嘘

以下、？ちゃんねるからVIPがお送りします

昔から嘘が上手だった。
嘘で"理想の自分"を作り上げ、そう見えるように取り繕ってきた。
嘘で固めたこの人生、報われねば何が残る。ただ空虚な生を送るだけなら…そんな人生を歩みたくはなかったからこそ、私は偽り続ける事を選んだのだ。
"本当の私など誰も求めてない"、"本当はこんな人間では無いはずなのに"と心の中で嘆きながら生きてきた私が辿り着いた答えは『偽り続ける事』だ。……でも結局、それは逃げているに過ぎないとも知っている。
自分が情けなくて、なにもかも嫌だ。
普通の人ならば涙が零れるのかもしれないが、私はそれすらも枯れてしまっているらしい。
もしくはその感情すら自分に対する"嘘"なのかもしれない。
自分で自分が分からなくなる。ただでさえうやむやな『自分』が霧散してしまう。
自分の無能さに嫌気がさす。自分の欠点に気づいているにも関わらず、その事実から目を逸らし自分に嘘をつき続ける。それももう疲れた。

だが、それでも嘘をつき続けてしまう。いや、つき続けねばならない。
私は怖いのだ。今までつみ上げた嘘が。積み重ねてしまった過ちが露呈する時が来る事が恐ろしい。だから、せめてもの抵抗として私の中に生まれた考えを否定する事で自己防衛をしているのだろう。本当に情けない話である。
私は臆病者なのだ。臆病で、怠け者。そして愚かな嘘つきだ。
それに気づいておきながら自分を騙し続けるのだ。
なんという矛盾。なんという空虚な人生か。
それを嫌ったがために嘘をついたのに。
自分は結局そうだったのだ。
…………どうしてこうなったのか。
周りに求められるままを演じ続けていたせいなのか。
今となってはそのきっかけが何であったかすらも思い出せない程、遠くまで来てしまったのだろう。思い出せぬような小さな塊が、自分一人で抱えきれない程大きくなってしまった。
それでも自分はその塊を大きくし続けている。
たとえそれが自分の首を絞める事になろうとも。
つき続けねば『自分』が無くなってしまうから。
だから、私は今日も嘘をつく。
誰かの為にではない、自分自身のために。