綺麗です! 青年さんも素敵!」

店員「相談所で会った時は絶対結婚できないと思ったんだけどなぁ……」

パチパチパチパチパチ…

74 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/05/04(火) 20:09:24.441 ID:qGTdeV7/0.net
二人きりになる。

女「いい結婚式ができたね」

青年「はい」

女「ところで、結婚のこと殺し屋の師匠さんには……?」

青年「伝えられてません。もう連絡が取れなくて」

女「そっか、そりゃそうだよね……」

青年「!」バッ

女「どうしたの?」

青年「(なにかいる……)下がって下さい!」

女「う、うん」

75 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/05/04(火) 20:12:33.622 ID:qGTdeV7/0.net
青年「誰だ!?」

「おめでとう……」

青年(この声は……)

「お前は立派にカタギになった。俺がお前の前に現れることは二度とないだろう」

青年「師匠……」

「じゃ、達者でな。お二人さん」

青年(気配が……消えた)

女「今のは……お師匠さん?」

青年「はい……」

76 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/05/04(火) 20:15:14.616 ID:qGTdeV7/0.net
女「よかったね、祝福してくれたんだ」

青年「ボクもビックリしました」

女「もしかしたらさ、お師匠さんがひどい依頼をあなたにやらせようとしたのって……」

女「あなたに足を洗わせたかったからじゃない?」

女「“悪人を殺せ”みたいな依頼だったら、あなた、遂行しちゃってたかもしれないし」

青年「…………」

青年「そうですね、ボクもそう思います」

青年(さよなら……師匠。本当にお世話になりました)

77 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/05/04(火) 20:18:11.109 ID:qGTdeV7/0.net
女「これで婚活は終わったわけだけど、“結婚生活”って婚活はまだまだこれからだね」

青年「はいっ!」

女「仕事も家庭もバリバリやっていくよ! よろしくね、私の旦那!」

青年「こちらこそよろしくお願いします!」







― おわり ―

78 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/05/04(火) 20:19:22.273 ID:MQ16ARbP0.net
スレタイからSSスレが始まるとは思わなかった

79 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/05/04(火) 20:24:38.305 ID:lXj1W1Caa.net
今北産業

80 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/05/04(火) 20:34:10.338 ID:dTd4XJ9Nr.net

GW明けたら婚活するわ

81 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/05/04(火) 20:38:14.058 ID:lgXvh+8R0.net
俺もカフェで仕事探すか

82 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2021/05/04(火) 20:48:49.854 ID:1zUqkfSM0.net
良かった

総レス数 82
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