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爪'ー`)Ammo→Re!!のようです

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はじまるよー

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その日、世界の天秤が傾いた。
傾いた天秤の中身がどうなるのか、言うまでもないだろう。
ましてやそれが――

                                         ――ボブ・スプレマシー

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September 25th AM10:01

それは成人男性の身の丈ほどもある二振りの刃だった。
湾曲したその特徴的な刃は実体があるにも関わらず、その切っ先が見えない程の速度で眼前を通過した。
息をする間もなく繰り出される連撃を生身の人間でありながら回避する男は、その手が持つ強力な拳銃を使う機会を窺う余裕もなかった。
ジョルジュ・マグナーニの目の前にいる円卓十二騎士最古参の男は、同郷相手でも一切手を抜くつもりはないようだった。
  _
(;゚∀゚)「くおっ!!」

瓦礫の上をバックステップで下がり、足場が崩れたおかげで顔を両断するはずだった一線を避けたジョルジュの肩が背後から掴まれ、思いきり引っ張られる。
その直後に言葉がかけられた。

〔欒゚[::|::]゚〕『同志!! 下がって!!』

<::::_/''>

砂漠用の迷彩を施されたCクラスの棺桶は、ジョルジュと入れ替わるようにして現れたジョン・ドゥの首を一閃。
更に見せつけるようにして両側から袈裟斬りにし、肉塊を作り上げた。
数の有利はジョルジュたちにあったが、戦場の環境は相手に地の利があった。
四足歩行という異形の脚部は、瓦礫と化した町での白兵戦を優位にしている。

高周波振動の音はしないが、単純な膂力と速度、そして正確に装甲の隙間を狙う技量がジョン・ドゥを切り殺したのである。
ジョルジュはその棺桶を使う人間を知っていた。
無論、名前だけだが。
円卓十二騎士の第一騎士、シラネーヨ・ステファノベーメル。

詳細は知らないが、確実に言えるのはその戦闘能力がシナー・クラークスを凌駕しているということ。
シナーの戦闘能力はジョルジュよりも高い。
つまり、ジョルジュが正攻法で勝つことは無理ということだ。

〔欒゚[::|::]゚〕『距離を取って撃ち殺せ!!』

ジョルジュが離れたのを機に、銃弾が一斉に襲い掛かる。
ジュスティア陸軍相手を前提としているため、ライフルに装填されているのは対強化外骨格用のそれだ。
追加装甲でもない限り、その使用者を殺めることのできる強力な銃弾。

<::::_/''>『小賢しい』

銃撃が始まる寸前、四つの足が動いたのをジョルジュだけが目視できた。
限界まで前傾姿勢を取った次の瞬間、その体が加速。
爆ぜるようにして後退し、左手のショーテルを投擲した。
そのショーテルはジョン・ドゥの手が持つライフルを切り裂き、柄から伸びるワイヤーによって誘導され、つむじ風の様に周囲を薙ぎ払う。

まるでそれ自身に意志があるかのようにうねり、次々と味方を襲っていく。

〔欒゚[::|::]゚〕『う、おおおっ?!』

3 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:[ここ壊れてます] .net
殺傷力は先ほどよりも落ちているとはいえ、十分すぎるほどの牽制が出来る。
特に、その戦闘力の断片を見せつけられれば警戒しないわけにはいかない。
照準が定まらなくなったその一瞬。
巨体が肉食獣めいた動きを見せ、その場から瞬時に移動した。

着地と同時に二体のジョン・ドゥの胴体を切り裂き、更に別のジョン・ドゥにショーテルを投げ、顔を破壊した。
その間、ジョルジュは後退しつつ、手に持ったオートマチック・ツェリザカ――ダーティハリー――を構えて狙いを付けようとしていた。
だが巨体に似つかわしくない高機動に対し、狙いが簡単に定まるはずもない。
威力は絶大だが反動も大きいため、狙いを誤ると次の瞬間には殺されている可能性が高い。

近くにいる味方に当たれば命を奪うだけの威力を持つ銃弾だけに、ジョルジュの行動は慎重さが求められるものとなっていた。
撃鉄は既に起きており、銃爪を引くだけだが、それができない。
オートマチックで放たれるのは六発だけという不安が、どうしても拭いきれないのだ。
未だジュスティアで受けた尋問の傷が癒え切らないジョルジュが逃げ続けるのは不可能であり、どこかで覚悟を決めなければならない。
  _
(;゚∀゚)「あぁ、くそっ……!!」

次々に味方が現れ、そして殺されていく。
退くしかない。
彼の周囲にいるのは組織の中でも腕利きの人間だった。
だが、まるで歯が立たない。

ジュスティアの最高戦力の中でも、上位七人――レジェンドセブン――の一人。
更に言えば、入れ替わり制の円卓十二騎士の中で最古参ということは、最も戦闘経験のある人間ということでもある。
ジョルジュが知る情報はそこまでだが、それだけで十分だった。
こうして目の前で圧倒的な力を見せつけられれば、嫌でも理解することになる。
  _
(;゚∀゚)「ミルナ、クックル!! こっちに来れるか?!」

だが無線機はむなしくホワイトノイズを吐き出すだけ。
大規模な通信妨害が行われている様だった。
自軍が壊滅状態にあるという状況からか、それとも、あえて無線を完全に封鎖した状態で戦うことが出来るのか。
  _
(;゚∀゚)「ちっ……!! おい、俺をミルナたちのところに連れていけ!!
    こいつは円卓十二騎士だ!! 全力中の全力で殺せ!!」

ここで負けることは許されない。
ジュスティアにはまだこのレベルの人間が後11人はいることになる。
この日の為に訓練と実戦を積んできた部下たちがまるで赤子扱いだ。
調整を済ませた量産機ではまるで太刀打ちできない。

ミルナ・G・ホーキンスとクックル・タンカーブーツの二人ならば、この規格外の人間を相手に戦えるはずだ。
あの二人と合流すれば、生存率が高まることは確実だ。
正面から戦って勝てる相手でないと判断したジョルジュは、この場からの撤退を決めた。

<::::_/''>『指揮官が逃げるとは、情けないな!!』

何と言われようとも、生きていなければ意味がない。
挑発に乗るような矜持は持ち合わせがなかった。

〔欒゚[::|::]゚〕『同志、お急ぎください!!』

銃声を背に、ジョルジュはジョン・ドゥに担がれてその場から逃げ出した。
果たしてどこまで持ちこたえられるのか。
10分も稼げれば御の字と言えるだろう。

<::::_/''>『雑魚が集まったところで、何も変わらん』

〔欒゚[::|::]゚〕『いいや、変わるね!!』

4 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:[ここ壊れてます] .net
ライフルを撃ちながら男が答える。
答える義理などないのに。
答えたところで何かが変わることは無いのに。
あと少しの命だというのに。

それでも、男は答えたのだ。

〔欒゚[::|::]゚〕『世界は、今日変わるんだ!!
      俺達が変えるんだよ!!』

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                   ,ィ====ミ         `ヽ
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第十章 【 Ammo for Rebalance part7 -世界を変える銃弾 part7-】

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同日 同時刻

市長執務室にて、フォックス・ジャラン・スリウァヤは情報の統合による状況の整理を行っていた。
既に街に質量弾が撃ち込まれ、スリーピースが持つ防衛機能は7割以下に落ち込んでしまっている。
対空防御の穴を突かれるのは時間の問題だった。
海戦ではまだ目新しい戦果を挙げられていない。

爪'ー`)y‐「……ふぅ」

溜息を吐き、万年筆を机に置く。
海軍大将が死に、陸軍大将は命からがら逃げ伸びた。
既に陸軍は大打撃を受けており、大規模な妨害電波による攪乱と円卓十二騎士を二人派遣することでどうにか偽りの均衡を演じている。
正直なところ、陸軍が受けた打撃は極めて大きかった。

全てを失ったわけではないが、これだけの短時間で半数近くを失ったのは明らかに予定外だ。
超長距離からの非常識な砲撃がなければ、こうはなっていなかった。
既にハート・ロッカーが起動し、砲撃を開始しているという事実はジュスティアだけでなくイルトリアにとっても脅威だ。
派遣したハロー・コールハーンからの連絡は途絶えており、状況は分からない。

同様に、敵艦に潜入しているワカッテマス・ロンウルフからも連絡がない。
だがラヴニカにいるティングル・ポーツマス・ポールスミスからは連絡があり、ラヴニカでの武装蜂起が成功した旨は聞いていた。
更に、アサピー・ポストマンと共に行動しているニダー・スベヌも連絡を寄越してきたが、イルトリアに向かう敵を追跡しているというものが最後だった。
街の外に円卓十二騎士の半数を派遣しているため、街の中の守りも完璧とは言えない。

次に敵が打つ手は容易に想像が出来る。
市街戦は決して避けることのできない展開だろう。
特に気をつけたいのは海上から上陸してくる敵だ。
積極的な姿勢に切り替わった敵艦隊を止められないと仮定すると、次に控えているのは上陸戦。

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ラスト・エアベンダーの飛行可能な高さ次第では、スリーピースに迎撃用の兵を送らなければならない。
敵艦の到着までは後10分程度だろう。
それまでに打てる手を打たなければ、ジュスティアは負ける。
敵戦艦とハート・ロッカーが健在である以上、それは避けられない。

戦闘における攻撃可能範囲は絶対だ。
より遠方からより正確な攻撃が出来るのであれば、反撃を気にせずに一方的に相手に大打撃を与えることが出来る。
こちらは人員を派遣しているが、それが効果を発揮するまでには時間がかかる。
こればかりは現場の人間達を信じるしかないが、状況が状況であるため、絶対はない。

爪'ー`)y‐「……保険をかけるか」

電話を手にし、フォックスはダイヤルを押して言葉通りの保険をかけることにした。
彼が電話を終えた時、状況は更に変化していたのであった。

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同日 同時刻

ジュスティアの海上は大荒れだった。
残骸と化したジュスティア海軍の艦隊を巨大な空母が蹴散らし、容赦なく進んで行く。
空母であるオーシャンズ13はそれ一隻だけで十分な壁として機能するだけでなく、侵攻対象の湾に対して物理的に接岸することで部隊を安全に上陸させる役割を担っていた。
後方に控えるロストアークによる砲撃は一発単位で指揮を向上させ、同時にジュスティアの士気を低下させる。

ワカッテマス・ロンウルフはジュスティア攻略の要であるロストアーク内で、大規模な妨害工作を行っていた。
円卓十二騎士として彼がティングル・ポーツマス・ポールスミスと共に与えられた任務は、正体不明の秘密結社に潜入し、その目的と作戦の一切合切を把握すること。
そして、相手にとって最悪のタイミングで出鼻を挫くこと。
潜入中の報告は全て各自に委ねられ、どこまで手を貸すのかも委ねられていた。

結果、ワカッテマスが選んだのはまさにジュスティアに攻め入るこの瞬間だった。
彼が潜入して分かったのは、敵組織の持つ圧倒的な軍事力と用意周到な準備は決して崩せないという非情な現実だった。
用意されていた棺桶の総数と性能はジュスティア軍を凌ぐほどであり、今日を迎えるにあたって用意された全ての計画は容易に覆せないほど綿密な物だった。
世界各地で行う一斉蜂起。

その規模。
その執念。
計画が実行に移されるまでの間で解決できる可能性も策もないため、彼が選んだのは出鼻を挫くこと。
13隻の空母という規格外の概念。

そして、スリーピースを破壊し得るロストアークという戦艦。
少なくともジュスティア軍は正面切っての戦闘には耐えられるかもしれないが、この戦艦が持っている主砲は危険極まりない。
スリーピース唯一の弱点である質量弾を用意していることが分かったのは、出航の直前だった。
今ワカッテマスにとって優先するのは主砲の無力化だった。

合計20門ある主砲の内、5門を無力化することが出来ているが、まだ15門も残されている。
自動装填装置に細工をしたことが功を奏し、今のところは砲撃を抑え込めているが、修理にどのくらい時間を費やすのかはまるで読めない。
優秀なエンジニアが乗っている可能性を考えれば、後5分もすれば解決してしまうかもしれない。

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(#´・ω・`)「待てよああああ!!」

背後から怒鳴りながら走ってくるショボン・パドローネもまた、解決しなければならない問題だった。
今、ワカッテマスは船中から狙われる身となっていた。
操舵室に向かって進んでいることを悟られないように戦艦内を走っている間も、思考を止めることはしない。
構造は理解しているため、逃げ道に迷うことは無かったが――

( <●><●>)「ふんっ……!!」

――出会い頭に現れる人間を掌底で殴り倒し、武器を奪い、拾い上げた閃光手榴弾を背後に投げ捨てて行くのには限界がある。
狭い船内で使うことを想定した棺桶がいないことが幸いだったが、Bクラスの棺桶が出されることは時間の問題だった。
奪い取った銃に装填されているのは通常の弾だった。
生身の人間を殺すことは出来るが、棺桶相手には意味を成さない。

船の中で撃てば船の隔壁を貫通し、思いもよらない被害を生み出してしまうためだ。

( <●><●>)「さて、どうしたもんですかね」

主砲の無力化は絶対の任務だ。
スリーピースが無事である限り、壁を越えて侵入しようとする敵は蚊の様に落ちることになる。
だがその壁が失われてしまえば、ジュスティアは混沌の坩堝と化す。
外からの攻撃を防ぐ壁が転じて内部の人間の退路を断つことになる。

( <●><●>)「ふぅむ」

数の力をどう抑え込むのか。
いつ、どんな時でも彼はその状況に直面してきた。
モスカウの統率者である“ロールシャッハ”が使用する棺桶“ウォッチメン”の能力で補えるのは、いつでも限りがあった。
それはいつものことであると同時に、彼がこの仕事を続ける理由の一つでもあった。

容赦のない制約の中で自分を試す。
己を試すという行為は、彼にとって幼少期から常にあったものだ。
学力、体力、人望など、あらゆるものを試すことで自分の力を知ることが出来る。
それは危険と隣り合わせのものだが、彼はその快楽から逃げることが出来なかった。

試して、知る。
一つの結果が幾つもの結果に転じるその瞬間が、彼にとって生きているということを実感させた。
謎を解き明かすことは彼にとってその代案でしかなく、モスカウの最高責任者の椅子に座ることになったのはその産物に過ぎない。
彼にとって現段階で最大の目標は、ある女の素性を知ることにあった。

今はその過程であり、世界の天秤を狂わせようとする輩の計画を邪魔することはついででしかない。
無事に真の目的を達成するためには、この場を生きて抜け出さなければならない。

〔欒゚[::|::]゚〕『逃がすか!!』

( <●><●>)「あー、もう」

一機のジョン・ドゥが道を塞ぐようにして現れ、拳を握り固めて振りかぶり、襲い掛かってきた。
その速度は人間を遥かに凌駕しているが、ワカッテマスの動体視力と彼の肉体を補助するウォッチメンの能力が力の差を埋め合わせる。
狭い空間であることと、味方が大勢いることから銃を使うという選択を選ばなかったのは正解だが、棺桶を使っての格闘戦は経験値が物を言う。
余裕をもって右ストレートを回避し、ワカッテマスは猫の様にしなやかな動きで相手の懐に入り込む。

腰のホルスターから拳銃を抜き取り、その銃腔を相手の腹部に向けて銃爪を引く。
連続で放たれた銃弾は装甲を撃ち抜き、守られていた内臓を著しく損傷させた。

〔欒゚[::|::]゚〕『ごふっ……!?』

7 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:[ここ壊れてます] .net
彼らの装備については熟知している。
棺桶が持っている武器にだけは対棺桶用の弾が装填されていることも、知っていた。
ようやく戦える武器を手にしたワカッテマスだったが、銃声によってこちらの位置は更に広く知れ渡ることとなった。
瀕死の男を押しのけ、右舷甲板に通じる扉を開いた。

潮風と砲声が一気に飛び込んできた。

( <●><●>)「うん、良くないですね」

海面に浮かぶ船の残骸はジュスティア海軍の物が多く、戦況が芳しくないことを物語っている。
やはり一斉に起きた自爆がジュスティア海軍に一番の打撃を与えたのだろう。
連携力を失い、虚を突かれた軍隊は極めて脆くなる。
ましてや指揮官を失った後ともなれば、混乱が収まるのはまずもって不可能と言える。

二つの砲撃にさらされれば、スリーピースはひとたまりもない。
スリーピース唯一の弱点である質量弾についてこうも早く看破されるのは、流石に予想外だった。
いや、正確に言えば、本番用の砲弾として爆発以外の手段で壁を破壊する用意があったことが予想外だったのだ。
敵の準備は完璧だった。

用意周到。
最悪を予期して最善を尽くす、という基本に忠実な準備でありながら、一切の油断もない。
ジュスティアを相手にするということをよく理解している。
甲板を走りながら、ワカッテマスは相手に対して畏敬の念を抱いていた。

世界を変えるという目的を達するために用意してきた歳月と執念は、呪いの類と言っても過言ではないだろう。
標的も正確に定め、その攻略についても徹底している。

(#´・ω・`)「見つけたぞ糞野郎が!!」

( <●><●>)「あ、もう来ちゃいました?」

筋力補助を受けたワカッテマスの走る速度と、薬物によって強化されたショボンの速力は拮抗していた。
巨大な戦艦の甲板は波に揺られて左右に傾き、足場は不安定だった。
未だ健在の主砲を無力化するという目的を気取られないよう、ワカッテマスは別の入り口から再び船内へと向かった。
階段を一気に飛び降り、狭い通路を全力で駆け抜ける。

曲がり角は壁を使って走り抜けることで速度を落とさないようにし、時間的な余裕を少しでも捻出するように努めた。
主砲を無力化する為に彼が用意したプランは二つ。
一つは直接手を下すこと。
もう一つは、すでに仕掛けが終わっているが、装填される砲弾の細工が発動することだ。

時間がなかったために大掛かりな仕掛けではないが、自動装填装置の不備を突いたその細工は実際に上手く効果を発揮した。
装填される砲弾に爆薬を仕掛け、砲撃しようとした瞬間に砲門が吹き飛ぶというシンプルな物だ。
一つは遠隔操作で爆破できるようにしていたこともあり、任意のタイミングで砲弾が置かれている場所ごと吹き飛ばすことが出来たが、他の場所は健在。
仕掛けを施した砲弾がいつ使われるのか分からないため、残った三か所については自ら手を下さなければ早急な無力化は不可能だ。

だがどちらも重要な場所であるため、常に兵士が待機している。
侵入は容易ではない。

(#´・ω・`)「待てって言ってるだろうが!!」

( <●><●>)「嫌ですよ、男との追いかけっこなんて」

〔欒゚[::|::]゚〕『通すか!!』

曲がった先でジョン・ドゥが2機、両手を広げて道を塞いでいる。
ワカッテマスは速度を緩めることなく走りながら、奪った拳銃を発砲した。
正確に頭部のカメラを撃ち抜かれた2機は仰向けに倒れて沈黙した。
死体を乗り越え、すぐに水密扉を閉めてバルブをねじ切った。

8 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:[ここ壊れてます] .net
これで多少は時間が稼げる。
船を沈めるという最終手段を取らずに済むよう、やれる限りの事をするしかない。
モスカウの統率者は静かに息を吐き、意識を任務に向けて集中させた。
ジュスティアが敗北するということは、正義の天秤が傾くということ。

そうなれば、世界は――

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    iト、/ム          ...............i|  | |{  / ̄ ̄ヽ__ノフ7劣辷i}         /イ___
    / i}斧ム         ...............i|  | |i\/:.:.:.:.:.:./i}/ ̄ ̄|i\込、_ -‐_ -‐'./   /|
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同日 AM10:25

相手は戦闘のプロだった。
困難な任務に幾度も参加し、成功を収めてきた。
イルトリア軍人として訓練を積み、経験を積み、実戦を生き延びてきたことは何よりも自信につながっていた。
その自信はジュスティア軍に対しての過小評価につながり、そして、今につながる。

[,.゚゚::|::゚゚.,]『ぬぇああああ!!』

レーザーによる攻撃を諦め、力任せに振りかぶる巨大な鉤爪。
その挙動の全てから、彼がこれまでに経験してきた戦闘の多くを理解することが出来る。
ダニー・エクストプラズマンは攻撃を回避し、冷静に目の前の巨漢を分析していた。
武力、戦闘力があれば大概の事は解決できると信じてきた動きだ。

似`゚益゚似『しっ!!』

隙だらけとなった胴体に放ったのは槍の様な鋭い前蹴り。
接触する寸前に高周波振動を付加し、破壊力を爆発的に向上させる。
しかしその一撃を、横合いから伸びてきた四枚の盾が防ぐ。
高周波振動と触れた盾は壊れることなく、金属同士を擦り合うような甲高い音を上げてダニーの攻撃を防ぎ続けている。

本来は自分の装甲として身にまとっている物が展開し、薄い盾として広域の防御が出来る棺桶なのだろう。
つまりは防御特化のコンセプト・シリーズ。
攻撃については驚異足り得ない。

〔 【≡|≡】〕『雄雄雄おおっ!!』

似`゚益゚似『キャオラッ!!』

盾を足場にして飛び上がり、空中で四度蹴りを放つ。
演舞でしか見せることのないようなその攻撃を実戦で披露したのは、決して彼の油断や過信が原因ではない。
武術全般を習得し、これまでは演舞として披露されていた技の数々を実戦で使えるように鍛え抜いてきた自信に基づく行為だ。
攻撃を全て防いできた盾を蹴り飛ばし、着地と同時にバク転で距離を置く。

9 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:[ここ壊れてます] .net
直後、八本のレーザーがその場を網目状に切り裂き、離れた位置に着地したダニーに向かって伸びてくる。
しかしそのどれも彼に当たることなく虚空へと消えてゆく。

似`゚益゚似『だおっ!!』

強烈に踏み込み、その場から一気に跳躍する。
一見して無防備な空中だが、攻撃を担当している人間は今再装填の際中。
迎撃するとしたら、盾を持った人間だけとなる。
ダニーにとって盾は攻撃を防がれるだけでなく、こちらの攻撃の足場にもなり得るものだ。

相手が次にどの手を選ぶかによって、更に力量を測ることが出来る。
放つのは正中線連撃。
強化外骨格に身を包まれていたとしても、そこの奥にある急所に変わりはない。
正中線がある以上、その法則から逸脱することはまずない。

そう。
棺桶にも急所は存在する。
各関節のつなぎ目。
機械の集中する中心部。

そこを的確に狙い、打撃を与えることで人体と同じかそれ以上の損傷を与えられる。
人体であれば精神力でカバーできることもあるが、機械の場合はそうはいかない。
一度エラーを出せば命令を受け入れず、動くことは無い。
股間、水月、喉、人中。

そこに存在するのは関節の要所、精密機器の中継地点、そして外部情報を収取する重要箇所だ。
一秒にも満たない間に放たれた必殺の連撃を防ぐために再び盾が展開される。
想定通りだった。
確かにここではそうするしかないだろう。

互いに役割を決めているのであれば、そうするしかない。
しかしそれでは足りない。
盾を踏み台にしてさらに跳躍し、狙うのは青黒い装甲を持つ盾役の棺桶。
防御特化であろうとも、それを打ち破る武術の前には意味を持たない。

頭上から重力を加えた踵落としを相手の頭部に放つ。

〔 【≡|≡】〕『んなああぁっ!!』

こちらの意図を寸前で察したのか、両腕を交差させてその攻撃を防ぐ。
衝撃が腕を通じて下半身に向かい、そして足場にしている瓦礫に伝達する。
瓦礫が砕け、足場が崩落する。
防御は出来ても姿勢制御は平均通りの性能であるため、そのまま姿勢を崩して転倒した。

一方、備えていたダニーは着地と同時に疾駆し、不安定な足場から強烈な足払いを鉤爪の棺桶に向けて放った。
再装填の終わったレーザーを放とうとしていた姿勢が大きく崩れ、レーザーは空に向けて放たれた。

[,.゚゚::|::゚゚.,]『うおおおっ?!』

姿勢を元に戻そうと力むも、足場が脆いため、すぐにまた姿勢を崩す。
どちらもCクラスということが災いし、瓦礫の山と化したこのオリノシではその重量と巨体が仇となる。
崩れた姿勢を見逃すことなく、後ろ回し蹴りを無防備な股関節部に向けて放った。
その一撃はつるはしの様に鉤爪の棺桶の股関節部に直撃したが、妙な手応えにダニーは眉をしかめた。

似`゚益゚似『追加装甲かっ……!!』

彼の打撃が間接に到達した瞬間、足に覚えた違和感。
そして一撃を当てた途端に外れた黒い装甲。
通常の設計とは別に追加された肉厚の装甲に間違いない。

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似`゚益゚似『それが弱点か!!』

追加装甲はとどのつまり、装甲の補強が目的だ。
通常の装甲では不安であることの裏返しであり、排熱の関係で装甲の厚みが薄いことを示唆している。
狙うならば追加装甲のはがれた場所。
更に連続して蹴りと拳を放ち、装甲の継ぎ目を執拗に狙って攻撃するのが定石。

[,.゚゚::|::゚゚.,]『こっ、こいつ!!』

似`゚益゚似『逃がすか!!』

腕と足を駆使した連撃は練り上げられた武の極致。
例え実戦経験豊富な軍属だったとしても、防ぎきることは不可能だ。
巨大な氷を削る刃の様に追加装甲を剥ぎ取り、元の白い装甲が露わになっていく。
その連撃を防ごうと青黒い盾が介入してくるが、その都度弾き飛ばす。

防御力は比類がないほどに高いが、衝撃にはそれほど強くはない。
折り畳み式の構造上、特に上下への衝撃は負荷がかかるため安全装置が備わっているはずだ。
事実、ダニーが弾いた盾は関節部に負荷がかかったようで、再び動き出すまでに時間がかかっている。

〔 【≡|≡】〕『クックル!!』

展開していた盾が一斉に使用者の元に戻り、分厚い装甲へと変貌する。
防御による援護を早々に諦めた青黒い棺桶がダニー目掛けて突進する。
肉薄する巨体、後退する巨体。
ダニーはそのどちらにも対応した。

似`゚益゚似『ふんぬっ!!』

まずは青黒い棺桶。
接近してくるエネルギーを利用し、左拳の直突き。
高周波振動は使わず、純粋な技術と力を合わせた攻撃。
狙い違わず胸部に拳が触れた瞬間、強い踏み込みによって威力を増強。

つま先から段階的に加速を加えたその一撃は、通常の直突きとは一線を画す威力を発揮した。

〔 【≡|≡】〕『ぬっああああ!?』

装甲が頑丈でも、衝撃を殺しきることは出来ない。
ましてや、装甲の内側に向けて衝撃が入る様に放った一撃は至近距離で暴徒鎮圧用の弾を食らうようなものだ。
重量のある棺桶が宙を舞い、瓦礫の山に背中から倒れ込んだ。

似`゚益゚似『ちぇえあああ!!』

そして続く一撃は、正面の追加装甲をほとんど失った棺桶に向けての渾身の右ストレート――

[,.゚゚::|::゚゚.,]『っせるかよ!!』

――まるで空間そのものを切り裂く様に、上と横から合計八本のレーザーが襲い掛かる。
逃げ道はない。
元より、後退という道はない。
前に進む。

ただ、それだけ。

似`゚益゚似『呼っ!!』

本命は、右ストレートに偽装した超低姿勢からの足払い。
上から迫るレーザーが当たるよりも早く、ダニーの足払いは相手から足場を奪い取った。

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[,.゚゚::|::゚゚.,]『そう何度も!!』

不安定な姿勢から腕を地面に突き立て、それを軸にしたアクロバティックな回し蹴り。
しかし付け焼き刃的な攻撃だ。
左腕の高周波振動を起動させ、防御と攻撃を両立させる。
回し蹴りを放った右足を受け止めると、金切り声の様な音が鳴り響く。

辛うじてふくらはぎに残されていた追加装甲が粉々に散って行く。

[,.゚゚::|::゚゚.,]『やれ!!』

〔 【≡|≡】〕『応!!』

頭上から両手を組んだ棺桶が降下。

似`゚益゚似『ちっ……!!』

すかさず高周波振動によって全身を守る。
相手がこちらの衝撃を防ぎきれないのと同じく、こちらも相手の重量を完全に防ぎきることは出来ない。
左脚で直上からの攻撃を防ぎ、体術によってその衝撃を全て地面へと受け流した。
足場となっていた地面が大きく陥没し、三人は体勢を崩す。

ダニーだけはその状況でも冷静さを失わず、白い棺桶の両腕に備わった排莢口に打撃を加えるだけの余裕があった。
一撃を加え、ダニーは即座に両者から距離を取る。

似`゚益゚似『ふーっ!!』

深く息を吐いて呼吸を整え、ダニーは右手右足を前にして構えた。

〔 【≡|≡】〕『化け物か、こいつ……』

[,.゚゚::|::゚゚.,]『くそっ、排莢出来ねぇ……!!』

これで近距離戦に集中できる。
油断なく、躊躇いなく。
確実にここで息の根を止める。

似`゚益゚似『――しっ!!』

吐きだした息を置き去りに、ダニーは疾駆する。
狙うのは防御特化の棺桶。
打撃が駄目ならば、別の技で仕留めればいい。
高周波振動さえ防ぎきる鎧。

だが、動く以上は関節が存在する。
足元の瓦礫を蹴り上げ、相手のカメラを物理的に一時無力化する。
その隙に低い姿勢から一気に飛び掛かり、相手の肩に背後から乗る。

〔 【≡|≡】〕『んなっ?!』

似`゚益゚似『ふっ!!』

首を脚で包むにようにして胡坐をかき、全体重と反動を利用して――

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同日 同時刻

“魔術師”シラネーヨ・ステファノベーメルは無心で戦闘を続行していた。
両手のショーテルは的確にジョン・ドゥの関節部に突き刺さり、その奥にある人間の体を傷つけ、致命傷を与える。
十字砲火を浴びるも、銃弾を受け流すように設計された流線型の装甲の恩恵もあって致命傷には至らない。
バッテリーの残量は十分とは言えないが、ここにいる敵軍を排除するには十分だ。

<::::_/''>『……!!』

彼の使用する“ロレンス・オブ・アラビア”にとって、この戦場は有利とは言い難い。
液体か、もしくは細かな粒子状の物がなければその性能を最大限発揮することは出来ない。
現実的な問題として、彼の棺桶が有する武器は両手のショーテルだけだ。
地の利がなければ、その威力はただのナイフ程度でしかない。

それを補うのが経験と実力、そして身につけてきた武力だ。
今彼が敵対している様な、無抵抗な人間を殺してきた即物的な兵士とは違い、実戦でこそ真価を発揮する力。
例えば、ショーテルの切っ先を使って釣り上げた瓦礫を投擲したり、刃の食い込んだジョン・ドゥを盾にしたりと、戦い方は多彩を極める。
時間はかかるだろうが、この戦場で後れを取ることなど有り得ない。

「何だ、この体たらくは」

その声の主は、50メートルほど先の場所で停車していたジュスティア陸軍の車輌から姿を現した。
誰もいないものと思っていたが、何かに苛立ち、我慢しかねて現れたようだった。
そして奇妙なことに、白いパンツスーツに身を包んだその女の出現と共に銃撃が止んだ。
あまりにも異様な光景に、思わずシラネーヨは立ち止まって攻撃の手を止めていた。

その女に、彼は見覚えがあった。
爆殺されたライダル・ヅーの死を偽装するため、ジュスティア警察が雇い入れた女。
名は――

〔欒゚[::|::]゚〕『ど、同志キュート・ウルヴァリン!?
      何故ここへ?!』


o川*゚-゚)o「殺しの童貞は捨てたが、結局のところこの程度か」


――キュート・ウルヴァリン。

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<::::_/''>『なぜ貴様がここに?』

o川*゚-゚)o「シラネーヨ」

それは、紛れもなくシラネーヨの声色そのものだった。
自分の声色で自分の口癖を使われたことに対する驚きよりも、その胆力に驚いた。
ここは非の打ち所のない戦場で、激戦地だ。
生身のまま姿を現すことの愚を知らないわけではないだろう。

o川*゚-゚)o「質で劣るなら数で攻め落とせばいいだけだろう。
       こんな老人相手に躊躇する必要などない」

<::::_/''>『……はっ、随分と吠えるな。
    お前、最初からこいつらの仲間だったのか』

o川*゚-゚)o「あぁ、そうだよ。
       知らなかったのか、この間抜けが」

<::::_/''>『なら、今ここで殺す』

o川*゚-゚)o「殺す? お前が? 私を?」

直後、キュートはそれまでの顰め面を歪ませ、爆笑した。
黒い手袋をはめた手で腹を抱えて笑い、目尻からは涙が流れている。
その手袋にケーブルが繋がっているのを、シラネーヨは見逃さなかった。
あれは、Aクラスの棺桶だ。

o川*゚ー゚)o「あっはっはははは!!
       本気か?! 正気か?! 痴呆症か?!
       無理だよ、無理。
       自慢の棺桶を使っても、お前は私を縊り殺すことさえ出来ないさ」

<::::_/''>『駄犬ほどよく吠える。
     多少は鍛えているようだが、その驕りは若さ故か?
     哀れなものだ』

o川*゚ー゚)o「レジェンドセブンも耄碌したものだ。
       最古参の席、そろそろ若手に譲る日が来たみたいだな。
       おい、お前たちは一切手を出すな。
       これは私とこの死にぞこない、あぁ、“棺桶に入った”爺との喧嘩だ」

その高慢な態度は一切変化しないどころか、完全にこちらを見下したままだった。
生身でCクラスの棺桶を身にまとったこちらに勝てると、本気で思っているのだ。
何か策があるのか、それともただの驕りなのか。
いずれにしても、安い挑発に乗る程シラネーヨは若くない。

罠があると考えて間違いない。
このタイミングで登場し、このタイミングで裏切りを宣言したのには意味がある。
そして挑発行為。
間違いなく、何かしらの勝算があってこちらを誘っているのだ。

恐らくは装着している棺桶の性能に自信があるのだろう。
小型という点で考えれば、コンセプト・シリーズだとしても過剰に恐れる必要はない。
彼の知るAクラスのコンセプト・シリーズのほとんどが携帯性と対強化外骨格戦闘に特化させた物。
その戦闘力を上げているのは、例外なく武器の類を使用してのこと。

ダーティハリーであれば銃を。
ブリッツであれば高周波振動刀を、といった具合だ。
しかも手袋に偽装しているということは、それ自身に何かしらの力があるということだ。
精々電撃によってこちらのバッテリーを破壊する程度だろう。

14 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:[ここ壊れてます] .net
電撃対策に予備のバッテリーが備わっているこちらには、大した脅威ではない。
無論、それすらも触れられればの話だ。
生身の人間に後れを取ることは絶対にない。

<::::_/''>『乗ると思うか、そんな安い挑発に』

o川*゚ー゚)o「挑発? あぁ、そう聞こえたなら謝罪しよう。
       事実を述べただけだ。
       私と喧嘩をしたくないのなら、そう言えばいい。
       怖いものな、罠だと思って一斉射撃でもされるのは。

       全員、弾倉を外して銃をその場に置き、両手を挙げて跪け。
       そんなもの、この場には必要ない。
       私一人でこいつを殺す」

その言葉に対し、周囲の残党は驚くほどにあっさりと従った。
ほとんど同時に弾倉を外し、ライフルを地面に置いた。
更には両手を頭の上に乗せ、跪いた。

o川*゚ー゚)o「これでも怖いか?
       丹念に練り上げ、積み上げ、育て上げてきた武が否定されるのが」

不意打ちの可能性がこれで消えたが、まだ不十分だ。
キュートに対して彼の本能が一切の油断を許さない現状に、何一つとして疑問はない。

<::::_/''>『そこまで自信があるのか、自分の腕に』

o川*゚ー゚)o「いいや、それはない。
       だが確信がある。
       円卓十二騎士などともてはやされて図に乗った馬鹿など、恐れる必要はないとな。
       銅像を恐れる道理がどこにある?」

<::::_/''>『はっ! 言うに事を欠い――』

――直後。
彼の姿は砂塵を残して消失し、最大出力で加速。
キュートの死角となる背後に位置取り、ショーテルをその胴体目掛けて振り下ろした。
華奢な体が袈裟斬りにされ、宙を舞う。

<::::_/''>『……』

そのはずだった。
ショーテルはキュートを切り裂く前に空中で静止し、それ以上進むことは無かった。
否、それだけではない。
彼の使用するロレンス・オブ・アラビアその物が動きを止めている。

人間の反応速度で対応できるものではない。
正に必殺を確信して放った一撃だった。
キュートの意識と視界の死角を利用したその一撃は、止められたのではなく、止まってしまっていた。
彼女に触れられてすらいないというのに。

o川*゚ー゚)o「感心しないな、死角から不意打ちなどと。
       騎士のすることではないだろうに」

<::::_/''>『……』

シラネーヨは反論の声を出していた。
だが、マイクは一切機能をしていない。
棺桶のあらゆる機能が停止し、身動き一つ取れない。
バッテリーの破壊に備えた予備電源も備わっているが、それも動かない。

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o川*゚ー゚)o「どうした? 女は殺せないか?
       優しいな、騎士様は」

違う。
どれだけ力んでも、彼の全身を覆う棺桶は人の力で動くことは無い。
間違いなく言えることは、彼は攻撃を受けてなどいない。
電撃で回路がショートさせられたのであれば分かるが、それでもない。

キュートは彼の耳元に顔を寄せ、囁いた。

o川*゚-゚)o「EMP――電磁パルス――だよ」

その言葉の意味を、シラネーヨは知らなかった。
果たしてそれが何を指し示し、この結果に繋がったのか。
一体いつ、それが彼の棺桶を襲ったのか。
冷静に巡る思考の中、紛れのない動揺の一欠が彼の心を刺激する。

o川*゚-゚)o「気になるか? 何が起きたのか。
       だがな、もう必要のないことだ。
       貴様は今ここで死ぬんだ」

淡々と述べられる言葉。
動かない体。
シラネーヨの背筋に冷たい物が走る。

o川*゚ー゚)o「関節部に銃腔を突っ込んで撃て。
       カメラに向けて撃て。
       確実に殺すんだ。
       お前たちは、円卓十二騎士最強の男をその手で一方的に殺す。

       死体はジュスティアに見せつけてやれ」

<::::_/''>『……!!』

戦って死ぬのならばいい。
戦いに敗れるのならばいい。
不意打ちで傷つくのもいい。
だが。

何も抵抗できずに死ぬのだけは、断じて受け入れられない。
体が動きさえすれば。
腕の一つでも動けば、戦って死ぬことが出来る。
せめて何か、相手に一矢報いるまでは死ねない。

無抵抗のままに死にたくない。
無意味に死にたくない。
こんなところで死にたくない。
ただ死ぬことだけは、絶対に!

<::::_/''>『~~っ!!』

カメラは光学レンズを通して見える正面の世界だけを映しており、周囲で何が起きているのかは音でしか判断できない。
弾倉が装着され、コッキングレバーを引く音が聞こえる。
薬室の中の一発が地面に転がる音が聞こえる。
興奮した兵士の息遣いと跫音が聞こえる。

銃腔が間接部に乱暴に押し込まれるのが分かる。
レンズに銃腔が押し当てられるのが見える。
そして――

16 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:[ここ壊れてます] .net
<::::_/''>『……』

――銃声が、一斉に彼を襲った。
銃撃で関節は砕け、その先にある彼の肉体を貫通した。
内部で跳弾した弾丸が更に彼の体を破壊し、徐々に肉塊へと変えてゆく。
しかしその苦痛と恐怖は一瞬のこと。

目の前で光った白い光を最後に、彼の命は瓦礫の山に散っていたのだから――

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同日 同時刻

――自ら技を外し、転がり落ちるようにしてその場から避難していなければ、間違いなくダニーの頭部は宙を舞っていただろう。
代わりに左肩の装甲が吹き飛び、鈍い痛みが左腕全体に走る。
大口径の対強化外骨格用の弾は掠め飛んだだけでも十分な威力を持つ。
高周波振動の防御を発動していない場合、ダニー・ザ・ドッグの装甲は普通のBクラスの棺桶と大差はない。

似`゚益゚似『……ジョルジュ・マグナーニ!!』
  _
( ゚∀゚)「悪い、痛かったか?」

硝煙の立ち上る銃腔をダニーに向けたまま、ジョルジュはそう言った。
己の迂闊さに憤りを覚えるが、即座に気持ちを落ち着けた。
左肩の防御が失われても、彼には戦う術がある。
だが鍛え上げた体と技があっても、今の状況は圧倒的に不利だ。
  _
(;゚∀゚)「くっそ、一難去ってまた一難かよ……」

こうしてジョルジュが現れたことは、ダニーにとって予想外の事だった。
後ろ側から挟撃を担当していた“魔術師”が生身の人間を取り逃がすことなど有り得ない。
起きてはならないことが起きている。

似`゚益゚似『……』

鉄壁の防御となる全身の高周波振動は、左腕以外でしか使うことが出来なくなってしまった。
しかも、左腕はマヒした状態であり、戦いに使うことも出来ない。
そのことが悟られるのは時間の問題だろう。
左腕を集中して狙われれば、果たしてどうなるのか。

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考えても仕方のない話だ。
左腕を捨てる覚悟を決め、右腕を眼前に構える。
そして、全身の高周波振動発生装置を起動し、盾と矛を手に入れた。
現状を打破する戦略は、短期決戦一択。

問答は一切不要。
三人とも殺すだけだ。
  _
(;゚∀゚)「ミルナ!! 盾を!!」

〔 【≡|≡】〕『分かってる!!』

こちらの意図を察した二人が即応する。
ダニーが狙うのは当然、ジョルジュだ。
腕以外は生身である彼を殺すのが容易であること、そして、飛び道具を持つ人間であるという点で優先的に殺すのはあまりも自然。
最大出力で加速するのと同時に、足元にある瓦礫を思いきり蹴り飛ばす。

飛び道具などなくても、足場には町一つ分の瓦礫がある。
当たれば致命的な一撃となる瓦礫が横殴りの雨よろしくジョルジュを襲う。
青黒い装甲が展開し、ジョルジュを包み込むようにして瓦礫を防ぐ。

〔 【≡|≡】〕『お前が強いのは分かった、認めてやる。
       だがな、武術なんていうのは!!
       兵器の!! 性能の!! 前には!! 意味がない!!』

瓦礫を防ぎながら、こちらの突進に合わせて迫ってきた。

似`゚益゚似『ぬっ……!!』

タイミングが僅かに狂い、ダニーの体が盾に押される。
しかし、狙いは決して外さない。
展開された盾の関節部に向け、上から拳を叩きつける。
関節部にかかった負荷は設定された数字を大きく上回り、結果、関節を起点に折れ――

似`゚益゚似『ちいっ!!』

――ない。
関節部にまで強固な素材を使っているらしく、関節が折れることは無かった。
だがその駆動部は今の一撃で故障した。
残る盾は三枚。

一瞬の攻防の中、次々と盾を払い除け、蹴り飛ばして進路を確保する。
  _
(;゚∀゚)「待ってたぜ!!」

盾の先に待ち受けていたジョルジュが銃を構え、こちらが絶対に避けられない状況で攻撃してくることは分かっていた。
銃爪が引き絞られ、大口径の銃弾が六発放たれる。
全てが必殺の銃弾。
高周波振動で弾丸自体を削り落としても、衝撃で各部位が使い物にならなくなるのは必至だ。

ならば、受け流せばいい。
狙われるのが分かっているのならば、それも出来る。
右手の手刀と右足で銃弾の軌道を横合いから妨害し、全て自らの周囲に着弾させた。
演舞の類として披露されるその技は、だがしかし、ダニーの技術があれば実戦でも十分に使える。
  _
(;゚∀゚)「なっ?!」

18 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:[ここ壊れてます] .net
既にジョルジュは間合い。
盾は全て払い除けた。
踏み込み、放つのは基本の拳。
基本を極めた者が放つ崩拳の威力は、人間を即死させるほどのものを発揮する。

似`゚益゚似『破ぁっ!!』

右拳の一撃は、彼に敵対する者の命を奪い取るのだ。

〔 【≡|≡】〕『通じないんだよ!!』

――飛び出してきた棺桶によって、ダニーの拳は正面から受け止められた。

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ミルナ・G・ホーキンスの人生は、失うばかりの人生だった。
幼少期、彼は貧困によって夢を失った。
彼の進む道は軍人以外になくなったが、両親はそれを喜んだ。
今ではその頃の夢を思い出すことはできない。

軍人となり、命令に従って生きるのは楽だったが、彼の心は満たされなかった。
やがて部下を引き連れる立場となり、ようやく、彼は己の心が求めるものが理解できた。
それは支配欲。
力によって物事をあるべき姿に変えるという、人間の持つ薄暗い欲望の一つだ。

彼の部隊は常に作戦を成功させてきた。
戦果は求められた以上を叩きだし、世界は彼の望んだ姿に近づいていった。
イルトリアの考え方は彼にとって眩しいほど理想的だった。
力による支配。

力による変革。
そう。
力があれば世界を変えることが出来る。
自分の夢を叶えるために自分の力を使えばいい。

今の時代にこそあった考え方であり、彼にとって最高の指針だった。
イルトリアという街への愛着は、人一倍あると自覚していた。
だが。
ある日を境に、彼の軍歴にケチが付き始めた。

派遣された戦闘地域で、奴隷として飼われていた耳付きを部下に射殺させた日。
害獣を始末させただけだったのだが、その日を境に部下からの人望が徐々に失われていったのだ。
確かに、イルトリアでは耳付きに対して差別的な傾向はない。
しかし世界的に見れば、耳付きは害獣の類として認識されている。

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間違っているのは自分ではない。
“ビースト”と呼ばれる耳付きの人間がイルトリア軍でも高い地位にいるのが間違いなのだ。
軍内部には彼の考えを理解する者もいた。
クックル・タンカーブーツもその内の一人だった。

耳付きに関する発言で注意を受け、謹慎処分を受けた時にミルナの気持ちに疑念が生まれた。
果たして、間違いはこのままでいいのだろうか。
ジュスティアに対していつまで経っても宣戦布告をしないのは、なぜなのだろうか。
争いを避ける姿勢は、イルトリアらしいと言えるのだろうか。

やがて、クックルが降格処分を受けて除隊したことでミルナはイルトリアに対して強い不信感を抱くようになった。
彼が憧れていた、心酔していた強いイルトリアは失われつつある。
取り戻すためには、荒療治が必要になる。
改めて世界のルールを統一すれば、その目的は達成することが出来るはずだ。

彼は争いの中に身を置かなければ正気ではいられなかった。
イルトリア軍を抜けた後、彼は他の軍人たちと違って名を変えることなく傭兵会社に籍を置いた。
世界中に派遣され、殺しを請け負った。
街を襲い、無垢な人間を殺すたび、彼は心を痛めた。

だがそれ以上に心を痛めたのは、少年兵の存在だった。
少年兵は不要な存在だ。
子供が人を殺すなど、あってはならない。
ましてや、子供が殺されることなど許容されてはならない。

世界のバランスは、間違いなく狂っていると思った。
力は正しく使わなければならない。
壊れたバランスを正すためには力が必要だ。
真に強いイルトリアがこの世界に再誕すれば、無用な争いはなくなる。

いつかその日が来ることを夢見て、ミルナは銃を手に戦い続けた。
やがてクックルが彼と同じ傭兵会社に加わり、傭兵として民間人を殺すことにも慣れてきた頃、運命の転機が訪れた。
クックルを介したティンバーランドという秘密結社からの接触だった。
彼らが掲げる世界を一つにするという目標に触発され、参加を快諾した。

世界が一つになっても争いがなくなることはないだろう。
管理されることを嫌う人間は決していなくなることはない。
故に、世界という基準で見た時にそうした人間は明確な悪となる。
悪を撃ち滅ぼすための暴力が正義として定義され、ジュスティアの様な自己満足の正義が淘汰される。

世界から耳付きを絶滅させることで、世界は完全な形に向かって行く。
全ては、世界が大樹となる為に必要な行動だった。
故に。
今、防御特化の棺桶を用いる自分とジュスティア内部に精通しているジョルジュの命を天秤にかけた場合。

優先されるのは、ジョルジュの命を守り、円卓十二騎士の命を奪うこと。
その為であれば、ここでマン・オブ・スティールを失っても構わない。
ほぼ生身のジョルジュを守るため、彼の前に飛び出した行動にミスはない。
ここで相手の拳を受け止めれば、後の二人が始末をつけてくれる。

世界最硬度の装甲を打ち破れる攻撃など、この世界には存在しない。
先ほど見せた装甲を貫通する打撃は確かに驚いたが、耐えきれない程ではない。
鍛えた肉体に力を込めれば、受けきることなど造作もない。

〔 【≡|≡】〕『……ごふっ?!』

――そう。
装甲は、確かに無事だった。
傷一つつかず、確かに拳を受け止めている。
だが、如何なる原理か、彼の内蔵は深刻なダメージを負っていた。

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口の中いっぱいに血の味が広がり、たまらず吐血。
意識は全て痛みで満たされる。
予想外の一撃。
想定外の負傷。

辛うじて倒れないように膝に力を入れているのが精いっぱい。
受け止めた拳を掴もうと腕を動かそうとするも、指一本動かない。
苦痛が体の動きを阻害しているのか、それとも、別の要因があるのか。
思考が止まる。

意識が朦朧とする。
意識が飛べば、次に目覚めるのはいつになるのか分からない。
視界がぼやけ、徐々に黒く染まる。
目の前に現実とも妄想とも分からない幼少期の己の姿が浮かぶ。

楽しそうに笑う自分。
果たして、自分にはそんな瞬間はあったのだろうか。
分からない。
自分が戦う理由はそこにあるのだろうか。

嗚呼。
そうだ、とミルナは思う。
子供が戦わなくていい世界。
子供が笑顔でいられる世界。

その為に、力が欲しかったのだ。
自分の夢。
幼少期に抱いた、あまりにも稚拙な夢。
世界中の人が笑顔でいられる世界を作るという、夢。

大人になるにつれ、その夢は形を変え、戦いというものに変化した。
子供たちが戦うのではなく、大人が戦えばいい。
殺し合いは大人たちだけで十分。
それも、必要最低限の戦いたい人間がやればいい。

そのために、世界のルールを変えたかったのだ。
初心を一瞬にして思い出したが、すでに意識は消えつつあった。

〔 【≡|≡】〕『お……は……』

まだ、世界が変わるその瞬間を見ていない。
夢見た世界を見届けていない。
世界はこれから――

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21 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:[ここ壊れてます] .net
クックル・タンカーブーツにとって、ミルナはかけがえのない戦友だった。
彼が身を挺してジョルジュを庇う間に、クックルはジョルジュを抱えて素早く後退していた。
この場にいる三人の中で最も無防備でありながら、最も重要な役割を担っているのがジョルジュであることは議論の余地もない。
ジュスティアに地上から入るためにはスリーピースを突破しなければならず、ジョルジュはその方法を知る人間だ。

彼だけが知る壁の抜け道。
それを利用し、一気に攻め入る。
地上部隊の本命はオセアンに待機させているキュート・ウルヴァリンの私兵部隊“サウザンドマイル”だ。
精鋭無比の兵士だけで統一されたその部隊ならば、攻城戦で苦戦することは無いだろう。

既にジュスティアには砲弾が幾つも着弾しており、混乱状態にあるはずだ。
攻め落とすのは時間の問題だが、要となる地上部隊への道を作るのがクックルたちの主任務だった。
ここで勢いを失いたくはない。
例えミルナを失ったとしても、その命を無駄にはしない。

似`゚益゚似『邪っ!!』

すぐに迫ってくる棺桶を前に、クックルは覚悟を決めた。

[,.゚゚::|::゚゚.,]『ジョルジュ!! お前は先にジュスティアに行け!!』
  _
(;゚∀゚)「……ちっ、借りにしといてくれ!!」

ジョルジュはこちらの意図を汲み取り、すぐにその場から逃走した。
目指す先には乗り捨てられた装甲車がある。
それに乗れば、負傷しているジョルジュでもジュスティアに問題なく到着できる。
問題は、ただ一つ。

似`゚益゚似『行かせるか!!』

[,.゚゚::|::゚゚.,]『邪魔させるか!!』

四本の鉤爪を展開し、打撃戦へと備える。
未だ使用済みのバッテリーは排莢出来ていないが、それでも、ジョルジュが逃げられるだけの時間を稼がなければならない。
ミルナを失い、仮にクックルが死んだとしても、計画の遂行が最優先だ。
この歩みは止めてはならない。

ジョルジュを生かすために倒れたミルナの覚悟を無駄にはしない。
バトンをここでつなぐことが、クックルの役割だ。
命を懸けるのは、ここだ。

[,.゚゚::|::゚゚.,]『はいだらぁああああああああ!!』

ミルナが打撃でやられた瞬間、クックルは理解した。
確かにこの世の中には、積み上げてきた技術が兵器の性能を上回ることがあると。
彼の敗因は装甲に対する絶対的な評価と相手の技量を見誤ったこと。
しかし今のクックルは相手を正しく分析し、油断なく戦うだけの覚悟が決まっている。

改良型エクスペンダブルズの四本の鉤爪は飾りではない。
リミッターを解除すれば、Bクラスの棺桶の装甲を握り潰すほどの力を発揮するだけの近接武器になる。
高周波振動相手には敵わないが、ダニーの左腕には装甲がない。
弱点を徹底して狙い、ジョルジュがジュスティアに到着するだけの時間を確保するしかない。

左下から薙ぎ払うように放つ四本の爪。
それをあっさりと回避されたが、それは囮だ。
右上から放つ対角線上からの攻撃。
だが、それすらも躱される。

こちらの意図を読まれないよう、攻撃の手は決して緩めない。
回避された後も、クックルは右のローキックを放つ。

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似`゚益゚似『付け焼き刃の武など!!』

踏みつけるようにしてローキックを払い除け、その体勢から後ろ回し蹴りが飛んでくる。
それを左腕で防いでいなければ、胸部の装甲が抉れていたに違いない。
代わりに左腕の装甲の一部が剥がれ落ち、地面に突き刺さった。
更に、こちらが反撃する間もなく次の蹴りがクックルを襲う。

[,.゚゚::|::゚゚.,]『雄雄おおおお!!』

今度は右腕の装甲を犠牲にし、攻撃を防ぐ。
内に宿る恐怖を押し殺し、クックルは前に進んだ。
蹴り技を使う人間は接近を嫌う。
蹴りが放てない距離に接近すれば、残されたのは右腕の攻撃だけ。

それを防ぎさえすれば、活路はある。
実際、すでに半分は開かれている。
しかもまだ気づかれていない。
ならば、ここで攻めなければ次のチャンスはない。

技も何もない、身長差と力を利用したタックル。

似`゚益゚似『っせい!!』

だが、ダニーは右腕一本で対処してのけた。
それを軸に、クックルの巨体が嘘のように宙を一回転し、地面に叩きつけられた。
力の流れを操作する類の技術が実戦で使われるのを、クックルは初めて体験した。
この男はクックルにとっての初めてをあまりにも多く奪ってくる。

起き上がる間もなく踏みつけが来ると予想して両腕で顔と胸を防御する。

[,.゚゚::|::゚゚.,]『ぐぬうっ……!!』

巨大な腕が幸いし、踏みつけ攻撃には耐えることが出来たが、アイスクリームをスプーンで削る様に装甲が削り取られた。
飛び上がり、四足歩行の獣の様に両手両足で前傾姿勢になる。

[,.゚゚::|::゚゚.,]『がああっ!!』

決してジョルジュを追わせはしない。
醜態をさらしても、彼だけは絶対に守り抜く。
再び突撃。
狙いは変わらず、負傷している左腕。

似`゚益゚似『じゃっ……!!』

振り向きざまに放たれた裏拳。
この時、クックルは装甲の下でほくそ笑んだ。
魚が針に食いついた。

[,.゚゚::|::゚゚.,]『もらった!!』

左腕の爪がその拳を受け止める。
高周波振動と合わさった強力な打撃は、それだけでクックルの肘を破壊した。
何という威力。
何という練度。

そして、何という過信。

似`゚益゚似『っ?!』

23 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:[ここ壊れてます] .net
腕一本を犠牲にし、“すでに相手の打撃で強制排莢を済ませた”クックルはエクスペンダブルズの主兵装であるレーザーを放った。
掴んだ相手の拳に直撃したレーザーが装甲を――

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似`゚益゚似『ぜっ!!』

――削り切る前に、高周波振動によって左腕の爪が全て破壊され、レーザーの照射が停止した。
その僅かな隙が生まれるよりも早く放たれた回し蹴りが肘関節に直撃し、腕が千切れ飛んだ。
だがまだ右腕がある。
こちらの腕も排莢を済ませてあるため、レーザーを使える。

[,.゚゚::|::゚゚.,]『だああああ!!』

似`゚益゚似『ちいっ……!!』

両腕を使用不可能に持ち込んだ上に、相手は今片足立ちという不安定な姿勢。
回避も攻撃も、迎撃も不可能。
この瞬間の為に左腕を捨てたのだ。
この一瞬こそ、絶対の勝機。

四本の爪を合わせ、最大出力で放つ極太の一撃。
オリノシを両断した一撃は、爪先から放つ物とは比較にならない程の太さを持つ。
ならば、点や線ではなく面の攻撃となる。
武術は面の攻撃に弱いはずだ。

何故なら面で放つ攻撃など存在せず、その対応など出来るはずがない。

似`゚益゚似『あ゛ああああああ!!』

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                       ̄ 二─ _
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                           -、\   \
          /                  \\   \
         //                  \ヾ ヽ     ヽ
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    <_,へ >- 、       ,.-、_         |         |
       \ノ人\    / 、 }! \        |         |
         \へ〃\/ヾ\_ノ、ノ人 ,.-、    |         |
          \|\rj\ヾ /   \_フ ,/   |! リ        |
          rm\ノ _  Y     Lノ      /    |    |
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咆哮が聞こえた気がした。
不安定な姿勢で回避が出来ないはずのダニーが繰り出したのは、サマーソルトキック、だった気がした。
顎を打ち抜くように衝撃が襲った時には、クックルの意識がブラックアウトし始めていた為だ。
自分の攻撃がどうなったのか、それを考えるよりも先に、クックルの思考は急激に遠のいていく。

――初めて軍隊に入った日、クックルは己の天職を見つけた気分がした。
イルトリア軍人として訓練を積み、必要に応じて派遣され、時には傭兵として戦争に参加した。
戦争はクックルにとって生きがいとなった。
粗暴者だった彼が彼らしく生きていけるのが、戦場だった。

クックルの暴力性は戦場で多くの実績を生み出し、戦果となった。
一人でも多く敵を殺せばそれだけで味方の為になった。
見せしめの為にあえて残虐に殺す役を喜んで買って出た。
自ずと、彼に付き従う部下は彼と同じはぐれ者だった人間が増えていった。

フィリカ内戦という泥沼の戦場で、クックルはプレイグロードを投入し、戦況を変えた。
化学兵器による大虐殺となったが、それが効果を生んだことは明らかだった。
しかし、イルトリア軍はそれを良しとせず、彼を叱咤した。
それをきっかけに、クックルはイルトリア軍を抜けて傭兵として世界を転々とすることになった。

彼が求めているのは争いの絶えない世界。
つまり、兵士にとって理想的な世界だった。
ジュスティアが世界の正義を掲げ、仮にそれが達成された場合。
世界は平和になり、兵士たちは職を失う。

戦いの中でしか自分でいられない人間にとって、その世界は地獄そのものだ。
クックルは争いを少しでも長引かせるため、あえて劣勢の勢力に加担し、戦争を長引かせた。
その点で言えば、傭兵という仕事は彼にとって都合がよかった。
そしてある日、ティンバーランドの勧誘を受け、彼らと同じ夢を見ることにした。

例え己を犠牲にしたとしても。
例え何万人の犠牲を生んだとしても。
最終的に世界がより良い姿になるのであれば、悪と呼ばれても構わない。
争いがなければ生きられない人間の居場所を守ることが出来れば、それでいい――

似`゚益゚似『ねっ……!!』

――意識を失ったクックルの頭部は、その後に放たれた踵落としによってヘルメットごと叩き潰された。
だがそれよりも前に、ジョルジュが乗った装甲車はジュスティアに向かって出発することに成功していたのであった。

25 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:[ここ壊れてます] .net
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似`゚益゚似『ふーっ……!! ふーっ……!!』

二体の名持ちの棺桶を相手にし、両腕を負傷したダニーは息を整えつつ、ジョルジュが逃げた方向を睨みつける。
既に車輌は小さな点となり、走って追いつけるような距離にはいない。
妨害電波によって周囲の通信は封鎖されているが、その中でも使うことのできる特殊な無線機に向かってダニーは静かに告げた。

似`゚益゚似『ジョルジュに、逃げられました』

だが返答はない。
空電の一つもない。
それが物語るのは、最悪の展開だ。

似`゚益゚似『……奴を追います』

それだけ言葉を残し、ダニーは残されていたもう一台の装甲車に乗ってジュスティアに向かった。
視線の遥か先。
ジュスティアのある方角で、巨大な火柱が上がった。

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同日 AM10:44

イーディン・S・ジョーンズは退屈していた。
観測手との連絡が途絶えて久しく、精密な砲撃ができないこともそうだが、彼の予想に反する動きの報告が来ないことが原因だった。
イルトリアとジュスティア、両方から連絡がない。
こちらの動きを読まれ、観測手を殺されたのか、妨害電波を使われているのだろう。

だが、ジュスティアにはまだ砲撃の手段がある。
その人間からの連絡があれば――

(::0::0::)「ドクタージョーンズ、連絡です。
     コードFoxtrotです」

(’e’)「あ、もうFなんだ。
   じゃあ、やっちゃおう」

――歴史を変える一撃は、あまりにも軽い口調で告げられた。

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同日 AM10:39

舞い込んでくる膨大な情報を処理するフォックス・ジャラン・スリウァヤの前に、一人の軍人が立っていた。
視線は前に向けず、作業はそのままでフォックスは言葉を投げかける。

爪'ー`)「珍しいな、作戦中に君が来るとは」

机の上に広がる無数の紙には、陸軍と海軍からの報告がまとめられており、もう間もなく全貌が見えるところだった。
情報を集めて見えてくるのは、敵の真の狙い。
そして、こちらが抱える穴。

( ,,^Д^)「急を要する要件だったもので」

ジュスティア軍元帥であるタカラ・クロガネ・トミーは短く告げた。
いつも通りの返答だが、彼の事をよく知る者が見れば、どこか緊張していることが分かったことだろう。
現在、ジュスティア軍は劣勢に立たされており、当初の予定よりもかなり多くの被害が出てしまっている。
その責任を一身に背負うのは、元帥である彼に他ならない。

爪'ー`)「で、用件は何だ?」

( ,,^Д^)「単刀直入に申し上げます。
     降伏を考えてはいただけませんか?」

そこでようやく、フォックスは作業の手を止めてタカラを見た。

爪'ー`)「降伏、だと?
     それはないな。
     いや、それだけは絶対にない。
     降伏などすれば、この世界の天秤が狂うことになる」

( ,,^Д^)「お言葉ですが、すでに天秤は傾いています。
     今ならばまだ、無用な死者が出ずに済みます」

爪'ー`)「連中の砲撃に臆したか」

( ,,^Д^)「いえ、連中の戦力と兵力を鑑みての意見です」

爪'ー`)「そうか、答えは言った通りだ。
    オリノシに向かった陸軍からの連絡が途絶えているから、そちらの情報をすぐに集めてくれ」

そう言って、フォックスは再び作業に戻ろうとした。

( ,,^Д^)「……もう一度考えていただけませんか」

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爪'ー`)「駄目だ。 ここで受け入れれば、我々はテロリストに屈したことになる。
    それのどこに正義がある?」

( ,,^Д^)「残念です、市長」

タカラはそう言って、フォックスに背を向けた。
執務室を出て行こうとする彼の背に、フォックスは静かに告げた。

爪'ー`)「君の目的は何なんだ?」

( ,,^Д^)「死者が減ることです」

爪'ー`)「違うよ。 君がティンバーランドに組する目的だ」

瞬間、その空間の空気が凍り付いた。
両者ともに身じろぎ一つせず、沈黙したまま。
指一つ、瞬き一つさえしない。
タカラが唾を飲み、口を開く。

( ,,^Д^)「仰る意味が分かりません」

爪'ー`)「ティンカーベルで起きた連中の奪還事件の際、君は罠にかかった。
    関係者に伝えた情報はそれぞれ少しずつ違うようにして、内通者が分かるようにしていたんだよ。
    その結果、君だった。
    正直君の事を信じたかったが、街で起きた奪還事件でも関係していたのが決め手だった。

    で、何故だ?」

一つ深い溜息を吐いて、タカラは振り返らず答える。

( ,,^Д^)「私は、この世界に正義を取り戻したいのですよ、市長。
     今のジュスティアは正義の都を名乗るには、あまりにも腐敗している。
     どうして世界中の街に警察を配備しない?
     そうすれば、世界中が同じ基準、同じ法律の下、同じ正義を信じられるというのに。

     あなたはそれをしようとしなかった。
     このままでは世界は変わらない。
     このままでは正義は幻のままだ。
     故に、私は彼らに手を貸すことにしたんですよ、市長」

爪'ー`)「“世界警察”構想に近い考えだが、それよりも乱暴だな。
    それぞれの街の考えを統一するのは絶対に不可能だ。
    ましてや、従来の考えを力ずくで矯正することを避けられないのならば猶更。
    正義という概念に基準を設け、それを強いるとすれば間違いなく争いが起こる。

    人が人である限り、その争いは無くならない」

世界警察構想。
それは、ジュスティア警察が大昔に考え、そしてすぐに頓挫した考えだった。
全ての町にジュスティア警察を派遣することで連携が可能となり、犯罪者を確実に罰することが可能になる。
問題は、契約を結ばせなければならないという根本的な部分だった。

独自の警察組織を持つ街がある以上、この考えは決して実現しないという結論に落ち着いたのだ。

( ,,^Д^)「その争いを起こす人間こそが悪であると断じられる。
     時間はかかるでしょうが、間違いなく世界は正義を手に入れられるのです」

爪'ー`)「ははっ、大した自信だ。
    やれるものならやってみろ」

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なにやってんだこいつ

30 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:[ここ壊れてます] .net
SSもAAも混ざって地の文もおおい
総じてくそ

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( ,,^Д^)「……えぇ、言われずとも」

タカラが懐に手を入れる。
フォックスは机の上で手を組み、その背を見つめる。
タカラが振り返ろうとした刹那、ショットガンの巨大な銃声と散弾の雨が彼の背中を襲った。
近距離で放たれた散弾は、防弾繊維の上から彼の背骨を破壊した。

机の下に隠された仕込みショットガンは足で操作する様に作られており、装填されている散弾の火薬の量は多めになっている。
執務室に備え付けられた緊急用の設備の一つで、その全てがこれまでに一度も使われることのなかった装置だ。
初めて使用されたのが同じジュスティア人で尚且つ軍の元帥だというのは、あまりにも最悪の歴史と言える。
席を立ち、フォックスはその場に倒れたタカラに歩み寄って膝を突き、言葉をかける。

背骨を破壊されたタカラは立ち上がることも姿勢を変えることも出来ない。

爪'ー`)「馬鹿だよ、君は……」

( ,,^Д^)「知っています……
     だけど、これでいい。
     私の歩みが、世界を変える」

タカラの手に小さなリモコンがあるのを見て、それから、フォックスは窓の外に目を向ける。
小さく溜息を吐き、ゆっくりと机に向かって歩きながら呟いた。

爪 ー )「……とっておきの葉巻、吸っておけばよかったな。
     今日は今までで――」

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         ,イ.| ̄i| |i ̄ ̄|i>。.
        / i|!|i才| |斗-=ミs、i| |>。.
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     /斗´  i||i-‐ |!|i ̄ ̄`ヽ |ij{’ヽ.|i  `'守
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    .|i  |i-三.|i _ニ|i―ニミヽ .|i`ト、..i| `.i|  人__      }   Tヽイ ≧=-
    .|i  |i_.=-.|i ̄ !|i     `ヽ|i` 、...i|i、  |  |i /i|`ト、 _,. ´   / ヘ ヘ
    .|i=-|i   |i   !|i__   !|i>...!i| `i!|  |i' |iヘ  Y ̄`ヽ ̄   ヘ^丶
    .|i  |i_-ニ!|i-ニ .|i ̄ ̄> !|i    |`'守| /` |i  ー'ト  i| ヘ     j
    .|i..,x|i   |i   !|i__   !|ト  .|  !|./`ト.|i>。 | >i。. ヽ   _/
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33 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:[ここ壊れてます] .net
そして、ピースメーカーの横腹に巨大な砲弾が直撃した。
一瞬にして爆炎が建物を包み込み、炎の柱と化す。
続けて新たな砲弾が着弾し、建物の半分が吹き飛んだ。
ジュスティアの街の中心にある70階建ての建物が倒壊するのに、5分とかからなかった。

――この日、世界の天秤が大きく傾いた。

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                                γ ⌒ ⌒ `ヘ
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                        ミ彡 /::::::::`>  ,.-''~.‐'~~-‐''~~.| .|  |    |
工___                       ミミ|彡ム-''~~ーv'~ ~:::::;;;::   i-‐i |~~|  |   |
\===|                 ミ-‐''~:::::_,.ィ''~~|~  ~~`|~   |T | |~I.|  |   |
  \==|======i__          ミ>,-|~~`i'~I |   |     |   | | |_,.+‐ !┴!―--'

第十章 【 Ammo for Rebalance part7 -世界を変える銃弾 part7-】 了

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34 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:[ここ壊れてます] .net
これにて今回の投下はおしまいです

質問等あれば幸いです

35 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:[ここ壊れてます] .net
投下する場所ま違ってますよ

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