前田大然て普通の若者の風貌じゃないけどやっぱり元ヤンなの？

以下、？ちゃんねるからVIPがお送りします

真夏のスタジアムの空気を切り裂く日本のスピードスターがＦＷ前田大然（２３）＝横浜Ｍ＝だ。今季Ｊ１で１０得点。今大会も７月２８日のフランス戦でチームの４点目となるゴールを決めるなど１次リーグ突破に貢献した。日本サッカー史を塗り替える戦いの先頭を走る男の原点には、高校時代の挫折があった。

　誰よりも速く、何度でも、チームのために走る。前田の原点は山梨学院高時代にあった。全国高校選手権の優勝に憧れ、大阪から越境入学した。希望に満ちた人生が一変したのは１年生の冬だった。チームの規律を乱した一人として処分を受けた。

　「完全に除籍ですね」。当時の恩師で現在はアルビレックス新潟シンガポールのテクニカルダイレクターを務める吉永一明氏（５３）は振り返る。部活動への参加は禁止され、退寮となった。「サッカーを取り上げるのはつらかった」。吉永氏にとっても苦渋の決断だった。転校の選択肢もあったが、前田は山梨に残ると決意した。「（選手権で）優勝したい」。初心を忘れてはいなかった。

　両親は学校近くに息子が住む部屋を借り、母幸枝さん（５３）は毎週のように大阪から山梨まで通った。「こっちも必死でした」。夜行バスで片道約１０時間。野菜などの食材を届け、２～３日の滞在で食事を作り置くといった生活を続けた。

　前田の変化は日々の生活に表れた。大阪に帰る母を自転車に乗せて駅まで送ったこともあった。実家に帰ると洗い物を手伝うなど「人のことを考えるようになりました」（幸枝さん）。学校でも自主的に校内清掃を行っているなどの報告が吉永氏の耳に届いた。

　部に戻れたのは、１年が過ぎた２年生の冬だった。前田は見違えていた。攻撃だけでなく、守備でも全速力でピッチを駆けるようになった。「人のため、周りの仲間のためという思いがプレーで伝わってきた」と吉永氏は目を細めた。献身的なプレースタイルは、こうして培われた。

　今年に入って、吉永氏の自宅に「ブルーペナント」が届いた。日本代表に選ばれた選手が育成年代の指導者に贈る感謝の証し。送り主は前田だった。「今の僕があるのは吉永さんのおかげです。本当にありがとうございます」と直筆で添えられていた。「本当にうれしい。これだけは宝物として、ちゃんと持っていようと思う」と笑みを浮かべた。

　前田にとって「一番つらかった」という日々を乗り越え、１次リーグのフランス戦では待望の初得点。五輪の大舞台でゴールネットを揺らした。

　「自分一人ではサッカーも生活もできない。たくさんの人の支えがあるからプレーできている。チームのために走ることも学ばせてもらった。親にもたくさん迷惑をかけたので恩返しをしたい」

　人は変われる。支えてくれた人々の思いが背中を押し、前田をさらに加速させる