1時間ちょっとで書いたワイの小説にケチ付けるスレ

以下、？ちゃんねるからVIPがお送りします

結月は窓を開けて夜空を眺めていた。ひんやりとした１０月の風が結月の頬を撫でた。月は煌々と輝き、微かに星が見えた。マンションの下から見える通りには、少女の手を片方ずつ繋いで並び歩く家族の姿があった。少女は両親の手に体重を預け、無重力空間のように浮かびながら移動していた。
少女が上を向いた。結月とその名も知らぬ少女は目を合わせた。少女は結月の瞳から恐怖を見た。それは不都合を誘う隕石だった。結月は少女の瞳から宇宙を見た。結月は下から宇宙を覗いていた。宇宙は地球を覆い、少女は宇宙を覆っていた。その瞳はまるで性善説を肯定するかのような恒星だった。
少女の瞳は自ら光を放っていた。結月の瞳もその光を反射させるように輝いていた。カチッとお湯が沸いた音が殺風景な部屋に響き渡った。結月は電気ケトルを持って、カップラーメンにお湯を注いだ。
封をする様に割り箸をカップラーメンの上に置いた。結月はまた外に目を向けた。JR高円寺駅へ向かう人の波が湯気でぼやけて見えた。蜃気楼のような人波は駅を波際にし、寄せては返し、返しては寄せた。
下を見ると宇宙少女はいなくなっていた。かわりに柄の悪いカップルが肩を寄せ合い歩いていた。若作りに耐えかねた顔に襲いかかる重力、金属に侵された耳朶、厚化粧を剥がすとそこは別世界。全てが宇宙少女と反転している。己を見据えた視線の先で笑っている。
ほうれい線が絶壁のように立ちはだかり、その醜聞は瞬く間に宇宙に広がったところで結月は割り箸を割った。カップについた紙蓋を剥がして、麺を啜った。ついさきほどまで行われていた非現実の空想は瞬く間にかき消され、濃厚な食欲とともに胃下垂に落ちていった。